説明

熱可塑性エラストマーと増量剤オイルとを含むセルフシーリング性で且つ気密性の層を備えた空気式物品

本発明は、少なくとも、主要エラストマーとしての熱可塑性ポリスチレン/ポリイソブチレンブロックコポリマー、例えば、スチレン/イソブチレン/スチレン(SIBS)コポリマーと、少なくとも100phrの増量剤オイルとを含むエラストマー層を備えたインフレータブル物品に関する。好ましくは、このコポリマーは5質量%と50質量%の間の量のスチレンを含み、その数平均分子量は30000g/モルと500000g/モルの間であり、そのTgは−20℃よりも低い。上記増量剤オイルは、好ましくは、ポリブチレン(PIB)オイルのようなポリブテンオイルである。
このエラストマー層は、セルフシーリング(パンク防止)層の役割のみならず、不透過層の役割も、さらになお、ブチルゴムをベースとする通常の層と比較して低下したヒステリシスと合せて満たすことが可能である。本発明のインフレータブル物品は、特に、自動車用の内部チューブまたは空気式タイヤである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インフレータブル(inflatable)物品、即ち、定義によれば、該物品を空気または等価の膨張ガスによって膨張させたときにその使用可能な形状をとる物品に関する。
さらに詳細には、本発明は、一方では、インフレータブル物品、特に、空気式タイヤにおけるパンク防止層として使用するセルフシーリング組成物に、他方では、そのようなインフレータブル物品において不透過性を付与する気密層または組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
空気式タイヤにおけるパンク防止層として使用し得るセルフシーリング(self-sealing)組成物は、周知である。定義によれば、これらの組成物は、クギのような異物によってパンクした場合の空気式タイヤを、自動的に、即ち、何らの外的介入なしでシーリングすることができるが、開発することは特に困難であった。事実、セルフシーリング層は、物理的および化学的性質の多くの条件を満たさなければならず、極めて広い操作温度範囲に亘って、また、空気式タイヤの寿命全体に亘って有用でなければならない。セルフシーリング層は、穿刺物体がその場に残存している場合にその孔を塞ぎ得なければならず、穿刺物体が除かれている場合は、セルフシーリング層は、特に冬季条件下においては、その孔を充たしてタイヤを密封し得なければならない。現在まで空気式タイヤにおいて使用されているセルフシーリング組成物は、本質的にブチルゴム (イソブチレンとイソプレンとのコポリマー)をベースとする。
【0003】
一方、“チューブレス”タイプ(即ち、内部チューブを含まないタイプ)の通常の空気式タイヤにおいては、その放射状内面は、気密層(または、より一般的には、あらゆる膨張ガスに対して不透過性である層)を含み、この気密層は、空気式タイヤを膨張させ、加圧下に保つことを可能にすることを思い起こされたい。その不透過特性は、比較的低い圧力低下速度を確保することを可能にし、膨張したタイヤを、通常の操作状況においては、十分な時間、通常数週間または数ヶ月間保つことを可能にしている。また、気密層は、カーカス補強材をタイヤの内部空間から発する空気の拡散から保護する役割も有する。気密内部層即ち“内部ライナー”のこの役割は、現在のところ、この場合もブチルゴムをベースとする組成物によって満たされており、長い間、その優れた不透過特性についてはよく知られている。
【0004】
しかしながら、ブチルゴムをベースとする組成物の1つの周知の欠点は、ブチルゴムが大きなヒステリシスの損失を被ることであり、さらに広い温度範囲に亘って、この欠点は、空気式タイヤの転がり抵抗性を悪化させる。
空気式タイヤにおける気密内部層のヒステリシスおよびセルフシーリング層のヒステリシスの双方を、従って、最終的には自動車の燃費を低下させることは、最近の技術が多くの場合に直面する空気式タイヤ製造業者等の不変の目的である。
【0005】
特許出願WO 2008/080557号は、 空気式タイヤにおける、ブチルゴムを完全に欠き、従って、ヒステリシスを低下させるとい上記目的を既に部分的に満たしているセルフシーリング層の使用を提案している。このセルフシーリング層は、主要エラストマーとしての熱可塑性スチレンエラストマーと、200phrと700phrの間の特に高含有量の増量剤オイルとを含むという特徴を有し、上記TPSエラストマーは、特に、SEBSコポリマー、SEPSコポリマーおよびこれらのコポリマーのブレンドからなる群から選ばれる。
この出願においては、上記セルフシーリング層を気密第2層と組合せて、特に有効な気密性でパンク防止性の二層ラミネートを形成させている。しかしながら、上記気密層は、依然としてブチルゴムをベースとしており、従って、比較的ヒステリシス性である。
【発明の概要】
【0006】
研究の後、本出願人等は、特定の熱可塑性エラストマーをベースとし、ブチルゴムの存在を必要としない単一層が、予期に反して、一方のセルフシーリング性と他方の膨張ガスに対する不透過性の上記2つの役割を効率的に満たすのを可能にすることを見出した。
【0007】
