説明

熱源機

【課題】精度の高い他栓使用判定を実施可能な熱源機を提供する。
【解決手段】
出湯管が一般給湯管と風呂自動落とし込み管とに分岐しており、一般給湯と風呂自動落とし込みとを実施可能である熱源機において、風呂自動落とし込み時に一般給湯の使用の有無を判定する他栓使用判定を実施する。加えて、この他栓使用判定の判定結果の正誤性を判定する判定動作を実施する。さらに、この判定動作によって他栓使用判定の判定結果が誤りであると判定されたとき、他栓使用判定で使用する流量、熱量、基準値等の情報を一般給湯の使用なしと判定され易い方向に補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一般給湯と風呂自動落とし込みとを実施可能な熱源機において、風呂自動落とし込みの実施時に他の給湯栓が使用されたか否かを判別する他栓使用判定機能を有する熱源機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外部から供給された湯水を適宜加熱して一般給湯と風呂の自動落とし込みの両方に使用する熱源機が広く一般に知られている。これらの熱源機では、風呂の自動落とし込みの途中で一般給湯の要求があったとき、一般給湯を優先する制御が行われている。即ち、風呂の自動落とし込みを一旦停止し、一般給湯で要求される温度に応じて燃焼機の燃焼量や湯水の流量を調整するといった制御が一般的に行われている。そのため、このような熱源機では、風呂自動落とし込みの実施時に他の給湯栓が使用されたか否かを判別する他栓使用判定を行っている。
【0003】
他栓使用判定を行う方法として、湯水を加熱する熱交換器の上流側と風呂落とし込み管とにそれぞれ流量センサを設け、この流量センサを使用して熱交換器に流入する湯水の流量と風呂落とし込みに使用する湯水の流量とを比較する方法が知られている。即ち、熱交換器に流入する湯水の流量と風呂落とし込みに使用する湯水の流量とを比較し、風呂落とし込みに使用する湯水の流量が熱交換器に流入する湯水の流量に対して少なくなっていれば、他栓で湯水が使用されていると判断するという方法である。
即ち、熱源機に供給される水の総量と、浴槽に供給される湯量を直接的に測定し、両者の間に所定の差があれば他栓が使用されていると判断する方法である。
【0004】
また、本件出願人らは他栓使用判定の1つの方法を提案している(特許文献1)。本件出願人らが提案した他栓使用判定の方法は、熱交換器の出湯の熱量と風呂自動落とし込み流の熱量とを比較し、熱交換器の出湯の熱量が風呂自動落とし込み流の熱量に対して大であれば、他栓で湯水が使用されていると判断するという方法である。
即ち、熱源機によって発生する熱量と、浴槽に供給される熱量を直接的に又は演算によって検出し、両者の間に所定の差があれば他栓が使用されていると判断する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許2522129号公報
【0006】
しかしながら、上記したいずれの方法であっても、流量センサや温度センサの検知誤差が他栓使用判定の結果に影響を与えてしまうおそれがあった。即ち、流量センサや温度センサには構造上発生してしまう誤差が存在し、流量又は温度に誤差がある状態でこれらの値から熱量を計算すると、算出された熱量の値の精度が低くなる。そして、精度の低い熱量の値を基準に他栓使用判定を行うことで誤判定してしまうという問題がおこる可能性があった。
また、上記したいずれの方法であっても、複数のセンサの検出値に基づいて他栓使用の有無を判断するので、演算値や検出値の誤差が積算されてしまう場合がある。特にセンサの刻み幅(各センサの最小上昇幅及び/又は最小下降幅)が大きい場合には、誤差の積算量が無視できないものとなってしまう場合がある。そして、センサ刻み幅が大きい場合には、センサが正確であったとしても演算値等に大きな誤差が生じてしまう場合がある。
例えば、温度センサの刻み幅が0.5度であったとき、即ち、0.5度刻みでしか温度を検知できない温度センサを使用して温度検知を行ったとする。この温度センサによると、摂氏30度、30.5度、40度といった様に0.5度刻みでしか検知温度を出力することができない。そのため、例えば、実際の温度が30.3度であった場合、30度又は30.5度と出力されてしまう。
この場合、検知出力が、30度と出力されても30.5度と出力されても実際の温度(30.3度)との間には誤差がある。
そして複数のセンサの検出値に基づいて他栓使用の有無を判断する場合には、この誤差が積算され、演算結果が実際の値から離れたものとなってしまい、他栓判定が狂ってしまう場合がある。
また、他栓使用判定で誤判定してしまうと、風呂自動落とし込みが停止してしまったり、給湯栓から供給される湯水を要求される温度とすることが出来なくなるといった問題が発生してしまう。そして、このような問題は、熱源機を提供する上での重大な問題となるおそれがある。
なお、本明細書における最小上昇幅(最小下降幅)とは、各センサの示す値が上昇(下降)するときに、増加(減少)する値の最小値のことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、流量センサや温度センサの検知誤差が発生しても精度の高い他栓使用判定を実施可能な熱源機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、熱交換器と、熱交換器の上流側に位置して少なくとも熱交換器に供給される湯水が流れる入水管と、熱交換器の下流側に位置して熱交換器を通過する湯水が流れる出湯管とを有し、前記出湯管の下流側は少なくとも一般給湯管と風呂自動落とし込み管とに分岐し、前記熱交換器で加熱された湯水を前記一般給湯管に流して他栓に湯水を供給する一般給湯と、前記熱交換器で加熱された湯水を前記風呂自動落とし込み管に流して浴槽に湯水を供給する風呂自動落とし込みとを実施可能であり、風呂自動落とし込みを実行している際に一般給湯がなされているか否かを判定する他栓使用判定が実施される熱源機において