説明

熱可塑性繊維のためのレリース動作巻き取り機

本発明の巻き取り機(1)は、少なくとも1つの紡糸用ケークを支持する少なくとも1つのスピンドル(6、7)を備えたフレーム(2)から本質的になる。このスピンドルは、ケークの直径に場合により垂直な第1軸の周りに回転する。この巻き取り機は、回転スピンドル(6、7)上に少なくとも1つの糸を配置及び誘導するための少なくとも1つの位置決め及び誘導装置(8)をさらに含む。この巻き取り機は、スピンドル(6、7)が第1回転軸に沿って線形可動であるよう配置されたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性糸、特にはガラス糸の延伸及び巻き取りを確実にすることができる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス強化糸の製造は、紡糸口金オリフィスを通って流れる溶融ガラスの流れから糸を得ることを伴う複雑な産業プロセスの結果であることが思い出されよう。これらの流れは、連続フィラメントの形態で延伸され、次いで、これらのフィラメントが、基礎糸の形態で互いに集められ、この糸が巻き取りパッケージの形態に収集される。
【0003】
本発明の意味の範囲内で、巻き取りパッケージは、ボビンの形態、又はさらにより具体的には「ケーク」の形態であり、これらのケークは、より詳しくは強化用途のために意図される。
【0004】
ケーク形態の成形は、その名前が示すように前もってサイズ設定されたガラス糸を非常に高速(およそ10〜50m/s)で巻き取ることができる巻き取り機によって実施される。
【0005】
これらの巻き取り機は、これらのフィラメントの延伸及び巻き取りを確実にし、紡糸口金の操作パラメータとともに、これらの巻き取り機の操作パラメータによって、糸の寸法的な特徴、特にはテックスで表される線密度が決定される(テックスは、繊維又は糸1000mのグラム質量である)。
【0006】
したがって、ケークを調製する段階全体の間、糸の一定な線密度を確実にするために、ケーク直径の増加にもかかわらず、巻き取り機の巻き取り部材の速度は、たとえ角速度を変化させても、糸の一定な線巻き取り速度を確実にするよう制御され、この速度の制御は、ケーク直径の増加に応じてケークを支持するスピンドルの回転速度を低下させることによって実施される。
【0007】
最適な品質を有するケークの獲得を左右する別の重要なパラメータは、ループ又は妨げとなる節の存在なく、摩擦が制限された状態で、容易に巻き戻すためのケークの容量である。この巻き戻し容量は、ケークを形成する際に巻き取り機によってもたらされる(ケークの拡大を決定する)構成法の性質によって決定される。この構成法は、多数のパラメータを含み、その最も重要なものの1つは、しばしば糸のRC及び線密度と呼ばれる交差比(crossing ratio)である。
【0008】
所与の交差比をケークに与えるために、従来技術の巻き取り機は、2つの動作の組み合わせから糸における運動学又は特定のストロークを作り出す。第1の動作は、糸に一次ストロークを与え、第2の動作は、糸に二次ストロークを与え、この第1と第2の動作は、交差装置の名称でより一般的に知られる単一の複合動作部材によって一般に適用される。
【0009】
実用上の目的のため、交差比(RC)の定義を以下に与える。
【0010】
(RC)=[ケークを支持及び駆動するスピンドルの回転速度]/[交差装置の回転速度]
【0011】
これら公知の巻き取り機は、通常、紡糸口金の下に配置され、交差装置を支持するフレームと、一方でケークを生成し、もう一方でケークを支持するよう設計された回転可動の少なくとも1つのスピンドルとから本質的に構成される。
【0012】
通常、交差装置は螺旋形状の部材を含み、軸の周りに回転可動のこの螺旋構造体は、回転スピンドル上に糸を配置することができ、この螺旋構造体によって与えられる動作は、単にケークの長さ部分にわたる往復又は筬打ち動作から本質的になり、この動作が一次ストロークを構成する。
【0013】
十分な巻き取り容量を得るために、螺旋構造体又は他の任意の同等な装置、例えば、特に溝内部で直線的に移動できるトラベラーは、ケーク長さの全部又は一部を描くことができる必要がある。このため、公知の巻き取り機では、この螺旋構造体は、フレームと一体のシャフト上に比較的遅い前後の並進動作において可動に取り付けられ、スピンドルの軸に平行であり、この第2の並進動作が糸に二次ストロークを与え、そうして糸がケーク長さの全部又は一部を覆うことができる。
