説明

熱可塑性樹脂組成物およびそれがコーティングされている表面白色シート

【課題】本発明の目的は、表面白色シートの製造等に際して、目ヤニの発生がなく、経済的にも有利に表面白色シート等を製造し得る熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【解決手段】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリオレフィン中に、多価アルコールとシランカップリング剤とにより表面処理された酸化チタンと、分散剤と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン中に表面処理された酸化チタンと分散剤とを含む熱可塑性樹脂組成物およびそれがコーティングされている表面白色シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、写真材料用支持体などの情報記録紙をはじめとする各種表面白色コート紙(表面白色シート)は、酸化チタンを含む熱可塑性樹脂組成物を紙等の基材シートの表面にコーティングすることにより製造されていた。このような熱可塑性樹脂組成物に使用される酸化チタンは、その分散性を改良したり、親和性を向上させるために、表面をシランカップリング剤で表面処理したり(特許文献1〜4)、アルコールで表面処理したものが使用されてきた。
【0003】
しかし、このような酸化チタンを含む熱可塑性樹脂組成物を基材シート表面にコーティングして表面白色シートを製造する際に、アルコールで表面処理された酸化チタンを含む熱可塑性樹脂組成物を使用すると、コーティングを行なう際の塗工機のダイ(ダイス)先端部において「目ヤニ」と呼ばれる塊状物が発生し、これが表面白色シートの表面に付着して外観の良好な表面白色シートを得ることが困難であった。
【0004】
また、シランカップリング剤で処理された酸化チタンを含む熱可塑性樹脂組成物を使用する場合には、製造される表面白色シートについては前記のような「目ヤニ」の問題は多少は改善されるものの必ずしも十分とは言えず、また、シランカップリング剤の処理は酸化チタンを水性媒体中に分散させて行なわれるため、装置が大掛かりになるのみならず、十分な収率を得ることができず、経済的に不利であった。
【特許文献1】特開平09−005932号公報
【特許文献2】特開2001−083662号公報
【特許文献3】特開2001−172429号公報
【特許文献4】特開2001−234091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来、このようにアルコール処理およびシランカップリング剤による前処理がそれぞれ単独でなされていた酸化チタンに代えて、その両方を組み合わせた前処理を行なった酸化チタンを用いることにより、表面白色シートの製造等に際して、目ヤニの発生がなく、経済的にも有利に表面白色シート等を製造し得る熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
また、本発明は、上記熱可塑性樹脂組成物を使用することにより、外観が良好で、しかも経済的にも有利に製造し得る表面白色シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、ポリオレフィン中に、多価アルコールとシランカップリング剤とにより表面処理された酸化チタンと、分散剤と、を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供するものであり、また、本発明はかかる熱可塑性樹脂組成物が基材シートの表面にコーティングされている表面白色シートを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記構成とすることにより、表面白色シートの製造等に際して、塗工機のダイス先端部における目ヤニの発生が少なく、その結果外観の良好な表面白色シートを経済的にも有利でかつ容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリオレフィン中に、多価アルコールとシランカップリング剤とにより表面処理された酸化チタンと、分散剤と、を少なくとも含むことを特徴とする。これらの成分を含む限り、他の任意の成分を含んでいても差し支えない。
【0010】
かかる熱可塑性樹脂組成物100質量部中、ポリオレフィンを58質量部以上94.9質量部以下、より好ましくは68.8質量部以上89.8質量部以下、表面処理された酸化チタンを5質量部以上40質量部以下、より好ましくは10質量部以上30質量部以下、分散剤を0.1質量部以上2質量部以下、より好ましくは0.2質量部以上1.2質量部以下含むことが好ましい。
【0011】
ポリオレフィンが58質量部未満では、基材シート表面のコーティング加工時に発泡が発生する等して外観不良となることがあり、約95質量部を超えると隠蔽性不良となることがある。
【0012】
一方、表面処理された酸化チタンが5質量部未満では、隠蔽性不良となることがあり、40質量部を超えると基材シート表面のコーティング加工時に発泡が発生する等して外観不良となることがある。
【0013】
また、分散剤が0.1質量部未満では、酸化チタンの分散性不良や加工性の不具合が発生することがあり、2質量部を超えると基材シート表面のコーティング加工時に発煙等の不具合が発生することがある。
【0014】
上記他の成分としては、たとえば酸化防止剤、ブルーイング剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、光安定剤等を挙げることができる。このような他の成分は、熱可塑性樹脂組成物100質量部中、0.01質量部以上0.5質量部以下含むことができる。
【0015】
