説明

熱可塑性樹脂組成物およびこれを成形して得られる成形体

【課題】アクリル樹脂の透明性及び耐傷付き性を維持したまま、耐衝撃性を向上させる。
【解決手段】アルミニウム系無機化合物(a1)の存在下でビニル単量体(a2)を重合して得られる無機化合物含有重合体(A)、グラフト共重合体(B)及び熱可塑性樹脂(C)を含有する熱可塑性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物およびこれを成形して得られる成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂は、自動車、家電、OA機器等の材料として広く使用されており、この中でもアクリル樹脂は、透明性に優れる特長を活かして適用されている。
近年、情報通信機器等の小型化が進み、携帯用の製品が増えているため、アクリル樹脂に対して、厳しい使用条件への適応が求められている。例えばアクリル樹脂を情報通信機器の前面板に用いる場合、透明性に加えて、耐傷付き性及び耐衝撃性が重視される。
【0003】
アクリル樹脂の耐衝撃性を向上させるため、樹脂中にゴム成分を分散させる方法が提案されている(特許文献1)。この方法では、アクリル樹脂の耐衝撃性が向上するが、成形体表面の耐傷付き性が低下するという課題を有している。
【0004】
アクリル樹脂の成形体表面の耐傷付き性を向上させるため、樹脂中に無機フィラーを分散させる方法が提案されている(特許文献2)。この方法では、成形体表面の耐傷付き性が向上するが、透明性、耐衝撃性が低下するという課題を有している。
特許文献2には、無機フィラーを有機物と複合化することで透明性の低下を抑制することも提案されている。しかしながら、樹脂中に複合化した無機フィラーを分散させた場合でも、耐衝撃性が低下するという課題を有している。ここにゴム成分を配合した場合でも、耐衝撃性の低下の抑制は充分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2005/095480号パンフレット
【特許文献2】特開平10−182841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、アクリル樹脂の透明性及び耐傷付き性を維持したまま、耐衝撃性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、アルミニウム系無機化合物の存在下でビニル単量体を重合して得られた無機化合物含有重合体とグラフト共重合体を熱可塑性樹脂に配合することにより、透明性、耐傷付き性及び耐衝撃性のバランスが良好となることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
1.アルミニウム系無機化合物(a1)の存在下でビニル単量体(a2)を重合して得られる無機化合物含有重合体(A)、グラフト共重合体(B)及び熱可塑性樹脂(C)を含有する熱可塑性樹脂組成物;
2.無機化合物含有重合体(A)が、アルミニウム無機化合物(a1)を含む水分散液中で、ビニル単量体(a2)を重合して得られるものである、上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物;
3.熱可塑性樹脂(C)がアクリル樹脂である、上記1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物;および
4.上記1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体
を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いれば、透明性、耐傷付き性及び耐衝撃性のバランスが良好となる成形体を得ることができる。
本発明の成形体は、透明性、耐傷付き性及び耐衝撃性のバランスが良好である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いる無機化合物含有重合体(A)は、アルミニウム系無機化合物(a1)の存在下で、ビニル単量体(a2)を重合して得られる。重合の一態様として、ビニル単量体(a2)にアルミニウム系無機化合物(a1)を分散させた状態で重合を開始する方法が挙げられる。別態様として、ビニル単量体(a2)を有機溶剤に溶解させ、その溶液中にアルミニウム系無機化合物(a1)を分散させた状態で重合を開始する方法が挙げられる。さらに別の態様として、ビニル単量体(a2)とアルミニウム系無機化合物(a1)を共に水等の媒体中に分散させた状態で重合を開始する方法が挙げられる。無機化合物含有重合体(A)を得る方法としては、アルミニウム系無機化合物(a1)を含む水分散液中で、ビニル単量体(a2)を重合することが好ましい。
【0010】
アルミニウム系無機化合物(a1)としては、例えば、アロフェン、イモゴライト及びハロイサイトから選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。アロフェン、イモゴライト及びハロイサイトは火山灰土壌中に風化生成物として得られる天然物、又は合成されたものを用いることができる。得られる成形体の成形外観、表面硬度、帯電防止性、結晶性等が優れることから、人工的に合成されたアロフェン及びイモゴライトが好ましい。
【0011】
