説明

熱膨張係数測定方法とその装置

【課題】微小な区域の微小な歪みでも観察して、その熱膨張係数を測定できる方法とそれに用いる装置を提供する。
【解決手段】電子線モアレ法と加熱装置C1および通電装置を用いて部材中に発生する熱変形を測定し、この結果より熱により生ずる歪みを計測し、この歪みより熱膨張係数を測定する手法およびその装置である。電子線モアレ縞,CCDモアレ縞,光学的モアレ縞,走査レーザーモアレ縞,干渉縞の観察できる装置に部材全体を加熱する装置および部品に通電する装置を組み合わせ、加熱前後のモアレ縞の変化より熱変形を測定し、その結果より熱膨張係数を算出する方法およびその装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度差により生じる試料の歪みに基づく熱膨張係数測定方法とその装置に関し、より詳しくは材料中に生成する局所的な熱膨張係数をも測定可能とすることに関する。
【背景技術】
【0002】
材料の熱膨張は、時には夏の暑さで鉄道のレールが曲がり、熱によって生じる熱応力により疲労き裂が生じるなどの弊害が生じたり、また「焼きばめ」のように異なる材料同士を接合することができるなど、積極的に利用することもあり、材料の熱膨張係数を正確に測定することは工業上非常に重要なことである。従来、この熱膨張係数の測定方法としては試料を加熱して試料の伸び(あるいは縮み)を測定し、温度変化により生じた歪みを温度差で除して求める方法が主流である。熱膨張係数の測定法には加熱方法と伸びの測定方法の組み合せにより数多くの方法が考案されている。(特許文献1−3、非特許文献1−4)
しかしこれらの手法においては試料全体の伸び(歪み)を測ることしかできず、従って試料全体の熱膨張係数を測定することしかできなかった。
【0003】
複合材料のように、熱膨張係数の異なる材料を含む材料においては異種界面に熱膨張係数の違いにより生ずる熱応力のくり返しにより疲労き裂(熱疲労)が生じたりする。また電子機器などは基板とは熱膨張係数の異なる材料で配線され、稼働中に温度差を生ずることによって生じる熱歪みの違いにより、断線や接触不良を生じ、故障の原因となっている。
しかし、これらの材料や部品の中で熱膨張係数を測定すべき領域は非常に小さく、例えば複合材の強化繊維や強化粒子の直径はサブミクロンから数百ミクロンであり測定する領域も同程度と小さく、上記の手法で局所的に生じる熱変形を測定することはできなかった。
【0004】
非特許文献5においては、一旦試料を目的の温度まで上昇させておきレプリカ法(樹脂を試料に塗布し、凹凸型をした金属のパターン(モデルグリッド)を樹脂に写し取る方法)を用いてモデルグリッドを作製し、そのまま温度を室温まで下降させてモアレ縞を観察し、このモアレ縞より求めた歪みと温度差より熱膨張係数を求めるものである。
本手法においては、樹脂の耐熱温度よりも高い温度や樹脂が硬化しない温度では適用不可能であり、また試料とモデルグリッドとの間に樹脂が入るため試料の変形を正確に求めることができなかった。
【特許文献1】特開平6−34584
【特許文献2】特開2006−329955
【特許文献3】特開2001−249092
【非特許文献1】JIS規格 JIS R 3251−1995
【非特許文献2】ISO規格 ISO 4897−1985
【非特許文献3】JIS規格 JIS Z 2285−2003
【非特許文献4】ISO規格 ISO 7991−1987
【非特許文献5】“Micro−moire methods with high resolution microscope and their applications”, H.M.Xie, S. Kishimoto, G. Chai and A. Asundi, Structural Health Monitoring and Intelligent Infrastructure, Wu & Abe (eds), 2003, Swets & Zeitlinger, Lisse, ISBN 90 5809 647 5, 1385−1391.