説明

熱的に分離される開口部を備えるセンサブリッジ

【課題】基板上に支持されるセンサブリッジを備えるセンサに関する。感度および/またはダイナミックレンジを増加させるのを助けるために、電力消費を低減し、および/またはセンサの性能特性を改善する。
【解決手段】多数の熱的に隔離する開口部(34、36、38、40、42、44)がセンサブリッジに設けられ、センサブリッジ(32)を基板(20)から熱的に隔離する。加熱要素(26)、上流センサ要素(22)、および/または下流センサ要素(24)がセンサブリッジ(32)上に設けられる。複数の開口部(34、36、38、40、42、44)がセンサブリッジ(32)を通って延び、加熱要素(26、上流および下流のセンサ要素(22、24)を基板(20)および/または互いから熱的に隔離する。複数の開口部(34、36、38、40、42、44)は、実質的に、丸い形状、長円形、矩形、および/または他の好適な形状とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体として、基板上に支持されたセンサブリッジを備えるセンサに関し、より具体的には、センサブリッジの基板からの熱分離を増加させるための方法および構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フローセンサおよび他のタイプのセンサのようないくつかのタイプのセンサは、基板上に支持されるセンサブリッジを含む。そのようなセンサは、多数の用途に用いることができ、たとえば、医療用途、工業プロセス用途、商業用途、軍事用途、燃焼制御用途、飛行制御用途、研究用途、気象監視用途、および他の用途を含む。いくつかの例において、そのようなセンサは、センサブリッジ上に配置されるヒーターおよび/または1つ以上の熱センサを含むことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、全体として、基板上に支持されるセンサブリッジを備えるセンサに関する。本開示によれば、感度および/またはダイナミックレンジを増加させるのを助けるために、電力消費を低減し、および/またはセンサの性能特性を改善するのを助けるために、1つ以上の開口部がセンサブリッジ内に設けられ、これは、センサブリッジを基板から熱的に分離するのを助けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
図示された一実施形態において、流体流れを検出するフローセンサが開示される。フローセンサはここでは主な例として使用されるが、本開示は、他のタイプのセンサ、特に、基板上に支持されるセンサブリッジを含む他のタイプのセンサにも応用できることを理解されたい。図示されたフローセンサは、基板上に支持されるブリッジを備えることができ、基板は頂部表面、および頂部表面から基板内に延びる凹部を備える。凹部は、上流側、下流側、第1側部、および第2側部を備えることができる。フローセンサの使用中、流体流れは、上流側から下流側に向かって流れることができる。この例において、フローセンサのブリッジは、第1側部から第2側部へ凹部にわたって延びることができる。フローセンサは、ブリッジ上に設けられる加熱素子、加熱素子の上流側に隣接して設けられる第1センサ素子、加熱素子の下流側に隣接して設けられる第2センサ素子を含むことができる。
【0005】
複数の開口部はブリッジを通って延びることができる。複数の開口部は、凹部の第1側部および/または第2側部に隣接する位置に間隔を隔てて配置することができる。いくつかの場合、フローセンサは、複数の開口部を含むことができ、これは、ブリッジを通って延び、凹部の第1側部と第2側部との間で間隔を隔てて配置され、また、加熱素子と第1センサ素子および/または第2センサ素子との間に配置することができる。いくつかの場合、複数の開口部は、線形アレイ(規則的または不規則)に間隔を隔てて配置することができる。複数の開口部は、実質的に円形、長円形、矩形、および/または他の適当な形状とすることができる。
【0006】
上述の概要は、本開示に特有の革新的な特徴のいくつかの理解を容易にするために提供され、完全な説明であることを意図していない。本開示の完全な理解は、明細書、特許請求の範囲、図面、要約を全体として考慮することにより得ることができる。
【0007】
添付図面とともに本開示の様々な図示された実施形態の詳細な説明を参照することにより、本開示をより完全に理解することができる。添付図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】流体流れの流体流れ速度を測定するためのフローセンサの一実施形態を示す概略図である。
【図2】流体流れの流体流れ速度を測定するための熱フローセンサアセンブリの一実施形態を示す概略図である。
【図3】流体流れの流れ速度を測定する熱フローセンサの一実施形態の断面図である。
