説明

熱可塑性樹脂押出発泡体及びその製造方法

【課題】気泡核形成剤としてPTFE粉末を添加した発泡体において、発泡体圧縮の際の独立気泡率の低下が少なく、気泡膜が均一で外観が良質の熱可塑性樹脂押出発泡体を提供すること。
【解決手段】平均気泡径が0.4〜2.2mmであり、かつ、発泡体密度が10〜110kg/mの熱可塑性樹脂発泡体であって、ポリテトラフルオロエチレン粉末が熱可塑性樹脂100重量部に対し0.01〜1.0重量部添加されており、そのポリテトラフルオロエチレン粉末の平均粒径が0.5μm以上、発泡体の平均気泡膜厚みの1倍未満であることを特徴とする熱可塑性樹脂押出発泡体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業製品等の緩衝包装材、住宅等の断熱材、ボディボート等のスポーツ用具芯材などに有用に使用される、ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEという)粉末を含有した熱可塑性樹脂押出発泡体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック発泡体を製造するにあたり、発泡剤が使用されるが、近年オゾン層破壊や地球温暖化の見地から、その発泡剤がフロン系発泡剤から炭化水素(C〜C)系発泡剤に転換されつつある。押出発泡による熱可塑性樹脂発泡体製造時には、その気泡径を調整する目的で気泡核形成剤を添加する方法が一般的であり、周知の気泡核形成剤としてタルク、雲母、シリカ、珪酸カルシウム、脂肪族金属塩などがあげられる。炭化水素系の発泡剤で発泡した場合、発泡剤の沸点が一般的にフロン系発泡剤に比べ高いため、その気泡径はフロン系発泡剤に比べ大きくなる。よって、同じ発泡倍率で同じ気泡径の発泡体を得るには多量の気泡核形成剤が必要となり、発泡体中のその含有量の増加により、発泡体の物性の低下を招くに至る。
【0003】
少量の添加量で均質微細な気泡径の発泡体を得る方法として、ポリ四フッ化エチレンを添加する方法(特許文献1)(特許文献2)がある。しかしながら、特許文献1の方法で得られる発泡体の平均気泡径は0.16〜0.35mmと非常に小さく、一般的な板状押出発泡体の気泡径に比べても小さい。そのため、板状の押出発泡体の気泡膜厚みに対し、添加したポリ四フッ化エチレンの粒子径5〜40μmは大きいものとなる。熱可塑性樹脂に添加したPTFE粉末はその樹脂との界面がほとんど接着されないことから、セル膜中で樹脂とPTFE粉末との界面の剥離が非常に容易となり、特許文献1のように、発泡体の気泡膜に対し粒径の大きいPTFE粉末が存在すると、界面剥離により気泡膜強度の低下や気泡膜の破壊による連続気泡化が起こりやすくなり、発泡体の物性低下につながる。特に発泡体を圧縮した場合、その影響は大きい。特許文献2には、フッ素樹脂粉末の粒径が0.1〜0.5μmの粒子の合計頻度は少なくとも50数量%であり、且つ粒径5μm以上の合計頻度は40数量%以下であるフッ素樹脂粉末にて構成されてなることを特徴とする発泡用成核剤が開示されている。しかしながら、該発泡用成核剤は、粒度分布が広く、自重や外圧により凝集が進行しやすいため、取り扱いしにくく、粒径の管理もしにくい問題や、樹脂へ添加する際、押出機の混練強度によって、凝集された粒子の分散レベルが異なるので、該発泡体の気泡径の調整が難しいという問題がある。また、特許文献2の実施例は平均気泡径が0.2〜0.5mmと小さいが、平均気泡径をさらに大きくした場合、均一な気泡径が得られない問題もある。
【特許文献1】特許第2908973号公報
【特許文献2】特許第3457543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、気泡核形成剤としてPTFE粉末を添加した発泡体において、発泡体圧縮の際の、気泡膜の破膜による独立気泡率の低下を抑えることで発泡体圧縮による圧縮回復性の低下を抑制するとともに、気泡径が均一で外観が良質の熱可塑性樹脂押出発泡体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、前記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、特定の平均粒径であるPTFE粉末を気泡核形成剤として使用して、特定の平均気泡径と発泡体密度を持つ押出発泡厚板状発泡体とすることで上記課題が解決されることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
