熱交換装置及び車両用空調装置
【課題】熱交換器の短軸長さを抑制しつつ圧損を低減することのできる熱交換装置及び車両用空調装置を提供する。
【解決手段】熱交換装置24は、通気方向に対応する通路断面が長軸と短軸を有する扁平状の通気路34を有するダクト20と、ダクト20の通気路34に配置されるフィン型の熱交換器41と、熱交換器41に熱的に連結して配置されるペルチェ素子42とを備える。熱交換器41が配置された領域における通路断面の最大長軸長さよりも熱交換器の上流側端長さが長くなるように、ダクト20の通気路34に熱交換器41を配置する。
【解決手段】熱交換装置24は、通気方向に対応する通路断面が長軸と短軸を有する扁平状の通気路34を有するダクト20と、ダクト20の通気路34に配置されるフィン型の熱交換器41と、熱交換器41に熱的に連結して配置されるペルチェ素子42とを備える。熱交換器41が配置された領域における通路断面の最大長軸長さよりも熱交換器の上流側端長さが長くなるように、ダクト20の通気路34に熱交換器41を配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換装置及び車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の天井部に熱交換装置を備えた車両用空調装置がある(例えば、特許文献1,2参照)。このような車両用空調装置の熱交換装置は、通気方向に対応する通路断面が長軸と短軸を有する扁平状の通気路を有するダクトと、そのダクトの通気路に配置されるフィン型の熱交換器と、その熱交換器に熱的に連結して配置される熱供給体(特許文献1でペルチェ素子、特許文献2で熱電素子が相当する)とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−262580号公報
【特許文献2】特開平2−286596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記車両用空調装置の熱交換装置における熱供給体のCOP(成績係数)を向上するためには、熱供給体で発生した熱(冷熱・排熱)を熱媒体である空気に効率良く伝える必要がある。熱媒体が空気である場合は、熱交換器に大きな伝熱面積が必要になる。しかし、車両の天井部に備える熱交換装置では、設置スペース上の制約から熱交換器の体格(高さ、間口、通気方向の長さ)は限られる。また、冷却側の熱交換器と放熱側の熱交換器との相互間にペルチェ素子を配置してなるペルチェモジュール(特許文献1で吸着材モジュールが相当する)では、熱交換器の体格のうち、特に高さ方向に係る設置スペースの制約が厳しい。このような理由から、熱交換器の高さを抑制することが望まれる。一方、熱交換器の通気方向の長さを長くすることによって伝熱面積を増加することが可能である。しかし、これでは熱交換器の圧損(通風抵抗)の増大を招くことになるため好ましくない。
本発明が解決しようとする課題は、熱交換器の短軸長さを抑制しつつ圧損を低減することのできる熱交換装置及び車両用空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は、特許請求の範囲に記載された構成を要旨とする熱交換装置及び車両用空調装置により解決することができる。
すなわち、請求項1に記載された熱交換装置によると、熱交換器が配置された領域における通路断面の最大長軸長さよりも熱交換器の上流側端長さが長くなるように、ダクトの通気路に熱交換器を配置したものである。したがって、ダクトの通気路に対する配置を工夫することにより、熱交換器の通気方向の長さを短くすることができる。これによって、熱交換器の短軸長さを抑制しつつ圧損を低減することができる。なお、本明細書でいう「通気方向に対応する通路断面」とは、通気方向に対応する通路の延びる方向に直角に交わる断面で切断した場合の通路断面という意味であり、通路の延びる方向に対して通気方向が傾斜している場合には、通気方向に直角に交わる断面で切断した場合の通路断面ではなく、通気方向に対応した通路の延びる方向に直角に交わる断面で切断した場合の通路断面となる。
【0006】
また、請求項2に記載された熱交換装置によると、熱交換器をダクトの通気路の通気方向に対応する通路断面における長軸方向に対して傾斜する傾斜部を有するように配置したことによって、熱交換器の通気方向の長さを短くすることができる。
【0007】
また、請求項3に記載された熱交換装置によると、熱交換器がV字状に形成されている。これにより、熱交換器をI字状に形成した場合と比べて、ダクトの通気路の通気方向に関する熱交換器の長さを短くすることができる。
【0008】
また、請求項4に記載された熱交換装置によると、ダクトに異なる通気方向の複数の分岐路を形成し、複数の分岐路に前記熱交換器をそれぞれ配置したことによって、各熱交換器の通気方向の長さを短くすることができる。
【0009】
また、請求項5に記載された熱交換装置によると、複数の分岐路がダクトの通気路の下流側で合流されている。したがって、複数の分岐路を流れた空気を、ダクトの通気路の下流側で合流させることができる。
【0010】
また、請求項6に記載された車両用空調装置によると、請求項1〜5のいずれか1つに記載の熱交換装置を車両の天井部に備えたものである。したがって、熱交換器の短軸長さを抑制しつつ圧損を低減することのできる熱交換装置を備えた車両用空調装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1にかかる車両用空調装置を示す側断面図である。
【図2】熱交換装置を示す側断面図である。
【図3】熱交換装置を示す平断面図である。
【図4】プレートフィン型の熱交換器を一部破断して示す斜視図である。
【図5】ピンフィン型の熱交換器を一部破断して示す斜視図である。
【図6】ルーバーフィン型の熱交換器を一部破断して示す斜視図である。
【図7】基準形状の熱交換器を備えた熱交換装置を示す側断面図である。
【図8】基準形状の熱交換器を備えた熱交換装置を示す平断面図である。
【図9】実施の形態1の変更例1にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【図10】実施の形態1の変更例2にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【図11】実施の形態1の変更例3にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【図12】実施の形態1の変更例4にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【図13】実施の形態2にかかる熱交換装置を示す側断面図である。
【図14】熱交換装置を示す平断面図である。
【図15】実施の形態3にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【図16】実施の形態4にかかる熱交換装置を示す側断面図である。
【図17】熱交換装置を示す平断面図である。
【図18】実施の形態4の変更例1にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【図19】実施の形態4の変更例2にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【図20】実施の形態4の変更例3にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【図21】実施の形態4の変更例4にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0013】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1を説明する。説明の都合上、熱交換装置を備えた車両用空調装置から説明する。図1は車両用空調装置を示す側断面図である。なお、図中、矢印FRは車両前方向を示し、矢印UPは車両上方向を示している。
図1に示すように、車両(本実施の形態では乗用車)10の天井部12に空調装置14が搭載されている。空調装置14は、外気用ダクト16と外気用ファン18と内気用ダクト20と内気用ファン22と熱交換装置24とを備えている。
【0014】
前記外気用ダクト16内には、前記車両10のルーフ26の下面側に形成されている。外気用ダクト16には、車両前後方向(図1において左右方向)を通気方向とする外気用通気路28が形成されている。外気用通気路28は、高さが低く間口(車両左右方向(図1において紙面表裏方向)の幅が相当する)の広い扁平状の通路断面を有している。なお、通路断面の高さは本明細書でいう「長軸」に相当する。また、通路断面の間口は本明細書でいう「短軸」に相当する。