従って、第1の主題によれば、本発明は、膨張ガスに対して不透過性のセルフシーリングエラストマー層を備え、該エラストマー層が、少なくとも、主要エラストマー層としての少なくとも熱可塑性ポリスチレン/ポリイソブチレンブロックコポリマーと、少なくとも100phrの増量剤オイルとを含むことを特徴とするインフレータブル物品に関する。
本発明は、特に、空気式タイヤのようなゴムから製造されたインフレータブル物品、または内部チューブ、特に、空気式タイヤ用の内部チューブに関する。
【0008】
本発明は、さらに詳細には、乗用車タイプ、SUV (スポーツ用多目的車)タイプの自動車;二輪車(特にオートバイ);航空機;バン類、重量車両(即ち、地下鉄列車、バス、トラック、けん引車両、トレーラーのような道路輸送車両、または農業用車両もしくは土木工事車両のような道路外車両)のような産業用車両;および、他の輸送または操作用車両に装着することを意図する空気式タイヤに関する。
また、本発明は、熱可塑性ポリスチレン/ポリイソブチレンブロックコポリマーと少なくとも100phrの増量剤オイルとの、インフレータブル物品における膨張ガスに対して不透過性のセルフシーリング組成物としての使用に関する。
本発明およびその利点は、以下の説明および典型的な実施態様に照らして、さらにまた、本発明に従う空気式タイヤを半径断面において略図的に示しているこれらの実施例に関連する単一の図面から容易に理解し得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に従う空気式タイヤを半径断面において略図的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
I. 本発明の詳細な説明
本説明においては、特に断らない限り、示すパーセント(%)は、全て質量%である。
さらにまた、“aとbの間”なる表現によって示される値の範囲は、いずれも、aよりも大きくからbよりも小さいまでの範囲にある値の領域を示し(即ち、限界値aとbを除く)、一方、“a〜b”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、aからbまでの範囲である値の領域を意味する(即ち、厳格な限定値aおよびbを含む)。
【0011】
I‐1. セルフシーリング性の気密エラストマー層
本発明に従うインフレータブル物品は、熱可塑性タイプのエラストマー組成物(または“ゴム”、2つの用語は、知られている通りに、同義であるとみなす)から形成される膨張ガスに対して不透過性のセルフシーリング層を備えているという主要な特徴を有する;上記の層または組成物は、少なくとも、主要エラストマーとしての熱可塑性ポリスチレン/ポリイソブチレンブロックコポリマーと、少なくとも100phrの質量含有量の増量剤オイルとを含む。これらの成分を、以下で詳細に説明する。
【0012】
I‐1‐A. ポリスチレン/ポリイソブチレンブロックコポリマー
先ずは第1に、熱可塑性スチレン(“TPS”と略記する)エラストマーは、スチレン系ブロックコポリマーの形にある熱可塑性エラストマーであることを思い起されたい。熱可塑性ポリマーとエラストマーの中間の構造を有することにより、TPSエラストマーは、知られている通り、可撓性のエラストマーブロック、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(エチレン/ブチレン)ブロックが結合した硬質ポリスチレンブロックからなる。上TPSエラストマーは、多くの場合、1つの可撓性セグメントが結合した2つの硬質セグメントを有するトリブロックエラストマーである。硬質および可撓性セグメントは、線状、星型または枝分れ構造であり得る。また、これらのTPSエラストマーは、1つの軟質セグメントに結合した1つの単一硬質セグメントを有するジブロックエラストマーでもあり得る。典型的には、これらのセグメントまたはブロックの各々は、少なくとも5個よりも多い、一般的には10個よりも多い基本単位(例えば、スチレン/イソプレン/スチレンブロックコポリマーにおけるスチレン単位とイソプレン単位)を有する。
【0013】
“ポリスチレンおよびポリイソブチレンブロックコポリマー”なる用語は、本出願においては、少なくとも1個のポリスチレンブロック(即ち、1個以上のポリスチレンブロック)と少なくとも1個のポリイソブチレンブロック(即ち、1個以上のポリイソブチレンブロック)を含み、これらのブロックと、他の飽和または不飽和ブロック(例えば、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンブロック)および/または他のモノマー単位(例えば、ジエン単位のような不飽和単位)が結合していても結合していなくてもよい任意の熱可塑性スチレンコポリマーを意味するものと理解すべきであることを思い起こされたい。
【0014】
この特定のポリスチレンおよびポリイソブチレンブロックコポリマーは、本出願においては“TPSコポリマー”とも称し、特に、スチレン/イソブチレン (“SIB”と略記する)ジブロックコポリマー、スチレン/イソブチレン/スチレン (“SIBS”と略記する)トリブロックコポリマー、およびこれらの、定義によれば、完全に飽和のSIBコポリマーとSIBSコポリマーの混合物からなる群から選ばれる。また、本発明は、上記ポリイソブチレンブロックが、上記コポリマーにおいて、1個以上の不飽和単位、特に、1個以上のジエン単位、例えば、必要に応じてハロゲン化されているイソプレン単位によって遮断されていてよい場合にも該当する。
