説明

熱気の採取システムを含む航空機の推進用集合体

【課題】 本発明の対象は、中に動力機構(52)が配置してあるナセル(50)を含む航空機の推進用集合体であり、
【解決手段】前記ナセルが前部で空気取り入れ口(56)と導管(54)を画定する内壁を含んでおり、推進用集合体が、一方では、熱気を動力機構(52)から空気取り入れ口(56)に向けて送るために、流動する空気の調整手段を備えた少なくとも1つの第1導管(62)を備えている霜処理システムを含んでおり、および他方では、熱気を動力機構から送り出し区域に向けて送るための流動する空気の調整手段を備えた少なくとも1つの第2導管(70)を備えている吐出用システムを含んでおり、少なくとも1つの前記第2導管(70)が少なくとも1つの第1導管(62)に連結されており、少なくとも1つの前記第1導管(62)内を流動する空気の調整手段が、少なくとも1つの前記第2導管(70)内を流動する空気の調整手段とは別個であることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力機構の騒音発生の減少を狙いとする熱気の採取システムを含む航空機の前記推進用集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
図1と図2に、支柱を介して動力機構12を航空機の他の部分に連結されており、ほぼ同心円的に配置してある、ナセル10を含む航空機の推進用集合体を示しておいた。
【0003】
ナセル10は、前部に空気取り入れ口16と導管14を画定する内壁を含んでおり、一次流束と呼ばれている、流入する空気の流束の第1部分が、燃焼に参加するために動力機構12を流通しており、ならびに二次流束と呼ばれている空気の流束の第2部分が送風機18に牽引されて、ナセルの内壁と動力機構の外壁で画定されている環状導管20を流動する。
【0004】
動力機構12は、離陸時に、例えば動力機構の「ポンプ吸引」現象を避けるための吐出用システムを含んでおり、前記システムは、採取の第1点22のレベルで燃焼室内での空気の採取を許し、動力機構12の外側にその空気を排出することを許している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのために、動力機構は、採取の第1点22から送り出し区域に向けて、とりわけ排気コーン内に配設してある複数の孔部を介して、環状導管20に口が開いている孔部28を介して、特定条件で、空気を動力機構の外側に送り出すために、弁26を備えている導管24を含んでいる。このシステムは、「ペッパーポット」と呼ばれている。
【0006】
環状導管20内へのこの排出は、騒音を発生する大きな欠点を有する。
【0007】
それと平行して、推進用集合体は、動力機構のレベルで熱気を採取し、前記熱気を空気取り入れ口16のレベルに送り出すことを狙いとする空圧型の霜処理システムを含むことができる。この種のシステムは、EP−1.232.944号文書に特に記述されている。
【0008】
この霜処理システムは、動力機構内で、採取用第2点34から空気取り入れ口に向けて空気を送るために、場合によって吐出量の調整手段32を備えている少なくとも1つの導管30を含んでいる。そのために熱気は、除霜を行うために空気取り入れ口のレベルで流動した後、ナセルの導管14内に入ってくる空気の風路内に排出される。空気取り入れ口の除霜のために利用される熱気の送り出しは、音響公害を発生しない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、動力機構が、前記動力機構の騒音発生、とりわけ吐出用システムによる騒音発生を減少させることを狙いとする動力機構内からの熱気の採取システムを備えている航空機の推進用集合体を提案することを狙いとしている。
【0010】
そのために、本発明は、中に動力機構が配置してあるナセルを含む航空機の推進用集合体を対象としており、前記ナセルは、前部に空気取り入れ口と導管を画定する内壁を含んでおり、推進用集合体は、一方では、熱気を動力機構から空気取り入れ口に向けて送るために、流動する空気の調整手段を備えた少なくとも1つの第1導管を備えている除霜システムを含んでおり、他方では、空気を動力機構から送り出し区域に向けて送るために調整手段を備えている、少なくとも1つの第2の導管が備えてある吐出用システムを含んでおり、少なくとも1つの第2の導管が、前記第1の導管に連結してあり、少なくとも1つの前記第1の導管内を流動する空気の調整手段が、少なくとも1つの第2の導管を流動する空気の調整手段とは別であることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
その他の特性と利点は、添付図に照らして、単に例として示した記述である本発明のこれから先の記述で明らかになるだろう。
【図1】従来の技術による推進用集合体を図式的に示した断面図である。
【図2】従来の技術による採取システムを示した図である。
【図3】本発明による推進用集合体を図式的に示した断面図である。
【図4】本発明による採取システムを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
図3に、支柱を介して航空機の他の部分に、動力機構52をほぼ同心円的に中に配置してあるナセル50を含む航空機の推進用集合体を示しておいた。
【0013】
