説明

熱可塑性樹脂シート原反

【課題】 インチングローラ等の特殊な設備を必要とせず、使い始め時の重量が大きい樹脂シート原反であっても、芯棒に巻き付いた樹脂シートが折れたり、蛇行したりすることが無い熱可塑性樹脂シート原反を提供することを目的とする。
【解決手段】 シート原反の巻始め端から1周目の部分を切り出し、幅方向を垂直にして水平面上に置き、前記巻始め端及び切断端の各々を起点とした円弧長200mm〜300mmの部分の各々の曲率半径(a,b,c,d)の平均値Xを測定し、シート原反の巻始め半径をYとし、式(Z=X/Y×100)で算出された拡大率Zが145%以下である
シート原反。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定幅で長尺の熱可塑性樹脂シートを巻回し、巻軸を外したロール状にしてなる熱可塑性樹脂シート原反(以下、シート原反と記す。)に関し、特に、成形加工時に原反供給機の芯棒に巻き付いても折れることなく使用可能なシート原反に関する。本発明のシート原反は、例えば、食品等の包装に使用される容器の原材料などとして用いられる。
【背景技術】
【0002】
食品等の包装に使用される容器としては、ポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂シートを成形加工した丼状、箱状などの形状の容器が多用されている。この種の容器の大部分は、発泡ポリスチレン系樹脂に非発泡ポリスチレン系樹脂シートを積層した積層シートを用いて製造されている。このポリスチレン系樹脂シートを用いることで、容器の強度や表面の美麗性を高めることができる。
該ポリスチレン系樹脂シートなどの熱可塑性樹脂シート(以下、樹脂シートと記す。)を用いる容器の成形加工は、加熱軟化させた樹脂シートを一対の成形型間に挟んで押圧することで容器形状に成形加工する。樹脂シートは通常、所定幅で長尺の樹脂シートを巻回し、巻軸を外したロール状にしたシート原反から引き出して成形に用いられる。このシート原反は、その芯部空洞に芯棒を挿入し、この芯棒上でシート原反が回動自在として原反供給装置にセットされる。そして、シート原反の巻き終わり端から樹脂シートを引き出し、成型機に樹脂シートを供給可能とする。シート原反は、成形動作に連動して必要量が原反供給装置から引き出され、成形機に送り込まれる。
【0003】
シート原反からの樹脂シート引き出しに際し、特に使用開始直後のシート原反は重量が大きいため、芯部空洞に挿通した芯棒に対して大きな荷重が加わる。シート原反から樹脂シートが引き出される際、シート原反はシート繰り出し可能な方向に回転するものの、芯部空洞と芯棒との間に大きな荷重が加わって摩擦が増大し、芯棒と樹脂シートとの間に滑りが生じなくなると、芯部空洞に露出した樹脂シートの巻始め端部が芯棒に巻き付いてしまうことがある。例えば、図6(a)に示すように、シート原反100がA方向に回動して樹脂シート101の供給が開始された後、図6(b)に示すように、芯部空洞106内において、シート原反100が重いと芯棒3bと樹脂シート101との接触部110の部分で滑りが生じない状態となり、芯棒3bへの樹脂シート101の巻き付きが始まる。図6(c)に示すように、芯棒3bに巻きついた樹脂シート101は、元のシート原反100として巻かれている前記巻始め半径Yよりも小さな曲率半径で巻き付いてしまうために曲げ荷重に耐えられず、シート引き出しが進むにつれ、樹脂シート101にシート折れ箇所102が発生する。図6(d)に示すように、更に樹脂シート101の引き出しが進むと、シート折れ箇所102に加え、新たな場所でシート折れ箇所103、104が発生する虞がある。
また、上述のような樹脂シート101と芯棒3bとの接触部110の部分での滑りが生じない状態となり、シート折れ箇所102、103、104が発生することにより、図7に示すように、樹脂シート101の端部105やシート折れ箇所102が蛇行するように芯部空洞106からはみ出す虞がある。
樹脂シート101が折れてしまった場合、シート原反100の内、折れ箇所を含む部分は成形加工に使用することが出来なくなるために、切り離して廃棄される。
また、樹脂シート101が幅方向で蛇行してはみ出した場合、芯部空洞106からはみ出した樹脂シート101が、シート原反100を支持する架台と接触して破断してしまい、樹脂シート101の破断片が製品(樹脂製容器)内に混入する虞がある。
また、シリコーン油を塗布された樹脂シートでは、ロール状とされている樹脂シートの表面がシリコーン油塗布の影響で滑りやすくなっており、シート原反の芯部付近で、重なり合っている樹脂シート間で滑りが生じることがあり、樹脂シートの折れ曲がりや蛇行が発生しやすい。
従来のシート原反は、樹脂シートを引き出した際に平坦な状態に戻ろうとする性質を持っているため、芯棒への巻き付きによって、巻始め半径よりも曲率半径が小さくなった場合は非常に折れやすい。
【0004】
上述の問題に対して、例えば特許文献1に記載されたような原反供給装置が提案されている。この原反供給装置は、樹脂シートの芯棒への巻き付きを防止するため、芯部空洞にローラが挿通されて支持されているシート原反を、下方から上方へ押し上げるための往復自在なインチングローラを備えている。
