熱源システム、その制御方法およびそのプログラム
【課題】冷熱源の運転効率を落とすことなくシステムCOPを向上させる熱源システム、その制御方法およびそのプログラムを提供する。
【解決手段】本発明の熱源システムは、熱媒体を該熱媒体が冷却される冷熱源Rおよび該冷却された熱媒体と負荷1との熱交換が行われる熱交換器のうちの少なくとも何れかに送るポンプP、P3と、前記冷熱源Rと、前記負荷1の熱交換器とが、前記熱媒体が流される配管r1、r2で接続される熱源システムN1であって、熱媒体が負荷1と熱交換される熱量を計測する負荷熱量計測手段3、4と、負荷1と熱交換が行われ冷熱源に還る熱媒体Rの温度を計測する冷水還温度計測手段4と、熱媒体の温度がその温度設定値より下り冷熱源Rの出口の熱媒体の温度設定値との差が所定の設定量より小さくなった場合に冷熱源Rの出口の熱媒体の温度設定値を下げる第1制御手段2とを有する。
【解決手段】本発明の熱源システムは、熱媒体を該熱媒体が冷却される冷熱源Rおよび該冷却された熱媒体と負荷1との熱交換が行われる熱交換器のうちの少なくとも何れかに送るポンプP、P3と、前記冷熱源Rと、前記負荷1の熱交換器とが、前記熱媒体が流される配管r1、r2で接続される熱源システムN1であって、熱媒体が負荷1と熱交換される熱量を計測する負荷熱量計測手段3、4と、負荷1と熱交換が行われ冷熱源に還る熱媒体Rの温度を計測する冷水還温度計測手段4と、熱媒体の温度がその温度設定値より下り冷熱源Rの出口の熱媒体の温度設定値との差が所定の設定量より小さくなった場合に冷熱源Rの出口の熱媒体の温度設定値を下げる第1制御手段2とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル,工場,データセンタ,地域冷暖房等の冷却が必要な施設の熱源システムに係り、より詳細には省エネ化を行う熱源システム、その制御方法およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱源システムは、冷水を冷凍機により製造して、冷水を負荷側の部屋や装置に循環させて負荷側の空気との熱交換により負荷側の部屋や装置を冷却する設備である。
冷凍機は、負荷の増減にしたがって、負荷の大きさに対応した容量で制御する。更に、台数を増減して負荷に対応した容量を供給する場合もある。冷水はポンプにより、負荷側と冷凍機の間を循環する。
【0003】
本願に係る先行技術文献として次の特許文献1、2がある。
特許文献1には、運用時の熱媒の往還温度差である運用往還温度差が、設計時の熱媒の往還温度差である設定往還温度差よりも小さい場合に、熱媒流量を過流量にシフトすることが記載されている。
特許文献2には、冷水ポンプや冷却水ポンプ、冷却塔等の補機を考慮して、システムCOP(Coefficient Of Performance)を高めることができる冷熱源機の運転制御方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開3854586号公報(段落0067、0068、図3、図6等)
【特許文献2】特開2008−134013号公報(段落0079〜0085、図9〜図14等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、熱源システムは、設計に際して想定される最大負荷に対応する冷水の温度や流量条件で設計されているが、実際の運転では,冷水の負荷に対する設計に使用した往還温度差に対し、負荷からの冷水の還温度が低くなる場合が多い。
図18は、ターボ冷凍機における冷却量(%)とCOPとの関係を示す図である。
このような冷水の負荷に対する往還温度差が小さい運転状態では、図18に示すように、冷凍機のCOPが低下して負荷での冷却に必要な流量が大きくなり,ポンプ動力が大きくなる場合がある。
【0006】
また、設計流量における負荷の冷却量が小さくなり、設計の最大熱量処理をできなくなる問題がある。
例えば、冷凍機1台に定流量のポンプが1台設けられているとすると、温度差が小さいときに冷凍機の冷却能力が100%となる前にポンプ流量を増やす場合に、冷凍機1台、ポンプ1台の運転から冷凍機2台、ポンプ2台の運転になる。そのため、熱源システムのシステムCOPが低下することとなる。
【0007】
本発明は上記実状に鑑み、冷熱源の運転効率を落とすことなくシステムCOPを向上させる熱源システム、その制御方法およびそのプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明に関わる熱源システムは、熱媒体を該熱媒体が冷却される冷熱源および該冷却された熱媒体と負荷との熱交換が行われる熱交換器のうちの少なくとも何れかに送るポンプと、前記冷熱源と、前記負荷の熱交換器とが、前記熱媒体が流される配管で接続される熱源システムであって、以下の特徴を有している。
【0009】
第1の本発明に関わる熱源システムは、前記熱媒体が前記負荷と熱交換される熱量を計測する負荷熱量計測手段と、前記負荷と熱交換が行われ前記冷熱源に還る前記熱媒体の温度を計測する冷水還温度計測手段と、前記熱媒体の温度がその温度設定値より下り前記冷熱源の出口の熱媒体の温度設定値との差が所定の設定量より小さくなった場合に前記冷熱源の出口の前記熱媒体の温度設定値を下げる第1制御手段とを有している。
【0010】
第2の本発明に関わる熱源システムは、前記熱媒体が前記負荷と熱交換される熱量を計測する負荷熱量計測手段と、前記負荷と熱交換が行われ前記冷熱源に還る前記熱媒体の温度を計測する冷水還温度計測手段と、前記冷熱源の出口の熱媒体の温度設定値を予め設定した最大負荷時の設定温度より低温に変更する第2制御手段とを有している。
【0011】
第3の本発明に関わる熱源システムは、前記熱媒体が前記負荷と熱交換される熱量を計測する負荷熱量計測手段と、前記負荷と熱交換が行われ前記冷熱源に還る熱媒体の温度を計測する冷水還温度計測手段と、前記負荷と熱交換される前記熱媒体の流量を計測する熱媒体流量計測手段と,前記熱媒体の流量が、設定した高温化判定流量範囲にある場合には前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を上げる一方、設定した低温化判定流量範囲にあり、かつ、前記熱媒体の温度が所定の低温化判定温度未満の場合には前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を下げる第3制御手段とを有している。
【0012】
第4〜第6の本発明に関わる熱源システムの制御方法は、第1〜第3の本発明に関わる熱源システムを行う制御方法である。
【0013】
第7の本発明に関わる熱源システムのプログラムは、第4〜第6の本発明に関わる熱源システムの制御方法を、コンピュータで実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明によれば、冷熱源の運転効率を落とすことなくシステムCOPの低下を防止する熱源システム、その制御方法およびそのプログラムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る実施形態1の熱源システムの構成図である。
【図2】(a)は冷水出口温度が7℃の時の2台の冷熱源の冷凍機の運転例を示す図であり、(b)は冷水出口温度が5.5℃の時の1台の冷熱源の冷凍機の運転例を示す図である。
【図3】冷熱源の冷凍機の冷水出口温度5.5℃、7℃の場合の冷凍機が1台当りの冷却負荷率(%)と成績係数(COP)比率(%)のグラフを示す図である。
【図4】実施形態1の熱源システムの制御方法の制御フローを示す図である。
【図5】実施形態2の熱源システムの構成図である。
【図6】実施形態2の熱源システムの制御方法の制御フローを示す図である。
【図7】冷水送水温度(冷熱源の出口温度)に対する(冷水)ポンプの電力、冷熱源の冷凍機の電力、総合消費電力を示す図である。
【図8】実施形態3の熱源システムの構成図である。
【図9】実施形態3の熱源システムの制御方法の制御フローを示す図である。
【図10】実施形態4の熱源システムの構成図である。
【図11】実施形態4の熱源システムの制御方法の制御フローを示す図である。
【図12】冷熱源の冷凍機の出口温度(冷水送水温度)の冷却量(%)に対するCOPを表した図である。
【図13】冷熱源を一定流量の台数制御を行った場合の冷水送水温度(冷熱源を出る冷水の温度)に対する冷水ポンプの電力、冷熱源の冷凍機の電力、全電力の関係を示す図である。
【図14】台数制御の各ポンプを、一定流量制御または変流量(インバータ制御)を行った場合の流量と電力の関係を表した図である。
【図15】実施形態5の熱源システムの構成図である。
【図16】(a)はポンプの機器特性の流量に対する全楊程を示す図であり、(b)は流量に対するポンプ電力を示す図であり、(c)は流量と配管抵抗との関係を示す図である。
【図17】実施形態6の熱源システムの構成図である。
【図18】ターボ冷凍機における冷却量(%)とCOPとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
本発明の実施形態の熱源システムN(N1〜N5)は、ビル、工場、データセンタ、地域冷暖房などの施設の冷房を行う熱源システムである。
【0017】
<<実施形態1>>
図1は本発明に係る実施形態1の熱源システムN1の構成図である。
実施形態1の熱源システムN1は,熱媒体の水を冷却して所望の温度の冷水を提供する1つまたは2つ以上の冷熱源R(R1、R2)と、冷熱源Rから送られる冷水と熱交換器(図示せず)で熱交換される負荷1(1a、…)(冷房対象施設の空気)とがある。
【0018】
熱源システムN1は、冷熱源Rがある1次側に設けられ各冷熱源Rへ熱媒体の水をそれぞれ循環させる冷水ポンプP(P1、P2)と、負荷1がある2次側に設けられ負荷1(1a、…)にそれぞれ冷熱源Rで作った冷水を送るポンプP3(P3a、P3b、…)と、冷熱源Rで作られた冷水が貯留される低温側槽5Aおよび負荷1と熱交換して加熱された水が貯留される高温側槽5Bを有する水槽5と、熱源システムN1の制御を担う演算器2とを備えている。
【0019】
冷水ポンプP、ポンプP3は、それぞれ定格運転される。
演算器2は、PLC(programmable logic controller)などのコントローラである。熱源システムN1の制御は、コントローラのメモリに格納されるプログラムを実行することにより行われる。
【0020】
冷熱源R(R1、R2)で冷却された各冷水は、それぞれ冷水ポンプP(P1、P2)により、冷水系統r1、r2を介して水槽5の低温側槽5Aに送られ貯留される。
水槽5の低温側槽5Aに貯留される冷水は、2次側のポンプP3(P3a、P3b、…)により各負荷1(1a、…)に送られる。
負荷1(1a、…)と熱交換が行われ加熱された冷水は、2次側のポンプP3により水槽5の高温側槽5Bに送られ貯留される。
【0021】
水槽5の高温側槽5B内の冷水は、1次側の冷水ポンプP(P1、P2)により、冷熱源R(R1、R2)に送られ再び冷却され水槽5の低温側槽5Aに送られ貯留される。
熱源システムN1は、その物理量を計測するセンサとして、負荷1(1a、1b、…)と熱交換器(図示せず)で熱交換して冷熱源Rへ還流する冷水の流量(冷水流量)を計測(測定)する流量センサ3と、当該還流の冷水の温度(冷水還温度)を計測する温度センサ4とを備えている。流量センサ3、温度センサ4により,冷熱源R(R1、R2)から送られ負荷1と熱交換し加熱された冷水の流量(冷水流量)・温度(冷水還温度)をそれぞれ計測することとなる。
【0022】
冷熱源Rは、ターボ冷凍機、吸収冷凍機などの冷凍機、開放式冷却塔や、密閉式冷却塔による冷水製造熱源システムである。
冷熱源R(R1、R2)は、例えば、冷熱源Rで冷却された冷熱源Rの出口の冷水の温度(冷水出口温度)を一定にする制御が可能な冷凍機であり、また、冷熱源Rの冷水出口温度(往温度)の設定値の変更が可能である。
冷熱源Rの冷水出口温度は、負荷1に供給する設定温度に対して、さらに低温の温度を設定可能である。
【0023】
2次側のポンプP3(P3a、P3b、…)の制御は、冷水の圧力一定制御や最適化した流量制御等の流量制御でよい。
このように、熱源システムN1の機器構成としては、冷熱源Rの例えば冷凍機が複数あり、定格運転される1次側の冷水ポンプP、2次側のポンプP3により、冷水が一定流量で送水される。
【0024】
図2は、冷熱源Rの冷凍機Rtの冷水温度を下げた場合の運転状態例であり、(a)は冷水出口温度が7℃の時の2台の冷熱源Rの冷凍機Rtの運転例を示し、(b)は冷水出口温度が5.5℃の時の1台の冷熱源Rの冷凍機Rtの運転例を示す。
図3は、冷熱源Rの冷凍機Rtの冷水出口温度5.5℃、7℃の場合の冷凍機Rtが1台当りの冷却負荷率(%)と成績係数(COP)比率(%)のグラフを示す。
【0025】
図2(a)においては、冷熱源R1、R2である各冷凍機Rt1、Rt2に入る温度の冷水入口温度8.5℃,冷水出口温度7℃(図3参照)で,これらの温度差が1.5℃で設計流量の冷水を流した場合,冷熱源R1の各冷凍機Rt1、Rt2の負荷率30%、冷熱源R1の合計の負荷率60%で2台の運転を行う。
図2(b)は、冷凍機Rt2は運転を停止し、冷熱源R1の冷凍機Rt1の冷水出口温度を5.5℃、冷水入口温度が8.5℃である。すなわち、冷凍機Rt1の冷水入口温度と冷水出口温度との温度差が3℃となり、1台の冷熱源R1の冷凍機Rt1の負荷率60%(図3参照)の運転で負荷を処理可能となる。冷熱源R1を冷凍機Rt1,冷熱源R2を冷凍機Rt2としてもよい。
【0026】
図3の負荷率100%は、2台の定格流量の各冷凍機Rt1、Rt2の運転で冷熱源Rの冷水入口と冷水出口の温度差が5℃差の例である。
図1、図2では、冷却塔と冷却塔からの冷水を送る冷却水ポンプは、省略しているが冷熱源Rの各冷凍機Rt1、Rt2と連動して運転される。
このように、図3から、冷熱源Rの冷水出口温度を下げることにより、冷熱源Rの運転台数が減少する。つまり、冷凍機Rt1、Rt2の運転が冷凍機Rt1だけの運転になり、COP(成績係数)比率が向上する。
また、運転されるポンプ台数も減り、単位負荷当りの冷熱源Rの冷凍機Rt1、Rt2、冷却塔からの冷却水を送る冷却水ポンプ、冷水ポンプPの電力が2台に比べて小さくなる。ターボ冷凍機は,インバータターボ冷凍機でもよく,冷凍機のCOPは定速のターボ冷凍機に比べてたかくなる。
暖房負荷を対象とした,ヒートポンプ式の熱源では,温水の還り温度が設計値より高いときに,温水出口温度を高くすることで,ヒートポンプ式の熱源の負荷率を上げることで,COPが高い運転となり,熱源システムのシステムCOPが高い運転となり,消費電力が小さくなる。
【0027】
<熱源システムN1の制御方法>
次に、熱源システムN1の制御方法について、制御フローを示す図4に従って説明する。
図4に示す熱源システムN1の制御は、タイマを用いて時間を計測して所定時間間隔、例えば、5分間隔、1時間間隔など任意の時間間隔で演算器2によって行われる。
まず、図4のS(ステップ)100において、図1の流量センサ3、温度センサ4で負荷1(1a、…)と熱交換して還流する冷水の流量(冷水流量)、温度(冷水還温度)をそれぞれ計測する。また、冷熱源Rから負荷1への往路の冷水の温度情報(冷水往温度)を、冷熱源Rの冷水の温度制御から取得する。
【0028】
そして、温度センサ4で計測した負荷1と熱交換した還路の冷水の温度と冷熱源Rから出る往路の冷水温度との差と流量センサ3で計測した冷水の流量とにより、負荷1と熱交換された熱量を演算する。なお、冷熱源Rから出る往路の冷水温度は、水槽5の低温側槽5Aまたは負荷1へ入る2次側の管路に温度センサを設けて計測したり、冷熱源Rでの冷却制御から取得してもよい。
【0029】
続いて、S101において、流量センサ3で計測される冷水の流量(冷水流量)が冷水ポンプPの最低水量+B(余裕量)より小さいか否か判定される。
冷水流量が冷水ポンプPの最低水量+B(余裕量)より小さい場合(S101でYes)、S102に移行し、流量センサ3で計測される冷水流量が冷水ポンプPの最低水量以上か否か判定される。
【0030】
流量センサ3で計測される冷水流量が冷水ポンプPの最低水量以上の場合(S102でYes)、S105に移行し、冷熱源Rから出る往路の冷水温度の現在の設定値を維持する(S105)。一方、流量センサ3で計測される冷水流量が冷水ポンプPの最低水量以上でない、すなわち冷水流量が冷水ポンプPの最低水量未満の場合(S102でNo)、S106に移行し、冷熱源Rから出る往路の冷水の温度の設定値を所定量、高温化する。例えば、0.5℃、1℃などの幅で高温化する。高温化する温度幅は、各熱源システムにおいて適宜任意に設定可能である。高温化する温度は、例えば0.5℃として、周期的に変更する。