上記TPS、特に、SIBまたはSIBSコポリマーの使用は、ブチルゴムをベースとする通常の層と比較して、上記セルフシーリング性の気密層に優れた不透過特性を付与すると共にヒステリシスを有意に低下させることが観察された。
【0015】
本発明の1つの好ましい実施態様によれば、上記TPSコポリマー中のスチレン質量含有量は、5%と50%の間である。上記の最低値よりも低いと、上記エラストマーの熱可塑特性が実質的に低下するリスクに至り、一方、推奨される最高値よりも高いと、上記気密層の弾力性が悪影響を受け得る。これらの理由により、スチレン含有量は、より好ましくは10%と40%の間、特に15%と35%の間である。用語“スチレン”は、本説明においては、非置換または置換スチレンをベースとする任意のモノマーを意味するものと理解すべきである;置換スチレンのうちでは、例えば、メチルスチレン(例えば、α‐メチルスチレン、β‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、tert‐ブチルスチレン)、クロロスチレン(例えば、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン)を挙げることができる。
【0016】
上記TPSコポリマーのガラス転移温度(Tg、ASTM D3418に従って測定)は、−20℃よりも低く、特に、−40℃よりも低いことが好ましい。これらの最低温度よりも高いTg値は、極めて低温で使用するときのセルフシーリング性気密層の性能を低下させ得る;そのような使用においては、TPSコポリマーのTgは、さらにより好ましくは、−50℃よりも低い。
【0017】
上記TPSコポリマーの数平均分子量(Mnで示す)は、好ましくは30000g/モルと500000g/モルの間、より好ましくは40000g/モルと400000g/モルの間である。上記の最低値よりも低いと、エラストマー鎖間の凝集が、特にその必要に応じての増量剤オイルによる希釈故に、悪影響を受けるリスクに至る;さらにまた、高すぎる分子量は、気密層の可撓性に関して有害であり得る。従って、50000〜300000g/モルの範囲内にある値が、特に空気式タイヤにおける上記組成物の使用において、特に適していることを観察している。
【0018】
上記TPSコポリマーの数平均分子量(Mn)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により、既知の方法で測定する。試験標本を、先ず、約1g/lの濃度でテトラヒドロフラン中に溶解する;その後、溶液を、0.45μmの有孔度を有するフィルター上で、注入前に濾過する。使用する装置は、WATERS Allianceクロマトグラフである。溶出溶媒はテトラヒドロフランであり、流量は0.7ml/分であり、系の温度は35℃であり、分析時間は90分である。商品名STYRAGEL (HMW7、HMW6Eおよび2本のHT6E)を有する直列の4本のWATERSカラムセットを使用する。ポリマー試験標本溶液の注入容量は、100μlである。検出器は、WATERS 2410示差屈折計であり、クロマトグラフデータを処理するその関連ソフトウェアは、WATERS MILLENNIUMシステムである。算出した平均分子量を、ポリスチレン標準によって得られた較正曲線と対比する。
【0019】
上記TPSコポリマーの多分散性指数Ip (注:Ip = Mw/Mn;Mwは、質量平均分子量である)は、好ましくは3よりも低く、より好ましくは、Ipは2よりも低い。
【0020】
上記TPSコポリマーと、該コポリマーと一緒の推奨最低含有量の増量剤オイルとは、それら自体で、上記セルフシーリング性の気密エラストマー層を構成し得、或いは、これらのコポリマーと増粘剤オイルは、上記エラストマー組成物中で、上記TPSコポリマーに対して少量の他のエラストマーと組合せてもよい。
可能性のある他のエラストマーを上記組成物において使用する場合、上記TPSコポリマーは、質量での主要エラストマーを構成する。その含有量は、その場合、好ましくは70phrよりも多く、特に80〜100phrの範囲内である(注釈として、“phr”は、エラストマーまたはゴム全体、即ち、気密層を形成する組成物中に存在するエラストマー全体の100質量部当りの質量部を意味する)。そのようなさらなるエラストマーは、質量での少量成分であり、例えば、そのミクロ構造の適合性の限界内の天然ゴムもしくは合成ポリイソプレン、ブチルゴム、またはスチレンエラストマー以外の熱可塑性エラストマーのようなジエンエラストマーであり得る。
【0021】
また、質量で少量のそのようなさらなるエラストマーは、不飽和タイプであるか或いは飽和タイプであり得る他の熱可塑性スチレンエラストマーであり得る (即ち、これらのエラストマーは、知られているように、エチレン系不飽和基または炭素‐炭素二重結合を有し得るまたは有し得ない)。
【0022】