(1)平均気泡径が0.4〜2.2mmであり、かつ、発泡体密度が10〜110kg/mの熱可塑性樹脂押出発泡体であって、ポリテトラフルオロエチレン粉末が熱可塑性樹脂100重量部に対し0.01〜1.0重量部添加されており、そのポリテトラフルオロエチレン粉末の平均粒径が0.5μm以上、発泡体の平均気泡膜厚みの1倍未満であることを特徴とする熱可塑性樹脂押出発泡体。
(2)平均気泡径が0.7〜2.0mmであり、かつ、発泡体密度が35〜110kg/mであって、添加されているポリテトラフルオロエチレン粉末の平均粒径が3μm以上、該熱可塑性樹脂押出発泡体平均気泡膜厚みの0.5倍未満の大きさであることを特徴とする(1)記載の熱可塑性樹脂押出発泡体。
(3)ポリテトラフルオロエチレン粉末の平均粒径が3〜5μmであることを特徴とする(2)記載の熱可塑性樹脂押出発泡体。
(4)ポリテトラフルオロエチレン粉末が、懸濁重合法または、塊状重合法によって重合されたものであり、かつ焼成処理されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡体。
(5)発泡剤として炭素数が3〜6の炭化水素を用いることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡体の製造方法。
(6)発泡剤がノルマルブタンであることを特徴とする(5)記載の熱可塑性樹脂押出発泡体の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の、PTFE粉末が添加された熱可塑性樹脂押出発泡体は、気泡膜が均一で外観が良質であるとともに、発泡体を圧縮しても、気泡膜の破膜による独立気泡率の低下を抑えることで発泡体の圧縮回復性が低下しない性能を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明について、特にその好ましい実施態様を中心に、以下具体的に説明する。
本発明における熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン単独重合体、ポリプロピレン単独重合体、ポリブテン単独重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ブテン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、脂肪族ポリエステル、脂肪族芳香族ポリエステル等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いるほか、適宜混合して用いることもできる。
【0008】
本発明における発泡剤としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、クロロエタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。さらに、これら可燃性発泡剤に炭酸ガス、窒素、1,1,1,2−テトラフルオロエタン等の不燃性の発泡剤を混合することも出来る。また、これらの発泡剤の添加量を調節することで得られる発泡体の密度を任意に制御することができる。好ましい発泡剤としては、炭素数が3〜6の炭化水素であり、近年のオゾン層破壊、地球温暖化の見地という環境保護の面からと、発泡効率が良好で少量の添加で高い発泡倍率が得られるという面で好ましい。特に好ましいのはノルマルブタンである。ノルマルブタンは、発泡性が良好であるとともに、発泡体からの逸散が早く、早期に燃焼範囲下限濃度(1.8vol%)未満までガス濃度が低下し、安全な発泡体を作ることができる。
【0009】
本発明の発泡体の密度は、10〜110kg/mである。好ましくは35〜110kgである。発泡体の密度が、10kg/m以上だと、発泡剤の樹脂への溶解度と発泡効率から良好な発泡体が得られ、110kg/m以下であれば、気泡径が大きく均一な発泡体が得られやすい。発泡体の密度35〜110kg/mでは発泡体外観が特に良く、特に好ましい。
本発明では、気泡核形成剤としてPTFE粉末を使用するが、必要に応じてPTFE粉末以外の一般に使用されている気泡核形成剤を併用してもよい。この気泡核形成剤としては、例えば、タルクのような無機物質、あるいは押出機の温度で分解して分解ガスを発生するような化学発泡剤、またはその温度で反応して炭酸ガスを発生する酸とアルカリの混合物のようなものである。