【0031】
S101において、冷水流量が冷水ポンプPの最低水量+B(余裕量)より小さくない、すなわち冷水流量が冷水ポンプPの最低水量+B(余裕量)より以上の場合(S101でNo)、S103に移行し、負荷1(1a、…)と熱交換して還流する冷水の温度(冷水還温度)が低温化判定用温度未満であるか否か判定される。
【0032】
低温化判定用温度は、例えば、最大負荷時の設計値よりも小さく例えば冷水往温度6℃、冷水還温度11℃のときに、8℃とする。ここで、低温化判定用温度は、冷水の温度であるので、8℃±α℃のような幅をもたせる。なお、低温化判定用温度は、8℃のように幅をもたせず定めてもよいが、8℃±α℃のように幅をもたせた方が、制御が安定し実際的であるのでより望ましい。
なお、低温化判定用温度は、適用する熱源システムに応じてそれぞれ任意に設定可能である。
【0033】
冷水還温度が低温化判定用温度未満でないと判定された場合(S103でNo)には、負荷1(1a、…)と熱交換して還流する冷水の温度(冷水還温度)が低温化判定用温度と等しいか否か判定される(S104)。
負荷1(1a、…)と熱交換して還流する冷水の温度(冷水還温度)が低温化判定用温度と等しいと判定された場合には(S104でYes)、S105に移行し、冷熱源Rから出る往路の冷水温度の現在の設定値を維持する。
【0034】
一方、S104において、負荷1(1a、…)と熱交換して還流する冷水の温度(冷水還温度)が、低温化判定用温度と異なる、すなわち低温化判定用温度より高いと判定された場合には(S104でNo)、S106に移行し、冷熱源Rから出る往路の冷水の温度の設定値を所定量、高温化する。
【0035】
S103において、負荷1(1a、…)と熱交換して還流する冷水の温度(冷水還温度)が低温化判定用温度未満であると判定された場合には(S103でYes)、冷熱源R(R1、R2)から出る往路の冷水温度の設定値が冷熱源Rの機器で定まる固有の設定温度の最低値であるか否か判定される(S107)。
冷熱源R(R1、R2)から出る往路の冷水温度の設定値が冷熱源Rの機器で定まる固有の設定温度の最低値であると判定された場合には(S107でYes)、S105に移行し、冷熱源Rから出る往路の冷水温度の現在の設定値を維持する(S105)。
【0036】
一方、S107において、冷熱源R(R1、R2)から出る往路の冷水温度の設定値が冷熱源Rの機器で定まる固有の設定温度の最低値でないと判定された場合には(S107でNo)、冷熱源Rから出る往路の冷水温度の設定値を所定値、例えば0.5℃、1℃などの幅で低温化する。低温化する温度は例えば0.5℃として、周期的に変更する(S108)。この際、冷熱源Rの出口(往路)の冷水の温度設定値が予め設定した最大負荷時の設定温度より低温に変更される場合がある。
以上が、図4に示す熱源システムN1の制御方法のフローである。
【0037】
熱源システムN1の制御によれば、低負荷時には、2次側の冷水が最低流量となり冷却負荷が冷熱源Rの最小運転台数(例えば1台)となったとき、冷水温度を低下しても,冷水流量は小さくならず冷水ポンプP、ポンプP3の動力は削減できない。
そこで,低負荷時には,冷熱源Rの冷水温度を低温化せずに、最低流量となる温度を維持する。これにより、冷熱源Rである冷凍機Rtの冷水出口温度の低温化で成績係数(COP)が下がるのを防ぐことができる。
【0038】
実施形態1の熱源システムN1の特徴は以下である。
2次側の冷水還温度(負荷1と熱交換して冷熱源Rへ還流する冷水の温度センサ4で計測する温度)が低い場合、冷水送水温度(冷熱源Rで冷却された冷水の冷熱源Rの出口温度)を下げて、冷水還温度と冷水送水温度との温度差を大きくする。温度差大となることにより単位流量あたりの熱量が大きくなり、システムの効率が大きくなり、1次側の冷水ポンプPの動力および2次側のポンプP3の動力の無駄を削減できる。なお、冷水送水温度と前記の冷水往温度とは同じまたはほぼ同じ温度である。
【0039】
一般的に冷水温度が低温となると効率が下がる冷熱源Rの冷凍機Rt1、Rt2に対し、冷水を低温化して温度差が小さくなることを防止して、運転台数の増加による冷熱源Rである冷凍機Rt1、Rt2のCOPの低下を防ぎ、システム全体の効率を上げることが可能になる。
【0040】
<<実施形態2>>
図5は本発明に係る実施形態2の熱源システムN2の構成図である。
実施形態2の熱源システムN2は、熱媒体の水を冷却して所望の温度の冷水を作る1つまたは2つ以上の冷熱源R(R1、R2)と、冷熱源Rから送られる冷水と熱交換器(図示せず)で熱交換される負荷1(1a、1b、…)とがある。図5で往還ヘッダ間のバイパス経路は省略している。
そして、熱源システムN2は、各冷熱源Rへ冷水をそれぞれ循環させるインバータ制御の冷水ポンプP(P1、P2)と、熱源システムN2(冷熱源R、冷水ポンプPなど)の制御を担う演算器2とを備えている。
【0041】
演算器2は、PLC(programmable logic controller)などのコントローラである。熱源システムN2の制御は、コントローラのメモリに格納されるプログラムを実行することにより行われる。
冷熱源R(R1、R2)で作られたそれぞれの冷水は、冷水ポンプP(P1、P2)により、各冷熱源R(R1、R2)から冷水系統r1、r2を通って負荷1(1a、1b、…)側に流れる。
【0042】
熱源システムN2は、その物理量を計測するセンサとして、負荷1(1a、1b、…)と熱交換器(図示せず)で熱交換して冷熱源Rへ還流する冷却水の流量(冷水流量)を計測する流量センサ3と、該還流の冷却水の温度(冷水還温度)を計測する温度センサ4とを備えている。これにより、熱源システムN2は,冷熱源R(R1、R2)から送られ負荷1と熱交換器(図示せず)で熱交換し加熱された冷水の温度(冷水還温度)・流量(冷水流量)をそれぞれ温度センサ4、流量センサ3で計測が可能である。
【0043】
冷熱源Rは、ターボ冷凍機、吸収冷凍機等の冷凍機、開放式冷却塔や、密閉式冷却塔による冷水製造設備である。
冷熱源R(R1、R2)は、例えば冷水送水温度(冷熱源Rで冷却された冷水の冷熱源Rの出口での温度)を一定にする制御が可能な冷凍機であり、また、冷熱源Rの冷水送水温度の設定値の変更が可能である。
冷熱源Rである冷凍機の出口温度(冷熱源Rの出口の冷水の温度)は、負荷に供給する設計した設定温度に対して、低温の温度を設定可能である。
冷水ポンプPの制御は、冷水の圧力一定制御や最適化した流量制御等の流量制御でよい。
【0044】
<熱源システムN2の制御方法>
次に、熱源システムN2の制御方法について、制御フローを示す図6に従って説明する。
図6に示す熱源システムN2の制御は、タイマを用いて時間を計測して所定時間間隔、例えば、5分間隔など任意の時間間隔で演算器2によって行われる。
【0045】
まず、図6のS(ステップ)201において、流量センサ3、温度センサ4で負荷1(1a、…)と熱交換して還流する冷水の流量(冷水流量)、温度(冷水還温度)をそれぞれ計測する。また、冷熱源Rから負荷1への往路の冷水の温度情報(冷水往温度)を、冷熱源Rの冷水の温度制御から取得したり、負荷1への往路の管路に温度センサを設けて計測する。
そして、負荷1と熱交換した還路の温度センサ4で計測した冷水の温度(冷水還温度)と冷熱源Rから出る往路の冷水温度(冷水往温度)との差と冷水の流量(冷水流量)とにより、負荷1と熱交換された熱量を演算する。
【0046】
図7は、冷水送水温度(冷熱源Rの出口の冷水の温度)に対する(冷水)ポンプPの電力、冷熱源Rの冷凍機の電力、総合消費電力を示す図である。
図7に示すように、冷熱源Rの出口温度が高い(熱交換量が少ないので冷水ポンプPの流量が大きい)場合および冷熱源Rの出口温度が低い(熱交換量が多いので冷水ポンプPの流量が少ない)場合、(消費)電力が上がる関係にある。
【0047】
そこで、S202において、高温化判定流量範囲を用いて負荷1と熱交換するために流れる流量が少な過ぎないかチェックする一方、S203において、低温化判定流量範囲を用いて負荷1と熱交換するために流れる流量が大き過ぎないかチェックする。流量が少な過ぎる場合には冷熱源Rの効率が落ちてシステムCOPが低下する一方、流量が大き過ぎる場合にはポンプPの効率が落ちてシステムCOPが低下する。そのため、それぞれの場合、冷熱源Rから出る往路の冷水の温度の設定値を再設定し、ポンプPの流量を適正なものとする。
【0048】
まず、S202において、流量センサ3で検知される負荷1(1a、1b、…)と熱交換した冷水の流量(冷水流量)が、予め定めた冷水温度の高温化判定流量範囲(小さ過ぎる流量の範囲)内にあるか否か判定される。
S202において、負荷1と熱交換する冷水の流量(冷水流量)が予め定めた冷水温度の高温化判定流量範囲(小さ過ぎる流量の範囲)内にあると判定された場合(S202でYes)、冷熱源Rから出る往路の現在の冷水温度の設定値が、冷熱源Rの機器で定まる設定温度の最高値であるか否か判定される(S204)。
【0049】
冷熱源Rから出る往路の冷水温度の設定値が冷熱源Rの設定温度の最高値であると判定された場合(図6のS204でYes)、冷熱源Rから出る冷水の現在の温度の設定値を維持する(S205)。一方、冷熱源Rから出る冷水の温度の設定値が冷熱源Rの設定温度の最高値でないと判定された場合(図6のS204でNo)、冷熱源Rから出る往路の冷水の温度の設定値を所定量、高温化する。例えば、0.5℃、1℃などの幅で高温化する。高温化する温度幅は、各熱源システムにおいて適宜任意に設定可能である。高温化する温度は、例えば0.5℃として,周期的に変更する(S206)。
【0050】
一方、図6のS202において、負荷1と熱交換する冷水の流量(冷水流量)が予め定めた冷水温度の高温化判定流量範囲(小さ過ぎる流量の範囲)内にないと判定された場合(S202でNo)には、S203において、流量センサ3で検知される負荷1と熱交換する冷水の流量(冷水流量)が、予め定めた冷水温度の低温化判定流量範囲(大き過ぎる流量の範囲)内にあるか否か判定される。
S203において、負荷1と熱交換する冷水の流量(冷水流量)が、予め定めた冷水温度の低温化判定流量範囲(大き過ぎる流量の範囲)内にないと判定された場合(図6のS203でNo)には、S205に移行し、冷熱源Rから出る往路の冷水温度の現在の設定値を維持する。
【0051】
一方、S203において、負荷1と熱交換する冷水の流量(冷水流量)が、予め定めた冷水温度の低温化判定流量範囲(大き過ぎる流量の範囲)内にあると判定された場合(図6のS203でYes)には、S207に移行し、負荷1から還る流れの温度が、予め定めた所定の低温化判定用温度未満であるか否か判定される。低温化判定用温度は、例えば、最大負荷時の設計値よりも小さく例えば冷水往温度6℃,冷水還温度11℃のときに,8℃とする。ここで、冷水は管路を流れるので、低温化判定用温度は8℃±0.5℃のような幅をもたせる。なお、低温化判定用温度は、8℃のように幅をもたせず定めてもよいが、8℃±0.5℃のように幅をもたせた方が、制御が安定し実際的であるのでより望ましい。なお、低温化判定用温度は、熱源システムに応じてそれぞれ任意に設定可能である。
【0052】
S207において、負荷1から還る流れの温度(冷水還温度)が、予め定めた所定の温度(低温化判定用温度域)以上であると判定された場合(図6のS207でNo)には、S208に移行し、負荷1から還る流れの温度が、予め定めた所定の温度(低温化判定用温度)と等しいか否か判定される。
S208において、負荷1から還る流れの温度が、予め定めた所定の温度(低温化判定用温度)と等しいと判定された場合(S208でYes)には、S205に移行し、冷熱源Rから出る往路の現在の冷水温度の設定値を維持する。
【0053】
一方、S208において、負荷1から還る流れの温度が、予め定めた所定の温度(低温化判定用温度域)でない、すなわち所定の温度(低温化判定用温度)より高いと判定された場合(S208でNo)には、S206に移行し、冷熱源Rから出る往路の冷水温度の設定値を所定値、例えば0.5℃、1℃などの幅で高温化する。
S207において、負荷1と熱交換して還る流れの温度が、予め定めた所定の温度(低温化判定用温度)未満であると判定された場合(図6のS207でYes)には、冷熱源R(R1、R2)から出る往路の冷水温度の設定値が冷熱源Rの機器で定まる固有の設定温度の最低値であるか否か判定される(S209)。
【0054】
S209において、冷熱源R(R1、R2)から出る往路の冷水温度の設定値が冷熱源Rの設定温度の最低値であると判定された場合(S209でYes)、S205に移行し、現在の冷熱源Rから出る往路の冷水温度の設定値を維持する。
一方、S209において、冷熱源R(R1、R2)から出る往路の冷水温度の設定値が冷熱源Rの設定温度の最低値でないと判定された場合(S209でNo)、冷熱源Rから出る往路の冷水温度の設定値を所定値、例えば0.5℃、1℃などの幅で低温化する。低温化する温度は例えば0.5℃として,周期的に変更する(S210)。この際、冷熱源Rの出口(往路)の冷水の温度設定値が予め設定した最大負荷時の設定温度より低温に変更される場合がある。
以上が、図6の熱源システムN2の制御方法の制御フローである。
【0055】
実施形態2の熱源システムN2は,冷熱源Rである冷凍機の冷水温度を初期の設定温度よりも低温度とすることが可能な冷凍機を用いるので、冷水流量と冷水還温度の計測値を用いて冷熱源Rの冷凍機の冷水出口温度を低くすることが可能である。
例えば、冷水ポンプPを定格流量になるように、冷熱源Rの出口の温度を下げることができるため、冷水ポンプPの運転台数を減らすことができる。
そのため、冷熱源Rを効率高く運転できるとともに冷水の流量を減らし、熱源システムN2のCOPを向上することができる。
【0056】
<<実施形態3>>
図8は本発明に係る実施形態3の熱源システムN3の構成図である。
実施形態3の熱源システムN3は、実施形態2の熱源システムN2において、任意数の冷熱源R(Ra、Rb、…)を直列に接続したものである。
熱源システムN3では、冷熱源R(Ra、Rb、…)が直列に接続されることから、一つの冷水系統r1となり、一つのインバータ制御のポンプP1を用いる。
冷熱源Rが2つの場合、高温側冷熱源Raと低温側冷熱源Rbとなる。
【0057】
つまり、熱源システムN3は、冷熱源Rとして、高温側(例えば,最大負荷時16℃を11℃に冷却)の冷凍機(Ra)と低温側(例えば,最大負荷時11℃を6℃に冷却)の冷凍機(Rb)を直列に接続した熱源システムである。なお、図8では、冷熱源R(Ra、Rb)を2つ直列に接続した場合を例示しているが、任意数の冷熱源Rを直列に接続できる。
高温側冷熱源Raの冷凍機および低温側冷熱源Rbの冷凍機は,最大負荷時の温度設定値よりも低温に温度設定可能である。
なお、その他の構成は、実施形態2の熱源システムN2と同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0058】
<熱源システムN3の制御方法>
次に、熱源システムN3の制御方法について、その制御フローを示す図9に従って説明する。
図9に示す熱源システムN3の制御は、演算器2で、タイマを用いて時間を計測して任意の所定時間の間隔で行われる。例えば、5分間隔、1時間間隔など任意の時間間隔で行われる。
【0059】
高温側・低温側冷熱源Ra、Rbである冷凍機の冷水出口温度は、温度センサ4により計測される冷水還温度,流量センサ3により計測される冷水流量の計測値にしたがって、それぞれの温度設定値を各々低温化可能である。
まず、図9のS(ステップ)301において、図8に示す流量センサ3、温度センサ4で負荷1(1a、1b、…)と熱交換器(図示せず)で熱交換して還流する冷水の流量(冷水流量)、温度(冷水還温度)をそれぞれ計測する。負荷1(1a、1b、…)への往路の冷水温度を、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbで冷却した冷水の温度制御から取得したり、或いは負荷1(1a、1b、…)への往路側に設けた温度センサ(図示せず)によって計測する。
【0060】
そして、温度センサ4で計測した還路の冷水温度と低温側冷熱源Rbから出る往路の冷水温度との差より、負荷と熱交換される熱量を演算する。