【0015】
また、外気用通気路28の前端開口部(図1において左端開口部)には、ルーフ26の前側部を貫通して車両前方に開口する外気導入口30が形成されている。また、外気用通気路28の後端開口部(図1において右端開口部)には、ルーフ26の後側部を貫通して車両後方に開口する外気排出口32が設けられている。したがって、車両10が走行することにより、外気(空気)が外気導入口30から外気用通気路28に導入され、外気用通気路28を通って外気排出口32から排出される。
【0016】
前記外気用ファン18は、前記外気用通気路28における上流部(図1において左端部)に配置されている。外気用ファン18は、例えば貫流式ファンであって、制御装置(図示省略)によって制御される電動モータによって作動される。車両10の運転中における信号待ち、渋滞中等において、外気用通気路28を流れる外気が不足するときは、外気用ファン18の作動によって外気(空気)を外気導入口30から外気用通気路28に強制的に導入し、外気排出口32から排出することができる。なお、外気用ファン18は、外気用通気路28における上流部に限らず、下流部に配置してもよい。
【0017】
前記内気用ダクト20は、前記外気用ダクト16の下面側に積層状に形成されている。内気用ダクト20内には、車両前後方向(図1において左右方向)を通気方向とする内気用通気路34が形成されている。内気用通気路34は、前記外気用通気路28と同様、通気方向に対応する通路断面が長軸と短軸を有する扁平状を有している。また、内気用通気路34の前端部(図1において左端部)には、下方に向けて開口する内気導入口36が形成されている。また、内気用通気路34の後端部(図1において右端部)には、下方に向けて開口する内気吹出口38が設けられている。なお、内気導入口36は後下方(前席101に着座する乗員の頭部の周辺部)に向けて傾斜されているとともに内気吹出口38は前下方(後席102に着座する乗員の頭部の周辺部)に向けて傾斜されており、内気吹出口38から吹出された内気(空気)が再び内気導入口36に導入されやすくなっている。
【0018】
前記内気用ファン22は、前記内気用通気路34における上流部(図1において左端部)に配置されている。内気用ファン22は、例えば貫流式ファンであって、図示しない制御装置によって制御される電動モータによって作動される。これにより、内気(車室10a内の空気)を内気導入口36から内気用通気路34に導入し、内気吹出口38から車室10a内へ吹出すことができる。なお、本実施の形態では、内気が内気用通気路34を前端側から後端側へ流れるが、内気用ファン22を逆転させることによって、内気を逆流させることもできる。この場合、前記内気吹出口38が内気導入口となり、前記内気導入口36が内気吹出口となる。また、内気用ファンは、内気用通気路34における上流部に限らず、下流部に配置してもよい。
【0019】
前記熱交換装置24は、前記外気用ダクト16と前記内気用ダクト20との重複部分に配置されている。熱交換装置24は、フィン型の上下の熱交換器41と、両熱交換器41の相互間に介装されることにより両熱交換器41に熱的に連結されたペルチェ素子42とを備えている。上側の熱交換器41は、前記外気用通気路28の前後方向の中央部にほぼ密嵌状に配置されている。また、下側の熱交換器41は、前記内気用通気路34の前後方向の中央部にほぼ密嵌状に配置されている。また、熱交換器41は、例えば、アルミニウム、銅等の熱伝導性の良い金属材料により形成されている。なお、上下の熱交換器41には、本実施の形態では同一構成のものが採用されている。また、上下の熱交換器41とペルチェ素子42とにより、「ペルチェモジュール」が構成されている。
【0020】
前記熱交換器41には、本実施の形態では、プレートフィン型の熱交換器41が採用されている。図4はプレートフィン型の熱交換器を一部破断して示す斜視図である。
図4に示すように、プレートフィン型の熱交換器41は、上下の基板部44の相互間に多数枚のプレートフィン45を幅方向に平行状に配列したものである。両基板部44間における隣り合うプレートフィン45の間が通気路となっている。
【0021】
なお、プレートフィン型の熱交換器41に代えて、ピンフィン型の熱交換器、ルーバーフィン型の熱交換器を採用することもできる。図5はピンフィン型の熱交換器を一部破断して示す斜視図、図6はルーバーフィン型の熱交換器を一部破断して示す斜視図である。
図5に示すように、ピンフィン型の熱交換器41Aは、上下の基板部44Aの相互間に多数本のピンフィン45Aを縦横に所定の間隔で配列したものである。両基板部44A間における隣り合うピンフィン45Aの間が通気路となっている。
また、図6に示すように、ルーバーフィン型の熱交換器41Bは、前記プレートフィン型の熱交換器41(図4参照)におけるプレートフィン45に切り起こし状のルーバー45aを形成したものである。プレートフィン45のルーバー45aが、そのルーバー45aの切り起こしによる孔45bに空気を通すように案内する。
【0022】
前記ペルチェ素子42(図1参照)は、四角形板状に形成されており、その板厚方向の板面(上面及び下面)が吸熱面及び放熱面としてそれぞれ機能する。ペルチェ素子42は、ペルチェ効果を利用した熱電素子である。すなわち、ペルチェ素子42は、2種の金属板の相互間にP型半導体とN型半導体とを多数配置するとともに、一方の金属板によってN−P接合を構成し、かつ他方の金属板によってP−N接合を構成した素子であって、PN接合部分に電流を流すことにより熱移動が起こり、一方の金属板で吸熱現象が生じ、他方の金属板で放熱現象(発熱現象)が生じるものである。また、ペルチェ素子42に対する電流は、前記制御装置によって制御される。なお、ペルチェ素子42は、本明細書でいう「熱供給体」に相当する。また、ペルチェ素子42は、両熱交換器41の対向する基板部44(図4参照)の相互間に積層状にかつ密着状に配置されている。このため、両熱交換器41の相反する側に位置する基板部44(下側の熱交換器41の下側の基板部44、及び/又は、上側の熱交換器41の上側の基板部44)は省略してもよい。
【0023】
図1に示すように、前記外気用ダクト16と前記内気用ダクト20との間、及び、外気用ダクト16と前記ルーフ26との間、内気用ダクト20の下面には、断熱性を有する断熱材47が設けられている。
【0024】
前記空調装置14(図1参照)において、車両10の車室10a内を冷房する場合には、ペルチェ素子42の下面を吸熱面とし、その上面を放熱面とするように、制御装置によってペルチェ素子42に電流が流される。これにより、下側の熱交換器41の熱が上側の熱交換器41に移動される結果、下側の熱交換器41が冷却される。これとともに、外気用ファン18の作動、及び/又は、車両10の走行により、外気が外気用ダクト16の外気用通気路28を通る。また、内気用ファン22の作動により、内気が内気用ダクト20の内気用通気路34を通る。したがって、内気導入口36から内気用通気路34に導入された内気が下側の熱交換器41を通ることにより冷却された後、内気吹出口38から車室10a内へ吹出される。また、外気導入口30から外気用通気路28に導入された外気が上側の熱交換器41の通ることにより、上側の熱交換器41の熱が外気と共に外気排出口32から排出される。なお、車室10a内を暖房する場合には、前記制御装置によって、ペルチェ素子42に対する電流の方向を逆転し、ペルチェ素子42の上下面における吸熱面と放熱面とを逆転させればよい。
【0025】
次に、前記熱交換器41の基準形状について説明する。図7は基準形状の熱交換器を備えた熱交換装置を示す側断面図、図8は同じく平断面図である。
図7及び図8に示すように、基準形状の熱交換器(符号、40を付す)は扁平状をなす横長四角状に形成されている。熱交換器40は、熱交換器40に要求される性能に応じた基準高さ40H(図7参照)、基準間口40W及び通気方向の基準長さ40L(図8参照)を有している。また、本実施の形態では、前記ペルチェモジュールに8個のペルチェ素子42が用いられており、熱交換器40の上面に対して、間口方向(図8において上下方向)に等間隔でかつ交互に前後に振り分けた状態で配置されている。
【0026】
次に、本実施の形態にかかる熱交換装置24について説明する。図2は熱交換装置を示す側断面図、図3は同じく平断面図である。なお、前記ペルチェモジュールの上下の熱交換器41は実質的に同一形状をなしているため、下側の熱交換器41について説明し、上側の熱交換器41についての説明は省略する。
