説明

熱発生装置、温風ボイラー装置、温水ボイラー装置および蒸気ボイラー装置

【課題】効率を上げることで燃料の消費を抑えることが可能な熱発生装置、温風ボイラー装置、温水ボイラー装置、蒸気ボイラー装置を提供する。
【解決手段】温風ボイラー装置1は、燃焼室32にて発生する燃焼熱を、熱交換器33により放熱させ、熱交換室H内の空気を暖気とした後に、排気ガスを排気室34から排気ダクト8を介して大気に放出する一方、熱交換室Hの暖気を、送風機4により温風送出室35から温風ダクト8を介してビニールハウスへ送風する。この温風ボイラー装置1には、熱交換室H内の空気を加熱する電熱ヒーター5が、送風機4の風下となる送風機4の直下に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼室で発生した高温の排気ガスを熱交換器で放熱させ、熱交換器により熱媒体を加熱する熱発生装置、温風ボイラー装置、温水ボイラー装置および蒸気ボイラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
果物や花などを栽培するビニールハウス内の広範囲の空気を暖める暖房機として、または椎茸などの農作物を乾燥させるための乾燥機として、熱発生装置の一例である温風ボイラーが使用される。温風ボイラーは、燃焼室内で燃料を燃焼させ、発生した高温の排気ガスを熱交換器により放熱させ、この熱を送風機でハウス内まで送風するものである。熱交換器により熱を取り出された排気ガスは、そのまま大気へ放出される。
このような従来の温風ボイラーについて、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載された排気熱を利用したボイラーは、焼却炉・陶器炉・溶鉱炉・ボイラー・エンジン・発電機から出る排気ガス中の熱エネルギーを温風ボイラーの熱源とするものである。
【0003】
【特許文献1】特開2002−130601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された従来の温風ボイラーは、他の装置からの排熱を再利用することで熱効率を高めるものではあるが、最終的には排気ガスは大気へ放出される。通常、温風ボイラーは、バーナーからの熱の約70%が排気ガスとして大気に放出されるので、無駄が多い。バーナーの燃料には重油が使われるが、資源の枯渇が心配されるだけでなく、燃料費高騰から運転コストの上昇が懸念される。
【0005】
そこで本発明は、効率を上げることで燃料の消費を抑えることが可能な熱発生装置、温風ボイラー装置、温水ボイラー装置および蒸気ボイラー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、燃焼室にて発生する燃焼熱を、熱交換器により放熱させて熱交換室内の熱媒体を加熱しながら、前記燃焼室からの排気ガスを大気に放出する熱発生装置において、前記熱交換室内の熱媒体を加熱する電気加熱装置を備えたことを特徴とする熱発生装置である。
【0007】
本発明は、燃焼室にて発生する燃焼熱を、熱交換器により放熱させて熱交換室内の空気を暖気としながら、排気ガスを大気に放出し、前記熱交換室の暖気を、送風機により温風ダクトへ送風する温風ボイラー装置において、前記熱交換室内の空気を加熱する電気加熱装置を備えたことを特徴とする温風ボイラー装置である。
【0008】
本発明は、燃焼室にて発生する燃焼熱を、熱交換器により放熱させて、熱交換室内の水を温水としながら、前記燃焼室からの排気ガスを大気に放出し、前記熱交換室の温水を供給先へ供給する温水ボイラー装置において、前記熱交換室内の水を加熱する電気加熱装置を備えたことを特徴とする温水ボイラー装置である。
【0009】
本発明は、燃焼室にて発生する燃焼熱を、熱交換器により放熱させて、熱交換室内の水を蒸気としながら、前記燃焼室からの排気ガスを大気に放出し、前記熱交換室の蒸気を供給先へ供給する蒸気ボイラー装置において、前記熱交換室内の水を加熱する電気加熱装置を備えたことを特徴とする蒸気ボイラー装置である。
【0010】