次に、S302において、高温化判定流量範囲を用いて負荷1(1a、1b、…)と熱交換するために流れる冷水の流量が少な過ぎないかチェックする一方、S303において、低温化判定流量範囲を用いて負荷1と熱交換するために流れる冷水の流量が大き過ぎないかチェックする。
【0061】
負荷1と熱交換器(図示せず)で熱交換する流量が少な過ぎる場合には冷熱源R(Ra、Rb)の効率が落ちて熱源システムN3のシステムCOPが低下する一方、流量が大き過ぎる場合にはポンプP1の効率が落ちて熱源システムN3のシステムCOPが低下するので、それぞれの場合に冷熱源Ra、Rbから出る往路の冷水の温度の設定値を再設定し、ポンプP1の流量を適正なものとする。
【0062】
まず、S302において、流量センサ3で検知される負荷1と熱交換して流れる冷水の流量(冷水流量)が、予め定めた冷水温度の高温化判定流量範囲(小さ過ぎる流量の範囲)内にあるか否か判定される。
S302において、負荷1と熱交換器(図示せず)で熱交換して流れる冷水の流量(冷水流量)が予め定めた冷水温度の高温化判定流量範囲(小さ過ぎる流量の範囲)内にあると判定された場合(S302でYes)には、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出る往路の現在の冷水温度の設定値が、各冷熱源R(Ra、Rb)の機器で定まる設定温度の最高値であるか否か判定される(S304)。
【0063】
高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出る往路の冷水温度の設定値が各冷熱源R(Ra、Rb)の機器で定まる設定温度の最高値であると判定された場合(図6のS304でYes)には、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出るそれぞれの往路の冷水温度の現在の設定値を維持する(S305)。一方、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出る往路の冷水温度の設定値が各冷熱源R(Ra、Rb)の機器で定まる設定温度の最高値でないと判定された場合(図6のS304でNo)には、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出る往路の冷水温度の設定値を所定量、高温化する(S306)。例えば、0.5℃、1℃などの幅で高温化する。高温化する温度幅は、各熱源システムにおいて適宜任意に設定可能である。高温化する温度は、例えば0.5℃として、周期的に変更する。
【0064】
一方、図9のS302において、負荷1(1a、…)と熱交換して流れる冷水の流量(冷水流量)が予め定めた冷水温度の高温化判定流量範囲(小さ過ぎる流量の範囲)内にないと判定された場合(S302でNo)には、S303において、流量センサ3で検知される負荷1と熱交換して流れる冷水の流量(冷水流量)が、予め定めた冷水温度の低温化判定流量範囲(大き過ぎる流量の範囲)内にあるか否か判定される。
【0065】
S303において、流量センサ3で検知される負荷1と熱交換して流れる冷水の流量(冷水流量)が、予め定めた冷水温度の低温化判定流量範囲(大き過ぎる流量の範囲)内にないと判定された場合(図9のS303でNo)には、S305に移行し、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbからそれぞれ出る往路の冷水温度の現在の設定値を維持する。
【0066】
一方、S303において、流量センサ3で検知される負荷1と熱交換して流れる冷水の流量(冷水流量)が、予め定めた冷水温度の低温化判定流量範囲(大き過ぎる流量の範囲)内にあると判定された場合(図9のS303でYes)には、負荷1と熱交換して還る冷水の温度が、予め定めた所定の低温化判定用温度未満であるか否か判定される(S307)。
【0067】
低温化判定用温度は,最大負荷時の設計値よりも小さく例えば低温側の冷熱源Rbから出る冷水往温度5℃(6℃),高温側冷熱源Raに還る冷水還温度15℃のときに,低温化判定用の温度を例えば12℃(8℃)とする。ここで、冷水は管路を流れるので、低温化判定用温度は12℃±0.5℃のように幅をもたせる。なお、低温化判定用温度は、12℃(8℃)のように幅をもたせず定めてもよいが、12℃±0.5℃のように幅をもたせた方が、制御が安定し実際的であるのでより望ましい。なお、低温化判定用温度は、熱源システムに応じてそれぞれ任意に設定可能である。
【0068】
S307において、負荷1と熱交換して還る冷水の温度が、予め定めた所定の低温化判定用温度以上であると判定された場合(図9のS307でNo)、S308において、負荷1と熱交換して還る冷水の温度(冷水還温度)が、予め定めた所定の低温化判定用温度と等しいか否か判定される。
S308において、負荷1(1a、1b、…)から還る流れの温度が、予め定めた所定の温度(低温化判定用温度)と等しいと判定された場合(S308でYes)には、S305に移行し、高温側冷熱源Raと低温側冷熱源Rbから出る往路の冷水温度の現在の設定値を維持する。
【0069】
一方、S308において、負荷1と熱交換して還る流れの温度が、予め定めた所定の温度(低温化判定用温度)でないと判定された場合(S308でNo)には、S306に移行し、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbからそれぞれ出る往路の冷水温度の設定値を所定量、例えば0.5℃、1℃など高温化する。
S307において、負荷1(1a、1b、…)と熱交換して還る流れの温度が、予め定めた所定の温度(低温化判定用温度)未満であると判定された場合(図6のS307でYes)には、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出る往路の冷水温度の設定値が高温側・低温側冷熱源Ra、Rbの機器で定まる固有の設定温度の最低値であるか否か判定される(S309)。
【0070】
S309において、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出る往路の冷水温度の設定値が冷熱源Rの機器で定まる固有の設定温度の最低値であると判定された場合(S309でYes)、S305に移行し、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出る往路の冷水温度の現在の設定値を維持する。
【0071】
一方、S309において、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出る往路の冷水温度の設定値が高温側・低温側冷熱源Ra、Rbの機器で定まる固有の設定温度の最低値でないと判定された場合(S309でNo)、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbの冷水温度の設定値を所定値、例えば0.5℃、1℃など低温化する(S310)。低温化する温度は例えば0.5℃として,周期的に変更する。この際、冷熱源Ra、Rbの出口(往路)の冷水の温度設定値が予め設定した最大負荷時の設定温度より低温に変更される場合がある。
以上が、図9の熱源システムN3の制御方法である。
【0072】
熱源システムN3によれば、冷熱源R(Ra、Rb、…)が直列に接続される場合にも、冷熱源Rの冷水出口温度を低く制御することで、冷熱源Rを効率高く運転できるとともに冷水の流量を減らし、熱源システムN3のCOPを向上することができる。
【0073】
<<実施形態4>>
図10は本発明に係る実施形態4の熱源システムN4の構成図である。
実施形態4の熱源システムN4は、実施形態2の熱源システムN2において、演算器2による2つ以上の冷熱源R(R1、R2、…)の公知の台数制御(第13版空気調和・衛生工学便覧、社団法人空気調和・衛生工学会、632頁〜635頁参照)を追加したシステムである。
【0074】
2つ以上の冷熱源R(R1、R2、…)の増減段は,演算器2により、冷水流量と負荷量で行うように、冷熱源Rに還る冷水往還温度を計測する。すなわち、冷熱源Rから出る冷水の温度を冷熱源Rの制御または温度センサ14から取得するとともに温度センサ4により負荷1(1a、1b、…)と熱交換して還る冷水の温度を計測する。また、流量センサ3により負荷1と熱交換器(図示せず)で熱交換して流れる冷水の流量を計測する。そして,両温度差と負荷1と熱交換して流れる冷水の流量から、負荷1との熱交換で消費される熱量を演算器2で演算する。
【0075】
冷熱源R(R1、R2、…)である冷凍機の運転開始/停止は、演算器2による台数制御により、冷熱源Rの冷凍機と冷水ポンプP(P1、P2、…)の運転/停止を行う。冷水ポンプP(P1、P2、…)は、一定流量制御または圧力制御による変流量制御でもよい。
なお、その他の熱源システムN4の構成は、実施形態2の熱源システムN2と同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0076】
<熱源システムN4の制御方法>
次に、熱源システムN4の制御方法について、その制御フローを示す図11に従って説明する。
図11に示す熱源システムN4の制御は、演算器2で、タイマを用いて時間を計測して任意の所定時間の間隔で行われる。
熱源システムN4では、冷水還温度(冷熱源Rに還る冷水の温度)と冷水流量から,冷熱源R(R1、R2、…)の冷水出口温度を変更する。
【0077】
まず、図11のS(ステップ)400において、熱源機である冷熱源Rは各冷熱源Rの設定(設計)流量と設定(設計)温度(入口の冷水温度、出口の冷水温度)で最大能力を出力することとして、その値を基に冷熱源Rの台数を増減段する台数制御を行う。冷熱源Rの台数制御は、冷却量と冷水流量の上下限値を基に制御される。
熱源システムN4の制御方法の図11のS401からS410は、熱源システムN2の制御方法の図6のS201からS210と同様であるから詳細な説明は省略する。
【0078】
従来、冷熱源Rの入口の冷水温度と出口の冷水温度との温度差が小さい場合(冷水送水温度(冷熱源Rを出る冷水の温度)が低い場合)、図7に示すように、冷却量が低下して冷熱源Rの効率が落ちるので、冷水の流量が大きくなり台数が増段となる。冷熱源R(R1、R2、…)の台数が増えることで,冷水の流量が増加し熱量あたりの冷水ポンプPの動力が大きくなる。
【0079】
これに対して、本熱源システムN4によれば,図11に示すように、冷水往温度(冷水送水温度)を下げて温度差が大きくするように制御するので、冷却量が増加して流量分の冷却負荷が大きくなり,冷熱源Rを効率のよいところで運転できる(図12参照)。図12は、冷熱源Rの冷凍機の出口温度(冷水送水温度)の冷却量(%)に対するCOPを表した図である。
そのため、冷熱源R(R1、R2、…)の台数が増段することを防ぎ、図7、図13に示すように、熱源システムN4の全電力を削減することができる。
【0080】
なお、図13は、冷熱源R(R1、R2、…)を一定流量の台数制御を行った場合の冷水送水温度(冷熱源Rを出る冷水の温度)に対する(冷水)ポンプPの電力、冷熱源Rの冷凍機の電力、全電力の関係を示している。
また、冷熱源Rの台数制御を行うことにより、より細かく負荷1側に合った流量の台数で運転できる。
【0081】
図14は、台数制御の各(冷水)ポンプPを、一定流量制御または変流量(インバータ制御)を行った場合の流量と電力の関係を表した図である。
さらに、図14に示すように、台数制御で各冷水ポンプPを、一定流量制御を行った場合には、冷水ポンプの電力は1台、2台、3台、…と実線の階段状に増加するが、各ポンプPを、変流量(インバータ制御)を行うことにより斜線の部分のポンプ電力を減少させて省エネを行うことができる。
【0082】
<<実施形態5>>
図15は、実施形態5の熱源システムN5の構成図である。
実施形態5の熱源システムN5は、冷熱源R(R1、R2)による冷水製造を演算器52で切り替え可能とし,冷水槽をもつ設備である。
熱源システムN5は、負荷51(51a、…)を冷却する冷水を作る機器として、冷熱源R(R1、R2)と冷却塔Ryとを備え、冷熱源Rにより冷水製造が行われる。
【0083】
熱源システムN5は、1次側に、負荷51から還った水を冷熱源R1、R2にそれぞれ流す定格運転の冷水ポンプP51a、P51bと、冷却塔Rrで冷却された冷水を、冷却水系統t1を介して冷熱源R1、R2にそれぞれ流す定格運転の冷却水ポンプP52a、P52bとを備えている。
熱源システムN5は、冷熱源Rで冷却された冷水が貯留される低温側槽55Aと、当該冷水が負荷51と熱交換して加熱された冷水が貯留される高温側槽55Bとを有する水槽55が設けられている。
【0084】
冷熱源R(R1、R2)に送られた冷水はそれぞれ冷水系統t2、t3を通って、水槽55の低温側槽55Aに送られる。
2次側の負荷51側には、冷熱源Rで冷却され水槽55の低温側槽55Aに貯留された冷水を各負荷51(51a、…)に送るための定格運転されるポンプP53(53a、53b、…)が設けられている。尚,2次側の往ヘッダの圧力制御は省略している。例えば,ポンプの吐出圧が一定になるように,冷水を水槽に戻してもよい。
【0085】
熱源システムN5には、センサとして、負荷51(51a、…)と熱交換器(図示せず)で熱交換を行い水槽55の1次側の冷熱源Rに還される水の温度を計測する温度センサ54と、冷熱源Rに還される水の流量を計測する流量センサ53とを有している。
熱源システムN5は、熱源システムN5を制御する制御部として、コントローラなどの演算器52を備えている。
【0086】
演算器52は、温度センサ54、流量センサ53などから検知情報が入力される一方、冷熱源Rなどの機器に制御信号を出力している。
演算器52は、冷熱源R、冷却塔Ryの台数制御を行う。なお、冷熱源R、冷却塔Ryの台数制御を行わなくてもよいが、台数制御を行う方が熱源システムN5の効率が高くなるので望ましい。
演算器52による運転の切り替えは,負荷51などの条件を基にエネルギ消費量が最小となる運転状態を最適化演算して指令する。
【0087】
エネルギ消費量の算出は,冷水ポンプP51、冷却水ポンプP52、ポンプP53、冷熱源Rなどの機器特性と配管抵抗を設定し,冷熱源R、冷水ポンプP51、冷却水ポンプP52、ポンプP53などの電力を運転条件から算出可能なシミュレータを用いる。
例えば、冷水ポンプP51、冷却水ポンプP52、ポンプP53の機器特性としては、流量Q−全楊程(図16(a))、流量Q−ポンプ電力(図16(b))が挙げられる。図16(c)に流量Qと配管抵抗との関係を示す。
【0088】
冷熱源Rの冷凍機の機器特性としては、入出口温度差、冷却量(図12参照)で電力はどの位かの機器特性が挙げられる。
熱源システムN5は、各運転状態において,冷熱源Rで冷却され水槽55の低温側槽55Aに貯留された冷水の往温度(冷水往温度)と、流量センサ53で計測される冷水流量と、温度センサ54で計測される冷水の還温度(冷水還温度)を用いる。なお、低温側槽55Aに貯留された冷水の往温度は、冷熱源Rの冷却の制御で取得したり、負荷51側に設けた往路の冷水の温度または水槽55の低温側槽55Aに貯留される冷水の温度を計測する往温度センサ(図示せず)で計測される。
【0089】
そして、負荷51に送られる冷水の往温度(冷水往温度)と温度センサ54で計測される冷水の還温度(冷水還温度)との温度差が小さく冷水の流量が大きいときに、冷熱源Rを含むシステムなどの冷水出口の温度設定を低くする。この際、冷熱源Rを含むシステムなどの冷水出口(往路)の冷水の温度設定値が予め設定した最大負荷時の設定温度より低温に変更される場合がある。
一方、負荷51(51a、…)への冷水の往温度(冷水往温度)と還温度(冷水還温度)との温度差が設計値(設定値)に近く冷水流量が小さい場合には、その状態を維持する制御を行う。
なお、公知の負荷予測手段で冷却負荷予測を行うことにより、ハンチング防止のために余裕をもって冷却塔Rr、冷熱源Rの運転台数を減段する制御を行うことなく、運転台数を減段する制御を組み込んでもよい。
【0090】
なお、前記したように、冷却塔Rr、冷熱源Rからの冷水出口の温度計測は,冷水往配管系に設置してもよく、或いは、送水側の冷却塔Rr、冷熱源Rの制御での温度取得を行ってもよく,冷熱源Rの温度出力がない場合にも対応可能である。
【0091】
<<実施形態6>>
図17は、実施形態6の熱源システムN6の構成図である。
実施形態6の熱源システムN6は、冷凍機Rt(Rt1、Rt2)による冷水製造を可能とした設備である