アルミニウム系無機化合物(a1)は、球状(粒状)、針状(繊維状)、板状のような形状のものを用いることができる。特に、アロフェンは球状(粒状)を、イモゴライト及びハロイサイトは針状(繊維状)を有する傾向にある。
形状が球状(粒状)である場合、平均粒子径は、好ましくは1nm〜1μmであり、より好ましくは1〜100nmであり、更に好ましくは1〜50nmである。本願発明では、平均粒子径は、アルミニウム系無機化合物(a1)を脱イオン水に分散させ、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した、50%体積平均粒子径を意味する。
形状が針状(繊維状)である場合、アスペクト比5〜10,000を有することが好ましい。具体的には、繊維形状の平均口径は、好ましくは0.5〜100nmであり、より好ましくは0.5〜20nmであり、更に好ましくは0.5〜5nmである。繊維形状の平均長さ(長手方向の平均長さ)は、好ましくは5nm〜200μmであり、より好ましくは10nm〜100μmであり、更に好ましくは10nm〜50μmである。
【0012】
アロフェン、イモゴライト及びハロイサイトを合成する方法としては、例えば、オルト珪酸ナトリウムと塩化アルミニウムの反応が挙げられる。
このような反応は、水溶液中において、弱酸性で、必要に応じて加熱しながら行なうことができる。また、反応生成物は、必要に応じて、濃縮、洗浄、乾燥して用いることができる。
例えば、反応後の水溶液を弱アルカリ性にして、生成物を沈降させ、上澄み液を分離することができる。また、凍結乾燥を行なって、固形物として取り出すこともできる。
【0013】
尚、本発明で得られる無機化合物含有重合体(A)の製造工程での安定性、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形外観及び物性が良好となることから、反応生成物は、濃縮、洗浄、乾燥操作を行なわずに、反応後の弱酸性水溶液のままで、次の工程に用いることが好ましい。
【0014】
生成物がアロフェン、イモゴライト又はハロイサイトであることを確認する方法としては、例えば、X線回折、透過型電子顕微鏡(TEM)、赤外吸収スペクトル(IR)の測定が挙げられる。
X線回折の測定では、回折角(2θ)6°、11°、16°付近に、イモゴラト特有のピークを確認することができる。TEMの観察では、アロフェンの場合には直径約5nmの粒子が凝集した形態を、イモゴライトの場合には繊維が凝集した形態を確認することができる。IRの測定では、Si−O−Al結合に由来する900〜1000cm−1付近の吸収を確認することができる。
【0015】
アロフェン、イモゴライト及びハロイサイトはリン酸系化合物で予め処理したものであることが好ましい。リン酸系化合物での処理とは、例えば、アロフェン、イモゴライト又はハロイサイトを含む水分散液中に、リン酸系化合物を添加することにより行なうことができる。リン酸系化合物としては、後述するリン酸系化合物(a3)として例示されるものを用いることができる。リン酸系化合物による予備処理を施すことにより、得られる熱可塑性樹脂組成物中でのアルミニウム系無機化合物(a1)の分散性を向上させ、ひいてはその成形体の耐表面傷付き性、帯電防止性、耐熱変形性を改善することができる。
【0016】
本発明に用いるビニル単量体(a2)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその塩酸塩、シアノエチル(メタ)アクリレート、シアノブチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素化(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド単量体が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0017】
これらの中では、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリルが、得られる成形体の成形外観、表面硬度、結晶性等が優れることから好ましく、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリルがより好ましい。ここで、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを示し、(メタ)アクリル酸はアクリル酸又はメタクリル酸を示す。
【0018】
アルミニウム系無機化合物(a1)を含む水分散液中で、ビニル単量体(a2)を重合する際には、水分散液中にリン酸系化合物(a3)を共存させることが好ましい。リン酸系化合物を共存させることにより、アルミニウム系無機化合物(a1)がリン酸系化合物で予備処理されることで、得られる熱可塑性樹脂組成物中でのアルミニウム系無機化合物(a1)の分散性を向上させ、ひいてはその成形体の耐表面傷付き性、帯電防止性、耐熱変形性を改善することができる。
リン酸系化合物(a3)としては、リン酸基を有するものであれば、無機化合物、有機化合物いずれでもよく、リン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩等のリン酸塩、有機ヒドロキシ化合物のリン酸モノエステル又はリン酸ジエステルが好ましい。
【0019】