【0005】
また、ロール状に巻いたシート原反に関しては、特許文献2に記載されたものがある。この文献では、発泡樹脂の気泡径や密度を一定の値に規定することにより、ロールから引き出した時の、樹脂シートの巻き癖を解消してフラットにすることが提案されている。
【特許文献1】特許第2610377号公報
【特許文献2】特開平11−129276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された原反供給装置を使用したシート原反の供給においては、インチングローラによる持ち上げによって樹脂シート原反の芯部空洞と芯棒との間の荷重による摩擦を小さくし、シート原反が芯棒に巻き付くのを防止しているが、シート原反をインチングローラで支持した状態で樹脂シートを送り出すことになるため、支持したシート原反の姿勢が変動しやすく、その制御に注意を要する。また、特許文献1に記載されたインチングローラは、重量の大きい樹脂シート原反を持ち上げる構造であるために設備が大掛かりとなり、また、頻度の高いメンテナンスが必要となる等、コスト面でも課題が残されている。
【0007】
特許文献2に記載されたシート原反は、ロールから引き出した時の、樹脂シートの巻きぐせを解消して平坦になる特性を有するものであるため、小さな曲率半径の曲げに対して弱く、樹脂シート原反の芯部空洞において樹脂シートが芯棒に対して巻き付きを起こした場合、非常に折れやすく、また、樹脂シートが芯部空洞で蛇行しやすいという課題が残されている。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、インチングローラ等の特殊な設備を必要とせず、使い始め時の重量が大きい樹脂シート原反であっても、芯棒に巻き付いた樹脂シートが折れたり、蛇行したりすることが無い熱可塑性樹脂シート原反を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、所定幅で長尺の樹脂シートが巻軸を外したロール状に巻回されてなるシート原反であって、前記シート原反の巻始め端から1周目の部分を切り出し、幅方向を垂直にして水平面上に置き、前記巻始め端及び切断端の各々を起点とした円弧長200mm〜300mmの部分の各々の曲率半径(a,b,c,d)の平均値Xを測定し、シート原反の巻始め半径をYとし、次式(1)
Z=X/Y×100 ・・・(1)
で算出された拡大率Zが145%以下であることを特徴とするシート原反を提供する。
本発明のシート原反において、前記巻始め半径Yが100〜165mmの範囲であることが好ましい。
本発明のシート原反において、前記シート原反の総重量が60〜160kgの範囲内であることが好ましい。
本発明のシート原反は、熱可塑性樹脂発泡シートであることが好ましい。また前記熱可塑性樹脂発泡シートとしては、ポリスチレン系樹脂発泡シートが好ましい。さらに、本発明のシート原反は、熱可塑性樹脂発泡シートの少なくとも片面に1層以上の非発泡樹脂層が積層された熱可塑性樹脂発泡積層シートが好ましく、特に熱可塑性樹脂発泡積層シートを、ポリスチレン系樹脂発泡シートの少なくとも片面にハイインパクトポリスチレン系樹脂の非発泡樹脂層が積層されたポリスチレン系樹脂発泡シートが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシート原反は、その巻始め端から1周目の部分を切り出し、幅方向を垂直にして水平面上に置き、前記巻始め端及び切断端の各々を起点とした円弧長200mm〜300mmの部分の各々の曲率半径(a,b,c,d)の平均値Xを測定し、シート原反の巻始め半径をYとし、式(Z=X/Y×100)で算出された拡大率Zが145%以下であるものなので、巻始め半径より小さい曲率半径の曲げが加わっても折れにくくなり、芯部空洞に芯棒を挿通して架台に支持されたシート原反から樹脂シートを引き出す時に、樹脂シートが芯棒に巻き付いても折れることなく引き出しを行うことが可能となる。従って、シート原反の樹脂シートの内、巻始め端側の樹脂シートを無駄にすることなく、効率良く使用することができる。
また、樹脂シートが折れることが無いので幅方向で蛇行して芯棒に巻きつくことも無く、樹脂の破片等が成形品内に混入するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係るシート原反の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は本発明のシート原反1の斜視図、図2(a)はシート原反1から切り出した巻始め端部を用いた曲率半径の測定状態を示す斜視図、(b)はその平面図である。
【0012】
本実施形態のシート原反1は、図1に示すように、所定幅で長尺の樹脂シート2が巻軸を外したロール状に巻回されてなるものである。シート原反1の軸芯には丸穴状の芯部空洞11があり、巻始め端21から樹脂シート2がロール状に巻かれている。図1は、上面60を上側として、シート原反1を立てた状態を示している。
【0013】