図3に示すように、本実施の形態にかかる熱交換装置24は、熱交換器41が平面視でV字状に形成されている。詳しくは、熱交換器41を左右二つの分割体50で構成し、両分割体50を内気用ダクト20の通気方向(前後方向)に対して、所定の傾斜角θ1をもって斜めにかつ左右対称状に配置したものである。傾斜角θ1は、例えば45°である。
【0027】
したがって、直角二等辺三角形における直角をなす2辺を「1」とした場合、斜辺の長さが「√2」であることから分かるように、間口方向の寸法S1及び通気方向の寸法S2に対して分割体50の間口Wを基準間口40W(図8参照)の1/2よりも広げることができる。このため、フィンの面積を基準形状と同じとした場合、その分割体50の間口Wの広がった分に応じて、分割体50の通気方向の長さLを前記基準長さ40L(図8参照)よりも短くすることができる。すなわち、分割体50の通気方向の長さLを前記基準長さ40L(図8参照)の1/√2(=0.87)程度に短くすることができる。また、熱交換器41の高さH(図2参照)は、前記基準高さ40H(図7参照)と同じである。また、本実施の形態の場合、前記ペルチェ素子42は、熱交換器41の分割体50に対して各4個ずつ等間隔で配置されている(図3参照)。
【0028】
前記した熱交換装置24によると、熱交換器41が配置された領域における通路断面の最大長軸長さよりも熱交換器41の上流側端長さの合計が長くなるように、内気用ダクト20の内気用通気路34に熱交換器41の両分割体50を配置したものである。なお、熱交換器41が配置された領域とは、内気用ダクト20内で熱交換器41(両分割体50)が配置された領域が相当する。また、通路断面の最大長軸長さとは、内気用ダクト20の間口方向の長さ(通気方向に間口が変化する場合では前記領域における最大長さ)が相当する。また、熱交換器41の上流側端長さとは、両分割体50において上流側に位置する面における長軸方向の長さの合計が相当する。
【0029】
したがって、内気用ダクト20の内気用通気路34に対する配置を工夫することにより、熱交換器41の両分割体50の通気方向の長さL(図3参照)を前記基準長さ40Lよりも短くすることができる。これによって、熱交換器41の両分割体50の短軸長さとしての高さH(本実施の形態では前記基準高さ40Hと同じ)を抑制しつつ圧損を低減することができる。
【0030】
また、熱交換器41の両分割体50を内気用ダクト20の内気用通気路34の通気方向に対応する通路断面における長軸方向としての間口に対して傾斜する傾斜部を有するように配置したことによって、熱交換器41の両分割体50の通気方向の長さL(図3参照)を前記基準長さ40L(図8参照)よりも短くすることができる。
【0031】
また、熱交換器41がV字状に形成されている(図3参照)。これにより、熱交換器41をI字状に形成した場合(図12参照)と比べて、内気用ダクト20の内気用通気路34の通気方向に関する熱交換器41の長さ(前後方向(図2及び図3において左右方向)の長さ)を短くすることができる。
【0032】
また、前記した車両用空調装置14(図1参照)によると、熱交換器41の短軸長さとしての高さHを抑制しつつ圧損を低減することのできる熱交換装置24を備えた車両用空調装置14を提供することができる。
【0033】
[実施の形態1の変更例1]
図9は熱交換装置を示す平断面図である。本変更例は、図9に示すように、前記実施の形態1(図3参照)における熱交換器41の両分割体50の隣り合うプレートフィン45の相互間の間隔Kを、前側(図9において左側)から後側(図9において右側)に向かって次第に狭くしたものである。このような構造にすることにより、プレートフィン45の相互間に流れる空気の量を均一化することができる。
【0034】
[実施の形態1の変更例2]
図10は熱交換装置を示す平断面図である。本変更例は、図10に示すように、前記実施の形態1(図3参照)における熱交換器41の両分割体50のプレートフィン45の傾斜角θ2を前側から後側に向かって次第に小さくしたものである。なお、傾斜角θ2は、前後方向に延びる直線52に対するプレートフィン45のなす角度である。
このような構造にすることにより、プレートフィン45の面積が増えるため、さらに熱交換器41の両分割体50の通気方向の長さを短くすることができる。
【0035】
[実施の形態1の変更例3]
図11は熱交換装置を示す平断面図である。本変更例は、図11に示すように、前記実施の形態1(図3参照)における熱交換器41の両分割体50をその傾斜方向を同一方向に向けて並行状に配置したものである。
【0036】
[実施の形態1の変更例4]
図12は熱交換装置を示す平断面図である。本変更例は、図12に示すように、前記実施の形態1(図3参照)における熱交換器41を分割せずに平面視でI字状に形成した熱交換器(符号、53を付す)であり、熱交換器53を内気用ダクト20の通気方向(前後方向)に対して所定の傾斜角θ3をもって斜めに配置したものである。傾斜角θ3は、例えば45°である。
【0037】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2を説明する。本実施の形態は、前記実施の形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。図13は熱交換装置を示す側断面図、図14は同じく平断面図である。
本実施の形態は、図13及び図14に示すように、前記内気用ダクト20の下面中央部に、下方に向けて開口する方形状の内気導入口54が設けられている。また、内気用ダクト20の前端部に、下方に向けて開口する前側の内気吹出口56が設けられている。また、内気用ダクト20の後端部に、下方に向けて開口する後側の内気吹出口57が設けられている。なお、図13に示すように、内気導入口54の前半部は前下方に向けて傾斜されているとともに前側の内気吹出口56は後下方に向けて傾斜されており、前側の内気吹出口56から吹出された内気が再び内気導入口54に導入されやすくなっている。また、内気導入口54の後半部は後下方に向けて傾斜されているとともに後側の内気吹出口57は前下方に向けて傾斜されており、後側の内気吹出口57から吹出された内気が再び内気導入口54に導入されやすくなっている。
【0038】
本実施の形態では、前記内気用ダクト20の内気用通気路34における内気導入口54上に内気用ファン60が配置されている。内気用ファン60は、例えばシロッコファンであって、図示しない制御装置によって制御される電動モータによって作動される。このため、内気用ファン60の作動により内気導入口54から導入された内気は、内気用通気路34の前半の分岐路58及び後半の分岐路59の二方向に分岐して流れる。なお、分岐路58,58は、本明細書でいう「異なる通気方向の複数の分岐路」に相当する。また、内気用ダクト20において、内気が前方へ流れる前半の分岐路58を形成する部分を前側の分岐路形成部62といい、内気が後方へ流れる後半の分岐路59を形成する部分を後側の分岐路形成部63という。また、本実施の形態においては、前記実施の形態1(図2及び図3参照)における内気用ファン22は省略されている。なお、本実施の形態においても、内気用ファン60を逆転させることによって、内気を逆流させることもできる。
【0039】
図14に示すように、前記熱交換装置24の熱交換器(符号、65を付す)は、前記両分岐路形成部62,63の分岐路58,59に対してそれぞれ配置されている。したがって、前後二つの熱交換器65の間口Wの合計を前記基準間口40W(図8参照)の2倍に広げることができる。このため、両熱交換器65の間口Wの広がった分に応じて、両熱交換器65の通気方向の長さL1を前記前記基準長さ40L(図8参照)の1/2に短くすることができる。また、熱交換器65の高さH(図13参照)は、前記実施の形態1における熱交換器41の両分割体50の高さH(図2参照)と同じである。また、前記ペルチェ素子42は、両熱交換器65に対して各4個ずつ等間隔で配置されている。
【0040】
本実施の形態の熱交換装置24によると、内気用ダクト20に異なる通気方向の2つの分岐路58,59を形成し、2つの分岐路58,59に熱交換器65をそれぞれ配置したことによって、各熱交換器65の通気方向の長さを短くすることができる。
【0041】
[実施の形態3]
本発明の実施の形態3を説明する。本実施の形態は、前記実施の形態2に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。図15は熱交換装置を示す平断面図である。