、前記入水管を流れる湯水の温度、流量、又は前記出湯管を流れる湯水の温度、流量の4情報の内の1又はそれ以上の情報を検知して、熱源機を通過する湯水の総流量又は熱源機で加熱される湯水の総熱量を検知又は演算により予測して熱源機側情報とし、前記風呂自動落とし込み管を流れる湯水の温度、流量の2情報の内の1又はそれ以上の情報を検知して、前記風呂自動落とし込み管を流れる湯水の流量、又は前記風呂自動落とし込み管を流れる湯水の熱量を検知又は演算により予測して風呂自動落とし込み側情報とし、前記熱源機側情報と前記風呂自動落とし込み側情報に基づいて、前記一般給湯管を流れる湯水の流量又は熱量を演算して一般給湯側情報とし、前記他栓使用判定は、前記一般給湯側情報が所定の他栓使用判定基準値以上であった場合に一般給湯がなされていると判定するものであり、前記他栓使用判定で一般給湯がなされていると判定された場合には、風呂自動落とし込みを停止して他栓使用判定の正誤を判定する判定動作を実施し、当該判定動作は、風呂自動落とし込みを停止した状態において前記入水管を実際に流れる湯水の流量が所定の正誤判定基準値未満である場合に他栓使用判定が誤りであると判定し、他栓使用判定が誤りであると判定された場合、前記一般給湯側情報と、前記他栓使用判定基準値の少なくともいずれかを一般給湯がなされていないと判定され易い方向に補正することを特徴とする熱源機である。
【0009】
本発明の熱源機では、演算された一般給湯管を流れる湯水の流量又は熱量である一般給湯側情報が、所定の他栓使用判定基準値以上であった場合に一般給湯がなされていると判定する。このことにより、実際には一般給湯の使用が無いにも関わらず、温度センサ又は流量センサで取得した値やそれらに基づく値の誤差に起因して一般給湯管に微量な湯水が流れていると誤検知されてしまっても、センサ誤差が他栓使用判定基準値に包含されるので、一般給湯の使用がないことを正しく判定することができる。
【0010】
さらに、本発明の熱源機は、他栓使用判定で一般給湯がなされていると判定された場合、風呂自動落とし込みを停止して他栓使用判定の正誤を判定する判定動作を実施する。そのため、実際には一般給湯の使用がないにも関わらず、温度センサ又は流量センサで取得した値やそれらに基づく値の誤差に起因して、一般給湯管に湯水が流れていると判定される誤判定をさらに確実に防止できる。つまり、他栓使用判定の正誤を判定する判定動作によって、他栓使用判定における判定結果が正しかったか否かを検証できるので、他栓使用判定の精度を高くすることができる。
【0011】
また、本発明の熱源機は、他栓使用判定において、一般給湯管の使用がないにも関わらず、一般給湯管の使用ありと判定される誤判定があった場合、一般給湯管を流れる湯水の流量又は熱量である一般給湯側情報と、所定の他栓使用判定基準値との少なくともいずれかを一般給湯がなされていないと判定され易い方向に補正する。即ち、一般給湯の使用がないにも関わらず、各種センサの取得した値、又はそれに基づく値の誤差によって他栓使用判定で一般給湯の使用ありと判定されてしまった場合、他栓使用判定で使用される値を、発生した誤差を包含する値に補正する。具体的に説明すると、本発明の熱源機では、他栓使用判定の正誤を判定する判定動作によって、他栓使用判定の判定結果が誤りであると判定されたとき、一般給湯側情報であるところの一般給湯管に流れる湯水の流量の値又は熱量の値を下げるか、他栓使用判定基準値を上げている。即ち、一般給湯の使用が無いにも関わらず、他栓使用判定で一般給湯の使用ありと判定されてしまった場合、誤差によって一般給湯管に一定以上の湯水が流れている(一般給湯で熱量が使用されている)と検知してしまったことが考えられる。つまり、実際の湯水の流量(熱量)ではなく、各センサの検知誤差によって発生、あるいは増加されてしまった湯水の流量(熱量)が検知されたことが考えられる。したがって、演算された湯水の流量(熱量)の値の値を下げるか、他栓使用判定基準値を上げることにより、誤差によって発生、又は増加した湯水の流量(熱量)を包含した湯水の流量(熱量)の値を対象として、他栓使用判定を行うことができる。このことにより、再度実施する他栓使用判定において、各センサの検知誤差を包含した基準で他栓の使用の有無を判断できるので、判定結果の精度が高くなる。
なお、上記した湯水の流量や熱量は、センサ等により直接取得してもよく、センサ等が取得した値から演算によって算出してもよい。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記入水管と前記出湯管とを結んで前記熱交換器をバイパスするバイパス管と、バイパス流量調整弁を備え、当該バイパス流量調整弁は開度を可変することが可能であって前記バイパス管を流れる湯水の量を増減するものであり、前記熱交換器で加熱された湯水に前記バイパス管を流れる湯水が混合されて下流側の前記一般給湯管と前記風呂自動落とし込み管に供給され、前記入水管の一部であって前記バイパス管が接続された部位よりも下流側の位置に前記入水管を流れる湯水の流量を検知する入水流量センサが設けられ、前記他栓使用判定を実行する際には、前記バイパス流量調整弁の開度を固定して前記熱交換器に至る湯水と前記バイパス管を流れる湯水との分配比率を固定し、前記入水流量センサの検出値と、前記分配比率によって熱源機を通過する湯水の総流量を演算により予測して熱源機側情報とすることを特徴とする請求項1に記載の熱源機である。
【0013】
本発明では、前記入水管と前記出湯管とを結んで前記熱交換器をバイパスするバイパス管と、バイパス流量調整弁を備え、当該バイパス流量調整弁は開度を可変することが可能であって前記バイパス管を流れる湯水の量を増減するものであり、前記熱交換器で加熱された湯水に前記バイパス管を流れる湯水が混合されて下流側の前記一般給湯管と前記風呂自動落とし込み管に供給され、前記入水管の一部であって前記バイパス管が接続された部位よりも下流側の位置に前記入水管を流れる湯水の流量を検知する入水流量センサが設けられた構成の熱源機において、他栓使用判定を実行する。また、このとき、前記バイパス流量調整弁の開度を固定して前記熱交換器に至る湯水と前記バイパス管を流れる湯水との分配比率を固定し、前記入水流量センサの検出値と、前記分配比率によって熱源機を通過する湯水の総流量を演算により予測して熱源機側情報とする。
