説明

熱活性ラベルおよび熱活性ラベル用プリンター

【課題】プリンターの単純化および小型化さらにはコスト低減を可能とし、使用態様を多様化可能であり、値下げ用ラベルやリストバンドなど、必要に応じて融通性のある活用が可能な熱活性ラベルおよび熱活性ラベル用プリンターを提供する。
【解決手段】熱発色あるいは熱転写による印字を可能とした熱活性ラベル31において、サーマルプリントによるプリント領域32と、熱活性粘着剤を塗布する粘着剤領域33と、を熱活性ラベル31の同一面(表面)側に設けて加熱可能とすることに着目したもので、ラベル基材9の表面に熱活性粘着剤を塗布して粘着剤領域33とするとともに、ラベル基材9の表面における粘着剤領域33以外の領域をプリント領域32として、プリント領域32にサーマルプリント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱活性ラベルおよび熱活性ラベル用プリンターにかかるもので、とくにラベル基材の同じ表面側に熱活性粘着剤層およびプリント層を有する熱活性ラベルおよび熱活性ラベル用プリンターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の熱活性ラベルおよび熱活性ラベル用プリンターについて図23ないし図26にもとづき概説する。
図23は、熱活性ラベル用プリンター1の概略側面図であって、熱活性ラベル用プリンター1は、用紙供給部2と、検出部3と、印字部4と、熱活性部5と、必要に応じて切断部6と、制御部7と、を有する。
【0003】
用紙供給部2は、熱活性ラベル8をロール状に保持するとともに、検出部3、印字部4および熱活性部5方向に帯状に繰り出し可能とする。
【0004】
図24は、熱活性ラベル8の平面図、図25は、同、縦断面図であって、熱活性ラベル8は、その帯状のラベル基材9の表面側に熱発色剤を塗布して熱発色剤層10を形成するとともに、その裏面に熱活性粘着剤を塗布して熱活性粘着剤層11を形成してある。
したがって、熱活性ラベル8は、常温では粘着性を有さず、貼付けの直前に熱活性粘着剤層11の領域を所定温度に加熱することにより、活性化(粘着化)させて、所定の部位ないし商品や物品に貼り付け可能としている。
【0005】
検出部3は、位置センサー12を有し、熱活性ラベル8の位置を検出して、制御部7に出力する。
なお、熱活性ラベル8の裏面には位置検出用マーク13をあらかじめ印刷しておき、位置センサー12によりこれを検出可能とすることもできるし、熱活性ラベル8に形成した位置検出用切欠き部(図示せず)を検出可能とすることもできる。
【0006】
印字部4は、熱活性ラベル8の表面側に位置するサーマルヘッド14および裏面側に位置するプラテンローラー15を有し、これらの間に熱活性ラベル8を挟持して、プラテンローラー15を回転駆動して熱活性ラベル8を移送するとともに、サーマルヘッド14の幅方向に並べた多数の発熱素子16からの印字信号にもとづき熱発色剤層10の所定部位を熱発色させて所定の情報を熱印字(サーマルプリント)可能とする。
なお、プラテンローラー15の表面には、シリコーン剤などにより剥離性を有するコーティングを施しておくことが望ましい。
【0007】
図26は、他のタイプの熱活性ラベル17の縦断面図であって、熱活性ラベル17では、ラベル基材9の裏面に熱活性粘着剤を塗布して熱活性粘着剤層11を形成してあるとともに、その表面に前記熱発色剤層10を塗布せず、その代わりに、熱活性ラベル用プリンター1に装填する熱転写リボン18(図23および図26の仮想線を参照)を用いることにより、ラベル基材9の表面側に熱転写リボン18のインキを熱転写させ、サーマルプリントを可能としている。
【0008】
熱活性部5は、熱活性ラベル8の裏面側(熱活性粘着剤層11側)に位置する粘着剤熱活性用ヘッド19(サーマルヘッド)、および表面側(熱発色剤層10側)に位置する挟持ローラー20を有し、これらの間に熱活性ラベル8を挟持して、挟時ローラー20を回転駆動して熱活性ラベル8を移送するとともに、熱活性粘着剤層11に対向して面的に配置した発熱プレート21からの加熱作用によって熱活性粘着剤層11の熱活性粘着剤を熱活性化し、貼付け能力を発揮させて、所定の物品ないし商品に貼り付け可能とする。
【0009】