本発明は、燃焼室で発生した燃焼熱を熱交換器により熱交換室に放熱させることで熱交換室内の熱媒体を加熱するものである。排気ガスの熱は熱交換器で放熱させられるものの、大部分は高温の排気ガスとして大気へ放出させられる。そこで、燃焼室における燃焼の度合いを低下させると、燃焼室での燃焼に使用される燃料を節約することができる。しかし、燃焼の度合いを低下させると、熱媒体の加熱が不足するおそれがある。そこで、低下した熱量を補うために電気加熱装置で熱交換室内の熱媒体を加熱する。電気加熱装置は排気ガスを放出しないので、高温の排気ガスを利用できないままに大気へ放出されることで無駄となってしまうようなことがない。従って、電気加熱装置により熱交換室内の熱媒体を加熱することで、熱交換器を介さず直接熱媒体を加熱することができるので、加熱の効率を向上させることができる。電気加熱装置による熱交換室内の熱媒体の加熱は、熱交換室内で加熱したり、熱交換室へ熱媒体を導入する前に加熱したり、熱交換室で加熱された熱媒体を更に加熱したりすることができる。
【0011】
この熱媒体は、温風ボイラー装置であれば空気であり、温水ボイラー装置であれば水や油、蒸気ボイラー装置では水とすることができる。
温風ボイラー装置では、熱交換室内の空気を熱交換器の放熱と共に電気加熱装置により加熱して暖気とし、この熱を送風機で風を送り、温風ダクトから取り出すことができる。
また、温水ボイラー装置では、熱交換室内の水を熱交換器の伝熱と共に電気加熱装置により加熱して温水とし供給先へ供給することができる。
更に、蒸気ボイラー装置では、熱交換室内の水を熱交換器の伝熱と共に電気加熱装置により加熱して蒸気とし供給先へ供給することができる。
従って、熱媒体を電気加熱装置で直接加熱することで、熱媒体に応じた様々なボイラー装置の熱効率の向上を図ることができる。
【0012】
前記電気加熱装置は、前記送風機の風下となる位置に設けられているのが望ましい。送風機の風下に電気加熱装置が配置されていることで、送風機からの風を予め温風とすることができる。従って、交換器から放熱を過度に冷却することなく交換室内の空気を加熱することができる。
【0013】
前記熱交換器と前記燃焼室とを囲うことで、前記熱交換器および前記燃焼室の周囲も熱交換室とするケーシングを備えると、熱交換室への熱交換を熱交換器からだけでなく燃焼室からも熱交換させることができるので、更に加熱の効率が向上する。
【0014】
前記送風機が、前記ケーシングの前記熱交換器の位置と、前記燃焼室の位置との両方に設けられていると、熱交換器と燃焼室との両方から熱交換を促進させることができる。
【0015】
前記燃焼室に燃焼炎を噴射するバーナーが設けられ、前記バーナーの熱出力の調整と前記電気加熱装置の調整を行う制御装置を備えていると、燃料のコストが高騰したときはバーナーの熱出力を低下させて電気加熱装置の加熱を増加するように調整したり、燃料のコストが低下したときはそれぞれに反対の調整を行ったりすることで、そのときの状況に応じた運転を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、電気加熱装置により熱交換室内の空気を加熱することで、熱交換器を介さず直接温風ダクトへ送風機により送風する空気を加熱することができ、排気ガスとなって熱が無駄になることがないので、加熱の効率を向上させることができる。よって、本発明は効率を上げることで燃料の消費を抑えることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る熱発生装置の一例である温風ボイラー装置を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る温風ボイラー装置の斜視図である。図2は、図1に示す温風ボイラー装置の長手方向に沿った垂直断面図である。図3は、図1に示す温風ボイラー装置の熱交換器部分の垂直断面図である。図4は、図1に示す温風ボイラー装置の制御装置を説明するための図である。
【0018】
図1に示すように温風ボイラー装置1は、ビニールハウスで栽培される果実や花などを温風により暖房する暖房機として機能するもので、バーナー2と、装置本体3と、送風機4と、電熱ヒーター5と、制御装置6を備えている。
バーナー2は、図示しない燃料タンクに貯留された燃料により燃焼炎を噴射する燃焼装置である。本実施の形態1では、A重油を燃料として燃焼するバーナー2を採用しているが、灯油を燃料とするものでもよい。
【0019】
図2に示すように、装置本体3は、ケーシング31と、燃焼室32と、熱交換器33と、排気室34と、温風送出室35とを備え、矩形状の枠台71と4本の支持脚72とで形成されたフレーム台7に支持されている。
【0020】