【図4】図3に示される熱フローセンサの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明は、いくつかの図面を通して同様の要素に同様の符号が付されている図面を参照して読まれたい。詳細な説明および図面は、本来的に説明のためのものであるいくつかの実施形態を示している。
【0010】
図1は、流体流れ12における流体の流体流れ速度を測定するためのフローセンサの概略図である。「流体」との語は、本明細書において、用途に応じてガスの流れまたは液体の流れを意味する。また、フローセンサは、本明細書において主たる例として用いられ、本開示は他のタイプのセンサにも適用でき、特に、基板上に支持されるセンサブリッジを含む他のタイプのセンサに用いることができることを理解されたい。
【0011】
図1に示される実施形態において、フローセンサ10は、流体および/または流体流れ14の1つ以上の特性(たとえば熱伝導性)を測定するために、流体流れ12に隣接して配置することができる。たとえば、フローセンサ10は、所望により、1つ以上の熱センサ(たとえば図2参照)、圧力センサ、音響センサ、光学センサ、ピトー管、および/または任意の他の適当なセンサまたはセンサの組み合わせを用いて、流体流れ14の質量流れおよび/または速度を測定することができる。いくつかの場合、流れセンサ10は、マイクロブリッジまたはMicrobrick(商標)センサアセンブリ、本願の出願人より入手できるマイクロセンサとすることができる。しかし、これは必要的というわけではない。流体流れ14の質量流れおよび/または速度を測定するのに適合的ないくつかの方法およびセンサ構成が開示され、たとえば、米国特許第4478076号明細書、4478077号明細書、4501144号明細書、4581928号明細書、4651564号明細書、4683159号明細書、4994035明細書、5050429号明細書、6169965号明細書、6223593号明細書、6234016号明細書、6502459号明細書に開示されている。しかし、説明されるフローセンサ10は、所望により任意の好適なフローセンサとすることができることを認識されたい。
【0012】
図示の例において、流体流れ12は、流体流れ14の流速の範囲を備えることができる。たとえば、流体流れ12は、高容積流体流れ、中容積流体流れ、または低容積流体流れを含むことができる。例示的な流体流れの用途は、限定するわけではないが、所望により、幼児および/または大人の呼吸計、フローメーター、速度計、飛行制御機、工業プロセスストリーム、燃焼制御、気象モニタ、他の好適な流体流れ応用を含むことができる。
【0013】
図2を参照すると、これは、流体ストリーム12における流体流れ14の流速を測定するための熱フローセンサアセンブリの実施形態の概略図である。図2に示される実施形態において、フローセンサアセンブリは、加熱要素16のような1つ以上の加熱要素を含むことができ、また、センサ要素18、19のような1つ以上のセンサ要素を含むことができる。図示されているように、センサアセンブリは、加熱要素16、加熱要素16の上流に位置決めされる第1センサ要素18、および加熱要素16の下流に位置決めされる第2センサ要素19を含む。図示の例において、流体ストリーム12に流体流れが存在せず、加熱要素16が流体流れ14の流体の周囲温度よりも高い温度に加熱されている場合、温度分配が形成され、加熱要素16を中心に概ね対称に上流のセンサ要素18および下流のセンサ要素19の両方に分配されて伝達される。この例において、上流のセンサ要素18および下流のセンサ要素19は、同一または類似の温度を検出することができる(たとえば、25パーセント、10パーセント、5パーセント、1パーセント、0.001パーセント内など)。
【0014】
流体流れ14が流体ストリーム12内に存在し、加熱要素16が流体流れ14内の流体の周囲温度よりも高い温度に加熱される場合、対称な温度分配は妨害され、妨害の程度は、流体ストリーム12内の流体流れ14の流速に関連し得る。流体流れ14の流速により、上流のセンサ要素18が下流のセンサ要素19よりも相対的に低い温度を検出することになる。換言すれば、流体流れ14の流速により、上流のセンサ要素18と下流のセンサ要素19との間の温度差が生じ、これは、流体ストリーム12における流体流れの流速に関連する。
【0015】
他の実施形態において、質量流れおよび/または流体流れの速度は、加熱要素16における過渡的に上昇する温度条件を提供することにより決定することができ、これは、流体流れ14における過渡的な上昇する温度条件を生じさせる(たとえば、熱パルス)。流体流れ14においてゼロでない流速がある場合、上流のセンサ要素18は、下流のセンサ要素19よりも遅れて過渡的な応答を受け取る。流体流れ14の流速は、上流のセンサ要素18および/または下流のセンサ要素19との間の時間差を用いて計算され、または、ヒーターにエネルギー付与された時間と、対応する上昇した温度条件が下流のセンサ19のようなセンサの一方により検出された時との間の時間差を用いて計算される。
【0016】