切断部6は、熱活性ラベル8のタイプによって必要に応じてこれを設けることができ、所定のタイミングで切断刃22を駆動して、熱活性ラベル8を所定の大きさに切断可能である。
なお、熱活性ラベル8などにあらかじめミシン目などの切込み部を形成しておけば、切断部5を設ける必要はない。
【0010】
制御部7は、上述の各部(検出部3、印字部4、熱活性部5、切断部6)を制御するもので、必要なタイミングで、印字部4(サーマルヘッド14)への印字信号の供給、および熱活性部5(粘着剤熱活性用ヘッド19)への熱エネルギーの供給を行う。
【0011】
こうした構成の熱活性ラベル用プリンター1および熱活性ラベル8において、印字部4における熱活性ラベル8の熱発色剤層10への印字、さらには、熱活性部5における熱活性ラベル8の熱活性粘着剤層11への加熱を行うために、熱活性ラベル8の表面側にサーマルヘッド14および裏面側に粘着剤熱活性用ヘッド19をそれぞれ必要とし、熱活性ラベル用プリンター1としては、その構造が複雑化および大型化するとともに、コスト高になることは避けられないという問題がある。
【0012】
また、熱活性ラベル8の表面および裏面にそれぞれ印字面および粘着面が形成されることになるため、熱活性ラベル8の使用態様としても限定される場合があり、商品の価格表示や販売促進用の表示用として、必要に応じた融通性に欠けるという問題がある。
【0013】
【特許文献1】特開2004−136972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、熱活性ラベル用プリンター自体の構造を簡略化可能な熱活性ラベルおよび熱活性ラベル用プリンターを提供することを課題とする。
【0015】
また本発明は、熱活性ラベルへの印字および加熱を行うためのサーマルヘッドの数を単一として、プリンターの単純化および小型化さらにはコスト低減を可能とした熱活性ラベルおよび熱活性ラベル用プリンターを提供することを課題とする。
【0016】
また本発明は、単一のサーマルヘッドによる熱活性ラベルの印字(サーマルプリント)および熱活性粘着剤層の熱活性化を可能とした熱活性ラベルおよび熱活性ラベル用プリンターを提供することを課題とする。
【0017】
また本発明は、熱活性ラベルの構成ないし使用態様に応じてサーマルヘッドを一対設けても、プリンターの構造を単純化可能な熱活性ラベルおよび熱活性ラベル用プリンターを提供することを課題とする。
【0018】
また本発明は、使用態様を多様化可能であり、値下げ用ラベル、リストバンド、植木用ラベル、POPその他の広告表示ラベル、立体的な表示が可能なラベル、さらには、販売促進シートの結合機能付きラベル、また、透明なガラスの裏面への貼付けも可能なラベルなど、必要に応じて融通性のある活用が可能な熱活性ラベルおよび熱活性ラベル用プリンターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
すなわち本発明は、熱発色剤層を塗布した熱活性ラベル、あるいは熱転写リボンによる印字を可能とした熱活性ラベルにおいて、サーマルプリントによるプリント領域と、熱活性粘着剤を塗布する粘着剤領域と、を熱活性ラベルの同一面(表面)側に設けること、これらの領域を単一のサーマルヘッドで加熱可能とすることに着目したもので、第一の発明は、そのラベル基材に熱活性粘着剤を塗布してあるとともに、サーマルプリントを行うことができる熱活性ラベルであって、上記ラベル基材の表面に上記熱活性粘着剤を塗布して粘着剤領域とするとともに、上記ラベル基材のこの表面におけるこの粘着剤領域以外の領域をプリント領域としてこのプリント領域に上記サーマルプリントを行うことを特徴とする熱活性ラベルである。
【0020】
第二の発明は、そのラベル基材に熱活性粘着剤を塗布してあるとともに、サーマルプリントを行うことができる熱活性ラベルを装填する熱活性ラベル用プリンターであって、上記熱活性ラベルは、上記ラベル基材の表面に上記熱活性粘着剤を塗布して粘着剤領域とするとともに、上記ラベル基材のこの表面におけるこの粘着剤領域以外の領域をプリント領域として画成してあり、このプリント領域において上記サーマルプリントを行うためのプリント用ヘッドと、上記粘着剤領域において上記熱活性粘着剤を熱活性させるための粘着剤熱活性用ヘッドと、をともに、上記ラベル基材の上記表面側に設けたことを特徴とする熱活性ラベル用プリンターである。