リン酸系化合物(a3)としてのリン酸エステルの生成に用いる有機ヒドロキシ化合物としては、例えば、ビニル基含有アルコール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、シクロペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、シクロヘプタノール、オクタノール、シクロオクタノール、ノナノール、デカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ヘプタデカノール、メトキシエタノール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロプロパノール、フェノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコールが挙げられる。これらの中では、ビニル基含有アルコールが、得られる成形体の成形外観、表面硬度、結晶性等が優れることから好ましい。かかるビニル基含有アルコールとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0020】
これらの有機ヒドロキシ化合物を用いて得られるリン酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとリン酸とからなるモノエステル及びジエステル、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとリン酸からなるモノエステル及びジエステルが好ましい。
【0021】
リン酸系化合物(a3)として使用できる市販品として、例えば、ホスマーM、ホスマーPE、ホスマーP(以上、ユニケミカル(株)製);JPA−514、JPA−514M(以上、城北化学工業(株)製)、ライトエステルP−1M、ライトアクリレートP−1A(以上、共栄社化学(株)製)、MR200(大八化学工業(株)製)、カヤマー(日本化薬(株)製)、エチレングリコール・メタクリレート・ホスフェート(アルドリッチ社製)が挙げられる。これらの市販品は、モノエステルとジエステルとの混合物の場合もあり、不純物として、ビニル基を含有しない成分が含まれている場合もあるが、リン酸系化合物(a3)として、そのまま用いることができる。リン酸系化合物(a3)は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0022】
アルミニウム系無機化合物(a1)は、ビニル単量体(a2)100質量部に対し、0.00001〜100質量部用いることが好ましく、得られる成形体の成形外観、表面硬度、帯電防止性、結晶性等が優れることから、0.001〜50質量部用いることがより好ましく、0.01〜30質量部用いることが更に好ましく、0.05〜20質量部用いることが特に好ましい。
【0023】
リン酸系化合物(a3)は、アルミニウム系無機化合物(a1)100質量部に対し、1〜10000質量部用いることが好ましく、得られる成形体の成形外観、表面硬度、帯電防止性、結晶性等が優れることから、1〜1000質量部用いることがより好ましく、2〜500質量部用いることが更に好ましく、5〜200質量部用いることが特に好ましい。
【0024】
水分散液に分散媒として用いる水の量は特に限定されないが、重合の安定性、生産性が優れることから、ビニル単量体(a2)100質量部に対し、10〜10000質量部が好ましく、100〜2000質量部がより好ましい。
【0025】
アルミニウム系無機化合物(a1)を含む水分散液中で、ビニル単量体(a2)を重合する方法として、懸濁系又は乳化系でのラジカル重合法を用いることができる。具体的には、水中に分散させたアルミニウム系無機化合物(a1)に、必要に応じて、リン酸系化合物(a3)を添加し、その後、ビニル単量体(a2)及び重合開始剤を添加、加熱してラジカル重合を行なうことができる。
【0026】
ビニル単量体(a2)の重合に用いる重合開始剤としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、ジt−アミルパーオキサイド、ジt−ヘキシルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;及びアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの中では、t−ブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス2,4−ジメチルバレロニトリルが好ましい。また、上記有機過酸化物や過硫酸塩は還元剤と組み合わせてレドックス系として用いることもできる。
【0027】
ビニル単量体(a2)の重合は、65〜100℃の温度で行なうことができ、1〜10時間の重合時間で行なうことができる。
必要に応じて、重合を2段階で行なうことができ、例えば、所定温度で所定時間の重合を行なった後、より高い温度で保持して重合を完了させることもできる。
【0028】
更に、ビニル単量体(a2)の重合においては、必要に応じて連鎖移動剤、分散剤、分散助剤、乳化剤等の重合用添加剤を用いることができる。
連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン及びドデシルメルカプタン及びα−メチルスチレンダイマーが挙げられる。