【0014】
ケークの全長を描くために、円錐形の紡糸口金の下流に本質的に位置する実質的に固定の点から糸を移動させることが理解されるであろう。この紡糸口金の開口は、ケークの全長を実質的にカバーする。
【0015】
通常の大きさ及び質量のケークについて言えば、同じ軸上で一次ストロークと二次ストロークを組み合わせたこれらの巻き取り機は十分に満足のいくものである。
【0016】
しかしながら、紡糸口金の押出量(一般にkg/日で表される)の増加、当然ながら、ケークの大きさ及び質量が増加することになるが、その押出量の増加に関する要件に対処するために、巻き取りパッケージの正確な巻き取り(及びとりわけ以降の最適な巻き戻し)を管理するこれらの運動学を利用することはできない。
【0017】
紡糸口金の押出量の増加を考慮すれば、(典型的に数千の)多数の穴を含む紡糸口金を設計及び開発することが好都合であった。複数のケークの延伸及び巻き取りを同時に実施するため、これらの紡糸口金の使用には、紡糸口金をフィラメントの複数のシートに分配して、この複数のシート(少なくとも2つ)を巻き取り機の同じスピンドル軸上に組み合わせることが必要である。
【0018】
複数の複合動作型交差装置から同じスピンドル軸上に複数のケークを形成すると、同じシートに由来しかつ同じ糸の中で再結合されるフィラメントは、現行の巻き取り機の巻き取り可能性を制限する制約を受ける。
【0019】
例えば、制約として、(高速の正確な回転運動とより遅い速度の線形並進運動である複合動作を有する)従来の交差装置の使用では、紡糸口金の出口点とケーク上の糸の適用点との間の糸の経路が大きく変動し、このような変動によって糸が「不揃いな長さ」になることが留意される。これらの長さの差によって、巻き戻しに不利となる糸ループが生成される恐れがあり、さらには、これらの差が巻き取り機のプロセス上流に害を及ぼす場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
それゆえ、本発明は、長さ及び張力の差を最小限に抑え、このことが巻き取り機のどんな巻き取り容量でも達成される巻き取り装置又は巻き取り機を提案することによってこれらの不利を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的のため、バレルに固定された少なくとも2つのスピンドルを含み、該スピンドルが、一方で少なくとも1つのケークを支持するよう設計され、もう一方でケークの直径に実質的に垂直な第1軸の周りに回転可動であるフレームと、回転スピンドル上に少なくとも1つの糸を配置及び誘導するよう設計された少なくとも1つの位置決め及び誘導装置とから本質的になり、前記バレルが第1軸に実質的に平行な第3回転軸に沿って前記フレームに関して回転可動に取り付けられた巻き取り機であって、この巻き取り機は、前記スピンドルが第1回転軸に沿って線形可動であるよう取り付けられるか、又は前記フレームが、該フレームに関するバレルの位置を調節できる割送り装置によってバレルと共に作用することを特徴としている。
【0022】
これらの配置、特には、糸の位置決め及び誘導装置の一次ストロークとスピンドルの二次ストロークとの間の動作の不連結によって、ガラス糸の巻き取り及び巻き戻しのための最適な容量を有するケークを得ることができる。
【0023】
糸の巻き取り及び巻き戻しのためのこの容量は、スピンドルを支持するバレルの位置及び/又は角速度を連続制御することによって最適化され、糸の位置決め及び誘導装置の一次ストローク動作とスピンドルの二次ストローク動作が不連結であるか否かにかかわらず、この制御を実施することが可能である。
【0024】
本発明の好ましい実施態様においては、さらに、適切な場合には、以下の配置のうち1つ及び/又は他のものを採用することができる。
・前記位置決め及び誘導装置が、第2軸の周りに回転可動に取り付けられた少なくとも1つの螺旋構造体から本質的になる。
・前記位置決め及び誘導装置が、少なくとも1つの溝を備えた少なくとも1つのホイールから本質的になり、該溝が少なくとも1つの糸を配置及び誘導するよう設計され、該ホイールが前記第1軸に実質的に平行な第2軸の周りに回転可動である。