【0021】
上記粘着剤領域および上記プリント領域は、上記ラベル基材の上記表面をそれぞれ所定面積にわたって分割していることができる。
【0022】
上記粘着剤領域および上記プリント領域は、上記ラベル基材の上記表面にそれぞれ所定割合で分散していることができる。
【0023】
上記粘着剤領域および上記プリント領域の間の境界線部分で上記ラベル基材を折り返し可能としていることができる。
【0024】
上記粘着剤領域は、上記ラベル基材の一方の端部にこれを設け、上記熱活性粘着剤の熱活性後に他方の端部の裏面に貼り付け可能としていることができる。
【0025】
上記粘着剤領域は、上記プリント領域をその両側から挟むように二ヶ所に分かれていることができる。
【0026】
上記プリント領域および上記粘着剤領域の形成パターンについては、値下げ用ラベルやリストバンドなど、それぞれの用途に応じて、そのレイアウトを自由に設計可能である。
【0027】
なお一般に、プリント領域におけるサーマルプリントに必要な熱量(印字エネルギー)は、25mJ/mm程度(発熱温度は100℃前後)、粘着剤領域における熱活性に必要な熱量(熱活性エネルギー)は、20mJ/mm程度(発熱温度は80〜90℃)であり、単一のサーマルヘッドによってプリント領域におけるサーマルプリントおよび粘着剤領域における熱活性粘着剤の熱活性化を実行可能である。
【発明の効果】
【0028】
本発明による熱活性ラベルおよび熱活性ラベル用プリンターにおいては、サーマルプリントによるプリント領域と、熱活性粘着剤を塗布する粘着剤領域と、を熱活性ラベルの同一面(表面)側に設けるとともに、これらの領域を単一のサーマルヘッドで加熱可能とすることとしたので、従来の熱活性ラベル用プリンターのように、加熱専用のヘッド(粘着剤熱活性用ヘッドないしその挟時ローラー)を必要とせず、従来の印字用の熱活性ラベル用プリンターにおけるサーマルヘッドのみで、印字および加熱を行うように制御することができ、熱活性ラベル用プリンター全体の単純化および小型化を可能とし、コストの低減を期待することができる。
【0029】
とくに第一の発明によれば、サーマルプリントによるプリント領域と、熱活性粘着剤を塗布する粘着剤領域と、を熱活性ラベルの同一面側に設けたので、単一のサーマルヘッドのみで印字および熱活性化が可能であるとともに、必要に応じて、プリント領域および粘着剤領域のパターンを設計して、値下げ用ラベルやPOP広告などを作成可能である。
【0030】
とくに第二の発明によれば、熱活性ラベルの使用態様によってプリント領域用と粘着剤領域用と、に分けてサーマルヘッドを準備することになるが、それぞれのサーマルヘッドを熱活性ラベルの同一面側に位置させることが可能となり、熱活性ラベル用プリンター設計の自由度を増し、かつ、構造の単純化が可能であるとともに、プリント領域および粘着剤領域の必要加熱エネルギーが異なっても対応可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明は、熱活性ラベルの同一面側にプリント領域および粘着剤領域を設けるようにしたので、プリンターの小型化を可能とし、また熱活性ラベルの使用態様を多様化可能であるとともに、コストダウンも可能な熱活性ラベルおよび熱活性ラベル用プリンターを実現した。
【実施例】
【0032】
つぎに本発明(第一の発明)の第1の実施例による熱活性ラベルおよびこの熱活性ラベルを装填する熱活性ラベル用プリンターを図1ないし図6にもとづき説明する。ただし、図23ないし図26と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、熱活性ラベル用プリンター30の概略側面図であって、熱活性ラベル用プリンター30は、前述した用紙供給部2、検出部3、印字部4、必要に応じて切断部6および制御部7を有し、前記熱活性部5(図23)は不要である。すなわち、熱活性ラベル用プリンター30としては、従来の熱発色型や熱転写型などの単純なサーマルプリントが可能なサーマルプリンターを採用可能である。
【0033】
上記印字部4は、制御部7からの必要なタイミングによる印字信号および熱活性エネルギーの制御供給により、そのサーマルヘッド14によって、熱活性ラベル31への印字および加熱作用を行うものである。
【0034】