本発明の他栓使用判定は、このように熱源機側情報を取得した場合においても、正確に実施することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記判定動作において、一般給湯の使用なしと判定され易い方向に補正した後、補正した値によって、前記他栓使用判定を再度実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱源機である。
【0015】
本発明の熱源機は、補正した値によって、他栓使用判定を再度実施する。このことにより、発生した誤差を包含する値で他栓使用判定を実施できるので、再び実施する他栓使用判定において、同様の誤判定が発生しない。したがって、精度の高い他栓使用判定が可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、燃焼部を有し、前記熱交換器は、前記燃焼部における燃焼によって加熱されるものであり、前記燃焼部は、前記入水管に燃焼最小限度流量の湯水が流れていることを条件の一つとして燃焼運転をするものであり、前記正誤判定基準値が、前記燃焼最小限度流量と等しいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱源機である。
【0017】
本発明の熱源機では、風呂自動落とし込みを停止した状態において、入水管に入水された湯水の水量が、燃焼部における燃焼の開始に最低限必要な燃焼最小限度流量以上で有るか否かを判別することにより、他栓使用判定の判定結果をさらに判定する判定動作を実施する。具体的に説明すると、本発明の熱源機が行う判定動作では、風呂自動落とし込みを停止した状態において、熱源機の入水管でMOQ(燃焼最小限度流量であり、以下、最低作動流量とも称す)が検知されたとき、一般給湯で使用されている湯水が流入しているものと判断し、一般給湯が使用されているとする。対して、風呂自動落とし込みを停止した状態において、熱源機の入水管でMOQ(最低作動流量)が検知されなかったとき、湯水が流入されておらず、一般給湯が使用されていないとする。そして、一般給湯が使用されていない場合、一般給湯で湯水が使用されているとした他栓使用判定の判定結果を誤りとする。
即ち、入水管に燃焼最小限度流量以上の湯水が流れている場合、一般給湯で湯水が使用されている可能性が十分に高いので、燃焼最小限度流量を基準に一般給湯が実際に使用されているか否かを判定すると、より正確に他栓使用判定の判定結果が正しかったか否かを検証することができる。加えて、燃焼最小限度流量を判定動作の基準とすると、他栓使用判定の判定結果が正しく、一般給湯が実際に使用されていたとき、すぐに燃焼部で燃焼動作を開始(着火動作を開始)することができるという利点がある。
ところで、上記した「入水管でMOQ(最低作動流量)が検知される」とは、入水管と出湯管とを結ぶバイパス管を備えた熱源機の場合、入水管から熱交換器側に供給される湯水だけでなく、バイパス管を流れる湯水を含めた熱源機に対する入水流量が、MOQ(最低作動流量)以上であると算出されることを含むものとする。なお、バイパス管を流れる湯水を含めた入水流量を取得するとき、バイパス流量調整弁の開度を固定する等によって、入水管において熱交換器側へ向かう湯水の水量と、バイパス管を通過する湯水の水量との割合(以下バイパス比率とも称す)が変化しないようにした状態で取得する。換言すると、入水管において熱交換器へ向かう湯水の水量と、バイパス比率とから入水流量を取得する。
【0018】
請求項5に記載の発明は、熱源機を通過する湯水の総流量を前記熱源機側情報とし、前記風呂自動落とし込み管を流れる湯水の流量を前記風呂自動落とし込み側情報とし、両者の差を前記一般給湯側情報とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱源機である。
【0019】
本発明の熱源機は、熱源機を通過する湯水の総流量を前記熱源機側情報とし、前記風呂自動落とし込み管を流れる湯水の流量を前記風呂自動落とし込み側情報とし、両者の差を前記一般給湯側情報とする構成となっている。このような構成であっても、精度の高い他栓使用判定を実施することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、精度の高い他栓使用判定を実施可能な熱源機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1又は第2の実施形態に係る熱源機を示す作動原理図である。
【図2】本発明の第1又は第2の実施形態の他栓使用判定の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る熱源機について詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0023】
本発明の第1の実施形態の熱源機1は、外部から供給される燃焼ガスを燃焼する燃焼装置2と、湯水を給湯栓61から出湯させる一般給湯運転を行う給湯系統3と、浴槽10の湯水を循環させて適宜加熱する追い焚き運転及び湯水の浴槽10への自動落とし込み運転を行う風呂系統4を備えている。
そして熱源機1はコントローラ5を備えており、コントローラ5が熱源機1の各部に動作指令を出すことにより、熱源機1が各種運転を実施する。
【0024】
燃焼装置2は、燃焼部22と、燃焼部22で燃焼して生成された燃焼ガスの熱エネルギーを回収して湯水を加熱する一次熱交換器23及び二次熱交換器24と、燃焼装置2に空気を供給する送風機28とを備えている。
燃焼部22は、図示しない燃料供給源からガス供給路12を介して燃料ガスが供給されるものである。そして、ガス供給路12にはガス比例弁13が設けられており、ガス比例弁13は、燃焼部22に供給されるガス量を調節する機能を備えている。