・前記位置決め及び誘導装置が、少なくとも1つのトラベラーから本質的になり、該トラベラーが、少なくとも1つの糸を配置及び誘導しかつ前記第1軸に実質的に平行な第2軸に沿って線形移動するよう設計される。
・前記割送り装置が、糸の経路を前記位置決め及び誘導装置からの糸の出口点とケーク周囲上の糸の接触点との間で不変に制御するために、ケークの外径の変化に応じて前記フレームに関して前記バレルの角度位置を絶えず変更するよう設計される。
・前記スピンドルが、該スピンドルに組み込まれたモーターを含む連鎖によって回転作動される。
・前記巻き取り機が、少なくとも2つのモーター駆動ローラーから本質的になる糸を送るための装置又は糸延伸装置を含み、該延伸装置が該巻き取り機のフレームに固定される。
・前記巻き取り機が、前記スピンドルの端部に糸を配置するよう設計されたストレートエジェクターを含む。
・前記巻き取り機が、糸の位置決め及び誘導装置に糸が掛かる第1位置と、該位置決め及び誘導装置から糸が引き込まれる第2位置との間で糸をつかみかつ移動させるよう設計された糸引き込み装置を含む。
・前記スピンドル及びその駆動モーターが、リニアアクチュエータと一体化され、該アクチュエータが、該スピンドルの前後動作を確実にするよう設計される。
・前記巻き取り機が、特には前記位置決め及び誘導装置の一次ストローク動作と前記スピンドルの少なくとも1つの二次ストローク動作の間で速度及び/又は位置の調節を確実にすることができる制御及び命令装置を含む。
【0025】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照して、限定的でない例として与えられる本発明の実施態様のうちの1つに関する以下の説明から得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1a及び1bに示される本発明の巻き取り機1の好ましい実施態様においては、巻き取り機1は、前もって機械加工されるか又は標準品として商業的に入手可能な金属部材を機械溶接することによって得られる金属フレーム2を含む。このフレーム2は、繊維の延伸位置にこの巻き取り機を設置することを容易にするため、パレットトラック又は同様のハンドリング装置に関するフォークのゲージ又は間隔と合うよう慎重に配置された足部に支持される実質的に方形のベース3を本質的に含む。
【0027】
巻き取り機1の操作に必要な全てのコンポーネントを受け入れることを意図した部分的に覆われた閉構造4がこのベース上に組み立てられる。この点に関して及び限定的でなく、キャビネットとして成形されたこの閉構造は、本明細書において以下に記載される種々の部材の様々な調整に必要な制御及び命令装置と、これらの部材の操作に必要な油圧、電気及び圧縮空気のネットワーク並びに他の流体のネットワークとを備えている。
【0028】
横に突き出ているバレル5が閉構造4上で共に作用する。このバレル5は、(第3回転軸と呼ばれる)回転軸の周りに回転可動に取り付けられ、複数の誘導部材(例えば、ボールベアリングリング、ボールベアリングトラベラー)によって閉構造の壁の一方に保持される。さらには、ケークの巻き取りの際、フレーム2に関して複数の角度位置を描きかつ割送ることができるように、このバレル5のモータードライブが用意されている。
【0029】
正確には、このバレル5は、スピンドル支持アセンブリを形成する。図1a及び1bにおいては、バレル5が、直径に沿って反対の位置に2つのスピンドル6、7を有することを確認できる(上流に配置された紡糸口金の有効な全体サイズ及び容量に応じて、少なくとも3つ又は4つのスピンドル又はそれ以上を含むバレルを有することが考えられる)。巻き取り機内で、バレル5により、少なくとも1つの空のスリーブチューブ(本発明の意味の範囲内で、スリーブチューブとは、糸の巻き取りパッケージ又はケークを受け入れることを意図したプラスチック又は板紙から作製された支持体である)を備えた先に取り出されたスピンドルを巻き取り位置に、そして、スリーブチューブがいっぱいになった別のスピンドルを180°回転させた結果として取り出し位置に導くことができる。
【0030】
バレル5のモータードライブ及びその角度位置及び/又はその角速度の調節によって、例えば、バレルを駆動できるギヤードモーターであって、例えば、ギヤータイプの接続によりドライブシャフトの領域でバレル5とかみ合っているギヤードモーターの回転数を制御することによって、糸の実質的に近傍に作動中のスピンドルを配置し、ケークを大きくする間、制御された幾何学的形状を維持するように、作動中のスピンドルが後ろに下がるか又はその初期の角度位置から離れて動くことが可能となる。