本実施形態のシート原反1は、図2(a),(b)に示すように、その巻始め端21から巻回1週目の末端(切断端22)までの部分を切り出し、その切り出しシート20を幅方向を垂直にして平台6の水平面上に置いた際、以下のような特性を有する。
切り出しシート20は、シート原反1から切り出した後も一定の丸みを帯び、上端23及び下端24がそれぞれC字状となった状態で平台6上に置かれる。
平台6上に置いた状態で、切り出しシート20の巻始め端21及び切断端22の各々を起点とした円弧長200mm〜300mmの部分の曲率半径を、上端23と下端24の各々で測定し、巻始め端21上端側の曲率半径a、切断端22上端側の曲率半径b、巻始め端21下端側の曲率半径c、切断端22下端側の曲率半径dの、計4箇所の曲率半径の平均値X(X=(a+b+c+d)/4)を求める。樹脂シート2をシート原反1とする時の巻始め半径をYとして、次式(1)
Z=X/Y×100 ・・・(1)
で求めた拡大率Zが145%以下となっている。この拡大率Zが145%以下である本実施形態のシート原反1は、樹脂シート2に巻始め半径より小さい曲率半径の曲げが加わっても折れにくくなり、芯部空洞11に芯棒を挿通して架台に支持されたシート原反1から樹脂シート2を引き出す時に、樹脂シート2が芯棒に巻き付いても折れることなく引き出しを行うことが可能となる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態において、拡大率Zの範囲は、110%〜145%、更に好ましくは120%〜145%の範囲である。この拡大率Zが145%を超えると、図6に示すように、シート原反を芯棒で支持して樹脂シートを引き出す際に、樹脂シートの巻始め端が芯棒に巻き付いて、シート折れが発生しやすくなる。
【0015】
シート原反1に用いる樹脂シート2としては、熱可塑性樹脂発泡シートが好ましい。熱可塑性樹脂発泡シートに用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリカードネート系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いても良く、2種類以上組み合わせて用いても良い。熱可塑性樹脂発泡シートは、剛性が高い反面、折れやすいという特性を有しており、特にポリスチレン系樹脂は硬い樹脂であることから、発泡シートとした場合に剛性と脆性の両方が高くなるため、更に折れやすくなる虞があるが、前記式(1)で求められる拡大率Zが145%以下とすれば、ポリスチレン系樹脂発泡シートであっても、原反使用時における樹脂シート2の折れ曲がりや蛇行を防止することができる。
【0016】
シート原反1に用いられるポリスチレン系樹脂としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等のモノマーから製造される樹脂が挙げられる。また、スチレン単独重合樹脂、共重合樹脂、3元以上の共重合樹脂を用いても良い。より具体的には、ポリスチレンなどの単独重合樹脂、スチレン−無水マレイン酸、スチレン−メタクリル酸、スチレン−アクリル酸(アクリル酸エステルなどを含む)、スチレン−アクリロニトリルなどの共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンなどの3元共重合樹脂が挙げられる。
【0017】
上述の樹脂に用いられる発泡剤は、公知のものを使用できる。具体的には、分解型発泡剤、気体または揮発性の発泡剤が使用できる。これらの発泡剤は単独でも良く、2種類以上組み合わせても良い。
分解型発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、カルシウムアジド、ナトリウムアジド、ホウ水素ナトリウムなどの無機系分解性発泡剤、アゾジカルボンアミド、アゾビススルホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル及びジアゾアミノベンゼンなどのアゾ化合物、N,N'−ジニトリソペンタンメチレンテトラミン及びN,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルアミドなどのニトロソ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド及びp,p'−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、トリヒドラジノトリアジン、バリウムアゾジカルボキシレート、クエン酸などが挙げられる。これら発泡剤は、単独で用いても、組み合わせて用いても良い。
【0018】
さらに、分解温度、発生ガス量及び分解速度を調節するために公知の発泡助剤を添加してもよい。
気体の発泡剤としては、窒素、炭酸ガス、プロパン、n−ブタン、イソブタン、tert−ブタン、メチルエーテルなどが挙げられる。なお、ここで気体とは、20℃・1気圧で気体であることを意味する。
