説明

熱電発電装置

【課題】発電効率の向上を図ることができる熱電発電装置を提供する。
【解決手段】熱電発電装置を、炉壁100に形成された開口を閉塞する受熱板20と、一方の面を受熱板に向けて配置され、一方の面と他方の面との温度差を利用して発電出力を得る熱電変換モジュール10と、熱電変換モジュールの一方の面と受熱板との間に介在する1又は複数の伝熱板30と、伝熱板のそれぞれに対応して設けられ、一端が受熱板に、他端が伝熱板に接続され、伝熱板を熱電変換モジュール側に付勢する付勢部材40と、を備えた構成とする。この熱電発電装置においては、受熱板からの熱が、付勢部材及び伝熱板を介して熱電変換モジュールに伝達される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電変換モジュールを用いて高温側と低温側の温度差から発電する熱電発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱電変換素子のゼーベック効果又はペルチェ効果を利用して、熱エネルギーを電気エネルギーに、又は電気エネルギーを熱エネルギーに直接変換する熱電変換モジュールが知られている。
一般的な熱電変換モジュールの構成を図1に示す。図1に示すように、熱電変換モジュール10は、熱電素子であるp型半導体111とn型半導体112を金属電極113によって「π」型に接続した熱電素子対11を、多数集合させて電気的に直列に接続し、2枚の絶縁基板(例えばセラミックス基板)12、13で狭持した構成を有する。
【0003】
この平板状の熱電変換モジュール10を、一方の面(例えば絶縁基板12)が高温側、他方の面(例えば絶縁基板13)が低温側となるように配置して両面間に温度差を与えると、起電力が生じる。この電力は、熱電変換モジュール10に接続された電流リード14、15を介して取り出される。逆に、電流リード14、15を介して熱電変換モジュール10に電流を流すと、一方の面(例えば絶縁基板12)で発熱が生じ、他方の面(例えば絶縁基板13)で吸熱が生じる。
特許文献1、2には、このような熱電変換モジュール10を用いた熱電変換装置が提案されている。特に、熱電変換モジュール10を用いて発電する装置は、熱電発電装置と呼ばれる。
【0004】
熱電変換モジュールは、可動部(機械的な駆動部分)を持たず構造が簡単であるため、摩耗劣化などの心配がなく信頼性・耐久性に優れる、メンテナンスが容易である、小型化・軽量化が容易で適用場所の制限が少ない、という利点がある。そして、このような利点を有することから、大量の熱が排出される工業炉(電気炉や燃焼炉等、各種産業分野で溶解、精錬、加熱等の工程で使用される炉)にも比較的容易に設置することができる。
この熱電変換モジュールを用いた熱電発電装置は、二酸化炭素を排出することもなく、廃熱を回収してエネルギー源として再利用することができる技術として、環境保全や省エネルギーの観点から非常に注目されている。
【0005】
熱電発電装置を工業炉に設置する場合、熱電変換モジュールの高温側となる面(以下、加熱面)を加熱する一方で、低温側となる面(以下、冷却面)を冷却し、両端面間に温度差を生じさせる必要がある。また、工業炉の炉壁は、炉内の高温保持性及び安全性の観点から断熱性が高くなっているため、炉壁の外面に熱電変換モジュールの加熱面を密着させても、炉内の熱エネルギーを効率よく取り出すことはできない。
【0006】
そこで、本発明者等は、図2に示すように、炉壁100に形成された開口100aを受熱板20で閉塞し、この受熱板20に熱電変換モジュール10の加熱面を接触させて熱電変換モジュール10を取り付ける手法を採用している。受熱板20には、一般に熱伝導率の高い硬質板材が用いられる。
ここで、熱電発電装置5において、受熱板20から熱電変換モジュール10に効率よく熱が伝達されるためには、両者が密着して固体間で熱伝導が行われることが望ましい。そのため、両者の接触面には平面仕上げ加工が施され、両者が密着するようになっている。
【0007】
かかる手法によれば、炉内の輻射熱が受熱板20で吸熱され、熱電変換モジュール10の加熱面に伝達されるので、加熱面が効率よく加熱される。また、受熱板20により炉内の高温ガスが遮蔽され、熱電変換モジュール10の冷却面側に回り込まないため、加熱面と冷却面に大きな温度差が生じる。したがって、熱電発電装置5は、効率よく発電することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−200249号公報