【0031】
バレル5と一体化されたスピンドル6、7のそれぞれは、よこ管又はスピンドルノーズにあらかじめ導入されたスリーブチューブの上に糸を巻き取るよう設計された回転アセンブリを形成する。この巻き取りは、フレーム2の構造に関してバレル5の回転軸に実質的に平行な第1回転軸に沿って行われる。この第1軸の周りでスピンドル中に組み込まれた回転モーターによって生じる回転動作に加えて、スピンドルは、回転の第1軸に平行な前後のストロークを実行することができるよう設計される。この前後の動作は、一方でバレル又はフレームと一体化され、もう一方でスピンドル本体と一体化されたモーター駆動の線形動作アクチュエータ(例えば、ボールスクリュー)によって行われる。
【0032】
ケークの製造に関して非常に重要な別の部材は、図1a及び1bにおいて確認することができる。これは、スピンドル6又は7上に糸を配置及び誘導するための装置8である。この例においては、これは螺旋構造体である。この螺旋構造体は、第1軸に実質的に平行な第2軸と同軸のシャフトの周りに駆動部材によって回転作動される。螺旋構造体の駆動部材の回転速度はケークの構成法に応じて調節され、これらの制御及び命令装置をフレームを形成する構造体2の内部に組み込むことが可能である。
【0033】
当然ながら、複数のケークが同じスピンドル6又は7上に同時に製造されることになる場合には、螺旋構造体8の数はそれに応じて適合され、螺旋構造体支持シャフトは、その数が所望のケークの数に等しい螺旋構造体の列を含む。
【0034】
螺旋構造体の回転動作によって、その振幅及び周波数が所望の交差比の値に応じて設定できる往復又は筬打ち動作が糸で得られる。周波数は、螺旋構造体の幾何学的形状に応じて回転速度及び振幅の関数として決定される。
【0035】
図に示されない他の装置は、螺旋構造体の代替品と考えることができる。これらは、少なくとも1つの溝を備えたホイールであることができ、この溝は少なくとも1つの糸を配置及び誘導するよう設計され、このホイールは第1軸に実質的に平行な第2軸の周りに回転可動である。
【0036】
それは、少なくとも1つの糸を配置及び誘導しかつ第1軸に実質的に平行な第2軸に沿って線形に移動するよう設計されたトラベラーであることもできる。
【0037】
糸を配置及び誘導するための装置8のどんな実施態様も、一次ストローク動作と称されるものを実行し、二次ストローク動作と称されるものを構成するスピンドル6又は7の前後動作によって速度及び適切な場合には位置の調節に関して作用する。
【0038】
本発明の1つの利点によれば、巻き取り機1の一次及び二次ストロークは不連結である。構成法と交差比の広い範囲を得ることが可能であるため、大きな質量(25〜50kg以上)のケークを製造することができ、巻き戻しに貢献する非常に正確な構成を有する。
【0039】
本発明の別の実施態様によれば、角度位置及び/又はスピンドルを支持するバレルの速度における制御された動作で以って、一次及び二次ストロークの不連結又は連結動作を同時に及び/又は連続して組み合わせることによって特定の幾何学的形状を得ることが可能である。
【0040】
本発明の主題である巻き取り機上に、巻き取りの期間全体にわたって、単一の二次ストローク動作から得られたケークを製造することが可能である。
【0041】
巻き取り機1の操作に必要な他のサブアセンブリは、フレーム2に組み込まれる。したがって、糸延伸装置9は、フレーム2のベース3の領域に配置される。糸延伸装置9は、巻き取り段階前の一時的な段階である運転開始の際に用いられる糸駆動アセンブリである。この目的のため、糸は、滑らかな壁又はレリーフを有するモーター駆動ローラーの列によって延伸される(糸は、巻き取り段階を開始する際、スピンドルノーズに糸を掛けるのに適合した操作条件のもとで供給される)。
【0042】
巻き取りは、少なくとも1つの回転エジェクター10と、少なくとも1つのストレートエジェクター11とを含み、これらは、閉構造2に関して横方向に及びバレル5に関して列をなして突き出ている。
【0043】