分散剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、ポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩、スチレンスルホン酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、ケン化度70〜100%のポリビニルアルコ−ル、メチルセルロ−スが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの中では、懸濁重合時の分散安定性が良好な(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体が好ましい。
分散助剤としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸マンガンが挙げられる。
乳化剤としては、公知のアニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤を用いることができる。
本発明においては、上述の無機化合物含有重合体の製造方法を、当該無機化合物を含めないことを除き同一の操作で実施して得られた重合体の質量平均分子量を、無機化合物含有重合体(A)の推定分子量とする。無機化合物含有重合体(A)の推定分子量は、ゲルパーミションクロマトグラフィー(GPC)による質量平均分子量として、1万〜100万が好ましく、3万〜50万がより好ましく、5万〜20万が特に好ましい。
【0029】
本発明で用いるグラフト共重合体は、ゴム重合体に対して、ビニル単量体成分をグラフト重合したものである。
【0030】
ゴム重合体は、ガラス転移温度が25℃以下の、架橋構造を有する重合体である。
ゴム重合体としては、例えば、(メタ)アクリレート系ゴム、ブタジエン系ゴム、シロキサン系ゴムが挙げられる。ゴム重合体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの中では、得られる熱可塑性樹脂組成物の透明性、耐候性、耐水性が良好となることから、(メタ)アクリレート系ゴムが好ましい。
【0031】
ゴム重合体は、必要に応じて、無機成分や、ガラス転移温度が25℃を超える重合体を内部に含有してもよい。ガラス転移温度が25℃を超える重合体を内部に含有するゴム重合体は、例えば、ガラス転移温度が25℃を超える重合体を与えるビニル単量体成分を1段目に重合し、ガラス転移温度が25℃以下の重合体を与えるビニル単量体成分を2段目に重合すればよい。
【0032】
(メタ)アクリレート系ゴムの構成原料となるビニル単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート等のアクリレート;2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート等のメタクリレート;スチレン等の芳香族ビニル単量体が挙げられる。ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの中では、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、スチレンが好ましく、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、スチレンがより好ましい。
【0033】
また、(メタ)アクリレート系ゴムに架橋構造を導入するために、多官能ビニル単量体を構成原料として用いる。
多官能ビニル単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;アリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0034】
ゴム重合体に対してグラフト重合するビニル単量体成分としては、ビニル単量体(a2)として例示したものを用いることができる。
これらの中では、得られる熱可塑性樹脂組成物の透明性、耐候性、耐衝撃性が良好となることから、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレンが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチルアクリレート、スチレンがより好ましい。
【0035】
(メタ)アクリレート系ゴムのグラフト共重合体は、公知の重合方法によって製造することができる。例えば、乳化系のラジカル重合法によって製造できる。
乳化系のラジカル重合法では、公知の乳化剤及び重合開始剤を用いる。乳化剤及び重合開始剤としては、無機化合物含有重合体(A)の製造で例示したものを用いることができる。
【0036】
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、公知のものである。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの中では、得られる熱可塑性樹脂組成物の透明性、耐候性が良好となることから、アクリル樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂(C)の分子量は、GPCによる質量平均分子量として、1万〜100万が好ましく、3万〜50万がより好ましく、5万〜20万が特に好ましい。
【0037】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、無機化合物含有重合体(A)、グラフト共重合体(B)、熱可塑性樹脂(C)を含有する。
熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中の、各成分の配合比率は、熱可塑性樹脂組成物の透明性、耐候性、耐衝撃性が良好となることから、(A)0.001〜98質量%、(B)1〜98.999質量%、(C)1〜98.999質量%が好ましく、(A)0.01〜30質量%、(B)5〜69.99質量%、(C)30〜94.99質量%がより好ましく、(A)0.1〜10質量%、(B)10〜49.9質量%、(C)50〜89.9質量%が更に好ましい。
【0038】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、無機化合物含有重合体(A)、グラフト共重合体(B)、熱可塑性樹脂(C)を配合することによって、調製できる。本発明の熱可塑性樹脂組成物を配合する方法としては、バッチ式のニーダー、単軸の押出機、多軸の押出機等を用いた溶融ブレンド法を用いることができる。
【0039】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、顔料等の樹脂用添加剤;ガラス繊維、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、ケナフ、バクテリアセルロース等のフィラーを配合してもよい。
【0040】
本発明の成形体は、熱可塑性樹脂組成物を、公知の方法で成形することで得られる。成形方法としては、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形、インフレーション成形、カレンダ成形が挙げられる。
この成形により、シート状、フィルム状等、各種形状の成形体を得ることができる。
【0041】
本発明の成形体は、自動車、家電、OA機器の部品等に用いることができる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、塗料、トナー等のバインダー樹脂として用いることができる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例によって本発明を説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。実施例中の「部」、「%」の表記は、それぞれ「質量部」、「質量%」を意味する。
【0043】
[X線回折]
X線回折装置((株)リガク製RINT2500(商品名))を用いて、加速電圧は40kV、加速電流は300mAにより、Cu−Kα線を照射し、回折角(2θ)5〜85°の範囲における回折パターンを測定した。
【0044】
[TEM]
透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製JEM-1200EXII(商品名))を用いて、加速電圧100KV、倍率10万倍で観察した。
【0045】
[IR]
フーリエ変換赤外分光光度計((株)島津製作所製FTIR−8700(商品名))を用いて、KBr法で調整した試料を、透過法により400〜4000cm−1の範囲における吸収スペクトルを測定した。
【0046】
[BET比表面積]
比表面積測定装置(ユアサアイオニクス(株)製モノソーブ(商品名))を用いて、試料を120℃、2時間脱気した後に測定した。
【0047】
[質量平均分子量]
重合体の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ウォーターズ社製GPC150C(商品名))を用いて測定した。尚、スタンダードとしてポリメチルメタクリレート、移動相としてクロロホルムを用いた。
【0048】
[粒子径]
グラフト共重合体が含有するゴム重合体の質量平均粒子径を、以下のように測定した。
得られたラテックスを脱イオン水で希釈して、固形分約3%の希釈ラテックスとし、その0.1mlを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布測定装置を用い、流速1.4ml/分、圧力約2.76MPa(約4000psi)、温度35℃の条件で測定した。
測定では、粒子分離用キャピラリー式カートリッジおよびキャリア液を用い、液性はほぼ中性にした。尚、測定前には、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを標準粒子径物質とし、20〜800nmの合計12点の粒子径を測定して、検量線を作成した。
【0049】
[無機化合物の分散状態]
各実施例で得られた成形体の外観を目視観察した。以下の基準により評価を行なった。
○:無機化合物の存在を目視で確認できなかった。
△:無機化合物の存在を目視で確認できた。成形体の強度低下は認められなかった。
×:無機化合物の存在を目視で確認できた。成形体の強度低下が認められた。
【0050】
[耐衝撃性]
各実施例で得られた成形体について、JIS−K7111に準拠して、シャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。測定は、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの試験片を調製し、エッジワイズ、タイプAノッチ付きの条件で実施した。
【0051】
[耐傷付き性]
各実施例で得られた成形体について、JIS−K5600に準拠して、鉛筆引っ掻き試験を行なった。測定は、長さ50mm×幅50mm×厚さ3mmの試験片で実施した。
【0052】
[透明性]