【0010】
本発明においては、発泡体の体積収縮を防止するために、ガス透過調整剤を使用する方が好ましい。具体的には、公知のガス透過調整剤、例えば、パルミチン酸グリセリド、ステアリン酸グリセリド等の脂肪酸グリセリド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリルステアリン酸アミド等のアルキル脂肪酸アミドが挙げられる。これらのガス透過調整剤は単独で用いるほか、適宜混合して用いることができる。
さらに、本発明においては、必要に応じて、混合樹脂に対し帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤等の添加剤も添加することもできる。
本発明の発泡体の製造方法は、押出機内で樹脂、発泡剤、気泡核形成剤、必要に応じてガス透過調整剤、その他の添加剤を加圧下で溶融混練した後、適正な発泡温度まで冷却して得られた発泡性溶融混合物を押出機先端に取り付けたダイスを通して大気圧下に押し出して発泡させることによるものである。
【0011】
本発明の発泡体に添加するPTFE粉末は、その平均粒径が0.5μm以上、発泡体平均気泡膜厚みの1倍未満のものを用いる。好ましくは平均粒径が3μm以上、当該発泡体平均気泡膜厚みの0.5倍以下である。更に好ましくは、3〜5μmである。PTFE粉末の平均粒径が0.5μm以上あれば発泡体内で凝集することなく、均一に分散ができ好ましい。気泡膜中におけるPTFE粉末と樹脂界面はほとんど融着されないため、PTFE粉末の平均粒径が発泡体平均気泡膜厚みの1倍未満の場合、気泡膜形成時に破膜による気泡の連通化をすることなく、均一的な気泡径の発泡体を得ることができる。また、発泡体圧縮時の破膜による独立気泡率の低下も少なくなり好ましい。更に、発泡体平均気泡膜厚みの0.5倍以下の場合、PTFE粉末含有部分の気泡膜は、圧縮に対し充分な強度を有し、好ましい。
【0012】
本発明の発泡体に添加するPTFE粉末は、塊状重合、または、懸濁重合によって製造され、かつ、焼成されたPTFE粉末が好ましい。PTFE粉末の焼成条件は未焼成時のPTFE粉末の融点340℃以上で行われ、360℃〜380℃の温度範囲がより好ましい。これらのPTFE粉末は、粉末粒子同士が凝集しにくく、分散もしやすい。また粒子が硬いため、押出機による該樹脂との混練後の粒径の変化がなく好ましい。
本発明の発泡体の平均気泡径は、0.4〜2.2mmである。好ましくは0.7mm〜2.0mmである。平均気泡径が0.4mm以上だと充分な気泡膜厚みが得られるため、発泡中に気泡が破泡することなく、均一な気泡径の発泡体が得られる。平均気泡径が2.2mm以下では発泡体の外観が良好となる点で好ましい。本発明のPTFE粉末の添加量は熱可塑性樹脂100重量部に対し0.01重量部〜1.0重量部である。好ましくは、0.05〜1.0重量部である。0.01重量部以上の場合、樹脂に対し安定的に添加することが出来、均一な核形成効果が得られ、1.0重量部以下の場合は、添加量に見合った核形成効果が得られ好ましく、更には気泡膜中のPTFE粒子密度が低く好ましい。発泡体の気泡径を制御するには、気泡核形成剤の添加量を適宜調整することにより制御できる。
【実施例】
【0013】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明の内容をこれらの実施例に限定するものではない。実施例に示された値は次の方法により測定したものである。
(1)発泡体密度(JIS K 6767準拠法)
発泡体の幅方向に5等分した各位置から全厚み方向に切り出した物(サンプルサイズ20mm×20mm×厚み25mm)について質量及び体積を測定し、次式により密度を算出し、5点の密度の平均値を発泡体密度とした。
発泡体密度(kg/m)=発泡体質量(kg)/発泡体体積(m
(2)発泡体の平均気泡径
発泡体の中央部から試験片をカットし、カット面に発泡体の押出方向、幅方向、厚み方向に沿ってL(mm)の直線を引き、これらの直線に接触している気泡の数を数え、次式により押出方向、幅方向、厚み方向の気泡径を算出し、更に3方向の平均値を平均気泡径とした(グリッドライン法)。
各方向の気泡径(mm)=1.626×L/気泡数
(3)PTFE粉末の平均粒径