ナセル50は、唇部とも呼ばれている、前部の空気取り入れ口56と導管54で画定している内壁を含んでおり、一次流束と呼ばれている、流入する空気の流束の第1部分が、燃焼に参加すべく動力機構52を貫流し、二次流束と呼ばれている空気の流束の第2部分が、送風機58に牽引されて、ナセルの内壁と動力機構の外壁で画定されている環状導管60内を流動する。
【0014】
推進用集合体は、熱気を動力機構のレベルで採取し、前記熱気を空気取り入れ口56のレベルに送り出すことを狙いとする空圧型霜処理システムを含んでいる。
【0015】
この霜処理システムは、熱気を動力機構52内での少なくとも1つの第1採取点64から空気取り入れ口56に向けて送るための少なくとも1つの第1導管62を含んでいる。このシステムは、有利なことに、とりわけ空気取り入れ口に向けて送付した熱気の吐出量を調整するために、流動する空気の第1調整手段66を含んでいる。
【0016】
熱気は、除霜を実現するために空気取り入れ口56のレベルで流動した後、外方に排出される。図3に示した実施態様では、除霜に利用された空気は、ナセルの導管54内に流入する空気の風路内に排出される。しかしながら、本発明は、この解決策に限定されているのではなく、空気の排出は、ナセルの周縁で行える。
【0017】
空気取り入れ口の除霜に使用された空気が送り出されても、音響公害が発生しない。
【0018】
除霜システムおよび除霜に利用される空気の排出口は、当業者に知られているので、これ以上詳述しないことにする。他方では、前記除霜システムおよび除霜に利用される空気の排出口は、いろいろな配置構成、とりわけEP−1.232.944号文書に記述されている配置構成になり得る。
【0019】
補足として、推進用集合体は、空気を燃焼室内の第2採取点68のレベルで採取して、動力機構52の外側の送り出し区域に向けて排出することを狙いとする、とりわけ離陸時の動力機構の「ポンプ吸引」現象を避けるための吐出用システムを含んでいる。そのために、動力機構は、空気を第2採取点68から採取し、送り出し区域に向ける、弁のような、流動する空気の少なくとも1つの第2導管を備えた第2調整手段72を含んでいる。
【0020】
本発明では、第2導管70は、第1導管62内から採取され、除霜のために使用された空気と同じ方法で空気が排出されるように、吐出用システムで前記空気を送り出すために、第2調整手段72の後に第1導管62に連結してある。
【0021】
第2導管70に向けての空気の調整手段72は、2つの機能、すなわち除霜と吐出を最適な方法で確立するために、調整手段66と異なっている。
【0022】
この解決策は、吐出用システムから発生された音響公害を排除する利点がある。
【0023】
なお、この配置構成は、熱気の吐出量が、多めである限り、除霜を向上させるのに役立つ。
【0024】
諸変形態様では、第1採取点64と第2採取点68は、動力機構の同一区域に配置すること、または別々の区域に配置することが可能である。
【符号の説明】
【0025】
10.ナセル
12.動力機構
14.導管
15.導管
16.空気取り入れ口
18.送風機
20.環状導管
22.第1点
24.導管
26.弁
28.孔部
30.導管
32.調整手段
34.第2点
50.ナセル
52.動力機構
54.導管
56.空気取り入れ口
58.送風機
60.環状導管
62.第1導管
64.第1採取点
66.第1調整手段
68.第2採取点
70.第2導管
72.第2調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
推進用集合体が、中に動力機構(52)が配置してあるナセル(50)を含んでおり、前記ナセルが、前部で空気取り入れ口(56)と導管(54)を画定する内壁を含んでおり、該推進用集合体が、一方では、熱気を動力機構(52)から空気取り入れ口(56)に向けて送るために、流動する空気の調整手段(66)を備えた少なくとも1つの第1導管(62)を備えている霜処理システムを含んでおり、他方では、空気を動力機構から送り出し区域に向けて送るための調整手段(72)を備えた少なくとも1つの第2導管(70)を備えている吐出用システムを含んでおり、少なくとも1つの前記第2導管(70)が、少なくとも1つの前記第1導管(62)に連結されており、少なくとも1つの前記第1導管(62)が、少なくとも1つの前記第2導管(70)内を流動する空気の調整手段(72)とは別個であることを特徴とする航空機の推進用集合体。
【請求項2】
少なくとも1つの前記第2導管(70)が、少なくとも1つの前記第1導管(62)および少なくとも1つの前記第2導管(70)内を流動する空気の前記調整手段(66,72)の後に、少なくとも1つの前記第1導管(62)に連結してあることを特徴とする、請求項1による航空機の推進用集合体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−508143(P2011−508143A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540161(P2010−540161)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/FR2008/052398
【国際公開番号】WO2009/083691
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(509323440)エアバス オペレイションズ エスエーエス (13)