なお、一次熱交換器23は主に顕熱を回収して湯水が加熱されるものであり、二次熱交換器24は一次熱交換器23より燃焼ガスの流れ方向下流側に位置し燃焼ガスに含まれる水蒸気の主に潜熱を回収して湯水が加熱されるものである。そして一次熱交換器には、給湯系統3側の湯水を加熱する給湯用熱交換部25と、風呂系統4側の湯水を加熱する風呂熱交換部26とが設けられている。
【0025】
給湯系統3は、入水管41と、出湯管44と、入水管41と出湯管44とをバイパスするバイパス管50とを備えている。
【0026】
入水管41は、図示しない給水源から供給される湯水を二次熱交換器24及び一次熱交換器23に流すための配管である。入水管41の中途には、入水流量センサ46と入水温度センサ47が設けられている。
なお、入水流量センサ46及び入水温度センサ47は、入水管41におけるバイパス管50の接続部より湯水の流れ方向下流側に配置され、コントローラ5と電気的に接続されている。
【0027】
出湯管44は、湯水の流れ方向下流側で一般給湯管60と風呂自動落とし込み管70とに分岐している。そして、一般給湯管60及び風呂自動落とし込み管70に湯水を供給するものである。出湯管44の湯水の流れ方向上流側であって燃焼装置2の近傍には出湯温度センサ49(高温側出湯温度センサ)が設けられている。
また、出湯管44の下流側であって、バイパス管50の接続部よりもさらに下流側には、最終出湯温度センサ30が設けられている。
一般給湯管60は、燃焼装置2を通過した湯水をシャワーやカラン等の給湯栓61に供給するものである。
風呂自動落とし込み管70は、風呂系統4の風呂戻り管31と出湯管44とを接続するものである。そして風呂自動落とし込み管70には、上流側から風呂用流量センサ36、注湯電磁弁71、水位センサ73が設けられ、これらはコントローラ5と電気的に接続されている。
【0028】
風呂系統4は、浴槽10を含む循環流路を形成するものであり、浴槽10側から燃焼装置2の風呂熱交換部26側に湯水を戻す風呂戻り管31と、風呂熱交換部26側から浴槽10に湯水を送りだす風呂往き管32とを備えている。
浴槽10には、その壁面に循環アダプタ11が取付けられている。循環アダプタ11は浴槽10内外を連通するものであり、風呂戻り管31及び風呂往き管32が接続されている。
風呂戻り管31には、風呂用ポンプ34、水流スイッチ35、風呂用温度センサ37が設けられている。なお、水流スイッチ35と風呂用温度センサ37は、風呂戻り管31における風呂自動落とし込み管70の接続部より湯水の流れ方向下流側に配置され、コントローラ5と電気的に接続されている。
【0029】
コントローラ5は、マイクロコンピュータ(図示せず)が内蔵されており、熱源機1の各種センサが取得した情報を記憶、演算することが可能となっている。そしてコントローラ5は、リモコン(図示せず)等の指令や熱源機1の各種センサ等の情報に基づいて、熱源機1の各部に動作指令を出すものである。
【0030】
次に本実施形態の熱源機1の動作について説明する。
本実施形態の熱源機1は、図示しない給水源から湯水を供給されて使用するものである。即ち、給水源から湯水を供給され、入水流量センサ46が検知した値から、入水管41で燃焼装置2のMOQ(最低作動流量)以上の入水流量が検出されると、熱源機1は燃焼装置2の燃焼部22を動作させて湯水を昇温する燃焼動作を行う。
なお、本実施形態において、「MOQ(最低作動流量)以上の入水流量」とは、入水管41から一次熱交換器23及び二次熱交換器24(熱交換器)側に供給される湯水だけでなく、バイパス管50を流れる湯水を含めた熱源機1に対する入水流量が、MOQ(最低作動流量)以上であることとする。また、バイパス管50を流れる湯水を含めた入水流量を取得するとき、バイパス流量調整弁51の開度を固定する等により、入水管41において燃焼装置2側へ向かう湯水の水量と、バイパス管50を通過する湯水の水量との割合(以下バイパス比率とも称す)が変化しないようにした状態で取得する。即ち、入水管41において燃焼装置2側へ向かう湯水の水量と、バイパス比率に基づいて入水流量を算出する。
【0031】
そして本実施形態の熱源機1は、風呂追い焚き運転、風呂自動落とし込み運転、給湯運転を実施可能となっている。各運転についてそれぞれ説明する。
【0032】
[風呂追い焚き運転]
図示しないリモコン等で風呂追い焚き運転が要求されると、風呂用ポンプ34が動作され、浴槽10内の湯水が燃焼装置2の風呂熱交換部26に送られて昇温する。そして昇温された湯水は、風呂往き管32を経て浴槽10に戻される。
【0033】
[風呂自動落とし込み運転]
図示しないリモコン等で風呂自動落とし込み運転が要求されると、注湯電磁弁71が開いた状態となる。そして図示しない給水源から供給された湯水が入水管41を流れて燃焼装置2へ導入され、二次熱交換器24、一次熱交換器23の給湯用熱交換部25を経て出湯管44へ出湯する。このとき、湯水は二次熱交換器24及び一次熱交換器23を通過する際に昇温される。そして、出湯管44へ出湯した湯水はバイパス管50を通過した湯水と混合され、風呂自動落とし込み管70を介して風呂戻り管31に出湯され、浴槽10へと落とし込まれる。
【0034】
[給湯運転]
給湯栓61等が操作されて出湯要求があると、図示しない給水源から供給された湯水が入水管41を流れて燃焼装置2へ導入され、二次熱交換器24、一次熱交換器23の給湯用熱交換部25を経て出湯管44へ出湯する。このとき、湯水は二次熱交換器24及び一次熱交換器23を通過すると共に昇温される。そして、出湯管44へ出湯した湯水はバイパス管50を通過した湯水と混合され、一般給湯管60へと出湯される。そして一般給湯管60から給湯栓61へと供給される。
【0035】
ここで、熱源機1が行う各運転には優先順位が設定されており、例えば、風呂自動落とし込み運転中に給湯栓61が開かれて給湯運転が要求された場合、熱源機1は風呂自動落とし込み運転を一次的に停止して給湯運転を実施する。