粒径の測定にはマイクロトラックFRA(商品名)(日機装株式会社製)によるレーザー回折散乱法にて測定し、粒径頻度の積算値50%の粒度を平均粒径とした。
【0014】
(4)発泡体の独立気泡率測定と圧縮による独立気泡率の影響評価
発泡体内部の発泡ガスが抜けた後、圧縮しない当該発泡体と厚み方向に60%圧縮した当該発泡体の2つを用意し、25℃の環境下で24時間放置し、ASTM−D2856に記載されているエアーピクノメーター法(東京サイエンス(株)製、空気比較式比重系1000型(商品名)使用)にてn=5の平均で独立気泡率を測定算出し、以下の基準にて評価した。
独立気泡率(%)=独立気泡部体積(cm)/発泡体見かけ体積(cm)×100
圧縮速度条件:10mm /分
(圧縮後の独立気泡率/圧縮前の独立気泡率)×100 (%)
◎:圧縮前の独立気泡率の95%以上を有する。
○:圧縮前の独立気泡率の90%以上を有する。
×:圧縮前の独立気泡率の90%未満となる。
(5)平均気泡膜厚み
以下の算出式により算出した。
平均気泡膜厚み(mm) =0.46×平均気泡径(mm)×(発泡体密度/樹脂密度)
密度単位:(kg/m
【0015】
[実施例1]
150mmのバレル内径を有するスクリュー型押出機の供給領域に900kg/時間の速度で、低密度ポリエチレン(密度921kg/m、MI=2.9g/10分)を、この樹脂100重量部に対し気泡核形成剤として0.2重量部のPTFE粉末(平均粒径3.9μm、株式会社喜多村製KTL−4N(商品名))と0.8重量部のガス透過調整剤(ステアリン酸モノグリセリド)とともに供給した。押出機のバレル温度を190℃〜210℃に調整し、押出機の先端に取り付けた発泡剤注入口からn−ブタン100重量%からなる発泡剤をこの樹脂100重量部に対し7重量部を圧入し、当該溶融樹脂組成物と混合して発泡性溶融混合物とした。この発泡性溶融混合物を押出機の出口に取り付けた冷却装置で108℃まで冷却した後、約4.0mmの平均厚みと約226mm幅の開口部形状を有するオリフィスプレートより、常温、大気圧下の雰囲気中に連続的に押し出して発泡させ、樹脂発泡体の引き取り速度を調整しながら成形して、厚み62mm、幅560mm、長さ1000mm、平均気泡径1.0mm、密度38kg/mの板状樹脂発泡体を得た。この樹脂発泡体内部の発泡剤濃度が1.8vol%以下になった後、発泡体厚みの60%圧縮を実施し、圧縮前後の独立気泡率の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0016】
[実施例2]
実施例1と同様の押出機に800kg/時間の速度で、低密度ポリエチレン(密度921kg/m、MI=3.2g/10分)を、この樹脂100重量部に対し気泡核形成剤として0.5重量部のPTFE粉末(平均粒径4.2μm、株式会社喜多村製KTL−8N(商品名))と0.6重量部のガス透過調整剤(ステアリン酸モノグリセリド)とともに供給した。押出機のバレル温度を190℃〜210℃に調整し、押出機の先端に取り付けた発泡剤注入口からn−ブタン100重量%からなる発泡剤をこの樹脂100重量部に対し9.65重量部を圧入し、当該溶融樹脂組成物と混合して発泡性溶融混合物とした。この発泡性溶融混合物を押出機の出口に取り付けた冷却装置で108℃まで冷却した後、約3.6mmの平均厚みと約278mm幅の開口部形状を有するオリフィスプレートより、常温、大気圧下の雰囲気中に連続的に押し出して発泡させ、樹脂発泡体の引き取り速度を調整しながら成形して、厚み52mm、幅560mm、長さ1000mm、平均気泡径0.9mm、密度70kg/mの板状樹脂発泡体を得た。この樹脂発泡体内部の発泡剤濃度が1.8vol%以下になった後、実施例1と同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0017】
[実施例3]
実施例1と同様の押出機に650kg/時間の速度で、低密度ポリエチレン(密度921kg/m、MI=2.7g/10分)を、この樹脂100重量部に対し気泡核形成剤として0.04重量部のPTFE粉末(平均粒径3.9μm、株式会社喜多村製KTL−4N(商品名))と1.0重量部のガス透過調整剤(ステアリン酸モノグリセリド)とともに供給した。押出機のバレル温度を190℃〜210℃に調整し、押出機の先端に取り付けた発泡剤注入口からn−ブタン100重量%からなる発泡剤をこの樹脂100重量部に対し7重量部を圧入し、当該溶融樹脂組成物と混合して発泡性溶融混合物とした。この発泡性溶融混合物を押出機の出口に取り付けた冷却装置で109℃まで冷却した後、約2.5mmの平均厚みと約280mm幅の開口部形状を有するオリフィスプレートより、常温、大気圧下の雰囲気中に連続的に押し出して発泡させ、樹脂発泡体の引き取り速度を調整しながら成形して、厚み52mm、幅590mm、長さ1000mm、平均気泡径1.7mm、密度27kg/mの板状樹脂発泡体を得た。この樹脂発泡体内部の発泡剤濃度が1.8vol%以下になった後、実施例1と同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0018】