不飽和TPSエラストマーの例としては、例えば、スチレンブロックとジエンブロックを有するエラストマー、特に、スチレン/ブタジエン(SB)、スチレン/イソプレン(SI)、スチレン/ブタジエン/ブチレン(SBB)、スチレン/ブタジエン/イソプレン(SBI)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/ブタジエン/ブチレン/スチレン(SBBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)およびスチレン/ブタジエン/イソプレン/スチレン(SBIS)の各ブロックコポリマー並びにこれらのコポリマーのブレンドからなる群から選ばれるエラストマーを挙げることができる。
【0023】
飽和TPSエラストマーの例としては、例えば、スチレン/エチレン/ブチレン(SEB)、スチレン/エチレン/プロピレン(SEP)、スチレン/エチレン/エチレン/プロピレン(SEEP)、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン(SEBS)、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレン(SEPS)およびスチレン/エチレン/エチレン/プロピレン/スチレン(SEEPS)の各ブロックコポリマー並びにこれらのコポリマーのブレンドからなる群から選ばれるエラストマーを挙げることができる。
【0024】
しかしながら、1つの特に好ましい実施態様によれば、上記セルフシーリング性の気密層は、そのようなさらなるエラストマーを含有しない。換言すれば、上記のTPSコポリマー、特に、上記のSIBまたはSIBSは、単独の熱可塑性エラストマー、より一般的には、上記気密層のエラストマー組成物中に存在する単独のエラストマーである。
【0025】
ポリスチレン/ポリイソブチレンブロックコポリマーは、商業的に入手可能であり、例えば、ビーズまたは顆粒の形で入手し得る原材料から出発して、押出加工または成形加工により、TPE類における通常の方法で加工処理し得る。例えば、これらのコポリマーは、SIBまたはSIBSエラストマーに関しては、KANEKA社から品名“SIBSTAR”として販売されている(例えば、SIBSにおいては“Sibstar 103T”、“Sibstar 102T”、“Sibstar 073T”または“Sibstar072T”;SIBにおいては“Sibstar 042D”)。これらのコポリマー、さらにまた、これらコポリマーの合成は、例えば、特許文献 EP 731 112号、US 4 946 899号およびUS 5 260 383号に記載されている。SIBSエラストマーは、先ずは生体医学用途用に開発され、その後、医療器具、自動車部品または電気製品用の部品、電線用のシース材、シーリングまたは弾性部品のような多様なTPEエラストマー独自の各種用途において説明されている(例えば、EP 1 431 343号、EP 1 561 783号、EP 1 566 405号またはWO 2005/103146号参照)。
【0026】
しかしながら、本出願人等の知る限り、特に空気式タイヤのようなインフレータブル物品において、ポリスチレン/ポリイソブチレンブロックコポリマーと少なくとも100phrの増量剤オイルを組合せて含むエラストマー組成物を使用することを記載している従来技術文献はない;本組成物は、全く予期に反して、上記出願WO 2008/080557号に記載されているようなセルフシーリング層の役割を満たすだけでなく、インフレータブル物品の不透過層としてブチルゴムをベースとする通常の組成物と競合し得ることも判明している。
【0027】
I‐1‐B. 増量剤オイル
上記セルフシーリング性の気密層の第2の本質的な構成成分は、100phr以上の比較的高含有量で使用する増量剤オイル(または可塑化用オイル)である。
【0028】
任意の増量剤オイル、好ましくは、エラストマー、特に、熱可塑性エラストマーを増量または可塑化することのできる弱極性を有する増量剤オイルを使用し得る。周囲温度(23℃)において、これらのオイルは、比較的粘稠であり、本来固体である樹脂とは特に対照的に、液体(即ち、注釈として、最終的にその容器の形をとる能力を有する物質)である。
【0029】
好ましくは、増量剤オイルは、ポリオレフィンオイル(即ち、オレフィン、モノオレフィンまたはジオレフィンの重合によって得られるオイル)、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル(低または高粘度を有する)、芳香族オイル、鉱油およびこれらのオイルの混合物からなる群から選択する。さらに好ましくは、増量剤オイルは、ポリブテンオイル、パラフィンオイルおよびこれらのオイルの混合物からなる群から選択する。
特に、ポリブテンオイル、ポリイソブチレン(PIB)オイルを使用する;これらのオイルは、試験した他のオイル類と比較して、特に、パラフィンタイプのオイルと比較して、諸性質の最良の妥協点を示した。
【0030】