【0036】
換言すると、本発明の熱源機1は、風呂自動落とし込み運転を実施している間、給湯栓61が使用されたか否かを判定する他栓使用判定を実施するものである。ここで本発明の特徴的な動作である他栓使用判定につき、以下で詳細に説明する。
【0037】
まず燃焼動作時おける他栓使用判定について図2を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態の熱源機1では、風呂自動落とし込み運転を開始され注湯電磁弁71が開かれると(ステップ1)、燃焼装置2の燃焼部22が燃焼動作を開始する。さらにこのとき、他栓(一般給湯)が使用されていないことを前提として、他栓使用判定を開始する。換言すると、他栓が使用されている場合は、風呂自動落とし込み運転は開始しない構成となっている。本実施形態の熱源機1では、風呂自動落とし込み運転の開始と共に他栓使用判定を開始し、風呂自動落とし込み運転中に一般給湯の使用があれば、それを検出可能な構成としている。
【0038】
他栓使用判定を開始されると、ステップ2に進んで他栓使用流量AQ1(一般給湯側情報)を演算する。
具体的には、まず、コントローラ5が、入水温度センサ47が取得した入水温度T1と、出湯温度センサ49(高温側出湯温度センサ)が取得した高温側の出湯温度T2と、最終出湯温度センサ30又は風呂用温度センサ37が取得した落とし込み温度T3と、入水流量センサ46が取得した缶体流量Q1と、風呂用流量センサ36が取得した落とし込み流量Q2から、缶体入熱量J1(熱源機側情報)を下記式(1):
J1=Q1×(T2−T1) ・・・(1)
によって演算すると共に、注湯熱量J2(風呂自動落とし込み側情報)を下記式(2):
J2=Q2×(T3−T1) ・・・(2)
によって演算する。
【0039】
そして、演算された缶体入熱量J1、注湯熱量J2と、入水温度センサ47又は風呂用温度センサ37によってそれぞれ取得した落とし込み温度T3、入水温度T1から他栓使用流量AQ1を下記式(3):
AQ1=(J1−J2)/(T3−T1) ・・・(3)
によって演算する。
【0040】
次に基準値C(他栓使用判定基準値)の値を所定の初期値とする(ステップ3)。ここで、基準値Cの初期値は任意の値に設定可能であり、適時変更してよい。なお、本実施形態では基準値Cの初期値を3L/minとする。
ここで、本実施形態の基準値Cの初期値は、MOQ(最低作動流量)と同じ値となっている。換言すると、本実施形態の燃焼装置2の燃焼部22は、一次熱交換器23及び二次熱交換器24(熱交換器)側に供給される湯水と、バイパス管50を流れる湯水との総流量が3L/min以上であるとき、燃焼動作を実施できる構成となっている。
【0041】
そして、ステップ3で算出された他栓使用流量AQ1と基準値Cとを比較する(ステップ4)。
【0042】
このとき、他栓使用流量AQ1が基準値Cを下回っていれば(ステップ4でNoの場合)、他栓(給湯栓61等)で湯水が使用されていないものと判定し、風呂自動落とし込み運転中に一般給湯が要求されていないとする(ステップ8)。この場合、注湯電磁弁71は、開かれた状態を維持しており、浴槽10への湯の落とし込みは継続される。そして、水位センサ73等から取得した情報や、入水流量センサ46の検出値の積算量によって、浴槽10に風呂自動落とし込み運転で要求された水量が落とし込まれたどうかを判定する(ステップ9)。
【0043】
このとき浴槽10に要求された水量が落とし込まれていなければ(ステップ9でNoの場合)、ステップ2に戻って他栓使用流量AQ1を再び演算する。そして、ステップ3以降の処理を実施する。即ち、ステップ2乃至ステップ9の処理を繰り返し、他栓が使用されないか(一般給湯が要求されていないか)を監視する。
また、浴槽10に要求された水量が落とし込まれていれば(ステップ9でYesの場合)、注湯電磁弁71を閉じて(ステップ10)風呂自動落とし込み運転及び他栓使用判定を終了する。このとき、すでに幾らかの湯が浴槽10に落とし込まれている場合には、引き続き残りの量の湯が浴槽10に供給される。
【0044】
これに対して、ステップ4で他栓使用流量AQ1が基準値Cと同じ、又は他栓使用流量AQ1が基準値Cを上回っていれば(ステップ4でYesの場合)、他栓(給湯栓61等)で湯水が使用されているものと判定する。即ち、他栓使用判定において、風呂自動落とし込み運転中に一般給湯が要求されたものと判定する。
【0045】
このとき、注湯電磁弁71を閉じ(ステップ5)、ステップ4で行った他栓使用判定の正誤を検証する(ステップ6)。即ち、風呂自動落とし込み運転中に一般給湯が要求されたと判定した他栓使用判定の判定結果が正しかったか否かを判定する判定動作を実施する。換言すると、判定動作によって、他栓使用判定の判定結果の正誤を判定する。
【0046】
具体的には、判定動作では、注湯電磁弁71を閉じた状態で、入水管41を流れる湯水の流量を入水流量センサ46で取得する。
そして、入水流量センサ46が取得した流量の値に基づいて、入水流量がMOQ(最低作動流量)以上あることが検出された場合、他栓(給湯栓61等)で湯水が使用されていると判定とする。即ち、一般給湯が要求されており、他栓使用判定における判定結果が正しかったと判定する。
これに対して、入水流量が燃焼装置2のMOQ(最低作動流量)を下回った場合、他栓(給湯栓61等)で湯水が使用されていないと判定する。即ち、一般給湯が要求されておらず、他栓使用判定における判定結果が誤っていたと判定する。
【0047】
他栓使用判定の判定結果を判定動作によって判定した結果、他栓使用判定における判定結果が正しかった場合(ステップ6でNoの場合)、換言すると、他栓使用判定で一般給湯が要求された判定され、その後他栓使用判定の判定結果を判定しても他栓使用判定に誤りが無かった場合、風呂自動落とし込み運転中に給湯運転が要求されたとする(ステップ7)。そして、そのまま注湯電磁弁71を閉じた状態を維持して、風呂自動落とし込み運転を中断し、他栓使用判定を終了する。