図3、4は、それぞれ、流体流れの流速を測定するための例示的な熱フローセンサの断面側面図および上面図である。例示的な実施形態において、フローセンサは、加熱要素26、加熱要素26の上流に位置決めされる第1温度センサ22、加熱要素26の下流に位置決めされる第2温度センサ24を含むことができる。例示的な実施形態において、温度センサ22、24、および加熱要素26を支持するために基板20が設けられる。基板20は、たとえばシリコンのような典型的な半導体材料を含むことができるが、他の好適な材料を用いることができる。
【0017】
図3に示されるように、基板20は、基板20の頂部表面に形成される凹部30または流体空間を画定することができる。凹部30は、上流側45および下流側47を備えることができ、また、1つ以上の側部46、48(図4参照)を備えることができる。使用中、流体ストリームは、凹部30の上流側45から下流側47に向かって流れることができる。凹部30は、任意の好適な微細加工技術を用いて形成することができ、たとえば、ウェットエッチングを含む。しかし、所望により、凹部30を形成するのに他の好適な微細加工技術を用いることもできる。
【0018】
例示的な実施形態において、センサブリッジのような支持部材32は、凹部30の上に支持されるように、また凹部30にわたって延びるように形成することができ、また、温度センサ22、24および/または加熱要素26を支持することができる。図4に示されているように、センサブリッジ32は、凹部30の第1側部46の側と凹部32の第2側部48の側との間に延びることができ、流体ストリームを受け入れるために、上流側45および下流側47を開放状態にする。支持部材32は、両方の側部46、48上に支持されるセンサブリッジとして示されているが、支持部材32は、所望により、凹部30上の片持ち梁、または、基板20上に支持される他の形態とすることができることを理解されたい。
【0019】
いくつかの実施形態において、温度センサ22、24は、検出抵抗グリッドにより少なくとも部分的に画定される薄いフィルム温度センサとすることができる。図4に示されるように、温度センサ22、24は、センサブリッジ32により支持される抵抗トレースとして形成することができる。例示的な実施形態において、温度センサ22、24は、任意の好適な金属または金属合金フィルムを含むことができる。使用される金属の一例は、ニッケル−鉄合金であり、しばしばパーマロイ(商標)と呼ばれ、例示的な組成は、80パーセントのニッケルと20パーセントの鉄である。しかし、他の好適な組成を用いることもできる。いくつかの場合、センサグリッドは、層28、29を含む(図3参照)シリコン窒化物Siのような誘電体の薄いフィルム内に覆われるようにすることができる。しかし、所望により、他の好適な誘電体材料を用いることもできる。
【0020】
いくつかの実施形態において、加熱要素26は、少なくとも部分的にヒーター抵抗グリッドにより画定される薄いフィルムヒーターとすることができる。図4に示されるように、加熱要素26は、センサブリッジ32により支持される抵抗トレースとして形成することができる。しかし、加熱要素26は、上述のようなグリッドパターンまたは単純なラインを含む任意の形状とすることができることを理解されたい。加熱要素26は、任意の好適な金属または金属合金から形成することができ、たとえば、プラチナ、ニッケル、および鉄−ニッケルなどである。温度センサ22、24に類似して、加熱要素26は、所望により、シリコン窒化物Siのような誘電体の薄いフィルム内に覆われるようにすることができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、支持部材またはセンサブリッジ32は、センサブリッジ内に形成される開口部50を含むことができ、開口部50の各側部(上流および下流)上にヒーター26の半分を備える。いくつかの場合、開口部50は、たとえばウェットエッチングなどで凹部30の形成を容易にする。図4に示されるように、加熱要素26は、開口部50の各側部上で加熱要素26の抵抗トレースを電気的に接続するために、凹部30の側部表面48に隣接して伝導性トレース60を含むことができる。いくつかの場合、伝導性トレース62、64またはリードは、加熱要素26に電気的に接続された凹部の側部46に隣接して設けることができる。
【0022】
例示的な一実施形態において、温度センサ22、24および加熱要素26は、約0.08ミクロンから約0.12ミクロンの厚さ、約5ミクロンのオーダーの線幅、約5ミクロンのオーダーの線間隔を備えるように形成することができる。しかし、これらの寸法は、単に例示的なものであり、所望により、他の厚さ、幅等を用いることもできることを理解されたい。
【0023】