このような熱可塑性樹脂組成物は、バンバリーミキサー等の混練機により上記の各成分を混練することによって製造することができる。また、このような熱可塑性樹脂組成物は、上記のように表面処理された酸化チタンを高濃度に含んだポリオレフィンからなる組成物(マスターバッチ)を作製した後、このマスターバッチをさらにポリオレフィンで希釈し、これをバンバリーミキサー、二軸押出機等により混練することによっても製造することができる。なお、最終的に基材シート上に形成される熱可塑性樹脂組成物の厚みは、5μm以上100μm以下とすることが好ましい。
【0016】
<ポリオレフィン>
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれるポリオレフィンは、ポリプロピレン、ポリエチレン等、同じオレフィンモノマーを重合、もしくは異なるオレフィンモノマーを共重合したものである。特に、低密度ポリエチレン(LD−PE)を用いることが好ましい。たとえば、メルトフローレートが0.3g/10min.以上40g/10min.以下であり、密度が0.900g/cm3以上0.930g/cm3以下である低密度ポリエチレンを用いることができる。
【0017】
<分散剤>
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる分散剤は、金属石鹸を用いることが好ましい。このような金属石鹸としては、たとえばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、パルミチン酸亜鉛等を挙げることができる。
【0018】
<酸化チタン>
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる酸化チタンは、特に限定することなく用いることができるが、アナターゼ型酸化チタンを用いることが好ましく、その粒径が0.1μm以上0.4μm以下であるものを用いることが好ましい。
【0019】
本発明においては、酸化チタンは多価アルコールとシランカップリング剤とにより表面処理されていることを特徴とする。具体的には、かかる酸化チタンは、多価アルコールにより一次表面処理された後、シランカップリング剤により二次表面処理されたものであることが好ましい。さらに、この二次表面処理は、シランカップリング剤による噴霧処理であることが好ましく、該シランカップリング剤は、アルコール系溶剤で希釈されたものであることが好ましい。また、上記のような多価アルコールとしては、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパンを用いることが好ましい。
【0020】
<表面処理酸化チタンの製造方法>
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる酸化チタンは、上記のように多価アルコールとシランカップリング剤とにより表面処理されていることを特徴とし、このような表面処理酸化チタンは、次のようにして製造される。
【0021】
すなわち、本発明の表面処理酸化チタンの製造方法は、酸化チタンに対して多価アルコールにより一次表面処理を施す工程と、かかる一次表面処理を施す工程を経た酸化チタンに対して、シランカップリング剤により二次表面処理を施す工程と、を含むことを特徴とする。このような製造方法によって得られる表面処理を行なった酸化チタンを含む熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、表面白色シートの製造等に際して目ヤニの発生を防止するとともに経済的にも有利に表面白色シートを製造することができる。
【0022】
ここで、一次表面処理を施す工程は、たとえば多価アルコール中に酸化チタンを分散させて攪拌したり、あるいは多価アルコールを添加しながら酸化チタンを粉砕することにより行なうことができる。これにより、酸化チタンの表面部に対して多価アルコールが効果的に吸着するものと推測される。このような処理に用いられる多価アルコールとしては、特に限定されるものではないが、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパンを用いることが特に好ましい。他に用いることができる多価アルコールとしては、たとえば、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。
【0023】
上記多価アルコールの吸着量は、酸化チタン100質量部に対して0.05質量部以上1質量部以下とすることが好ましく、0.1質量部以上0.5質量部以下とすることがより好ましい。その吸着量が0.05質量部未満では、酸化チタンの分散性が悪化することがあり、1質量部を超えると基材シート表面のコーティング加工時にトラブルを発生することがある。
【0024】
なお、上記酸化チタンに対する一次表面処理において、使用する多価アルコールの処理量と実際の吸着量とは、酸化チタンの処理量、撹拌機の形状や大きさ等の種々の条件により必ずしも一致しない場合がある。このため、当該工程中において酸化チタンを一部サンプリングし、その吸着量を測定することにより、その吸着量が上記の範囲内でない場合には適宜多価アルコールまたは酸化チタンを増量することによりその吸着量が上記の範囲内のものとなるように調整することができる。
【0025】
次に、二次表面処理を施す工程は、上記のように一次表面処理を施す工程を経た酸化チタン(すなわち多価アルコールが吸着した酸化チタンの表面)に対して、シランカップリング剤によりさらに表面処理する工程である。このような二次表面処理を施す工程は、特に限定されるものではないが、一次表面処理を施す工程を経た酸化チタンに対して、シランカップリング剤のアルコール系溶剤による希釈液を噴霧することにより実行することが好ましい。
【0026】
すなわち、一次表面処理を施す工程を経た酸化チタンを、シランカップリング剤を含む液体中に分散させるのではなく、シランカップリング剤のアルコール系溶剤による希釈液を噴霧させることにより、酸化チタンに吸着されるシランカップリング剤の収率が飛躍的に向上し極めて経済的に有利なものとなる。
【0027】
