説明

熱風発生装置

【課題】省スペース化が可能であり、圧縮機の冷凍機油が冷媒循環経路中に混入しても容易に回収でき、さらに保守点検作業を安全かつ容易にできる熱風発生装置を提供する。
【解決手段】圧縮機22、ガスクーラ24、膨張弁、及びプレート式熱交換器(水熱源蒸発器)32a、32bを冷媒循環経路上で直列に接続し、これら機器に冷媒を循環させるヒートポンプサイクルを構成し、前記ガスクーラ24に空気を通風して前記冷媒との熱交換により昇温させて熱風を発生させる熱風発生装置であり、前記圧縮機22及びプレート式熱交換器32a、32bを含む空間を囲む架台16を設け、該架台16上に前記ガスクーラ24を配置するとともに、前記ガスクーラ24は、並列に配置された複数のフィンと、複数のフィンの入口側及び出口側に設けられた入口ヘッダ及び出口ヘッダとを備え、前記入口ヘッダ及び出口ヘッダを鉛直に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱風発生装置に関するものであり、特にCOを冷媒としヒートポンプサイクルを構成し、ガスクーラに空気を通風して前記冷媒との熱交換により昇温させて熱風を発生させる熱風発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木材や海産物、工業部品等を乾燥する際には、熱風を用いて乾燥することが知られている。熱風を発生するためには、空気を加熱する必要があり、空気の加熱源としては電気ヒータやスチームヒータ等が用いられている。
【0003】
しかしながら、前述のように、空気の加熱源として電気ヒータやスチームヒータを用いた場合、設備全体が大型化するとともに、空気を所定の温度に加熱制御するには相当な時間が必要であり、特に高温の空気を必要とする場合にはその時間は長大化する。また、電気ヒータやスチームヒータ及びその周辺機器で断線等の不具合が生じた場合には、修理作業が煩雑であるとともに、修理に要する時間も長時間となる。
【0004】
また、前記電気ヒータやスチームヒータ等を用いずに、低温のエネルギーを高温のエネルギーに変えることができる熱風発生装置として、ヒートポンプサイクルを構成した熱源を利用して熱風を発生する装置も提案されている。例えば特許文献1には、圧縮機と、冷媒間熱交換器と、膨張弁と、蒸発器とを順次接続して、CO冷媒が循環する超臨界ヒートポンプサイクルとしての冷媒回路を構成し、前記冷媒間熱交換器と、ファンコンベクタと、温水を循環させる温水ポンプを順次接続して温水循環回路を構成し、前記ファンコンベクタ本体内を主空気流路と副空気流路とに区画し、前記主空気流路に、主放熱器と、主送風ファンとを設け、前記副空気流路に、一端を温水流出管に接続し、他端を前記主放熱器の流出側に接続した補助放熱器と、補助送風ファンとを設け、前記主放熱器と前記補助放熱器とで温水の熱を放出させて二段階で冷却する熱風発生装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−40627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、冷媒間熱交換器で冷媒であるCOと温水を熱交換して温水を昇温し、該昇温した温水を用いて熱風を発生させているため、機器点数が多くなり、設備が大型化する。また、ヒートポンプサイクルを構成する各機器の配置については特に工夫がなされておらず、特許文献1に開示された技術をそのまま適用しても省スペース化は困難である。さらに、特許文献1に開示された技術の場合、仮に省スペース化のためにヒートポンプサイクルを構成する各機器を例えばハウジング内などの狭いスペースに収納したとすると、ハウジング内の狭いスペースに作業員の手が届かず、保守点検作業が困難になるという問題がある。
【0007】
また、機器の配置について工夫がされていないため、圧縮機の潤滑油等の冷凍機油がCO冷媒回路に混入した場合に、前記冷凍機油を回収することも困難である。
【0008】