回転エジェクター10又は引き込み装置は、フレーム2の閉構造上のその端部の一方に関節のあるアームからなり、その自由端部は、糸の位置決め及び誘導装置8(例えば、螺旋構造体)に糸が掛かる第1位置と、該位置決め及び誘導装置8に関して糸が引き込まれる第2位置との間で糸をつかみかつ移動させるよう設計されている。回転エジェクター10の角運動は、スピンドル6又は7の変更(バレル5の180°回転)の間に実施される。
【0044】
ストレートエジェクター11は、その名前が示すように実質的に直線のアームである。フレーム2の閉構造の側壁に関して、回転エジェクター10のように横方向に突き出し、2つの位置、即ち、糸の経路から下がった静止位置と、運転開始の際にスピンドル6又は7のノーズ上に糸を保持する作業位置とを占めることができる。この作業位置は、切り替え操作(バレルの回転及び巻き取られたケークを有するスピンドルから空のスリーブチューブを有するスピンドルまでの経路)の際にも同様に使用される。
【0045】
糸の位置決め及び誘導装置8(例えば、螺旋構造体)の近傍において、圧力下で流体を撒くことによってこの位置決め装置を洗浄する部材(図において確認できない)が配置される。
【0046】
図2、3a、3b及び4は、巻き取り機が占めることができる様々な状態を図示している。
【0047】
図2においては、巻き取り機1は待機状態にある。糸は紡糸口金の底部から下降し、リジェクトビンに垂直に落ちる。これらの糸は、巻き取り機のスピンドル6又は7を有するラインからはずれている。
【0048】
図3a及び3bにおいては、巻き取り機1は運転開始状態にある。スピンドル6又は7のそれぞれは、(一般に2つ又は3つの並置された)空のスリーブチューブを備えている。オペレータは、紡糸口金の底部から出てくる糸をつかみ、糸延伸装置9のほうへそれらを向ける。糸延伸装置9の駆動ローラーが糸をつかみ、糸が運転開始に適した条件下に持ってこられるまで糸を引っ張る(図3a)。
【0049】
ストレートエジェクター11は、スピンドル6又は7のノーズの端部及びその周囲にあるフックなどに糸を引っ掛けることができるよう作業位置にある。
【0050】
スリーブチューブを備えたスピンドル6又は7を回転させるためのモーターが起動され、一次及び二次ストロークのための並びにバレルの配置のための制御及び命令装置が初期化される(構成法の実行)。
【0051】
この段階で、ストレートエジェクター11は静止位置に戻され、糸がスリーブチューブ上に直接配置される(図3b参照)。
【0052】
図4は巻き取り状態を図示している。スピンドルは、その初期の巻き取り速度に達している。ストレートエジェクター11は引き込み位置(静止状態)にあり、回転エジェクター10は、一次ストロークを作り出すことができるように、糸の位置決め及び誘導装置8(例えば、螺旋構造体)と糸を接触させるために角運動を実行している。
【0053】
巻き取りが進行するにつれて(ケークの領域における糸の厚さが増加するにつれて)、バレル5は、「作動中の」スピンドル、即ち、装置の巻き取りが行われているところを、糸の位置決め及び誘導装置の周囲から離して、制御された幾何学的形状を維持するように、バレルの軸の周りの角度位置を回転及び割送ることによって角度の補正を実施する。
【0054】
巻き取りは能動的であり、一次ストローク動作、二次ストローク動作、及びバレルの位置及び/又は角速度の制御は、構成法に適合させるため、制御及び命令装置によって制御される。これは、アクチュエータの全ての位置及び/又は速度を決定できるデジタル技術を使用することによって可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1a】本発明の巻き取り機の概略正面図である。
【図1b】本発明の巻き取り機の概略側面図である。
【図2】待機状態における巻き取り機の正面図である。
【図3a】運転開始状態における巻き取り機の正面図である。
【図3b】運転開始状態における巻き取り機の正面図である。