揮発性の発泡剤としては、エーテル、石油エーテル、アセトン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。また、上記以外にも水を使用することができる。これらの発泡剤は、単独でも組み合わせてもよい。上記発泡剤のうち、n−ブタン、イソブタン、窒素、炭酸ガスが好ましい。
【0019】
また、シート原反1の樹脂シート2として、熱可塑性樹脂発泡シートの少なくとも片面に1層以上の非発泡樹脂層が積層された熱可塑性樹脂発泡積層シートを用いても良い。積層する非発泡樹脂層としては、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、メタクリル系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独でもよく、2種類以上組み合わせてもよい。非発泡樹脂層を樹脂発泡シートに積層した熱可塑性樹脂発泡積層シートを用いることで、樹脂シート2の強度が向上し、また印刷性が向上するといった効果が得られる。
また、非発泡樹脂が積層されていることにより、発泡積層シート間で滑りやすくなっているため、更に折れやすくなる虞があるが、本発明によれば、折れ曲がりや蛇行を、より効果的に防止することができる。
【0020】
樹脂発泡シートに非発泡樹脂層を積層するには、樹脂発泡シートに樹脂層を共押出により積層する方法や、後から加熱ロールや接着剤などを使用して積層する方法などいずれの方法でも使用できる。
また、樹脂発泡シートに積層する非発泡樹脂層は、樹脂発泡シートの片面に設けてもよく、又は両面に設けてもよい。
具体的な積層方法としては、
(1)樹脂発泡シートと非発泡樹脂層を合流・積層させてから、ダイから押出して積層された熱可塑性樹脂発泡積層シートを得る共押出と呼ばれる方法、
(2)インラインまたはアウトラインで、押出機より押出された非発泡樹脂層が冷却しきらないうちに、直接、樹脂発泡シートに積層する方法、
(3)インラインまたはアウトラインで、押出機より押出された樹脂をバインダーとして、あらかじめ準備された非発泡樹脂フィルム(あらかじめ印刷を施してあるものでも、無地のものでもよい)を樹脂発泡シートに積層する方法、
(4)あらかじめ準備された非発泡樹脂フィルム(無地または印刷品)を加熱ロールで加熱しながら、樹脂発泡シートに圧着して積層する方法、
などが採用できる。
【0021】
また、シート原反1の樹脂シート2は、前記熱可塑性樹脂発泡積層シートの非発泡樹脂層として、特にポリスチレン系樹脂にゴム分を含有させたハイインパクトポリスチレン系樹脂を用いるのが好ましい。この非発泡樹脂層を樹脂発泡シートに積層することで、熱可塑性樹脂発泡積層シートの脆性を改善することができる。
また、ハイインパクトポリスチレン系樹脂の非発泡層が積層されていることにより、発泡積層シート間で滑りやすくなっているため、最も折れやすくなる虞があるが、本発明によれば、折れ曲がりや蛇行を最も効果的に防止することができる。
【0022】
本実施形態のシート原反1は、巻始め半径Yを100〜165mmの範囲内とすることにより、前記拡大率Zが145%以下で安定した特性のシート原反1を得ることができる。この巻始め半径Yは、110〜155mmがより好ましく、125mm〜155mmが最も好ましい。
巻始め半径Yが100mm未満であると、シート原反製造時の巻き付けが困難になる虞があり、165mmを越えると、シート原反の外径が大きくなり、保管や輸送の効率が低下する虞がある。
【0023】
また、前記シート原反1の総重量を60〜160kgの範囲内とすることにより、前記拡大率Zが145%以下で安定した特性のシート原反1を得ることができる。
80〜150kgがより好ましく、110kg〜140kgが最も好ましい。
シート原反1の総重量が60kg未満であると、巻き付け長さが短くなり、交換のための掛け替え工数が増大する虞があり、160kgを越えると、シート原反の荷扱いが困難になる虞がある。
【0024】
図4は、シート原反1の製造工程の一例を示す構成図である。図4に示すように、巻回されてシート原反1をなす樹脂シート2は、ラミネート工程5において、ベース原反12から引き出されたベースシート13に樹脂の積層や温調処理が施されてたものである。
ベース原反12から引き出されたベースシート13は、押出部51から押し出された樹脂フィルム14を重ねた後、表面が一定の温度に保たれたローラ53b、53c間に送り込まれて積層された状態となる。
【0025】
フィルム14が積層されたベースシート13は、ローラ53b、53c間から温調ゾーン52の入口52aに送り込まれ、温調ゾーン52において一定の加温処理が施されて樹脂シート2となり、出口52bから温調ゾーン52の外に送り出される。樹脂シート2は、棒状の巻軸54を軸心としてロール状に一定量巻かれた後、巻軸54から外され、軸心が芯部空洞11として確保されたシート原反1となる。
【0026】
