熱検出器及び赤外線感知方法
チューニング可能なナローバンド動作及びブロードバンド動作の両方を可能にするキャビティ熱検出器アセンブリ(10)が提示される。これは、高い光効率、小さな熱時定数、及び光路設計におけるフレキシビリティを可能にする。熱検出器/フィルタ層は、Gires-Tournoisタイプの光学キャビティの1つもしくはそれ以上の上方ミラー(12)の一部であり、検出されるバンドの所望の幅と位置に調整できる吸収及び反射を与える。チューニングは、望む場合、マイクロ機械加工で達成できる。ブロードバンド動作は、センサを下方ミラーに近く移動させることで実現されてもよい。このモードでは、センサ又はその支持体が小さな面積にわたって接触していても接触していなくてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱検出器に関する。さらに詳しくは、本発明はチューニング可能な熱検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の数十年間に、マイクロメカニカル・フィルタ及び検出器の分野で広範な仕事が行われている。それは大部分が電気通信産業のために開発されている。よく見られる例は垂直キャビティ検出器、チューナブル垂直キャビティ検出器、共振キャビティ増感光検出器、及びチューナブル共振キャビティ増感光検出器などである。それほど多くないが、これらのコンセプトを長波長用途に用いるデバイスもある。例えば、SWIR、MWIR、及びLWIRでのフィルタと半導体検出器を用いる電気通信テクノロジーの応用は、2005年10月13日に公開された「TUNABLE CAVITY RESONATOR AND METHOD OF FABRICATING SAME」という表題のFaraone らの米国特許出願第2005/0226281号公報に開示されている。
【0003】
熱検出では、フィルタが最終的にシステムのどこかにある吸収層に光を結合させて熱を発生し、マイクロボロメータ、ゴレイセル、焦電検出器、など、何らかの手段によってそれを検出できるようにしなければならない。このような長波長領域では、二つ又は三つの広いバンドだけを見ることができるフィルタと検出器に重要な用途がある。これらのデバイスは、しばしば“二色”又は“三色”と呼ばれ、しばし標的識別と温度測定に用いられる。Neikirk(A. S. Weling, P. S. Henning, D. P. Neikirk, and S. Han, “Antenna-coupled microbolometers for multispectral infrared imaging” Proceedings of the SPIE, vol. 6206, pp. 62061F-1 to 62061F-8, 2006; and S. Han, J.-Y. Jung, and D. P. Neikirk, “Multilayer fabry-perot Microbolometers for infrared wavelength selective detectors”, Proceedings of the SPIE, vol. 6206, pp. 62061G-1 to 62061G-7, 2006, を参照)及びButler(V. N. Leonov and D. P. Butler, “Two-color thermal detector with thermal chopping for infrared focal plane arrays,” Applied Optics, vol. 40, no. 16, 2001; and M. Almasri, B. Xu, and J. Castracane, “Amorphous silicon two-color microbolometer for uncooled IR detection,” IEEE Sensors Journal, Vol. 6, no. 2, pp293-300, 2006, を参照)は、どちらもそのような課題を遂行できる吸収フィルタと静電作動熱検出器を提案している。もっと密なマルチスペクトル標的識別を行ってシグネチャを検出するために用いられるような狭いバンドに関して、Cole らは、1994年2月15日に交付された「MICROSTRUCTURE DESIGN FOR HIGH IR SENSITIVITY」という表題の米国特許第5,286,976号; 1996年8月27日に交付された「FABRY-PEROT MICRO FILTER-DETECTOR」という表題の米国特許第5,550,373号; 2004年11月9日に交付された「TUNABLE OPTICAL FILTER」という表題の米国特許第6,816,636号; 2006年3月21日に交付された「SPECTRALLY TUNABLE DETECTOR」という表題の米国特許第7,015,457号; 2007年3月27日に交付された「MULTIPLE WAVELENGTH SPECTROMETER」という表題の米国特許第7,196,790号に示されているように、吸収する熱検出器の外部に置かれたチューニング可能な透過フィルタを提案している。Cole らの特許は、そのようなデバイスの静電的及び圧電的な作動方法を記載している。Koskinen らへの1996年12月31日に交付された「INFRARED DETECTOR WITH FABRY-PEROT INTERFEROMETER」という表題の米国特許第5,589,689号も同様のデバイスを開発したが、彼らの吸収層は一方のミラー上にあり、そのミラーの反射率を高めることができる。Tai らの2005年1月27日に公開された「APPARATUS AND METHOD FOR SENSING ELECTROMAGNETIC RADIATION USING A TUNABLE DEVICE」という表題の米国特許出願第2005/0017177号公報は、この基本的構造を変更して、Neikirkが広帯域フィルタについて提案したような、別の検出器が上に集積された吸収フィルタを用いた。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
赤外線を検出するように構成された熱検出器は、第一のミラーと第二のミラーを含む。第一及び第二のミラーはそれらの間にキャビティを画定する。第二のミラーは、キャビティに対して外側にある第一の側と、第一の側よりもキャビティに近い位置にある第二の側とを有する。熱センサは、赤外線を部分的に吸収する第二のミラーに結合され、第二のミラーの内部を含むキャビティ内部に位置するか、又は第二のミラーのいずれかの側と一致して配置される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は、ナローバンドでチューニングできるが、ブロードバンド・モードに切り換えることもできる熱検出器に関する。アレーで用いる場合、この設計は、焦点面のアレーの分光応答をピクセル毎にチューニングすることを可能にする。キャビティの上方(トップ)プレートを動かして反射基板の上方の高さを変え、比較的狭い共振のスペクトル周波数をコントロールする。ブロードバンド挙動は、このプレートを基板の近くに又は基板まで動かして空気ギャップからの反射をなくすことによって達成される。この構造体は、また、スペクトルの不要部分をフィルタ除去できるため、ピクセルの応答性をチューニングするのにも効果的である。
【0006】
まず図4に目を向けると、そこには本発明のある実施形態に係わる分光的にチューニング可能なボロメータ・ピクセルが示されている。このボロメータは、光をマイクロボロメータ・プレートに結合するようにデザインされた光学キャビティの一部として加工される。ボロメータ・プレートは反射体、1つもしくはそれ以上の構造層、1つもしくはそれ以上の薄い吸収体、及び部分的に吸収性である1つもしくはそれ以上の検出器から構成される。これらの層のいくつかは組み合わせることもできる。ブロードバンドの検出は、ボロメータ・プレートを下方(ボトム)ミラー(ボロメータ支持体の微細化機械加工、すなわち、マイクロ機械加工された突起によって持ち上げられている)の非常に近くに動かすことによって実現できる。もっと具体的に、一例として、ボロメータを用いる熱検出器アセンブリ10が図4に示されている。センサ12はミラー構造体の一部であり、別のコンポーネントというよりもむしろデバイスの反射率と吸収に寄与している不可欠の部分である。この構成には、他の形態に比較して以下であげるようないくつかの利点がある。キャビティ14は光を検出器プレートに結合するような形態になっており、検出器プレートはそうでなければ適度のシングル・パスの吸収しか有しない。図4のデバイス10はシリコン又はその他の基板20上に加工され、基板がファブリ‐ペロト(Fabry-Perot)キャビティを形成するのに望ましい光学的特性を有する積層スタック22を担持している。制御エレクトロニクス23を設けてキャビティ14のギャップを調節することができる。ミクトロエレクトロニクス22が金属ビア24と結合してギャップ14の間隔を調節するために用いられる。図4はまた、マイクロボロメータ12が積層スタック22と接触することを防ぐ熱的なスタンドオフ28を示している。図4は、本発明の単純化された断面斜視図である。一般に、ここで用いられる場合、エレメント(部材)12及び22は“ミラー”と呼ばれ、マイクロボロメータ検出器はその一部、又は別の形で少なくとも一方のミラーと一体化している。いくつかの形態では、単一ミラーで複数の検出器を用いることが望ましい。
【0007】
ここで説明されることから明らかになるように、本発明の利点としては次のようなことがある:
1)ブロードバンド能力:焦点面アレーのひとつの可能な動作モードは熱的な長波長赤外(LWIR)をカバーするブロードバンド・モードである。他のIR波長、例えばMWIRも可能である。これによるとデバイスは、関心のあるエリア又は標的(ターゲット)が選択されるまで、最大の光学的感度で撮像することができる。ブロードバンド吸収はきわめて効率的であり、最新技術のマイクロボロメータの分光応答の75%を超えることができる。
【0008】
2)汎用ナローバンド能力:所望のスペクトル分解能/感度に応じていろいろなナローバンド・スペクトル幅に合わせて検出器の層構造体を再設計できる。
【0009】
3)広いスペクトル:検出器のスペクトル範囲は下方ミラーの反射率帯域幅によってのみ制限され、したがって、物質の選択によってLWIRの8〜14μm範囲の全体又は例えばMWIR(3〜5μm)のような他の範囲にわたってチューニングできる可能性がある。
【0010】
4)高い光効率:集積ピクセル・アプローチがファブリ‐ペロトキャビティの外側にある検出器に比べてもっているいくつかの利点のひとつは光エネルギーの最適な利用である。結像光学系と検出器エレメントの間に何も妨害となるデバイスがないことは、アレーのフィルファクター(fill factor)が高くなり、中間の面での反射に失われる光がほとんどないということを意味する。
【0011】