図2は、上記熱活性ラベル31の平面図、図3は、同、縦断面図であって、熱活性ラベル31は、前記ラベル基材9の同一面(表面)側に、熱発色剤を塗布して前記熱発色剤層10(図25)に相当するプリント領域32を塗布形成してあるとともに、このプリント領域32以外の領域として、熱活性粘着剤を塗布した前記熱活性粘着剤層11(図25)に相当する粘着剤領域33を塗布形成してある。
プリント領域32および粘着剤領域33は、ラベル基材9の表面をそれぞれ所定面積にわたって分割しているもので、たとえば、ラベル基材9の上流側における面積の3/4程度の面積をプリント領域32とするとともに、下流側の1/4程度の面積を粘着剤領域33としてある。
なお、プリント領域32あるいは粘着剤領域33のいずれかを上流側に設けるかについては、粘着剤領域33における熱活性粘着剤のサーマルヘッド14の発熱素子16による加熱からその活性化までの時間差に応じて、適宜設計可能である。
また、プリント領域32および粘着剤領域33の面積割合ないし分割度合いについても、熱活性ラベル31の使用態様に応じて任意に決定可能である。
【0035】
こうした構成の熱活性ラベル用プリンター30および熱活性ラベル31において、熱活性ラベル31の移送にともなって、印字部4のサーマルヘッド14がまず熱活性ラベル31の粘着剤領域33部分を加熱して熱活性化し、プリント領域32に所定内容のサーマルプリントを行うことにより、たとえば、値下げ用ラベル34を作成することができる。
【0036】
この値下げ用ラベル34を価格表示タグ35(価格表示下げ札)に貼り付けることができる。
すなわち図4は、値下げ用ラベル34の使用状態を示す平面図、図5は、同、側面図であって、価格表示タグ35の表示価格36からの値下げの程度を値下げ用ラベル34により示すことができる。
具体的には、値下げ用ラベル34の熱活性化して粘着性を有する粘着剤領域33を価格表示タグ35の裏面に貼り付けて、プリント領域32の内容を表示することができる。
【0037】
本発明による熱活性ラベル31から作成した値下げ用ラベル34は、別の使用態様(貼付け態様)を採ることもできる。
たとえば図6は、値下げ用ラベル34の価格表示タグ35への別の貼付け方法を示す側面図であって、プリント領域32および粘着剤領域33の間の境界線37部分でラベル基材9を折り返し、粘着剤領域33により価格表示タグ35の表示価格36ないしその一部を覆い隠し、プリント領域32部分が価格表示タグ35ないしその表示価格36の部分から立体的に飛び出したような形態となって、値下げ用ラベル34による表示を際立たせて、顧客に対するアピール度を向上させることできる。
しかも、熱活性ラベル31(値下げ用ラベル34)のみにより、すなわち、他の貼付け用テープなどを用いずに、このような立体的な貼付け態様を採ることができる。
なお、値下げ用ラベル34を貼り付ける対象が価格表示ラベルであっても、上述と同様にその表面に値下げ用ラベル34を貼り付けて、必要な値下げ情報を表示可能である。
【0038】
図7は、本発明の第2の実施例による熱活性ラベル40の平面図、図8は、同、縦断面図であって、熱活性ラベル40自体を細長い帯状に形成し、ラベル基材9の一方の端部に粘着剤領域33を形成し、その他の領域にプリント領域32を形成し、それぞれ熱活性化および印字を行ったのち、その熱活性粘着剤の熱活性後に粘着剤領域33を他方の端部の裏面に貼り付け可能としている。
こうした構成の熱活性ラベル40は、たとえば病院や遊園地などで個人を特定するためのリストバンド41としての使用が可能で、手首Wに掛け回すことができる。
【0039】
図9は、熱活性ラベル40を植木用ラベル42として使用する場合の平面図、図10は、同、縦断面図であって、プリント領域32の端部をラベル基材9の他の端部(やや中央より)に貼り付けることにより、植木の枝Bに掛け回し、必要な情報を表示することができる。
【0040】
図11は、本発明の第3の実施例による熱活性ラベル45の平面図であって、熱活性ラベル45においては、プリント領域32および粘着剤領域33が、その移送方向に並んでこれを形成するようにしている。
こうした構成の熱活性ラベル45においては、熱活性ラベル31(図2)と同様に、熱活性ラベル45のみで、プリント領域32を平面から立ち上げて立体的な価格表示や広告表示が可能である。