各実施例で得られた成形体について、JIS−K7105に準拠して、全光線透過率及びヘーズを測定した。測定は、長さ50mm×幅50mm×厚さ3mmの試験片で実施した。
【0053】
[ロックウェル硬度]
各実施例で得られた成形体について、JIS−K7202に準拠して、ロックウェル硬度をMスケールで測定した。測定は、長さ50mm×幅50mm×厚さ3mmの試験片を調製し、これを2枚重ねて実施した。
【0054】
[帯電防止性]
各実施例で得られた成形体の表面を乾いた綿布で10回摩擦した後、成形体表面を平面上のたばこの灰に一定の距離を隔てて近づけた際の、灰の付着性を評価した。尚、評価は、23℃、50%RHの環境下で行なった。また、成形体は、予めこの環境下で一日放置して用いた。
○:10mmの距離まで近づけても灰が付着しない。
△:50mmの距離まで近づけても灰が付着しないが、10mmの距離まで近づけると灰が付着する。
×:50mmの距離で灰が付着する。
【0055】
[製造例1]アルミニウム系無機化合物(a1)の水分散液の製造
金属チタン製の撹拌機付き反応容器(内容積60L)に、Si濃度0.01Mのオルト珪酸ナトリウム溶液8.6Lを入れ、撹拌した。次にAl濃度0.01Mの塩化アルミニウム溶液21Lを入れ、30分撹拌した。
次いで、0.01MのNaOH溶液18.5Lを1時間かけて添加した。このときのサスペンションのpHは4.5(25℃)であった。そして、このサスペンションを95℃に昇温させ、24時間保持した後、24時間かけて室温まで冷却した。
このときの反応サスペンションのpHは4.2で、極めて透明度の高いものであった。得られた(a1)の水分散液の固形分は0.04%であった。
【0056】
[製造例2]アルミニウム系無機化合物(a1)の粉体の製造
製造例1で得られたアルミニウム系無機化合物(a1)の水分散液を、凍結乾燥機でマイナス40℃から徐々に昇温して、28時間の乾燥を行ない、粉体を得た。
得られた粉体について、以下の分析を行なった。この分析結果から、アルミニウム系無機化合物(a1)が、イモゴライトであることを確認した。
【0057】
X線回折:回折角(2θ)6°、11°、16°付近にブロードなピークがみられた。
TEM:繊維状の像がみられた。
IR:Si−O−Al結合に由来する950〜1000cm−1付近のダブレット吸収がみられた。
これらの特徴はイモゴライト特有のものである。
また、得られたアルミニウム系無機化合物(a1)のBET比表面積は、325m/gであった。
【0058】
[製造例3]無機化合物含有重合体(A1)の製造
攪拌装置、加熱装置、温度計、冷却管、窒素導入管を備えた反応容器に、製造例1で得られたアルミニウム系無機化合物(a1)の水分散液1000部((a1)の固形分として0.4部)を仕込み、室温で攪拌した。
10%アンモニア水溶液10部を加えて30分攪拌した後、アシッドホスホオキシエチルメタクリル酸エステル(商品名「ホスマーM」、ユニケミカル(株)製)0.04部を加えて30分攪拌した。
【0059】
次いで、メチルメタクリレート(MMA)99部、メチルアクリレート(MA)1部、連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン(OM)0.1部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05部を添加した。
窒素気流下で80℃に昇温して、2時間攪拌した後、90℃に昇温して30分攪拌した。反応容器を冷却した後、生成物を分離、乾燥し、無機化合物含有重合体(A1)を得た。
得られた無機化合物含有重合体(A1)の分子量を推定するため、製造例3を、アルミニウム系無機化合物(a1)を含めないことを除き、同一の操作で実施した。得られた重合体の質量平均分子量をGPCにより測定したところ10万であり、これを無機化合物含有重合体(A1)の推定分子量とした。
【0060】
[製造例4]無機化合物含有重合体(A2)の製造
アルミニウム系無機化合物(a1)の水分散液を300部((a1)の固形分として0.12部)用い、アシッドホスホオキシエチルメタクリル酸エステル(商品名「ホスマーM」、ユニケミカル(株)製)を0.012部用いたこと以外は、製造例3と同様にして、無機化合物含有重合体(A2)を得た。
得られた無機化合物含有重合体(A2)の分子量を推定するため、製造例4を、アルミニウム系無機化合物(a1)を含めないことを除き、同一の操作で実施した。得られた重合体の質量平均分子量をGPCにより測定したところ10万であり、これを無機化合物含有重合体(A2)の推定分子量とした。
【0061】
[製造例5]シリカ系無機化合物含有重合体(A’3)の製造
特開平10−182841号公報の実施例1に記載される方法によって、粒子径15nmのコロイダルシリカ(無機化合物含有重合体中の含有率:21%)が複合化したメチルメタクリレート系重合体(A’3)を得た。
【0062】
[製造例6]グラフト共重合体(B1)の製造
撹拌装置、加熱装置、温度計、冷却管、窒素導入管を備えた反応容器内に、脱イオン水190部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4部、硫酸第一鉄0.00004部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.00012部を仕込み、攪拌を開始し、窒素気流下80℃まで昇温した。