5)ロバスト光学設計:集積ピクセル設計は、また、パッケージングの間に臨界的な整列を必要としない。セパレートなフィルタ設計ではこれは実際に危険であり、x、y、及びz方向での光学的整列にミクロンの精度が要求される。この設計は、また、ピクセル・サイズより小さい開口を検出器に強制する中間フィルタがないので低いf/#(収束強度)光学系とも適合する。
【0012】
6)上方サイド光入射:検出器が光学層として埋め込まれるのでなくミラーの上にある多くのキャビティに基づく熱検出器構造体の特徴は、検出器が光をブロックすることであり、そのため検出器はしばしば実際の光学キャビティの背後に置かれる。IC産業で標準になっているように、ウエハの加工されない側がチップ・パッケージの底面に付着するので、この特徴はパッケージングをより簡単にする。
【0013】
再び図1A及び図1Bを参照すると、そこにはディスバレー(Death Valley)の砂の放射率スペクトルが示されている。図1Aは、これらの図面の上方にあるグラフで、この物質の生の感度を表し、図1Bは検出器が見るこの物質と黒体の間のパワーの差を示す。
【0014】
図2A及び図2Bは、酸化アルミニウムの放射率スペクトルである。図2Aは、酸化アルミニウムの生の放射率を表し、図2Bは、この物質と黒体の間の検出器が見るパワーの差を示す。
【0015】
図3A及び図3Bは、草(grass)の放射率スペクトルである。図3Aは、草の生の放射率を表し、図3Bは、この物質と黒体の間の検出器が見るパワーの差を示す。
【0016】
図4は、本発明のある実施形態に係わるスペクトルでチューニング可能なボロメータ・ピクセルの断面図である。ボロメータは、マイクロボロメータ・プレートに光を結合する光学キャビティ設計の一部として構築される。ボロメータ・プレートは、反射体、1つもしくはそれ以上の構造層、1つもしくはそれ以上の薄い吸収体、及び部分的に吸収する1つもしくはそれ以上の検出器から構成される。これらの層のいくつかは合体していてもよい。ブロードバンド検出は、ボロメータ・プレートを下方ミラー(ボロメータ支持体のマイクロ機械加工された突起によって持ち上げられている)の非常に近くまで動かすことによって実現できる。
【0017】
これらの設計の分光能力を調べるために、いくつかの透過マトリクス・シミュレーションが行われた。図5は集積ピクセル・デバイスの吸収スペクトルを示す。図6は、この構造を底面ミラーに近い位置まで動かしたときのデバイスブロードバンド・パフォーマンスを示す。ブロードバンド・モードに切り換えると、デバイスは上方ミラーと下方ミラーの間にはギャップがないか、又は小さなギャップしかなくなる。(ここで用いられる場合、“小さな”とはλ/10のオーダー以下を意味する、ここでλは中心フィルタ波長である。)ある例では、共振が1/2波長でなく3/2波長である場合、ギャップは1波長のオーダーになり得るということに注意したい。ブロードバンド・モードでミラーの間にギャップを望む場合、例えば、スティクションを減らすためにギャップを望む場合、熱的な1つもしくはそれ以上のスタンドオフを支持体又は検出器プレートに配置することができる。熱的なスタンドオフを通しての接触は、熱伝導の顕著な増加、それによる感度の低下、を必ずしも意味しない。Song 及び Talghaderによる研究(W. B. Song and J. J. Talghader, “Microbolometers with Adaptive Detectivity using Electrostatic Actuation,” Technical Digest of 2004 Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems Workshop, Hilton Head, 2004, pp336-339を参照)などは、界面の熱伝導は有限であることを示している。したがって、小さな接触面積及び/又は低接触圧力のスタンドオフの熱伝導は、実際に支持体又はその他の熱経路よりも低くなっている。
【0018】
図5は、シミュレートされた集積ピクセル・チューナブル・マイクロボロメータの吸収スペクトルである。このデバイスのチューニング範囲はほぼ完全に8〜14μmの範囲をカバーする。凡例の数字はナローバンド・チューニングにおけるギャップ間隔の高さを指す。図5の構造は次のようなものである:
【0019】
【表1】
【0020】
図6は、シミュレートされたブロードバンドで動作している集積ピクセル・チューナブル・マイクロボロメータの吸収スペクトルである。8〜12ミクロン範囲でのブロードバンド・パフォーマンスは、この範囲で普通は約85%である標準的なマイクロボロメータのそれとほぼ合致する。
【0021】
さらに図7A及び図7Bに示されているように、ブロードバンド・モードは必ずしもデバイスのスペクトル範囲の全体をカバーするように設計しなくてもよく、ナローバンド・モードに対して共振のスペクトル幅を広げるだけでもよい。
【0022】
図7Aは、シミュレートされた集積ピクセル・チューナブル・マイクロボロメータの吸収スペクトルである。デバイスのチューニング範囲は8〜14μmの範囲をほぼ完全にカバーしている。凡例の数字はナローバンド・チューニングにおけるギャップ間隔の高さを指す。
【0023】
図7Bは、シミュレートされたブロードバンドで動作している集積ピクセル・チューナブル・マイクロボロメータの吸収スペクトルである。8〜12ミクロン範囲でのブロードバンドの挙動は、この範囲で普通は約85%である標準的なマイクロボロメータのそれとほぼ合致する。
【0024】
チューニング可能な冷却されないアレーが同じ標的(ターゲット)からの光を受けるので、それが受けるスペクトルはLWIRバンド(又は、MWIR等)の相当な割合でなければならない、そうでないとその感度が低下する。8〜14μmの範囲における吸収に関してNETD = 0.04Kであるマイクロボロメータなどの熱検出器を考えよう。吸収スペクトルが減少するにつれてNETDは増加する。この増加は、ジョンソン(Johnson)雑音リミットで、NETDがdL/dTt、すなわち単位温度あたりの標的輝度の変化、に逆比例することに注意して大まかに定量化できる。dL/dTtは8〜14μmバンドにわたって約40%以内で一定にとどまるので、ボロメータの応答はこの範囲で実質的に平坦であると近似できる。したがって、吸収バンドの全体幅がΔλ 〜 6μmからΔλ 〜 1μmの幅に減少すると、NETDは0.04 Kから約0.24 Kに増加する。これはまだ依然として妥当な値であるが、フィネスが100のナローバンド・フィルタを用いてスペクトルの大部分をブロックするとΔλ 〜 0,1μmとなり、NETD 〜 2.4 Kとなり、これは画像形成に関して有用性がずっと低い値である。しかし、化学的又は生物的物質の検出には、バックグラウンド放射ではなくアクティブな源を使用できるので、高いフィネスのシステムが有用であるかもしれない。比較的広い共振(例えば、LWIRでFWHM = 750 nm)のチューニング可能な熱検出器を用いて二三の物質の調べた場合、それぞれ図1A及び図1B、図2A及び図2B,及び図3A及び図3Bのようなデータが得られる。調べられた物質は、砂、酸化アルミニウム(岩石でよく見られる成分)、及び草である。これらの図の上にあるグラフ(A)はそれらの物質の生の放射率であり、下にあるグラフ(B)は検出器から見たその物質と黒体(ゼロの線)のパワーの差を表している。これらのカーブで、小さなNETDで冷却されないデバイスがフィルタしてLWIRで放射の変化を検出できることが分かる。黒体のように放射すると通常考えられている草などの物質でもLWIRで認められるほどの変化を示す。
【0025】
上記した図8及び図9は、ある例示的デバイスのそれぞれ断面図と上面図である。それらはマイクロボロメータを仮定しているが、他のタイプの検出器も構造の小さな変更だけで使用で着る。図8及び図9は、基板52に担持される熱検出器アセンブリ50を示している。熱検出器アセンブリ50は、上方ミラー・アセンブリ又はスタック54と下方ミラー・アセンブリ又はスタック56を含む。上方ミラー・スタック54は吸収体57と検出器又はセンサ58、例えばマイクロボロメータ検出器を含む。下方ミラー・スタック56は複数の金属と誘電体の層を含んで成る。下方金属層60は絶縁体62によって基板から隔てられている。基板52には制御エレクトロニクス64も担持され、検出器50の動作を制御するために用いられる。電気接点68を用いて、制御エレクトロニクスを支持ポスト74に担持された金属接触線72によって検出器58に電気的に結合する。この実施形態が唯一の可能な実施形態という意味ではなく、望むように変更を加えることができる。ここで用いられる“上方”及び“下方”という用語は、単に形態を記述するために用いているだけであり、重力に対する好ましい方向を含意していない。ある好ましい実施形態では、デバイスは上方ミラーの方向からの入射光を用いる。それは、これが単純なパッケージングを可能にし、別の技術、例えばKoskinen, 又はTaiの方法では容易に用いることができないきわめて効率的な形態であるからである。図8及び図9の実施形態では、下方ミラーは誘電体の4分の1波長スタックと高い反射率のための金属層で構成される。通常、最適な動作は、下方ミラーが100%反射するときに見られるが、下方ミラーの透過と吸収を合わせたものが小さい限り、デバイスは依然として効率的である。別の実施形態は、誘電体層(これは一つ以上の空気/真空層を含むこともある)だけ、又は金属だけから作られた下方ミラーを含む。金属だけの場合、下方ミラーはある程度の量の光を吸収し、これが上方ミラーの共振吸収(on-resonance absorption)を著しく減らすことがないように注意しなければならない。
【0026】
いくつかの形態では、制御エレクトロニクスがデバイスと共に含められる。制御エレクトロニクスがデバイスの下方に位置している場合、ミラーを通して導電性のビアを開けることができる。あるいはまた、下方ミラーは側方への拡がりが有限になるようにして、導電性のリードをミラーの縁を越えて通し、ミラーの外側のエレクトロニクスに結合することもできる。ポストなどの支持構造が上方ミラーを支持する。ポストはビアと一致しても一致しなくてもよいが、導電性の線、例えばデバイスをチューニングするための又は読み出すための線、を支持体に追従するように構成できる。支持体は熱伝導度が非常に低い1つもしくはそれ以上の物質で作り、導電性の線は電気伝導度と熱伝導度の比が大きい半導体又は金属で作ることができる。実際には、支持体とビアは同じであってよい。
【0027】