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実情に鑑み、微小な区域の微小な歪みでも観察して、その熱膨張係数を測定できる方法とそれに用いる装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明1は、温度差により生じる試料の歪みに基づく熱膨張係数測定方法であって、試料本体に対して粒子線やエネルギー線が照射された時の二次電子発生量や反射電子量や反射光が、前記試料本体とは異なるグリッドを前記試料表面に形成してある試料に対して、粒子線やエネルギー線を照射し、二次電子発生量や反射電子量や反射光の違いにより観察できる電子線モアレ縞,CCDモアレ縞,光学的モアレ縞,走査レーザーモアレ縞等の各種モアレ縞を、前記試料の加熱あるいは冷却中とその前に観察し、観察した両モアレ縞を相互に比較して、試料に生じた歪みを計測することを特徴とする。
【0007】
発明2は、 発明1の熱膨張係数測定方法において、加熱若しくは冷却を試料の局部にて行い、当該箇所の歪みを計測することを特徴とする。
【0008】
発明3は、発明1又は2の熱膨張係数測定方法に用いる装置であって、所定のグリッドを表面に有する試料に、粒子線やエネルギー線を照射する照射手段と、前記試料からの二次電子発生量や反射電子量や反射光により生じる電子線モアレ縞,CCDモアレ縞,光学的モアレ縞又は走査レーザーモアレ縞等を観察するモアレ観察手段と、その観察結果を記録するモアレ縞記録手段と、前記試料を所望の温度に加熱若しくは冷却する温度調整手段と、前記温度調整手段による温度調整箇所の温度変化を計測する温度計測手段と、モアレ縞記録手段により記録されたモアレ縞の観察時の試料温度を記録する温度記録手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
発明者らは微小な領域での変形を測定する、電子線モアレ法(例えば。特許1875579号)を開発している。モアレ法はモアレ縞を利用して変形量を求める手法であり、二つのグリッド(格子状のパターン、モデルグリッドとマスターグリッド)を重ね合わせ、重なり合った部分と重なり合わない部分とでできる濃淡の縞(モアレ縞)より変形量を求める方法である光学的モアレ法は昔から周知されている手法である。しかし、この手法では重ね合わせる格子を細かくすることに限界があったため、走査型電子顕微鏡で観察するレベルの領域(数ミクロンから数百ミクロン四方)での変形量測定には使用できなかった。発明者らが考案した、電子線モアレ法においては、モデルグリッドを試料とは二次電子発生量や反射電子量や反射光の量が異なるように作製し、マスター格子の代わりにグリッド状に照射される粒子線(電子線やレーザーやイオンビームを含む)を用い、粒子線をモデルグリッド上に照射したときに生成する二次電子や反射電子量の違いによりモアレ縞を生成する方法である。この手法は2つのグリッドを重ね合わせる従来の光学的モアレ法に比べ微小な領域(サブクロンから数百ミクロン四方)での変形量計測が可能である。
この電子線モアレ法等の微正な領域での変形量を計測できるモアレ法と試料を加熱できる試料ステージとを組み合わせ、加熱前後の電子線モアレ縞を観察し、その変形量より、熱変形や熱膨張係数を測定することができる。
本発明はこのようなモアレ縞による各種の観察手法を応用したものである。
【0010】
発明1、2により、試料の僅かな歪みでも計測でき、大きな温度変化を与えることが困難な試料の熱膨張係数を正確に測定可能である。また、電子線などの微小モアレ法を用いることにより、従来では観測不可能であってミクロン単位の局所における熱膨張係数を計測できるようになった。例えば、走査型電子顕微鏡で観察するレベルの領域(サブミクロンから数百ミクロン四方)での熱変形量測定が可能となり、熱疲労の原因となる熱応力の発生を視覚的にとらえ、局所的な熱膨張係数を計算し、これより、複合材料や介在物を含む金属材料の熱応力による破壊や微小部品の故障の要因を探ることが出来るようになり、材料や部品、装置の信頼性向上に寄与する。
【0011】
発明3により、上記発明1、2を実施するに当たり、温度が変化していく段階で、連続した観察が可能となり、また非接触で測れるので試料に対する外乱のない状態での測定が可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