ケーシング31は、円筒形状に形成され、内部に燃焼室32、熱交換器33が収納され、一端側にバーナー2が設けられ、他端側に排気室34が設けられている。ケーシング31と燃焼室32および熱交換器33との間の空間が熱交換室Hとなる。ケーシング31の上面の2箇所には、送風機4と電熱ヒーター5とが設けられている。この送風機4と電熱ヒーター5とは、燃焼室32および熱交換器33のそれぞれの位置に対応して、その上方に配置されている。
【0021】
燃焼室32は、ケーシング31と軸心が同じ位置に形成された円筒形状であり、内部でバーナー2の燃焼炎が噴射される。
【0022】
熱交換器33は、一端側が燃焼室32に連通し、他端側が排気室34に連通する配管が複数本、円筒形の燃焼室32の軸線を中心として同心円上に配置されている。熱交換器33は、燃焼室32に発生した排気ガスを排気室34へ流す管路であると共に排気ガスが流れる際に排気ガスの熱を熱交換室Hへ放熱して熱交換室H内の空気を加熱する機能を備えている。
【0023】
排気室34は、複数本の熱交換器33からの排気ガスを集約する円筒形の排気室本体34aと、排気室本体34aの上部に開設され、排気ダクト8の下端が接続された排気口34bとを備えている。
【0024】
温風送出室35は、ケーシング31の下部であって、熱交換器33の下方の位置に設けられている。温風送出室35は、バーナー2の方向と、排気室34の方向の二つの方向に開設された吹出口35aのそれぞれに、ビニールハウスに温風を導入するためのビニール製の温風ダクト9が接続される。
【0025】
送風機4は、ケーシング31の上部であって、熱交換器33の上方に位置する第1送風機41と、燃焼室32の上方に位置する第2送風機42とを備えている。
電熱ヒーター5は、矩形状の支持枠(図示せず)内に棒状の電熱部(図示せず)が互いに平行となるように所定間隔ごとに配置された電気加熱装置の一例である。この電熱ヒーター5は、ケーシング31の上部であって、送風機4の風下に位置させるために、送風機4の直下に設けられている。
【0026】
制御装置6は、バーナー2が設けられたケーシング31の一端側であって、バーナー2の上方に設けられている。この制御装置6は、バーナー2の始動および停止や、出力の調整と、電熱ヒーター5の出力の調整を行う機能を備えている。
【0027】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る温風ボイラー装置の動作と使用状態を図面に基づいて説明する。
【0028】
まず、制御装置6を操作してバーナー2を点火する。燃焼室32内に噴射された燃焼炎は、燃焼室32内の空気を加熱すると共に、高温の排気ガスを発生する。バーナー2は、暖房を行うために必要とされる熱量を発生するものより小さい出力の仕様のものを準備するか、制御装置6により予め出力が低く設定されている。
燃焼炎による燃焼熱は、燃焼室32の内周壁面を加熱して燃焼室32全体を温めることで、燃焼室32の外周壁面へ伝熱する。燃焼室32の外周壁面の温度が上昇することで、熱交換室H内の空気が加熱される。
【0029】
排気ガスは、噴射された燃焼炎の勢いのままに燃焼室32から熱交換器33へ向かう。熱交換器33では、排気ガスがそれぞれの管路を通過する際に管路を加熱する。熱交換器33の管路が加熱されることで、管路の外周面から放熱して熱交換室Hの空気を暖気とする。
【0030】
熱交換器33を通過した排気ガスは、排気室34の排気室本体34aにて集約され、上部に開設された排気口34bから排気ダクト8を介して大気へ放出される。
【0031】
熱交換室H内の暖気は、送風機4からの送風により、燃焼室32では上から下へ外周壁面に沿って流れ、熱交換器33では各管路の中央を通過したり、最も外側を通過したり、それぞれの間を通過したりして上から下へ流れる。
そして、熱交換室H内を上から下へ流れる暖気は、温風送出室35へ流れ、温風ダクト9を介してビニールハウス(図示せず)へ送風され、ビニールハウス内を暖房する。
【0032】
このとき、送風機4からの送風は、電熱ヒーター5の電熱部の間を通るときに加熱される。加熱された送風機4からの送風は、熱交換室H内の空気を予熱することで、出力を低く調整された、または小さい出力のバーナー2により不足する熱量を補うことができる。電熱ヒーター5は排気ガスを放出しないので熱交換室H内の空気を汚すことなく加熱することができる。
【0033】