【図4】巻き取り状態における巻き取り機の正面図である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレル(5)に固定された少なくとも2つのスピンドル(6、7)を含み、該スピンドルが、一方で少なくとも1つのケークを支持するよう設計され、もう一方でケークの直径に実質的に垂直な第1軸の周りに回転可動であるフレーム(2)と、回転スピンドル(6、7)上に少なくとも1つの糸を配置及び誘導するよう設計された少なくとも1つの位置決め及び誘導装置(8)とから本質的になり、前記バレル(5)が第1軸に実質的に平行な第3回転軸に沿って前記フレーム(2)に関して回転可動に取り付けられた巻き取り機(1)であって、前記スピンドル(6、7)が第1回転軸に沿って線形可動であるよう取り付けられるか、又は前記フレーム(2)が、該フレーム(2)に関するバレル(5)の位置を調節できる割送り装置によってバレル(5)と共に作用することを特徴とする、巻き取り機(1)。
【請求項2】
前記位置決め及び誘導装置(8)が、前記第1軸に実質的に平行な第2軸の周りに回転可動に取り付けられた少なくとも1つの螺旋構造体から本質的になることを特徴とする、請求項1に記載の巻き取り機(1)。
【請求項3】
前記位置決め及び誘導装置(8)が、少なくとも1つの溝を備えた少なくとも1つのホイールから本質的になり、該溝が少なくとも1つの糸を配置及び誘導するよう設計され、該ホイールが前記第1軸に実質的に平行な第2軸の周りに回転可動であることを特徴とする、請求項1に記載の巻き取り機(1)。
【請求項4】
前記位置決め及び誘導装置(8)が、少なくとも1つのトラベラーから本質的になり、該トラベラーが、少なくとも1つの糸を配置及び誘導しかつ前記第1軸に実質的に平行な第2軸に沿って線形移動するよう設計されたことを特徴とする、請求項1に記載の巻き取り機(1)。
【請求項5】
前記割送り装置が、糸の経路を前記位置決め及び誘導装置(8)からの糸の出口点とケーク周囲上の糸の接触点との間で一定にするために、ケークの外径の変化に応じて前記フレーム(2)に関して前記バレル(5)の角度位置を絶えず変更するよう設計されたことを特徴とする、請求項1に記載の巻き取り機(1)。
【請求項6】
前記スピンドル(6、7)が、該スピンドルに組み込まれたモーターを含む連鎖によって回転作動されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の巻き取り機(1)。
【請求項7】
前記巻き取り機(1)が、少なくとも2つのモーター駆動ローラーから本質的になる糸を送るための装置又は糸延伸装置(9)を含み、該延伸装置(9)が該巻き取り機(1)のフレーム(2)に固定されたことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の巻き取り機(1)。
【請求項8】
前記巻き取り機(1)が、前記スピンドル(6、7)の端部に糸を配置するよう設計されたストレートエジェクター(11)を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の巻き取り機(1)。
【請求項9】
前記巻き取り機(1)が、糸の位置決め及び誘導装置(8)に糸が掛かる第1位置と、該位置決め及び誘導装置(8)から糸が引き込まれる第2位置との間で糸をつかみかつ移動させるよう設計された糸引き込み装置(10)を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の巻き取り機(1)。
【請求項10】
前記スピンドル(6、7)及びその駆動モーターが、リニアアクチュエータと一体化され、該アクチュエータが、該スピンドル(6、7)の前後動作を確実にするよう設計されたことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の巻き取り機(1)。
【請求項11】
前記巻き取り機(1)が、特には前記位置決め及び誘導装置(8)の一次ストローク動作と前記スピンドル(6、7)の少なくとも1つの二次ストローク動作の間で速度及び/又は位置の調節を確実にすることができる制御及び命令装置を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の巻き取り機(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレル(5)に固定された少なくとも2つのスピンドル(6、7)を含み、該スピンドルが、一方で少なくとも1つのケークを支持するよう設計され、もう一方でケークの直径に実質的に垂直な第1軸の周りに回転可動であるフレーム(2)と、回転スピンドル(6、7)上に少なくとも1つの糸を配置及び誘導するよう設計された少なくとも1つの位置決め及び誘導装置(8)とから本質的になり、前記バレル(5)が第1軸に実質的に平行な第3回転軸に沿って前記フレーム(2)に関して回転可動に取り付けられた巻き取り機(1)であって、前記スピンドル(6、7)が第1回転軸に沿って線形可動であるよう取り付けられ、該スピンドルに組み込まれたモーターを含む連鎖によって回転作動されることを特徴とする、巻き取り機(1)。