すなわち図12は、熱活性ラベル45を商品Mに貼り付けた状態の側面図であり、粘着剤領域33を商品Mの表面に平面的に貼り付け、境界線37の部分でプリント領域32を折り曲げて粘着剤領域33から所定の傾斜角度に立ち上げ、これを立体的に表示することにより販売促進効果を期待することができる。
【0041】
図13は、本発明の第4の実施例による熱活性ラベル46の平面図であって、熱活性ラベル46においては、プリント領域32を挟んで一対の粘着剤領域33をその移送方向上流側および下流側に位置させて形成するようにしている。
こうした構成の熱活性ラベル46においては、一対の粘着剤領域33を互いに近接して貼り付け、プリント領域32部分を断面円形状ないし楕円状に折り曲げるような立体的な価格表示あるいは広告表示が可能である。
すなわち、図14は、熱活性ラベル46を商品Mに貼り付けた状態の側面図であって、一対の粘着剤領域33を貼り付け、プリント領域32を断面円形状ないし楕円状に折り曲げるように立体的に表示し、顧客に対するアピール度を増して、販売促進効果を期待することができる。
【0042】
図15は、本発明の第5の実施例による熱活性ラベル50の平面図であって、熱活性ラベル50においては、プリント領域32を挟んで一対の粘着剤領域33をその移送方向の両側部に位置させて形成するようにしている。すなわち、粘着剤領域33は、プリント領域32をその両側から挟むように二ヶ所に分かれている。
こうした構成の熱活性ラベル50は、第4の実施例による熱活性ラベル46(図13、図14)と同様に、プリント領域32を断面円形状などとして立体的に所定の情報を表示可能であるとともに、他の販売促進シート51、52の連結ないし結合用シートとしても活用することができる。
すなわち、図16は、熱活性ラベル50を販売促進シート51、52に貼り付けた状態の平面図であって、一対の粘着剤領域33を販売促進シート51、52の下端部および上端部にそれぞれ貼り付け、この販売促進シート51、52を連結して、より大きなシートとするとともに、熱活性ラベル50のプリント領域32への印字表示に加えて、各種のパターンによる広告表示が可能である。
【0043】
図17は、本発明(第二の発明)による熱活性ラベル用プリンター60の概略側面図であって、熱活性ラベル用プリンター60は、粘着剤領域33がプリント領域32をその移送方向両側から挟むように二ヶ所に分かれている熱活性ラベル50(図15)などの場合に好適なサーマルプリンターである。
具体的に、熱活性ラベル用プリンター60は、印字部4の下流側に従来の前記熱活性部5(図23)に相当する熱活性部61を有するもので、たとえば熱活性ラベル50のプリント領域32においてサーマルプリントを行うためのサーマルヘッド14(プリント用ヘッド)と、粘着剤領域33(熱活性粘着剤)を熱活性化させるための熱活性部61における粘着剤熱活性用ヘッド19と、をともに、ラベル基材9の表面側に設けている。粘着剤熱活性用ヘッド19の対向部材である挟時ローラー20は、プラテンローラー15とともに熱活性ラベル50の裏面側に位置している。
【0044】
図18は、熱活性ラベル用プリンター60の概略平面図であって、粘着剤熱活性用ヘッド19は、熱活性ラベル50の粘着剤領域33に対応して幅方向左右一対のヘッドとして一対の発熱プレート21を配置してある。
【0045】
こうした構成の熱活性ラベル用プリンター60においては、サーマルヘッド14の対向部材であるプラテンローラー15がラベル基材9の裏面側に位置し、粘着剤熱活性用ヘッド19の対向部材である挟時ローラー20が同じくラベル基材9の裏面側に位置することになって、ともに発熱部材であるサーマルヘッド14および粘着剤熱活性用ヘッド19をラベル基材9の一面(表面)側に配置することができ、制御部7からのサーマルヘッド14および粘着剤熱活性用ヘッド19への配線を簡略化可能であるとともに、設計の自由度を増すことができる。
さらに、粘着剤領域33部分を移送方向所定長さにわたって加熱しつづける必要がある粘着剤熱活性用ヘッド19をプリント用のサーマルヘッド14から分離したので、それぞれの制御および保守点検を分離することができるとともに、制御部7における制御をより単純化可能である。
【0046】