このように温風ボイラー装置1では、電熱ヒーター5により熱交換器33を介さず直接温風ダクト9へ送風機4により送風する空気を加熱することで、バーナー2で同じ熱量を得るときと比べて、排気ガスが排気ダクト8を介して大気へ放出されて燃焼熱の大部分が無駄になってしまうより効率的である。従って、温風ボイラー装置1は、加熱の効率を向上させることができるので、燃料の消費を抑えることが可能である。
【0034】
また、ケーシング31は、熱交換器33だけでなく燃焼室32の周囲も囲っているので、熱交換室Hへの熱交換を熱交換器33からだけでなく燃焼室32からも熱交換させることができる。従って、更に加熱の効率を向上させることができる。
【0035】
そして、送風機4が、ケーシング31の熱交換器33の位置と、燃焼室32の位置との両方に設けられ、電熱ヒーター5がそれぞれの送風機4の風下となる下方に配置されているので、電熱ヒーター5から予熱されて暖気となった空気が熱交換器33と燃焼室32との両方から更に熱交換されて、温度を効率よく上昇させることができる。
【0036】
例えば、燃料のコストが高騰したときは、図4に示すように、制御装置6を操作して、バーナー2の熱出力を低下させて電熱ヒーター5の加熱を増加するように調整したり、燃料のコストが低下したときはそれぞれに反対の調整を行ったりすることで、そのときの状況に応じた運転を行うことができる。
【実施例】
【0037】
まず、比較として、図1および図2に示すバーナー2として、1時間あたり2ガロン(約7.57L)のA重油を燃焼するものを使用し、電熱ヒーター5を使用せず、2時間ほど温風ボイラー装置1を動作させた。
この2ガロン/hの燃焼力を有するバーナー2を使用した場合、1時間当たりの熱量は、A重油の熱量は約10,160kcal/L(約2,419kJ/L)なので、約7.6L×10,160Kcal/L=約77,216kcal(約18,384kJ)となる。このバーナー2を使用すると、外気温約24℃で約52℃の温風を生成することができた。
【0038】
次に、1時間あたり1.25ガロン(約4.73L)のA重油を燃焼するバーナー2に交換し、12kwの電熱ヒーター5を作動させた。
この1.25ガロン/hの燃焼力を有するバーナー2を使用した場合では、1時間当たりの熱量は、約4.73L×10,160Kcal/L=約48,057Kcal(約11,442kj)となる。また、12kwの電熱ヒーター5の熱量は、12kw×約860kcal=16,320kcal(約3,886kJ)であるので、合計の熱量は、約64,379kcal(約15,328kJ)である。このバーナー2を使用し、電熱ヒーター5を作動させると、外気温約24℃で、約54℃の温風を生成することができた。
【0039】
つまり、温風として外気温から約18℃〜20℃上昇させるのに、電熱ヒーター5を作動させない場合では、約76,911kcalが必要であるところ、電熱ヒーター5を作動させると約64,379kcalでよいことがわかる。これは、温風ボイラー装置1がバーナー2からの熱を排気ガスとして無駄に放出しているものの、約76,911kcal−約64,379kcal=12,532kcalの熱量が、電熱ヒーター5により節約できることを示している。
【0040】
例えば、A重油が1リットル当たり120円とし、1kwを1時間消費したときの電力料金を12.5円とすると、温風ボイラー装置1では、A重油の費用が約4.73L×120円=約570円、電力料金が12kw×12.5円=150円となるので、合計で約720円である。電熱ヒーター5を作動させない場合では、約7.57L×120円=約908円となる。このようにコスト面で有利であることがわかる。これは、原油価格が高騰すればするほど顕著である。
【0041】
なお、本実施の形態1では、燃焼室32で燃料を燃やして加熱する燃焼装置として燃焼炎を噴射するバーナー2を採用しているが、固形燃料や液体燃料を燃焼室32内に配置して、燃焼室32内で燃焼させるようにしてもよい。
【0042】
また、電熱ヒーター5を送風機4の直下に配置する以外に、熱交換器33の下方に配置することができる。電熱ヒーター5を熱交換器33の下方に配置すれば、電熱ヒーター5による暖気が上昇することで、熱交換器33周辺の空気の加熱を促進することができる。
更に、電熱ヒーター5を吹出口35aに設けることもできる。こうすることで、暖気となった熱交換室Hの空気が、吹出口35aを通過する際に電熱ヒーター5によって、更に加熱される。
【0043】