そこで、本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、ヒートポンプサイクルを構成するガスクーラに空気を通風して熱風を発生させる熱風発生装置であって、省スペース化が可能であるとともに、ヒートポンプサイクルを構成する圧縮機の潤滑油が冷媒循環経路中に混入しても容易に回収することができ、さらに構成機器の保守点検作業を安全かつ容易にできる熱風発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、本発明においては、
圧縮機、ガスクーラ、膨張弁、及び水熱源蒸発器を冷媒循環経路上で直列に接続し、これら機器に冷媒を循環させるヒートポンプサイクルを構成し、前記ガスクーラに空気を通風して前記冷媒との熱交換により昇温させて熱風を発生させる熱風発生装置であって、前記圧縮機及び水熱源蒸発器を含む空間を囲む架台を設け、該架台上に前記ガスクーラを配置するとともに、前記ガスクーラは、並列に配置された複数のチューブと、該複数のチューブの入口側及び出口側に設けられた入口ヘッダ及び出口ヘッダとを備え、前記入口ヘッダ及び出口ヘッダを鉛直に配置したことを特徴とする。
【0010】
本発明の熱風発生装置では、冷媒と空気とを熱交換することで、特許文献1に開示された技術のように冷媒と空気との熱のやりとり間に温水を介在させる必要がないため、機器点数を削減することができ、省スペース化が可能となる。
また、ガスクーラを圧縮機及び熱交換器を含む空間の上部に架台を介して配置することで、熱風発生装置が配される床面積を低減することができ、省スペース化が可能となる。
【0011】
また、ガスクーラを前記架台上に配置しているので、冷媒中に圧縮機の潤滑油等の冷凍機油が混入した場合、該冷凍機油は、ガスクーラを形成するチューブ中に堆積せずに重力により下方へ落下しやすくなる。さらに入口ヘッダ及び出口ヘッダを鉛直に配置しているので、前記複数のチューブから冷媒とともに出た冷凍機油が重力によって下方に落ちやすくなる。そのため、冷媒中に混入した冷凍機油は、重力によって下方に落下し、冷媒とともに前記冷媒循環経路中を循環して圧縮機へ回収することができる。
【0012】
また、前記ガスクーラは、前記複数のチューブが貫通する複数のフィンを備えるプレートフィンチューブ式のガスクーラであり、前記複数のチューブは、前記空気が通風する方向に沿って複数のチューブが並んで複数列を成すとともに、前記複数列それぞれにおいて上下方向に複数のチューブが並んで複数段を成しており、前記複数のフィンはそれぞれ、前記空気が通風する方向に沿って分割された複数の分割フィンから構成され、前記分割フィンは、当該分割フィンよりも前記空気が通風する方向に沿って空気流れ下流側に位置する分割フィン以上の列数の前記チューブが貫通するように構成するとよい。
【0013】
特に、前記空気流れ最下流側に位置する分割フィンは、1列のチューブのみが貫通するようにするとよい。例えば、ガスクーラが36列のチューブを有する場合、空気流れ上流から順に貫通するチューブの列数が5列、5列、5列、5列、5列、5列、2列、1列、1列、1列、1列である11の分割フィンとすることができる。
ガスクーラでは、空気流れ下流側にいくに従い、空気及びチューブ内を流通する冷媒の温度は高く、空気の温度は目的の熱風温度に近くなる。前記フィンを複数の分割フィンから構成することで、同じフィン内であっても分割フィン間の熱の移動を防止することができる。従って、空気流れ下流側にいくに従い、分割フィンを貫通するチューブの列数を小さくする、即ち分割フィンの空気流れ方向の幅を小さくすることで、空気の温度が目的の熱風温度に近い領域では、熱風温度を安定させることができる。
さらに、空気及びチューブ内を流通する冷媒の温度が高い領域ほど、分割フィンの熱膨張は大きくなるが、該熱膨張の大きい領域では分割フィンの幅が小さいため、熱膨張による変形の影響や、熱歪みの影響を小さく抑えることができる。
【0014】
また、前記圧縮機を前記架台に囲まれた空間の一側面寄りに配置し、前記空間外に引き出し可能とするとともに、前記水熱源蒸発器を前記一側面と対向する側面寄りに配置して前記空間外に引き出し可能に構成するとよい。