【特許文献2】特開2007−73889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、受熱板20と熱電変換モジュール10の接触面の平面加工を理想状態まで高めても、実際に熱電発電装置5を工業炉などに設置して稼働させた場合に、受熱板20が熱変形(熱膨張)により湾曲し、両者の密着状態が損なわれる虞がある(図3参照)。受熱板20の一方の面は高温である炉内に面し、他方の面は常温である炉外に面することとなり、両面間に極めて大きな温度差が生じるためである。この場合、熱電変換モジュール10と受熱板20との間に生じた隙間が断熱層となり、受熱板20から熱電変換モジュール10への伝熱が大幅に阻害されるため、熱電発電装置5の発電効率が著しく低下してしまう。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、発電効率の向上を図ることができる熱電発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る熱電発電装置は、炉壁に形成された開口を閉塞する受熱板と、
一方の面を前記受熱板に向けて配置され、前記一方の面と他方の面との温度差を利用して発電出力を得る熱電変換モジュールと、
前記熱電変換モジュールの前記一方の面と前記受熱板との間に介在する1又は複数の伝熱板と、
前記伝熱板のそれぞれに対応して設けられ、一端が前記受熱板に、他端が前記伝熱板に接続され、前記伝熱板を前記熱電変換モジュール側に付勢する付勢部材と、を備え、
前記受熱板からの熱が、前記付勢部材及び前記伝熱板を介して前記熱電変換モジュールに伝達されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、受熱板が熱変形して受熱板と熱電変換モジュールとの間に隙間が生じても、受熱板で受けた熱は付勢部材及び伝熱板を介して熱電変換モジュールに確実に伝達される。したがって、受熱板の熱変形による熱伝達効率の低下が効果的に抑制されるので、発電効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】熱電変換モジュールの構成を示す図である。
【図2】従来の熱電発電装置の稼働前の状態を示す図である。
【図3】従来の熱電発電装置の稼働時の状態を示す図である。
【図4】実施の形態の熱電発電装置の断面図である。
【図5】実施の形態に係る熱電発電装置の稼働時の状態を示す図である。
【図6】熱電変換装置の変形例を示す図である
【図7】熱電変換装置の他の変形例を示す図である。
【図8】伝熱板と熱電変換モジュールの接触態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態では、DIPフォーミング方式(真空中で銅母線の周囲に溶銅を付着凝固させ、銅線を製造する製法)の銅線製造設備を構成する予熱炉(銅を予め加熱する炉、炉内温度:約850℃)、溶解炉(銅を溶融する炉、炉内温度:1000℃以上)、保持炉(溶融した銅を貯留する炉、炉内温度:1000℃以上)のうち、予熱炉に熱電発電装置を設置する場合について説明する。
【0015】
図4は本実施の形態の熱電発電装置の断面図である。なお、図4では熱電発電装置1を炉壁100に取り付けた状態を示している。
図4に示すように、熱電発電装置1は、熱電変換モジュール10、受熱板20、伝熱板30、付勢部材40、水冷板50等が、ケース60内に収容された構成を有する。
【0016】
ケース60は、熱電変換モジュール10等を収容する箱状の収容部61と、収容部61の開口面61aに連設されたフランジ部62を有する。収容部61は、炉壁100に形成された開口100aとほぼ同一形状の外形を有する。また、収容部61の底面61bは額縁状に形成され、開口61cから受熱板20が炉内に臨むようになっている。
【0017】
熱電変換モジュール10は、一方の面(加熱面)と他方の面(冷却面)との温度差を利用して発電出力を得ることができる平板状のモジュールである。熱電変換モジュール10は、図1に示すように、熱電素子であるp型半導体111とn型半導体112を金属電極113によって「π」型に接続した熱電素子対11を、多数集合させて電気的に直列に接続し、2枚の絶縁基板12、13で狭持した構成を有する。
p型半導体111、n型半導体112には、例えば酸化物系の化合物半導体が好適である。酸化物系半導体は適用温度が高く、1000℃近い高温環境下でも動作させることができるためである。また、p型半導体としてはCa3Co49を適用でき、n型半導体としてはLaNiO3を適用できる。