図3に示すように、シート原反1から引き出した樹脂シート2に成形加工を行う際は、シート原反1の芯部空洞11に芯棒3bを挿通して、基台3の上部に設けられた保持部3aに、芯部空洞11からはみ出た芯棒3b両端部を保持した状態とする。シート原反1は、芯棒3bが挿通された芯部空洞11を芯軸として回動可能に支持されており、成形機4に備えられた加熱搬送部42による引き込み動作によって、シート原反1から樹脂シート2が引き出される。樹脂シート2は、加熱搬送部42にて加熱軟化された後、金型部41へ送られ、成形加工されて容器シート50となる。金型部41での成形加工が行われている間は、加熱搬送部42によるシート原反1からの樹脂シート2の引き込み動作は行われず、成形加工の1サイクルが終了した後に、加熱搬送部42は、シート原反1から樹脂シート2を引き込みながら、成形加工が終わった容器シート50を成形機4外部へ送り出す。
【0027】
図5(a)、(b)、(c)、(d)に、本実施形態のシート原反1から樹脂シート2が引き出される時の、芯部空洞11における樹脂シート2の状態を示す。
図5(a)は、シート原反1がA方向に回動して樹脂シート2の引き出しが開始される時の状態であり、樹脂シート2は、巻始め端21から巻始め半径Yで巻回されている。
図5(b)は、樹脂シート2の引き出しが開始された後の状態であり、芯部空洞11内において、シート原反1が重いために芯棒3bと樹脂シート2との接触部30の部分で滑りが生じない状態となり、芯棒3bへの樹脂シート2の巻き付きが始まっている。
【0028】
図5(c)、(d)は、樹脂シート2の引き出しが進行していった時の状態であり、芯棒3bに巻きついている樹脂シート2が増大し、元のシート原反1として巻かれている前記巻始め半径Yよりも小さな曲率半径で巻き付いているが、芯部空洞11内において、樹脂シート2の折れは発生していない。上述のように、本実施形態のシート原反1を巻始め端21から1周目の部分を切り出した時、切り出しシート20の曲率半径(a,b,c,d)の平均値Xは、巻始め半径Yに対して式(Z=X/Y×100)で算出した拡大率Zが145%以下となっており、巻始め半径Yより小さな曲率半径の曲げが加わっても折れにくい。これにより、樹脂シート2が芯棒3bに巻きついても折れることが無く、また、樹脂シート2が幅方向で蛇行して芯棒3bに巻きつくことが無い。
【0029】
シート原反1から順次、樹脂シート2が引き出されてゆくと、シート原反1の重量が減少してゆき、樹脂シート2と芯棒3bとの接触部30における摩擦係数が小さくなって滑りが発生する。これにより、芯棒3bを回動軸としてシート原反1全体が回動し始め、樹脂シート2を終端までスムーズに引き出すことができる。
【0030】
本実施形態のシート原反1は、前述したように、その巻始め端から1周目の部分を切り出し、幅方向を垂直にして水平面上に置き、前記巻始め端及び切断端の各々を起点とした円弧長200mm〜300mmの部分の各々の曲率半径(a,b,c,d)の平均値Xを測定し、シート原反1の巻始め半径をYとし、式(Z=X/Y×100)で算出された拡大率Zが145%以下であるものなので、巻始め半径より小さい曲率半径の曲げが加わっても折れにくくなり、芯部空洞11に芯棒を挿通して架台に支持されたシート原反1から樹脂シート2を引き出す時に、樹脂シート2が芯棒に巻き付いても折れることなく引き出しを行うことが可能となる。従って、シート原反1の樹脂シート2の内、巻始め端側の樹脂シート2を無駄にすることなく、効率良く使用することができる。
また、樹脂シート2が幅方向で蛇行して芯棒に巻きつくことが無く、樹脂シートの破片等が成形品内に混入するのを防止することができる。
以下、実施例により本発明の効果を実証する。
【実施例】
【0031】
実施例1〜6、比較例1と2に示す通り作製したシート原反を用い、それぞれの曲率半径を測定し、さらにそれぞれを成形機にセットして実用試験を行って、拡大率Zと巻始め端の不良発生との関係を調べた。
【0032】
[巻始め半径Yの測定条件]
シート原反の巻始め半径Yを、次の(1)〜(4)に従って測定した。測定は雰囲気温度23℃の室内とした。
(1)シート原反を立てた状態(図1)で、その上面において、シート原反芯部の樹脂シートに、巻始め端21から200mm〜300mm区間の両端に目印(符号e、f)を付し、この区間100mm長における曲率半径を求め、初期半径R1とした。
(2)シート原反芯部1周分の樹脂シートにおいて、巻始め端21から芯部1周分の94%長さの位置(符号n)を起点として、巻始め端21側に戻る200mm〜300mm区間の両端に目印(符号g、h)を付し、この区間100mm長さにおける曲率半径を求め、初期半径R2とした。
(3)初期半径R1、R2は、写真撮影したシート原反芯部の樹脂シートの画像を原寸に換算して求めた。原寸に換算する方法としては、予め長さが分かっている比較物(30cm定規)とともに写真撮影する方法を用いた。
(4)巻始め半径Yを、式[Y=(初期半径R1+初期半径R2)/2]で算出した。
【0033】
[曲率半径Xと拡大率Zの測定条件]