前記構成により、保守点検作業の際に、圧縮機を前記架台に囲まれた空間の一側面側から前記空間外に引き出し、水熱源蒸発器を該一側面と対向する側から前記空間外に引き出すことができる。これによって、2面を使って機器の前記空間外への引き出しが可能であるため、保守点検作業が容易になるとともに、保守点検作業に要するスペースを省スペース化できる。
【0015】
また、前記水熱源蒸発器を並列配置された複数のプレート式熱交換器で構成すると、必要能力を低下させることなく、水熱源蒸発器をコンパクトにできる。
【0016】
また、冷媒がCOであり、圧縮機の出口側でCOが超臨界状態となるヒートポンプサイクルを構成するとよい。これによって、ガスクーラで90℃を越える用途の広い高温の熱風を高効率で製造可能になる。また、ガスクーラでの冷凍機油回収がさらに容易になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ヒートポンプサイクルを構成するガスクーラに空気を通風して熱風を発生させる熱風発生装置であって、省スペース化が可能であるとともに、ヒートポンプサイクルを構成する圧縮機の潤滑油が冷媒循環経路中に混入しても容易に回収することができ、さらに構成機器の保守点検作業を安全かつ容易にできる熱風発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例に係る熱風発生装置のフローシートである。
【図2】実施例に係る熱風発生装置の側面図である。
【図3】実施例に係る熱風発生装置の概略平面図である。
【図4】実施例に係るガスクーラの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0020】
図1は、実施例に係る熱風発生装置のフローシートである。実施例に係る熱風発生装置の動作の概略について図1を用いて説明する。
図1において、圧縮機22には圧縮機22の回転数を制御するインバータ装置104が設けられている。圧縮機22は、圧縮機22から吐出されたCO冷媒が、COの臨界圧力及び臨界温度を超えた高温高圧の超臨界状態となるように運転される。なお、前記超臨界状態のCO冷媒温度は、所望の熱風温度よりも10〜15℃程度高い温度に設定するとよく、例えば120℃の熱風を必要とする場合にはCO冷媒温度を130〜135℃とするとよい。超臨界状態のCO冷媒は、圧縮機吐出側冷媒流路100からガスクーラ24に達し、ここで空気によって冷却されて凝縮する。ガスクーラに導入される前記空気は、外気や、工場内の他の箇所で使用されて加温された30〜50℃程度の空気を用いてもよい。
【0021】
ガスクーラ24に供給された空気は、超臨界状態のCO冷媒と熱交換することによって加熱され、80〜120℃程度の温度の熱風となる。なお、前記熱風の温度調整は、前述のように超臨界状態のCO冷媒の温度を調整することによって可能である。該熱風は、ガスクーラ24から排出されて、使用先に送られる。ガスクーラ24への空気の導入口及び、ガスクーラ24からの熱風の導出口は、空気の供給元及び熱風の供給先とダクト等を用いて接続する。
【0022】
ガスクーラ24の出口側で冷媒流路100は、分岐流路102に分岐する。冷媒流路100は、分岐流路102に分岐した後、さらに2つの分岐流路100a及び100bに分岐し、分岐流路100a及び100bにはそれぞれ膨張弁106a及び106bが介設されている。分岐流路100a及び100bは、膨張弁106a、106bの下流側で、プレート式熱交換器32a及び32bに接続されている。
【0023】
プレート式熱交換器32a、32bにはCO冷媒に蒸発熱源を与える熱源水が熱源給水管36から分岐管36a及び36bを介して供給される。該熱源水は、例えば地下水であり、あるいは工場で使用された排水等が使用される。分岐流路100a及び100bを流れるCO冷媒は、膨張弁106a及び106bで減圧され、プレート式熱交換器32a、32bで熱源水と熱交換し蒸発潜熱を得て蒸発する。蒸発したCO冷媒は、プレート式熱交換器32a及び32bの出口側で冷媒流路100c及び100dに流れ、さらに圧縮機22に戻される。一方、プレート式熱交換器32a、32bを出た熱源水は、枝管38a及び38bを通って熱源排水管38に排出される。