下記の単量体成分(M−1)の、1/10量を添加した後、15分間保持した。その後、単量体成分(M−1)の残りを50分かけて滴下した後、1時間保持して1段目の重合を完了した。
単量体成分(M−1)の重合転化率は99%以上であった。ここで、単量体成分(M−1)の重合転化率は、残存単量体をガスクロマトグラフ分析して確認した(以下、同様)。
【0063】
単量体成分(M−1);
MMA 11部
スチレン(ST) 1部
n−ブチルアクリレート(BA) 8部
1,3−ブタンジオールジメタクリレート(BDMA) 0.6部
アリルメタクリレート(AMA) 0.08部
t−ブチルハイドロパーオキサイド(TBH) 0.04部
EM−2 1部
(東邦化学(株)製フォスファノールRS−610NA(商品名))
【0064】
次いで、脱イオン水5部に溶解したナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を添加し、15分間保持した。
その後、下記の単量体成分(M−2)を4時間かけて滴下し、2時間保持して2段目の重合を完了した。
単量体成分(M−2)の重合転化率は99%以上であり、得られたゴム重合体の質量平均粒子径は240nmであった。
【0065】
単量体成分(M−2);
ST 14部
BA 66部
BDMA 0.2部
AMA 1部
クメンハイドロパーオキサイド(CHP) 0.2部
EM−2 2部
【0066】
次いで、脱イオン水5部に溶解したナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.2部を添加し、15分間保持した。
その後、下記の単量体成分(M−3)を2時間20分かけて滴下し、1時間保持して3段目の重合を完了した。
単量体成分(M−3)の重合転化率は99%以上であった。
【0067】
単量体成分(M−3);
MMA 42部
BA 15部
ST 3部
TBH 0.1部
OM 0.1部
【0068】
3段目の重合を終了したラテックス100部を、60℃で攪拌している1.5%酢酸カルシウム水溶液100部に投入し、グラフト共重合体(B1)を凝析させた。更にスラリー状の凝析物を90℃まで昇温し、析出物を水洗して乾燥した。
【0069】
[実施例1〜4]
各成分を表1に示す比率で混合し、二軸押出機(PCM−30(商品名)、池貝鉄工(株)製)を用いて、バレル温度200℃で溶融混練して、熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物を、射出成形機(EC20PNII(商品名)、東芝機械(株)製)を用いて成形した。得られた成形体を用いて、物性を評価した結果を表1に示す。
尚、表1に記載のPMMAは、アクリペット(品番:VH、三菱レイヨン(株)製)を示す。
[比較例1〜5]
各成分を表1に示す比率で混合し、実施例1と同様にして、物性を評価した。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
表1から明らかなように、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体(実施例1〜4)は、耐衝撃性、耐傷付き性、透明性に優れることが確認された。即ち、アクリル樹脂の透明性及び耐傷付き性を実質的に損なうことなく、耐衝撃性を向上させることができた。
成分(A)、(B)をいずれも含まない成形体(比較例1)は、耐衝撃性が低かった。
成分(A)を含むが、成分(B)を含まない成形体(比較例2)は、耐衝撃性が低かった。
成分(B)を含むが、成分(A)を含まない成形体(比較例3)は、耐衝撃性は向上したが、元来の耐傷付き性が大幅に損なわれた。
アルミニウム系無機化合物(a1)の粉体を直接配合した成形体(比較例4)は、無機化合物の分散状態が不良であるため、測定箇所によって透過率が変化する状態であった。このため、表1には透明性の測定結果を記載していない。また、耐傷付き性も低かった。
シリカ系無機化合物含有重合体(A’)を用いた成形体(比較例5)は、本発明による成分(A)を用いた場合と比較して、耐傷付き性及び耐衝撃性が共に低かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム系無機化合物(a1)の存在下でビニル単量体(a2)を重合して得られる無機化合物含有重合体(A)、グラフト共重合体(B)及び熱可塑性樹脂(C)を含有する熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
無機化合物含有重合体(A)が、アルミニウム無機化合物(a1)を含む水分散液中で、ビニル単量体(a2)を重合して得られるものである、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
熱可塑性樹脂(C)がアクリル樹脂である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体。

【公開番号】特開2012−82362(P2012−82362A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231290(P2010−231290)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【出願人】(000166443)戸田工業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】