説明

熱間等方圧加圧装置を急速冷却するための方法並びに熱間等方圧加圧装置

【課題】加圧室もしくは被加圧物の均等な冷却を可能にし、比較的冷たい流体を、熱間等方圧加圧装置の加圧室内の熱い流体に迅速に混合し、それと同時に十分に迅速でとりわけ確実な流体の循環を圧力容器全体であるが特に加圧室において達成し、その結果被加圧物全体の均等な冷却を達成する。
【解決手段】圧力容器(1)の加圧室(19)の内部で旋回流(23)を形成するために少なくとも1つのノズル(13)を介して流体を噴入し、絶縁部(8)付近の旋回流(23)のかたわらを通過している前記流体を被加圧物(18)付近の流体と混合し、ノズル(13)から進出する流体が、加圧室(19)における流体および/または被加圧物(18)よりも低い温度を有しているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間等方圧加圧装置の急速冷却のための方法であって、前記熱間等方圧加圧装置が、圧力容器と、その内側にある加圧室と該加圧室と圧力容器との間に配置された絶縁部とを有しており、該絶縁部の内側で加熱エレメントが配置されており、被加圧物が被加圧物支持板に配置されている形式のものを急速冷却するための方法に関する。
【0002】
さらに本発明は、前記方法を実施するための熱間等方圧加圧装置であって、圧力容器と、その内側にある加圧室と該加圧室と圧力容器との間に配置された絶縁部とを有しており、該絶縁部の内側で、加熱エレメントが配置されており且つ被加圧物が被加圧物支持板に配置されている形式のものに関する。
【背景技術】
【0003】
ホットアイソスタティックプレス(HIP)つまり熱間等方圧加圧装置またはオートクレーブ釜は、今日、多様な使用領域において使用される。この場合、堅固なワークピースまたは粉末から成る成形体材料が、ダイにおいて高温高圧下で圧縮される。この場合、同種の材料同士の結合も種々異なる材料の相互結合もできる。通常、ワークピースはヒータを備えた釜内に挿入される。釜はやはり高圧容器によって取り囲まれている。加熱中または加熱後、流体もしくは不活性ガス、たいていはアルゴンの全面的な加圧により、完全な等方圧的な圧縮成形を行う。その結果、ワークピースは最適に圧縮される。この方法は、たとえば人工股関節のためのたとえばセラミックス製の材料から成る構成部品、または自動車構造体またはPKWエンジンのシリンダヘッドであるエンジン構造体におけるアルミニウム鋳造部分のための構成部品、またはたとえばタービンベーンといったチタン合金から成る精密鋳造部分のための構成部品に後圧縮を行うためにも使用される。高温高圧下における後圧縮時に、前記製造プロセスにおいて発生する気孔は閉じられ、存在する空格子点は結合され接合特性が改良される。別の使用領域は、プロセス時に圧縮され焼結される粉末材料から成るニアネットシェイプの構成部分の製造である。
【0004】
HIPサイクルは通常極めて長く、数時間から数日続く。この場合、サイクルコストの大部分は資本投入に基づく機械時間率に起因する。特に運転温度から加圧装置を安全に開放することができる許容可能な温度への比較的長い冷却時間は、通常、サイクル時間の3分の1を占め、プロセス技術的に無駄である。こうして冷却は、製造したい部品の材料特性にとっても重要な役割を果たすことが公知である。多くの材料は材料品質の理由から、特定の最大冷却速度の遵守が必要である。その他に、冷却時にはワークピース自体がその体積において均等に冷却され、種々異なる温度ゾーンで非均等に冷却されないということに注意したい。大構成部分の製造時には、温度差異における固有応力が、歪みまたは相応の切欠き効果をもった亀裂または破壊に繋がることがある。また通常、釜におけるフレームまたは棚に置かれる小部品の場合にもこの種の問題が発生することがある。
【0005】
ファンといった機械的な補助手段の有無に関わらず高熱ガス循環部を備えたオートクレーブは、先行技術から十分に公知である。機械的な補助手段を用いずに使用する場合、オートクレーブ内の自然の対流とガスの再分配とは、存在する温度差異または必要となる温度差異(外壁における加熱または冷却)により起こる。この場合、比較的冷たい流体は下降し、比較的熱い流体は上昇する。案内機構を使用することにより、この種の流体流れを制御して使用することができる。その結果、オートクレーブにおける均等な加熱循環または冷却循環が提供される。この場合、先行技術ではいわゆる案内スリーブまたは対流スリーブを使用する。これらのスリーブは上方と下方とで開放した管から成っている。加熱する場合、釜内の熱源は駆動され、流れが熱源の配置に応じて適切に起こり始める。冷却運転中に、対流スリーブと冷却外壁との間の冷めたくなる流体は下方に落ち、従って、スリーブの内側における比較的温かい流体は、ワークピースを過ぎて上方に移動する。HIP装置の蓋には、下方から来た流れは、流体を外側領域の方向で移動させ、ひいては外壁とスリーブとの間の流体は再び下方に落ちる。この場合、再び相応の冷却が生じ、これにより連続的な冷却プロセスが維持される。