熱源システムN6は、負荷61(61a、…)を冷却する冷水を作る機器として、冷凍機Rtを備えており、冷凍機Rtにより冷水製造が行われる。
【0092】
そして、熱源システムN6は、負荷61と熱交換器(図示せず)して還った水を冷凍機Rt1、Rt2にそれぞれ流す冷水ポンプP61a、P61bと、冷却塔Rrで冷却された冷却水を冷却水系統t1を介して冷凍機Rt1、Rt2にそれぞれ流す冷却水ポンプP62a、P62bとを備えている。
【0093】
実施形態6の冷水ポンプP61a、P61b、冷却水ポンプP62a、P62bは、実施形態5の熱源システムN5の定格運転と異なり、インバータ制御としたものである。また、実施形態5の熱源システムN5と異なり、水槽は設けない。
【0094】
負荷61側には、冷凍機Rt(Rt1、Rt2)で冷却された冷水を各負荷61(61a、…)に送るためのインバータ制御のポンプP63(63a、63b、…)が設けられている。
熱源システムN6には、センサとして、冷凍機Rtで冷却され冷水系統t2、t3を通って負荷61側に送られる冷水の温度を計測する往温度センサ64aと、負荷61(61a、…)と熱交換器(図示せず)で熱交換を行い冷凍機Rtに還る水の温度を計測する還温度センサ64bと、冷凍機Rtに還る冷水の流量を計測する流量センサ63と、外気の気温を計測する外気温度センサ64cと、外気の湿度を計測する湿度センサ65とを有している。
【0095】
熱源システムN6は、熱源システムN6を制御する制御部として、コントローラなどの演算器62を備えている。
演算器62は、往温度センサ64a、還温度センサ64b、流量センサ63、外気温度センサ64c、湿度センサ65などから検知情報が入力される一方、冷凍機Rt、冷却塔Rr、冷水ポンプP61、冷却水ポンプP62、ポンプP63などに制御信号を出力している。
【0096】
熱源システムN6における演算器62は、冷凍機Rt、冷却塔Ryの台数制御を行う。なお、冷凍機Rt、冷却塔Ryは、台数制御を行わなくてもよいが、台数制御を行う方が熱源システムN6のシステムCOPがより高くなるので望ましい。
演算器62による運転の切り替えは,外気・負荷61の条件を基にエネルギ消費量が最小となる運転状態を最適化演算して指令する。
【0097】
エネルギ消費量の算出は,冷水ポンプP61、冷却水ポンプP62、ポンプP63、冷凍機Rt、冷却塔Rrなどの機器特性と配管抵抗を設定し、冷凍機Rt、冷却塔Rr、冷水ポンプP61、冷却水ポンプP62、ポンプP63,冷却塔ファンの電力を運転条件から算出可能なシミュレータを用いる。
例えば、冷水ポンプP61、冷却水ポンプP62、ポンプP63の機器特性としては、流量Q−全楊程(図16(a))、流量Q−ポンプ電力(図16(b))が挙げられる。冷凍機Rtの機器特性としては、入出口温度差、冷却量(図12参照)で電力はどの位かなどの機器特性が挙げられる。冷却塔Rrの機器特性としては、流量−冷却量−電力の機器特性が挙げられる。
【0098】
熱源システムN6は、各運転状態において,往温度センサ64aで計測される冷水の往温度(冷水往温度)と、流量センサ63で計測される冷水流量と、還温度センサ64bで計測される冷水の還温度(冷水還温度)を用いる。
そして、往温度センサ64aで計測される冷水の往温度(冷水往温度)と還温度センサ64bで計測される冷水の還温度(冷水還温度)との温度差が小さく冷水流量が大きいときに,各熱源機器の冷凍機Rt、冷却塔Rr、これら冷凍機Rt、冷却塔Rrを含むシステムなどの冷水出口の温度設定を低くする。この際、各熱源機器の冷凍機Rt、冷却塔Rr、これら冷凍機Rt、冷却塔Rrを含むシステムなどの冷水出口(往路)の冷水の温度設定値が予め設定した最大負荷時の設定温度より低温に変更される場合がある。
一方、負荷61(61a、…)への冷水の往温度(冷水往温度)と還温度(冷水還温度)との温度差が設計値に近く冷水流量が小さい場合には、その状態を維持する制御を行う。
【0099】
なお、公知の負荷予測手段で冷却負荷予測を行って、ハンチング防止のために余裕をもって運転台数を減段する制御を行うことなく、予測結果に基づいて減段する制御を組み込んでもよい。
冷凍機Rtからの冷水出口の温度計測は,図17の往温度センサ64aで示すように、冷水往配管系に設置してもよく、或いは、送水側の冷凍機Rtの温度制御から取得してもよく,冷凍機Rtの温度出力がない場合にも対応可能である。
冷凍機Rtは、インバータ制御のターボ冷凍機でもよく,インバータ制御により部分負荷の省エネ化が図れる。
【0100】
実施形態1〜6によれば、設定流量において負荷と熱交換して流れる冷水の還り温度が設計時に設定した冷水還温度より低いときに、負荷に向かう冷水の往温度を低温化して、負荷側の温度差を大きくすることで、熱量当りのポンプ動力を下げて、エネルギの無駄を省いている。
【0101】
負荷側は、一般的なプレート式熱交換器,空調機に使われる冷却コイルなどの冷水温度を下げると出口の冷水との温度差が大きくなる熱交換器である。
冷熱源からの冷水の温度設定を演算器から出力した自動制御を行うことで、負荷の変動に応じて冷水温度を変更することで省エネ化が可能である。
冷熱源から負荷に送られる冷水の往温度(冷水往温度)が一定の場合に1台での冷熱源の流量が不足して、冷熱源の冷凍機の台数を増段する条件では,冷熱源から負荷に送る冷水の往温度(冷水往温度)を低温化することにより、負荷に対する流量を小さくでき,増段しない負荷範囲を広げることができる。
【0102】
図3に示すように、ターボ冷凍機は低負荷時(例えば1台当り30%負荷率)では、成績係数が小さい。そのため、2台当りの負荷が30%で2台運転になる場合に比べて,1台の60%運転とすることで、COP(成績係数)が高い運転ができ、ポンプの搬送動力の無駄を省くことができる。
冷水の流量を増やすと抵抗が増えるが、冷熱源の出口の温度を下げることで流量を減らし、冷熱源の冷凍機1台あたりの負荷率を大きくすることで、効率良く運転できる。
冷水の搬送系は,冷熱源側の1次、負荷側の2次ポンプ方式でもよく、二次側の負荷への冷水の往還温度差も大きくなる場合に流量が小さくなり、2次ポンプの動力も削減できる。
【0103】
本実施形態では、配管サイズも変わらないことから、冷凍機の更新時に負荷に送られる冷水の往温度(冷水往温度)の設定値を既定の設定温度よりも低温度とする対応で導入が可能である。
なお、前記実施形態では、熱媒体として水を例示して説明したが、水以外のものを熱媒体として用いてもよい。
また、前記実施形態1〜6では、それぞれの構成を個別に説明したが、実施形態1〜6の各構成を適宜任意に組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0104】
1、1a、51、51a、61、61a 負荷
2 演算器(第1制御手段、第2制御手段、第3制御手段)
3、53、63 流量センサ(負荷熱量計測手段、流量計測手段)
4、54 温度センサ(負荷熱量計測手段、冷水還温度計測手段)
64a 往温度センサ(負荷熱量計測手段)
64b 還温度センサ(負荷熱量計測手段、冷水還温度計測手段)
B 余裕量
N1、N2、N3、N4、N5、N6 熱源システム
P、P1、P2、P51、P51a、P51b、P61、P61a、P61b 冷水ポンプ(ポンプ)
P3、P3a、P3b、P53a、P53b、P63、P63a、P63b ポンプ
P52a、P52b、P62a、P62b 冷却水ポンプ(ポンプ)
r1、r2 冷水系統(配管)
R、R1、R2 冷熱源
Ra 高温側冷熱源(単位冷熱源)
Rb 低温側冷熱源(単位冷熱源)
Rt、Rt1、Rt2 冷凍機(冷熱源)
Ry 冷却塔(冷熱源)
t1 冷却水系統(配管)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル,工場,データセンタ,地域冷暖房等の冷却が必要な施設の熱源システムに係り、より詳細には省エネ化を行う熱源システム、その制御方法およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱源システムは、冷水を冷凍機により製造して、冷水を負荷側の部屋や装置に循環させて負荷側の空気との熱交換により負荷側の部屋や装置を冷却する設備である。
冷凍機は、負荷の増減にしたがって、負荷の大きさに対応した容量で制御する。更に、台数を増減して負荷に対応した容量を供給する場合もある。冷水はポンプにより、負荷側と冷凍機の間を循環する。
【0003】
本願に係る先行技術文献として次の特許文献1、2がある。
特許文献1には、運用時の熱媒の往還温度差である運用往還温度差が、設計時の熱媒の往還温度差である設定往還温度差よりも小さい場合に、熱媒流量を過流量にシフトすることが記載されている。
特許文献2には、冷水ポンプや冷却水ポンプ、冷却塔等の補機を考慮して、システムCOP(Coefficient Of Performance)を高めることができる冷熱源機の運転制御方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開3854586号公報(段落0067、0068、図3、図6等)
【特許文献2】特開2008−134013号公報(段落0079〜0085、図9〜図14等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、熱源システムは、設計に際して想定される最大負荷に対応する冷水の温度や流量条件で設計されているが、実際の運転では,冷水の負荷に対する設計に使用した往還温度差に対し、負荷からの冷水の還温度が低くなる場合が多い。
図18は、ターボ冷凍機における冷却量(%)とCOPとの関係を示す図である。
このような冷水の負荷に対する往還温度差が小さい運転状態では、図18に示すように、冷凍機のCOPが低下して負荷での冷却に必要な流量が大きくなり,ポンプ動力が大きくなる場合がある。
【0006】
また、設計流量における負荷の冷却量が小さくなり、設計の最大熱量処理をできなくなる問題がある。
例えば、冷凍機1台に定流量のポンプが1台設けられているとすると、温度差が小さいときに冷凍機の冷却能力が100%となる前にポンプ流量を増やす場合に、冷凍機1台、ポンプ1台の運転から冷凍機2台、ポンプ2台の運転になる。そのため、熱源システムのシステムCOPが低下することとなる。
【0007】
本発明は上記実状に鑑み、冷熱源の運転効率を落とすことなくシステムCOPを向上させる熱源システム、その制御方法およびそのプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明に関わる熱源システムは、熱媒体を該熱媒体が冷却される冷熱源および該冷却された熱媒体と負荷との熱交換が行われる熱交換器のうちの少なくとも何れかに送るポンプと、前記冷熱源と、前記負荷の熱交換器とが、前記熱媒体が流される配管で接続される熱源システムであって、以下の特徴を有している。
【0009】
第1の本発明に関わる熱源システムは、前記熱媒体が前記負荷と熱交換される熱量を計測する負荷熱量計測手段と、前記負荷と熱交換が行われ前記冷熱源に還る前記熱媒体の温度を計測する冷水還温度計測手段と、前記熱媒体の温度がその温度設定値より下り前記冷熱源の出口の熱媒体の温度設定値との差が所定の設定量より小さくなった場合に前記冷熱源の出口の前記熱媒体の温度設定値を下げる第1制御手段とを有している。
【0010】
第2の本発明に関わる熱源システムは、前記熱媒体が前記負荷と熱交換される熱量を計測する負荷熱量計測手段と、前記負荷と熱交換が行われ前記冷熱源に還る前記熱媒体の温度を計測する冷水還温度計測手段と、前記冷熱源の出口の熱媒体の温度設定値を予め設定した最大負荷時の設定温度より低温に変更する第2制御手段とを有している。
【0011】
第3の本発明に関わる熱源システムは、前記熱媒体が前記負荷と熱交換される熱量を計測する負荷熱量計測手段と、前記負荷と熱交換が行われ前記冷熱源に還る熱媒体の温度を計測する冷水還温度計測手段と、前記負荷と熱交換される前記熱媒体の流量を計測する熱媒体流量計測手段と,前記熱媒体の流量が、設定した高温化判定流量範囲にある場合には前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を上げる一方、設定した低温化判定流量範囲にあり、かつ、前記熱媒体の温度が所定の低温化判定温度未満の場合には前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を下げる第3制御手段とを有している。
【0012】
第4〜第6の本発明に関わる熱源システムの制御方法は、第1〜第3の本発明に関わる熱源システムを行う制御方法である。
【0013】
第7の本発明に関わる熱源システムのプログラムは、第4〜第6の本発明に関わる熱源システムの制御方法を、コンピュータで実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明によれば、冷熱源の運転効率を落とすことなくシステムCOPの低下を防止する熱源システム、その制御方法およびそのプログラムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る実施形態1の熱源システムの構成図である。
【図2】(a)は冷水出口温度が7℃の時の2台の冷熱源の冷凍機の運転例を示す図であり、(b)は冷水出口温度が5.5℃の時の1台の冷熱源の冷凍機の運転例を示す図である。
【図3】冷熱源の冷凍機の冷水出口温度5.5℃、7℃の場合の冷凍機が1台当りの冷却負荷率(%)と成績係数(COP)比率(%)のグラフを示す図である。
【図4】実施形態1の熱源システムの制御方法の制御フローを示す図である。
【図5】実施形態2の熱源システムの構成図である。
【図6】実施形態2の熱源システムの制御方法の制御フローを示す図である。
【図7】冷水送水温度(冷熱源の出口温度)に対する(冷水)ポンプの電力、冷熱源の冷凍機の電力、総合消費電力を示す図である。
【図8】実施形態3の熱源システムの構成図である。
【図9】実施形態3の熱源システムの制御方法の制御フローを示す図である。
【図10】実施形態4の熱源システムの構成図である。
【図11】実施形態4の熱源システムの制御方法の制御フローを示す図である。
【図12】冷熱源の冷凍機の出口温度(冷水送水温度)の冷却量(%)に対するCOPを表した図である。
【図13】冷熱源を一定流量の台数制御を行った場合の冷水送水温度(冷熱源を出る冷水の温度)に対する冷水ポンプの電力、冷熱源の冷凍機の電力、全電力の関係を示す図である。
【図14】台数制御の各ポンプを、一定流量制御または変流量(インバータ制御)を行った場合の流量と電力の関係を表した図である。
【図15】実施形態5の熱源システムの構成図である。
【図16】(a)はポンプの機器特性の流量に対する全楊程を示す図であり、(b)は流量に対するポンプ電力を示す図であり、(c)は流量と配管抵抗との関係を示す図である。
【図17】実施形態6の熱源システムの構成図である。
【図18】ターボ冷凍機における冷却量(%)とCOPとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
本発明の実施形態の熱源システムN(N1〜N5)は、ビル、工場、データセンタ、地域冷暖房などの施設の冷房を行う熱源システムである。
【0017】
<<実施形態1>>
図1は本発明に係る実施形態1の熱源システムN1の構成図である。
実施形態1の熱源システムN1は,熱媒体の水を冷却して所望の温度の冷水を提供する1つまたは2つ以上の冷熱源R(R1、R2)と、冷熱源Rから送られる冷水と熱交換器(図示せず)で熱交換される負荷1(1a、…)(冷房対象施設の空気)とがある。
【0018】
熱源システムN1は、冷熱源Rがある1次側に設けられ各冷熱源Rへ熱媒体の水をそれぞれ循環させる冷水ポンプP(P1、P2)と、負荷1がある2次側に設けられ負荷1(1a、…)にそれぞれ冷熱源Rで作った冷水を送るポンプP3(P3a、P3b、…)と、冷熱源Rで作られた冷水が貯留される低温側槽5Aおよび負荷1と熱交換して加熱された水が貯留される高温側槽5Bを有する水槽5と、熱源システムN1の制御を担う演算器2とを備えている。
【0019】
冷水ポンプP、ポンプP3は、それぞれ定格運転される。
演算器2は、PLC(programmable logic controller)などのコントローラである。熱源システムN1の制御は、コントローラのメモリに格納されるプログラムを実行することにより行われる。
【0020】
冷熱源R(R1、R2)で冷却された各冷水は、それぞれ冷水ポンプP(P1、P2)により、冷水系統r1、r2を介して水槽5の低温側槽5Aに送られ貯留される。