本実施の形態は、図15に示すように、前記内気用ダクト20の左右両側部に前記前後の分岐路形成部62,63と同様、内気吹出口72及び分岐路74を有する左右の両分岐路形成部70を左右対称状に連通したものである。このため、内気用ファン60の作動により内気導入口54から導入された内気は、前側の分岐路58、後側の分岐路59及び左右の両分岐路74の四方向に分岐して流れる。なお、分岐路58,58,74は、本明細書でいう「異なる通気方向の複数の分岐路」に相当する。
【0042】
前記熱交換器(符号、67を付す)は、前記前後左右の計四つの分岐路58,59,74に対してそれぞれ配置されている。したがって、四つの熱交換器67の間口Wの合計を前記基準間口40W(図8参照)の4倍に広げることができる。このため、四つの熱交換器67の間口Wの広がった分に応じて、四つの熱交換器67の通気方向の長さL2を前記前記基準長さ40L(図8参照)の1/4に短くすることができる。また、熱交換器67の高さは、前記実施の形態1における熱交換器41の高さH(図2参照)と同じである。また、前記ペルチェ素子42は、四つの熱交換器67に対して各2個ずつ等間隔で配置されている。
【0043】
[実施の形態4]
本発明の実施の形態4を説明する。本実施の形態は、前記実施の形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。図16は熱交換装置を示す側断面図、図17は同じく平断面図である。
本実施の形態は、図17に示すように、前記実施の形態1における内気用ダクト20(図2参照)の内気用通気路34に、前記実施の形態2における前後二つの熱交換器65(図14参照)をその間口を左右方向(図17において左右方向)に向けた状態で左右(図17において上下)に所定の間隔を隔てて並行状に配置したものである。内気用ダクト20の前壁76には、両熱交換器65の前端面が当接されている。両熱交換器65の相互間の上流側の通気路(符号、77を付す)に連通するように内気導入口(符号、78を付す)が形成されている。それにともない、内気用ファン22の横幅(図17において縦幅)が短縮されている。
【0044】
前記両熱交換器65の相互間の後方開端面は、閉鎖壁80によって閉鎖されている。また、内気用ダクト20の右側壁82と右側(図17において上側)に配置された熱交換器65との間、及び、内気用ダクト20の左側壁84と左側(図17において下側)に配置された熱交換器65との相互間には、左右の分岐路86が形成されている。なお、各分岐路86を形成するダクト部分を分岐路形成部87という。また、閉鎖壁80(両熱交換器65を含む)と内気用ダクト20の後壁88との相互間には、両分岐路86と内気吹出口38とを連通する下流側の通気路90が形成されている。なお、上流側の通気路77、両分岐路86、及び、下流側の通気路90により、内気用通気路34が構成されている。また、前記ペルチェ素子42は、前記実施の形態2と同様、両熱交換器65に対して各4個ずつ等間隔で配置されている。
【0045】
本実施の形態によると、内気用ファン60の作動により内気導入口54から内気用通気路34の上流側の通気路77に導入された内気を、左右の分岐路86に分岐させることで各熱交換器65に流した後、左右の分岐路86を流れた空気を、内気用ダクト20の内気用通気路34の下流側の通気路90で合流させることができる。したがって、両熱交換器65の通気方向の長さを短くすることができる。
【0046】
[実施の形態4の変更例1]
図18は熱交換装置を示す平断面図である。本変更例は、図18に示すように、前記実施の形態4(図17参照)における両熱交換器65の隣り合うプレートフィン45の相互間の間隔Kを、前側(図18において左側)から後側(図18において右側)に向かって次第に狭くしたものである。このような構造にすることにより、プレートフィン45の相互間に流れる空気の量を均一化することができる。
【0047】
[実施の形態4の変更例2]
図19は熱交換装置を示す平断面図である。本変更例は、図19に示すように、前記実施の形態4(図17参照)における両熱交換器65のプレートフィン45の傾斜角θ4を前側から後側に向かって次第に大きくしたものである。なお、傾斜角θ4は、左右方向に延びる直線92に対するプレートフィン45のなす角度である。
【0048】
[実施の形態4の変更例3]
図20は熱交換装置を示す平断面図である。本変更例は、図20に示すように、前記実施の形態4(図17参照)における両熱交換器65の間の上流側の通気路77に平板状の案内板94を配置したものである。案内板94により、内気導入口78から導入された内気を左右の各熱交換器65へ誘導することができる。このような構造にすることにより、空気が前方のプレートフィン45にも供給され、プレートフィン45全体への空気の流れが平均化される。
【0049】
[実施の形態4の変更例4]
図21は熱交換装置を示す平断面図である。本変更例は、図21に示すように、前記実施の形態4(図17参照)における両熱交換器65の間の上流側の通気路77に、前から後側(図21において左から右側)に向かってテーパ状に広がる二等辺三角形状の案内部材96を配置したものである。案内部材96により、内気導入口78から導入された内気を左右の各熱交換器65へ誘導することができる。このような構造にすることにより、空気が前方のプレートフィン45にも供給され、プレートフィン45全体への空気の流れが平均化される。
【0050】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明の熱交換装置24は、車両用空調装置14に限らず、種々の用途に適用することができる。また、熱交換装置24は、前記実施の形態では、短軸方向を高さ方向としたが、長軸方向を高さ方向としたり、傾斜状に配置したりしてもよく、その配置の向きは限定されない。また、熱供給体は、熱交換器の短軸方向の端面(上面及び/又は下面)に限らず、長軸方向の端面に配置することもできる。また、熱供給体は、熱交換器に対して直接的に連結して配置する他、他部材を介して連結して配置することもできる。また、前記実施の形態では、ダクト内の通気路の短軸及び長軸に直交する方向を通気方向としたが、通気路に対する空気の導入口及び吹出口の設定によっては、通気路の短軸及び長軸に直交する方向に対して斜め方向が通気路の通気方向になる場合も考えられる。また、前記実施の形態におけるペルチェ素子42に流す電流の方向を一方向に特定して、クーラ専用又はヒータ専用とすることもできる。また、熱供給体としては、ペルチェ素子42に限らず、電熱ヒータ、蓄熱材、蓄冷材を用いることができる。また、蓄熱材、蓄冷材は、1枚あるいは複数枚を熱交換器の上面又は下面に対して全面的に接触させるとよい。また、熱供給体は、熱交換器の上下両面に配置することもできる。
【符号の説明】
【0051】
10…車両
12…天井部
14…車両用空調装置
16…外気用ダクト
20…内気用ダクト
24…熱交換装置
28…外気用通気路
34…内気用通気路
40…基準形状の熱交換器
41,41A,41B,53,65,67…熱交換器
42…ペルチェ素子(熱供給体)
58,59,74,86…分岐路
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換装置及び車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の天井部に熱交換装置を備えた車両用空調装置がある(例えば、特許文献1,2参照)。このような車両用空調装置の熱交換装置は、通気方向に対応する通路断面が長軸と短軸を有する扁平状の通気路を有するダクトと、そのダクトの通気路に配置されるフィン型の熱交換器と、その熱交換器に熱的に連結して配置される熱供給体(特許文献1でペルチェ素子、特許文献2で熱電素子が相当する)とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−262580号公報
【特許文献2】特開平2−286596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記車両用空調装置の熱交換装置における熱供給体のCOP(成績係数)を向上するためには、熱供給体で発生した熱(冷熱・排熱)を熱媒体である空気に効率良く伝える必要がある。熱媒体が空気である場合は、熱交換器に大きな伝熱面積が必要になる。しかし、車両の天井部に備える熱交換装置では、設置スペース上の制約から熱交換器の体格(高さ、間口、通気方向の長さ)は限られる。また、冷却側の熱交換器と放熱側の熱交換器との相互間にペルチェ素子を配置してなるペルチェモジュール(特許文献1で吸着材モジュールが相当する)では、熱交換器の体格のうち、特に高さ方向に係る設置スペースの制約が厳しい。このような理由から、熱交換器の高さを抑制することが望まれる。一方、熱交換器の通気方向の長さを長くすることによって伝熱面積を増加することが可能である。しかし、これでは熱交換器の圧損(通風抵抗)の増大を招くことになるため好ましくない。