シート原反芯部1周分の樹脂シートを、巻始め端21から94%長さの位置(符号nを付した目印の位置)である切断端22から切り出し、切り出しシート20を、水平に置いた平滑で透明なガラス板からなる平台6の上に立てる。この時、初期半径R1、R2を測定する時につけた表示(符号e、f、g、h)のある一端部を上端23とし、他端部を下端24として立てる。また、切り出しシート20の下端24にも、巻始め端21から200mm〜300mm区間の両端に目印(符号i、j)を付し、94%長さに切り出した切断端22から200mm〜300mm区間の両端にも目印(符号k、m)を付しておく。囲気温度23℃の部屋で、切り出しシート20を立てた状態で10分間静置させた後、以下の測定を行う。
(1)切り出しシートの目印e、f(上端23)間の曲率半径a、及び目印i、j(下端24)間の曲率半径bの曲率半径の平均P1(巻始め端側の平均)を求めた。
(2)切り出しシートの目印g、h(上端23)間の曲率半径c、及び目印k、m(下端24)間の曲率半径dの曲率半径の平均P2(切断端側の平均)を求めた。
(3)曲率半径(a,b,c,d)は、写真撮影した切り出しシート20の画像を原寸に換算して求めた。原寸に換算する方法としては、予め長さが分かっている比較物(30cm定規)とともに写真撮影する方法を用いた。
(4)切り出し後の曲率半径の平均値Xとして、式[X=(平均P1+平均P2)/2]で算出した。
(5)切り出し後の拡大率Z(%)を、式[Z=(平均曲率半径X/巻始め半径Y)×100]で算出した。
【0034】
[実用試験]
シート原反を、図3に示したような成形機を用いて実用試験を行い、以下の評価基準で合否判定(○×で表記)した。
(1)○:芯部において、樹脂シートの折れが発生せず、折れ跡もなく、シート原反の芯部まで製品として使用できた。
(2)×:芯部において、樹脂シートの折れが発生して折れ跡が残ったため、シート原反の芯部は製品として使用できなかった。又は、芯部で樹脂シートの折れが発生し、樹脂シートが蛇行して芯棒に巻き付き、芯部空洞からはみ出した樹脂シートが破断した。
【0035】
[実施例1]
幅1047mm、平均厚さ2.3mm、坪重量250g/m、密度0.109g/cmのポリスチレン系樹脂発泡シート(積水化成品工業株式会社製 品番G−500J)の片面に、押出機内で溶融させたハイインパクトポリスチレン系樹脂(東洋スチレン社製、E−641N)を、押出機先端のTダイ(図4の押出部51)より平均厚さ0.15mmのフィルム状に押出したものを、25℃の冷却水を通水したロールを通過させて積層し、その樹脂積層シートを温調ゾーン(図4の温調ゾーン52)に導入し、巻取り機でハイインパクトポリスチレンフィルム面を内側にして、直径250mmの27℃の円筒状の巻軸(図4の巻軸54)に巻きつけ、長さ300mでカット後、巻軸から抜き取り、ポリスチレン系樹脂発泡積層シートからなる本発明のシート原反を得た。得られたシート原反は、外径1010mm、高さ1047mm、重量128kgであった。この時、温調ゾーン入口(図4の入口52a)の温度を70℃、出口(図4の出口52b)の温度を60℃に設定して行った。巻軸に巻き取られる手前の樹脂シート表面温度(巻取り樹脂シート温度)は42℃であった。
得られたシート原反を立てた状態で雰囲気温度23℃の部屋に3日間静置した後に、「巻始め半径」、「切り出し後の平均曲率半径」、「拡大率」を測定したところ、以下の通りであった。
【0036】
(1)初期半径は、R1=125mm、R2=124mmであった。
(2)巻始め半径Yは、式((125+124)/2)により、125mmであった。
(3)切り出しシートの曲率半径P1は、式((156(上)+154(下))/2)により、155mmであった。
(4)切り出しシートの曲率半径P2は、式((158(上)+155(下))/2)により、157mmであった。
(5)切り出し後の平均曲率半径Xは、式((155+157)/2)により、156mmであった。
(6)拡大率Zは、式((156/125)×100)により、125%であった。
得られたシート原反を立てた状態で雰囲気温度23℃の部屋に7日間静置した後に、同様の測定を実施したところ、拡大率Z=120%となり、3日〜7日の間に5%の低下があった。
得られたシート原反を立てた状態で雰囲気温度23℃の部屋に30日間静置した後に、同様の測定を実施したところ、拡大率Z=120%であり、7日以降はほとんど変化しなかった。
このシート原反を使用して成形機による実用試験を行ったところ、3日静置品、7日静置品、30日静置品共に、樹脂シートの折れが発生せず、折れ跡がなく、芯部(巻始め端)まで製品として使用できた。評価は○であった。この結果を表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
[実施例2]
温調ゾーンの入口温度を65℃、出口温度を55℃に設定した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂発泡積層シートからなる本発明のシート原反を得た。巻軸に巻き取られる手前の樹脂シート表面温度は40℃であった。得られたシート原反は、外径、高さ、重量とも実施例1と同じであった。
実施例1と同様の方法で3日静置品、7日静置品、30日静置品の「巻始め半径Y」、「切り出しシートの平均曲率半径X」、「拡大率Z」を測定し、結果を表1に示した。いずれも「拡大率Z」は3日〜7日の間に5%低下し、7日以降はほとんど変化しなかった。