いくつかの実施形態では、動作において、流体ストリーム内に流体が存在せず、加熱要素26が、凹部30内の流体流れの流体の周囲温度よりも高い温度に加熱されているとき、温度分配がなされ、加熱要素26を中心に上流センサ要素22および下流センサ要素24に概ね対称に伝達される。この例において、上流センサ要素22および下流センサ要素24は、同一または類似の温度(たとえば、25パーセント、10パーセント、5パーセント、1パーセント、0.001パーセント以内など)を検出することになる。流体流れが凹部30内に存在し、加熱要素24が流体流れ内の流体の周囲温度よりも高い温度に加熱されるとき、対称な温度分配は妨害され、妨害の程度は、凹部30を通って流れる流体の流速に関連し得る。流体流れの流速により、上流センサ要素22は、下流のセンサ要素24よりも相対的に低い温度を検出し得る。換言すれば、流体流れの流速により、上流センサ要素22と下流センサ要素24との間の温度差が生じ、これは流体ストリーム内の流体流れの流速に関連する。しかし、他の検出構成を採用することもできることを理解されたい。
【0024】
いくつかの実施形態において、加熱要素26は、周囲の流体ストリーム温度よりも約百から数百度(セルシウス)高い平均温度で動作するように構成することができる。周囲うよりも200℃高い温度で動作する場合、加熱要素26に必要な電力は、0.010ワットよりも小さくなり得る。
【0025】
例示的な実施形態において、支持部材またはセンサブリッジ32は、複数の開口部34、36、38、40、42、44を含むように形成することができ、加熱要素26を周囲の基板20から熱的に隔離し、および/または隣接する温度センサ22、24から熱的に隔離するのを助けるようにセンサブリッジから延びるようにすることができる。これは、感度および/またはダイナミックレンジを増加させるのを助け、消費電力を低減し、および/またはセンサの他の性能特性を改良するのを助ける。たとえば、加熱要素26からセンサブリッジ32上への熱損失の低減は、フローセンサの電力消費を低減することができる。また、加熱要素26を温度センサ22、24から熱的に隔離すること、および/または温度センサ22、24を基板20から熱的に隔離することは、センサの感度および/またはダイナミックレンジを改善するのを助けることができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、複数の開口34、36、38、40は、凹部30の側部46および/または48に隣接して間隔を隔てて配置することができる。そのように設けられる場合、複数の開口部34、36、38、40は、センサブリッジ32上に設けられた加熱要素26および/または温度センサ22、24を周囲の基板から熱的に隔離するのを助ける。図4に示されるように、複数の開口部34、36、38、40は、側部46および側部48に隣接するように配置することができるが、所望により、側部46および/または側部48に隣接する複数の開口部34、36、38、40のいくつかだけを設けるようにすることもできることを理解されたい。図示のように、複数の開口部34、36、38、40は、凹部を通る流体ストリームの流体流れの方向に実質的に平行な方向になるように構成することができる。いくつかの場合、複数の開口部のセット34、36、38、40の各々は、凹部30の第1側部46および/または第2側部48に概ね沿う方向に延びるアレイ長さを備える開口部のアレイとすることができる。いくつかの場合、開口部34、36、38、40のアレイは、規則的なアレイとすることができ、または、凹部30の側壁に沿うエッチングパターンに追従する曲線とすることができる不規則なアレイとすることができる。
【0027】
図4に示されるように、開口部34、36は、凹部30の側部48に隣接して、温度センサ22および温度センサ24のそれぞれの長さ(流体流れの方向)に沿って延びるようにすることができる。しかし、開口部34、36は、所望であれば、温度センサ22、24の長さの一部にだけ沿って延びるようにすることもできることを理解されたい。開口部34は、概ね矩形となるように示されており、開口部36は、概ね長円形となるように示されている。しかし、所望であれば、他の形状を用いることもできることを理解されたい。また、開口部34および開口部36は、同一(たとえば、両者は長円のアレイ)または異なるもの(たとえば図4に示されるもの)とすることもできることを理解されたい。また、矩形の開口部34の角部は四角で示されているが、角部を丸くすることもできることを理解されたい。図4に示されるように、支持部材またはセンサブリッジ32を通って延びる、1つの開口部34および4つの開口部36が設けられるが、所望により、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上の開口部のように他の数の開口部34、36を用いることもできることを理解されたい。
【0028】
いくつかの場合、符号34により図示される単一の長い開口部よりも符号36により図示される2つ以上の開口部を提供することは、基板20からセンサブリッジを熱的に分離するのを助けるだけでなく、開口部36の長さ(流体流れの方向)に沿ういくつかの中間の支持を提供することができる。中間支持は、センサブリッジ32と、個別の開口部の間の基板20との間にある。いくつかの用途において、この中間支持は、センサブリッジ32の耐久性を増加させることができ、また、いくつかの場合、センサブリッジ32を平坦に維持するのを助けることができる。