本発明が解決しようとする課題は、熱交換器の短軸長さを抑制しつつ圧損を低減することのできる熱交換装置及び車両用空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は、特許請求の範囲に記載された構成を要旨とする熱交換装置及び車両用空調装置により解決することができる。
すなわち、請求項1に記載された熱交換装置によると、熱交換器が配置された領域における通路断面の最大長軸長さよりも熱交換器の上流側端長さが長くなるように、ダクトの通気路に熱交換器を配置したものである。したがって、ダクトの通気路に対する配置を工夫することにより、熱交換器の通気方向の長さを短くすることができる。これによって、熱交換器の短軸長さを抑制しつつ圧損を低減することができる。なお、本明細書でいう「通気方向に対応する通路断面」とは、通気方向に対応する通路の延びる方向に直角に交わる断面で切断した場合の通路断面という意味であり、通路の延びる方向に対して通気方向が傾斜している場合には、通気方向に直角に交わる断面で切断した場合の通路断面ではなく、通気方向に対応した通路の延びる方向に直角に交わる断面で切断した場合の通路断面となる。
【0006】
また、請求項2に記載された熱交換装置によると、熱交換器をダクトの通気路の通気方向に対応する通路断面における長軸方向に対して傾斜する傾斜部を有するように配置したことによって、熱交換器の通気方向の長さを短くすることができる。
【0007】
また、請求項3に記載された熱交換装置によると、熱交換器がV字状に形成されている。これにより、熱交換器をI字状に形成した場合と比べて、ダクトの通気路の通気方向に関する熱交換器の長さを短くすることができる。
【0008】
また、請求項4に記載された熱交換装置によると、ダクトに異なる通気方向の複数の分岐路を形成し、複数の分岐路に前記熱交換器をそれぞれ配置したことによって、各熱交換器の通気方向の長さを短くすることができる。
【0009】
また、請求項5に記載された熱交換装置によると、複数の分岐路がダクトの通気路の下流側で合流されている。したがって、複数の分岐路を流れた空気を、ダクトの通気路の下流側で合流させることができる。
【0010】
また、請求項6に記載された車両用空調装置によると、請求項1〜5のいずれか1つに記載の熱交換装置を車両の天井部に備えたものである。したがって、熱交換器の短軸長さを抑制しつつ圧損を低減することのできる熱交換装置を備えた車両用空調装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1にかかる車両用空調装置を示す側断面図である。
【図2】熱交換装置を示す側断面図である。
【図3】熱交換装置を示す平断面図である。
【図4】プレートフィン型の熱交換器を一部破断して示す斜視図である。
【図5】ピンフィン型の熱交換器を一部破断して示す斜視図である。
【図6】ルーバーフィン型の熱交換器を一部破断して示す斜視図である。
【図7】基準形状の熱交換器を備えた熱交換装置を示す側断面図である。
【図8】基準形状の熱交換器を備えた熱交換装置を示す平断面図である。
【図9】実施の形態1の変更例1にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【図10】実施の形態1の変更例2にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【図11】実施の形態1の変更例3にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【図12】実施の形態1の変更例4にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【図13】実施の形態2にかかる熱交換装置を示す側断面図である。
【図14】熱交換装置を示す平断面図である。
【図15】実施の形態3にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【図16】実施の形態4にかかる熱交換装置を示す側断面図である。
【図17】熱交換装置を示す平断面図である。
【図18】実施の形態4の変更例1にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【図19】実施の形態4の変更例2にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【図20】実施の形態4の変更例3にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【図21】実施の形態4の変更例4にかかる熱交換装置を示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0013】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1を説明する。説明の都合上、熱交換装置を備えた車両用空調装置から説明する。図1は車両用空調装置を示す側断面図である。なお、図中、矢印FRは車両前方向を示し、矢印UPは車両上方向を示している。
図1に示すように、車両(本実施の形態では乗用車)10の天井部12に空調装置14が搭載されている。空調装置14は、外気用ダクト16と外気用ファン18と内気用ダクト20と内気用ファン22と熱交換装置24とを備えている。
【0014】
前記外気用ダクト16内には、前記車両10のルーフ26の下面側に形成されている。外気用ダクト16には、車両前後方向(図1において左右方向)を通気方向とする外気用通気路28が形成されている。外気用通気路28は、高さが低く間口(車両左右方向(図1において紙面表裏方向)の幅が相当する)の広い扁平状の通路断面を有している。なお、通路断面の高さは本明細書でいう「長軸」に相当する。また、通路断面の間口は本明細書でいう「短軸」に相当する。
【0015】
また、外気用通気路28の前端開口部(図1において左端開口部)には、ルーフ26の前側部を貫通して車両前方に開口する外気導入口30が形成されている。また、外気用通気路28の後端開口部(図1において右端開口部)には、ルーフ26の後側部を貫通して車両後方に開口する外気排出口32が設けられている。したがって、車両10が走行することにより、外気(空気)が外気導入口30から外気用通気路28に導入され、外気用通気路28を通って外気排出口32から排出される。
【0016】
前記外気用ファン18は、前記外気用通気路28における上流部(図1において左端部)に配置されている。外気用ファン18は、例えば貫流式ファンであって、制御装置(図示省略)によって制御される電動モータによって作動される。車両10の運転中における信号待ち、渋滞中等において、外気用通気路28を流れる外気が不足するときは、外気用ファン18の作動によって外気(空気)を外気導入口30から外気用通気路28に強制的に導入し、外気排出口32から排出することができる。なお、外気用ファン18は、外気用通気路28における上流部に限らず、下流部に配置してもよい。
【0017】
前記内気用ダクト20は、前記外気用ダクト16の下面側に積層状に形成されている。内気用ダクト20内には、車両前後方向(図1において左右方向)を通気方向とする内気用通気路34が形成されている。内気用通気路34は、前記外気用通気路28と同様、通気方向に対応する通路断面が長軸と短軸を有する扁平状を有している。また、内気用通気路34の前端部(図1において左端部)には、下方に向けて開口する内気導入口36が形成されている。また、内気用通気路34の後端部(図1において右端部)には、下方に向けて開口する内気吹出口38が設けられている。なお、内気導入口36は後下方(前席101に着座する乗員の頭部の周辺部)に向けて傾斜されているとともに内気吹出口38は前下方(後席102に着座する乗員の頭部の周辺部)に向けて傾斜されており、内気吹出口38から吹出された内気(空気)が再び内気導入口36に導入されやすくなっている。
【0018】