なお、一方又は両方の面に絶縁基板12、13を設けないスケルトン型の熱電変換モジュールを適用することもできる。
【0018】
受熱板20は、平板部21と突出部22が一体的に成形された部材であり、炉内の輻射熱を吸収する。ここでは、平板部21に、3つの円筒状の突出部22が同一間隔で平行に形成されている。
平板部21は、熱電変換モジュール10の加熱面10aよりも一回り大きく、ケース60の収容部61とほぼ同一形状の外形を有する。平板部21の周縁がケース60の底面61によって支持される。
突出部22には、付勢部材40を内包するための収容空間が形成されている。
受熱板20に突出部22を設けることにより、炉内に露呈される表面積が大きくなるので、突出部22を設けない場合に比較して炉内の輻射熱を効率よく吸収することができる。
【0019】
なお、平板部21と突出部22は同じ材料で構成されてもよいし、別々の材料で構成されてもよい。
【0020】
伝熱板30は、受熱板20の突出部22に対応する位置に配置される平板状の部材であり、受熱板20で吸収された熱を熱電変換モジュール10へと伝達する。伝熱板30は、受熱板20と熱電変換モジュール10の加熱面10aとの間に介在するように配置される。ここでは、伝熱板30(一つの突出部22に対して1枚)によって、熱電変換モジュール10の加熱面10aのほぼ全面が覆われている。
また、伝熱板30の熱電変換モジュール10の加熱面10aとの接触面には、平面加工処理が施される。熱電変換モジュール10の加熱面10aとの密着性を高めるためである。なお、伝熱板30は、必要に応じて伝熱性に優れた耐熱接着剤等により、熱電変換モジュール10に接着されていてもよい。
【0021】
受熱板20及び伝熱板30は、熱膨張率が3.0×10-6〜18.0×10-6/℃で、熱伝導率が0.070〜0.150cal/cm/sec/℃であることが、熱変形及び熱伝導効率の面から望ましい。このような熱膨張率、熱伝導率を有する材料としては、例えば炭化珪素(熱膨張率:4.0×10-6/℃、熱伝導率:0.14cal/cm/sec/℃)が好適である。
【0022】
付勢部材40は、伝熱板30を熱電変換モジュール10側に付勢する部材であり、例えば圧縮コイルばねを適用できる。付勢部材40を圧縮コイルばねで構成することにより、伝熱板30に付与する付勢力を容易に制御することができる。
付勢部材40は、伝熱板30のそれぞれに対応して設けられる。付勢部材40の一端は受熱板20の突出部22の突出端内面に接続され、他端は伝熱板30に接続される。
【0023】
付勢部材40は、熱膨張率が5.0×10-6〜20.0×10-6/℃で、熱伝導率が0.020〜0.070cal/cm/sec/℃であることが、熱変形及び熱伝導効率の面から望ましい。また、付勢部材40には、高温下での化学的、機械的安定性が要求される。
これらの特性を満足する材料としては、ハステロイX(熱膨張率:16.0×10-6/℃、熱膨張率:0.025cal/cm/sec/℃、ハステロイは登録商標)のようなニッケルを主成分とする耐熱合金が好適である。
【0024】
また、付勢部材40により伝熱板30に加わる圧力が25〜100kPaであることが望ましい。これにより、受熱板20に熱変形が生じた場合でも、伝熱板30と熱電変換モジュール10との密着状態を保持することできる。
【0025】
水冷板50は、熱電変換モジュール10の冷却面10b側に配置され、冷却面10bを冷却するための冷却機構である。水冷板50は、例えば、金属製の板材に水を流通させるパイプを埋設した構成を有する。冷却機構としての水冷板50を設け、これに所定の流量で水を流すことにより、熱電モジュール10の冷却面10bを所定の温度に冷却することができる。
【0026】
熱電発電装置1を組み立てる場合、予め付勢部材40及び伝熱板30を受熱板20に取り付け、これをケース60の収容部61に取り付ける。そして、熱電変換モジュール10、水冷板50を順に配置し、水冷板50の背面(熱電変換モジュール10と接触する面と反対の面)から補強梁70を介して押圧ボルト80を締め込むことで固定する。また、補強梁70の両端はケース60に螺旋止めされる。
【0027】
組み立てられた熱電発電装置1は、予熱炉の炉壁100に形成された開口100aに設置される。予熱炉には、炉内を点検するためのメンテナンスハッチが設けられているので、これを開口100aとして利用することができる。
具体的には、炉壁100の開口100aにケース60の収容部61を嵌合させるとともに、フランジ部62を炉壁100に螺旋止めすることにより、熱電発電装置1が炉壁100に取り付けられる。熱電変換モジュール10の一方の面(絶縁基板12側)が高温側である炉内に向き、他方の面(絶縁基板13側)が低温側である炉外に向いた状態となる。