加工のとき(ひとつの可能な製造シーケンスについては後述する)、上方ミラーと下方ミラーの間で犠牲になる物質が存在する。製造の終わり近くでその物質が除去される。上方ミラーは、1つもしくはそれ以上の構造層、1つもしくはそれ以上の反射層、1つもしくはそれ以上の吸収層、及び1つもしくはそれ以上の検出器層を含む。これらの機能の一部又は全部を単一の層に(例えば、速いスピードでの熱質量を減らすため)合体させることができる。光が上方ミラーを通って入射することを可能にし、全体的に高い光及び質量効率を可能にするひとつの成分は、検出器が部分的に透過性であることである。これは、チューニング可能な熱検出のために設計された従来の典型的な構造と異なる点である。これは、光が検出器と吸収層を通過するが、上方ミラー構造のパスあたりの全体的な吸収は反射率と関連しているということを意味する。上方ミラーの反射率が高いほど、上方ミラーの最適な吸収は低くなる。適切な光学設計は、共振波長で検出器又は結合した上方ミラーの質量の他の部分への100%に近い結合を導く。その他の近くの波長はキャビティから排除される。デバイスは、上方ミラーを作動させて基板の近くに動かす又は基板に接触させることにより、ナローバンド・チューニングから固定ブロードバンドに切り換えることができる。多くの作動モードでは、例えば圧電バイモルフ又はいくつかの側方電極静電方法などでは、上方ミラーは基板に接触する必要はないが、標準的なDC平行プレート静電アクチュエータの場合、支持体の底面又は上方ミラーからの小さな突起が大きな面積にわたる接触を防ぐようにしなければならない。ある好ましい実施形態では、これらの突起の面積及びそれに加わる圧力は、熱伝導及びデッドロックの感度に顕著な影響を及ぼさないように十分小さくなっている。吸収を用いて共振する光をキャビティに結合するというアイデアは存在していたが、検出器は光学経路の寄生的部分であり、共振する熱検出器は検出器をこの経路の外側に置いていた(すなわち、Tai 及び Koskinen)。さらに、これらのデバイスはブロードバンド動作のための能力を有する構成になっていない。ブロードバンド動作は、スペクトル分析の前に関心ある対象又は領域を同定するために大きな信号対雑音比が必要とされる低光量の用途で決定的に有用である。上方ミラーの反射層は空気(真空)、1つもしくはそれ以上の誘電体、及び/又は1つもしくはそれ以上の金属、又はその他の物質を含むことができることに注意したい。例えば、検出器/吸収層(1つもしくはそれ以上)は真空ギャップによって反射層から分離することができる。別の、光学的には少し効率が低い実施形態が図10に示されており、これは検出器を光学経路から外したものである。図10は、センサ58が光学経路から移動している熱検出器アセンブリ50の例示的実施形態を示す。図10で、図8及び図9のエレメントと同様のエレメントには同じ番号がつけられている。この形態ではセンサ58は支持体72に又はその近くに置かれ、十分に小さいので認められるほどに光を吸収又は回折しない。
【0028】
別の実施形態では、上方ミラーの反射層のひとつが空気/真空であり、それが図11に示されている。図11の実施形態では、図8及び図9のエレメント(部材)と同様のエレメントには同じ番号がつけられている。図11の形態では、上方ミラー・スタック54が空気ギャップ90を含んでいたが、これは空気、気体、真空、等から成るものであってよい。
【0029】
チューニング可能な構造体を望む場合、チューニングは平行プレートのマイクロ機械加工されたデバイスに適合する任意の方法によって行うことができる。例としては、適当に電流又は電圧をそれぞれ印加する熱的又は圧電バイモルフを用いる支持体におけるバイモルフ作動方法がある。他の可能性としては、上方ミラーの側方に(又は非常に薄くそれを横切って)又は支持体上に位置する磁性層を、例えば、外部磁界又は組み込まれたコイルと共に用いる磁気作動方法がある。この実施形態で好ましい作動方法は、MEMS平行プレート・デバイスに容易に組み込むことができる静電作動方法である。必ずではないが、しばしば、吸収層が作動電極として二重に用いられる。電極は、下方及び上方ミラーに前面に又は部分的に拡がっても、又は主として側面にそして支持体の間にあってもよい。下方ミラー電極はミラーの下にあっても、ミラーのある層であっても(例えば、ドープされたGeトップ層)、又はメインの光学経路の外側の導体であってもよい。
【0030】
図9の上方の図では、二つの支持体を用いて電極を検出器に結合しており、検出器は、例えば、温度敏感な抵抗器であってデバイスはそれによってボロメータになる。第三の支持体を用いて作動電極に接触しており、それは、例えば、吸収層57又は別の層を含むことができる。別の実施形態は、異なる数の支持体を有することができる。例えば、検出器をある支持構造に、又はその近くに配置し、そこに二本以上のワイヤを垂直に(絶縁体/空気/真空を介在させて)重ねたり、側方に配置したりできる。上方ミラーの単一の層がアクチュエータとしても検出器としても働くようにすることも可能である。これは、例えば、電圧を上方ミラーに加えてデバイスを所望の共振波長に作動させることによって遂行できる。その後、例えば、機械的応答時間及び/又は熱的積分時間よりも短い持続時間の短い電圧パルスを定常電圧に重畳して、積分時間の間に性能を顕著に低下させるほどプレートを動かすことなくデバイスを読み取ることができる。
【0031】
図10は、二つの支持体と邪魔にならない検出器58を示す上面図である。支持体のひとつは検出器と接触するための側方形態を示している。あるいはまた、支持体あたり一本の接触線しかなく、作動と検出を上述のようなパルス読取方法によって合体させることもできる。
【0032】
図12は、検出器58と吸収体57が同じ光学層の部分であって絶縁体100によって電気的に分離されている別の実施形態を示す上面図である。図12では、図8及び図9に示されているエレメントと同様のエレメントには同じ番号がつけられている。これによって、検出器が光学エレメントと明示して考えられていない場合に起こり得る光学的な混乱を最小に押さえられる。検出器/吸収体にもっと複雑なパタンを導入して、例えば、格子やフレネルレンズなどの回折エレメントを導入することもできることに注意しよう。そのようなエレメントは、例えば偏光の選択、スペクトルのさらなる選択、フォーカス合わせ、又は波面整形などを実行できるであろう。
【0033】
本発明の加工は、適当などんな方法に従って行ってもよい。例えば、標準的なマイクロ機械加工法を用いてもよい。加工を実行する手法は多数ある。例えば、薄膜を堆積するにも多くの方法を用いることができる。以下に上げるものは単なる一例である。この例では、オンチップ制御エレクトロニクスを含まないマイクロボロメータ・タイプの熱検出器が製造される。例えば、いくつかのタイプのウエハのうち任意のひとつ、例えばシリコンからスタートすることができる。このシリコンの上に窒化シリコンなどの絶縁物質をコーティングしてデバイスのエレクトロニクスが基板と電気的に接触しないようにすることができる。次に、Cr/Auなどのオプションとしての金属と関心ある波長領域で一つ以上の交替する屈折率の層(alternating index layers)で構成される下方ミラーが堆積される。例えば、長波長赤外領域(λ = 8 〜 14μm)では、硫化亜鉛とゲルマニウムを交替する屈折率の物質として用いることができる。しばしば、これらの層の各々は4分の1波長の厚さであるが、いくつかの設計では数値的に最適化された厚さを用いて、例えば、共振のスペクトル対称性を変えてみたり、ミラーの高反射率領域を拡げたりすることもできる。ミラー層のひとつ、例えばトップのゲルマニウム層をドープして作動電極として働かせることもできる。これは誘電体の帯電を緩和することができる。あるいはまた、金属層を用いることもできる。これらの層はスパッタリング、蒸着、PECVD、LPCVDなど任意の適当な方法で堆積することができる。下方ミラーに、例えばホトリソグラフィーによってパタンをエッチングして特定のデバイス・エリアを形成することができる。エッチングには、例えば湿式、乾式、又は気相プロセスを用いることができる。GeをエッチングするためにSF6又はCF6プラズマ、及びZnSをエッチングするためにH2プラズマが用いられている。Cr/Auなどの金属層を堆積し、パタンを形成して下方電極を画定する必要がある。犠牲物質を次に堆積し、ビアを有するパタンを形成して、上方ミラーのための支持体と電気的な結合が設けられるようにする。熱的なスタンドオフ(突起)が必要な場合、二回目のエッチングを行って犠牲層にスタンドオフのサイズを画定する小さなピットを作ることができる。犠牲物質は容易にエッチングされてデバイスの他の露出した物質を損傷しないものでなければならない。よく見られる二つの例は、ドープされた酸化シリコン(フッ化水素酸で腐食される)とポリイミド(酸素プラズマで腐食される)である。一般に犠牲層は一般デバイス領域で正方形(又は別の形)にパタン成形される。犠牲層の厚さは、普通、デバイスがLWIRで用いられる場合は数ミクロンであり、MWIRで用いられる場合はそれより小さい。これはλ/2キャビティに対応する。もっと大きなキャビティを作ることもできるが、その代わり、加工に余分な複雑さが加わり、ミラーの反射率バンドに余分なモードが生ずるためチューニング範囲が小さくなる。
【0034】
支持体は、上方ミラーの前又は後のいずれか一方で堆積してパタン形成できる。ひとつ又は二つの支持体は検出器と接触し、別の支持体はアクチュエータ電極と接触するので、異なる支持体を異なるステップで堆積する必要があってもよい。支持体は、窒化シリコンや二酸化シリコンなどの絶縁性の、熱不良導体から構成され上に金属層を有する細いビームであってよい。支持体の金属では、電気伝導度と熱伝導度の比が大きい物質を用いることが望ましい。よく用いられるのはNiFeである。必要なら保護誘電体で金属を覆って、例えば、パタン形成時のエッチングや犠牲層のエッチングに対して保護することができる。やはり高い熱的な隔離が望ましい。上方ミラーの層は、所望する時定数やスペクトル特性などによってきわめて多様である。ある単純な構造は、CrやPdなどの薄い金属を用いるもので、それが吸収体/アクチュエータ電極の役目をする。非常に薄い絶縁性誘電体を堆積し、続いて部分的に透明なドープされたゲルマニウムの層が検出器層として堆積される。第二のドープされないゲルマニウムの層を構造/誘電体物質として用いることができる。この基本構造のバリエーションはいろいろあり、本発明はこれらの例に限定されない。
【0035】
上方ミラーと支持体を堆積しパタン形成した後、例えばCr/Auのような普通の金属、プラス任意の不動態化する誘電体を、例えばボンド・パッドのようないくつかのエリアに堆積しパタン形成して外部エレクトロニクスとの接点を作る。このようなプロセスはデバイス領域の機能を低下又は妨害しないように計画しなければならない。例えば、上方ミラーの上の不動態化する誘電体はエッチングによって除去できる。犠牲層のエッチングによって上方ミラーを支持体以外のところで自由にすることができる。上記したようなモノリシック・アプローチがひとつの好ましい実施形態であるが、複数ウエハのプロセスも可能である。例えば、上方ミラーを別のウエハで加工し、犠牲層マトリクスにある間に支持体にボンディングすることもできる。次にエッチングでレリースする前に上方ミラーのウエハを除去することができる。
【0036】
本発明を好ましい実施形態に関して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなくその形態や細部に変更を加えることができることは当業者には理解されるであろう。本明細書で用いられる場合、赤外線は約1μmから約100μmまでの放射線を含む。いろいろな形態で、検出器は熱検出器の一つ以上のミラーに結合した熱センサを含む。熱センサは、二つのミラーによって画定されるキャビティ内部に位置するか、そうでなければミラーのひとつに合致する。任意の適当なタイプの熱センサを用いることができ、任意の適当なアクチュエーション機構又はミラーを望むように用いることができる。ある形態では、熱センサは温度に応答して抵抗を変える物質を含んで成る。さらに、任意の適当なアクチュエーション機構を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1A】ディスバレーの砂の放射率スペクトルであり、この物質の生の放射率を表す。