【0029】
図4に示されるように、開口部38、40は、凹部の側部46に隣接し、それぞれ温度センサ22および温度センサ24の長さ(流体流れの方向)に沿って間隔が隔てられるようにすることができる。開口部38は、概ね円形で示され、開口部40は、概ね長円形で示されているが、これらの単なる例示であり、様々なものを使用できることを示すために使用されている。所望により他の形状を使用することができる。図示のように11の開口部38および2つの開口部40が支持部材32を通って延びるが、消耗により、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13またはそれ以上の開口部を用いることができる。
【0030】
開口部34、36、38、40は、異なる形状および/またはサイズで示されているが、凹部30の側部46、48に沿って位置決めされる開口部34、36、38、40は、所望により、同一の形状および/またはサイズを備えるように形成することができ、または、異なる形状およびサイズを備えるように形成することができることを理解されたい。任意の形状およびサイズ、または任意の形状およびサイズの組み合わせを用いることができ、換言すれば、開口部34、36、38、40の構成は、所望により組み合わせまたは一致させることができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、支持部材またはセンサブリッジ32は、加熱要素26と温度センサ22および/または温度センサ24との間に位置決めされる複数の開口部42、44を含むように形成することができる。開口部42、44は、温度センサ22および/または温度センサ24を、加熱要素26から熱的に隔離するのを助けることができる。図4に示されているように、開口部44は、温度センサ22と加熱要素26との間に位置決めすることができ、開口部46は、温度センサ24と加熱要素26との間に位置決めすることができる。いくつかの場合、開口部44は概ね矩形とすることができ、また、温度センサ22の幅(流体流れに直行する方向)に延びるようにすることができる。図示のように、開口部42は、いくつかの概ね長円形の開口部および他の概ね丸い形状の開口部を含むことができる。しかし、これらは単なる例である。開口部42は、1つの開口部44および22個の開口部22が示されているが、所望により、他の数の開口部42、44を設けることもできることを理解されたい。
【0032】
開口部42、44は、異なる形状および/またはサイズとして示されているが、開口部42、44は、同一の形状およびサイズ、または異なる形状およびサイズを備えるように形成することができることを理解されたい。所望により、任意の形状およびサイズ、または任意の形状およびサイズの組み合わせを使用することができ、また、開口部42、44は組み合わせおよび一致させることができることを理解されたい。さらに、所望により開口部34、36、38、40、42のいくつかだけを設けるようにすることができることを理解されたい。
【0033】
図4に示されるように、加熱要素26の伝導性トレース62、64は、支持部材32上の開口部38、40の間を通り、凹部の側部46に沿うように位置決めすることができる。同様に、伝導性トレース60は、開口部34、38開口部34、38の間を通り、凹部30の側部48に沿うように構成することができる。図示されていないが、1つ以上の伝導性トーレスまたはリードは、温度センサ22、24のために設けることができ、これは、2つ以上の開口部34、36、38、40の間を通るように位置決めすることができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、開口部34、36、38、40、42、44は、所望により任意の好適な微細加工技術を用いて製造することができる。例示的な一製造プロセスは、頂部表面を備える(100)シリコンウェハ20を提供することを含む。いくつかの例において、頂部表面は、低圧ガス排出環境において標準的なスパッタリング技術を用いてその上に堆積されるシリコン窒化物の沿う29を備えることができる。一例において、層29は、約4000オングストロームの厚さとすることができるが、他の厚さを用いることもできる。次に、たとえば80パーセントのニッケルおよび20パーセントの鉄であるパーマロイ(商標)の層を、スパッタリングまたは他の好適な技術によりシリコン窒化物の上に堆積させることができる。一例において、パーマロイ(商標)は約800オングストロームの厚さとすることができるが、他の厚さとすることもできる。温度センサ22、24、および加熱素子26は、好適なフォトマスク、フォトレジスト、および好適なエッチング剤を用いて形成することができる。
【0035】
いくつかの場合、パーマロイ構成の完全なステップカバレッジを提供し、抵抗要素を酸化から保護するために、シリコン窒化物の第2層28をスパッタリング形成することができる。いくつかの場合、層28は、約4000オングストロームの厚さとすることができるが、他の厚さとすることもできる。