前記内気用ファン22は、前記内気用通気路34における上流部(図1において左端部)に配置されている。内気用ファン22は、例えば貫流式ファンであって、図示しない制御装置によって制御される電動モータによって作動される。これにより、内気(車室10a内の空気)を内気導入口36から内気用通気路34に導入し、内気吹出口38から車室10a内へ吹出すことができる。なお、本実施の形態では、内気が内気用通気路34を前端側から後端側へ流れるが、内気用ファン22を逆転させることによって、内気を逆流させることもできる。この場合、前記内気吹出口38が内気導入口となり、前記内気導入口36が内気吹出口となる。また、内気用ファンは、内気用通気路34における上流部に限らず、下流部に配置してもよい。
【0019】
前記熱交換装置24は、前記外気用ダクト16と前記内気用ダクト20との重複部分に配置されている。熱交換装置24は、フィン型の上下の熱交換器41と、両熱交換器41の相互間に介装されることにより両熱交換器41に熱的に連結されたペルチェ素子42とを備えている。上側の熱交換器41は、前記外気用通気路28の前後方向の中央部にほぼ密嵌状に配置されている。また、下側の熱交換器41は、前記内気用通気路34の前後方向の中央部にほぼ密嵌状に配置されている。また、熱交換器41は、例えば、アルミニウム、銅等の熱伝導性の良い金属材料により形成されている。なお、上下の熱交換器41には、本実施の形態では同一構成のものが採用されている。また、上下の熱交換器41とペルチェ素子42とにより、「ペルチェモジュール」が構成されている。
【0020】
前記熱交換器41には、本実施の形態では、プレートフィン型の熱交換器41が採用されている。図4はプレートフィン型の熱交換器を一部破断して示す斜視図である。
図4に示すように、プレートフィン型の熱交換器41は、上下の基板部44の相互間に多数枚のプレートフィン45を幅方向に平行状に配列したものである。両基板部44間における隣り合うプレートフィン45の間が通気路となっている。
【0021】
なお、プレートフィン型の熱交換器41に代えて、ピンフィン型の熱交換器、ルーバーフィン型の熱交換器を採用することもできる。図5はピンフィン型の熱交換器を一部破断して示す斜視図、図6はルーバーフィン型の熱交換器を一部破断して示す斜視図である。
図5に示すように、ピンフィン型の熱交換器41Aは、上下の基板部44Aの相互間に多数本のピンフィン45Aを縦横に所定の間隔で配列したものである。両基板部44A間における隣り合うピンフィン45Aの間が通気路となっている。
また、図6に示すように、ルーバーフィン型の熱交換器41Bは、前記プレートフィン型の熱交換器41(図4参照)におけるプレートフィン45に切り起こし状のルーバー45aを形成したものである。プレートフィン45のルーバー45aが、そのルーバー45aの切り起こしによる孔45bに空気を通すように案内する。
【0022】
前記ペルチェ素子42(図1参照)は、四角形板状に形成されており、その板厚方向の板面(上面及び下面)が吸熱面及び放熱面としてそれぞれ機能する。ペルチェ素子42は、ペルチェ効果を利用した熱電素子である。すなわち、ペルチェ素子42は、2種の金属板の相互間にP型半導体とN型半導体とを多数配置するとともに、一方の金属板によってN−P接合を構成し、かつ他方の金属板によってP−N接合を構成した素子であって、PN接合部分に電流を流すことにより熱移動が起こり、一方の金属板で吸熱現象が生じ、他方の金属板で放熱現象(発熱現象)が生じるものである。また、ペルチェ素子42に対する電流は、前記制御装置によって制御される。なお、ペルチェ素子42は、本明細書でいう「熱供給体」に相当する。また、ペルチェ素子42は、両熱交換器41の対向する基板部44(図4参照)の相互間に積層状にかつ密着状に配置されている。このため、両熱交換器41の相反する側に位置する基板部44(下側の熱交換器41の下側の基板部44、及び/又は、上側の熱交換器41の上側の基板部44)は省略してもよい。
【0023】
図1に示すように、前記外気用ダクト16と前記内気用ダクト20との間、及び、外気用ダクト16と前記ルーフ26との間、内気用ダクト20の下面には、断熱性を有する断熱材47が設けられている。
【0024】
前記空調装置14(図1参照)において、車両10の車室10a内を冷房する場合には、ペルチェ素子42の下面を吸熱面とし、その上面を放熱面とするように、制御装置によってペルチェ素子42に電流が流される。これにより、下側の熱交換器41の熱が上側の熱交換器41に移動される結果、下側の熱交換器41が冷却される。これとともに、外気用ファン18の作動、及び/又は、車両10の走行により、外気が外気用ダクト16の外気用通気路28を通る。また、内気用ファン22の作動により、内気が内気用ダクト20の内気用通気路34を通る。したがって、内気導入口36から内気用通気路34に導入された内気が下側の熱交換器41を通ることにより冷却された後、内気吹出口38から車室10a内へ吹出される。また、外気導入口30から外気用通気路28に導入された外気が上側の熱交換器41の通ることにより、上側の熱交換器41の熱が外気と共に外気排出口32から排出される。なお、車室10a内を暖房する場合には、前記制御装置によって、ペルチェ素子42に対する電流の方向を逆転し、ペルチェ素子42の上下面における吸熱面と放熱面とを逆転させればよい。
【0025】
次に、前記熱交換器41の基準形状について説明する。図7は基準形状の熱交換器を備えた熱交換装置を示す側断面図、図8は同じく平断面図である。
図7及び図8に示すように、基準形状の熱交換器(符号、40を付す)は扁平状をなす横長四角状に形成されている。熱交換器40は、熱交換器40に要求される性能に応じた基準高さ40H(図7参照)、基準間口40W及び通気方向の基準長さ40L(図8参照)を有している。また、本実施の形態では、前記ペルチェモジュールに8個のペルチェ素子42が用いられており、熱交換器40の上面に対して、間口方向(図8において上下方向)に等間隔でかつ交互に前後に振り分けた状態で配置されている。
【0026】
次に、本実施の形態にかかる熱交換装置24について説明する。図2は熱交換装置を示す側断面図、図3は同じく平断面図である。なお、前記ペルチェモジュールの上下の熱交換器41は実質的に同一形状をなしているため、下側の熱交換器41について説明し、上側の熱交換器41についての説明は省略する。
図3に示すように、本実施の形態にかかる熱交換装置24は、熱交換器41が平面視でV字状に形成されている。詳しくは、熱交換器41を左右二つの分割体50で構成し、両分割体50を内気用ダクト20の通気方向(前後方向)に対して、所定の傾斜角θ1をもって斜めにかつ左右対称状に配置したものである。傾斜角θ1は、例えば45°である。
【0027】
したがって、直角二等辺三角形における直角をなす2辺を「1」とした場合、斜辺の長さが「√2」であることから分かるように、間口方向の寸法S1及び通気方向の寸法S2に対して分割体50の間口Wを基準間口40W(図8参照)の1/2よりも広げることができる。このため、フィンの面積を基準形状と同じとした場合、その分割体50の間口Wの広がった分に応じて、分割体50の通気方向の長さLを前記基準長さ40L(図8参照)よりも短くすることができる。すなわち、分割体50の通気方向の長さLを前記基準長さ40L(図8参照)の1/√2(=0.87)程度に短くすることができる。また、熱交換器41の高さH(図2参照)は、前記基準高さ40H(図7参照)と同じである。また、本実施の形態の場合、前記ペルチェ素子42は、熱交換器41の分割体50に対して各4個ずつ等間隔で配置されている(図3参照)。
【0028】
前記した熱交換装置24によると、熱交換器41が配置された領域における通路断面の最大長軸長さよりも熱交換器41の上流側端長さの合計が長くなるように、内気用ダクト20の内気用通気路34に熱交換器41の両分割体50を配置したものである。なお、熱交換器41が配置された領域とは、内気用ダクト20内で熱交換器41(両分割体50)が配置された領域が相当する。また、通路断面の最大長軸長さとは、内気用ダクト20の間口方向の長さ(通気方向に間口が変化する場合では前記領域における最大長さ)が相当する。また、熱交換器41の上流側端長さとは、両分割体50において上流側に位置する面における長軸方向の長さの合計が相当する。
【0029】
したがって、内気用ダクト20の内気用通気路34に対する配置を工夫することにより、熱交換器41の両分割体50の通気方向の長さL(図3参照)を前記基準長さ40Lよりも短くすることができる。これによって、熱交換器41の両分割体50の短軸長さとしての高さH(本実施の形態では前記基準高さ40Hと同じ)を抑制しつつ圧損を低減することができる。