【図1B】ディスバレーの砂の放射率スペクトルであり、この物質と黒体の間の検出器が見るパワーの差を示す。
【図2A】酸化アルミニウムの放射率スペクトルであり、酸化アルミニウムの生の放射率を表す。
【図2B】酸化アルミニウムの放射率スペクトルであり、この物質と黒体の間の検出器が見るパワーの差を示す。
【図3A】草の放射率スペクトルであり、草の生の放射率を表す。
【図3B】草の放射率スペクトルであり、草と黒体の間の検出器が見るパワーの差を示す。
【図4】本発明のある実施形態に係わるスペクトルをチューニングできるボロメータ・ピクセルの断面図である。ボロメータは、マイクロボロメータ・プレートに光を結合する光学キャビティ設計の一部として構築される。ボロメータ・プレートは、反射体、1つもしくはそれ以上の構造層、薄い1つもしくはそれ以上の吸収体、及び部分的に吸収する1つもしくはそれ以上の検出器で構成される。これらの層のいくつかは合体させることができる。ブロードバンド検出は、ボロメータ・プレートを下方ミラー(ボロメータ支持体のマイクロ機械加工された突起によって持ち上げられている)の非常に近くに動かすことによって実現できる。
【図5】シミュレートされた集積ピクセル・チューナブル・マイクロボロメータの吸収スペクトルである。デバイスのチューニング範囲は8〜14μmの範囲をほぼ完全にカバーしている。凡例の数字はナローバンド・チューニングにおけるギャップ間隔の高さを指す。
【図6】ブロードバンドで動作している集積ピクセル・チューナブル・マイクロボロメータの吸収スペクトルである。8〜12ミクロン範囲でのブロードバンドの挙動はこの範囲で普通は約85%である標準的なマイクロボロメータのそれとほぼ合致する。
【図7A】ナローバンド・モードにおけるチューナブル熱検出器の吸収スペクトルを示す。このモードにおけるスペクトルは、図5に示されたものよりも高い分光分解能で設計されている。
【図7B】ブロードバンド・モードにおけるチューナブル熱検出器の吸収スペクトルを示す。このモードにおけるスペクトルは、図6に示されたものより狭くなるように設計されている。
【図8】本発明のある例示的な実施形態に係わる熱検出器の側方断面図である。
【図9】図8の熱検出器の上面図である。
【図10】別の例示的な熱検出器の上面図である。
【図11】上方ミラー・スタックに空気ギャップを含む熱検出器の側方断面図である。
【図12】検出器とアクチュエータ又は吸収体が上方ミラーの同じ層で実施されている熱検出器の上面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は熱検出器に関する。さらに詳しくは、本発明はチューニング可能な熱検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の数十年間に、マイクロメカニカル・フィルタ及び検出器の分野で広範な仕事が行われている。それは大部分が電気通信産業のために開発されている。よく見られる例は垂直キャビティ検出器、チューナブル垂直キャビティ検出器、共振キャビティ増感光検出器、及びチューナブル共振キャビティ増感光検出器などである。それほど多くないが、これらのコンセプトを長波長用途に用いるデバイスもある。例えば、SWIR、MWIR、及びLWIRでのフィルタと半導体検出器を用いる電気通信テクノロジーの応用は、2005年10月13日に公開された「TUNABLE CAVITY RESONATOR AND METHOD OF FABRICATING SAME」という表題のFaraone らの米国特許出願第2005/0226281号公報に開示されている。
【0003】
熱検出では、フィルタが最終的にシステムのどこかにある吸収層に光を結合させて熱を発生し、マイクロボロメータ、ゴレイセル、焦電検出器、など、何らかの手段によってそれを検出できるようにしなければならない。このような長波長領域では、二つ又は三つの広いバンドだけを見ることができるフィルタと検出器に重要な用途がある。これらのデバイスは、しばしば“二色”又は“三色”と呼ばれ、しばし標的識別と温度測定に用いられる。Neikirk(A. S. Weling, P. S. Henning, D. P. Neikirk, and S. Han, “Antenna-coupled microbolometers for multispectral infrared imaging” Proceedings of the SPIE, vol. 6206, pp. 62061F-1 to 62061F-8, 2006; and S. Han, J.-Y. Jung, and D. P. Neikirk, “Multilayer fabry-perot Microbolometers for infrared wavelength selective detectors”, Proceedings of the SPIE, vol. 6206, pp. 62061G-1 to 62061G-7, 2006, を参照)及びButler(V. N. Leonov and D. P. Butler, “Two-color thermal detector with thermal chopping for infrared focal plane arrays,” Applied Optics, vol. 40, no. 16, 2001; and M. Almasri, B. Xu, and J. Castracane, “Amorphous silicon two-color microbolometer for uncooled IR detection,” IEEE Sensors Journal, Vol. 6, no. 2, pp293-300, 2006, を参照)は、どちらもそのような課題を遂行できる吸収フィルタと静電作動熱検出器を提案している。もっと密なマルチスペクトル標的識別を行ってシグネチャを検出するために用いられるような狭いバンドに関して、Cole らは、1994年2月15日に交付された「MICROSTRUCTURE DESIGN FOR HIGH IR SENSITIVITY」という表題の米国特許第5,286,976号; 1996年8月27日に交付された「FABRY-PEROT MICRO FILTER-DETECTOR」という表題の米国特許第5,550,373号; 2004年11月9日に交付された「TUNABLE OPTICAL FILTER」という表題の米国特許第6,816,636号; 2006年3月21日に交付された「SPECTRALLY TUNABLE DETECTOR」という表題の米国特許第7,015,457号; 2007年3月27日に交付された「MULTIPLE WAVELENGTH SPECTROMETER」という表題の米国特許第7,196,790号に示されているように、吸収する熱検出器の外部に置かれたチューニング可能な透過フィルタを提案している。Cole らの特許は、そのようなデバイスの静電的及び圧電的な作動方法を記載している。Koskinen らへの1996年12月31日に交付された「INFRARED DETECTOR WITH FABRY-PEROT INTERFEROMETER」という表題の米国特許第5,589,689号も同様のデバイスを開発したが、彼らの吸収層は一方のミラー上にあり、そのミラーの反射率を高めることができる。Tai らの2005年1月27日に公開された「APPARATUS AND METHOD FOR SENSING ELECTROMAGNETIC RADIATION USING A TUNABLE DEVICE」という表題の米国特許出願第2005/0017177号公報は、この基本的構造を変更して、Neikirkが広帯域フィルタについて提案したような、別の検出器が上に集積された吸収フィルタを用いた。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
赤外線を検出するように構成された熱検出器は、第一のミラーと第二のミラーを含む。第一及び第二のミラーはそれらの間にキャビティを画定する。第二のミラーは、キャビティに対して外側にある第一の側と、第一の側よりもキャビティに近い位置にある第二の側とを有する。熱センサは、赤外線を部分的に吸収する第二のミラーに結合され、第二のミラーの内部を含むキャビティ内部に位置するか、又は第二のミラーのいずれかの側と一致して配置される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は、ナローバンドでチューニングできるが、ブロードバンド・モードに切り換えることもできる熱検出器に関する。アレーで用いる場合、この設計は、焦点面のアレーの分光応答をピクセル毎にチューニングすることを可能にする。キャビティの上方(トップ)プレートを動かして反射基板の上方の高さを変え、比較的狭い共振のスペクトル周波数をコントロールする。ブロードバンド挙動は、このプレートを基板の近くに又は基板まで動かして空気ギャップからの反射をなくすことによって達成される。この構造体は、また、スペクトルの不要部分をフィルタ除去できるため、ピクセルの応答性をチューニングするのにも効果的である。
【0006】
まず図4に目を向けると、そこには本発明のある実施形態に係わる分光的にチューニング可能なボロメータ・ピクセルが示されている。このボロメータは、光をマイクロボロメータ・プレートに結合するようにデザインされた光学キャビティの一部として加工される。ボロメータ・プレートは反射体、1つもしくはそれ以上の構造層、1つもしくはそれ以上の薄い吸収体、及び部分的に吸収性である1つもしくはそれ以上の検出器から構成される。これらの層のいくつかは組み合わせることもできる。ブロードバンドの検出は、ボロメータ・プレートを下方(ボトム)ミラー(ボロメータ支持体の微細化機械加工、すなわち、マイクロ機械加工された突起によって持ち上げられている)の非常に近くに動かすことによって実現できる。もっと具体的に、一例として、ボロメータを用いる熱検出器アセンブリ10が図4に示されている。センサ12はミラー構造体の一部であり、別のコンポーネントというよりもむしろデバイスの反射率と吸収に寄与している不可欠の部分である。この構成には、他の形態に比較して以下であげるようないくつかの利点がある。キャビティ14は光を検出器プレートに結合するような形態になっており、検出器プレートはそうでなければ適度のシングル・パスの吸収しか有しない。図4のデバイス10はシリコン又はその他の基板20上に加工され、基板がファブリ‐ペロト(Fabry-Perot)キャビティを形成するのに望ましい光学的特性を有する積層スタック22を担持している。制御エレクトロニクス23を設けてキャビティ14のギャップを調節することができる。ミクトロエレクトロニクス22が金属ビア24と結合してギャップ14の間隔を調節するために用いられる。図4はまた、マイクロボロメータ12が積層スタック22と接触することを防ぐ熱的なスタンドオフ28を示している。図4は、本発明の単純化された断面斜視図である。一般に、ここで用いられる場合、エレメント(部材)12及び22は“ミラー”と呼ばれ、マイクロボロメータ検出器はその一部、又は別の形で少なくとも一方のミラーと一体化している。いくつかの形態では、単一ミラーで複数の検出器を用いることが望ましい。