水槽5の低温側槽5Aに貯留される冷水は、2次側のポンプP3(P3a、P3b、…)により各負荷1(1a、…)に送られる。
負荷1(1a、…)と熱交換が行われ加熱された冷水は、2次側のポンプP3により水槽5の高温側槽5Bに送られ貯留される。
【0021】
水槽5の高温側槽5B内の冷水は、1次側の冷水ポンプP(P1、P2)により、冷熱源R(R1、R2)に送られ再び冷却され水槽5の低温側槽5Aに送られ貯留される。
熱源システムN1は、その物理量を計測するセンサとして、負荷1(1a、1b、…)と熱交換器(図示せず)で熱交換して冷熱源Rへ還流する冷水の流量(冷水流量)を計測(測定)する流量センサ3と、当該還流の冷水の温度(冷水還温度)を計測する温度センサ4とを備えている。流量センサ3、温度センサ4により,冷熱源R(R1、R2)から送られ負荷1と熱交換し加熱された冷水の流量(冷水流量)・温度(冷水還温度)をそれぞれ計測することとなる。
【0022】
冷熱源Rは、ターボ冷凍機、吸収冷凍機などの冷凍機、開放式冷却塔や、密閉式冷却塔による冷水製造熱源システムである。
冷熱源R(R1、R2)は、例えば、冷熱源Rで冷却された冷熱源Rの出口の冷水の温度(冷水出口温度)を一定にする制御が可能な冷凍機であり、また、冷熱源Rの冷水出口温度(往温度)の設定値の変更が可能である。
冷熱源Rの冷水出口温度は、負荷1に供給する設定温度に対して、さらに低温の温度を設定可能である。
【0023】
2次側のポンプP3(P3a、P3b、…)の制御は、冷水の圧力一定制御や最適化した流量制御等の流量制御でよい。
このように、熱源システムN1の機器構成としては、冷熱源Rの例えば冷凍機が複数あり、定格運転される1次側の冷水ポンプP、2次側のポンプP3により、冷水が一定流量で送水される。
【0024】
図2は、冷熱源Rの冷凍機Rtの冷水温度を下げた場合の運転状態例であり、(a)は冷水出口温度が7℃の時の2台の冷熱源Rの冷凍機Rtの運転例を示し、(b)は冷水出口温度が5.5℃の時の1台の冷熱源Rの冷凍機Rtの運転例を示す。
図3は、冷熱源Rの冷凍機Rtの冷水出口温度5.5℃、7℃の場合の冷凍機Rtが1台当りの冷却負荷率(%)と成績係数(COP)比率(%)のグラフを示す。
【0025】
図2(a)においては、冷熱源R1、R2である各冷凍機Rt1、Rt2に入る温度の冷水入口温度8.5℃,冷水出口温度7℃(図3参照)で,これらの温度差が1.5℃で設計流量の冷水を流した場合,冷熱源R1の各冷凍機Rt1、Rt2の負荷率30%、冷熱源R1の合計の負荷率60%で2台の運転を行う。
図2(b)は、冷凍機Rt2は運転を停止し、冷熱源R1の冷凍機Rt1の冷水出口温度を5.5℃、冷水入口温度が8.5℃である。すなわち、冷凍機Rt1の冷水入口温度と冷水出口温度との温度差が3℃となり、1台の冷熱源R1の冷凍機Rt1の負荷率60%(図3参照)の運転で負荷を処理可能となる。冷熱源R1を冷凍機Rt1,冷熱源R2を冷凍機Rt2としてもよい。
【0026】
図3の負荷率100%は、2台の定格流量の各冷凍機Rt1、Rt2の運転で冷熱源Rの冷水入口と冷水出口の温度差が5℃差の例である。
図1、図2では、冷却塔と冷却塔からの冷水を送る冷却水ポンプは、省略しているが冷熱源Rの各冷凍機Rt1、Rt2と連動して運転される。
このように、図3から、冷熱源Rの冷水出口温度を下げることにより、冷熱源Rの運転台数が減少する。つまり、冷凍機Rt1、Rt2の運転が冷凍機Rt1だけの運転になり、COP(成績係数)比率が向上する。
また、運転されるポンプ台数も減り、単位負荷当りの冷熱源Rの冷凍機Rt1、Rt2、冷却塔からの冷却水を送る冷却水ポンプ、冷水ポンプPの電力が2台に比べて小さくなる。ターボ冷凍機は,インバータターボ冷凍機でもよく,冷凍機のCOPは定速のターボ冷凍機に比べてたかくなる。
暖房負荷を対象とした,ヒートポンプ式の熱源では,温水の還り温度が設計値より高いときに,温水出口温度を高くすることで,ヒートポンプ式の熱源の負荷率を上げることで,COPが高い運転となり,熱源システムのシステムCOPが高い運転となり,消費電力が小さくなる。
【0027】
<熱源システムN1の制御方法>
次に、熱源システムN1の制御方法について、制御フローを示す図4に従って説明する。
図4に示す熱源システムN1の制御は、タイマを用いて時間を計測して所定時間間隔、例えば、5分間隔、1時間間隔など任意の時間間隔で演算器2によって行われる。
まず、図4のS(ステップ)100において、図1の流量センサ3、温度センサ4で負荷1(1a、…)と熱交換して還流する冷水の流量(冷水流量)、温度(冷水還温度)をそれぞれ計測する。また、冷熱源Rから負荷1への往路の冷水の温度情報(冷水往温度)を、冷熱源Rの冷水の温度制御から取得する。
【0028】
そして、温度センサ4で計測した負荷1と熱交換した還路の冷水の温度と冷熱源Rから出る往路の冷水温度との差と流量センサ3で計測した冷水の流量とにより、負荷1と熱交換された熱量を演算する。なお、冷熱源Rから出る往路の冷水温度は、水槽5の低温側槽5Aまたは負荷1へ入る2次側の管路に温度センサを設けて計測したり、冷熱源Rでの冷却制御から取得してもよい。
【0029】
続いて、S101において、流量センサ3で計測される冷水の流量(冷水流量)が冷水ポンプPの最低水量+B(余裕量)より小さいか否か判定される。
冷水流量が冷水ポンプPの最低水量+B(余裕量)より小さい場合(S101でYes)、S102に移行し、流量センサ3で計測される冷水流量が冷水ポンプPの最低水量以上か否か判定される。
【0030】
流量センサ3で計測される冷水流量が冷水ポンプPの最低水量以上の場合(S102でYes)、S105に移行し、冷熱源Rから出る往路の冷水温度の現在の設定値を維持する(S105)。一方、流量センサ3で計測される冷水流量が冷水ポンプPの最低水量以上でない、すなわち冷水流量が冷水ポンプPの最低水量未満の場合(S102でNo)、S106に移行し、冷熱源Rから出る往路の冷水の温度の設定値を所定量、高温化する。例えば、0.5℃、1℃などの幅で高温化する。高温化する温度幅は、各熱源システムにおいて適宜任意に設定可能である。高温化する温度は、例えば0.5℃として、周期的に変更する。
【0031】
S101において、冷水流量が冷水ポンプPの最低水量+B(余裕量)より小さくない、すなわち冷水流量が冷水ポンプPの最低水量+B(余裕量)より以上の場合(S101でNo)、S103に移行し、負荷1(1a、…)と熱交換して還流する冷水の温度(冷水還温度)が低温化判定用温度未満であるか否か判定される。
【0032】
低温化判定用温度は、例えば、最大負荷時の設計値よりも小さく例えば冷水往温度6℃、冷水還温度11℃のときに、8℃とする。ここで、低温化判定用温度は、冷水の温度であるので、8℃±α℃のような幅をもたせる。なお、低温化判定用温度は、8℃のように幅をもたせず定めてもよいが、8℃±α℃のように幅をもたせた方が、制御が安定し実際的であるのでより望ましい。
なお、低温化判定用温度は、適用する熱源システムに応じてそれぞれ任意に設定可能である。
【0033】
冷水還温度が低温化判定用温度未満でないと判定された場合(S103でNo)には、負荷1(1a、…)と熱交換して還流する冷水の温度(冷水還温度)が低温化判定用温度と等しいか否か判定される(S104)。
負荷1(1a、…)と熱交換して還流する冷水の温度(冷水還温度)が低温化判定用温度と等しいと判定された場合には(S104でYes)、S105に移行し、冷熱源Rから出る往路の冷水温度の現在の設定値を維持する。
【0034】
一方、S104において、負荷1(1a、…)と熱交換して還流する冷水の温度(冷水還温度)が、低温化判定用温度と異なる、すなわち低温化判定用温度より高いと判定された場合には(S104でNo)、S106に移行し、冷熱源Rから出る往路の冷水の温度の設定値を所定量、高温化する。
【0035】
S103において、負荷1(1a、…)と熱交換して還流する冷水の温度(冷水還温度)が低温化判定用温度未満であると判定された場合には(S103でYes)、冷熱源R(R1、R2)から出る往路の冷水温度の設定値が冷熱源Rの機器で定まる固有の設定温度の最低値であるか否か判定される(S107)。
冷熱源R(R1、R2)から出る往路の冷水温度の設定値が冷熱源Rの機器で定まる固有の設定温度の最低値であると判定された場合には(S107でYes)、S105に移行し、冷熱源Rから出る往路の冷水温度の現在の設定値を維持する(S105)。
【0036】
一方、S107において、冷熱源R(R1、R2)から出る往路の冷水温度の設定値が冷熱源Rの機器で定まる固有の設定温度の最低値でないと判定された場合には(S107でNo)、冷熱源Rから出る往路の冷水温度の設定値を所定値、例えば0.5℃、1℃などの幅で低温化する。低温化する温度は例えば0.5℃として、周期的に変更する(S108)。この際、冷熱源Rの出口(往路)の冷水の温度設定値が予め設定した最大負荷時の設定温度より低温に変更される場合がある。
以上が、図4に示す熱源システムN1の制御方法のフローである。
【0037】
熱源システムN1の制御によれば、低負荷時には、2次側の冷水が最低流量となり冷却負荷が冷熱源Rの最小運転台数(例えば1台)となったとき、冷水温度を低下しても,冷水流量は小さくならず冷水ポンプP、ポンプP3の動力は削減できない。
そこで,低負荷時には,冷熱源Rの冷水温度を低温化せずに、最低流量となる温度を維持する。これにより、冷熱源Rである冷凍機Rtの冷水出口温度の低温化で成績係数(COP)が下がるのを防ぐことができる。
【0038】
実施形態1の熱源システムN1の特徴は以下である。
2次側の冷水還温度(負荷1と熱交換して冷熱源Rへ還流する冷水の温度センサ4で計測する温度)が低い場合、冷水送水温度(冷熱源Rで冷却された冷水の冷熱源Rの出口温度)を下げて、冷水還温度と冷水送水温度との温度差を大きくする。温度差大となることにより単位流量あたりの熱量が大きくなり、システムの効率が大きくなり、1次側の冷水ポンプPの動力および2次側のポンプP3の動力の無駄を削減できる。なお、冷水送水温度と前記の冷水往温度とは同じまたはほぼ同じ温度である。
【0039】
一般的に冷水温度が低温となると効率が下がる冷熱源Rの冷凍機Rt1、Rt2に対し、冷水を低温化して温度差が小さくなることを防止して、運転台数の増加による冷熱源Rである冷凍機Rt1、Rt2のCOPの低下を防ぎ、システム全体の効率を上げることが可能になる。
【0040】
<<実施形態2>>
図5は本発明に係る実施形態2の熱源システムN2の構成図である。
実施形態2の熱源システムN2は、熱媒体の水を冷却して所望の温度の冷水を作る1つまたは2つ以上の冷熱源R(R1、R2)と、冷熱源Rから送られる冷水と熱交換器(図示せず)で熱交換される負荷1(1a、1b、…)とがある。図5で往還ヘッダ間のバイパス経路は省略している。
そして、熱源システムN2は、各冷熱源Rへ冷水をそれぞれ循環させるインバータ制御の冷水ポンプP(P1、P2)と、熱源システムN2(冷熱源R、冷水ポンプPなど)の制御を担う演算器2とを備えている。
【0041】
演算器2は、PLC(programmable logic controller)などのコントローラである。熱源システムN2の制御は、コントローラのメモリに格納されるプログラムを実行することにより行われる。
冷熱源R(R1、R2)で作られたそれぞれの冷水は、冷水ポンプP(P1、P2)により、各冷熱源R(R1、R2)から冷水系統r1、r2を通って負荷1(1a、1b、…)側に流れる。
【0042】
熱源システムN2は、その物理量を計測するセンサとして、負荷1(1a、1b、…)と熱交換器(図示せず)で熱交換して冷熱源Rへ還流する冷却水の流量(冷水流量)を計測する流量センサ3と、該還流の冷却水の温度(冷水還温度)を計測する温度センサ4とを備えている。これにより、熱源システムN2は,冷熱源R(R1、R2)から送られ負荷1と熱交換器(図示せず)で熱交換し加熱された冷水の温度(冷水還温度)・流量(冷水流量)をそれぞれ温度センサ4、流量センサ3で計測が可能である。
【0043】
冷熱源Rは、ターボ冷凍機、吸収冷凍機等の冷凍機、開放式冷却塔や、密閉式冷却塔による冷水製造設備である。
冷熱源R(R1、R2)は、例えば冷水送水温度(冷熱源Rで冷却された冷水の冷熱源Rの出口での温度)を一定にする制御が可能な冷凍機であり、また、冷熱源Rの冷水送水温度の設定値の変更が可能である。
冷熱源Rである冷凍機の出口温度(冷熱源Rの出口の冷水の温度)は、負荷に供給する設計した設定温度に対して、低温の温度を設定可能である。
冷水ポンプPの制御は、冷水の圧力一定制御や最適化した流量制御等の流量制御でよい。
【0044】
<熱源システムN2の制御方法>
次に、熱源システムN2の制御方法について、制御フローを示す図6に従って説明する。
図6に示す熱源システムN2の制御は、タイマを用いて時間を計測して所定時間間隔、例えば、5分間隔など任意の時間間隔で演算器2によって行われる。
【0045】
まず、図6のS(ステップ)201において、流量センサ3、温度センサ4で負荷1(1a、…)と熱交換して還流する冷水の流量(冷水流量)、温度(冷水還温度)をそれぞれ計測する。また、冷熱源Rから負荷1への往路の冷水の温度情報(冷水往温度)を、冷熱源Rの冷水の温度制御から取得したり、負荷1への往路の管路に温度センサを設けて計測する。
そして、負荷1と熱交換した還路の温度センサ4で計測した冷水の温度(冷水還温度)と冷熱源Rから出る往路の冷水温度(冷水往温度)との差と冷水の流量(冷水流量)とにより、負荷1と熱交換された熱量を演算する。
【0046】
図7は、冷水送水温度(冷熱源Rの出口の冷水の温度)に対する(冷水)ポンプPの電力、冷熱源Rの冷凍機の電力、総合消費電力を示す図である。
図7に示すように、冷熱源Rの出口温度が高い(熱交換量が少ないので冷水ポンプPの流量が大きい)場合および冷熱源Rの出口温度が低い(熱交換量が多いので冷水ポンプPの流量が少ない)場合、(消費)電力が上がる関係にある。
【0047】
そこで、S202において、高温化判定流量範囲を用いて負荷1と熱交換するために流れる流量が少な過ぎないかチェックする一方、S203において、低温化判定流量範囲を用いて負荷1と熱交換するために流れる流量が大き過ぎないかチェックする。流量が少な過ぎる場合には冷熱源Rの効率が落ちてシステムCOPが低下する一方、流量が大き過ぎる場合にはポンプPの効率が落ちてシステムCOPが低下する。そのため、それぞれの場合、冷熱源Rから出る往路の冷水の温度の設定値を再設定し、ポンプPの流量を適正なものとする。
【0048】
まず、S202において、流量センサ3で検知される負荷1(1a、1b、…)と熱交換した冷水の流量(冷水流量)が、予め定めた冷水温度の高温化判定流量範囲(小さ過ぎる流量の範囲)内にあるか否か判定される。
S202において、負荷1と熱交換する冷水の流量(冷水流量)が予め定めた冷水温度の高温化判定流量範囲(小さ過ぎる流量の範囲)内にあると判定された場合(S202でYes)、冷熱源Rから出る往路の現在の冷水温度の設定値が、冷熱源Rの機器で定まる設定温度の最高値であるか否か判定される(S204)。
【0049】
冷熱源Rから出る往路の冷水温度の設定値が冷熱源Rの設定温度の最高値であると判定された場合(図6のS204でYes)、冷熱源Rから出る冷水の現在の温度の設定値を維持する(S205)。一方、冷熱源Rから出る冷水の温度の設定値が冷熱源Rの設定温度の最高値でないと判定された場合(図6のS204でNo)、冷熱源Rから出る往路の冷水の温度の設定値を所定量、高温化する。例えば、0.5℃、1℃などの幅で高温化する。高温化する温度幅は、各熱源システムにおいて適宜任意に設定可能である。高温化する温度は、例えば0.5℃として,周期的に変更する(S206)。
【0050】
一方、図6のS202において、負荷1と熱交換する冷水の流量(冷水流量)が予め定めた冷水温度の高温化判定流量範囲(小さ過ぎる流量の範囲)内にないと判定された場合(S202でNo)には、S203において、流量センサ3で検知される負荷1と熱交換する冷水の流量(冷水流量)が、予め定めた冷水温度の低温化判定流量範囲(大き過ぎる流量の範囲)内にあるか否か判定される。
S203において、負荷1と熱交換する冷水の流量(冷水流量)が、予め定めた冷水温度の低温化判定流量範囲(大き過ぎる流量の範囲)内にないと判定された場合(図6のS203でNo)には、S205に移行し、冷熱源Rから出る往路の冷水温度の現在の設定値を維持する。
【0051】