なお、割り込んで実施した給湯運転が終了した後で風呂自動落とし込み運転が再開される場合、他栓使用判定も再びステップ1から実施される。
【0048】
これ対して、他栓使用判定の判定結果を判定した結果、他栓使用判定における判定結果が誤っていた場合(ステップ6でYesの場合)、ステップ11へ移行して、基準値Cの値が上限値であるか否かを確認する。ここで、基準値Cの上限値(最大値)は任意の値に設定可能であり、適時変更してよい。なお、本実施形態では基準値Cの上限値を5L/minとする。
【0049】
ここで、基準値Cの値が上限値でなかった場合、ステップ16へ移行して基準値Cの値を補正する。具体的には、基準値Cを下記式(4):
C=C+α・・・(4)
によって演算する。即ち、現在の基準値Cに所定の値αを加えた値を新たな基準値Cとする。ここで、本実施形態では、所定の値αは0より大きな数であって、具体的には0.5となっている。したがって、仮に補正前の基準値Cが初期値3.0L/minであれば、補正後の基準値Cは、3.0+0.5=3.5L/minとなる。このとき、所定の値αは、各センサの刻み幅(各センサの最小上昇幅及び/又は最小下降幅)や、各センサの誤差による他栓使用流量AQ1の誤差(複数のセンサの全てで誤差が発生し、発生した全ての誤差が他栓使用判定において一般給湯が要求されたと判定される方向に働いてしまったと仮定した場合に他栓使用流量AQ1に発生する誤差)に基づいて決定してよい。所定の値αは、任意の値に設定可能であり、適時変更してよい。
なお、所定の値αは特に限定されるものではないが、通常は、0.1L/minから0.8L/min程度となっている。即ち、所定の値αは、MOQの5%(パーセント)から30%(パーセント)程度となっている。
【0050】
このように、他栓使用判定における一般給湯の使用なしと判定される閾値を下げる(基準値Cを他栓使用判定で一般給湯の使用なしと判定され易いように補正する)ことにより、他栓使用流量AQ1に誤差が包含されているものとして、他栓使用判定を実施することができる。
【0051】
そして、基準値Cを補正すると、ステップ17に進んで注湯電磁弁71を開く。そして、ステップ4へと移行して、他栓使用流量AQ1と補正した基準値Cとを比較する他栓使用判定を実施する。換言すると、新たな基準値Cでステップ4以降の処理を実施する。
【0052】
これに対して、ステップ11で基準値Cが既に上限値であった場合、即ち、基準値Cの値が補正によって上昇し、基準値Cが上限値に到達している場合、ステップ12へ移行して他栓使用判定の判定結果をさらに判定する。つまり、他栓使用判定の判定結果の正誤性を判定動作によって判定した結果、他栓使用判定における判定結果が誤っており(ステップ6でYes)判定動作の正誤判定の対象となる他栓使用判定の実施時において、基準値Cが上限値であった場合(ステップ11でYesの場合)には、さらに他栓使用判定の判定結果を判定する(ステップ12)。
【0053】
換言すると、基準値Cが上限値まで上昇して他栓使用判定を実施したにも関わらず、他栓使用判定で風呂自動落とし込み運転中に一般給湯が要求されたものと判定され、且つ他栓使用判定が判定動作によって誤りであったと判定された場合、判定動作の正誤性を検証すべく、再び、風呂自動落とし込み運転中に一般給湯が要求されたか否かを確認する。
【0054】
具体的には、上記した判定動作と同様の動作を所定回数T(例えば30回)だけ繰り返し実施する。即ち、注湯電磁弁71を閉じた状態で、入水管41を流れる湯水の流量を入水流量センサ46で取得する。そして、入水流量センサ46が取得した値に基づいて、入水流量がMOQ(最低作動流量)以上であったか否かを判定する。
そして、入水流量がMOQ(最低作動流量)以上であった場合、他栓(給湯栓61等)で湯水が使用されているとする。対して、入水流量がMOQ(最低作動流量)を下回った場合、他栓(給湯栓61等)で湯水が使用されていないとする。
【0055】
このとき、他栓(給湯栓61等)で湯水の使用が確認されると(ステップ13でYesの場合)、他栓使用判定の判定結果が正しく、判定動作が誤りであったとする。即ち、風呂自動落とし込み運転中に給湯運転が要求されたとする他栓使用判定の判定結果(ステップ4の結果)が正しく、これを誤りとする判定動作の判定(ステップ6の結果)が誤っていたとする。つまり、風呂自動落とし込み運転中に給湯運転が要求されたとする(ステップ7)。そして、そのまま注湯電磁弁71を閉じた状態を維持して、風呂自動落とし込み運転を中断し、他栓使用判定を終了する。
【0056】
一方、入水流量がMOQ(最低作動流量)以上であったか否かを判定する動作を所定の回数Tだけ実施しても、他栓(給湯栓61等)で湯水の使用が確認されなかった場合(ステップ13でNoであり、ステップ14でYesの場合)、図示しないリモコン等にエラーメッセージを表示して、風呂自動落とし込み運転を中断し、他栓使用判定を終了する(ステップ15)。即ち、何らかの原因で他栓使用判定動作が正常に実施できないものと判断して、熱源機1の各動作を一旦停止させる。
【0057】
このように、本実施形態では、他栓使用判定の実施(ステップ4)後に当該他栓使用判定で得られた判定結果の正誤性を判定する(ステップ6)判定動作を実施する。そして、この判定動作における判定結果の正誤性をさらに判定している(ステップ12乃至14)。このことにより、本実施形態の熱源機1は、精度の高い他栓使用判定が実施できる。
【0058】
また、上記した実施形態では、熱交換器の出湯の熱量と風呂自動落とし込み流の熱量とを算出し、これらから他栓使用流量AQ1を算出している。このような構成によれば、図1で示されるような、熱交換器の上流側に設けた入水流量センサ46よりさらに上流側にバイパス管を設けた熱源機のように、入水流量センサ46と、風呂用流量センサ36で取得する流量を単純に比較するだけでは、一般給湯管60を流れる流量が取得できない場合であっても、他栓使用判定を実施することができる。そして、本発明の熱源機1では、複数のセンサがそれぞれ取得した値に基づいて他栓使用流量AQ1を算出する場合であっても、高い精度で他栓使用判定を実施できる。即ち、各センサで取得した値に誤差が発生してしまっても、判定動作及び基準値Cの補正を実施することにより、誤差を加味した他栓使用判定を実施できる。このことにより、高精度な他栓使用判定を実施できる。