【0007】
ここで説明されることから明らかになるように、本発明の利点としては次のようなことがある:
1)ブロードバンド能力:焦点面アレーのひとつの可能な動作モードは熱的な長波長赤外(LWIR)をカバーするブロードバンド・モードである。他のIR波長、例えばMWIRも可能である。これによるとデバイスは、関心のあるエリア又は標的(ターゲット)が選択されるまで、最大の光学的感度で撮像することができる。ブロードバンド吸収はきわめて効率的であり、最新技術のマイクロボロメータの分光応答の75%を超えることができる。
【0008】
2)汎用ナローバンド能力:所望のスペクトル分解能/感度に応じていろいろなナローバンド・スペクトル幅に合わせて検出器の層構造体を再設計できる。
【0009】
3)広いスペクトル:検出器のスペクトル範囲は下方ミラーの反射率帯域幅によってのみ制限され、したがって、物質の選択によってLWIRの8〜14μm範囲の全体又は例えばMWIR(3〜5μm)のような他の範囲にわたってチューニングできる可能性がある。
【0010】
4)高い光効率:集積ピクセル・アプローチがファブリ‐ペロトキャビティの外側にある検出器に比べてもっているいくつかの利点のひとつは光エネルギーの最適な利用である。結像光学系と検出器エレメントの間に何も妨害となるデバイスがないことは、アレーのフィルファクター(fill factor)が高くなり、中間の面での反射に失われる光がほとんどないということを意味する。
【0011】
5)ロバスト光学設計:集積ピクセル設計は、また、パッケージングの間に臨界的な整列を必要としない。セパレートなフィルタ設計ではこれは実際に危険であり、x、y、及びz方向での光学的整列にミクロンの精度が要求される。この設計は、また、ピクセル・サイズより小さい開口を検出器に強制する中間フィルタがないので低いf/#(収束強度)光学系とも適合する。
【0012】
6)上方サイド光入射:検出器が光学層として埋め込まれるのでなくミラーの上にある多くのキャビティに基づく熱検出器構造体の特徴は、検出器が光をブロックすることであり、そのため検出器はしばしば実際の光学キャビティの背後に置かれる。IC産業で標準になっているように、ウエハの加工されない側がチップ・パッケージの底面に付着するので、この特徴はパッケージングをより簡単にする。
【0013】
再び図1A及び図1Bを参照すると、そこにはディスバレー(Death Valley)の砂の放射率スペクトルが示されている。図1Aは、これらの図面の上方にあるグラフで、この物質の生の感度を表し、図1Bは検出器が見るこの物質と黒体の間のパワーの差を示す。
【0014】
図2A及び図2Bは、酸化アルミニウムの放射率スペクトルである。図2Aは、酸化アルミニウムの生の放射率を表し、図2Bは、この物質と黒体の間の検出器が見るパワーの差を示す。
【0015】
図3A及び図3Bは、草(grass)の放射率スペクトルである。図3Aは、草の生の放射率を表し、図3Bは、この物質と黒体の間の検出器が見るパワーの差を示す。
【0016】
図4は、本発明のある実施形態に係わるスペクトルでチューニング可能なボロメータ・ピクセルの断面図である。ボロメータは、マイクロボロメータ・プレートに光を結合する光学キャビティ設計の一部として構築される。ボロメータ・プレートは、反射体、1つもしくはそれ以上の構造層、1つもしくはそれ以上の薄い吸収体、及び部分的に吸収する1つもしくはそれ以上の検出器から構成される。これらの層のいくつかは合体していてもよい。ブロードバンド検出は、ボロメータ・プレートを下方ミラー(ボロメータ支持体のマイクロ機械加工された突起によって持ち上げられている)の非常に近くまで動かすことによって実現できる。
【0017】
これらの設計の分光能力を調べるために、いくつかの透過マトリクス・シミュレーションが行われた。図5は集積ピクセル・デバイスの吸収スペクトルを示す。図6は、この構造を底面ミラーに近い位置まで動かしたときのデバイスブロードバンド・パフォーマンスを示す。ブロードバンド・モードに切り換えると、デバイスは上方ミラーと下方ミラーの間にはギャップがないか、又は小さなギャップしかなくなる。(ここで用いられる場合、“小さな”とはλ/10のオーダー以下を意味する、ここでλは中心フィルタ波長である。)ある例では、共振が1/2波長でなく3/2波長である場合、ギャップは1波長のオーダーになり得るということに注意したい。ブロードバンド・モードでミラーの間にギャップを望む場合、例えば、スティクションを減らすためにギャップを望む場合、熱的な1つもしくはそれ以上のスタンドオフを支持体又は検出器プレートに配置することができる。熱的なスタンドオフを通しての接触は、熱伝導の顕著な増加、それによる感度の低下、を必ずしも意味しない。Song 及び Talghaderによる研究(W. B. Song and J. J. Talghader, “Microbolometers with Adaptive Detectivity using Electrostatic Actuation,” Technical Digest of 2004 Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems Workshop, Hilton Head, 2004, pp336-339を参照)などは、界面の熱伝導は有限であることを示している。したがって、小さな接触面積及び/又は低接触圧力のスタンドオフの熱伝導は、実際に支持体又はその他の熱経路よりも低くなっている。
【0018】
図5は、シミュレートされた集積ピクセル・チューナブル・マイクロボロメータの吸収スペクトルである。このデバイスのチューニング範囲はほぼ完全に8〜14μmの範囲をカバーする。凡例の数字はナローバンド・チューニングにおけるギャップ間隔の高さを指す。図5の構造は次のようなものである:
【0019】
【表1】
【0020】
図6は、シミュレートされたブロードバンドで動作している集積ピクセル・チューナブル・マイクロボロメータの吸収スペクトルである。8〜12ミクロン範囲でのブロードバンド・パフォーマンスは、この範囲で普通は約85%である標準的なマイクロボロメータのそれとほぼ合致する。
【0021】
さらに図7A及び図7Bに示されているように、ブロードバンド・モードは必ずしもデバイスのスペクトル範囲の全体をカバーするように設計しなくてもよく、ナローバンド・モードに対して共振のスペクトル幅を広げるだけでもよい。
【0022】
図7Aは、シミュレートされた集積ピクセル・チューナブル・マイクロボロメータの吸収スペクトルである。デバイスのチューニング範囲は8〜14μmの範囲をほぼ完全にカバーしている。凡例の数字はナローバンド・チューニングにおけるギャップ間隔の高さを指す。
【0023】
図7Bは、シミュレートされたブロードバンドで動作している集積ピクセル・チューナブル・マイクロボロメータの吸収スペクトルである。8〜12ミクロン範囲でのブロードバンドの挙動は、この範囲で普通は約85%である標準的なマイクロボロメータのそれとほぼ合致する。
【0024】
チューニング可能な冷却されないアレーが同じ標的(ターゲット)からの光を受けるので、それが受けるスペクトルはLWIRバンド(又は、MWIR等)の相当な割合でなければならない、そうでないとその感度が低下する。8〜14μmの範囲における吸収に関してNETD = 0.04Kであるマイクロボロメータなどの熱検出器を考えよう。吸収スペクトルが減少するにつれてNETDは増加する。この増加は、ジョンソン(Johnson)雑音リミットで、NETDがdL/dTt、すなわち単位温度あたりの標的輝度の変化、に逆比例することに注意して大まかに定量化できる。dL/dTtは8〜14μmバンドにわたって約40%以内で一定にとどまるので、ボロメータの応答はこの範囲で実質的に平坦であると近似できる。したがって、吸収バンドの全体幅がΔλ 〜 6μmからΔλ 〜 1μmの幅に減少すると、NETDは0.04 Kから約0.24 Kに増加する。これはまだ依然として妥当な値であるが、フィネスが100のナローバンド・フィルタを用いてスペクトルの大部分をブロックするとΔλ 〜 0,1μmとなり、NETD 〜 2.4 Kとなり、これは画像形成に関して有用性がずっと低い値である。しかし、化学的又は生物的物質の検出には、バックグラウンド放射ではなくアクティブな源を使用できるので、高いフィネスのシステムが有用であるかもしれない。比較的広い共振(例えば、LWIRでFWHM = 750 nm)のチューニング可能な熱検出器を用いて二三の物質の調べた場合、それぞれ図1A及び図1B、図2A及び図2B,及び図3A及び図3Bのようなデータが得られる。調べられた物質は、砂、酸化アルミニウム(岩石でよく見られる成分)、及び草である。これらの図の上にあるグラフ(A)はそれらの物質の生の放射率であり、下にあるグラフ(B)は検出器から見たその物質と黒体(ゼロの線)のパワーの差を表している。これらのカーブで、小さなNETDで冷却されないデバイスがフィルタしてLWIRで放射の変化を検出できることが分かる。黒体のように放射すると通常考えられている草などの物質でもLWIRで認められるほどの変化を示す。
【0025】
上記した図8及び図9は、ある例示的デバイスのそれぞれ断面図と上面図である。それらはマイクロボロメータを仮定しているが、他のタイプの検出器も構造の小さな変更だけで使用で着る。図8及び図9は、基板52に担持される熱検出器アセンブリ50を示している。熱検出器アセンブリ50は、上方ミラー・アセンブリ又はスタック54と下方ミラー・アセンブリ又はスタック56を含む。上方ミラー・スタック54は吸収体57と検出器又はセンサ58、例えばマイクロボロメータ検出器を含む。下方ミラー・スタック56は複数の金属と誘電体の層を含んで成る。下方金属層60は絶縁体62によって基板から隔てられている。基板52には制御エレクトロニクス64も担持され、検出器50の動作を制御するために用いられる。電気接点68を用いて、制御エレクトロニクスを支持ポスト74に担持された金属接触線72によって検出器58に電気的に結合する。この実施形態が唯一の可能な実施形態という意味ではなく、望むように変更を加えることができる。ここで用いられる“上方”及び“下方”という用語は、単に形態を記述するために用いているだけであり、重力に対する好ましい方向を含意していない。ある好ましい実施形態では、デバイスは上方ミラーの方向からの入射光を用いる。それは、これが単純なパッケージングを可能にし、別の技術、例えばKoskinen, 又はTaiの方法では容易に用いることができないきわめて効率的な形態であるからである。図8及び図9の実施形態では、下方ミラーは誘電体の4分の1波長スタックと高い反射率のための金属層で構成される。通常、最適な動作は、下方ミラーが100%反射するときに見られるが、下方ミラーの透過と吸収を合わせたものが小さい限り、デバイスは依然として効率的である。別の実施形態は、誘電体層(これは一つ以上の空気/真空層を含むこともある)だけ、又は金属だけから作られた下方ミラーを含む。金属だけの場合、下方ミラーはある程度の量の光を吸収し、これが上方ミラーの共振吸収(on-resonance absorption)を著しく減らすことがないように注意しなければならない。