一方、S203において、負荷1と熱交換する冷水の流量(冷水流量)が、予め定めた冷水温度の低温化判定流量範囲(大き過ぎる流量の範囲)内にあると判定された場合(図6のS203でYes)には、S207に移行し、負荷1から還る流れの温度が、予め定めた所定の低温化判定用温度未満であるか否か判定される。低温化判定用温度は、例えば、最大負荷時の設計値よりも小さく例えば冷水往温度6℃,冷水還温度11℃のときに,8℃とする。ここで、冷水は管路を流れるので、低温化判定用温度は8℃±0.5℃のような幅をもたせる。なお、低温化判定用温度は、8℃のように幅をもたせず定めてもよいが、8℃±0.5℃のように幅をもたせた方が、制御が安定し実際的であるのでより望ましい。なお、低温化判定用温度は、熱源システムに応じてそれぞれ任意に設定可能である。
【0052】
S207において、負荷1から還る流れの温度(冷水還温度)が、予め定めた所定の温度(低温化判定用温度域)以上であると判定された場合(図6のS207でNo)には、S208に移行し、負荷1から還る流れの温度が、予め定めた所定の温度(低温化判定用温度)と等しいか否か判定される。
S208において、負荷1から還る流れの温度が、予め定めた所定の温度(低温化判定用温度)と等しいと判定された場合(S208でYes)には、S205に移行し、冷熱源Rから出る往路の現在の冷水温度の設定値を維持する。
【0053】
一方、S208において、負荷1から還る流れの温度が、予め定めた所定の温度(低温化判定用温度域)でない、すなわち所定の温度(低温化判定用温度)より高いと判定された場合(S208でNo)には、S206に移行し、冷熱源Rから出る往路の冷水温度の設定値を所定値、例えば0.5℃、1℃などの幅で高温化する。
S207において、負荷1と熱交換して還る流れの温度が、予め定めた所定の温度(低温化判定用温度)未満であると判定された場合(図6のS207でYes)には、冷熱源R(R1、R2)から出る往路の冷水温度の設定値が冷熱源Rの機器で定まる固有の設定温度の最低値であるか否か判定される(S209)。
【0054】
S209において、冷熱源R(R1、R2)から出る往路の冷水温度の設定値が冷熱源Rの設定温度の最低値であると判定された場合(S209でYes)、S205に移行し、現在の冷熱源Rから出る往路の冷水温度の設定値を維持する。
一方、S209において、冷熱源R(R1、R2)から出る往路の冷水温度の設定値が冷熱源Rの設定温度の最低値でないと判定された場合(S209でNo)、冷熱源Rから出る往路の冷水温度の設定値を所定値、例えば0.5℃、1℃などの幅で低温化する。低温化する温度は例えば0.5℃として,周期的に変更する(S210)。この際、冷熱源Rの出口(往路)の冷水の温度設定値が予め設定した最大負荷時の設定温度より低温に変更される場合がある。
以上が、図6の熱源システムN2の制御方法の制御フローである。
【0055】
実施形態2の熱源システムN2は,冷熱源Rである冷凍機の冷水温度を初期の設定温度よりも低温度とすることが可能な冷凍機を用いるので、冷水流量と冷水還温度の計測値を用いて冷熱源Rの冷凍機の冷水出口温度を低くすることが可能である。
例えば、冷水ポンプPを定格流量になるように、冷熱源Rの出口の温度を下げることができるため、冷水ポンプPの運転台数を減らすことができる。
そのため、冷熱源Rを効率高く運転できるとともに冷水の流量を減らし、熱源システムN2のCOPを向上することができる。
【0056】
<<実施形態3>>
図8は本発明に係る実施形態3の熱源システムN3の構成図である。
実施形態3の熱源システムN3は、実施形態2の熱源システムN2において、任意数の冷熱源R(Ra、Rb、…)を直列に接続したものである。
熱源システムN3では、冷熱源R(Ra、Rb、…)が直列に接続されることから、一つの冷水系統r1となり、一つのインバータ制御のポンプP1を用いる。
冷熱源Rが2つの場合、高温側冷熱源Raと低温側冷熱源Rbとなる。
【0057】
つまり、熱源システムN3は、冷熱源Rとして、高温側(例えば,最大負荷時16℃を11℃に冷却)の冷凍機(Ra)と低温側(例えば,最大負荷時11℃を6℃に冷却)の冷凍機(Rb)を直列に接続した熱源システムである。なお、図8では、冷熱源R(Ra、Rb)を2つ直列に接続した場合を例示しているが、任意数の冷熱源Rを直列に接続できる。
高温側冷熱源Raの冷凍機および低温側冷熱源Rbの冷凍機は,最大負荷時の温度設定値よりも低温に温度設定可能である。
なお、その他の構成は、実施形態2の熱源システムN2と同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0058】
<熱源システムN3の制御方法>
次に、熱源システムN3の制御方法について、その制御フローを示す図9に従って説明する。
図9に示す熱源システムN3の制御は、演算器2で、タイマを用いて時間を計測して任意の所定時間の間隔で行われる。例えば、5分間隔、1時間間隔など任意の時間間隔で行われる。
【0059】
高温側・低温側冷熱源Ra、Rbである冷凍機の冷水出口温度は、温度センサ4により計測される冷水還温度,流量センサ3により計測される冷水流量の計測値にしたがって、それぞれの温度設定値を各々低温化可能である。
まず、図9のS(ステップ)301において、図8に示す流量センサ3、温度センサ4で負荷1(1a、1b、…)と熱交換器(図示せず)で熱交換して還流する冷水の流量(冷水流量)、温度(冷水還温度)をそれぞれ計測する。負荷1(1a、1b、…)への往路の冷水温度を、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbで冷却した冷水の温度制御から取得したり、或いは負荷1(1a、1b、…)への往路側に設けた温度センサ(図示せず)によって計測する。
【0060】
そして、温度センサ4で計測した還路の冷水温度と低温側冷熱源Rbから出る往路の冷水温度との差より、負荷と熱交換される熱量を演算する。
次に、S302において、高温化判定流量範囲を用いて負荷1(1a、1b、…)と熱交換するために流れる冷水の流量が少な過ぎないかチェックする一方、S303において、低温化判定流量範囲を用いて負荷1と熱交換するために流れる冷水の流量が大き過ぎないかチェックする。
【0061】
負荷1と熱交換器(図示せず)で熱交換する流量が少な過ぎる場合には冷熱源R(Ra、Rb)の効率が落ちて熱源システムN3のシステムCOPが低下する一方、流量が大き過ぎる場合にはポンプP1の効率が落ちて熱源システムN3のシステムCOPが低下するので、それぞれの場合に冷熱源Ra、Rbから出る往路の冷水の温度の設定値を再設定し、ポンプP1の流量を適正なものとする。
【0062】
まず、S302において、流量センサ3で検知される負荷1と熱交換して流れる冷水の流量(冷水流量)が、予め定めた冷水温度の高温化判定流量範囲(小さ過ぎる流量の範囲)内にあるか否か判定される。
S302において、負荷1と熱交換器(図示せず)で熱交換して流れる冷水の流量(冷水流量)が予め定めた冷水温度の高温化判定流量範囲(小さ過ぎる流量の範囲)内にあると判定された場合(S302でYes)には、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出る往路の現在の冷水温度の設定値が、各冷熱源R(Ra、Rb)の機器で定まる設定温度の最高値であるか否か判定される(S304)。
【0063】
高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出る往路の冷水温度の設定値が各冷熱源R(Ra、Rb)の機器で定まる設定温度の最高値であると判定された場合(図6のS304でYes)には、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出るそれぞれの往路の冷水温度の現在の設定値を維持する(S305)。一方、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出る往路の冷水温度の設定値が各冷熱源R(Ra、Rb)の機器で定まる設定温度の最高値でないと判定された場合(図6のS304でNo)には、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出る往路の冷水温度の設定値を所定量、高温化する(S306)。例えば、0.5℃、1℃などの幅で高温化する。高温化する温度幅は、各熱源システムにおいて適宜任意に設定可能である。高温化する温度は、例えば0.5℃として、周期的に変更する。
【0064】
一方、図9のS302において、負荷1(1a、…)と熱交換して流れる冷水の流量(冷水流量)が予め定めた冷水温度の高温化判定流量範囲(小さ過ぎる流量の範囲)内にないと判定された場合(S302でNo)には、S303において、流量センサ3で検知される負荷1と熱交換して流れる冷水の流量(冷水流量)が、予め定めた冷水温度の低温化判定流量範囲(大き過ぎる流量の範囲)内にあるか否か判定される。
【0065】
S303において、流量センサ3で検知される負荷1と熱交換して流れる冷水の流量(冷水流量)が、予め定めた冷水温度の低温化判定流量範囲(大き過ぎる流量の範囲)内にないと判定された場合(図9のS303でNo)には、S305に移行し、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbからそれぞれ出る往路の冷水温度の現在の設定値を維持する。
【0066】
一方、S303において、流量センサ3で検知される負荷1と熱交換して流れる冷水の流量(冷水流量)が、予め定めた冷水温度の低温化判定流量範囲(大き過ぎる流量の範囲)内にあると判定された場合(図9のS303でYes)には、負荷1と熱交換して還る冷水の温度が、予め定めた所定の低温化判定用温度未満であるか否か判定される(S307)。
【0067】
低温化判定用温度は,最大負荷時の設計値よりも小さく例えば低温側の冷熱源Rbから出る冷水往温度5℃(6℃),高温側冷熱源Raに還る冷水還温度15℃のときに,低温化判定用の温度を例えば12℃(8℃)とする。ここで、冷水は管路を流れるので、低温化判定用温度は12℃±0.5℃のように幅をもたせる。なお、低温化判定用温度は、12℃(8℃)のように幅をもたせず定めてもよいが、12℃±0.5℃のように幅をもたせた方が、制御が安定し実際的であるのでより望ましい。なお、低温化判定用温度は、熱源システムに応じてそれぞれ任意に設定可能である。
【0068】
S307において、負荷1と熱交換して還る冷水の温度が、予め定めた所定の低温化判定用温度以上であると判定された場合(図9のS307でNo)、S308において、負荷1と熱交換して還る冷水の温度(冷水還温度)が、予め定めた所定の低温化判定用温度と等しいか否か判定される。
S308において、負荷1(1a、1b、…)から還る流れの温度が、予め定めた所定の温度(低温化判定用温度)と等しいと判定された場合(S308でYes)には、S305に移行し、高温側冷熱源Raと低温側冷熱源Rbから出る往路の冷水温度の現在の設定値を維持する。
【0069】
一方、S308において、負荷1と熱交換して還る流れの温度が、予め定めた所定の温度(低温化判定用温度)でないと判定された場合(S308でNo)には、S306に移行し、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbからそれぞれ出る往路の冷水温度の設定値を所定量、例えば0.5℃、1℃など高温化する。
S307において、負荷1(1a、1b、…)と熱交換して還る流れの温度が、予め定めた所定の温度(低温化判定用温度)未満であると判定された場合(図6のS307でYes)には、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出る往路の冷水温度の設定値が高温側・低温側冷熱源Ra、Rbの機器で定まる固有の設定温度の最低値であるか否か判定される(S309)。
【0070】
S309において、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出る往路の冷水温度の設定値が冷熱源Rの機器で定まる固有の設定温度の最低値であると判定された場合(S309でYes)、S305に移行し、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出る往路の冷水温度の現在の設定値を維持する。
【0071】
一方、S309において、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbから出る往路の冷水温度の設定値が高温側・低温側冷熱源Ra、Rbの機器で定まる固有の設定温度の最低値でないと判定された場合(S309でNo)、高温側・低温側冷熱源Ra、Rbの冷水温度の設定値を所定値、例えば0.5℃、1℃など低温化する(S310)。低温化する温度は例えば0.5℃として,周期的に変更する。この際、冷熱源Ra、Rbの出口(往路)の冷水の温度設定値が予め設定した最大負荷時の設定温度より低温に変更される場合がある。
以上が、図9の熱源システムN3の制御方法である。
【0072】
熱源システムN3によれば、冷熱源R(Ra、Rb、…)が直列に接続される場合にも、冷熱源Rの冷水出口温度を低く制御することで、冷熱源Rを効率高く運転できるとともに冷水の流量を減らし、熱源システムN3のCOPを向上することができる。
【0073】
<<実施形態4>>
図10は本発明に係る実施形態4の熱源システムN4の構成図である。
実施形態4の熱源システムN4は、実施形態2の熱源システムN2において、演算器2による2つ以上の冷熱源R(R1、R2、…)の公知の台数制御(第13版空気調和・衛生工学便覧、社団法人空気調和・衛生工学会、632頁〜635頁参照)を追加したシステムである。
【0074】
2つ以上の冷熱源R(R1、R2、…)の増減段は,演算器2により、冷水流量と負荷量で行うように、冷熱源Rに還る冷水往還温度を計測する。すなわち、冷熱源Rから出る冷水の温度を冷熱源Rの制御または温度センサ14から取得するとともに温度センサ4により負荷1(1a、1b、…)と熱交換して還る冷水の温度を計測する。また、流量センサ3により負荷1と熱交換器(図示せず)で熱交換して流れる冷水の流量を計測する。そして,両温度差と負荷1と熱交換して流れる冷水の流量から、負荷1との熱交換で消費される熱量を演算器2で演算する。
【0075】
冷熱源R(R1、R2、…)である冷凍機の運転開始/停止は、演算器2による台数制御により、冷熱源Rの冷凍機と冷水ポンプP(P1、P2、…)の運転/停止を行う。冷水ポンプP(P1、P2、…)は、一定流量制御または圧力制御による変流量制御でもよい。
なお、その他の熱源システムN4の構成は、実施形態2の熱源システムN2と同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0076】
<熱源システムN4の制御方法>
次に、熱源システムN4の制御方法について、その制御フローを示す図11に従って説明する。
図11に示す熱源システムN4の制御は、演算器2で、タイマを用いて時間を計測して任意の所定時間の間隔で行われる。
熱源システムN4では、冷水還温度(冷熱源Rに還る冷水の温度)と冷水流量から,冷熱源R(R1、R2、…)の冷水出口温度を変更する。
【0077】
まず、図11のS(ステップ)400において、熱源機である冷熱源Rは各冷熱源Rの設定(設計)流量と設定(設計)温度(入口の冷水温度、出口の冷水温度)で最大能力を出力することとして、その値を基に冷熱源Rの台数を増減段する台数制御を行う。冷熱源Rの台数制御は、冷却量と冷水流量の上下限値を基に制御される。
熱源システムN4の制御方法の図11のS401からS410は、熱源システムN2の制御方法の図6のS201からS210と同様であるから詳細な説明は省略する。
【0078】
従来、冷熱源Rの入口の冷水温度と出口の冷水温度との温度差が小さい場合(冷水送水温度(冷熱源Rを出る冷水の温度)が低い場合)、図7に示すように、冷却量が低下して冷熱源Rの効率が落ちるので、冷水の流量が大きくなり台数が増段となる。冷熱源R(R1、R2、…)の台数が増えることで,冷水の流量が増加し熱量あたりの冷水ポンプPの動力が大きくなる。
【0079】
これに対して、本熱源システムN4によれば,図11に示すように、冷水往温度(冷水送水温度)を下げて温度差が大きくするように制御するので、冷却量が増加して流量分の冷却負荷が大きくなり,冷熱源Rを効率のよいところで運転できる(図12参照)。図12は、冷熱源Rの冷凍機の出口温度(冷水送水温度)の冷却量(%)に対するCOPを表した図である。