ポリイソブチレンオイルの例としては、特に、Univar社から商品名“Dynapak Poly”(例えば、“Dynapak Poly 190”)として、BASF社から商品名“Glissopal”(例えば、“Glissopal 1000”)または“Oppanol”(例えば、“Oppanol B12”)として、Ineos Oligomer社から品名“Indopol H1200”として販売されているものがある;パラフィン系オイルは、例えば、Exxon社から商品名“Telura 618”として、またはRepsol社から商品名“Extensol 51”として販売されている。
【0031】
上記増量剤オイルの数平均分子量(Mn)は、好ましくは200g/モルと25000g/モルの間、より好ましくは300g/モルと10000g/モルの間である。過度に低いMn値においては、オイルが上記組成物の外に移行するリスクが存在し、一方、過度に高いMn値は、この組成物が硬質になり過ぎる結果となり得、上記セルフシーリング特性に悪影響を及ぼすであろう。350g/モルと4000g/モルの間、特に400g/モルと3000g/モルの間のMn値が、意図する用途、特に、空気式タイヤにおける使用において優れた妥協点であることが判明している。
【0032】
上記増量剤オイルの数平均分子量Mnは、SECによって測定する;試験標本を、先ず、約1g/lの濃度でテトラヒドロフラン中に溶解し、次いで、溶液を、0.45μmの有孔度を有するフィルター上で、注入前に濾過する。装置は、WATERS Allianceクロマトグラフである。溶出溶媒はテトラヒドロフランであり、流量は1ml/分であり、系の温度は35℃であり、分析時間は30分である。商品名“STYRAGEL HT6E”を有する2本のWATERSカラムセットを使用する。ポリマー試験標本溶液の注入容量は、100μlである。検出器は、WATERS 2410示差屈折計であり;クロマトグラフデータを処理するその関連ソフトウェアは、WATERS MILLENIUMシステムである。算出した平均分子量を、ポリスチレン標準によって得た較正曲線と対比する。
【0033】
当業者であれば、特に使用することを意図するインフレータブル物品の膨張ガスに対して不透過性の上記セルフシーリング層の特定の使用条件に応じて増量剤オイルの量を如何にして調整するかは、以下の説明および実施態様に照らして知り得ることであろう。
【0034】
本発明の1つの主要で顕著な利点は、上記増量剤オイル含有量を典型的には100〜700phrの範囲内において配合物中で調整することが、有利なことに、目標とする特定の使用状況に応じて、大部分は(低めの含有量の増量剤オイルによって)上記不透過特性に或いは大部分は(高めの含有量の増量剤オイルによって)セルフシーリング特性に好都合に働くのを可能にすることである。
【0035】
この見地から、諸特性の最適な妥協点のためには、増量剤オイル、特に、ポリブテンオイルの含有量は、少なくとも120phrに等しく、特に120phrと700phrの間にあることが好ましく;より好ましくは、この増量剤オイルの含有量は、少なくとも150phrに等しく、特に150〜500phrの範囲内にある。上記の最低値よりも低いと、上記エラストマー層は、ある種の用途において高過ぎる剛性を有するリスクに至り、一方、推奨する最高値よりも高いと、上記組成物が不十分な凝集力を有し且つ該当する用途次第では有害であり得る不透過性喪失のリスクが存在する。
【0036】
上述したセルフシーリング層または組成物は、固形(23℃において)であり且つ弾性であるコンパウンドであり、特に、その特定の配合故に、極めて高い可撓性と極めて高い変形性に特徴を有する。
【0037】
本発明の1つの好ましい実施態様によれば、このエラストマー層または組成物は、2MPa未満、より好ましくは1.5MPa未満 (特に1MPa未満)である10%伸びでの割線伸びモジュラスを有する。この数量は、23℃の温度での500mm/分の引張速度で最初の伸びで(即ち、順応サイクルなしで)測定し(ASTM D412規格)、試験片の初期断面に対して標準化する。
【0038】
I‐1‐C. 各種添加剤
上述した2種の構成成分、即ち、TPSコポリマーと増量剤オイルは、それら自体で、上記セルフシーリング性の気密組成物が、該組成物を使用しているインフレータブル物品に関連するその不透過性およびパンク防止機能を完全に満たすのに十分である。
しかしながら、例えば、カーボンブラックまたはシリカのような補強用充填剤、非補強用または不活性充填剤、不透過性をさらに改良する層状充填剤(例えば、カオリンのようなフィロシリケート、タルク、雲母、グラファイト、クレーまたは変性クレー(“オルガノクレー”))、上記の増量剤オイル以外の可塑剤、例えば、粘着付与性樹脂、酸化防止剤またはオゾン劣化防止剤のような保護剤、UV安定剤、組成物を着色するのに有利に使用し得る着色剤、各種加工助剤または他の安定剤、或いはインフレータブル物品の残余の構造体への接着を促進することのできる促進剤のような各種他の添加剤を添加し得る。
【0039】
板状充填剤の使用は、有利なことに、上記熱可塑性エラストマー組成物の透過係数を、組成物のモジュラスを過度に増大させることなくさらに低下させること(従って、密封性を増大させること)を可能にする。このことは、インフレータブル物品における上記気密層の一体化性を維持するのを可能にする。そのような充填剤は、一般的に比較的顕著な異方性を有するプレート、プレートレット、シートまたは積重ねシートの形をとり、その平均長は、例えば、数μmと数百μmの間である。これらの充填剤は、用途に応じて変動し得る質量含有量、例えば、20phrと150phrの間で使用し得る。