次に、実施の形態1に係る温風ボイラーの変形例について、図5に基づいて説明する。図5は、実施の形態1に係る温風ボイラーの変形例を示す概略図である。なお、図5においては、図2と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0044】
図5に示す変形例は、熱交換室H内の空気を加熱する電気加熱装置としてヒートポンプ装置を用いることを特徴としたものである。
ヒートポンプ装置50は、冷媒を圧縮する圧縮機51と、圧縮されることで温度が上昇した冷媒を放熱させる第1放熱器52aおよび第2放熱器52bと、冷媒を一時的に貯留するタンク53と、圧縮された冷媒を膨張させる膨張弁54と、膨張して温度が低下した冷媒に外気から熱を取り入れる蒸発器55と、これらに冷媒を循環させる循環管路56とを備えている。
【0045】
このように、電気加熱装置としてヒートポンプ装置50を採用することで、電熱ヒーターで加熱するより、約3倍近くの効率を向上させることができる。また、蒸発器55からの冷却熱を送風機により送風してやれば、蒸発器55を冷房の冷却源としても機能させることができるので、更に省エネルギー化を図ることができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る熱発生装置の一例である温水ボイラー装置を、図6に基づいて説明する。図6は、本発明の実施の形態2に係る温水ボイラー装置の概略を示す図である。なお、図6においては、図1から図4と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0046】
図6に示すように温水ボイラー装置1xは、温水を使用するプールや、工場、施設などに設置され、給湯器として機能するもので、バーナー2と、装置本体3xと、貯水槽10と、電熱ヒーター5xと、制御装置6xとを備えている。図6においては、温水ボイラー装置1xは温水プールに温水を供給している。
【0047】
装置本体3xは、ケーシング31xと、燃焼室32xと、熱交換器33xと、排気室34xとを備えている。
ケーシング31xは、内部に燃焼室32x、熱交換器33xが収納され、下部に位置する燃焼室32xにバーナー2が設けられ、上部に排気室34xが設けられている。ケーシング31xと熱交換器33xとの間の空間が熱交換室Hxとなり、熱媒体である水が充填されている。
【0048】
この装置本体3xには、循環管路11が接続されている。循環管路11は、装置本体3xから送水弁11a、送水ポンプ11b、供給先となるプールP、送水ポンプ11c、貯水槽10の順に配水管11dにより接続されている。そして、貯水槽10には、前述の電熱ヒーター5xが設けられている。電熱ヒーター5xは貯水槽10内の水を加熱するために防水処理が施されている。制御装置6xは、バーナー2の始動および停止や、出力の調整と、電熱ヒーター5xの出力の調整と、供給ポンプ11bと送水ポンプ11cとの始動および停止を行う機能を備えている。
【0049】
以上のように構成された本発明の実施の形態2に係る温水ボイラー装置の動作と使用状態を図面に基づいて説明する。
【0050】
まず、制御装置6xを操作してバーナー2を点火する。燃焼室32x内に噴射された燃焼炎は、燃焼室32x内の空気を加熱すると共に、高温の排気ガスを発生する。バーナー2は、温水プールPに温水を供給するために必要とされる熱量を発生するものより小さい出力の仕様のものを準備するか、制御装置6xにより予め出力が低く設定されている。
また、制御装置6xは電熱ヒーター5xに通電すると共に供給ポンプ11bと送水ポンプ11cとの始動を行う。
【0051】
燃焼炎による燃焼熱は、熱交換器33xにより熱交換室Hx内の水を加熱する。電熱ヒーター5xは、貯水槽10に貯留された水を加熱する。これらの加熱により循環管路11内を流れる水は、徐々に上昇して温水となる。熱交換器33xの管路を通過した排気ガスは排気室34xに集約され、排気ダクト8xを介して大気へ放出される。循環管路11を流れる温水は、制御装置6xにより温度管理される。
【0052】
このように温水ボイラー装置1xでは、電熱ヒーター5xにより熱交換室Hxへ送水される水を予め直接的に加熱することで、バーナー2で同じ熱量を得るときと比べて、排気ガスが排気ダクト8xを介して大気へ放出されて燃焼熱の大部分が無駄になってしまうより効率的である。従って、温水ボイラー装置1xは、加熱の効率を向上させることができるので、燃料の消費を抑えることが可能である。
【0053】