モアレ縞の発生原理を図1に示す。モアレ縞は二つの相似形のパターンを有する図形が重なり合うことによりできる縞のことである。図1左図に示すように、グリッドの間隔が異なることにより発生するモアレ縞をミスマッチによるモアレ縞、右図に示す2つのグリッドがある角度をもっている時に現れるモアレ縞をミスアライメントによるモアレ縞という。
試料上に微細なモデルグリッドを作製する手法としてはフォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー、X線リソグラフィー、走査型プローブ顕微鏡、高精度のX−Yステージを有するレーザー加工機等を用いて作製する。
【0013】
歪みを測る場合は等間隔で平行な直線群の平行グリッドや平行直線群が互いに直行する直行グリッドを用い、基準となるグリッドのマスターグリッド(ここでは粒子線の走査幅)の間隔をaとし、モデルグリッド(変形するグリッド)の間隔をa’とすると、モデルグリッドのマスターグリッドに対する変化の割合(歪み)ε=は式1で表される。この式より明らかなように、モアレ法はノギスのバーニアのように何本かの直線を用いて歪みを求めるため、空間分解能を犠牲にし、平均的な歪みの測定精度を向上させる手法であり、モアレ縞の様子により変形の様子が視覚的にわかる手法である。
【0014】
(式1)



本発明で試料上に作製するモデルグリッドは走査する粒子線がレーザーや光を用いる場合はマスターグリッドとしては光の反射を基板とは異なるようにしたグッリドを用い(図2)、電子線を照射する場合は二次電子発生量が基板とは異なる様に作製したグリッドを用いる(図3)。
走査型音響顕微鏡のように高周波の超音波(100MHz〜3GHz)を音響レンズなどを用いて集束し、焦点面に置いた試料を機械的に走査し、試料の部分的な超音波反射率または透過率の変化を検出し、画像としてCRT上に表示する装置の場合は超音波伝播速度が異なる弾性率や密度の異なる物質を用いて作製したモデルグリッドを用いる。
【0015】
また、モデルグリッドとマスターグリッドとなる粒子線やエネルギー線群との角度はできるだけ小さくできれば平行であることがミスアラインメントの成分を含まないモアレ縞が得られるので好ましい。
【0016】
図4,図5に本発明を遂行するための装置の概略を示す。図4は真空チャンバー(17)を有する場合、図5は真空チャンバーの必要ない場合である。粒子線やエネルギー線を試料に照射する照射手段としては、モアレ縞観察手段である走査型電子顕微鏡(A1)や走査型レーザー顕微鏡(A2)に付随する粒子線やエネルギー線を等間隔で試料上に平行に照射できる走査型の装置が好ましい。これとは異なり、可視光を試料に照射する照明装置を照射手段とした場合は、CCDカメラのように、反射光を受光する受光部分が、マスターグリッド状になっているものをモアレ縞観察手段とするのも可能である。温度調整手段は、試料の温度を所望の温度に設定するもので、具体的には温度制御のできるヒーター (15,24)を用いた。ヒーターは複数の部分に分かれており試料の全体および一部を加熱できることが望ましい。試料温度が所定の温度に達したところでモアレ縞観察を行うが、加熱装置(C1,C2)が通電式でモアレ縞観察装置が電子顕微鏡の場合、通電による電気的雑音を避けるために通電を停止するかノイズフィルターを付加する必要がある。また、試料や加熱装置が熱電子を発生させる600℃以上の高温になる場合は、熱電子を除去するためバイアス電圧をかける装置を付加する必要がある。
試料の温度は温度計(18,29)を用い、温度測定装置(D1,D2)を用いて表示する。温度計は熱電対を用いる。モアレ縞記録時も測定を続けるかあるいは所定の温度に達した時点で測定を止め、加熱装置(C1)と温度測定装置(D1)の電源を切りモアレ縞観察を行う。
【実施例1】
【0017】