【0040】
また、上述したエラストマー以外に、この気密組成物は、TPSコポリマーに対して常に少質量画分において、例えば、TPSエラストマーと相溶性のある熱可塑性ポリマーのようなエラストマー以外のポリマーも含み得る。
【0041】
I‐2. 上記セルフシーリング性の気密層のインフレータブル物品における使用
上記組成物は、任意のタイプのインフレータブル物品におけるセルフシーリング性気密層として使用し得る。そのようなインフレータブル物品の例としては、ゴムボート、バルーンまたはゲームもしくはスポーツにおいて使用するボール類を挙げることができる。
上記組成物は、ゴム製の最終製品または半製品いずれかのインフレータブル物品、特に、二輪車、乗用車または産業用車両のような自動車用の空気式タイヤにおける使用に特に適している。
【0042】
そのような膨張ガスに対して不透過性のセルフシーリング層は、好ましくは、インフレータブル物品の内壁上に設置するが、その内部構造中に完全に一体化させてもよい。
この層の厚さは、好ましくは0.2mmよりも厚く、より好ましくは0.3mmと30mmの間、特に0.5mmと20mmの間である。
特定の用途分野並びに関連する寸法および圧力に応じて、本発明の実施方法は変動し、その場合、上記セルフシーリング性気密層は幾つかの好ましい厚さ範囲を有することは容易に理解されることであろう。
従って、例えば、乗用車または二輪車タイヤの場合、セルフシーリング層は、少なくとも0.5mm、好ましくは1mmと4mmの間の厚さを有し得る。もう1つの例によれば、重量または農業用車両タイヤの場合、好ましい厚さは、2mmと20mmの間であり得る。もう1つの例によれば、土木工学分野の車両用または航空機用の空気式タイヤの場合、好ましい厚さは、4mmと30mmの間であり得る。
【0043】
ブチルゴムをベースとする通常の層と比較して、上記のセルフシーリング性気密組成物は、以下の典型的な実施態様において実証されているように、著しく低いヒステリシスを示し、従って、空気式タイヤに低下した転がり抵抗性を付与するという利点を有する。
【0044】
II. 本発明の典型的な実施態様
上述した膨張ガスに対して不透過性のセルフシリングエラストマー層は、全てのタイプの車両、特に、乗用車または重量車両のような産業用車両の空気式タイヤにおいて有利に使用することができる。
1つの例として、一葉の添付図面は、例えば乗用車を意図する本発明に従う空気式タイヤの半径断面を極めて略図的に示している(縮尺で描いていない)。
【0045】
この空気式タイヤ1は、クラウン補強材即ちベルト6によって補強されたクラウン2、2つの側壁3および2つのビード4を有し、これらのビード4の各々は、ビードワイヤー5によって補強されている。クラウン2は、トレッド(この略図には示していない)が取付けられている。カーカス補強材7は、各ビード4内の2本のビードワイヤー5の周りに巻付けられており、この補強材7の上返し8は、例えば、空気式タイヤ1の外側に向って位置しており、この場合、タイヤリム9上に取付けて示している。カーカス補強材7は、それ自体知られている通り、コード、いわゆる“ラジアル”コード、例えば、繊維または金属コードによって補強されている少なくとも1枚のプライからなる、即ち、これらのコードは、実際上、互いに平行に配置されて一方のビードから他方のビードに延びて円周正中面(2つのビード4の中間に位置しクラウン補強材6の中央を通る空気式タイヤの回転軸に対して垂直の面)と80°と90°の間の角度をなしている。
空気式タイヤ1の内壁は、空気式タイヤ1の内部空洞11の側面上に、例えば、およそ4mmに等しい厚さを有するセルフシーリング性気密層10を含む。この内部層(または“内部ライナー”)は、空気式タイヤの内壁全体を覆っており、一方の側壁から他方の側壁に、少なくとも空気式タイヤが装着位置にあるときのリムフランジまで延びている。
【0046】
この特定の例によれば、上記層10は、SIBS熱可塑性エラストマー層 (約15%のスチレン含有量、約65℃のTgおよび約90000g/モルの分子量Mnを有する“Sibstar 102T”)であり、150phrのPIBオイル (約2100g/モルの分子量Mnを有する“Indopol H1200”)で増量している。
【0047】
上記層10の第1の役割は、偶発的穿孔による圧力減に対する有効な保護を、これら穿孔を自動的にシーリングするのを可能にすることによって提供することである。クギのような異物がインフレータブル物品の構造体、例えば、空気式タイヤ1の側壁3またはクラウン6のような壁を貫通する場合、セルフシーリング組成物として機能する組成物は、種々の応力を受ける。これらの応力に反応して、その有利な変形性および弾性特性のために、該組成物は、異物全体の周りにシーリングされた接触領域を産み出す。上記異物の輪郭または外形が、均一または規則的であるかはさほど重要ではなく、上記セルフシーリング組成物の可撓性が、該組成物を僅かな開孔に浸透するのを可能にする。このセルフシーリング組成物と異物との間の相互作用により、異物が侵襲した領域を密閉する。
【0048】