【0026】
いくつかの形態では、制御エレクトロニクスがデバイスと共に含められる。制御エレクトロニクスがデバイスの下方に位置している場合、ミラーを通して導電性のビアを開けることができる。あるいはまた、下方ミラーは側方への拡がりが有限になるようにして、導電性のリードをミラーの縁を越えて通し、ミラーの外側のエレクトロニクスに結合することもできる。ポストなどの支持構造が上方ミラーを支持する。ポストはビアと一致しても一致しなくてもよいが、導電性の線、例えばデバイスをチューニングするための又は読み出すための線、を支持体に追従するように構成できる。支持体は熱伝導度が非常に低い1つもしくはそれ以上の物質で作り、導電性の線は電気伝導度と熱伝導度の比が大きい半導体又は金属で作ることができる。実際には、支持体とビアは同じであってよい。
【0027】
加工のとき(ひとつの可能な製造シーケンスについては後述する)、上方ミラーと下方ミラーの間で犠牲になる物質が存在する。製造の終わり近くでその物質が除去される。上方ミラーは、1つもしくはそれ以上の構造層、1つもしくはそれ以上の反射層、1つもしくはそれ以上の吸収層、及び1つもしくはそれ以上の検出器層を含む。これらの機能の一部又は全部を単一の層に(例えば、速いスピードでの熱質量を減らすため)合体させることができる。光が上方ミラーを通って入射することを可能にし、全体的に高い光及び質量効率を可能にするひとつの成分は、検出器が部分的に透過性であることである。これは、チューニング可能な熱検出のために設計された従来の典型的な構造と異なる点である。これは、光が検出器と吸収層を通過するが、上方ミラー構造のパスあたりの全体的な吸収は反射率と関連しているということを意味する。上方ミラーの反射率が高いほど、上方ミラーの最適な吸収は低くなる。適切な光学設計は、共振波長で検出器又は結合した上方ミラーの質量の他の部分への100%に近い結合を導く。その他の近くの波長はキャビティから排除される。デバイスは、上方ミラーを作動させて基板の近くに動かす又は基板に接触させることにより、ナローバンド・チューニングから固定ブロードバンドに切り換えることができる。多くの作動モードでは、例えば圧電バイモルフ又はいくつかの側方電極静電方法などでは、上方ミラーは基板に接触する必要はないが、標準的なDC平行プレート静電アクチュエータの場合、支持体の底面又は上方ミラーからの小さな突起が大きな面積にわたる接触を防ぐようにしなければならない。ある好ましい実施形態では、これらの突起の面積及びそれに加わる圧力は、熱伝導及びデッドロックの感度に顕著な影響を及ぼさないように十分小さくなっている。吸収を用いて共振する光をキャビティに結合するというアイデアは存在していたが、検出器は光学経路の寄生的部分であり、共振する熱検出器は検出器をこの経路の外側に置いていた(すなわち、Tai 及び Koskinen)。さらに、これらのデバイスはブロードバンド動作のための能力を有する構成になっていない。ブロードバンド動作は、スペクトル分析の前に関心ある対象又は領域を同定するために大きな信号対雑音比が必要とされる低光量の用途で決定的に有用である。上方ミラーの反射層は空気(真空)、1つもしくはそれ以上の誘電体、及び/又は1つもしくはそれ以上の金属、又はその他の物質を含むことができることに注意したい。例えば、検出器/吸収層(1つもしくはそれ以上)は真空ギャップによって反射層から分離することができる。別の、光学的には少し効率が低い実施形態が図10に示されており、これは検出器を光学経路から外したものである。図10は、センサ58が光学経路から移動している熱検出器アセンブリ50の例示的実施形態を示す。図10で、図8及び図9のエレメントと同様のエレメントには同じ番号がつけられている。この形態ではセンサ58は支持体72に又はその近くに置かれ、十分に小さいので認められるほどに光を吸収又は回折しない。
【0028】
別の実施形態では、上方ミラーの反射層のひとつが空気/真空であり、それが図11に示されている。図11の実施形態では、図8及び図9のエレメント(部材)と同様のエレメントには同じ番号がつけられている。図11の形態では、上方ミラー・スタック54が空気ギャップ90を含んでいたが、これは空気、気体、真空、等から成るものであってよい。
【0029】
チューニング可能な構造体を望む場合、チューニングは平行プレートのマイクロ機械加工されたデバイスに適合する任意の方法によって行うことができる。例としては、適当に電流又は電圧をそれぞれ印加する熱的又は圧電バイモルフを用いる支持体におけるバイモルフ作動方法がある。他の可能性としては、上方ミラーの側方に(又は非常に薄くそれを横切って)又は支持体上に位置する磁性層を、例えば、外部磁界又は組み込まれたコイルと共に用いる磁気作動方法がある。この実施形態で好ましい作動方法は、MEMS平行プレート・デバイスに容易に組み込むことができる静電作動方法である。必ずではないが、しばしば、吸収層が作動電極として二重に用いられる。電極は、下方及び上方ミラーに前面に又は部分的に拡がっても、又は主として側面にそして支持体の間にあってもよい。下方ミラー電極はミラーの下にあっても、ミラーのある層であっても(例えば、ドープされたGeトップ層)、又はメインの光学経路の外側の導体であってもよい。
【0030】
図9の上方の図では、二つの支持体を用いて電極を検出器に結合しており、検出器は、例えば、温度敏感な抵抗器であってデバイスはそれによってボロメータになる。第三の支持体を用いて作動電極に接触しており、それは、例えば、吸収層57又は別の層を含むことができる。別の実施形態は、異なる数の支持体を有することができる。例えば、検出器をある支持構造に、又はその近くに配置し、そこに二本以上のワイヤを垂直に(絶縁体/空気/真空を介在させて)重ねたり、側方に配置したりできる。上方ミラーの単一の層がアクチュエータとしても検出器としても働くようにすることも可能である。これは、例えば、電圧を上方ミラーに加えてデバイスを所望の共振波長に作動させることによって遂行できる。その後、例えば、機械的応答時間及び/又は熱的積分時間よりも短い持続時間の短い電圧パルスを定常電圧に重畳して、積分時間の間に性能を顕著に低下させるほどプレートを動かすことなくデバイスを読み取ることができる。
【0031】
図10は、二つの支持体と邪魔にならない検出器58を示す上面図である。支持体のひとつは検出器と接触するための側方形態を示している。あるいはまた、支持体あたり一本の接触線しかなく、作動と検出を上述のようなパルス読取方法によって合体させることもできる。
【0032】
図12は、検出器58と吸収体57が同じ光学層の部分であって絶縁体100によって電気的に分離されている別の実施形態を示す上面図である。図12では、図8及び図9に示されているエレメントと同様のエレメントには同じ番号がつけられている。これによって、検出器が光学エレメントと明示して考えられていない場合に起こり得る光学的な混乱を最小に押さえられる。検出器/吸収体にもっと複雑なパタンを導入して、例えば、格子やフレネルレンズなどの回折エレメントを導入することもできることに注意しよう。そのようなエレメントは、例えば偏光の選択、スペクトルのさらなる選択、フォーカス合わせ、又は波面整形などを実行できるであろう。
【0033】
本発明の加工は、適当などんな方法に従って行ってもよい。例えば、標準的なマイクロ機械加工法を用いてもよい。加工を実行する手法は多数ある。例えば、薄膜を堆積するにも多くの方法を用いることができる。以下に上げるものは単なる一例である。この例では、オンチップ制御エレクトロニクスを含まないマイクロボロメータ・タイプの熱検出器が製造される。例えば、いくつかのタイプのウエハのうち任意のひとつ、例えばシリコンからスタートすることができる。このシリコンの上に窒化シリコンなどの絶縁物質をコーティングしてデバイスのエレクトロニクスが基板と電気的に接触しないようにすることができる。次に、Cr/Auなどのオプションとしての金属と関心ある波長領域で一つ以上の交替する屈折率の層(alternating index layers)で構成される下方ミラーが堆積される。例えば、長波長赤外領域(λ = 8 〜 14μm)では、硫化亜鉛とゲルマニウムを交替する屈折率の物質として用いることができる。しばしば、これらの層の各々は4分の1波長の厚さであるが、いくつかの設計では数値的に最適化された厚さを用いて、例えば、共振のスペクトル対称性を変えてみたり、ミラーの高反射率領域を拡げたりすることもできる。ミラー層のひとつ、例えばトップのゲルマニウム層をドープして作動電極として働かせることもできる。これは誘電体の帯電を緩和することができる。あるいはまた、金属層を用いることもできる。これらの層はスパッタリング、蒸着、PECVD、LPCVDなど任意の適当な方法で堆積することができる。下方ミラーに、例えばホトリソグラフィーによってパタンをエッチングして特定のデバイス・エリアを形成することができる。エッチングには、例えば湿式、乾式、又は気相プロセスを用いることができる。GeをエッチングするためにSF6又はCF6プラズマ、及びZnSをエッチングするためにH2プラズマが用いられている。Cr/Auなどの金属層を堆積し、パタンを形成して下方電極を画定する必要がある。犠牲物質を次に堆積し、ビアを有するパタンを形成して、上方ミラーのための支持体と電気的な結合が設けられるようにする。熱的なスタンドオフ(突起)が必要な場合、二回目のエッチングを行って犠牲層にスタンドオフのサイズを画定する小さなピットを作ることができる。犠牲物質は容易にエッチングされてデバイスの他の露出した物質を損傷しないものでなければならない。よく見られる二つの例は、ドープされた酸化シリコン(フッ化水素酸で腐食される)とポリイミド(酸素プラズマで腐食される)である。一般に犠牲層は一般デバイス領域で正方形(又は別の形)にパタン成形される。犠牲層の厚さは、普通、デバイスがLWIRで用いられる場合は数ミクロンであり、MWIRで用いられる場合はそれより小さい。これはλ/2キャビティに対応する。もっと大きなキャビティを作ることもできるが、その代わり、加工に余分な複雑さが加わり、ミラーの反射率バンドに余分なモードが生ずるためチューニング範囲が小さくなる。
【0034】