なお、成績係数(Coefficient Of Performance:COP)向上のため、ガスクーラ24を出て分岐流路100a、100bに分岐する前の冷媒流路100中のCOと、冷媒流路100cと100dが合流し圧縮機22に戻る前の冷媒流路100中のCOとを熱交換させる熱交換器を設けることもできる。
【0024】
ガスクーラ24から吐出されたCO冷媒の一部は、分岐流路102を通って超臨界タンク26a、26bに分流する。超臨界タンクは2つ設けられており、そのうち1つ又は2つを使用することができる。これにより、冷媒循環路を流れる冷媒量の一部を超臨界タンク26a、26bに貯留することができる。このように、超臨界タンクを設け、冷媒循環路を流れる冷媒量を調節することによって、外気温度等の運転条件の変動があっても、圧縮機入口の過熱度や、圧縮機出口の吐出ガス温度や圧力の変動を抑え、安定した超臨界加熱運転を可能にする。また、超臨界タンクを2つ設けることで、広い温度域の温風発生に対応することができる。さらに、熱風発生装置では、広い温度域の温風発生に対応するためにCO充填量が多くなる。熱風発生装置を停止する場合には、膨張弁106a及び106bを閉、電磁弁108を開としてCO冷媒を超臨界タンクに回収するポンプダウン運転を行う。ポンプダウンによる超臨界タンクへのCO冷媒回収は超臨界タンク以外の機器の停止中における熱風発生装置周囲環境温度の変動に対して前記装置内圧力を管理する。
【0025】
超臨界タンク26の出口側分岐流路102は、膨張弁106bの出口側分岐流路100bに接続されている。なお、超臨界タンク26の出口側分岐流路を、2つの分岐流路に分岐し、該2つの分岐流路それぞれを膨張弁106a、106bの出口側分岐流路100a、100bに接続するようにしてもよい。
また、冷媒タンク26の上流側及び下流側には流量調整用の電磁弁108及び110が介設され、上流側流量調整弁108によって超臨界タンク26に流入する冷媒量が調整されると共に、下流側流量調整弁110によって超臨界タンク26から流出する冷媒量が調節される。
【0026】
図1において、圧縮機22の入口側冷媒流路100に温度センサ112が設けられている。また、圧縮機22の吐出側冷媒流路100に圧力センサ128が設けられている。温度センサ112の温度及び圧力センサ128の圧力をコントローラ130に入力し、コントローラ130により、圧縮機22の吐出圧力に対応する飽和温度と、圧縮機22へのCO冷媒の吸入温度の差が一定となるように、膨張弁106a及び106bの開度を調節し、プレート式熱交換器32a、32bへのCO冷媒供給量を調整する。また、必要に応じて電磁弁108、110の開度も調節する。
【0027】
次に、図2及び図3を用いて、本実施例に係る熱風発生装置10の全体構成を説明する。図2は、本実施例に係る熱風発生装置の側面図であり、図3は、本実施例に係る熱風発生装置の概略平面図である。但し、図3においては、ガスクーラ及び配管類の記載を省略している。
熱風発生装置10には、その底面を構成し平坦面を有する基板14が設けられている。基板14の上部には、空間12が位置し、該空間12内には基板14上に圧縮機22及びプレート式熱交換器32a、32bが配置されている。なお、圧縮機22は、空間12の右側面側(図2における右側であり、図3における下側)に配置され、プレート式熱交換器32a、32bは前記右側面側と対向する左側面側(図2における左側であり、図3における上側)に配置されており、圧縮機22及びプレート式熱交換器32a、32bはそれぞれ、前記配置された側の側面から前記空間12外へ引き出せるように構成されている。このようにして圧縮機22及びプレート式熱交換器32a、32bを配置することにより、保守点検作業の際に、圧縮機22を前記空間12の右側面側から空間12外に引き出し、プレート式熱交換器32a、32bを左側面側から空間12外に引き出すことができる。従って、2面を使って機器の前記空間外への引き出しが可能であるため、保守点検作業が容易になるとともに、保守点検作業に要するスペースを省スペース化できる。