なお、本実施の形態2の温水ボイラー1xは、循環管路11により温水が循環するので、貯留槽10は装置本体3xの下流側に配置して、熱交換室Hx内で加熱された温水を更に電熱ヒーター5xにより加熱するようにしてもよい。更に、熱交換室Hx内で直接電熱ヒーター5xによる加熱を行ってもよい。
更に、温水ボイラー1xは、プールPに温水を供給するために熱媒体として水を使用しているが、冷暖房などの熱源に使用する場合には油や他の熱媒体などを使用してもよい。
【0054】
なお、本実施の形態2に係る温水ボイラー装置1xにおいても、貯留槽10に貯留された水を予熱する電気加熱装置として、電熱ヒーター5の代わりにヒートポンプ装置を採用することが可能である。
【0055】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る熱発生装置の一例である蒸気ボイラー装置を、図7に基づいて説明する。図7は、本発明の実施の形態3に係る蒸気ボイラー装置の概略を示す図である。図7においては、図1から図6と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0056】
図7に示すように蒸気ボイラー装置1yは、工場や施設などに設置され、動力源として機能するもので、バーナー2と、装置本体3yと、貯水槽10と、電熱ヒーター5xと、制御装置6yとを備えている。
【0057】
装置本体3yは、ケーシング31yと、燃焼室32yと、熱交換器33yとを備えている。
ケーシング31yは、内部に燃焼室32y、熱交換器33yが収納され、下部に位置する燃焼室32yにバーナー2が設けられている。熱交換器33yの上に熱交換室Hyが設けられ、熱交換室Hyには熱媒体である水が充填されている。
【0058】
この装置本体3yには、熱交換室Hyへ温水を供給するための貯水槽10が配水管12aで接続されている。この配水管12aには送水用の送水ポンプ12bが設けられている。そして、貯水槽10には、実施の形態2と同様に電熱ヒーター5xが設けられている。
貯水槽10には、減った水を補給するための供給管12cが接続されている。
【0059】
制御装置6yは、バーナー2の始動および停止や、出力の調整と、電熱ヒーター5xの出力の調整と、送水ポンプ12bの始動および停止を行う機能を備えている。
【0060】
以上のように構成された本発明の実施の形態3に係る蒸気ボイラー装置の動作と使用状態を図面に基づいて説明する。
【0061】
まず、制御装置6yを操作してバーナー2を点火する。燃焼室32y内に噴射された燃焼炎は、燃焼室32y内の空気を加熱すると共に、高温の排気ガスを発生する。バーナー2は、蒸気を供給するために必要とされる熱量を発生するものより小さい出力の仕様のものを準備するか、制御装置6yにより予め出力が低く設定されている。また、制御装置6yは電熱ヒーター5xに通電する。
【0062】
燃焼炎による燃焼熱は、熱交換器33yにより熱交換室Hy内の水を加熱する。電熱ヒーター5xは、貯水槽10に貯留された水を加熱する。これらの加熱により熱交換室Hy内の水は、徐々に上昇して温水から沸騰した状態となる。熱交換器33yの管路を通過した排気ガスは排気ダクト8yを介して大気へ放出される。制御装置6yは、熱交換室Hyの沸騰した水の量に応じて供給ポンプ12bを作動させ、一定量を保持する。
【0063】
このように蒸気ボイラー装置1yでは、電熱ヒーター5xにより熱交換室Hyへ送水される水を予め直接的に加熱することで、バーナー2で同じ熱量を得るときと比べて、排気ガスが排気ダクト8yを介して大気へ放出されて燃焼熱の大部分が無駄になってしまうより効率的である。従って、蒸気ボイラー装置1yは、加熱の効率を向上させることができるので、燃料の消費を抑えることが可能である。本実施の形態3の蒸気ボイラー1yは、電熱ヒーター5xにより熱交換室Hyへ送水される水を予め加熱しているが、熱交換室Hy熱交換室Hx内で直接電熱ヒーター5xによる加熱を行ってもよい。
【0064】
なお、本実施の形態3に係る蒸気ボイラー装置1yにおいても、貯留槽10に貯留された水を予熱する電気加熱装置として、電熱ヒーター5の代わりにヒートポンプ装置を採用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、果物や花などを栽培するビニールハウス内の広範囲の空気を暖める暖房機として、または椎茸などの農作物を乾燥させるための乾燥機として使用される温風ボイラー装置、介護施設や病院などの施設に温水を供給するための給湯器として使用される温水ボイラー装置、または動力源として使用される蒸気を発生する蒸気ボイラー装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態1に係る温風ボイラー装置の斜視図である。