そのため、冷熱源R(R1、R2、…)の台数が増段することを防ぎ、図7、図13に示すように、熱源システムN4の全電力を削減することができる。
【0080】
なお、図13は、冷熱源R(R1、R2、…)を一定流量の台数制御を行った場合の冷水送水温度(冷熱源Rを出る冷水の温度)に対する(冷水)ポンプPの電力、冷熱源Rの冷凍機の電力、全電力の関係を示している。
また、冷熱源Rの台数制御を行うことにより、より細かく負荷1側に合った流量の台数で運転できる。
【0081】
図14は、台数制御の各(冷水)ポンプPを、一定流量制御または変流量(インバータ制御)を行った場合の流量と電力の関係を表した図である。
さらに、図14に示すように、台数制御で各冷水ポンプPを、一定流量制御を行った場合には、冷水ポンプの電力は1台、2台、3台、…と実線の階段状に増加するが、各ポンプPを、変流量(インバータ制御)を行うことにより斜線の部分のポンプ電力を減少させて省エネを行うことができる。
【0082】
<<実施形態5>>
図15は、実施形態5の熱源システムN5の構成図である。
実施形態5の熱源システムN5は、冷熱源R(R1、R2)による冷水製造を演算器52で切り替え可能とし,冷水槽をもつ設備である。
熱源システムN5は、負荷51(51a、…)を冷却する冷水を作る機器として、冷熱源R(R1、R2)と冷却塔Ryとを備え、冷熱源Rにより冷水製造が行われる。
【0083】
熱源システムN5は、1次側に、負荷51から還った水を冷熱源R1、R2にそれぞれ流す定格運転の冷水ポンプP51a、P51bと、冷却塔Rrで冷却された冷水を、冷却水系統t1を介して冷熱源R1、R2にそれぞれ流す定格運転の冷却水ポンプP52a、P52bとを備えている。
熱源システムN5は、冷熱源Rで冷却された冷水が貯留される低温側槽55Aと、当該冷水が負荷51と熱交換して加熱された冷水が貯留される高温側槽55Bとを有する水槽55が設けられている。
【0084】
冷熱源R(R1、R2)に送られた冷水はそれぞれ冷水系統t2、t3を通って、水槽55の低温側槽55Aに送られる。
2次側の負荷51側には、冷熱源Rで冷却され水槽55の低温側槽55Aに貯留された冷水を各負荷51(51a、…)に送るための定格運転されるポンプP53(53a、53b、…)が設けられている。尚,2次側の往ヘッダの圧力制御は省略している。例えば,ポンプの吐出圧が一定になるように,冷水を水槽に戻してもよい。
【0085】
熱源システムN5には、センサとして、負荷51(51a、…)と熱交換器(図示せず)で熱交換を行い水槽55の1次側の冷熱源Rに還される水の温度を計測する温度センサ54と、冷熱源Rに還される水の流量を計測する流量センサ53とを有している。
熱源システムN5は、熱源システムN5を制御する制御部として、コントローラなどの演算器52を備えている。
【0086】
演算器52は、温度センサ54、流量センサ53などから検知情報が入力される一方、冷熱源Rなどの機器に制御信号を出力している。
演算器52は、冷熱源R、冷却塔Ryの台数制御を行う。なお、冷熱源R、冷却塔Ryの台数制御を行わなくてもよいが、台数制御を行う方が熱源システムN5の効率が高くなるので望ましい。
演算器52による運転の切り替えは,負荷51などの条件を基にエネルギ消費量が最小となる運転状態を最適化演算して指令する。
【0087】
エネルギ消費量の算出は,冷水ポンプP51、冷却水ポンプP52、ポンプP53、冷熱源Rなどの機器特性と配管抵抗を設定し,冷熱源R、冷水ポンプP51、冷却水ポンプP52、ポンプP53などの電力を運転条件から算出可能なシミュレータを用いる。
例えば、冷水ポンプP51、冷却水ポンプP52、ポンプP53の機器特性としては、流量Q−全楊程(図16(a))、流量Q−ポンプ電力(図16(b))が挙げられる。図16(c)に流量Qと配管抵抗との関係を示す。
【0088】
冷熱源Rの冷凍機の機器特性としては、入出口温度差、冷却量(図12参照)で電力はどの位かの機器特性が挙げられる。
熱源システムN5は、各運転状態において,冷熱源Rで冷却され水槽55の低温側槽55Aに貯留された冷水の往温度(冷水往温度)と、流量センサ53で計測される冷水流量と、温度センサ54で計測される冷水の還温度(冷水還温度)を用いる。なお、低温側槽55Aに貯留された冷水の往温度は、冷熱源Rの冷却の制御で取得したり、負荷51側に設けた往路の冷水の温度または水槽55の低温側槽55Aに貯留される冷水の温度を計測する往温度センサ(図示せず)で計測される。
【0089】
そして、負荷51に送られる冷水の往温度(冷水往温度)と温度センサ54で計測される冷水の還温度(冷水還温度)との温度差が小さく冷水の流量が大きいときに、冷熱源Rを含むシステムなどの冷水出口の温度設定を低くする。この際、冷熱源Rを含むシステムなどの冷水出口(往路)の冷水の温度設定値が予め設定した最大負荷時の設定温度より低温に変更される場合がある。
一方、負荷51(51a、…)への冷水の往温度(冷水往温度)と還温度(冷水還温度)との温度差が設計値(設定値)に近く冷水流量が小さい場合には、その状態を維持する制御を行う。
なお、公知の負荷予測手段で冷却負荷予測を行うことにより、ハンチング防止のために余裕をもって冷却塔Rr、冷熱源Rの運転台数を減段する制御を行うことなく、運転台数を減段する制御を組み込んでもよい。
【0090】
なお、前記したように、冷却塔Rr、冷熱源Rからの冷水出口の温度計測は,冷水往配管系に設置してもよく、或いは、送水側の冷却塔Rr、冷熱源Rの制御での温度取得を行ってもよく,冷熱源Rの温度出力がない場合にも対応可能である。
【0091】
<<実施形態6>>
図17は、実施形態6の熱源システムN6の構成図である。
実施形態6の熱源システムN6は、冷凍機Rt(Rt1、Rt2)による冷水製造を可能とした設備である
熱源システムN6は、負荷61(61a、…)を冷却する冷水を作る機器として、冷凍機Rtを備えており、冷凍機Rtにより冷水製造が行われる。
【0092】
そして、熱源システムN6は、負荷61と熱交換器(図示せず)して還った水を冷凍機Rt1、Rt2にそれぞれ流す冷水ポンプP61a、P61bと、冷却塔Rrで冷却された冷却水を冷却水系統t1を介して冷凍機Rt1、Rt2にそれぞれ流す冷却水ポンプP62a、P62bとを備えている。
【0093】
実施形態6の冷水ポンプP61a、P61b、冷却水ポンプP62a、P62bは、実施形態5の熱源システムN5の定格運転と異なり、インバータ制御としたものである。また、実施形態5の熱源システムN5と異なり、水槽は設けない。
【0094】
負荷61側には、冷凍機Rt(Rt1、Rt2)で冷却された冷水を各負荷61(61a、…)に送るためのインバータ制御のポンプP63(63a、63b、…)が設けられている。
熱源システムN6には、センサとして、冷凍機Rtで冷却され冷水系統t2、t3を通って負荷61側に送られる冷水の温度を計測する往温度センサ64aと、負荷61(61a、…)と熱交換器(図示せず)で熱交換を行い冷凍機Rtに還る水の温度を計測する還温度センサ64bと、冷凍機Rtに還る冷水の流量を計測する流量センサ63と、外気の気温を計測する外気温度センサ64cと、外気の湿度を計測する湿度センサ65とを有している。
【0095】
熱源システムN6は、熱源システムN6を制御する制御部として、コントローラなどの演算器62を備えている。
演算器62は、往温度センサ64a、還温度センサ64b、流量センサ63、外気温度センサ64c、湿度センサ65などから検知情報が入力される一方、冷凍機Rt、冷却塔Rr、冷水ポンプP61、冷却水ポンプP62、ポンプP63などに制御信号を出力している。
【0096】
熱源システムN6における演算器62は、冷凍機Rt、冷却塔Ryの台数制御を行う。なお、冷凍機Rt、冷却塔Ryは、台数制御を行わなくてもよいが、台数制御を行う方が熱源システムN6のシステムCOPがより高くなるので望ましい。
演算器62による運転の切り替えは,外気・負荷61の条件を基にエネルギ消費量が最小となる運転状態を最適化演算して指令する。
【0097】
エネルギ消費量の算出は,冷水ポンプP61、冷却水ポンプP62、ポンプP63、冷凍機Rt、冷却塔Rrなどの機器特性と配管抵抗を設定し、冷凍機Rt、冷却塔Rr、冷水ポンプP61、冷却水ポンプP62、ポンプP63,冷却塔ファンの電力を運転条件から算出可能なシミュレータを用いる。
例えば、冷水ポンプP61、冷却水ポンプP62、ポンプP63の機器特性としては、流量Q−全楊程(図16(a))、流量Q−ポンプ電力(図16(b))が挙げられる。冷凍機Rtの機器特性としては、入出口温度差、冷却量(図12参照)で電力はどの位かなどの機器特性が挙げられる。冷却塔Rrの機器特性としては、流量−冷却量−電力の機器特性が挙げられる。
【0098】
熱源システムN6は、各運転状態において,往温度センサ64aで計測される冷水の往温度(冷水往温度)と、流量センサ63で計測される冷水流量と、還温度センサ64bで計測される冷水の還温度(冷水還温度)を用いる。
そして、往温度センサ64aで計測される冷水の往温度(冷水往温度)と還温度センサ64bで計測される冷水の還温度(冷水還温度)との温度差が小さく冷水流量が大きいときに,各熱源機器の冷凍機Rt、冷却塔Rr、これら冷凍機Rt、冷却塔Rrを含むシステムなどの冷水出口の温度設定を低くする。この際、各熱源機器の冷凍機Rt、冷却塔Rr、これら冷凍機Rt、冷却塔Rrを含むシステムなどの冷水出口(往路)の冷水の温度設定値が予め設定した最大負荷時の設定温度より低温に変更される場合がある。
一方、負荷61(61a、…)への冷水の往温度(冷水往温度)と還温度(冷水還温度)との温度差が設計値に近く冷水流量が小さい場合には、その状態を維持する制御を行う。
【0099】
なお、公知の負荷予測手段で冷却負荷予測を行って、ハンチング防止のために余裕をもって運転台数を減段する制御を行うことなく、予測結果に基づいて減段する制御を組み込んでもよい。
冷凍機Rtからの冷水出口の温度計測は,図17の往温度センサ64aで示すように、冷水往配管系に設置してもよく、或いは、送水側の冷凍機Rtの温度制御から取得してもよく,冷凍機Rtの温度出力がない場合にも対応可能である。
冷凍機Rtは、インバータ制御のターボ冷凍機でもよく,インバータ制御により部分負荷の省エネ化が図れる。
【0100】
実施形態1〜6によれば、設定流量において負荷と熱交換して流れる冷水の還り温度が設計時に設定した冷水還温度より低いときに、負荷に向かう冷水の往温度を低温化して、負荷側の温度差を大きくすることで、熱量当りのポンプ動力を下げて、エネルギの無駄を省いている。
【0101】
負荷側は、一般的なプレート式熱交換器,空調機に使われる冷却コイルなどの冷水温度を下げると出口の冷水との温度差が大きくなる熱交換器である。
冷熱源からの冷水の温度設定を演算器から出力した自動制御を行うことで、負荷の変動に応じて冷水温度を変更することで省エネ化が可能である。
冷熱源から負荷に送られる冷水の往温度(冷水往温度)が一定の場合に1台での冷熱源の流量が不足して、冷熱源の冷凍機の台数を増段する条件では,冷熱源から負荷に送る冷水の往温度(冷水往温度)を低温化することにより、負荷に対する流量を小さくでき,増段しない負荷範囲を広げることができる。
【0102】
図3に示すように、ターボ冷凍機は低負荷時(例えば1台当り30%負荷率)では、成績係数が小さい。そのため、2台当りの負荷が30%で2台運転になる場合に比べて,1台の60%運転とすることで、COP(成績係数)が高い運転ができ、ポンプの搬送動力の無駄を省くことができる。
冷水の流量を増やすと抵抗が増えるが、冷熱源の出口の温度を下げることで流量を減らし、冷熱源の冷凍機1台あたりの負荷率を大きくすることで、効率良く運転できる。
冷水の搬送系は,冷熱源側の1次、負荷側の2次ポンプ方式でもよく、二次側の負荷への冷水の往還温度差も大きくなる場合に流量が小さくなり、2次ポンプの動力も削減できる。
【0103】
本実施形態では、配管サイズも変わらないことから、冷凍機の更新時に負荷に送られる冷水の往温度(冷水往温度)の設定値を既定の設定温度よりも低温度とする対応で導入が可能である。
なお、前記実施形態では、熱媒体として水を例示して説明したが、水以外のものを熱媒体として用いてもよい。
また、前記実施形態1〜6では、それぞれの構成を個別に説明したが、実施形態1〜6の各構成を適宜任意に組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0104】
1、1a、51、51a、61、61a 負荷
2 演算器(第1制御手段、第2制御手段、第3制御手段)
3、53、63 流量センサ(負荷熱量計測手段、流量計測手段)
4、54 温度センサ(負荷熱量計測手段、冷水還温度計測手段)
64a 往温度センサ(負荷熱量計測手段)
64b 還温度センサ(負荷熱量計測手段、冷水還温度計測手段)
B 余裕量
N1、N2、N3、N4、N5、N6 熱源システム
P、P1、P2、P51、P51a、P51b、P61、P61a、P61b 冷水ポンプ(ポンプ)
P3、P3a、P3b、P53a、P53b、P63、P63a、P63b ポンプ
P52a、P52b、P62a、P62b 冷却水ポンプ(ポンプ)
r1、r2 冷水系統(配管)
R、R1、R2 冷熱源
Ra 高温側冷熱源(単位冷熱源)
Rb 低温側冷熱源(単位冷熱源)
Rt、Rt1、Rt2 冷凍機(冷熱源)
Ry 冷却塔(冷熱源)
t1 冷却水系統(配管)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体を該熱媒体が冷却される冷熱源および該冷却された熱媒体と負荷との熱交換が行われる熱交換器のうちの少なくとも何れかに送るポンプと、前記冷熱源と、前記負荷の熱交換器とが、前記熱媒体が流される配管で接続される熱源システムであって、
前記熱媒体が前記負荷と熱交換される熱量を計測する負荷熱量計測手段と、
前記負荷と熱交換が行われ前記冷熱源に還る前記熱媒体の温度を計測する冷水還温度計測手段と、
前記熱媒体の温度がその温度設定値より下り前記冷熱源の出口の熱媒体の温度設定値との差が所定の設定量より小さくなった場合、前記冷熱源の出口の前記熱媒体の温度設定値を下げる第1制御手段とを
有することを特徴とする熱源システム。
【請求項2】
熱媒体を該熱媒体が冷却される冷熱源および該冷却された熱媒体と負荷との熱交換が行われる熱交換器のうちの少なくとも何れかに送るポンプと、前記冷熱源と、前記負荷の熱交換器とが、前記熱媒体が流される配管で接続される熱源システムであって、
前記熱媒体が前記負荷と熱交換される熱量を計測する負荷熱量計測手段と、
前記負荷と熱交換が行われ前記冷熱源に還る前記熱媒体の温度を計測する冷水還温度計測手段と、
前記冷熱源の出口の熱媒体の温度設定値を予め設定した最大負荷時の設定温度より低温に変更する第2制御手段とを
有することを特徴とする熱源システム。
【請求項3】
請求項2に記載の熱源システムにおいて,
前記負荷と熱交換される前記熱媒体の流量を計測する流量計測手段を有し、
前記第2制御手段は、
前記熱媒体の流量が最大負荷時の所定の設定流量になった際に、前記熱媒体の温度が所定の設定温度よりも低い場合、前記冷熱源の出口の前記熱媒体の温度を前記所定の設定温度より低温にする
ことを特徴とする熱源システム。
【請求項4】
請求項2に記載の熱源システムにおいて,
前記負荷と熱交換される前記熱媒体の流量を計測する流量計測手段を有し、
前記冷熱源は、複数の単位冷熱源が直列に配置され、
前記第2制御手段は、前記熱媒体の流量と前記熱媒体の温度とを基に、前記複数の各々の単位冷熱源の出口の前記熱媒体の温度設定値を所定の設定値よりも低温化する
ことを特徴とする熱源システム。
【請求項5】
熱媒体を該熱媒体が冷却される冷熱源および該冷却された熱媒体と負荷との熱交換が行われる熱交換器のうちの少なくとも何れかに送るポンプと、前記冷熱源と、前記負荷の熱交換器とが、前記熱媒体が流される配管で接続される熱源システムであって、
前記熱媒体が前記負荷と熱交換される熱量を計測する負荷熱量計測手段と、
前記負荷と熱交換が行われ前記冷熱源に還る熱媒体の温度を計測する冷水還温度計測手段と、
前記負荷と熱交換される前記熱媒体の流量を計測する熱媒体流量計測手段と,