【0028】
圧縮機22及びプレート式熱交換器32a、32bを含む空間12は、架台16で囲まれている。架台16は、圧縮機22及びプレート式熱交換器32a、32bの全体を囲むことができる大きさ及び形状を有し、且つガスクーラ24を上に載せることができる強度を有する必要がある。
【0029】
また、超臨界タンク26a及び26bは前記空間12を囲む架台16の外側に設けられている。本実施例においては超臨界タンク26a及び26bを架台16の外側に設けているが、圧縮機22及びプレート式熱交換器32a、32bの空間12外への引き出しの邪魔にならず、架台16が極度に大きくならない場合には、架台16内に設けてもよい。
【0030】
さらに、架台16の上にはガスクーラ24を載置して固定している。ガスクーラ24を架台16の上に載置して固定することで省スペース化が可能となる。
【0031】
次に図4を用いてガスクーラ24の構成について説明する。図4は、ガスクーラ24の斜視図である。
ガスクーラ24は、複数のチューブ48と、チューブ48が貫通する複数のフィン46とを備えるプレートフィンチューブ式のガスクーラである。
前記複数のチューブ48は、空気が通風する方向に沿って複数のチューブが並んで複数列(本実施例においては36列)を成すとともに、前記複数列それぞれにおいて上下方向に複数のチューブ(本実施例においては一部図示省略しているが45段)が並んで複数段を成している。ガスクーラ24の入口、出口にはそれぞれ鉛直に設置された入口ヘッダ42、出口ヘッダ44が設けられている。入口ヘッダ42は圧縮機22の吐出側に接続されており、出口ヘッダ44は、図1に示したような分岐通路102、100a、100bに分岐するラインに接続される。
【0032】
また、複数のフィン46は、空気が通風する方向に沿って分割された複数の分割フィンから構成されており、本実施例においては、空気流れ上流から順に貫通するチューブの列数がそれぞれ5列、5列、5列、5列、5列、5列、2列、1列、1列、1列、1列である11の分割フィンから構成されている。
【0033】
このように構成されたガスクーラ24において、熱風を発生させる際には、空気側は、複数のフィン46間に被加熱媒体である空気を通流させる。一方冷媒側は、圧縮機22の吐出より供給される超臨界状態のCO冷媒を入口ヘッダ42内に供給する。入口ヘッダ42に供給された超臨界状態のCO冷媒は、チューブ48a、48b、48c…に分配供給され、複数のフィン46間を通流する空気と熱交換して熱風を発生させ、出口ヘッダ44に排出される。出口ヘッダ44に排出されたCO冷媒は、図1に示したフローシートに従って下流機器へと供給される。
【0034】
なお、チューブ48aは空気流れ方向最下流の列で複数のフィン46を貫通し、折り返し通路49aを介して、空気流れ方向最下流から2列目で複数のフィン46を貫通する48aに接続される。以上のようにして折り返し通路49a、49a…と、チューブ48a、48a…とを繰り返し接続することにより、チューブ48aに導入されたCO冷媒は、36列すべてで複数のフィン46を貫通するチューブ内を通過し出口ヘッダ44に排出される。チューブ48b、48c…も同様である。
【0035】
ガスクーラ24では、空気流れ下流側にいくに従い、空気及びチューブ内を流通する冷媒の温度は高く、空気の温度は目的の熱風温度に近くなる。前記フィン46を複数の分割フィンから構成することで、同じフィン内であっても分割フィン間の熱の移動を防止することができる。従って、空気流れ下流側にいくに従い、分割フィンを貫通するチューブの列数を小さくする、即ち分割フィンの空気流れ方向の幅を小さくすることで、空気の温度が目的の熱風温度に近い領域では、熱風温度を安定させることができる。
さらに、空気及びチューブ内を流通する冷媒の温度が高い領域ほど、分割フィンの熱膨張は大きくなるが、該熱膨張の大きい領域では分割フィンの幅が小さいため、熱膨張による変形の影響や、熱歪みの影響を小さく抑えることができる。