支持体は、上方ミラーの前又は後のいずれか一方で堆積してパタン形成できる。ひとつ又は二つの支持体は検出器と接触し、別の支持体はアクチュエータ電極と接触するので、異なる支持体を異なるステップで堆積する必要があってもよい。支持体は、窒化シリコンや二酸化シリコンなどの絶縁性の、熱不良導体から構成され上に金属層を有する細いビームであってよい。支持体の金属では、電気伝導度と熱伝導度の比が大きい物質を用いることが望ましい。よく用いられるのはNiFeである。必要なら保護誘電体で金属を覆って、例えば、パタン形成時のエッチングや犠牲層のエッチングに対して保護することができる。やはり高い熱的な隔離が望ましい。上方ミラーの層は、所望する時定数やスペクトル特性などによってきわめて多様である。ある単純な構造は、CrやPdなどの薄い金属を用いるもので、それが吸収体/アクチュエータ電極の役目をする。非常に薄い絶縁性誘電体を堆積し、続いて部分的に透明なドープされたゲルマニウムの層が検出器層として堆積される。第二のドープされないゲルマニウムの層を構造/誘電体物質として用いることができる。この基本構造のバリエーションはいろいろあり、本発明はこれらの例に限定されない。
【0035】
上方ミラーと支持体を堆積しパタン形成した後、例えばCr/Auのような普通の金属、プラス任意の不動態化する誘電体を、例えばボンド・パッドのようないくつかのエリアに堆積しパタン形成して外部エレクトロニクスとの接点を作る。このようなプロセスはデバイス領域の機能を低下又は妨害しないように計画しなければならない。例えば、上方ミラーの上の不動態化する誘電体はエッチングによって除去できる。犠牲層のエッチングによって上方ミラーを支持体以外のところで自由にすることができる。上記したようなモノリシック・アプローチがひとつの好ましい実施形態であるが、複数ウエハのプロセスも可能である。例えば、上方ミラーを別のウエハで加工し、犠牲層マトリクスにある間に支持体にボンディングすることもできる。次にエッチングでレリースする前に上方ミラーのウエハを除去することができる。
【0036】
本発明を好ましい実施形態に関して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなくその形態や細部に変更を加えることができることは当業者には理解されるであろう。本明細書で用いられる場合、赤外線は約1μmから約100μmまでの放射線を含む。いろいろな形態で、検出器は熱検出器の一つ以上のミラーに結合した熱センサを含む。熱センサは、二つのミラーによって画定されるキャビティ内部に位置するか、そうでなければミラーのひとつに合致する。任意の適当なタイプの熱センサを用いることができ、任意の適当なアクチュエーション機構又はミラーを望むように用いることができる。ある形態では、熱センサは温度に応答して抵抗を変える物質を含んで成る。さらに、任意の適当なアクチュエーション機構を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1A】ディスバレーの砂の放射率スペクトルであり、この物質の生の放射率を表す。
【図1B】ディスバレーの砂の放射率スペクトルであり、この物質と黒体の間の検出器が見るパワーの差を示す。
【図2A】酸化アルミニウムの放射率スペクトルであり、酸化アルミニウムの生の放射率を表す。
【図2B】酸化アルミニウムの放射率スペクトルであり、この物質と黒体の間の検出器が見るパワーの差を示す。
【図3A】草の放射率スペクトルであり、草の生の放射率を表す。
【図3B】草の放射率スペクトルであり、草と黒体の間の検出器が見るパワーの差を示す。
【図4】本発明のある実施形態に係わるスペクトルをチューニングできるボロメータ・ピクセルの断面図である。ボロメータは、マイクロボロメータ・プレートに光を結合する光学キャビティ設計の一部として構築される。ボロメータ・プレートは、反射体、1つもしくはそれ以上の構造層、薄い1つもしくはそれ以上の吸収体、及び部分的に吸収する1つもしくはそれ以上の検出器で構成される。これらの層のいくつかは合体させることができる。ブロードバンド検出は、ボロメータ・プレートを下方ミラー(ボロメータ支持体のマイクロ機械加工された突起によって持ち上げられている)の非常に近くに動かすことによって実現できる。
【図5】シミュレートされた集積ピクセル・チューナブル・マイクロボロメータの吸収スペクトルである。デバイスのチューニング範囲は8〜14μmの範囲をほぼ完全にカバーしている。凡例の数字はナローバンド・チューニングにおけるギャップ間隔の高さを指す。
【図6】ブロードバンドで動作している集積ピクセル・チューナブル・マイクロボロメータの吸収スペクトルである。8〜12ミクロン範囲でのブロードバンドの挙動はこの範囲で普通は約85%である標準的なマイクロボロメータのそれとほぼ合致する。
【図7A】ナローバンド・モードにおけるチューナブル熱検出器の吸収スペクトルを示す。このモードにおけるスペクトルは、図5に示されたものよりも高い分光分解能で設計されている。
【図7B】ブロードバンド・モードにおけるチューナブル熱検出器の吸収スペクトルを示す。このモードにおけるスペクトルは、図6に示されたものより狭くなるように設計されている。
【図8】本発明のある例示的な実施形態に係わる熱検出器の側方断面図である。
【図9】図8の熱検出器の上面図である。
【図10】別の例示的な熱検出器の上面図である。
【図11】上方ミラー・スタックに空気ギャップを含む熱検出器の側方断面図である。
【図12】検出器とアクチュエータ又は吸収体が上方ミラーの同じ層で実施されている熱検出器の上面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線を検出するように構成された熱検出器であって、
第一のミラー;
第二のミラー(該第一及び第二のミラーはそれらの間にキャビティを画定し、該第二のミラーはキャビティの外部である第一の側と、該第一の側よりも該キャビティに近く位置する第二の側とを有する);及び
該第二のミラーと結合した熱センサ(該センサは少なくとも部分的に該赤外線に対して吸収性であり、かつ該キャビティ又は第二のミラー内に位置する);
を含んで成る熱検出器。
【請求項2】
該第一及び第二のミラーの間の間隔が調節可能であることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項3】
該第一及び第二のミラーの間の相対運動を可能にするように構成されたアクチュエータを含む請求項2に記載の熱検出器。
【請求項4】
該キャビティが該赤外線の共振キャビティを与え、そこで、ただひとつの周波数バンドが該熱センサと結合していることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項5】
該熱センサが吸収エレメントを含むことを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項6】
該第一及び第二のミラーがキャビティを実質的に潰すように一緒に動いて、それにより該熱検出器がブロードバンドの放射線を受けることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項7】
該第一及び第二のミラーが互いに接触するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の熱検出器。
【請求項8】
該第一及び第二のミラーの間に接触面積を低減するためのスタンドオフを含むことを特徴とする請求項7に記載の熱検出器。
【請求項9】
該熱的なスタンドオフが、接触面積及び基板への圧力に基づく熱伝導が主たる熱伝達メカニズムになることを防止することを特徴とする請求項7に記載の熱検出器。
【請求項10】
該熱センサが回折光学エレメントにパタン形成されることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項11】
該第一及び第二のミラーの少なくともひとつが回折光学エレメントにパタン形成されることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項12】
該第一及び第二のミラーの少なくともひとつが格子にパタン形成されることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項13】
該第一及び第二のミラーの少なくともひとつがフレネルレンズにパタン形成されることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項14】
該デバイスが偏光を検出するように設計されていることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項15】
該第一及び第二のミラーの少なくともひとつがガウシアンキャビティを形成するような曲面になっていることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項16】
該アクチュエータが静電力を用いて相対運動を可能にしていることを特徴とする請求項3に記載の熱検出器。
【請求項17】
該アクチュエータが磁気を用いて相対運動を可能にしていることを特徴とする請求項3に記載の熱検出器。
【請求項18】
該第一及び第二のミラーのひとつを支持するように構成された支持体を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項19】
該支持体が該第一及び第二のミラーのひとつへのコネクションを与えることを特徴とする請求項18に記載の熱検出器。
【請求項20】
該第一及び第二のミラーの間の間隔を調節するために、該第一及び第二のミラーの少なくともひとつに電気的に結合した制御回路を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項21】
該制御回路を担持する基板を含み、該基板は該基板を通る少なくともひとつのビアを含み、かつ該基板が該制御回路への電気的結合を与えることを特徴とする請求項20に記載の熱検出器。
【請求項22】
赤外線を検出するように構成された熱検出器であって、
第一のミラー;
第二のミラー;
赤外線を感知するように構成された熱センサ;及び
キャビティがある周波数にチューニングされ、かつ該熱センサが該周波数を受ける第一の位置と、該第一及び第二のミラーが互いに近接して位置し、かつ該熱センサがブロードバンド赤外線を受ける第二の位置との間で、該第一及び第二のミラーの間の相対運動を可能にするように構成されたアクチュエーション機構;
を含んで成る熱検出器。
【請求項23】
該第二のミラーがキャビティの外部である第一の側と、該第一の側よりも該キャビティに近く位置する第二の側とを有し、該熱センサが該第二のミラーの該第一の側と一致する位置を含む該キャビティの内部に位置することを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項24】
該第一及び第二のミラーの間の間隔が調節可能であることを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項25】
該熱センサが吸収エレメントを含むことを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項26】
該第一及び第二のミラーの間に接触面積を低減するためのスタンドオフを含むことを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項27】