前記熱媒体の流量が、設定した高温化判定流量範囲にある場合には前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を上げる一方、設定した低温化判定流量範囲にあり、かつ、前記熱媒体の温度が所定の低温化判定温度未満の場合には前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を下げる第3制御手段とを
有することを特徴とする熱源システム。
【請求項6】
請求項5に記載の熱源システムにおいて,
前記第3制御手段は、
前記熱媒体の流量が設定した低温化判定流量範囲にあり、かつ、前記熱媒体の温度が所定の低温化判定温度と等しい場合には、前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の現在の温度設定値を維持し、
前記熱媒体の流量が設定した低温化判定流量範囲にあり、かつ、前記熱媒体の温度が所定の低温化判定温度より高い場合には、前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を上げる
ことを特徴とする熱源システム。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の熱源システムにおいて,
前記第3制御手段は、
前記熱媒体の流量が所定の最低流量未満の場合には、前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を上げ、
前記熱媒体の流量が所定の最低流量以上であり所定の最低流量に所定の余裕量加えた流量未満の場合には、前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の現在の温度設定値を維持する
ことを特徴とする熱源システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の熱源システムにおいて,
前記冷熱源は、複数有り、当該複数の冷熱源は台数制御される
ことを特徴とする熱源システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか一項に記載の熱源システムにおいて,
前記ポンプは、定格運転またはインバータ制御の運転が行われる
ことを特徴とする熱源システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れか一項に記載の熱源システムにおいて,
前記熱媒体は、水である
ことを特徴とする熱源システム。
【請求項11】
熱媒体を該熱媒体が冷却される冷熱源および該冷却された熱媒体と負荷との熱交換が行われる熱交換器のうちの少なくとも何れかに送るポンプと、前記冷熱源と、前記負荷の熱交換器とが、前記熱媒体が流される配管で接続される熱源システムの制御方法であって、
前記負荷と熱交換が行われ前記冷熱源に還る前記熱媒体の温度がその温度設定値より下り前記冷熱源の出口の熱媒体の温度設定値との差が所定の設定量より小さくなった場合、前記冷熱源の出口の前記熱媒体の温度設定値を下げる
ことを特徴とする熱源システムの制御方法。
【請求項12】
熱媒体を該熱媒体が冷却される冷熱源および該冷却された熱媒体と負荷との熱交換が行われる熱交換器のうちの少なくとも何れかに送るポンプと、前記冷熱源と、前記負荷の熱交換器とが、前記熱媒体が流される配管で接続される熱源システムの制御方法であって、
前記冷熱源の出口の前記熱媒体の温度設定値を予め設定した最大負荷時の設定温度より低温に変更する
ことを特徴とする熱源システムの制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の熱源システムの制御方法において,
前記負荷と熱交換される前記熱媒体の流量が最大負荷時の所定の設定流量になった際に、当該熱媒体の温度が所定の設定温度よりも低い場合、前記冷熱源の出口の前記熱媒体の温度を前記所定の設定温度より低温にする
ことを特徴とする熱源システムの制御方法。
【請求項14】
請求項12に記載の熱源システムの制御方法において,
前記冷熱源は、複数の単位冷熱源が直列に配置され、
前記負荷と熱交換される前記熱媒体の流量と温度とを基に、前記複数の各々の単位冷熱源の出口の前記熱媒体の温度設定値を所定の設定値よりも低温化する
ことを特徴とする熱源システムの制御方法。
【請求項15】
熱媒体を該熱媒体が冷却される冷熱源および該冷却された熱媒体と負荷との熱交換が行われる熱交換器のうちの少なくとも何れかに送るポンプと、前記冷熱源と、前記負荷の熱交換器とが、前記熱媒体が流される配管で接続される熱源システムの制御方法であって、
前記負荷と熱交換される前記熱媒体の流量が、設定した高温化判定流量範囲にある場合には前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を上げる一方、設定した低温化判定流量範囲にあり、かつ、当該熱媒体の温度が所定の低温化判定温度未満の場合には前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を下げる
ことを特徴とする熱源システムの制御方法。
【請求項16】
請求項15に記載の熱源システムの制御方法において,
前記熱媒体の流量が設定した低温化判定流量範囲にあり、かつ、当該熱媒体の温度が所定の低温化判定温度と等しい場合には、前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の現在の温度設定値を維持し、
前記熱媒体の流量が設定した低温化判定流量範囲にあり、かつ、当該熱媒体の温度が所定の低温化判定温度より高い場合には、前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を上げる
ことを特徴とする熱源システムの制御方法。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載の熱源システムの制御方法において,
前記熱媒体の流量が所定の最低流量未満の場合には、前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を上げ、
前記熱媒体の流量が所定の最低流量以上であり所定の最低流量に所定の余裕量加えた流量未満の場合には、前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の現在の温度設定値を維持する
ことを特徴とする熱源システムの制御方法。
【請求項18】
請求項11から請求項17の何れか一項に記載の熱源システムの制御方法において,
前記冷熱源は、複数有り、当該複数の冷熱源は台数制御される
ことを特徴とする熱源システムの制御方法。
【請求項19】
請求項10から請求項18の何れか一項に記載の熱源システムの制御方法を、コンピュータで実行させるためのプログラム。
【請求項1】
熱媒体を該熱媒体が冷却される冷熱源および該冷却された熱媒体と負荷との熱交換が行われる熱交換器のうちの少なくとも何れかに送るポンプと、前記冷熱源と、前記負荷の熱交換器とが、前記熱媒体が流される配管で接続される熱源システムであって、
前記熱媒体が前記負荷と熱交換される熱量を計測する負荷熱量計測手段と、
前記負荷と熱交換が行われ前記冷熱源に還る前記熱媒体の温度を計測する冷水還温度計測手段と、
前記熱媒体の温度がその温度設定値より下り前記冷熱源の出口の熱媒体の温度設定値との差が所定の設定量より小さくなった場合、前記冷熱源の出口の前記熱媒体の温度設定値を下げる第1制御手段とを
有することを特徴とする熱源システム。
【請求項2】
熱媒体を該熱媒体が冷却される冷熱源および該冷却された熱媒体と負荷との熱交換が行われる熱交換器のうちの少なくとも何れかに送るポンプと、前記冷熱源と、前記負荷の熱交換器とが、前記熱媒体が流される配管で接続される熱源システムであって、
前記熱媒体が前記負荷と熱交換される熱量を計測する負荷熱量計測手段と、
前記負荷と熱交換が行われ前記冷熱源に還る前記熱媒体の温度を計測する冷水還温度計測手段と、
前記冷熱源の出口の熱媒体の温度設定値を予め設定した最大負荷時の設定温度より低温に変更する第2制御手段とを
有することを特徴とする熱源システム。
【請求項3】
請求項2に記載の熱源システムにおいて,
前記負荷と熱交換される前記熱媒体の流量を計測する流量計測手段を有し、
前記第2制御手段は、
前記熱媒体の流量が最大負荷時の所定の設定流量になった際に、前記熱媒体の温度が所定の設定温度よりも低い場合、前記冷熱源の出口の前記熱媒体の温度を前記所定の設定温度より低温にする
ことを特徴とする熱源システム。
【請求項4】
請求項2に記載の熱源システムにおいて,
前記負荷と熱交換される前記熱媒体の流量を計測する流量計測手段を有し、
前記冷熱源は、複数の単位冷熱源が直列に配置され、
前記第2制御手段は、前記熱媒体の流量と前記熱媒体の温度とを基に、前記複数の各々の単位冷熱源の出口の前記熱媒体の温度設定値を所定の設定値よりも低温化する
ことを特徴とする熱源システム。
【請求項5】
熱媒体を該熱媒体が冷却される冷熱源および該冷却された熱媒体と負荷との熱交換が行われる熱交換器のうちの少なくとも何れかに送るポンプと、前記冷熱源と、前記負荷の熱交換器とが、前記熱媒体が流される配管で接続される熱源システムであって、
前記熱媒体が前記負荷と熱交換される熱量を計測する負荷熱量計測手段と、
前記負荷と熱交換が行われ前記冷熱源に還る熱媒体の温度を計測する冷水還温度計測手段と、
前記負荷と熱交換される前記熱媒体の流量を計測する熱媒体流量計測手段と,
前記熱媒体の流量が、設定した高温化判定流量範囲にある場合には前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を上げる一方、設定した低温化判定流量範囲にあり、かつ、前記熱媒体の温度が所定の低温化判定温度未満の場合には前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を下げる第3制御手段とを
有することを特徴とする熱源システム。
【請求項6】
請求項5に記載の熱源システムにおいて,
前記第3制御手段は、
前記熱媒体の流量が設定した低温化判定流量範囲にあり、かつ、前記熱媒体の温度が所定の低温化判定温度と等しい場合には、前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の現在の温度設定値を維持し、
前記熱媒体の流量が設定した低温化判定流量範囲にあり、かつ、前記熱媒体の温度が所定の低温化判定温度より高い場合には、前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を上げる
ことを特徴とする熱源システム。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の熱源システムにおいて,
前記第3制御手段は、
前記熱媒体の流量が所定の最低流量未満の場合には、前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を上げ、
前記熱媒体の流量が所定の最低流量以上であり所定の最低流量に所定の余裕量加えた流量未満の場合には、前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の現在の温度設定値を維持する
ことを特徴とする熱源システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の熱源システムにおいて,
前記冷熱源は、複数有り、当該複数の冷熱源は台数制御される
ことを特徴とする熱源システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか一項に記載の熱源システムにおいて,
前記ポンプは、定格運転またはインバータ制御の運転が行われる
ことを特徴とする熱源システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れか一項に記載の熱源システムにおいて,
前記熱媒体は、水である
ことを特徴とする熱源システム。
【請求項11】
熱媒体を該熱媒体が冷却される冷熱源および該冷却された熱媒体と負荷との熱交換が行われる熱交換器のうちの少なくとも何れかに送るポンプと、前記冷熱源と、前記負荷の熱交換器とが、前記熱媒体が流される配管で接続される熱源システムの制御方法であって、
前記負荷と熱交換が行われ前記冷熱源に還る前記熱媒体の温度がその温度設定値より下り前記冷熱源の出口の熱媒体の温度設定値との差が所定の設定量より小さくなった場合、前記冷熱源の出口の前記熱媒体の温度設定値を下げる
ことを特徴とする熱源システムの制御方法。
【請求項12】
熱媒体を該熱媒体が冷却される冷熱源および該冷却された熱媒体と負荷との熱交換が行われる熱交換器のうちの少なくとも何れかに送るポンプと、前記冷熱源と、前記負荷の熱交換器とが、前記熱媒体が流される配管で接続される熱源システムの制御方法であって、
前記冷熱源の出口の前記熱媒体の温度設定値を予め設定した最大負荷時の設定温度より低温に変更する
ことを特徴とする熱源システムの制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の熱源システムの制御方法において,
前記負荷と熱交換される前記熱媒体の流量が最大負荷時の所定の設定流量になった際に、当該熱媒体の温度が所定の設定温度よりも低い場合、前記冷熱源の出口の前記熱媒体の温度を前記所定の設定温度より低温にする
ことを特徴とする熱源システムの制御方法。
【請求項14】
請求項12に記載の熱源システムの制御方法において,
前記冷熱源は、複数の単位冷熱源が直列に配置され、
前記負荷と熱交換される前記熱媒体の流量と温度とを基に、前記複数の各々の単位冷熱源の出口の前記熱媒体の温度設定値を所定の設定値よりも低温化する
ことを特徴とする熱源システムの制御方法。
【請求項15】
熱媒体を該熱媒体が冷却される冷熱源および該冷却された熱媒体と負荷との熱交換が行われる熱交換器のうちの少なくとも何れかに送るポンプと、前記冷熱源と、前記負荷の熱交換器とが、前記熱媒体が流される配管で接続される熱源システムの制御方法であって、
前記負荷と熱交換される前記熱媒体の流量が、設定した高温化判定流量範囲にある場合には前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を上げる一方、設定した低温化判定流量範囲にあり、かつ、当該熱媒体の温度が所定の低温化判定温度未満の場合には前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を下げる
ことを特徴とする熱源システムの制御方法。
【請求項16】
請求項15に記載の熱源システムの制御方法において,
前記熱媒体の流量が設定した低温化判定流量範囲にあり、かつ、当該熱媒体の温度が所定の低温化判定温度と等しい場合には、前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の現在の温度設定値を維持し、
前記熱媒体の流量が設定した低温化判定流量範囲にあり、かつ、当該熱媒体の温度が所定の低温化判定温度より高い場合には、前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を上げる
ことを特徴とする熱源システムの制御方法。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載の熱源システムの制御方法において,
前記熱媒体の流量が所定の最低流量未満の場合には、前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の温度設定値を上げ、
前記熱媒体の流量が所定の最低流量以上であり所定の最低流量に所定の余裕量加えた流量未満の場合には、前記冷熱源で冷却される前記熱媒体の現在の温度設定値を維持する
ことを特徴とする熱源システムの制御方法。
【請求項18】
請求項11から請求項17の何れか一項に記載の熱源システムの制御方法において,
前記冷熱源は、複数有り、当該複数の冷熱源は台数制御される
ことを特徴とする熱源システムの制御方法。
【請求項19】
請求項10から請求項18の何れか一項に記載の熱源システムの制御方法を、コンピュータで実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−145263(P2012−145263A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3409(P2011−3409)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]