【0030】
また、熱交換器41の両分割体50を内気用ダクト20の内気用通気路34の通気方向に対応する通路断面における長軸方向としての間口に対して傾斜する傾斜部を有するように配置したことによって、熱交換器41の両分割体50の通気方向の長さL(図3参照)を前記基準長さ40L(図8参照)よりも短くすることができる。
【0031】
また、熱交換器41がV字状に形成されている(図3参照)。これにより、熱交換器41をI字状に形成した場合(図12参照)と比べて、内気用ダクト20の内気用通気路34の通気方向に関する熱交換器41の長さ(前後方向(図2及び図3において左右方向)の長さ)を短くすることができる。
【0032】
また、前記した車両用空調装置14(図1参照)によると、熱交換器41の短軸長さとしての高さHを抑制しつつ圧損を低減することのできる熱交換装置24を備えた車両用空調装置14を提供することができる。
【0033】
[実施の形態1の変更例1]
図9は熱交換装置を示す平断面図である。本変更例は、図9に示すように、前記実施の形態1(図3参照)における熱交換器41の両分割体50の隣り合うプレートフィン45の相互間の間隔Kを、前側(図9において左側)から後側(図9において右側)に向かって次第に狭くしたものである。このような構造にすることにより、プレートフィン45の相互間に流れる空気の量を均一化することができる。
【0034】
[実施の形態1の変更例2]
図10は熱交換装置を示す平断面図である。本変更例は、図10に示すように、前記実施の形態1(図3参照)における熱交換器41の両分割体50のプレートフィン45の傾斜角θ2を前側から後側に向かって次第に小さくしたものである。なお、傾斜角θ2は、前後方向に延びる直線52に対するプレートフィン45のなす角度である。
このような構造にすることにより、プレートフィン45の面積が増えるため、さらに熱交換器41の両分割体50の通気方向の長さを短くすることができる。
【0035】
[実施の形態1の変更例3]
図11は熱交換装置を示す平断面図である。本変更例は、図11に示すように、前記実施の形態1(図3参照)における熱交換器41の両分割体50をその傾斜方向を同一方向に向けて並行状に配置したものである。
【0036】
[実施の形態1の変更例4]
図12は熱交換装置を示す平断面図である。本変更例は、図12に示すように、前記実施の形態1(図3参照)における熱交換器41を分割せずに平面視でI字状に形成した熱交換器(符号、53を付す)であり、熱交換器53を内気用ダクト20の通気方向(前後方向)に対して所定の傾斜角θ3をもって斜めに配置したものである。傾斜角θ3は、例えば45°である。
【0037】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2を説明する。本実施の形態は、前記実施の形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。図13は熱交換装置を示す側断面図、図14は同じく平断面図である。
本実施の形態は、図13及び図14に示すように、前記内気用ダクト20の下面中央部に、下方に向けて開口する方形状の内気導入口54が設けられている。また、内気用ダクト20の前端部に、下方に向けて開口する前側の内気吹出口56が設けられている。また、内気用ダクト20の後端部に、下方に向けて開口する後側の内気吹出口57が設けられている。なお、図13に示すように、内気導入口54の前半部は前下方に向けて傾斜されているとともに前側の内気吹出口56は後下方に向けて傾斜されており、前側の内気吹出口56から吹出された内気が再び内気導入口54に導入されやすくなっている。また、内気導入口54の後半部は後下方に向けて傾斜されているとともに後側の内気吹出口57は前下方に向けて傾斜されており、後側の内気吹出口57から吹出された内気が再び内気導入口54に導入されやすくなっている。
【0038】
本実施の形態では、前記内気用ダクト20の内気用通気路34における内気導入口54上に内気用ファン60が配置されている。内気用ファン60は、例えばシロッコファンであって、図示しない制御装置によって制御される電動モータによって作動される。このため、内気用ファン60の作動により内気導入口54から導入された内気は、内気用通気路34の前半の分岐路58及び後半の分岐路59の二方向に分岐して流れる。なお、分岐路58,58は、本明細書でいう「異なる通気方向の複数の分岐路」に相当する。また、内気用ダクト20において、内気が前方へ流れる前半の分岐路58を形成する部分を前側の分岐路形成部62といい、内気が後方へ流れる後半の分岐路59を形成する部分を後側の分岐路形成部63という。また、本実施の形態においては、前記実施の形態1(図2及び図3参照)における内気用ファン22は省略されている。なお、本実施の形態においても、内気用ファン60を逆転させることによって、内気を逆流させることもできる。
【0039】
図14に示すように、前記熱交換装置24の熱交換器(符号、65を付す)は、前記両分岐路形成部62,63の分岐路58,59に対してそれぞれ配置されている。したがって、前後二つの熱交換器65の間口Wの合計を前記基準間口40W(図8参照)の2倍に広げることができる。このため、両熱交換器65の間口Wの広がった分に応じて、両熱交換器65の通気方向の長さL1を前記前記基準長さ40L(図8参照)の1/2に短くすることができる。また、熱交換器65の高さH(図13参照)は、前記実施の形態1における熱交換器41の両分割体50の高さH(図2参照)と同じである。また、前記ペルチェ素子42は、両熱交換器65に対して各4個ずつ等間隔で配置されている。
【0040】
本実施の形態の熱交換装置24によると、内気用ダクト20に異なる通気方向の2つの分岐路58,59を形成し、2つの分岐路58,59に熱交換器65をそれぞれ配置したことによって、各熱交換器65の通気方向の長さを短くすることができる。
【0041】
[実施の形態3]
本発明の実施の形態3を説明する。本実施の形態は、前記実施の形態2に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。図15は熱交換装置を示す平断面図である。
本実施の形態は、図15に示すように、前記内気用ダクト20の左右両側部に前記前後の分岐路形成部62,63と同様、内気吹出口72及び分岐路74を有する左右の両分岐路形成部70を左右対称状に連通したものである。このため、内気用ファン60の作動により内気導入口54から導入された内気は、前側の分岐路58、後側の分岐路59及び左右の両分岐路74の四方向に分岐して流れる。なお、分岐路58,58,74は、本明細書でいう「異なる通気方向の複数の分岐路」に相当する。
【0042】
前記熱交換器(符号、67を付す)は、前記前後左右の計四つの分岐路58,59,74に対してそれぞれ配置されている。したがって、四つの熱交換器67の間口Wの合計を前記基準間口40W(図8参照)の4倍に広げることができる。このため、四つの熱交換器67の間口Wの広がった分に応じて、四つの熱交換器67の通気方向の長さL2を前記前記基準長さ40L(図8参照)の1/4に短くすることができる。また、熱交換器67の高さは、前記実施の形態1における熱交換器41の高さH(図2参照)と同じである。また、前記ペルチェ素子42は、四つの熱交換器67に対して各2個ずつ等間隔で配置されている。
【0043】
[実施の形態4]
本発明の実施の形態4を説明する。本実施の形態は、前記実施の形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。図16は熱交換装置を示す側断面図、図17は同じく平断面図である。
本実施の形態は、図17に示すように、前記実施の形態1における内気用ダクト20(図2参照)の内気用通気路34に、前記実施の形態2における前後二つの熱交換器65(図14参照)をその間口を左右方向(図17において左右方向)に向けた状態で左右(図17において上下)に所定の間隔を隔てて並行状に配置したものである。内気用ダクト20の前壁76には、両熱交換器65の前端面が当接されている。両熱交換器65の相互間の上流側の通気路(符号、77を付す)に連通するように内気導入口(符号、78を付す)が形成されている。それにともない、内気用ファン22の横幅(図17において縦幅)が短縮されている。
【0044】