【0059】
しかしながら、本発明の熱源機が行う他栓使用判定は、上記した他栓使用判定に限るものではない。即ち、本発明の他栓使用判定で使用する一般給湯側情報は、上記した方法で算出した他栓使用流量AQ1に限るものではない。
【0060】
また、上記した実施形態では、他栓使用判定の判定結果が正しかったか否かを判定するとき、入水流量がMOQ(最低作動流量)以上であるか否かを基準に判定した。しかしながら、他栓使用判定の判定結果の正誤性を判定するとき、必ずしも、入水流量がMOQ(最低作動流量)と一致する、又はMOQ(最低作動流量)より多い場合でなくてもよい。入水流量がMOQ(最低作動流量)より少なくてもかまわない。即ち、入水流量センサ46が取得した値によって、熱源機1に湯水が供給されていることが確認できればよい。しかしながら、入水流量が燃焼装置2のMOQ(最低作動流量)より少ない場合、一般給湯の要求があっても燃焼装置2が燃焼動作を実施できないため、入水流量がMOQ(最低作動流量)以上であることを条件に、熱源機1に湯水が供給されていると判定する構成が望ましい。
【0061】
また、上記した実施形態では、他栓使用流量AQ1を演算し(ステップ2)、基準値Cの値をリセットした(ステップ3)。しかしながら、このステップ2とステップ3は、必ずしもこの順番に実行しなくてもよく、順不動であってもよい。即ち、基準値Cの値をリセットしてから、他栓使用流量AQ1を演算してもよい。ステップ2とステップ3は、順序を入れ代えて実行してもよい。
【0062】
以下で第2の実施形態について図2を参照しつつ、詳細に説明する。
第2の実施形態で実施する他栓使用判定は、上記した第1の実施形態と同様の熱源機1で実施するが、一般給湯側情報である他栓使用流量AQ1の算出方法が異なっている。即ち、図2におけるステップ2の手順が異なっている。
【0063】
風呂自動落とし込み運転を開始されて注湯電磁弁71が開かれると(ステップ1)、ステップ2へ移行して、他栓使用流量AQ1を算出する。
このとき、本実施形態では、まず、バイパス比率(分配比率)を演算する。ここでバイパス比率とは、入水管41において燃焼装置2側へ向かう湯水の水量と、バイパス管50を通過する湯水の水量との割合のことである。このバイパス比率は、入水流量センサ46や風呂用流量センサ36等で取得した値に基づいて算出する。
【0064】
バイパス比率が算出されると、バイパス流量調整弁51の開度を固定する等によりバイパス比率が変化しないようにする。このことにより、他栓使用判定が終了するまでの間、給湯栓61で湯水が使用された場合を除いて、バイパス比率と入水管41及びバイパス管50を流れる水の水圧が変化しないようにする。
【0065】
この状態において、入水流量センサ46が取得した缶体流量Q1とバイパス比率から熱源機に入水した全湯水の流量Q3(熱源機側情報)を算出する。そして、全湯水の流量Q3と、風呂用流量センサ36が取得した落とし込み流量Q2(風呂自動落とし込み側情報)から、他栓使用流量AQ1を下記式(5):
AQ1=Q3−Q2・・・(5)
によって演算する。そして、ステップ3以降の処理を実施する。
【0066】
このように、本実施形態の他栓使用判定で使用する他栓使用流量AQ1は、バイパス比率を固定した状態で各センサ46,36によって取得した流量の値から算出してもよい。
【0067】
上記した各実施形態では、他栓使用流量AQ1を基準値Cと比較する他栓使用判定を実施したが、本発明の他栓使用判定はこれに限るものではない。例えば、一般給湯に供給される熱量を規定値と比較する他栓使用判定を実施してもよい。
【0068】
具体的に説明すると、上記した缶体入熱量J1(熱源機側情報)と、注湯熱量J2(風呂自動落とし込み側情報)から一般給湯管60に供給される熱量J3(一般給湯側情報)を算出し、それを基準値C2(他栓使用判定基準値)と比較し、J3がC2以上であった場合、一般給湯が要求されたものとする他栓使用判定を実施してもよい。そして、この他栓使用判定を実施した後、上記したように判定動作を実施してよい。そして、判定結果が誤りで有った場合、基準値C2を上げる補正を実施してもよい。
【0069】
さらに加えて、バイパス流量調整弁51の開度を固定する等により、バイパス比率を固定した状態で、熱量を比較する他栓使用判定を実施してもよい。即ち、バイパス比率を固定した状態で取得した熱量や流量、又はそれらに基づいて算出される値から他栓使用判定を実施してもよい。
【0070】
例えば、バイパス比率を固定し、固定したバイパス比率と入水流量センサ46が取得した缶体流量Q1から、熱源機1に供給される全湯水の流量Q3を算出する。そして、この全湯水の流量Q3と、入水温度センサ47が取得した入水温度T1と、風呂自動落とし込み運転の設定温度から、燃焼装置2で湯水に供給するべき熱量J1(熱源機側情報)を演算する。
【0071】
そして、燃焼装置2で湯水に供給するべき熱量J1を供給できるよう、燃焼装置2に供給される燃料の量を制御する。
【0072】
またさらに、風呂用流量センサ36が取得した落とし込み流量Q2と、風呂自動落とし込み運転の設定温度又は風呂用温度センサ37が取得した落とし込み温度T3から、浴槽に落とし込まれる湯水の熱量J2(風呂自動落とし込み側情報)を演算する。
【0073】
そして、上記した燃焼装置2で湯水に供給するべき熱量J1と、浴槽に落とし込まれる湯水の熱量J2から、一般給湯で使用される熱量J3(一般給湯側情報)を算出する。そして、一般給湯で使用される熱量J3と基準値C2とを比較し、J3がC2以上であった場合、一般給湯が要求されたものとする他栓使用判定を実施してもよい。
【0074】
