説明

熱回収蒸気発生器ボイラ管構成

【課題】所望の熱交換率値を維持しながら、排気ガスの圧力損失を低減し、ボイラの全体サイズ及びコストを減少させる。
【解決手段】入口及び出口を有するケーシングと、ケーシング内に配置され、内側空洞部302及び外側表面208を画定し、長手方向軸301及び横軸303を含む断面形状を有するボイラ管202であって、長手方向軸301の長さが横軸303の長さよりも大きいボイラ管202と、ボイラ管202の外側表面208上に配置される、少なくとも1つのフィン206とを含む熱回収蒸気発生器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する主題は、熱回収蒸気発生器内のボイラ管に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン複合サイクル発電システムは、発電機に機械的に接続するガスタービンエンジンを含む。ガスタービンは、高温排気ガスを放出し、高温排気ガスは、熱回収蒸気発生器(HRSG)を通して導かれる。排気ガスは、HRSG内の入口ダクト、及びいくつかのボイラ管を含むケーシングを通って流れる。ボイラ水又は蒸気は、ボイラ管を通って流れ、排気ガスの流れにより加熱され、その結果、蒸気タービンを動かすのに使用することができる加熱蒸気になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7137360号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様によれば、熱回収蒸気発生器は、入口及び出口を有するケーシングと、ケーシング内に配置され、内側空洞部及び外側表面を画定し、長手方向軸及び横軸を含む断面形状を有するボイラ管であって、長手方向軸の長さが横軸の長さよりも大きいボイラ管と、ボイラ管の外側表面上に配置される、少なくとも1つのフィンとを含む。
【0005】
本発明の別の態様によれば、発電システムは、排気ダクトを有するガスタービンエンジン、並びに、排気ダクトに接続する入口及び出口を有するケーシングと、ケーシング内に配置され、内側空洞部及び外側表面を画定し、長手方向軸及び横軸を含む断面形状を有するボイラ管であって、長手方向軸の長さが横軸の長さよりも大きいボイラ管と、ボイラ管の外側表面上に配置される、少なくとも1つのフィンとを含む、熱回収蒸気発生器を含む。
【0006】
本発明のさらに別の態様によれば、ボイラ管集合体は、ケーシング内に配置され、内側空洞部及び外側表面を画定し、長手方向軸及び横軸を含む断面形状を有する管であって、長手方向軸の長さが横軸の長さよりも大きい管と、管の外側表面上に配置される、少なくとも1つのフィンとを含む。
【0007】
これら及び他の利点及び特徴は、図面と併せて以下の記述を読むことにより、より明らかになる。
【0008】
本発明とみなされる内容は、本明細書の最後の特許請求の範囲において具体的に指摘し、明確に請求する。本発明の上述及び他の特徴、並びに利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な記述を読むことにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】例示的な複合サイクル発電システムの系統図である。
【図2】ボイラ管集合体の例示的な実施形態の一部分の側面図である。
【図3】図2の線3−3に沿った断面図である。
【図4】ボイラ管集合体の別の例示的な実施形態の一部分の側面図である。
【図5】図4の線5−5に沿った断面図である。
【図6】図1のHRSGの一部分内のボイラ管集合体の構成の例示的な実施形態の断面図である。
【図7】キロワット出力変化対排気圧変化を示すグラフである。
【図8】システム効率変化対排気圧変化を示すグラフである。
【図9】図1のHRSGの一部分内のボイラ管集合体の構成の別の例示的な実施形態の断面図である。
【図10】ボイラ管集合体の構成のさらに別の例示的な実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な記述は、図面に関連する例により、本発明の実施形態と共に、利点及び特徴を説明する。
【0011】
図1は、例示的な複合サイクル発電システム100の系統図を示す。システム100は、発電機104に機械的に接続するガスタービンエンジン102を含む。ガスタービンエンジン102は、吸気プレナム106、圧縮機部分108、燃焼器部分110、タービン部分112、及び排気プレナム(ダクト)114を含む。排気プレナム114は、熱回収蒸気発生器(HRSG)118の入口ダクト116に接続する。HRSG118は、ボイラ管122を取り囲むケーシング120を含む。ケーシング120は、出口ダクト125に接続する。ボイラ管122は、ポンプ124及び蒸気タービン126に接続する。蒸気タービン126は、発電機128に機械的に接続する。蒸気タービンは、ポンプ124に接続する復水器130に蒸気を排出する。
【0012】