【0028】
ケース60に形成された開口61cは受熱板20によって完全に閉塞されている(すなわち炉壁100に形成された開口100aが受熱板20によって閉塞されている)ので、炉内の高温ガスが熱電変換モジュール10の冷却面10b側に回り込むことはない。
【0029】
予熱炉において銅材が加熱されると、このときに発生する輻射熱が、受熱板20によって吸収され、付勢部材40を介して、又は受熱板20から直接伝熱板30に伝達される。そして、この熱は、伝熱板30を介して熱電変換モジュール10に伝達される。これにより、熱電変換モジュール10の加熱面10aが高温(例えば700℃)に加熱される。
一方、熱電変換モジュール10の冷却面10bは水冷板50によって低温(例えば80℃)に保持されている。
したがって、熱電変換モジュール10の両面間に数百℃の温度差が生じるので、この温度差に応じて起電力が生じる。この電力は、熱電変換モジュール10に接続された電流リード14、15を介して取り出される(図1参照)。
【0030】
このとき、図5に示すように、受熱板20は熱変形(熱膨張)により少なからず湾曲し、両者の間に隙間が生じる。従来の熱電発電装置5においては、この隙間が断熱層となり、受熱板20から熱電変換モジュール10への伝熱が大幅に阻害されるため、発電効率が著しく低下する(図3参照)。
【0031】
これに対して、本実施の形態の熱電発電装置1においては、受熱板20と伝熱板30との間に隙間が生じても、伝熱板30が付勢部材40によって熱電変換モジュール10側に付勢されているので、伝熱板30と熱電変換モジュール10との密着状態は保持される。つまり、この状態でも、受熱板20で吸収した熱は付勢部材40を介して伝熱板30に伝達される。したがって、熱電変換モジュール10の加熱面10aは、受熱板20、付勢部材40、及び伝熱板30を介した伝熱により加熱されるので、発電効率が著しく低下することはない。
【0032】
このように、本実施の形態の熱電発電装置1は、炉壁100に形成された開口100aを閉塞する受熱板20と、加熱面10aを受熱板20に向けて配置され、加熱面10aと冷却面10bとの温度差を利用して発電出力を得る熱電変換モジュール10と、熱電変換モジュール10の加熱面10aと受熱板20との間に介在する複数の伝熱板30と、複数の伝熱板30のそれぞれに対応して設けられ、一端が受熱板20に、他端が伝熱板30に接続され、伝熱板30を熱電変換モジュール10側に付勢する付勢部材40と、を備えている。また、この熱電発電装置1においては、受熱板20で吸収された熱が、付勢部材40及び伝熱板30を介して熱電変換モジュール10に伝達される。
【0033】
これにより、受熱板20が熱変形して受熱板20と熱電変換モジュール10との間に隙間が生じても、受熱板20で受けた熱は熱電変換モジュール10に確実に伝達される。したがって、受熱板20の熱変形による熱伝達効率の低下が効果的に抑制されるので、発電効率の向上を図ることができる。
よって、本実施の形態の熱電発電装置1は、工業炉で発生する廃熱を回収してエネルギー源として再利用することができる技術として、極めて有効である。
【0034】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、受熱板20、伝熱板30、付勢部材40の形状等は、実施の形態で示したものに制限されない。
【0035】
図6に示すように、伝熱板30が平板部31と凸部32とで構成され、凸部32が受熱板20の収容空間に挿嵌されるようにしてもよい。一般に、耐熱性が高くなると、熱伝導率は低くなる。そのため、付勢部材40に耐熱性の高い材料を用いると、熱伝達効率が低下する。図6に示す変形例では、熱伝導率が低い付勢部材40の長さが短く、その分が熱伝導率の高い伝熱板30の凸部32で補われているので、耐熱性と熱伝達効率を両立させることができる。
【0036】
また、図7に示すように、受熱板20を平板部21のみで構成し、平板部21に形成した凹部21aに付勢部材40を収容するようにしてもよい。
【0037】
また、図8に示すように、熱電変換モジュール10の加熱面10aに球面状に凹んだ凹部10cを形成し、伝熱板30の熱電変換モジュール10との接触面30aに凹部10cに対応する凸部30bを形成し、両者が凹部10cと凸部30bを嵌合させた状態で密着するように構成してもよい。これにより、面接触性がさらに向上し、伝熱板30と熱電変換モジュール10との密着性がよくなるので、高い熱伝達効率が得られる。