異物が偶発的であれまたは意図的であれ除去された場合、穿孔は残存し、その大きさによるが、比較的実質的な漏れを発生させ得る。静水圧に曝された上記セルフシーリング組成物は、十分に可撓性で且つ変形性であり、変形することによって穿孔を閉鎖して、膨張ガスが漏出するのを防止する。特に空気式タイヤの場合、セルフシーリング組成物の可撓性は、積載空気タイヤの変形期間中およびタイヤが走行しているときでさえも、周囲壁からの力に何の問題もなく耐え得ることが判明している。
【0049】
この同じ層10の第2の役割は、不透過性を確保し、カーカス補強剤を空気式タイヤの内部空間11から発する空気の拡散から保護することである。この内部層は、空気式タイヤを膨張させ、加圧下に保つことを可能にする。その不透過特性は、比較的低い圧力損失率を確保するのを可能とし且つ膨張した空気式タイヤを正常な操作状態に十分な時間、通常は数週間または数ヶ月間保つのを可能にする筈である。
【0050】
上述したようなそのセルフシーリング性気密エラストマー層(10)を備えた空気式タイヤは、加硫(または硬化)前または後において製造し得る。
第1の場合(即ち、空気式タイヤの硬化前)、このエラストマー層を通常の方法で所望の位置に単純に適用して層10を形成させる。その後、加硫を通常通りに実施する。空気式タイヤ技術の熟練者にとっての1つの有利な製造変法は、例えば、第1工程において、エラストマー層を、構築用ドラム上に、該ドラムを空気式タイヤの残余の構造体で被覆する前に、当業者にとって周知の製造方法に従い、適切な厚さを有する層の形で直接付着させることからなるであろう。
【0051】
第2の場合(即ち、空気式タイヤの硬化後)、上記エラストマー層を、適切な手段によって硬化させた空気式タイヤの内側に、例えば、適切な厚さのフィルムを結合させることによって、押出加工することによって、スプレーすることによって或いは押出/ブロー成形することによって適用する。
【0052】
乗用車タイプの本発明に従う空気式タイヤ(寸法 195/65 R15)を製造した;その内壁を、4mmの厚さを有するセルフシーリング性気密層(10)で被覆し(タイヤの残余部を製造する前の構築用ドラム上で)、その後、タイヤを加硫させた。上記層(10)は、上述したように、150phrのPIBオイルで増量したSIBSから形成させた。
【0053】
試験中、上記の層(10)を有するこれらの空気式タイヤを、先ず、上述した出願WO 2008/080557号に記載されているようにして試験して、上記の層(10)のセルフシーリング特性を評価した。6mmの直径を有するポンチを使用してドレッドとクラウンブロックを穿孔し、その後、これらのポンチを取除いた後、本発明の空気式タイヤは、出願WO 2008/080557号から既知の空気式タイヤと実質的に等価の性能を提供すること、即ち、そのようにして穿孔したこれらのタイヤは、それにもかかわらず、数千キロメートルに亘って圧力を損失することなく高速(130km/時)での持続走行に耐えていたことを観察した。
【0054】
その後、不透過特性を、一方のブチルゴムをベースとする組成物(厚さ1mm)および他方のSIBSと増量剤オイル(150phr)をベースとする組成物(厚さ4mm)の各試験標本において、セルフシーリング性気密層について分析した;勿論、後者の層のセルフシーリング役割は、標準の不透過性層の厚さよりも実質的に大きい厚さの使用を必要とする。
【0055】
この分析においては、硬質壁透磁率計(permeameter)を使用し、圧力センサー(0〜6バールの範囲に較正した)を備え、且つ空気注入バルブを備えたチューブと連結したオーブン(本例では60℃の温度)内に入れた。上記透磁率計は、ディスク形状(本例においては、例えば、65mmの直径を有する)で且つ3mmまでの範囲であり得る均一な厚さ(本例においては0.5mm)を有する標準試験標本を受入れ得る。圧力センサーを、0.5 Hzの周波数で連続収集(2秒毎に1ポイント)を実施するコンピュータに接続しているNational Instruments社のデータ収集カード(0〜10Vのアナログ4チャンネル収集)に接続する。透過係数(K)を回帰直線から測定して(1000ポイントに亘っての平均)、試験した試験標本全体の圧力低下の傾斜αを、時間の関数として、装置の安定化後、即ち、圧力が時間の関数として直線的に降下する定常状態を得た後に得る。
【0056】
先ず、最終的にそのように伸ばしたSIBS層が、通常のブチル層の不透過性と同等の不透過性を有し、増量剤オイルによって生じる悪化は、セルフシーリング役割にとっても不可欠であるSIBS層の厚さの増大によって事実上完全に補われていることが観察された。
【0057】
また、SIBS層の透過係数は、パラフィン系オイルのような通常のオイル(“Telura 618”)よりもPIBオイル(“Dynapak Poly 190”)の存在下において有意に少なく低下していた(125%の代りにおよそ50%の上昇)ことに注目した。その理由は、SIBまたはSIBSのようなTPSコポリマーとPIBオイルの組合せが、セルフシーリング性気密層に関して諸特性の最良の妥協点を提供することが判明したことである。
【0058】