動作中、空気101は、吸気プレナム106に流入し、圧縮機108により加圧される。燃料を燃焼器110内で圧縮空気に加え、点火する。高温膨張ガスは、タービン112を通って流れ、圧縮機108及び発電機104を回転させ、それらを駆動する。排気ガス103は、排気プレナム114から流れ出し、HRSG118の入口ダクト116及びケーシング120に入る。排気ガス103は、HRSG118を通って、ボイラ管122の周りを流れ、ボイラ管122を通って流れるボイラ水を加熱する。ボイラ水は蒸気に変わり、蒸気は、蒸気タービン126及び機械的に接続される発電機128を駆動する。蒸気は、蒸気タービン126を出て、復水器130により凝縮されて水になり、水はポンプ124により加圧される。
【0013】
図2は、ボイラ管集合体202の例示的な実施形態の一部分の側面図を示す。ボイラ管集合体202は、管204と、管204の外側表面208上に平行に配置したフィン206とを含む。管204及びフィン206は、例えばスチール又は別の金属材料を含む、どの適当な材料からも作ることができる。フィン206は、例えば、溶接、ろう付け、接着剤、又は機械的連結などの適当な方法を使用して管204の外側表面208に固定することができる。
【0014】
図3は、ボイラ管集合体202の(図2の)線3−3に沿った断面図を示す。ボイラ管集合体202は、内側表面304を有する管204により画定される空洞部302を含む。管204は、楕円形であり、長軸(長手方向軸)(y)301及び短軸(横軸)(x)303を有する(y>x)。
【0015】
図4は、ボイラ管集合体402の別の例示的な実施形態の一部分の側面図を示す。ボイラ管集合体402は、管404と、管404の外側表面408上に平行に配置したフィン406とを含む。
【0016】
図5は、ボイラ管集合体402の(図4の)線5−5に沿った断面図を示す。ボイラ管集合体402は、内側表面504を有する管404により画定される空洞部502を含む。管404は、丸薬形状であり、長手方向軸(a)501及び横軸(b)503を有する(a>b)。管404は、平行な長手方向区域510及び端部区域512を含み、連続的な形状を形成する。ボイラ管集合体402の端部区域512は、円形であり、半径(r)505を有する。
【0017】
図6は、(図1の)HRSG118の一部分内のボイラ管集合体202の構成の例示的な実施形態の断面図を示す。ガスタービンエンジン102からの排気ガス103の流路を示す。動作中、ボイラ水は、ボイラ管集合体202の空洞部204を通って流れる。排気ガス103は、フィン206及び管204を介して熱をボイラ水に伝達する。各管集合体202の表面領域を排気ガス103の流路の方向に延ばし、それを偏平にすることにより、ボイラ管集合体202の楕円形状が、排気ガス103の流れを改善し、HRSG118による圧力損失を減少させる。管204及びフィン206の楕円形状は、(円形の管及びフィン集合体とは反対に)ボイラ管集合体202の表面領域を増大させ、ボイラ水への管当たりの熱伝達を増大させる。ボイラ管集合体202の熱伝達の改善により、ボイラ管集合体202の空間(間隔)(矢印601で示す)が比較的(円形管の構成よりも)大きくなる一方、HRSG118の所望の熱伝達仕様(熱交換率)を維持することもできる。排気ガス103がHRSG118を通って流れるとき、ボイラ管集合体202の空間の増大により、圧力損失はさらに低減され、排気ガス103の流量は改善される。例えば、図1を参照すれば、排気ガス103は、HRSG118の入口ダクト116では圧力P1を有し、出口ダクト125では圧力P2を有する。圧力差は、ΔP=P2−P1と表現することができる。例示した実施形態では、ΔPは、より小さい間隔(例えば、円形ボイラ管の構成)で離間する管を有するHRSGのΔPよりも小さい。例示した実施形態におけるΔPの低減により、タービン112の背圧を低下させることによって、(図1の)ガスタービンエンジン102の効率が増大する。ガスタービンエンジン102の効率の増大により、システム100の総合効率が増大する。
【0018】
ボイラ管集合体202の熱伝達の増大の別の利点は、HRSG118内のボイラ管集合体202の数を低減することができ、それにより、HRSG118の全体サイズ(及びコスト)が減少する一方、所望の熱交換率値が維持されることである。
【0019】
図7は、上述のシステム100と同様の複合サイクルシステムのキロワット(kW)出力変化(CCkW)及び単純サイクルのキロワット(kW)出力変化(SCkW)対タービンエンジンの排気圧変化dP(ΔP)(水柱インチ)を示すグラフを図示する。その際、排気圧の低減は、出力の増大をもたらす。
【0020】
図8は、複合サイクルシステムの効率変化(CCeff)及び単純サイクルの効率変化(SCeff)対タービンエンジンの排気圧変化dP(ΔP)(水柱インチ)を示すグラフを図示する。排気圧の低減は、効率の増大をもたらす。
【0021】
排気ガス103がHRSG118を通って流れるとき、排気ガス103の流量の改善により、熱がボイラ管集合体202により均一に伝達することによって、ボイラ管集合体202の熱伝達は改善される。例えば、図6を参照すれば、排気ガス103がHRSG118を通過するとき、排気ガス103の熱損失のために、列602に沿った管は、列604に沿ったボイラ管集合体202よりも高い温度及び流量の排気ガス103を受け取る。例示した実施形態の流路の改善により、列602のボイラ管集合体202に伝達する熱と、列604のボイラ管集合体202に伝達する熱との間の差が低減される。排気ガス103の流路に沿ったボイラ管集合体202への熱のより均一な伝達により、HRSG118及びシステム100の効率が増大し、HRSG118内のボイラ管集合体202の数が低減される一方、所望の熱交換率値を維持することができる。HRSG118内のボイラ管集合体202の数の低減により、HRSG118のサイズを低減することができる。
【0022】
図9は、(図1の)HRSG118の一部分内のボイラ管集合体402の構成の別の例示的な実施形態の断面図を示す。ボイラ管集合体402は、図6に示す構成と同様に構成される。
【0023】
図10は、(図1の)HRSG118の一部分内のボイラ管集合体202の構成のさらに別の例示的な実施形態の断面図を示す。ボイラ管集合体202は、互い違いの列で構成される。
【0024】
本発明は、限定した数の実施形態のみに関して詳細に説明してきたが、本発明は、開示したそのような実施形態に限定されないことが容易に理解されよう。むしろ、本発明は、変更され、これまで説明しなかったが、本発明の技術的思想及び範囲と整合する様々な変形、修正、代用、又は均一な構成を含むことができる。それに加えて、本発明の様々な実施形態を説明してきたが、本発明の態様は、説明した実施形態のいくつかだけを含むことができることを理解されたい。従って、本発明は、以上の記述により限定されるものとみなすべきでなく、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0025】
100 発電システム
101 空気
102 ガスタービンエンジン
103 排気ガス
104 発電機
106 吸気プレナム
108 圧縮機部分
110 燃焼器部分
112 タービン部分
114 排気プレナム
116 入口ダクト
118 熱回収蒸気発生器
120 ケーシング
122 ボイラ管
124 ポンプ
125 出口ダクト
126 蒸気タービン
128 発電機
130 復水器
202 ボイラ管集合体
204 管
206 フィン
208 外側表面
301 長軸(長手方向軸)
303 短軸(横軸)
304 内側表面
402 ボイラ管集合体
404 管
406 フィン
408 外側表面
501 長手方向軸
502 空洞部
503 横軸
504 内側表面
505 半径
510 長手方向区域
512 端部区域
601 空間(間隔)
602 列
604 列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口(116)及び出口(125)を有するケーシング(120)と、
前記ケーシング(120)内に配置され、内側空洞部(302)及び外側表面(208)を画定し、長手方向軸(301)及び横軸(303)を含む断面形状を有するボイラ管(202)であって、前記長手方向軸(301)の長さが前記横軸(303)の長さよりも大きいボイラ管(202)と、
前記ボイラ管(202)の前記外側表面(208)上に配置される、少なくとも1つのフィン(206)と
を含む、熱回収蒸気発生器(118)。
【請求項2】
前記ボイラ管(202)の前記断面形状が、楕円形である、請求項1記載の熱回収蒸気発生器(118)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのフィン(206)が、楕円形状である、請求項2記載の熱回収蒸気発生器(118)。
【請求項4】
前記ボイラ管(202)の前記断面形状が、第1の長手方向区域(510)と第2の長手方向区域(510)とを含み、前記第1の長手方向区域(510)は、前記第2の長手方向区域(510)と平行に配置される、請求項1記載の熱回収蒸気発生器(118)。
【請求項5】
前記ボイラ管(202)の前記断面形状が、第1の放射状横方向区域(512)と第2の放射状横方向区域(512)とをさらに含む、請求項4記載の熱回収蒸気発生器(118)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのフィン(206)が、平面を含む、請求項1記載の熱回収蒸気発生器(118)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのフィン(206)の前記平面が、第2のフィン(206)の平面と平行に配置される、請求項6記載の熱回収蒸気発生器。
【請求項8】
前記入口(116)が、ガスタービンエンジン(102)の排気ダクト(114)に接続する、請求項1記載の熱回収蒸気発生器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−154615(P2012−154615A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−9512(P2012−9512)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)