本発明による熱活性ラベルにおいては、プリント領域32および粘着剤領域33は、それぞれ任意の配置ないしデザインにより所定パターンをもって、ラベル基材9の表面にそれぞれ所定割合で分離ないし分散していることができる。
【0047】
たとえば、図19は、本発明の第6の実施例による熱活性ラベル70の平面図であって、熱活性ラベル70においては、一対の粘着剤領域33を小円状にラベル基材9の表面側に設けるとともに、その他のプリント領域32を粘着剤領域33からは分離して設けている。また、プリント領域32の粘着剤領域33側の縁部を前記境界線37(図2、図6)として、この境界線37部分から折り曲げ可能とすることもできる。
【0048】
こうした構成の熱活性ラベル70においても、熱活性ラベル31(図2)などと同様に、活性化した粘着剤領域33を価格表示タグ35(図4)などに貼り付け、図5や図6に示したと同様の態様で値下げ用ラベル34などとして使用することができる。
【0049】
図20は、本発明の第7の実施例による熱活性ラベル75の平面図であって、熱活性ラベル75においては、ラベル基材9の表面のほとんどを占めるプリント領域32の中に二対の粘着剤領域33を細い棒状にラベル基材9の表面側に相対向するように分散して設けている。
【0050】
図21は、本発明の第8の実施例による熱活性ラベル80の平面図であって、熱活性ラベル80においては、プリント領域32および粘着剤領域は、ともに微小な点状にこれを形成するとともに、ラベル基材9の表面側にそれぞれ所定の割合で、好ましくはプリント領域32の割合の方を多くして互いに分散してこれを設けている。
【0051】
図22は、熱活性ラベル75(図20)や熱活性ラベル80(図21)などの使用態様を示す側面図であって、透明なガラス81(ないし容器)の裏面側から粘着剤領域33により熱活性ラベル75あるいは熱活性ラベル80を貼り付け、透明なガラス81を通してプリント領域32の印字表示部分を表示することができる。したがって、従来とは異なった形態での広告表示を透明なガラス81の裏面に行うことができる。
もちろん、既述したどの実施例における熱活性ラベル31(図2)、40(図7)、45(図11)、46(図13)、50(図15)、70(図19)、75(図20)、80(図21)も、プリント領域32および粘着剤領域33を同一表面上に有するものであるので、同様な表示および貼付け機能を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明(第一の発明)の第1の実施例による熱活性ラベル31を装填する熱活性ラベル用プリンター30の概略側面図である。
【図2】同、熱活性ラベル31の平面図である。
【図3】同、熱活性ラベル31の縦断面図である。
【図4】同、値下げ用ラベル34の使用状態を示す平面図である。
【図5】同、値下げ用ラベル34の使用状態を示す側面図である。
【図6】同、値下げ用ラベル34の価格表示タグ35への別の貼付け方法を示す側面図である。
【図7】本発明の第2の実施例による熱活性ラベル40の平面図である。
【図8】同、熱活性ラベル40をリストバンド41として使用する場合の縦断面図である。
【図9】同、熱活性ラベル40を植木用ラベル42として使用する場合の平面図である。
【図10】同、縦断面図である。
【図11】本発明の第3の実施例による熱活性ラベル45の平面図である。
【図12】同、熱活性ラベル45を商品Mに貼り付けた状態の側面図である。
【図13】本発明の第4の実施例による熱活性ラベル46の平面図である。
【図14】同、熱活性ラベル46を商品Mに貼り付けた状態の側面図である。
【図15】本発明の第5の実施例による熱活性ラベル50の平面図である。
【図16】同、熱活性ラベル50を販売促進シート51、52に貼り付けた状態の平面図である。
【図17】本発明(第二の発明)による熱活性ラベル用プリンター60の概略側面図である。
【図18】同、概略平面図である。
【図19】本発明の第6の実施例による熱活性ラベル70の平面図である。
【図20】本発明の第7の実施例による熱活性ラベル75の平面図である。
【図21】本発明の第8の実施例による熱活性ラベル80の平面図である。
【図22】同、熱活性ラベル75(図20)や熱活性ラベル80(図21)などの使用態様を示す側面図である。
【図23】従来の熱活性ラベル用プリンター1の概略側面図である。
【図24】同、熱活性ラベル8の平面図である。