本発明においては、このように2段階の表面処理を施すことにより、目ヤニの発生を非常に有効に防止することが可能となった。シランカップリング剤の噴霧によりこのような有利な効果が奏される詳細なメカニズムは不明ながら、恐らく多価アルコールとシランカップリング剤の相互作用によるものではないかと推測される。
【0028】
上記シランカップリング剤の噴霧量は、酸化チタン100質量部に対して0.01質量部以上2質量部以下とすることが好ましく、0.5質量部以上1.5質量部以下とすることがより好ましい。その噴霧量が0.01質量部未満では、酸化チタンに均一に吸着されないことがあり、2質量部を超えると過剰なシランカップリング剤同士の自己縮合が発生し分散不良の原因となることがある。
【0029】
なお、酸化チタンに対するシランカップリング剤の吸着量は、次のようにして確認することができる。すなわち、シランカップリング剤を噴霧後、その混合物の一部をサンプリングし、その質量を測定した後、110℃で10分間乾燥させることにより希釈用のアルコール系溶剤を蒸発させる。その後、再度質量を測定し、その乾燥の前後における質量差(すなわちアルコール系溶剤の量)からシランカップリング剤の吸着量を算出することができる。
【0030】
また、このようなシランカップリング剤の噴霧操作は、各種の噴霧装置を用いて行なうことができ特に限定されないが、噴霧温度を10℃以上40℃以下、噴霧時間を0.5分以上10分以下とする条件下、0.01μm以上の噴霧粒子を噴霧することにより行なうことが好ましい。そして、特に好ましくは、シランカップリング剤をアルコール系溶剤で希釈してその希釈液を噴霧することが好適である。その希釈倍率は、シランカップリング剤1質量部に対してアルコール系溶剤を0.1質量部以上3質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上2質量部以下である。このようにアルコール系溶剤で希釈することにより、特に均一に酸化チタンを処理することができる。
【0031】
このような本発明の二次表面処理に用いられるシランカップリング剤としては、従来公知のシランカップリング剤を特に限定することなく用いることができる。たとえば、そのようなシランカップリング剤としてヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘキシルメチルメトキシシラン等を挙げることができる。
【0032】
また、上記アルコール系溶剤としては、たとえばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等を挙げることができる。
【0033】
<表面白色シート>
本発明の表面白色シートは、上記の熱可塑性樹脂組成物が基材シートの表面にコーティングされているものである。このような表面白色シートは、情報記録紙として特に好適に用いることができる。
【0034】
上記コーティング方法は、上記の熱可塑性樹脂組成物を、基材シートの表面にコーティングする方法であれば、特に限定されず従来公知の各種条件をいずれも採用することができる。たとえば、押出部にダイ(ダイス)を備えた押出機を用いて、加熱溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物を基材シート表面に連続的に塗布する方法等を挙げることができる。
【0035】
<基材シート>
本発明の熱可塑性樹脂組成物がコーティングされる基材シートとしては、紙、樹脂フィルム、金属箔、金属板等を挙げることができる。特に、写真材料用支持体の基材シートとして適する紙を挙げることができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
<実施例1>
熱可塑性樹脂組成物に含まれるポリオレフィンであるポリエチレンとしてLD−PEである住友化学社製の商品名「スミカセン L705」(メルトフローレート:7g/10min.;密度:0.92g/cm3)、酸化チタンとしてHuntsman社製の商品名「A−HRF」(結晶構造:アナターゼ型)、分散剤として正同化学社製の商品名「ジンクステアレートS」(化学名:ステアリン酸亜鉛)、およびその他の成分としてチバ・ジャパン社製の商品名「Irganox 1010」(成分:フェノール系酸化防止剤)および商品名「Irganox 168」(成分:リン系酸化防止剤)を用いた。
【0038】
ここで、上記酸化チタン(「A−HRF」)は、酸化チタンを多価アルコールである1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパンで表面処理したものであり、これをGC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析装置)を用いて分析したところ、酸化チタン100質量部に対してその表面に多価アルコール0.2質量部が吸着していることを確認した。
【0039】
続いて、このように多価アルコールにより一次表面処理が施された酸化チタン100質量部に対して更に二次表面処理を次のようにして実行した。すなわち、シランカップリング剤であるヘキシルトリメトキシシラン1質量部を、アルコール系溶剤であるエタノール2質量部に溶解した(すなわちエタノール2質量部で希釈した希釈液を得た)。次いで、このように希釈されたシランカップリング剤(シランカップリング剤のアルコール系溶剤による希釈液)を噴霧装置である噴霧装置付き高速混合機に充填し、温度25℃、噴霧時間3分の条件下、0.1μm以上の噴霧粒子を噴霧することにより一次表面処理を施す工程を経た酸化チタン(すなわち「A−HGF」)に対して更に二次表面処理を施した。このようにして二次表面処理された酸化チタンを上記の方法で測定したところ、シランカップリング剤の噴霧量と吸着量が一致していることを確認した。
【0040】