【0036】
いくつかの場合、開口部50は、窒化物層を通して(100)シリコン表面にエッチング形成することができる。次に、凹部30および開口部34、36、38、40、42、および/または44を画定するために、マスキング層を層28上に堆積することができる。支持部材32の下に凹部30を形成し、開口部34、36、38、40、42、44を支持部材32内に形成するために、シリコンのエッチングに非等方性エッチングを用いることができる。この例示的な例においては、開口部34、36、38、40、42、44は、凹部30と同一のプロセスステップで形成することができるが、開口部34、36、38、40、42、44は、所望により別のプロセスステップで形成することもできる。好適なエッチング剤の1つはKOHプラスイソプロピルアルコールであるが、所望により他の好適なエッチング剤を用いることもできる。凹部30の深さは、エッチングステップの時間長さにより画定することができる。いくつかの場合、凹部の深さを制御するために、ドープされたシリコンエッチング停止部、たとえばボロンドープ層、を用いることができる。しかし、そのような停止部は必ずしも必要ではない。
【0037】
本開示の好ましい実施形態が説明されたが、当業者は、添付の特許請求の範囲に示された範囲ないで他の実施形態を形成および用いることができることを容易に理解するであろう。本稿によりカバーされる本開示の多数の利点が上述の説明に開示された。しかし、本開示は、多くの点において単なる例示であることを理解されたい。本開示の範囲を超えることなく、詳細部分の変更が可能であり、特に部分の形状、サイズおよび配置の変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ストリーム(12)の流れを検出するためのフローセンサ(10)であって、前記フローセンサ(10)は、
基板(20)と、
上流側、下流側、第1側部、および第2側部を備えるブリッジと、を備え、フローセンサ(10)の使用中、流体ストリーム(12)は、前記ブリッジの前記上流側から前記下流側へ流れ、
前記ブリッジは、前記ブリッジの前記上流側と前記下流側との間で、前記基板(20)から間隔が隔てられ、また、前記ブリッジの前記第1側部と前記第2側部との間で前記基板(20)から間隔が隔てられ、前記ブリッジは、前記ブリッジの前記第1側部および前記第2側部に隣接して、前記基板(20)により支持され、
前記フローセンサ(10)はさらに、前記ブリッジにより支持される加熱要素(26)と、
前記加熱要素(26)に隣接して前記ブリッジにより支持される第1センサ要素(22)と、
前記ブリッジを通って延びる間隔が隔てられた複数の開口部(34、36、38、40)と、を有し、前記複数の開口部(34、36、38、40)は、前記流体ストリーム(12)の流体流れ(14)の方向に実質的に平行である方向に互いに間隔が隔てられる、フローセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のフローセンサ(10)であって、間隔が隔てられた前記複数の開口部(34、36、38、40)は、前記ブリッジの前記第1側部および/または前記第2側部に沿ってまたこれに隣接して配置される、フローセンサ。
【請求項3】
流体ストリーム(12)の流れを検出するためのフローセンサ(10)であって、前記フローセンサ(10)は、
頂部表面を備える基板(20)と、
前記頂部表面から前記基板(20)内に延びる凹部(30)と、を有し、前記凹部(30)は、上流側、下流側、第1側部、および第2側部を備え、前記フローセンサ(10)の使用中、前記流体ストリーム(12)は前記上流側から前記下流側に向かって流れ、
前記フローセンサ(10)はさらに、前記凹部(30)の第1側部から前記第2側部まで前記凹部(30)にわたって延びるブリッジを有し、前記ブリッジは、前記凹部(30)の前記第1側部および前記第2側部に隣接して、前記基板(20)により支持され、
前記フローセンサ(10)は、前記ブリッジに支持される加熱要素(26)と、
前記加熱要素(26)に隣接して前記ブリッジにより支持されるセンサ要素と、
前記ブリッジを通って延びる開口部(42)のアレイと、を有し、前記開口部(42)のアレイは、全体として前記凹部(30)の前記第1側部から前記第2側部に向かう方向に延びるアレイ長さを備え、前記開口部(42)のアレイは、さらに、前記加熱要素(26)と前記センサ要素との間に配置される、フローセンサ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−127965(P2012−127965A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−273724(P2011−273724)
【出願日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】