最後に、本発明に従うこれらの空気式タイヤを、ブチルゴムをベースとし同じ厚さを有する通常の気密層を含む対照タイヤ(Michelin “Energy 3”ブランド)と比較した。各空気式タイヤの転がり抵抗性を、ISO 8767 (1992年)法に従って、フライホイール上で測定した。
本発明の空気式タイヤは、当業者にとっては極めて有意に且つ予期に反して、上記対照空気式タイヤと対比してほぼ4%低下した転がり抵抗性を有することを観察した。
【0059】
結論として、ポリスチレン/ポリイソブチレンブロックコポリマーと少なくとも100phrの増量剤オイルを組合せて含むエラストマー組成物は、予期に反して、特に上述の出願WO 2008/080557号に記載されたセルフシーリング層の役割を満たし得るだけでなく、何にもまして、これらタイヤのヒステリシスを、従って、そのようなタイヤを装着した自動車の燃費を実質的に低下させる機会と合せて、ブチルゴムをベースとする通常の組成物と空気式タイヤの不透過層として置換わり得ることも判明した。
【符号の説明】
【0060】
1 空気式タイヤ
2 クラウン
3 側壁
4 ビード
5 ビードワイヤー
6 クラウン補強材(ベルト)
7 カーカス補強材
8 カーカス補強材の上返し
9 タイヤリム
10 セルフシーリング性気密層
11 内部空洞


【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張ガスに対して不透過性のセルフシーリングエラストマー層を備えたインフレータブル物品であって、前記エラストマー層が、少なくとも、主要エラストマーとしての熱可塑性ポリスチレン/ポリイソブチレンブロックコポリマーと、少なくとも100phrの増量剤オイルとを含むことを特徴とするインフレータブル物品。
【請求項2】
前記熱可塑性コポリマーが、スチレン/イソブチレンコポリマー、スチレン/イソブチレン/スチレンコポリマーおよびこれらのコポリマーの混合物からなる群から選ばれる、請求項1記載のインフレータブル物品。
【請求項3】
前記熱可塑性コポリマーが、スチレン/イソブチレン/スチレンコポリマーである、請求項2記載のインフレータブル物品。
【請求項4】
前記熱可塑性コポリマーが、5質量%と50質量%の間の量のスチレンを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載のインフレータブル物品。
【請求項5】
前記熱可塑性コポリマーのガラス転移温度が、−20℃よりも低い、請求項1〜4のいずれか1項記載のインフレータブル物品。
【請求項6】
前記熱可塑性コポリマーの数平均分子量が、30000g/モルと500000g/モルの間である、請求項1〜5のいずれか1項記載のインフレータブル物品。
【請求項7】
前記増量剤オイルが、ポリオレフィンオイル、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族オイル、鉱油およびこれらのオイル類の混合物からなる群から選ばれる、請求項1〜6のいずれか1項記載のインフレータブル物品。
【請求項8】
前記増量剤オイルが、ポリブテンオイルからなる群から選ばれる、請求項7記載のインフレータブル物品。
【請求項9】
前記増量剤オイルが、ポリイソブチレンオイルである、請求項8記載のインフレータブル物品。
【請求項10】
前記増量剤オイルの数平均分子量が、200g/モルと25000g/モルの間である、請求項1〜9のいずれか1項記載のインフレータブル物品。
【請求項11】
前記増量剤オイルの含有量が、少なくとも120phrに等しい、請求項1〜10のいずれか1項記載のインフレータブル物品。
【請求項12】
前記増量剤オイルの含有量が、少なくとも150phrに等しい、請求項11記載のインフレータブル物品。
【請求項13】
前記エラストマー層が、0.2mmよりも大きい厚さを有する、請求項1〜12のいずれか1項記載のインフレータブル物品。
【請求項14】
前記エラストマー層が、0.3mmと30mmの間の厚さを有する、請求項13記載のインフレータブル物品。
【請求項15】
前記エラストマー層を、前記インフレータブル物品の内壁上に設置する、請求項1〜14のいずれか1項記載のインフレータブル物品。
【請求項16】
前記物品が、ゴムから製造されている、請求項1〜15のいずれか1項記載のインフレータブル物品。
【請求項17】
前記ゴム物品が、空気式タイヤである、請求項16記載のインフレータブル物品。
【請求項18】
前記インフレータブル物品が、内部チューブである、請求項16記載のインフレータブル物品。
【請求項19】
インフレータブル物品におけるセルフシーリング性の気密層としての、熱可塑性ポリスチレン/ポリイソブチレンブロックコポリマーおよび少なくとも100phrの増量剤オイルの使用。

【公表番号】特表2012−510401(P2012−510401A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538883(P2011−538883)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008501
【国際公開番号】WO2010/063425
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)