続いて、このように表面処理された酸化チタン68質量部、上記ポリエチレン30質量部、分散剤2質量部、「Irganox 1010」0.05質量部および「Irganox 168」0.05質量部をバンバリーミキサーに充填し、温度160℃で加熱溶融混合することにより熱可塑性樹脂組成物(マスターバッチ)を製造した。
【0041】
次いで、上記のようにして製造された熱可塑性樹脂組成物(マスターバッチ)28質量部に対してさらに上記ポリエチレンを72質量部添加してなる熱可塑性樹脂組成物を押出機(スクリューの直径:20mm、スリットダイスの幅:15mm、スクリーン:100メッシュ)に充填し、温度320℃、線速1520cm/分の条件下、基材シート(写真材料用支持体となる天然パルプを主成分とする紙基質)の表面に対してコーティングを行なった。
【0042】
その後、基材シートを冷却することによりコーティングを完了した。基材シート上の熱可塑性樹脂組成物の最終厚みは20μmとなっていた。このコーティングにおいて、スリットダイスには一切目ヤニは発生しなかった。また、シランカップリング剤中に酸化チタンを浸漬することなくシランカップリング剤を噴霧したものであるため、シランカップリング剤の収率に優れることから経済的に有利であることは明らかである。
【0043】
<実施例2>
実施例1のシランカップリング剤の使用量を0.5質量部に代えることを除き、他はすべて実施例1と同様にしてコーティングを完了した。このコーティングにおいて、スリットダイスには一切目ヤニは発生しなかった。また、シランカップリング剤中に酸化チタンを浸漬することなくシランカップリング剤を噴霧したものであるため、シランカップリング剤の収率に優れることから経済的に有利であることは明らかである。
【0044】
<実施例3>
実施例1のシランカップリング剤の使用量を1.5質量部に代えることを除き、他はすべて実施例1と同様にしてコーティングを完了した。このコーティングにおいて、スリットダイスには一切目ヤニは発生しなかった。また、シランカップリング剤中に酸化チタンを浸漬することなくシランカップリング剤を噴霧したものであるため、シランカップリング剤の収率に優れることから経済的に有利であることは明らかである。
【0045】
<実施例4>
アルコール系溶剤を用いないことを除き、他はすべて実施例1と同様にしてコーティング方法を完了した。このコーティング方法において、スリットダイスにはほとんど目ヤニは発生しなかった。また、シランカップリング剤中に酸化チタンを浸漬することなくシランカップリング剤を噴霧したものであるため、シランカップリング剤の収率に優れることから経済的に有利であることは明らかである。
【0046】
<比較例1>
実施例1で用いた酸化チタン(「A−HRF」)に代えて、多価アルコールによる一次表面処理を行なっていない酸化チタンを用い、この酸化チタンに対して直接二次表面処理を施したことを除き、他はすべて実施例1と同様にしてコーティング方法を完了した。このコーティング方法においては、スリットダイスに目ヤニが発生していることを確認した。
【0047】
<比較例2>
実施例1において、酸化チタンに対して二次表面処理を施さないことを除き、他はすべて実施例1と同様にしてコーティング方法を完了した。このコーティング方法においては、スリットダイスに顕著に目ヤニが発生していることを確認した。
【0048】
以上の実施例および比較例を比較すると、本発明の熱可塑性樹脂組成物が優れていることは明らかである。
【0049】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
【0050】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン中に、
多価アルコールとシランカップリング剤とにより表面処理された酸化チタンと、
分散剤と、
を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記酸化チタンは、多価アルコールにより一次表面処理された後、シランカップリング剤により二次表面処理されたものである請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記二次表面処理は、シランカップリング剤による噴霧処理である請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記シランカップリング剤は、アルコール系溶剤で希釈されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタンである請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
前記多価アルコールは、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパンである請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物が基材シートの表面にコーティングされている表面白色シート。
【請求項8】
前記表面白色シートは、情報記録紙である請求項7記載の表面白色シート。
【請求項9】
酸化チタンに対して、多価アルコールにより一次表面処理を施す工程と、
前記一次表面処理を施す工程を経た酸化チタンに対して、シランカップリング剤により二次表面処理を施す工程と、を含むことを特徴とする表面処理酸化チタンの製造方法。
【請求項10】
前記二次表面処理を施す工程は、前記一次表面処理を施す工程を経た酸化チタンに対して、シランカップリング剤のアルコール系溶剤による希釈液を噴霧することにより実行される請求項9記載の表面処理酸化チタンの製造方法。

【公開番号】特開2010−150408(P2010−150408A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330697(P2008−330697)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(591229440)住化カラー株式会社 (22)
【Fターム(参考)】