このシート原反を使用して成形機による実用試験を行ったところ、3日静置品、7日静置品、30日静置品共に、樹脂シートの折れが発生せず、折れ跡がなく、芯部まで製品として使用できた。評価は○であった。結果を表1に示す。
【0039】
[実施例3]
温調ゾーンの入口温度を65℃、出口温度を50℃に設定した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂発泡積層シートからなる本発明のシート原反を得た。巻軸に巻き取られる手前の樹脂シート表面温度は38℃であった。得られたシート原反は、外径、高さ、重量とも実施例1と同じであった。
実施例1と同様の方法で3日静置品、7日静置品、30日静置品の「巻始め半径Y」、「切り出しシートの平均曲率半径X」、「拡大率Z」を測定し、結果を表1に示した。いずれも「拡大率Z」は3日〜7日の間に4%低下し、7日以降はほとんど変化しなかった。
このシート原反を使用して成形機による実用試験を行ったところ、3日静置品、7日静置品、30日静置品共に、樹脂シートの折れが発生せず、折れ跡がなく、芯部まで製品として使用できた。評価は○であった。結果を表1に示す。
【0040】
[実施例4]
温調ゾーンの入口温度を60℃、出口温度を45℃に設定した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂発泡積層シートからなる本発明のシート原反を得た。巻軸に巻き取られる手前の樹脂シート表面温度は35℃であった。得られたシート原反は、外径、高さ、重量とも実施例1と同じであった。
実施例1と同様の方法で3日静置品、7日静置品、30日静置品の「巻始め半径Y」、「切り出しシートの平均曲率半径X」、「拡大率Z」を測定し、結果を表1に示した。いずれも「拡大率Z」は3日〜7日の間に5%低下し、7日以降はほとんど変化しなかった。
このシート原反を使用して成形機による実用試験を行ったところ、3日静置品、7日静置品、30日静置品共に、樹脂シートの折れが発生せず、折れ跡がなく、芯部まで製品として使用できた。評価は○であった。結果を表1に示す。
【0041】
[実施例5]
温調ゾーンの入口温度を50℃、出口温度を40℃に設定した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂発泡積層シートからなる本発明のシート原反を得た。巻軸に巻き取られる手前の樹脂シート表面温度は33℃であった。得られたシート原反は、外径、高さ、重量とも実施例1と同じであった。
実施例1と同様の方法で3日静置品、7日静置品、30日静置品の「巻始め半径Y」、「切り出しシートの平均曲率半径X」、「拡大率Z」を測定し、結果を表1に示した。いずれも「拡大率Z」は3日〜7日の間に6%低下し、7日以降はほとんど変化しなかった。
このシート原反を使用して成形機による実用試験を行ったところ、3日静置品、7日静置品、30日静置品共に、樹脂シートの折れが発生せず、折れ跡がなく、芯部まで製品として使用できた。評価は○であった。結果を表1に示す。
【0042】
[実施例6]
直径300mmの円筒状の巻軸に樹脂シートを巻きつけ、温調ゾーン入口の温度を50℃、出口の温度を40℃に設定した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂発泡積層シートからなる本発明のシート原反を得た。巻軸に巻き取られる手前の樹脂シート表面温度は33℃であった。得られたシート原反は、外径1020mm、高さ1047mm、重量128kgであった。
実施例1と同様の方法で3日静置品、7日静置品、30日静置品の「巻始め半径Y」、「切り出しシートの平均曲率半径X」、「拡大率Z」を測定した結果を表1に示した。「拡大率Z」は3日〜7日の間に5%低下し、7日以降はほとんど変化しなかった。
このシート原反を使用して成形機による実用試験を行ったところ、3日静置品、7日静置品、30日静置品共に、樹脂シートの折れが発生せず、折れ跡がなく、芯部まで製品として使用できた。評価は○であった。結果を表1に示す。
【0043】
[比較例1]
樹脂シートを温調ゾーンに導入しなかった以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂発泡積層シートからなる従来のシート原反を得た。巻軸に巻き取られる手前のシート表面温度は27℃であった。得られたシート原反は、外径、高さ、重量とも実施例1と同じであった。
実施例1と同様の方法で3日静置品、7日静置品、30日静置品の「巻始め半径Y」、「切り出しシートの平均曲率半径X」、「拡大率Z」を測定した結果を表1に示した。「拡大率Z」は3日〜7日の間に、168%から160%へと8%低下し、7日以降はほとんど変化しなかった。
このシート原反を使用して成形機による実用試験を行ったところ、3日静置品、7日静置品、30日静置品共に、樹脂シートの折れが発生し、折れ跡が残ったため、芯部は製品として使用できなかった。評価は×であった。結果を表1に示す。
【0044】
[比較例2]
直径300mmの円筒状の巻軸に樹脂シートを巻きつけ、樹脂シートを温調ゾーンに導入しなかった以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂発泡積層シートからなる従来のシート原反を得た。巻軸に巻き取られる手前の樹脂シート表面温度は27℃であった。得られたシート原反は、外径1020mm、高さ1047mm、重量128kgであった。
実施例1と同様の方法で3日静置品、7日静置品、30日静置品の「巻始め半径Y」、「切り出しシートの平均曲率半径X」、「拡大率Z」を測定した結果を表1に示した。「拡大率Z」は3日〜7日の間に、166%から160%へと6%低下し、7日以降はほとんど変化しなかった。
このシート原反を使用して成形機による実用試験を行ったところ、3日静置品、7日静置品、30日静置品共に、樹脂シートの折れが発生し、折れ跡が残ったため、芯部は製品として使用できなかった。評価は×であった。結果を表1に示す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の熱可塑性樹脂シート原反の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の熱可塑性樹脂シート原反における曲率半径X及び拡大率Zの測定条件を説明する図であり、(a)は樹脂シートを切り出して静置した際の斜視図、(b)は平面図である。
【図3】本発明の熱可塑性樹脂シート原反を用いた成形加工の一例を説明する概略図である。
【図4】本発明の熱可塑性樹脂シート原反を得る処理工程の一例を説明する概略図である。
【図5】本発明の熱可塑性樹脂シート原反の一例を説明する図であり、(a)〜(d)はシート原反の回動に伴う樹脂シートの変化を示す要部拡大図である。
【図6】従来の熱可塑性樹脂シート原反を説明する図であり、(a)〜(d)はシート原反の回動に伴う樹脂シートの折れ発生のメカニズムを順に示す要部拡大図である。
【図7】従来の熱可塑性樹脂シート原反における蛇行現象を例示する斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1…シート原反、11…芯部空洞、2…樹脂シート、20…切り出しシート、21…巻始め端、22…切断端、23…上端、24…下端、54…巻軸、6…平台、a、b、c、d…曲率半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定幅で長尺の熱可塑性樹脂シートが巻軸を外したロール状に巻回されてなる熱可塑性樹脂シート原反であって、
前記シート原反の巻始め端から1周目の部分を切り出し、幅方向を垂直にして水平面上に置き、
前記巻始め端及び切断端の各々を起点とした円弧長200mm〜300mmの部分の各々の曲率半径(a,b,c,d)の平均値Xを測定し、シート原反の巻始め半径をYとし、次式(1)
Z=X/Y×100 ・・・(1)
で算出された拡大率Zが145%以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂シート原反。
【請求項2】
前記巻始め半径Yが100〜165mmであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂シート原反。
【請求項3】
前記シート原反の総重量が60〜160kgであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂シート原反。
【請求項4】
前記シートは熱可塑性樹脂発泡シートであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の熱可塑性樹脂シート原反。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂発泡シートはポリスチレン系樹脂発泡シートであることを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性樹脂シート原反。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂発泡シートは、熱可塑性樹脂発泡シートの少なくとも片面に1層以上の非発泡樹脂層が積層された熱可塑性樹脂発泡積層シートであることを特徴とする請求項4又は5に記載の熱可塑性樹脂シート原反。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂発泡積層シートは、ポリスチレン系樹脂発泡シートの少なくとも片面にハイインパクトポリスチレン系樹脂の非発泡樹脂層が積層されたポリスチレン系樹脂発泡積層シートであることを特徴とする請求項6に記載の熱可塑性樹脂シート原反。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−142750(P2006−142750A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338816(P2004−338816)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】