[実施例4]
添加したPTFE粉末が平均粒径9.6μm(株式会社喜多村製KTL−10N(商品名))であり、その添加量が0.25重量部、得られた発泡体の平均気泡径が1.0mmであること以外は、実施例1と同様の方法で板状樹脂発泡体を製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0019】
[比較例1]
添加したPTFE粉末が平均粒径20.4μm(株式会社喜多村製KTL−20N(商品名))であり、その添加量が0.25重量部、得られた発泡体の平均気泡径が0.9mmであること以外は、実施例1と同様の方法で板状樹脂発泡体を製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0020】
[比較例2]
添加したPTFE粉末が平均粒径20.4μm(株式会社喜多村製KTL−20N(商品名))であり、その添加量が0.8重量部、得られた発泡体の平均気泡径が0.5mmであること以外は、実施例2と同様の方法で板状樹脂発泡体を製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0021】
[比較例3]
添加したPTFE粉末が平均粒径20.4μm(株式会社喜多村製KTL−20N(商品名))であり、その添加量が0.02重量部、得られた発泡体の平均気泡径が1.4mmであること以外は、実施例3と同様の方法で板状樹脂発泡体を製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、工業製品等の緩衝包装材、住宅等の断熱材、ボディボート等のスポーツ用具芯材などに好適に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均気泡径が0.4〜2.2mmであり、かつ、発泡体密度が10〜110kg/mの熱可塑性樹脂押出発泡体であって、ポリテトラフルオロエチレン粉末が熱可塑性樹脂100重量部に対し0.01〜1.0重量部添加されており、そのポリテトラフルオロエチレン粉末の平均粒径が0.5μm以上、発泡体の平均気泡膜厚みの1倍未満であることを特徴とする熱可塑性樹脂押出発泡体。
【請求項2】
平均気泡径が0.7〜2.0mmであり、かつ、発泡体密度が35〜110kg/mであって、添加されているポリテトラフルオロエチレン粉末の平均粒径が3μm以上、該熱可塑性樹脂押出発泡体平均気泡膜厚みの0.5倍未満の大きさであることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂押出発泡体。
【請求項3】
ポリテトラフルオロエチレン粉末の平均粒径が3〜5μmであることを特徴とする請求項2記載の熱可塑性樹脂押出発泡体。
【請求項4】
ポリテトラフルオロエチレン粉末が、懸濁重合法または、塊状重合法によって重合されたものであり、かつ焼成処理されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡体。
【請求項5】
発泡剤として炭素数が3〜6の炭化水素を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡体の製造方法。
【請求項6】
発泡剤がノルマルブタンであることを特徴とする請求項5記載の熱可塑性樹脂押出発泡体の製造方法。

【公開番号】特開2006−77218(P2006−77218A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265971(P2004−265971)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(303046266)旭化成ライフ&リビング株式会社 (64)
【Fターム(参考)】