【図2】図1に示す温風ボイラー装置の長手方向に沿った垂直断面図である。
【図3】図1に示す温風ボイラー装置の熱交換器部分の垂直断面図である。
【図4】図1に示す温風ボイラー装置の制御装置を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る温風ボイラー装置の変形例を示す概略図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る温水ボイラー装置の概略を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る蒸気ボイラー装置の概略を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 温風ボイラー装置
1x 温水ボイラー装置
1y 蒸気ボイラー装置
2 バーナー
3,3x,3y 装置本体
31,31x ケーシング
32,32x,32y 燃焼室
33,33x,33y 熱交換器
34,34x 排気室
34a 排気室本体
34b 排気口
35 温風送出室
35a 吹出口
4 送風機
41 第1送風機
42 第2送風機
5,5x 電熱ヒーター
6,6x,6y 制御装置
7 フレーム台
71 枠台
72 支持脚
8,8x,8y 排気ダクト
9 温風ダクト
10 貯水槽
11 循環管路
11a 送水弁
11b 送水ポンプ
11c 送水ポンプ
11d 配水管
P プール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室にて発生する燃焼熱を、熱交換器により放熱させて熱交換室内の熱媒体を加熱しながら、前記燃焼室からの排気ガスを大気に放出する熱発生装置において、
前記熱交換室内の熱媒体を加熱する電気加熱装置を備えたことを特徴とする熱発生装置。
【請求項2】
燃焼室にて発生する燃焼熱を、熱交換器により放熱させて熱交換室内の空気を暖気としながら、排気ガスを大気に放出し、前記熱交換室の暖気を、送風機により温風ダクトへ送風する温風ボイラー装置において、
前記熱交換室内の空気を加熱する電気加熱装置を備えたことを特徴とする温風ボイラー装置。
【請求項3】
前記電気加熱装置は、前記送風機の風下となる位置に設けられている請求項2記載の温風ボイラー装置。
【請求項4】
前記熱交換器と前記燃焼室とを囲うことで、前記熱交換器および前記燃焼室の周囲も熱交換室とするケーシングを備えた請求項2または3記載の温風ボイラー装置。
【請求項5】
前記送風機は、前記ケーシングの前記熱交換器の位置と、前記燃焼室の位置との両方に設けられている請求項4記載の温風ボイラー装置。
【請求項6】
前記燃焼室に燃焼炎を噴射するバーナーが設けられ、
前記バーナーの熱出力の調整と、前記電熱ヒーターの調整を行う制御装置を備えた請求項2から5のいずれかの項に記載の温風ボイラー装置。
【請求項7】
燃焼室にて発生する燃焼熱を、熱交換器により放熱させて、熱交換室内の水を温水としながら、前記燃焼室からの排気ガスを大気に放出し、前記熱交換室の温水を供給先へ供給する温水ボイラー装置において、
前記熱交換室内の水を加熱する電気加熱装置を備えたことを特徴とする温水ボイラー装置。
【請求項8】
燃焼室にて発生する燃焼熱を、熱交換器により放熱させて、熱交換室内の水を蒸気としながら、前記燃焼室からの排気ガスを大気に放出し、前記熱交換室の蒸気を供給先へ供給する蒸気ボイラー装置において、
前記熱交換室内の水を加熱する電気加熱装置を備えたことを特徴とする蒸気ボイラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−127575(P2010−127575A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305137(P2008−305137)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(597144989)
【出願人】(500538575)
【出願人】(391043505)アイスマン株式会社 (13)