【請求項2】
前記フレーム(2)が、該フレーム(2)に関するバレル(5)の位置を調節できる割送り装置によってバレル(5)と共に作用することを特徴とする、請求項1に記載の巻き取り機(1)。
【請求項3】
前記位置決め及び誘導装置(8)が、前記第1軸に実質的に平行な第2軸の周りに回転可動に取り付けられた少なくとも1つの螺旋構造体から本質的になることを特徴とする、請求項1又は2に記載の巻き取り機(1)。
【請求項4】
前記位置決め及び誘導装置(8)が、少なくとも1つの溝を備えた少なくとも1つのホイールから本質的になり、該溝が少なくとも1つの糸を配置及び誘導するよう設計され、該ホイールが前記第1軸に実質的に平行な第2軸の周りに回転可動であることを特徴とする、請求項1に記載の巻き取り機(1)。
【請求項5】
前記位置決め及び誘導装置(8)が、少なくとも1つのトラベラーから本質的になり、該トラベラーが、少なくとも1つの糸を配置及び誘導しかつ前記第1軸に実質的に平行な第2軸に沿って線形移動するよう設計されたことを特徴とする、請求項1に記載の巻き取り機(1)。
【請求項6】
前記割送り装置が、糸の経路を前記位置決め及び誘導装置(8)からの糸の出口点とケーク周囲上の糸の接触点との間で一定にするために、ケークの外径の変化に応じて前記フレーム(2)に関して前記バレル(5)の角度位置を絶えず変更するよう設計されたことを特徴とする、請求項1に記載の巻き取り機(1)。
【請求項7】
前記巻き取り機(1)が、少なくとも2つのモーター駆動ローラーから本質的になる糸を送るための装置又は糸延伸装置(9)を含み、該延伸装置(9)が該巻き取り機(1)のフレーム(2)に固定されたことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の巻き取り機(1)。
【請求項8】
前記巻き取り機(1)が、前記スピンドル(6、7)の端部に糸を配置するよう設計されたストレートエジェクター(11)を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の巻き取り機(1)。
【請求項9】
前記巻き取り機(1)が、糸の位置決め及び誘導装置(8)に糸が掛かる第1位置と、該位置決め及び誘導装置(8)から糸が引き込まれる第2位置との間で糸をつかみかつ移動させるよう設計された糸引き込み装置(10)を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の巻き取り機(1)。
【請求項10】
前記スピンドル(6、7)及びその駆動モーターが、リニアアクチュエータと一体化され、該アクチュエータが、該スピンドル(6、7)の前後動作を確実にするよう設計されたことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の巻き取り機(1)。
【請求項11】
前記巻き取り機(1)が、特には前記位置決め及び誘導装置(8)の一次ストローク動作と前記スピンドル(6、7)の少なくとも1つの二次ストローク動作の間で速度及び/又は位置の調節を確実にすることができる制御及び命令装置を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の巻き取り機(1)。

【図2】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−515825(P2006−515825A)
【公表日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502113(P2006−502113)
【出願日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000137
【国際公開番号】WO2004/067426
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(501399290)サン−ゴバン ベトロテックス フランス ソシエテ アノニム (33)
【Fターム(参考)】