【0036】
また、架台16を設けてガスクーラ24を上流機器である圧縮機22や、下流機器であるプレート式熱交換器32a、32bよりも上側に設置しているとともに、入口ヘッダ42及び出口ヘッダ44を鉛直に設けている。そのため、CO冷媒中に圧縮機の潤滑油等の冷凍機油が混入した場合であっても、該冷凍機油は、ガスクーラを形成するチューブ中に堆積せずに重力により下方に落下しやすくなる。従って、冷媒中に混入した冷凍機油を、重力によって下方に落下させ、冷媒とともに前記冷媒循環経路中を循環して圧縮機へ回収することができる。
【0037】
また、前記CO冷媒の循環する配管類、特にガスクーラ24を構成するチューブをステンレス製とすると、配管類の肉厚を薄くすることができ、装置全体の軽量化が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
ヒートポンプサイクルを構成するガスクーラに空気を通風して熱風を発生させる熱風発生装置であって、省スペース化が可能であるとともに、ヒートポンプサイクルを構成する圧縮機の潤滑油等の冷凍機油が冷媒循環経路中に混入しても容易に回収することができ、さらに構成機器の保守点検作業を安全かつ容易にできる熱風発生装置として使用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 熱風発生装置
12 空間
14 基板
16 架台
22 圧縮機
24 ガスクーラ
25a、25b ダクト
26a、26b 冷媒タンク
32a、32b プレート式熱交換器(水熱源蒸発器)
36 熱源給水管
38 熱源排水管
42 入口ヘッダ
44 出口ヘッダ
46 フィン
48 チューブ
108、110 電磁弁
112 温度センサ
128 圧力センサ
130 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、ガスクーラ、膨張弁、及び水熱源蒸発器を冷媒循環経路上で直列に接続し、これら機器に冷媒を循環させるヒートポンプサイクルを構成し、前記ガスクーラに空気を通風して前記冷媒との熱交換により昇温させて熱風を発生させる熱風発生装置であって、
前記圧縮機及び水熱源蒸発器を含む空間を囲む架台を設け、該架台上に前記ガスクーラを配置するとともに、
前記ガスクーラは、並列に配置された複数のフィンと、該複数のフィンの入口側及び出口側に設けられた入口ヘッダ及び出口ヘッダとを備え、前記入口ヘッダ及び出口ヘッダを鉛直に配置したことを特徴とする熱風発生装置。
【請求項2】
前記ガスクーラは、前記複数のチューブが貫通する複数のフィンを備えるプレートフィンチューブ式のガスクーラであり、
前記複数のチューブは、前記空気が通風する方向に沿って複数のチューブが並んで複数列を成すとともに、前記複数列それぞれにおいて上下方向に複数のチューブが並んで複数段を成しており、
前記複数のフィンはそれぞれ、前記空気が通風する方向に沿って分割された複数の分割フィンから構成され、
前記分割フィンは、当該分割フィンよりも前記空気が通風する方向に沿って空気流れ下流側に位置する分割フィン以上の列数の前記チューブが貫通していることを特徴とする請求項1記載の熱風発生装置。
【請求項3】
前記圧縮機を前記架台に囲まれた空間の一側面寄りに配置し、前記空間外に引き出し可能とするとともに、前記水熱源蒸発器を前記一側面と対向する側面寄りに配置して前記空間外に引き出し可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の熱風発生装置。
【請求項4】
前記水熱源蒸発器が並列配置された複数のプレート式熱交換器で構成されていることを特徴とする請求項1記載の熱風発生装置。
【請求項5】
前記冷媒がCOであり、前記圧縮機の出口側でCOが超臨界状態となるヒートポンプサイクルを構成することを特徴とする請求項1記載の熱風発生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate