説明

熱成型用ポリウレタン発泡体、その熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法及び熱成型ポリウレタン発泡体並びにその熱成型ポリウレタン発泡体の製造方法

【課題】ジアミン化合物の発生を低減させた熱成型ポリウレタン発泡体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法は、発泡工程と乾燥工程とを備え、その製造方法により得られた本発明の熱成型用ポリウレタン発泡体は、含水量が1質量%以下である。また、本発明の熱成型ポリウレタン発泡体の製造方法は、本発明の熱成型用ポリウレタン発泡体を用いて、熱成型する熱成型工程を備える。また、その製造方法により得られた本発明の熱成型ポリウレタン発泡体は、ジアミン化合物(2,4−TDA等)の含有量が1ppm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱成型用ポリウレタン発泡体、その熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法及び熱成型ポリウレタン発泡体並びにその熱成型ポリウレタン発泡体の製造方法に関する。更に詳しくは、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤及び触媒を含有する発泡原料を用いてポリウレタン発泡体を製造する発泡工程と、得られたポリウレタン発泡体を乾燥する乾燥工程と、を備えることを特徴とする熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法、含水量が1質量%以下の熱成型用ポリウレタン発泡体、熱成型用ポリウレタン発泡体を熱成型する熱成型工程を備えることを特徴とする熱成型ポリウレタン発泡体の製造方法、及びジアミン化合物の含有量が1ppm以下である熱成型後の熱成型ポリウレタン発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン発泡体は軽量であって、且つ優れたゴム弾性を有し、保温性にも優れるため、低反発性のポリウレタン発泡体が衣料用途に広く使用されている。
また、衣料用素材としてポリウレタン発泡体が用いられる場合、肌に直接又は間接的に触れるものであることから、発癌性等が疑われる有害物質の含有量が多いものは好ましくなく、繊維製品における有害物質を自主的に規制するものとして、エコテックス国際共同体によるエコテックス規格100という安全基準があり、その中でアミン化合物であるトルエンジアミンは、20ppm以下とされている。
【0003】
そこで、有害物質の含有量を抑えた各種ポリウレタン発泡体が検討させている。例えば、反応性モノオールを使用すること等によりトルエンジアミン含有量を抑えた粘弾性ポリウレタンフォームが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、イソシアネートインデックスが100を超える値にすることにより、ポリイソシアネート化合物をポリオール類と発泡剤とに十分反応させることができて残存するポリイソシアネート化合物を抑えて有害物質の生成を抑制されたポリウレタンが知られている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特表2003−522235号公報
【特許文献2】特開2005−194480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の粘弾性ポリウレタンフォームでは、特定の反応性モノオールを用いる場合に限られる。また、衣料用のポリウレタンフォームにおいて、低反発性であることが要求される場合は、通常イソシアネートインデックスを100以下として、良好な物性を有するウレタンフォームが製造されるが、特許文献2に記載のポリウレタンでは、イソシアネートインデックスが100を超える値にすることにより、有害物質の生成を抑制さえている。
従って、これまでに提案されているウレタンフォームは、良好な物性を有し、且つ有害物質の生成を抑制することを十分に満たす材料ではないのが現状である。
【0007】
本発明は上記課題を解決するものであり、熱成型前の上記熱成型用ポリウレタン発泡体の含水量が1質量%以下とすることにより、いかなる発泡原料を使用しても、更に、イソシアネートインデックスの値に限定されることなく、有害物質と考えられるジアミン化合物の生成を低減し、ジアミン化合物含有量を低く抑えた衣料用の低反発ポリウレタン発泡体及びその製造方法を提供することを目的とする。
即ち、熱成型用ポリウレタン発泡体において、熱成型前の含水量を減らすことにより、熱成型工程におけるジアミン化合物の発生を低減させ、熱成型後のジアミン化合物の含有量を抑えたポリウレタン発泡体を得られることが本発明者らに見出されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下のとおりである。
1.ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤及び触媒を含有する発泡原料を用いてポリウレタン発泡体を製造する発泡工程と、得られたポリウレタン発泡体を乾燥する乾燥工程と、を備えることを特徴とする熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法。
2.上記乾燥工程は加熱による熱処理工程及び/又は乾燥剤による乾燥剤処理工程である上記1.に記載の熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法。
3.上記熱処理工程の温度は30〜200℃であり、該熱処理工程の熱処理時間は30分〜10時間である上記2.に記載の熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法。
4.上記乾燥剤はシリカゲルである上記2.又は上記3.に記載の熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法。
5.上記1.乃至4.のいずれかに記載の製造方法により得られた熱成型用ポリウレタン発泡体であって、含水量は1質量%以下であることを特徴とする熱成型用ポリウレタン発泡体。
6.JIS K−6400に準拠して測定された反発弾性率は15%以下である上記5.に記載の熱成型用ポリウレタン発泡体。
7.イソシアネートインデックスは100以下である上記5.又は上記6.に記載の熱成型用ポリウレタン発泡体。
8.上記ポリイソシアネートはトリレンジイソシアネートである上記6.乃至7.のいずれかに記載の熱成型用ポリウレタン発泡体。
9.上記ポリオールはポリエーテルポリオールであり、且つ全アルキレンオキサイド単位を100モル%とした場合に、プロピレンオキサイド単位が80モル%以上であり、上記ポリイソシアネートはトリレンジイソシアネートであり、上記発泡剤は水であり、イソシアネートインデックスは100以下であり、JIS K−6400に準拠して測定された反発弾性率は15%以下である上記5.に記載の熱成型用ポリウレタン発泡体。
10.上記5.乃至9.のいずれかに記載の熱成型用ポリウレタン発泡体を熱成型する熱成型工程を備えることを特徴とする熱成型ポリウレタン発泡体の製造方法。
11.上記10.に記載の製造方法により得られた熱成型ポリウレタン発泡体であって、ジアミン化合物の含有量は1ppm以下であることを特徴とする熱成型ポリウレタン発泡体。
12.上記ジアミン化合物はトルエンジアミンである上記11.に記載の熱成型ポリウレタン発泡体。
【発明の効果】
【0009】
本発明の熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法によれば、乾燥工程を備えることから、含水量が低い乾燥された熱成型用ポリウレタン発泡体を容易に且つ確実に製造することができる。特に、高温多湿の製造環境条件下においても、乾燥された熱成型用ポリウレタン発泡体を効率よく製造することに優れる。
乾燥工程が加熱による熱処理工程及び/又は乾燥剤による乾燥剤処理工程である場合には、より効率的に乾燥された熱成型用ポリウレタン発泡体を製造することができる。
熱処理工程の温度が30〜200℃であり、該熱処理工程の熱処理時間が30分〜10時間である場合には、より確実に乾燥された熱成型用ポリウレタン発泡体を製造することができる。
乾燥剤はシリカゲルである場合には、より簡便に乾燥された熱成型用ポリウレタン発泡体を製造することができる。
本発明の熱成型用ポリウレタン発泡体は、乾燥工程を備えた熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法により製造され、含水量が1質量%以下であることから、熱成型後のポリウレタン発泡体のジアミン化合物の含有量を低減させることができる。
反発弾性率は15%以下である場合には、衣料用低反発ポリウレタン発泡体として、好適に用いることができ、極めて低反発であり、衝撃緩衝に優れ、且つ有害物質の少ない衣料用低反発ポリウレタン発泡体とすることができる。
イソシアネートインデックスが100以下である場合には、更に、低反発性及び衝撃緩衝性に優れる熱成型用ポリウレタン発泡体とすることができる。
本発明の熱成型ポリウレタン発泡体の製造方法によれば、ジアミン化合物の発生を低減させ、ジアミン化合物含有量の少ない熱成型ポリウレタン発泡体を容易に且つ確実に製造することができる。
本発明の熱成型ポリウレタン発泡体は、ジアミン化合物含有量が1ppm以下であることから、有害物質の少なく、安全性に優れた衣料用ポリウレタン発泡体とすることができる。
ジアミン化合物がトルエンジアミンの場合には、トルエンジアミンはより発癌性が危惧される化合物であり、そのトルエンジアミンが1ppm以下であることから、より安全性に優れた衣料用等に用いられるポリウレタン発泡体とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳しく説明する。尚、「熱成型用ポリウレタン発泡体」とは熱成型される前のポリウレタン発泡体を意味し、「熱成型ポリウレタン発泡体」とは熱成型された後の熱成型後のポリウレタン発泡体を意味する。
【0011】
[1]熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法
本発明の熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤及び触媒を含有する発泡原料を用いてポリウレタン発泡体を製造する発泡工程と、得られたポリウレタン発泡体を乾燥する乾燥工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
(1)発泡工程
上記発泡工程は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤及び触媒を含有する発泡原料を用いてポリウレタン発泡体を製造する工程であれば特に限定されない。例えば、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤及び触媒等を含有する発泡原料を攪拌混合して上記ポリオールとポリイソシアネートとを反応させる、所謂、ワンショット法が挙げられる
尚、上記ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤及び触媒等の発泡原料については、後述する。
【0013】
(2)乾燥工程
上記乾燥工程は、上記発泡工程により得られたポリウレタン発泡体を乾燥する工程であれば特に限定されない。この乾燥工程としては、加熱による熱処理工程、乾燥剤による乾燥剤処理工程、減圧乾燥工程、及び除湿乾燥工程の少なくとも1つ若しくは併用による工程を備えることが好ましい。
【0014】
上記熱処理工程は、上記ポリウレタン発泡体を加熱することにより、乾燥させる工程である。この熱処理工程の温度は、好ましくは30〜200℃であり、より好ましくは50
〜120℃であり、更に好ましくは60〜100℃である。加熱温度を30〜200℃とする場合は、効率的にポリウレタン発泡体を乾燥させることができる。
また、熱処理工程の時間は、好ましくは30分〜10時間であり、より好ましくは1時〜8時間であり、更に好ましくは2〜5時間である。加熱時間を30分〜10時間とする場合は、効率的にポリウレタン発泡体を乾燥させることができる。
【0015】
上記乾燥剤処理工程は、乾燥剤を備えた乾燥器に上記ポリウレタン発泡体を放置することにより、乾燥させる工程である。この乾燥工程で用いる乾燥剤としては、シリカゲル、塩化カルシウム、酸化カルシウム(生石灰)、五酸化リン、モレキュラシーブ、シリカアルミナゲル等が挙げられる。このうち、特に取り扱いが容易で、ポリウレタン発泡体への影響も低いシリカゲルが好ましい。
【0016】
上記乾燥工程により、ポリウレタン発泡体を乾燥させる。乾燥工程後のポリウレタン発泡体の含水量は、好ましくは1%以下であり、より好ましくは0.5%以下であり、更に好ましくは0%である。ポリウレタン発泡体の含水量を1%以下とすることで、熱成型におけるジアミン化合物の発生を低減させ、熱成型後のポリウレタン発泡体のジアミン化合物の含有量を低減させることができる。
【0017】
[2]熱成型用ポリウレタン発泡体
本発明の熱成型用ポリウレタン発泡体は、上記熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法である、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤及び触媒を含有する発泡原料を用いてポリウレタン発泡体を製造する発泡工程と、得られたポリウレタン発泡体を乾燥する乾燥工程と、を備える熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法により得られた熱成型用ポリウレタン発泡体であって、含水量が1質量%以下であることを特徴とする。
【0018】
上記ポリオールは特に限定されず各種のポリオールを用いることができる。このポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルエステルポリオール等が挙げられ、特にポリエーテルポリオールが好ましい。また、ポリマーポリオール、即ち、ポリエーテルポリオールにアクリロニトリル、スチレン、メチルメタアクリレート等のエチレン性不飽和結合を有する化合物をグラフト重合させてなるポリオールを用いることもできる。
【0019】
ポリエーテルポリオールとしては、2個以上の活性水素を有する出発物質に、アルキレンオキサイドをランダム付加重合又はブロック付加重合させてなるポリオールを用いることができる。そのようなポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、サッカロール、及びチレンジアミン等の芳香族アミンなどの活性水素化合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルトリメチレンオキサイド、3,3’−ジメチルトリメチレンオキサイド等のオキサイドを付加重合させたものなどが挙げられる。
【0020】
また、ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、ショ糖等の低分子量ポリオールと、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等のカルボン酸との縮合反応により生成するポリオールを用いることができる。更に、ポリオールとしては、ラクトンエステルとして分類されるカプロラクトン、メチルバレロラクトンの開環縮合物であるポリオール等を用いることもできる。
ポリオールは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等の種類のことなるポリオールを併用することもできる。
【0021】
また、上記のポリオールのうち、ポリエーテルポリオールが好ましい。ポリエーテルポリオールの場合、耐加水分解性に優れること、柔軟性、クッション性に優れる。
また、ポリエーテルポリオールを構成するアルキレンオキサイド単位としては、プロピレンオキサイド単位を含むことが好ましく、ポリエーテルポリオール形成する全アルキレンオキサイド由来の全構成単位を100モル%とした場合に、より好ましくはプロピレンオキサイド単位が80モル%以上であり、更に好ましくはプロピレンオキサイド単位が100モル%である。プロピレンオキサイド単位を含むポリエーテルポリオールの場合は、形成される発泡体が疎水性を有し、含水量を低減させることができる。
【0022】
更に、ポリエーテルポリオールの官能基数(OH基の数)は2〜4が好ましく、より好ましくは2又は3、更に好ましくは3である。この範囲であれば、ポリウレタン発泡体の製造を良好、且つ安定して行うことができる。
【0023】
上記ポリオールの重量平均分子量は、発泡体を形成できる限り、特に限定されないが、100〜8000であることが好ましく、より好ましくは500〜5000、更に好ましくは500〜3500である。この重量平均分子量が100〜8000の範囲であれば、良好な密度及び硬さを有する熱成型用ポリウレタン発泡体とすることができる。
【0024】
上記ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、粗TDI、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗MDIの他、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、粗HDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添MDI、イソホロンジイソシアネート等、芳香族系並びに脂肪族系の各種のものを用いることができる。なかでも、TDIを用いることが好ましい。また、これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0025】
ポリイソシアネートの配合量は、所定のイソシアネートインデックスにより適宜調整される。このイソシアネートインデックスは、30以上、120未満であり、好ましくは30〜105、更に好ましくは100以下である。イソシアネートインデックスが30未満の場合、発泡が正常に行われず、割れが生じたり、泡体の崩落が発生する恐れがある。一方、120以上の場合、架橋密度が高くなり、良好なクッション性を有する熱成型用ポリウレタン発泡体が得られない恐れがある。
【0026】
尚、イソシアネートインデックスとは、ポリウレタン発泡体原料中のポリオール等が有する全ての活性水素と反応するポリイソシアネートの化学量論により算出される必要量に対する実際の配合量の百分率を意味する。例えば、イソシアネートインデックス30とは、ポリウレタン発泡体原料中のポリオール等が有する全ての活性水素と反応するのに必要な化学量論的な必要量に対して、質量百分率で30%に相当するポリイソシアネートが配合されていることを意味する。
【0027】
また、反発弾性率が15%以下である低反発の衣料用緩衝材として用いる場合の熱成型用ポリウレタン発泡体では、通常、イソシアネ−トインデックスを100以下に設定することにより、低反発性の熱成型用ポリウレタン発泡体とする。
そのような低反発の衣料用緩衝材は、直接肌に接触する機会が多いことから、発癌性が疑われているTDAなどのジアミン含有量が少ないほうが好ましい。
また、例えば、ポリイソシアネートとしてTDIを使用した熱成型ポリウレタン発泡体において、イソシアネートインデックスによりトルエンジアミン含有量が変化するが、イソシアネ−トインデックスが100を超える場合のトルエンジアミン含有量は100以下と比べ少ない傾向にあり、イソシアネートインデックスが100以下の場合、100を超えるものより、熱成型後のトルエンジアミン含有量が増加する傾向にある。
【0028】
熱成型用ポリウレタン発泡体は、例えば200℃のような、熱成型される高温において、ウレタン結合及びアルファネート結合等のイソシアネート由来の結合が解離しやすくなり、ウレタン結合及びアルファネート結合の一部は解離し、イソシアネート基や水酸基が形成される。通常は、熱成型時に解離した結合は、また再結合し、再びウレタン結合及びアルファネート結合を形成する。しかし、その解離が生じるときに水が存在する場合、そのイソシアネートが水と反応して、ジアミン化合物が形成される。
また、ジアミン化合物は反応性が高く、解離したイソシアネートと反応する。即ち、イソシアネートインデックスが高い熱成型用ポリウレタン発泡体の場合は、ジアミン化合物は解離したイソシアネートと反応する機会が多くなり、ジアミン化合物の残留が少なくなる。しかし、イソシアネートが少ない場合は、ジアミン化合物とイソシアネートとの反応機会が少なくなり、多くのジアミン化合物が残留すると考えられる。
従って、イソシアネートインデックスの値にかかわらず、更に、イソシアネートインデックスが低い場合であっても熱成型において、ジアミン化合物の発生を低減させるためには、熱成型用ポリウレタン発泡体の含水量を低くすることが好ましいと考えられる。
【0029】
本発明の熱成型用ポリウレタン発泡体は、上記乾燥工程を備える熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法により得られ、含水量が1%以下であり、好ましくは0.5%以下であり、更に好ましくは0%である。含水量が1%以下である場合、ジアミン化合物の発生を低減させ、熱成型後のポリウレタン発泡体のジアミン化合物の含有量をより低下させることができる。
【0030】
上記発泡剤は特に限定されないが、通常、水が用いられる。また、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩化アルキレン、イソペンタンや、液化炭酸ガス等を用いることもできる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0031】
また、上記「水」は特に限定されず、例えば、イオン交換水、水道水、蒸留水等の各種の水を用いることができる。
水の配合量は、ポリオールを100質量部とした場合に、0.5〜5質量部であり、より好ましくは2〜4質量部が用いられる。水の配合量が0.5質量部未満の場合は、ポリウレタン発泡体の密度が高くなり、良好なクッション性、柔軟性が得がたくなる恐れがある。また、水の配合量が5質量部を超える場合は、水とイソシアネートとの発熱反応が顕著となり、フォーム内部の変色、スコーチ等が発生し良好なポリウレタン発泡体を形成しがたくなる恐れがある。
【0032】
触媒としては、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、ポリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類等のアミン系触媒;有機錫化合物、有機水銀化合物、有機鉛化合物等の有機金属化合物系触媒が挙げられる。
アミン系触媒としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N",N"−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N",N"−ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン、N,N−ジポリオキシエチレンステアリルアミン、N,N−ジポリオキシエチレン牛脂アルキルアミン、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノ)−エチルピペラジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)−モルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン、N−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス−(3−ジメチル)−アミノプロピルエーテル等が挙げられる。
また、有機金属化合物系触媒としては、オクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫メルカプチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫メルカプチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート、オクテン酸鉛、ナフテン酸鉛、オクチル酸カリウム、ネオデカン酸亜鉛等が挙げられる。
上記触媒は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
上記触媒の配合量は、使用する触媒により、泡化と樹脂化のバランスで適宜調整されるが、アミン系触媒の配合量は、上記ポリオールの合計量を100質量部とした場合に、0.05〜2質量部が好ましく、より好ましくは0.2〜1質量部、更に好ましくは、0.25〜0.7質量部である。有機金属化合物系触媒の使用量は、上記ポリオールの合計量を100質量部とした場合に、0.05〜1質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜0.5質量部である。
また、上記触媒は、アミン系触媒単独の使用でもよく、泡化と樹脂化のバランスから、アミン系触媒と有機金属化合物触媒との併用がより好ましい。
【0034】
上記整泡剤は、特に限定されない。通常、使用されるシリコーン系整泡剤等が挙げられる。その整泡剤の配合量は、上記ポリオールの合計量を100質量部とした場合に、0.1〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.2〜3質量部、更に好ましくは0.5〜1.5質量部である。この範囲であれば、熱成型用ポリウレタン発泡体の製造を良好、且つ安定して行うことができる。
【0035】
尚、本発明において原料中に、更に必要に応じて、有機及び無機充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等、ウレタン配合に一般に使用される原料を適宜配合することもできる。
【0036】
上記熱成型用ポリウレタン発泡体の密度、硬さ、及び反発弾性率等は、特に限定されない。密度は、通常、30〜80kg/m、好ましくは40〜60kg/mである。密度が30〜80kg/mである場合、ポリウレタン発泡体の受ける圧力を十分に分散させ、圧力分散性を向上させることができる。
【0037】
上記硬さは、JIS K−6400に準拠した硬さ測定器により測定することができ、25%圧縮時の荷重を単位面積あたりに換算して測定されたものである。
上記熱成型用ポリウレタン発泡体の硬さは、通常、0.1〜5kPaであり、好ましくは、0.5〜5.0kPa、より好ましくは1.0〜3.5kPaである。硬さが0.1〜5kPaである場合、ポリウレタン発泡体の受ける圧力を十分に分散させ、圧力分散性を向上させることができる。
【0038】
上記反発弾性率は、JIS K−6400に準拠して測定することができ、ポリウレタン発泡体から100×100×50mm、又はこれを越える寸法の試験片を切り出し、試験片の上面より500mmの高さから直径16mm、質量16gの鋼球を落下させ、跳ね返った最高の高さを落下高さ(500mm)に対する百分率で表したものである。従って、数値が小さいほど、低反発であり、衝撃緩衝性に優れていることになる。
本発明の熱成型用ポリウレタン発泡体の反発弾性率は50%以下が好ましい。また、本発明の熱成型用ポリウレタン発泡体を衣料用に用いる場合は、15%以下が好ましく、より好ましくは10%以下である。反発弾性率が15%以下の場合、極めて低反発であり、優れた衝撃緩衝性を有する衣料用ポリウレタン発泡体とすることができる。
【0039】
(3)熱成型ポリウレタン発泡体の製造方法
本発明の熱成型ポリウレタン発泡体の製造方法は、熱成型用ポリウレタン発泡体を熱成型する熱成型工程を備えることを特徴とする。
上記熱成型用ポリウレタン発泡体は、上述の本発明における熱成型用ポリウレタン発泡体である。
【0040】
上記熱成型工程は、熱成型用ポリウレタン発泡体を所望の形状に成型できる方法であれば特に限定されず、通常の方法を用いることができる。例えば、上下に分割可能なアルミ製の型に、スライスした軟質ポリウレタンフォームをセットし、210℃で3分間加熱することにより所定形状の成型品を得ることが出来る。
【0041】
[4]熱成型ポリウレタン発泡体
本発明の熱成型ポリウレタン発泡体は、上記熱成型ポリウレタン発泡体の製造方法により得られ、ジアミン化合物の含有量は1ppm以下であることを特徴とする。
上記ジアミン化合物は、熱成型ポリウレタン発泡体を形成するポリイソシアネート由来のジアミン化合物を意味する。熱成型ポリウレタン発泡体を形成するポリイソシアネートとしてTDIを使用した場合、上記ジアミン化合物はトルエンジアミンである。
通常、ポリイソシアネートとしては、TDIが使用させることが多く、形成されるジアミン化合物はトルエンジアミンとなる。更に、2,4−トルエンジアミン及び2,6−トルエンジアミンの低減が好ましく、発癌性が疑われている2,4−トルエンジアミンの低減がより好ましい。
【実施例】
【0042】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、この実施例に何ら限定されるものではない。尚、実施例の記載における「部」及び「%」は、特記しない限り質量基準である。また、「Mw」は、重量平均分子量を意味する。
【0043】
[1]合成例(熱成型前のポリウレタン発泡体A〜Fの製造)
(1)使用原料(合成例1〜6)
合成例において、表1に示す配合の発泡原料を用いた。
【0044】
【表1】

【0045】
ここで、表1及び表2における発泡原料の詳細を説明する。
ポリオール1;ポリエーテルポリオール(プロピレンオキサイド付加物)、(株)ADEKA製、商品名「G700」、Mw;700、3官能。
ポリオール2;ポリエーテルポリオール(プロピレンオキサイド付加物)、三洋化成工業(株)製、商品名「GP3000」、Mw;3000、3官能。
触媒;アミン系触媒、三共エアプロダクツ(株)製、商品名「DABCO−33LV」。
整泡剤;シリコーン系整泡剤、信越化学工業(株)製、商品名「F−650」
イソシアネート1;2,4−TDIと2,6-TDIとが質量比で65:35であるTDI、日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「T−65」
イソシアネート1;2,4−TDIと2,6-TDIとが質量比で80:20であるTDI、日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「T−80」
【0046】
(2)熱成型前のポリウレタン発泡体A〜Fの製造(合成例1〜6)
イソシアネート以外の各成分を表1に示す所定の配合でハンドミキサーを用いて攪拌した後、所定の配合量のイソシアネートと混合・攪拌して、熱成型前のポリウレタン発泡体A〜Fを製造した。
また、反応性を評価するため、ポリウレタン発泡体の製造時におけるライズタイムを測定した。この測定したライズタイムを表1及び表2に併記する。
【0047】
(3)物性評価
上記(2)で得られた合成例1〜6の熱成型前のポリウレタン発泡体A〜Fにおいて、以下の方法により物性評価を行った。尚、それぞれの結果を表1に併記する。
(1)フォーム状態
目視によりポリウレタン発泡体を観察し、内部に割れや空洞が無く通気性がある場合を良好、内部に割れや空洞がある場合や通気性が無く発泡後に収縮を生じた場合を不良と評価した。
(2)密度(kg/m
密度(kg/m)は、JIS K−6401に準じて測定した。
(3)硬さ(kPa)
硬さ(kPa)は、JIS K−6400に準拠した硬さ測定器により測定した。
(4)反発弾性率(%)
反発弾性率(%)は、JIS K−6400に準拠して測定した。
【0048】
[2]熱成型前のポリウレタン発泡体の調整
(1)熱乾燥処理工程(実施例1〜5)
上記合成例1〜5により得られたポリウレタン発泡体A〜E各約40gについて、温度80℃で3時間加熱することにより、ポリウレタン発泡体を乾燥させた。実施例1〜5の製造に用いたポリウレタン発泡体を表2に示す。また、表2において、熱乾燥処理工程を「熱乾燥」と略記する。
【0049】
【表2】

【0050】
(2)乾燥剤処理工程(実施例6)
上記合成例6により得られたポリウレタン発泡体F約40gを、シリカゲル200gを備えた乾燥器に24時間放置することにより、ポリウレタン発泡体を乾燥させた。実施例6の製造に用いたポリウレタン発泡体を表2に併記する。また、表2において、乾燥剤処理工程を「乾燥剤」と略記する。
【0051】
(3)恒温恒湿処理工程(比較例1〜3)
上記合成例1〜3により得られたポリウレタン発泡体A〜C各約40gを、温度23℃及び湿度50%で24時間放置した。比較例1〜3の製造に用いたポリウレタン発泡体を表3に示す。また、表3において、恒温恒湿処理工程を「恒温恒湿」と略記する。
【0052】
【表3】

【0053】
(4)湿熱処理工程(比較例4〜6)
上記合成例1〜3により得られたポリウレタン発泡体A〜C各約40gを、温度50℃及び湿度95%で24時間放置した。比較例4〜6の製造に用いたポリウレタン発泡体を表3に併記する。また、表3において、湿熱処理工程を「湿熱」と略記する。
尚、この湿熱処理工程は、東南アジア等での製造環境も考慮した工程である。
【0054】
(5)物性評価
上記熱乾燥処理工程(実施例1〜5)、乾燥剤処理工程(実施例6)、恒温恒湿処理工程(実施例1〜3)及び湿熱処理工程(実施例4〜6)により得られた熱成型前のポリウレタン発泡体において、以下の方法により、含水量、並びに2,4−TDA及び2,6−TDA含有量を測定した。尚、それぞれの結果を表2及び表3に併記する。
<1>含水量
含水量は、80℃で3時間乾燥後の水分量を0%として測定した。
<2>2,4−TDA及び2,6−TDA含有量
上記恒温恒湿処理工程から5gの試験片を作成し、その試験片を1%酢酸水溶液50ml中で、試験片に対して圧縮を繰り返しながら20分浸漬した。その後、100mlメスフラスコに、試験片に含まれている浸漬液を搾り取る。この操作を繰り返し、100mlに調製する。
そして、この浸漬液をHPLC(島津製作所社製 製品名「LC−20AD」)を用い、2,4−TDA及び2,6−TDA含有量をそれぞれ分析した。尚、この時の検出限界は0.3ppmであった。また、表2において、0.3ppm以下を「<0.3」と略記する。
尚、HPLCでの分析方法を以下に示す。
ウレタンフォーム5gを秤量し、1%酢酸水溶液50mlに浸漬し揉み洗いを行う。抽出液をデカンテーションで取り出し、再度50mlの1%酢酸水溶液を加え揉み洗いする。抽出液を初回分と合わせ1%酢酸水溶液を加え100mlに調整する。この液をHPLCで分析する。HPLCの試験条件はカラムとしてCadenza CD-C18を使用し、アセトニトリル/0.1M酢酸アンモニウム水溶液(pH=5.0)=10/90を溶出液とし、流速は1ml/分である。
【0055】
[3]熱成型ポリウレタンの調整及び物性評価
上記熱乾燥処理工程(実施例1〜5)、乾燥剤処理工程(実施例6)、恒温恒湿処理工程(実施例1〜3)及び湿熱処理工程(実施例4〜6)により得られた熱成型前のポリウレタン発泡体を上下に分割されるアルミ成型用型にセットし、210℃で3分間加圧圧縮成型した。
そして、熱成型後の熱成型ポリウレタンについて、上記と同様にして、2,4−TDA及び2,6−TDA含有量を測定した。その結果を表2及び表3に併記する。
【0056】
[4]評価結果
表2及び表3によれば、同一のポリウレタン発泡体(A)を使用した実施例1及び比較例1並びに比較例4において、調整工程の差異により、熱成型前の含水量は、実施例1は0%、比較例1は2.3%、及び比較例4は4.5%であった。そして、熱成型後の2,4−TDA含有量及び2,6−TDA含有量は、実施例1が0.4ppm及び0.3ppm以下であるのに対して、比較例1は10.5ppm及び6.5ppm、比較例4は42.1ppm及び20.5ppmと極めて高い値であった。このことから、同一のポリウレタン発泡体であっても、熱成型前の含水量が高いほど、TDA等のジアミン化合物の含有量が高くなることが分かる。
【0057】
表2によれば、熱乾燥された実施例1〜5の熱成型前のポリウレタン発泡体の含水量は、0%である。そして、熱成型後の2,4−TDA含有量は、実施例1が0.4ppm以下であり、実施例2〜5は検出限界値の0.3ppm以下であった。更に、2,6−TDA含有量は、実施例1〜5において全て検出限界値の0.3ppm以下であった。
また、乾燥剤により乾燥された実施例6の熱成型前のポリウレタン発泡体の含水量は、0%であり、熱成型後の2,4−TDA含有量及び2,6−TDA含有量は、検出限界値の0.3ppm以下であった。
【0058】
一方、表3によれば、含水量が1%を超える熱成型前のポリウレタン発泡体は、熱成型後の2,4−TDA含有量及び2,6−TDA含有量が高い値を示すことがわかる。
含水量が1.3%と比較的低い比較例3においても熱成型後の2,4−TDA含有量は、4.5ppmであり、2,6−TDA含有量は0.7ppmであった。更に、含水量が4.5%の比較例4においては、熱成型後の2,4−TDA含有量は、42.1ppmであり、2,6−TDA含有量は20.5ppmという高い値であった。
従って、熱成型前の含水量を低くすることにより、TDA等のジアミン化合物の含有量を極めて低く抑えた熱成型ポリウレタン発泡体を得られることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の熱成型ポリウレタン発泡体は、肩パット、ブラカップ等の衣料用として好適に用いることができる。有害物質であるジアミン化合物の含有量が極めて低く抑えられており、安全な衣料用フォームとして最適である。
【0060】
尚、熱成型ポリウレタン発泡体の製造環境として、東南アジア地域等の高温多湿の環境である場合には、熱成型用型ポリウレタン発泡体は、高温多湿の環境条件のため、含水量が高いものとなる傾向にある。含水量の高い熱成用型ポリウレタン発泡体は、上述の通り、ジアミン化合物がより多く発生し、その含有量は多いものとなる。しかし、本発明の熱成型ポリウレタン発泡体及びその製造方法によれば、高温多湿の環境下であっても、ジアミン化合物の含有量が少ない熱成型ポリウレタン発泡体を効率且つ確実に製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤及び触媒を含有する発泡原料を用いてポリウレタン発泡体を製造する発泡工程と、
得られたポリウレタン発泡体を乾燥する乾燥工程と、を備えることを特徴とする熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法。
【請求項2】
上記乾燥工程は加熱による熱処理工程及び/又は乾燥剤による乾燥剤処理工程である請求項1に記載の熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法。
【請求項3】
上記熱処理工程の温度は30〜200℃であり、該熱処理工程の熱処理時間は30分〜10時間である請求項2に記載の熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法。
【請求項4】
上記乾燥剤はシリカゲルである請求項2又は3に記載の熱成型用ポリウレタン発泡体の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方法により得られた熱成型用ポリウレタン発泡体であって、
含水量は1質量%以下であることを特徴とする熱成型用ポリウレタン発泡体。
【請求項6】
JIS K−6400に準拠して測定された反発弾性率は15%以下である請求項5に記載の熱成型用ポリウレタン発泡体。
【請求項7】
イソシアネートインデックスは100以下である請求項5又は6に記載の熱成型用ポリウレタン発泡体。
【請求項8】
上記ポリイソシアネートはトリレンジイソシアネートである請求項6乃至7のいずれかに記載の熱成型用ポリウレタン発泡体。
【請求項9】
上記ポリオールはポリエーテルポリオールであり、且つ全アルキレンオキサイド単位を100モル%とした場合に、プロピレンオキサイド単位が80モル%以上であり、
上記ポリイソシアネートはトリレンジイソシアネートであり、
上記発泡剤は水であり、
イソシアネートインデックスは100以下であり、
JIS K−6400に準拠して測定された反発弾性率は15%以下である請求項5に記載の熱成型用ポリウレタン発泡体。
【請求項10】
請求項5乃至9のいずれかに記載の熱成型用ポリウレタン発泡体を熱成型する熱成型工程を備えることを特徴とする熱成型ポリウレタン発泡体の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の製造方法により得られた熱成型ポリウレタン発泡体であって、
ジアミン化合物の含有量は1ppm以下であることを特徴とする熱成型ポリウレタン発泡体。
【請求項12】
上記ジアミン化合物はトルエンジアミンである請求項11に記載の熱成型ポリウレタン発泡体。

【公開番号】特開2010−6992(P2010−6992A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169483(P2008−169483)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】