上記した各実施形態では、判定動作によって、他栓使用判定の一般給湯の使用ありとした判定結果が誤りであったと判定された場合、基準値C(C2)の値を増加させる補正を行い、他栓使用判定を再度実施した。しかしながら、本発明の熱源機において、他栓使用判定の一般給湯の使用ありとした判定結果が誤りであった場合、それを受けて実施する補正は、これに限るものではない。即ち、他栓使用流量AQ1の値、又は一般給湯で使用される熱量J3の値を減少させる補正を実施してもよい。つまり、他栓使用判定で使用される値を補正することによって、再度実施する他栓使用判定において一般給湯の使用ありと判定される基準が下がれば良く、一般給湯の使用なしと判定され易くなればよい。
【0075】
上記した各実施形態では、所謂給湯器付き風呂釜と称される熱源機を例に挙げて説明したが、本発明の熱源機はこれに限るものではない。例えば、湯張り機能付き給湯器と称される熱源機であってもよい。
ここで、湯張り機能付き給湯器とは、上記した風呂系統4を有さない給湯器であって、複数の給湯栓(給湯系統)を備え、少なくとも1つの給湯栓(給湯系統)が一般給湯に使用され、他の少なくとも1つの給湯栓(給湯系統)が風呂の落とし込みに使用される給湯器とする。つまり、本発明の熱源機が実施する風呂自動落とし込み運転は、上記した運転に限るものではない。本発明の熱源機は、一般給湯と風呂自動落とし込みとを実施可能であればよく、一般給湯と風呂自動落とし込みを実施する流路を形成する配管、ポンプ等の構成は、適宜変更してよい。
【符号の説明】
【0076】
1 熱源機
10 浴槽
23 一次熱交換器(熱交換器)
24 二次熱交換器(熱交換器)
41 入水管
44 出湯管
46 入水流量センサ
50 バイパス管
51 バイパス流量調整弁
60 一般給湯管
70 風呂自動落とし込み管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器と、熱交換器の上流側に位置して少なくとも熱交換器に供給される湯水が流れる入水管と、熱交換器の下流側に位置して熱交換器を通過する湯水が流れる出湯管とを有し、
前記出湯管の下流側は少なくとも一般給湯管と風呂自動落とし込み管とに分岐し、
前記熱交換器で加熱された湯水を前記一般給湯管に流して他栓に湯水を供給する一般給湯と、前記熱交換器で加熱された湯水を前記風呂自動落とし込み管に流して浴槽に湯水を供給する風呂自動落とし込みとを実施可能であり、
風呂自動落とし込みを実行している際に一般給湯がなされているか否かを判定する他栓使用判定が実施される熱源機において、
前記入水管を流れる湯水の温度、流量、又は前記出湯管を流れる湯水の温度、流量の4情報の内の1又はそれ以上の情報を検知して、熱源機を通過する湯水の総流量又は熱源機で加熱される湯水の総熱量を検知又は演算により予測して熱源機側情報とし、
前記風呂自動落とし込み管を流れる湯水の温度、流量の2情報の内の1又はそれ以上の情報を検知して、前記風呂自動落とし込み管を流れる湯水の流量、又は前記風呂自動落とし込み管を流れる湯水の熱量を検知又は演算により予測して風呂自動落とし込み側情報とし、
前記熱源機側情報と前記風呂自動落とし込み側情報に基づいて、前記一般給湯管を流れる湯水の流量又は熱量を演算して一般給湯側情報とし、
前記他栓使用判定は、前記一般給湯側情報が所定の他栓使用判定基準値以上であった場合に一般給湯がなされていると判定するものであり、
前記他栓使用判定で一般給湯がなされていると判定された場合には、風呂自動落とし込みを停止して他栓使用判定の正誤を判定する判定動作を実施し、
当該判定動作は、風呂自動落とし込みを停止した状態において前記入水管を実際に流れる湯水の流量が所定の正誤判定基準値未満である場合に他栓使用判定が誤りであると判定し、
他栓使用判定が誤りであると判定された場合、前記一般給湯側情報と、前記他栓使用判定基準値の少なくともいずれかを一般給湯がなされていないと判定され易い方向に補正することを特徴とする熱源機。
【請求項2】
前記入水管と前記出湯管とを結んで前記熱交換器をバイパスするバイパス管と、バイパス流量調整弁を備え、当該バイパス流量調整弁は開度を可変することが可能であって前記バイパス管を流れる湯水の量を増減するものであり、
前記熱交換器で加熱された湯水に前記バイパス管を流れる湯水が混合されて下流側の前記一般給湯管と前記風呂自動落とし込み管に供給され、
前記入水管の一部であって前記バイパス管が接続された部位よりも下流側の位置に前記入水管を流れる湯水の流量を検知する入水流量センサが設けられ、
前記他栓使用判定を実行する際には、前記バイパス流量調整弁の開度を固定して前記熱交換器に至る湯水と前記バイパス管を流れる湯水との分配比率を固定し、
前記入水流量センサの検出値と、前記分配比率によって熱源機を通過する湯水の総流量を演算により予測して熱源機側情報とすることを特徴とする請求項1に記載の熱源機。
【請求項3】
前記判定動作において、一般給湯の使用なしと判定され易い方向に補正した後、補正した値によって、前記他栓使用判定を再度実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱源機。
【請求項4】
燃焼部を有し、前記熱交換器は、前記燃焼部における燃焼によって加熱されるものであり、前記燃焼部は、前記入水管に燃焼最小限度流量の湯水が流れていることを条件の一つとして燃焼運転をするものであり、
前記正誤判定基準値が、前記燃焼最小限度流量と等しいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱源機。
【請求項5】
熱源機を通過する湯水の総流量を前記熱源機側情報とし、前記風呂自動落とし込み管を流れる湯水の流量を前記風呂自動落とし込み側情報とし、両者の差を前記一般給湯側情報とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱源機。

【図1】
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【図2】
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