【0038】
また、伝熱板30の枚数は特に制限されず、熱電発電装置1を稼働したときの高温環境において熱変形が生じない範囲(熱変形が極めて小さく無視できる範囲を含む)、すなわち熱電変換モジュール10との密着性が損なわれない範囲で適宜変更することができる。この場合、伝熱板30の枚数に応じて付勢部材40の数、及び受熱板20に形成される付勢部材40の収容空間が設定されることとなる。
【0039】
また、熱電発電装置1は、DIPフォーミング方式の銅線製造設備を構成する溶解炉や保持炉、その他の工業炉(焼却炉等)に設置することができる。
【0040】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0041】
1 熱電発電装置
10 熱電変換モジュール
20 受熱板
30 伝熱板
40 付勢部材
50 水冷板
60 ケース
70 補強梁
80 押圧ボルト
100 炉壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉壁に形成された開口を閉塞する受熱板と、
一方の面を前記受熱板に向けて配置され、前記一方の面と他方の面との温度差を利用して発電出力を得る熱電変換モジュールと、
前記受熱板と前記熱電変換モジュールの前記一方の面との間に介在する1又は複数の伝熱板と、
前記伝熱板のそれぞれに対応して設けられ、一端が前記受熱板に、他端が前記伝熱板に接続され、前記伝熱板を前記熱電変換モジュール側に付勢する付勢部材と、を備え、
前記受熱板からの熱が、前記付勢部材及び前記伝熱板を介して前記熱電変換モジュールに伝達されることを特徴とする熱電発電装置。
【請求項2】
前記受熱板が、平板部と、この受熱板に突出して形成され、前記付勢部材を内包する突出部と、を有し、
前記付勢部材の一端が、前記突出部の突出端内面に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の熱電発電装置。
【請求項3】
前記受熱板は、熱膨張率が3.0×10-6〜18.0×10-6/℃で、熱伝導率が0.070〜0.150cal/cm/sec/℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱電発電装置。
【請求項4】
前記受熱板が、炭化珪素により形成されていることを特徴とする請求項3に記載の熱電発電装置。
【請求項5】
前記付勢部材は、熱膨張率が5.0×10-6〜20.0×10-6/℃で、熱伝導率が0.020〜0.070cal/cm/sec/℃であることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の熱電発電装置。
【請求項6】
前記付勢部材が、ニッケルを主成分とする耐熱合金により形成されていることを特徴とする請求項5に記載の熱電発電装置。
【請求項7】
前記付勢部材により前記伝熱板に加わる圧力が25〜100kPaであることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の熱電発電装置。
【請求項8】
前記熱電変換モジュールは、前記伝熱板との接触面に球面状に凹んだ凹部を有し、
前記伝熱板は、前記熱電変換モジュールとの接触面に前記凹部に対応する凸部を有し、
前記熱電変換モジュールと前記伝熱板が、前記凹部と前記凸部を嵌合させた状態で密着していることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の熱電発電装置。
【請求項9】
前記付勢部材が、圧縮コイルばねであることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の熱電発電装置。
【請求項10】
前記熱電変換モジュールの前記他方の面に接触する冷却機構を備えることを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載の熱電発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−4837(P2013−4837A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136089(P2011−136089)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(306013120)昭和電線ケーブルシステム株式会社 (218)