Ni−Ti系形状記憶合金のファイバー(直径530μm)を埋め込んだ純アルミニウムの試料のファイバーの方向に垂直な面を鏡面状に研磨し、それに電子線レジスト(東レEBR−9)をスピンコーターを用いて塗布し、200℃にて30分ベーキング後パターンジェネレーターを装備した電子顕微鏡(トプコンSX−40A)を用いて電子線を2.9μm間隔で直交格子状に照射し、専用現像液で現像(電子線が照射された部分を取り除くこと)後、100℃において30分間ポストベークし、イオンコーターを用いて厚さ0.1μmの金を蒸着後、アセトンにてレジストを剥離すると図6に示すような2.9μm間隔の直交グリッドが完成する。これに図4のSのようにセットし、室温(23℃)において2.7μm間隔で電子線を直交グリッドのどちらかに平行に照射すると図7に示すような電子線モアレ縞が(16)のモニター上に観察される。電子線の走査方向は試料の長手方向(圧延時に圧力を受ける方向に垂直な方向)である。
図4に示す加熱装置(15とC1)を使用して、試料を80℃まで加熱し、同様の電子線走査を行ったところ、図8に示すようなモアレ縞が得られた。図7に比べてモアレ縞が若干湾曲し、間隔が狭くなっている。図8のモアレ縞より求めた歪みより図7のモアレ縞より求めた歪みを差し引くと23℃から80℃に温度が上昇したことによる熱変形による歪みがもとまる。この値はファイバー部において0.23%,母材部において0.15%である。さらに、この歪みを温度差で除すと熱膨張係数が求まる。これより算出した熱膨張係数は、ファイバー部で4.0×10−5/℃,母材部の純アルミニウム部で2.6×10−5/℃である。
Ni−Ti合金のファイバーと純アルミニウムの熱膨張係数はそれぞれ1.0×10−5/℃(http://www.atuen.com.sub1100.html)、2.3〜2.9×10−5/℃(理科年表:東京天文台偏)であるので、Ni−Ti合金のファイバー部では文献値より大きく、純アルミニウム部ではほぼ同程度である。これは、純アルミニウムの熱膨張係数がNi−Ti合金のファイバーよりも大きく、本材料作製時に650℃から冷却しているため、常温ではNi−Ti合金のファイバーに負(圧縮)の残留応力が働いているため、熱膨張により純アルミニウム部分の拘束が減少し、その分弾性的に膨張したと考えられる。
このように本手法を用いると数百ミクロン領域の微小な部分の熱膨張係数を求めることができる。
【0018】
基板上に格子を作成する方法としては本方法の他に、表1に示すように他に電子線リソグラフィーやフォトリソグラフィーを用い、蒸着やエッチングによって作製する手法、イオン研磨によって溝を作成する方法、走査型プローブ顕微鏡やX−Yステージを用いて試料をダイヤモンド針等で引っかいて作製する方法、イオンアシストガスデポジションによってイオンビームが照射された所に金属を蒸着して作成する方法がある。
【0019】
【表1】

【実施例2】
【0020】
実施例1の試料を90度回転させ図6,7,8と同じグリッドに対して、室温(23℃)において2.7μm間隔で電子線を直交グリッドの水平方向に平行に照射すると図9に示すような電子線モアレ縞が観察される。走査方向は試料の厚み方向(圧延時に圧力を受ける方向)である。
図4に示す加熱装置(15,C1)を使用して、試料を80℃まで加熱し同じく2.7μm間隔で電子線を直交グリッドの水平方向に平行に照射すると、図10に示すようなモアレ縞が得られた。図9に比べてモアレ縞が若干湾曲し、間隔が狭くなっている。図10のモアレ縞より求めた歪みから図9のモアレ縞より求めた歪みを差し引くと23℃から80℃に温度が上昇したことによる熱変形による歪みがもとまる。この値はファイバー部において0.61%,母材部において0.81%である。さらに、この歪みを温度差で除すと熱膨張係数が求まる。これより算出した熱膨張係数は、ファイバー部で1.1×10−4/℃,母材部で1.4×10−4/℃である。
これらの値は実施例1の値よりも大きい。この要因としては、測定した歪みが試料の厚さ方向の歪みであるため拘束が少ない、試料作製時の圧延などにより組織の異方性がある、などの要因があると考えられる。
このように本手法を用いると複合材料など異なる材料を複合して作製している材料において、異なる材料部分の異なる方向の局所的熱膨張係数を測定することができる。
【0021】
なお、本発明の内容を理解する助けとして、本書に用いた用語の定義を表2に示す。
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】モアレ縞の発生原理を示す模式図。 左図:格子の間隔が異なること(ミスマッチ)によるモアレ縞。右図:格子が平行でないこと(ミスアラインメント)によるモアレ縞をそれぞれ例示。
【図2】レーザーや光を走査する顕微鏡用のグリッドの作用を示す模式図。
【図3】電子線やイオンを走査する顕微鏡用のグリッドの作用を示す模式図。
【図4】温度を変化させてモアレ縞の観察する装置で真空チャンバーのある装置の概略図。
【図5】温度を変化させてモアレ縞の観察する装置で真空チャンバーのない装置の概略図。
【図6】実施例1および2で用いた2.9μm間隔の直交グリッドの走査電子顕微鏡写真。
【図7】図6のグリッドに23℃において走査型電子顕微鏡を用いて電子線を2.7μm間隔で照射して観察した電子線モアレ縞を示す写真。(図中左右矢印は電子線操作方向を示す。以下図10まで同じ)
【図8】図6のグリッドに80℃において走査型電子顕微鏡を用いて電子線を2.7μm間隔で照射して観察した電子線モアレ縞を示す写真
【図9】図6のグリッドを90度回転させ、23℃において走査型電子顕微鏡を用いて電子線を2.7μm間隔で照射して観察した電子線モアレ縞を示す写真。
【図10】図6のグリッドを90度回転させ、80℃において走査型電子顕微鏡を用いて電子線を2.7μm間隔で照射して観察した電子線モアレ縞を示す写真
【符号の説明】
【0023】
11 粒子銃
12 粒子ビーム
13 鏡筒
15, 24 ヒーター
16, 26 モニターおよび記録装置
17 真空チャンバー
18, 29 温度計
19 真空ポンプ
21 レーザー光源又は光源とCCDカメラ
22 レーザービーム又は光
25 試料台
27 防振台
A1 走査型粒子線顕微鏡
A2 走査型レーザー顕微鏡
B1 ビームコントローラー
B2 レーザーコントローラー
C1,C2 加熱装置
D1,D2 温度測定記録装置
E1 粒子線モアレ縞観察装置
S 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度差により生じる試料の歪みに基づく熱膨張係数測定方法であって、試料本体に対して粒子線やエネルギー線が照射された時の二次電子発生量や反射電子量や反射光が、前記試料本体とは異なるグリッドを前記試料表面に形成してある試料に対して粒子線やエネルギー線を照射し、二次電子発生量や反射電子量や反射光の違いにより観察できる電子線モアレ縞,CCDモアレ縞,光学的モアレ縞,走査レーザーモアレ縞等の各種モアレ縞を前記試料の加熱あるいは冷却中とその前に観察した両モアレ縞を相互に比較して、試料に生じた歪みを計測することを特徴とする。
【請求項2】
請求項1に記載の熱膨張係数測定方法において、加熱若しくは冷却を試料の局部にて行い、当該箇所の歪みを計測することを特徴とする。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の熱膨張係数測定方法に用いる装置であって、所定のグリッドを表面に有する試料に、粒子線やエネルギー線を照射する照射手段と、前記試料からの二次電子発生量や反射電子量や反射光により生じる電子線モアレ縞,CCDモアレ縞,光学的モアレ縞又は走査レーザーモアレ縞等を観察するモアレ観察手段と、その観察結果を記録するモアレ縞記録手段と、前記試料を所望の温度に加熱若しくは冷却する温度調整手段と、前記温度調整手段による温度調整箇所の温度変化を計測する温度計測手段と、モアレ縞記録手段により記録されたモアレ縞の観察時の試料温度を記録する温度記録手段とを有することを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−162562(P2009−162562A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340546(P2007−340546)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【Fターム(参考)】