【0006】
HIP装置の急速冷却のための構成が、たとえばDE3833337A1で公知になった。この解決手段では、急速冷却を行うために、ガス循環が絶縁フードと絶縁フードの内側の高温室と絶縁フードの外側の低温室との間に形成され、底部室の弁を介して循環が開放される。絶縁フードの上側の蓋には、常に開放された孔が設けられている。この孔を介して熱い流体は流出することができる。この構成の欠点は、極めて冷たい流体が下方から高温室に戻り、釜の被加圧物もしくはワークピースに直接接触するという点にある。従って、高温室は下方から上方へと低温ガスで満たされる。このことが有する欠点は、突然の冷却があまりに確実に制御不可能なパラメータで起こることがあり、チャージルーム全体にわたって均等な冷却速度が達成されないことである。この場合、まさに大きな構成部品の場合には、非均等な冷却により、歪み、亀裂または破壊といった上記問題が生じることがある。
【0007】
WO2003/070402A1から熱間等方圧加圧装置の冷却のための方法と、熱間等方圧加圧装置とが公知になった。この場合、この方法においては加圧室から熱い流体は排除され、加圧室の外側の沈降している冷たい流体と混合し、混合流体は再び加圧室に供給される。この方法自体は、その獲得される条件下では複雑であり、さらにそのために、配置された複数の管路領域を備えた付属の熱間等方圧加圧装置の複雑な構造体がさらに必要である。被加圧物のアンダカットまたは被加圧物の支持構造部が、加圧室の整然とした貫流を妨げてしまう場合には、再導入された混合流体は、制御不可能に加圧室内に流れ戻り、そこで場合によっては種々異なる冷却速度に繋がることがあるということも欠点である。それに加えてさらに、混合温度に冷却されたガスは、下方から加圧室に供給される。このことは否応なく加圧室の下側の端部と上側の端部との間の温度落差に繋がり、ひいては均等な冷却速度を実現することはできない。
【特許文献1】DE3833337A1
【特許文献2】WO2003/070402A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、冒頭で述べた形式の熱間等方圧加圧装置の急速冷却のための方法と、当該方法の実施に適するように熱間等方圧加圧装置とを改良して、加圧室もしくは被加圧物の均等な冷却を可能にし、比較的冷たい流体を、熱間等方圧加圧装置の加圧室内の熱い流体に迅速に完全混合し、それと同時に十分に迅速でとりわけ確実な流体の循環を、圧力容器全体であるが特に加圧室において達成し、その結果、被加圧物全体の均等な冷却を達成する方法と当該方法を実施するための熱間等方圧加圧装置とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために本発明の方法では、圧力容器の加圧室の内部で旋回流を形成するために少なくとも1つのノズルを介して流体を噴入し、該流体を、絶縁部付近の旋回流を通過中に被加圧物付近の流体と混合し、ノズルから進出する流体が、加圧室における流体および/または被加圧物よりも低い温度を有しているようにした。
【0010】
さらに前記課題を解決するために本発明の構成では、加圧室の内側にある少なくとも1つのノズルに対する結合部を備えた少なくとも1つの管路が、圧力容器の内側に配置されており、管路が、加圧室における流体および/または被加圧物よりも低い温度を有する流体を提供するようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明の理論は、圧力容器の上側の領域における冷たい流体を有利に噴入することにより、加圧室内に旋回流が形成されるということにある。加圧室の上側端部に高速で噴入することにより、サイクロン効果が加圧室内に発生する。つまりノズルからの比較的冷たい流体は旋回により絶縁部に沿って円形に運動し、この場合、比較的高い流体密度により下降する。加圧室に対する不十分な分離により、被加圧物近辺の熱い流体とサイクロン的に運動する冷たい流体との混合が起こる。