前記両熱交換器65の相互間の後方開端面は、閉鎖壁80によって閉鎖されている。また、内気用ダクト20の右側壁82と右側(図17において上側)に配置された熱交換器65との間、及び、内気用ダクト20の左側壁84と左側(図17において下側)に配置された熱交換器65との相互間には、左右の分岐路86が形成されている。なお、各分岐路86を形成するダクト部分を分岐路形成部87という。また、閉鎖壁80(両熱交換器65を含む)と内気用ダクト20の後壁88との相互間には、両分岐路86と内気吹出口38とを連通する下流側の通気路90が形成されている。なお、上流側の通気路77、両分岐路86、及び、下流側の通気路90により、内気用通気路34が構成されている。また、前記ペルチェ素子42は、前記実施の形態2と同様、両熱交換器65に対して各4個ずつ等間隔で配置されている。
【0045】
本実施の形態によると、内気用ファン60の作動により内気導入口54から内気用通気路34の上流側の通気路77に導入された内気を、左右の分岐路86に分岐させることで各熱交換器65に流した後、左右の分岐路86を流れた空気を、内気用ダクト20の内気用通気路34の下流側の通気路90で合流させることができる。したがって、両熱交換器65の通気方向の長さを短くすることができる。
【0046】
[実施の形態4の変更例1]
図18は熱交換装置を示す平断面図である。本変更例は、図18に示すように、前記実施の形態4(図17参照)における両熱交換器65の隣り合うプレートフィン45の相互間の間隔Kを、前側(図18において左側)から後側(図18において右側)に向かって次第に狭くしたものである。このような構造にすることにより、プレートフィン45の相互間に流れる空気の量を均一化することができる。
【0047】
[実施の形態4の変更例2]
図19は熱交換装置を示す平断面図である。本変更例は、図19に示すように、前記実施の形態4(図17参照)における両熱交換器65のプレートフィン45の傾斜角θ4を前側から後側に向かって次第に大きくしたものである。なお、傾斜角θ4は、左右方向に延びる直線92に対するプレートフィン45のなす角度である。
【0048】
[実施の形態4の変更例3]
図20は熱交換装置を示す平断面図である。本変更例は、図20に示すように、前記実施の形態4(図17参照)における両熱交換器65の間の上流側の通気路77に平板状の案内板94を配置したものである。案内板94により、内気導入口78から導入された内気を左右の各熱交換器65へ誘導することができる。このような構造にすることにより、空気が前方のプレートフィン45にも供給され、プレートフィン45全体への空気の流れが平均化される。
【0049】
[実施の形態4の変更例4]
図21は熱交換装置を示す平断面図である。本変更例は、図21に示すように、前記実施の形態4(図17参照)における両熱交換器65の間の上流側の通気路77に、前から後側(図21において左から右側)に向かってテーパ状に広がる二等辺三角形状の案内部材96を配置したものである。案内部材96により、内気導入口78から導入された内気を左右の各熱交換器65へ誘導することができる。このような構造にすることにより、空気が前方のプレートフィン45にも供給され、プレートフィン45全体への空気の流れが平均化される。
【0050】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明の熱交換装置24は、車両用空調装置14に限らず、種々の用途に適用することができる。また、熱交換装置24は、前記実施の形態では、短軸方向を高さ方向としたが、長軸方向を高さ方向としたり、傾斜状に配置したりしてもよく、その配置の向きは限定されない。また、熱供給体は、熱交換器の短軸方向の端面(上面及び/又は下面)に限らず、長軸方向の端面に配置することもできる。また、熱供給体は、熱交換器に対して直接的に連結して配置する他、他部材を介して連結して配置することもできる。また、前記実施の形態では、ダクト内の通気路の短軸及び長軸に直交する方向を通気方向としたが、通気路に対する空気の導入口及び吹出口の設定によっては、通気路の短軸及び長軸に直交する方向に対して斜め方向が通気路の通気方向になる場合も考えられる。また、前記実施の形態におけるペルチェ素子42に流す電流の方向を一方向に特定して、クーラ専用又はヒータ専用とすることもできる。また、熱供給体としては、ペルチェ素子42に限らず、電熱ヒータ、蓄熱材、蓄冷材を用いることができる。また、蓄熱材、蓄冷材は、1枚あるいは複数枚を熱交換器の上面又は下面に対して全面的に接触させるとよい。また、熱供給体は、熱交換器の上下両面に配置することもできる。
【符号の説明】
【0051】
10…車両
12…天井部
14…車両用空調装置
16…外気用ダクト
20…内気用ダクト
24…熱交換装置
28…外気用通気路
34…内気用通気路
40…基準形状の熱交換器
41,41A,41B,53,65,67…熱交換器
42…ペルチェ素子(熱供給体)
58,59,74,86…分岐路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気方向に対応する通路断面が長軸と短軸を有する扁平状の通気路を有するダクトと、
前記ダクトの通気路に配置されるフィン型の熱交換器と、
前記熱交換器に熱的に連結して配置される熱供給体と
を備える熱交換装置であって、
前記熱交換器が配置された領域における前記通路断面の最大長軸長さよりも前記熱交換器の上流側端長さが長くなるように、前記ダクトの通気路に前記熱交換器を配置したことを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換装置であって、
前記熱交換器を前記ダクトの通気路の通気方向に対応する通路断面における長軸方向に対して傾斜する傾斜部を有するように配置したことを特徴とする熱交換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の熱交換装置であって、
前記熱交換器がV字状に形成されていることを特徴とする熱交換装置。
【請求項4】
請求項1に記載の熱交換装置であって、
前記ダクトに異なる通気方向の複数の分岐路を形成し、前記複数の分岐路に前記熱交換器をそれぞれ配置したことを特徴とする熱交換装置。
【請求項5】
請求項4に記載の熱交換装置であって、
前記複数の分岐路が前記ダクトの通気路の下流側で合流されていることを特徴とする熱交換装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の熱交換装置を車両の天井部に備えたことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項1】
通気方向に対応する通路断面が長軸と短軸を有する扁平状の通気路を有するダクトと、
前記ダクトの通気路に配置されるフィン型の熱交換器と、
前記熱交換器に熱的に連結して配置される熱供給体と
を備える熱交換装置であって、
前記熱交換器が配置された領域における前記通路断面の最大長軸長さよりも前記熱交換器の上流側端長さが長くなるように、前記ダクトの通気路に前記熱交換器を配置したことを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換装置であって、
前記熱交換器を前記ダクトの通気路の通気方向に対応する通路断面における長軸方向に対して傾斜する傾斜部を有するように配置したことを特徴とする熱交換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の熱交換装置であって、
前記熱交換器がV字状に形成されていることを特徴とする熱交換装置。
【請求項4】
請求項1に記載の熱交換装置であって、
前記ダクトに異なる通気方向の複数の分岐路を形成し、前記複数の分岐路に前記熱交換器をそれぞれ配置したことを特徴とする熱交換装置。
【請求項5】
請求項4に記載の熱交換装置であって、
前記複数の分岐路が前記ダクトの通気路の下流側で合流されていることを特徴とする熱交換装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の熱交換装置を車両の天井部に備えたことを特徴とする車両用空調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−195066(P2011−195066A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65374(P2010−65374)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
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