【図25】同、熱活性ラベル8の縦断面図である。
【図26】同、他のタイプの熱活性ラベル17の縦断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 熱活性ラベル用プリンター(従来、図23)
2 用紙供給部
3 検出部
4 印字部
5 熱活性部
6 切断部
7 制御部
8 熱活性ラベル
9 ラベル基材
10 熱発色剤層
11 熱活性粘着剤層
12 位置センサー
13 位置検出用マーク
14 サーマルヘッド
15 プラテンローラー
16 サーマルヘッド14の発熱素子
17 熱活性ラベル(図26)
18 熱転写リボン
19 粘着剤熱活性用ヘッド(サーマルヘッド)
20 挟時ローラー
21 発熱プレート
22 切断刃
30 熱活性ラベル用プリンター(図1)
31 熱活性ラベル(第一の発明、第1の実施例、図2)
32 プリント領域
33 粘着剤領域
34 値下げ用ラベル(図4)
35 価格表示タグ(価格表示下げ札)
36 価格表示タグ35の表示価格
37 プリント領域32と粘着剤領域33との間の境界線
40 熱活性ラベル(第2の実施例、図7)
41 リストバンド(図8)
42 植木用ラベル(図9)
45 熱活性ラベル(第3の実施例、図11)
46 熱活性ラベル(第4の実施例、図13)
50 熱活性ラベル(第5の実施例、図15)
51 販売促進シート(図16)
52 販売促進シート
60 熱活性ラベル用プリンター(第二の発明、図17)
61 熱活性部
70 熱活性ラベル(第6の実施例、図19)
75 熱活性ラベル(第7の実施例、図20)
80 熱活性ラベル(第8の実施例、図21)
81 透明なガラス(ないし容器、図22)
W 手首(図8)
B 植木の枝(図10)
M 商品(図12、図13)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
そのラベル基材に熱活性粘着剤を塗布してあるとともに、サーマルプリントを行うことができる熱活性ラベルであって、
前記ラベル基材の表面に前記熱活性粘着剤を塗布して粘着剤領域とするとともに、
前記ラベル基材のこの表面におけるこの粘着剤領域以外の領域をプリント領域としてこのプリント領域に前記サーマルプリントを行うことを特徴とする熱活性ラベル。
【請求項2】
前記粘着剤領域および前記プリント領域は、前記ラベル基材の前記表面をそれぞれ所定面積にわたって分割していることを特徴とする請求項1記載の熱活性ラベル。
【請求項3】
前記粘着剤領域および前記プリント領域は、前記ラベル基材の前記表面にそれぞれ所定割合で分散していることを特徴とする請求項1記載の熱活性ラベル。
【請求項4】
前記粘着剤領域および前記プリント領域の間の境界線部分で前記ラベル基材を折り返し可能としていることを特徴とする請求項1記載の熱活性ラベル。
【請求項5】
前記粘着剤領域は、前記ラベル基材の一方の端部にこれを設け、前記熱活性粘着剤の熱活性後に他方の端部の裏面に貼り付け可能としていることを特徴とする請求項1記載の熱活性ラベル。
【請求項6】
前記粘着剤領域は、前記プリント領域をその両側から挟むように二ヶ所に分かれていることを特徴とする請求項1記載の熱活性ラベル。
【請求項7】
そのラベル基材に熱活性粘着剤を塗布してあるとともに、サーマルプリントを行うことができる熱活性ラベルを装填する熱活性ラベル用プリンターであって、
前記熱活性ラベルは、前記ラベル基材の表面に前記熱活性粘着剤を塗布して粘着剤領域とするとともに、前記ラベル基材のこの表面におけるこの粘着剤領域以外の領域をプリント領域として画成してあり、
このプリント領域において前記サーマルプリントを行うためのプリント用ヘッドと、
前記粘着剤領域において前記熱活性粘着剤を熱活性させるための粘着剤熱活性用ヘッドと、をともに、前記ラベル基材の前記表面側に設けたことを特徴とする熱活性ラベル用プリンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−152172(P2008−152172A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342373(P2006−342373)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】