この場合、下方に向かう流体はここでは、加圧室の内側の領域からの熱い流体を連行し、これにより混合温度が発生する。最適な完全混合と物理的な理由による過度に冷たい流体からの被加圧物の保証された保護とにより、個々の被加圧部分の最適で均等な冷却勾配が保証されている。加圧室の内部での流体の旋回運動により、上昇流体と下降流体とは被加圧物または負荷支持体のアンダカットに基づき加圧室内の温度落差を形成しないことが保証される。通常静止している流体による前記落差は、それにもかかわらず旋回流と、これにより付加的に発生するたとえばアンダカットにおける乱流とに基づき十分に完全混合される。その結果、温度差異は完全に補償される。
【0012】
こうして本発明による特徴によって、急速冷却を行う際に均等な温度分配が加圧室全体にわたって冷却段階中に達成することが可能である。
【0013】
本発明の対象の有利な手段および構成は、請求項2〜12および請求項14〜24、および以下の図面に基づく説明から明らかになる。
【0014】
本発明に係る熱間等方圧加圧装置を急速冷却するための方法は、熱間等方圧加圧装置を急速冷却するための方法であって、前記熱間等方圧加圧装置が、圧力容器と、その内側にある加圧室と該加圧室と圧力容器との間に配置された絶縁部とを有しており、該絶縁部の内側において、加熱エレメントが配置されており且つ被加圧物が被加圧物支持板に配置されている形式のものを急速冷却するための方法において、圧力容器の加圧室の内側に旋回流を形成するために少なくとも1つのノズルを介して流体を噴入し、該流体を、絶縁部付近の旋回流を通過中に被加圧物付近からの流体と混合し、ノズルから進出する流体が、加圧室における流体および/または被加圧物よりも低い温度を有していることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る方法は、有利には、比較的冷たい流体を、圧力容器の中心軸線に対して接線方向でノズルから加圧室内に噴入する。
【0016】
本発明に係る方法は、有利には、比較的冷たい流体を、水平線に対して軽度に傾いた角度で上方または下方に接線方向でノズルから加圧室内に噴入する。
【0017】
本発明に係る方法は、有利には、比較的冷たい流体を、ノズルから高速で加圧室内に噴入する。
【0018】
本発明に係る方法は、有利には、ノズルから進出する比較的低い温度をもった流体を、底部室から直接管路内に供給する。
【0019】
本発明に係る方法は、有利には、流体を、出口を介して圧力容器の外側の流体冷却器に供給し、次いで入口を介して管路内に供給する。
【0020】
本発明に係る方法は、有利には、底部室において、圧力容器の外側で冷却された流体を、吹込み管とベンチュリノズルとから成るサクションジェットポンプを介して、管路内に直接供給する、および/または底部室からの流体に混加して管路内に供給する。
【0021】
本発明に係る方法は、有利には、急速冷却をさらに最適化するために外側の循環回路を、(互いに平行に配置された2つの環状ギャップにおける)天然の対流によって形成して、絶縁部の完全に外側に配置する。
【0022】
本発明に係る方法は、有利には、旋回流からの流体が、加圧室の下側において絶縁部における貫通部を介して加圧室から外側の循回回路に進入し、外側の循環回路の流体と混合し、さらに循環により圧力容器の壁を流過し、比較的冷たい流体として貫通部を介して加圧室の下側に流れ戻る。
【0023】
本発明に係る方法は、有利には、流体が、垂直な貫通部を介して加圧室から底部室内に流入する、および/または水平な貫通部から底部室内に流入する。
【0024】
本発明に係る方法は、有利には、比較的冷たい流体を、加圧室への進入前にノズルから案内装置内に噴入し、該案内装置が、比較的冷たい流体を絶縁部の壁付近の外側の領域において加圧室内に付与する。
【0025】
本発明に係る方法は、有利には、比較的冷たい流体を、加圧室への進入前にノズルから案内装置内に噴入し、該案内装置が、比較的冷たい流体を絶縁部の壁付近の外側の領域において加圧室に付与する前に、案内装置内に第1の旋回流を形成する。
【0026】
本発明に係る熱間等方圧加圧装置は、請求項1記載の方法を実施するための熱間等方圧加圧装置であって、圧力容器と、その内側にある加圧室と該加圧室と圧力容器との間に配置された絶縁部とを有しており、該絶縁部の内側において、加熱エレメントが配置されており且つ被加圧物が被加圧物支持板に配置されている形式のものにおいて、加圧室の内側における少なくとも1つのノズルに対する結合部を備えた少なくとも1つの管路が、圧力容器の内側に配置されており、管路が、加圧室における流体および/または被加圧物よりも低い温度を有する流体を提供することを特徴とする。
【0027】
本発明に係る熱間等方圧加圧装置は、有利には、ノズルの流出方向が、圧力容器の中心軸線に対して水平および/または接線方向に配向されている。
【0028】
本発明に係る熱間等方圧加圧装置は、有利には、ノズルの流出方向が、中心軸線に対して接線方向に配向されていて、且つ水平線から下方または上方に傾斜して配向されている。
【0029】
本発明に係る熱間等方圧加圧装置は、有利には、管路が、底部室内に通じている、および/または底部室を通っている。
【0030】
本発明に係る熱間等方圧加圧装置は、有利には、底部室内に、該底部室から流体を管路に供給するための循環装置が配置されている。
【0031】
本発明に係る熱間等方圧加圧装置は、有利には、底部室に、冷却された流体を供給するための入口が配置されている。
【0032】
本発明に係る熱間等方圧加圧装置は、有利には、底部室に出口が配置されており、該出口が、流体冷却器および/またはコンプレッサに圧力容器の外側で結合されていて、最終的に入口に結合されている。
【0033】
本発明に係る熱間等方圧加圧装置は、有利には、底部室内に吹込み管とベンチュリノズルとから成るサクションジェットポンプが配置されており、入口に吹込み管が結合されている。
【0034】
本発明に係る熱間等方圧加圧装置は、有利には、絶縁部が、環状ギャップを形成するために外方に上下で貫通されたバッフルプレートを有している。
【0035】
本発明に係る熱間等方圧加圧装置は、有利には、加圧室と底部室との間の絶縁部に、貫通部が配置されている。
【0036】
本発明に係る熱間等方圧加圧装置は、有利には、加圧室および/または環状室と底部室との間に、貫通部が配置されている。
【0037】
本発明に係る熱間等方圧加圧装置は、有利には、加圧室とノズルとの間に、少なくとも1つの水平の薄板から成る案内装置が配置されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面につき詳しく説明する。
【0039】
図示の圧力容器1は、一般的に内側にある加圧室19と、圧力容器1と加圧室19との間に配置された絶縁部8とを有している。この絶縁部8の内側には加熱エレメント4が配置されていて、被加圧物18が一般的には被加圧物支持板6に設置されるか、またはキャリア(図示せず)を介して被加圧物支持板6に置かれる。圧力容器1はその他の点では閉鎖蓋2,3を有していて、これらの閉鎖蓋2,3は圧力容器1の加圧および放圧のために働く。しかし以下では記載を簡潔にするために圧力容器1に付属していると見なされる。絶縁部8の内側の加圧室19に、少なくとも1つのノズル13が配置されている。このノズル13を通って旋回流23を形成するために流体が有利には高速で流入する。この流体は、加圧室19における流体および/または被加圧物18自体より低い温度を有していて、旋回による物理的な法則に基づき絶縁部8の内壁に押し付けられる。絶縁部8付近の旋回流23を通過中に、外側を旋回している流体は被加圧物18付近からの比較的温かな流体と混合する。従って、圧力容器1の中心軸線26に対する縦断面図において、中心軸線26付近には極めて高温の流体が存在する。この場合、温度は旋回流23の通過中は絶縁部8の方向で連続的に下がっている。有利な実施例では、流体は圧力容器1の中心軸線26に対して水平にノズルから噴出される。圧力容器1の中心軸線26に対する流体の接線方向での噴出も最適である。ノズル13からの進出時の流体の速度が高いこと、および/または複数のノズル13の配置も当然有利である。図5によれば流体は底部室22からの比較的低い温度と共に循環装置5によって取り込まれて管路12に直接供給されるか、または図1および図4に示されているように、出口24を介して圧力容器1の外側にある流体冷却器10に供給され、次いで入口25を介して管路12内に供給することができる。
【0040】
特に有利な実施例では、入口25を介して圧力容器1内に戻される冷却された流体は、吹込み管15とベンチュリノズル16とから成るサクションジェットポンプを介して、底部室22からの流体への混加を介して管路12に供給される(図1)。旋回流23のどんな駆動手段においても、貫通部7からの流体は加圧室19および/または第2の環状ギャップ17から底部室22内に直接進入することができる。このことは構造的な形態によるものであり、且つ達成したい冷却速度から規定されているのは、加圧室19からの流体が、第2の環状ギャップ17からの流体よりも著しく高温だからである。
【0041】
圧力容器全体の急速冷却をさらに最適化するために、自然の対流による外側の循環回路20が、平行に配置された2つの環状ギャップ9,17に形成される。この場合、循環回路20は完全に絶縁部8の外側に配置されている。外側の循環回路20の流体と、加圧室19からの旋回流とは、加圧室の下側における絶縁部8の貫通部14を介して相互に交換でき、混合することができる。この場合、旋回流23からの高温のガスは貫通部14を通って外側の循環回路20に到達でき、この外側の循環回路20において、高温のガスはまず外側の循環流と混合し、この循環により圧力容器壁1においてさらに冷却され、冷却されたガスとして貫通部14を介して加圧室19の下側に戻ることができる。
【0042】
入口25を介して供給された外部で冷却された流体および/または外側のリングスペース17において圧力容器1の壁を介して冷却された流体から成る混合物により、加圧室19の極めて徹底した急速な冷却が、図1および図4または図5の急速冷却において達成される。この場合、もちろん当業者にとっては複数のヴァリエーションが本発明の枠内で想到される。
【0043】
図4の有利な別の実施例では、流体は案内装置27内または案内装置27の外側にあるノズル13を介して加圧室19内に噴入される。この場合、前記案内装置27は一重のディスクまたは二重に水平に配置されたディスク(図4)またはリング状体(図4b)として構成できる。案内装置27は、ノズル13から流出する比較的冷たい流体が、旋回流23への進入前に、ここでは絶縁部8により形成されている加圧室19の外側の縁部に到達することを保証する。従って、加圧室19の中心への比較的冷たい流体の制御されていない流れは回避される。
【0044】
案内装置27を、図4aおよび図4b記載のように付加的に水平に配置された二重薄板または二重リング状体として構成することができる。この場合、2つの薄板の間のノズル13から比較的冷たい流体が流入することにより、狭幅に仕切られた最適なガス案内が、絶縁部8(ルーフ)の上側の領域の構成および高さとは関係なく達成することができる。
【0045】
案内装置27が拡幅されたノズル13として構成され得ることも考慮可能であるので、ノズル13を通って案内装置27内に進入する流体は、二重薄板の内側に一次旋回流を形成し、その後で初めて絶縁部8の壁付近で加圧室19内に進入する。この場合、少なくとも1つの進入開口は、配向に関連したノズル13の特徴を有していてよい。ノズル13から進出する冷たい流体と、上側の絶縁部8付近からの熱い流体との迅速な混合を強制するために、ノズル13からの流体をサクションジェットノズル(図示せず)内に噴入することが考慮可能である。
【0046】
さらに別の実施例では、付加的な貫通部7が、外側の環状ギャップ17と底部室22との間に設けることができ、これにより圧力容器壁において冷却された流体は、底部室22内に直接戻ることができる(図5)。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】外部の流体冷却部を備えた圧力容器の中心軸線に沿った概略的な縦断面図である。
【図2】図1の圧力容器の加圧室の上側の領域における噴入平面の横断面図である。
【図3】圧力容器の絶縁部の内側および外側の領域の間にある混合平面の別の横断面図である。
【図4a】加圧室の上側の領域の流体のための案内装置を有する第2実施例を示した図である。
【図4b】加圧室の上側の領域の流体のための案内装置を有する第2実施例を示した図である。
【図5】循環装置による内部の急速冷却部を備えた圧力容器の中心軸線に沿った縦断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 圧力容器、 2 上側の閉鎖カバー、 3 下側の閉鎖カバー、 4 加熱エレメント、 5 循環装置、 6 負荷支持板、 7 貫通部、 8 絶縁部、 9 環状ギャップ1、 10 流体冷却器、 11 コンプレッサ、 12 管路、 13 ノズル、 14 貫通部、 15 吹込み管、 16 ベンチュリノズル、 17 環状ギャップ2、 18 被加圧物、 19 加圧室、 20 外側の循環回路、 21 20のためのバッフルプレート、 22 底部室、 23 旋回流、 24 出口、 25 入口、 26 中心線、 27 案内装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間等方圧加圧装置を急速冷却するための方法であって、熱間等方圧加圧装置が、圧力容器(1)と、その内側にある加圧室(19)と該加圧室(19)と圧力容器(1)との間に配置された絶縁部(8)とを有しており、該絶縁部(8)の内側において、加熱エレメント(4)が配置されており且つ被加圧物(18)が被加圧物支持板(6)に配置されている形式のものを急速冷却するための方法において、
圧力容器(1)の加圧室(19)の内側に旋回流(23)を形成するために少なくとも1つのノズル(13)を介して流体を噴入し、該流体を、絶縁部(8)付近の旋回流(23)を通過中に被加圧物(18)付近からの流体と混合し、ノズル(13)から進出する流体が、加圧室(19)における流体および/または被加圧物(18)よりも低い温度を有していることを特徴とする、熱間等方圧加圧装置を急速冷却するための方法。
【請求項2】
比較的冷たい流体を、圧力容器(1)の中心軸線(26)に対して接線方向でノズル(13)から加圧室(19)内に噴入する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
比較的冷たい流体を、水平線に対して軽度に傾いた角度で上方または下方に接線方向でノズル(13)から加圧室(19)内に噴入する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
比較的冷たい流体を、ノズル(13)から高速で加圧室(19)内に噴入する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
ノズル(13)から進出する比較的低い温度をもった流体を、底部室(22)から直接管路(12)内に供給する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
流体を、出口(24)を介して圧力容器(1)の外側の流体冷却器(10)に供給し、次いで入口(25)を介して管路(12)内に供給する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
底部室(22)において、圧力容器(1)の外側で冷却された流体を、吹込み管(15)とベンチュリノズル(16)とから成るサクションジェットポンプを介して、管路(12)内に直接供給する、および/または底部室(22)からの流体に混加して管路(12)内に供給する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
急速冷却をさらに最適化するために外側の循環回路(20)を、(互いに平行に配置された2つの環状ギャップ(9,17)における)天然の対流によって形成して、絶縁部(8)の完全に外側に配置する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
旋回流(23)からの流体が、加圧室(19)の下側において絶縁部(8)における貫通部(14)を介して加圧室(19)から外側の循回回路(20)に進入し、外側の循環回路(20)の流体と混合し、さらに循環により圧力容器(1)の壁を流過し、比較的冷たい流体として貫通部(14)を介して加圧室(19)の下側に流れ戻る、請求項1記載の方法。
【請求項10】
流体が、垂直な貫通部(7)を介して加圧室(19)から底部室(22)内に流入する、および/または水平な貫通部(7)から底部室(22)内に流入する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
比較的冷たい流体を、加圧室(19)への進入前にノズル(13)から案内装置(27)内に噴入し、該案内装置(27)が、比較的冷たい流体を絶縁部(8)の壁付近の外側の領域において加圧室(19)内に付与する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
比較的冷たい流体を、加圧室(19)への進入前にノズル(13)から案内装置(27)内に噴入し、該案内装置(27)が、比較的冷たい流体を絶縁部(8)の壁付近の外側の領域において加圧室(19)に付与する前に、案内装置(27)内に第1の旋回流を形成する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法を実施するための熱間等方圧加圧装置であって、圧力容器(1)と、その内側にある加圧室(19)と該加圧室(19)と圧力容器(1)との間に配置された絶縁部(8)とを有しており、該絶縁部(8)の内側において、加熱エレメント(4)が配置されており且つ被加圧物(18)が被加圧物支持板(6)に配置されている形式のものにおいて、
加圧室(19)の内側における少なくとも1つのノズル(13)に対する結合部を備えた少なくとも1つの管路(12)が、圧力容器(1)の内側に配置されており、管路(12)が、加圧室(19)における流体および/または被加圧物(18)よりも低い温度を有する流体を提供することを特徴とする、熱間等方圧加圧装置。
【請求項14】
ノズル(13)の流出方向が、圧力容器(1)の中心軸線(26)に対して水平および/または接線方向に配向されている、請求項13記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項15】
ノズル(13)の流出方向が、中心軸線(26)に対して接線方向に配向されていて、且つ水平線から下方または上方に傾斜して配向されている、請求項13または14記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項16】
管路(12)が、底部室(22)内に通じている、および/または底部室(22)を通っている、請求項13から15までのいずれか一項記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項17】
底部室(22)内に、該底部室(22)から流体を管路(12)に供給するための循環装置(5)が配置されている、請求項13から16までのいずれか一項記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項18】
底部室(22)に、冷却された流体を供給するための入口(25)が配置されている、請求項13から17までのいずれか一項記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項19】
底部室(22)に出口(24)が配置されており、該出口(24)が、流体冷却器(10)および/またはコンプレッサ(11)に圧力容器(1)の外側で結合されていて、最終的に入口(25)に結合されている、請求項13から18までのいずれか一項記載のホットアイソスタティックプレス。
【請求項20】
底部室(22)内に吹込み管(15)とベンチュリノズル(16)とから成るサクションジェットポンプが配置されており、入口(25)に吹込み管(15)が結合されている、請求項13から19までのいずれか一項記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項21】
絶縁部(8)が、環状ギャップ(9)を形成するために外方に上下で貫通されたバッフルプレート(21)を有している、請求項13から20までのいずれか一項記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項22】
加圧室(19)と底部室(22)との間の絶縁部(8)に、貫通部(14)が配置されている、請求項13から21までのいずれか一項記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項23】
加圧室(19)および/または環状室(17)と底部室(22)との間に、貫通部(7)が配置されている、請求項13から22までのいずれか一項記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項24】
加圧室(19)とノズル(13)との間に、少なくとも1つの水平の薄板から成る案内装置(27)が配置されている、請求項13から23までのいずれか一項記載の熱間等方圧加圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−290151(P2008−290151A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132994(P2008−132994)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(508151910)ディーフェンバッハー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (3)
【氏名又は名称原語表記】Dieffenbacher GmbH + Co. KG
【住所又は居所原語表記】D−75020 Eppingen, Germany
【Fターム(参考)】