該熱センサが回折光学エレメントにパタン形成されることを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項28】
該第一及び第二のミラーの少なくともひとつが回折光学エレメントにパタン形成されることを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項29】
該第一及び第二のミラーの少なくともひとつがガウシアンキャビティを形成するような曲面になっていることを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項30】
該アクチュエーション機構が静電力を用いて相対運動を可能にしていることを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項31】
該アクチュエーション機構が磁気を用いて相対運動を可能にしていることを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項32】
該第一及び第二のミラーのひとつを支持するように構成された支持体を含むことを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項33】
該支持体が該第一及び第二のミラーのひとつへのコネクションを与えることを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項34】
該第一及び第二のミラーの間の間隔を調節するために該第一及び第二のミラーの少なくともひとつに電気的に結合された制御回路を含むことを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項35】
該制御回路を担持する基板を含み、該基板は該基板を通る少なくともひとつのビアを含み、かつ該基板が該制御回路への電気的結合を与えることを特徴とする請求項34に記載の熱検出器。
【請求項1】
赤外線を検出するように構成された熱検出器であって、
第一のミラー;
第二のミラー(該第一及び第二のミラーはそれらの間にキャビティを画定し、該第二のミラーはキャビティの外部である第一の側と、該第一の側よりも該キャビティに近く位置する第二の側とを有する);及び
該第二のミラーと結合した熱センサ(該センサは少なくとも部分的に該赤外線に対して吸収性であり、かつ該キャビティ又は第二のミラー内に位置する);
を含んで成る熱検出器。
【請求項2】
該第一及び第二のミラーの間の間隔が調節可能であることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項3】
該第一及び第二のミラーの間の相対運動を可能にするように構成されたアクチュエータを含む請求項2に記載の熱検出器。
【請求項4】
該キャビティが該赤外線の共振キャビティを与え、そこで、ただひとつの周波数バンドが該熱センサと結合していることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項5】
該熱センサが吸収エレメントを含むことを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項6】
該第一及び第二のミラーがキャビティを実質的に潰すように一緒に動いて、それにより該熱検出器がブロードバンドの放射線を受けることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項7】
該第一及び第二のミラーが互いに接触するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の熱検出器。
【請求項8】
該第一及び第二のミラーの間に接触面積を低減するためのスタンドオフを含むことを特徴とする請求項7に記載の熱検出器。
【請求項9】
該熱的なスタンドオフが、接触面積及び基板への圧力に基づく熱伝導が主たる熱伝達メカニズムになることを防止することを特徴とする請求項7に記載の熱検出器。
【請求項10】
該熱センサが回折光学エレメントにパタン形成されることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項11】
該第一及び第二のミラーの少なくともひとつが回折光学エレメントにパタン形成されることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項12】
該第一及び第二のミラーの少なくともひとつが格子にパタン形成されることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項13】
該第一及び第二のミラーの少なくともひとつがフレネルレンズにパタン形成されることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項14】
該デバイスが偏光を検出するように設計されていることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項15】
該第一及び第二のミラーの少なくともひとつがガウシアンキャビティを形成するような曲面になっていることを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項16】
該アクチュエータが静電力を用いて相対運動を可能にしていることを特徴とする請求項3に記載の熱検出器。
【請求項17】
該アクチュエータが磁気を用いて相対運動を可能にしていることを特徴とする請求項3に記載の熱検出器。
【請求項18】
該第一及び第二のミラーのひとつを支持するように構成された支持体を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項19】
該支持体が該第一及び第二のミラーのひとつへのコネクションを与えることを特徴とする請求項18に記載の熱検出器。
【請求項20】
該第一及び第二のミラーの間の間隔を調節するために、該第一及び第二のミラーの少なくともひとつに電気的に結合した制御回路を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱検出器。
【請求項21】
該制御回路を担持する基板を含み、該基板は該基板を通る少なくともひとつのビアを含み、かつ該基板が該制御回路への電気的結合を与えることを特徴とする請求項20に記載の熱検出器。
【請求項22】
赤外線を検出するように構成された熱検出器であって、
第一のミラー;
第二のミラー;
赤外線を感知するように構成された熱センサ;及び
キャビティがある周波数にチューニングされ、かつ該熱センサが該周波数を受ける第一の位置と、該第一及び第二のミラーが互いに近接して位置し、かつ該熱センサがブロードバンド赤外線を受ける第二の位置との間で、該第一及び第二のミラーの間の相対運動を可能にするように構成されたアクチュエーション機構;
を含んで成る熱検出器。
【請求項23】
該第二のミラーがキャビティの外部である第一の側と、該第一の側よりも該キャビティに近く位置する第二の側とを有し、該熱センサが該第二のミラーの該第一の側と一致する位置を含む該キャビティの内部に位置することを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項24】
該第一及び第二のミラーの間の間隔が調節可能であることを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項25】
該熱センサが吸収エレメントを含むことを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項26】
該第一及び第二のミラーの間に接触面積を低減するためのスタンドオフを含むことを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項27】
該熱センサが回折光学エレメントにパタン形成されることを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項28】
該第一及び第二のミラーの少なくともひとつが回折光学エレメントにパタン形成されることを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項29】
該第一及び第二のミラーの少なくともひとつがガウシアンキャビティを形成するような曲面になっていることを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項30】
該アクチュエーション機構が静電力を用いて相対運動を可能にしていることを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項31】
該アクチュエーション機構が磁気を用いて相対運動を可能にしていることを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項32】
該第一及び第二のミラーのひとつを支持するように構成された支持体を含むことを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項33】
該支持体が該第一及び第二のミラーのひとつへのコネクションを与えることを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項34】
該第一及び第二のミラーの間の間隔を調節するために該第一及び第二のミラーの少なくともひとつに電気的に結合された制御回路を含むことを特徴とする請求項22に記載の熱検出器。
【請求項35】
該制御回路を担持する基板を含み、該基板は該基板を通る少なくともひとつのビアを含み、かつ該基板が該制御回路への電気的結合を与えることを特徴とする請求項34に記載の熱検出器。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−538425(P2009−538425A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512115(P2009−512115)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/012213
【国際公開番号】WO2008/108784
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(305023366)リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミネソタ (39)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/012213
【国際公開番号】WO2008/108784
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(305023366)リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミネソタ (39)
【Fターム(参考)】
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