説明

燃料を循環流動層ボイラ内に供給する供給方法及び供給装置

本発明は、循環流動層ボイラに燃料を供給する供給方法及び供給装置に関するものである。本発明は、特に、微細燃料、軽質燃料、及び/又は湿潤燃料のボイラへの供給に関するものである。軽質燃料、微細燃料、揮発性燃料、及び/又は湿潤燃料を循環流動床ボイラに供給する供給方法及び供給装置は、循環している流動媒体を戻り流れへと回収すること、及び、炉12内の燃料の滞留時間を延ばすために流動媒体の戻り流れと燃料とが混合され炉12内の下方に流れるように、戻り流れを炉12に導入される燃料と流体連通するように導入することに基礎を置いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環流動層ボイラ内に燃料を供給する供給方法及び供給装置に関するものである。本発明は、特に、微細、軽質、揮発性、及び/又は湿潤燃料のボイラへの供給に関するものである。
【0002】
循環流動層ボイラ(CFB)は、一般的に、底部、側壁、及び屋根を有する炉と、炉の上部と流体連通するように接続された少なくとも1つの粒子分離装置とを備える。炉の底部の少なくともいくつかの壁は、炉の断面積が上に向かって大きくなるように傾斜することがある。すなわち、傾斜壁を有する炉の部分は、収束する底部と称することができる。実際には、ボイラのすべての壁及び屋根並びに分離装置は、炉から出る熱を回収するための水管を備えている。炉の底部は、燃焼ガス又は懸濁ガス又は流動ガスを炉に導入し、炉から灰及び他の残骸を取り除く格子(grid)を備える。炉の側壁は、燃料を炉内に導入する手段だけでなく、二次空気を炉内に導入する手段をも備える。炉は、通常は砂である不活性流動媒体を供給する手段も備えている。
【0003】
粒子分離装置は、炉の上部から分離装置内へと入る燃焼排ガス/固形粒子懸濁物から固形粒子を分離する。分離された固形物は、ループシール(loopseal)のような密封装置を含む再循環導管を介して炉の下部に再循環により戻される。ループシールは、再循環導管を介して炉から分離装置にガスが流れるのを防止するために設置される。したがって、固形物の導入用に、炉内に少なくとも1つのさらなる開口部が必要である。この固形物の循環は、外部循環と称される。分離装置入口内に最終的に入る炉内の燃焼排ガス/固形粒子懸濁物の垂直上昇流に加えて、炉壁近くには粒子の垂直下降流がある。この固形物の循環は、内部循環と称される。
【0004】
固形物の内部循環又は外部循環又はその両方に関連して、流動粒子状固形物の層から熱伝達媒体へ熱を伝達するように流動層熱交換室が配置されていることが非常に多い。熱交換室は、炉壁の少なくとも1つに隣接する循環流動層ボイラの炉の内側に配置されうる。熱交換室(複数可)は、熱交換室が傾斜壁(複数可)と一体化されている炉の底部に隣接する位置に配置することが好ましい。流動層熱交換器は、固形物分離装置から出た固形物が炉へ戻る途中で熱交換室内に放出されるように外部循環内に配置される(例えば図1の従来技術を参照)。熱交換室の内部には、固形物から、内側を流れる熱伝達媒体に熱を伝達する熱交換手段が設けられる。
【0005】
軽質、微細、及び/又は湿潤燃料、例えば、粉炭又は泥炭又は大鋸屑又は微細褐炭は、2つの異なる側面において問題となる。軽く密度が小さい、且つ細かい粒子サイズの燃料は、流動ガスに容易に巻き込まれ、急速に上昇して、格子の上方数メートルで燃焼プロセスが開始するため、層温度を十分なレベルに維持するには不十分である、わずかな量の燃料しか下側層領域内で燃焼せず、燃料の大半が炉の上側で燃焼することになる。その結果、特に、負荷条件が低くなり、層温度が低くなりすぎ、炉の上部の温度が高くなり、延いては、排出物とボイラの負荷変動速度が問題を生じうる。
【0006】
同様に、湿潤燃料を使用すると、同様の問題が、いくぶん異なる理由で生じうる。湿潤燃料は、軽すぎることはないが、湿潤燃料が乾燥するまでにある程度時間がかかるので、燃料は、乾燥中に点火することができないうちに、やはり炉の上部に流動ガスによって持ち上げられる。燃料が最終的に十分乾燥し、点火し、最終的に燃焼するとき、下側層領域には燃焼可能な燃料が十分にはなく、そのため、層温度はやはり低く、既述した問題が引き起こされうる。
【0007】
さらに問題のある種類の燃料は、大部分は揮発性成分を含有し、固体炭素が比較的少ない燃料である。揮発性成分は、CO、CH、Hなどの可燃性ガスを燃料供給開口部のすぐ近くに形成し、その後、可燃性ガスは流動ガスとともに上方へ移動する。この上方への流れは、素早くかつ効率的に酸素と混合しえないガス柱を形成し、その結果、ガスは炉の上部で燃焼することになる。
【0008】
通常、燃料は、炉の壁にある1つ又は複数の開口部を介して炉内に導入される。燃料は、燃料の種類に応じて、燃料/空気懸濁物として、すなわち空気圧によって、又はスクリュー供給装置若しくは他の何らかの機械的供給手段によって、炉内で配分される。通常、燃料開口部(複数可)は、炉壁の(収束)底部に配置される。
【0009】
外部循環から、すなわち、分離装置から直接、又は流動層熱交換器を介して、炉内に入る固形物は、炉壁内の1つ又は複数の開口部を介しても炉内に導入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,529,911号明細書
【特許文献2】米国特許第4,690,076号明細書
【特許文献3】米国特許第5,419,267号明細書
【特許文献4】米国特許第4,442,795号明細書
【特許文献5】米国特許第7,240,639号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、軽質、微細、揮発性、及び/又は湿潤燃料について、燃焼プロセス全体を最適化するために炉の下側層領域内で乾燥及び/又は燃焼を行わせるための十分な滞留時間を確保することである。本発明によれば、内部循環及び/又は外部循環から下側層領域の方へ流れる燃料と固形物とを組み合わせることによって、燃料が上側層領域に移動するのを遅延させることで下側層領域内の燃料の滞留時間を長引かせる。
【0012】
本発明の別の目的は、ガス柱が壊れ、乱流が増大するように循環流動媒体をガス柱に導入することによって、燃料供給開口部の真上に可燃性ガスの上向流柱が形成されるのを防ぐことであり、これにより、酸素は、以前より効率的に可燃性ガスまで到達し、炉の下側で燃焼が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従来技術として、燃料と還流する流動媒体との混合について説明したいくつかの文献が知られている。
【0014】
例えば、燃料/固形物混合物をボイラに供給する前に、湿潤燃料及び流動媒体を個別混合装置/乾燥装置内に導入する方法が知られている。米国特許第4,529,911号明細書、米国特許第4,690,076号明細書、及び米国特許第5,419,267号明細書では、個別混合装置/乾燥装置のさまざまな代替的形態について説明している。しかし、個別混合装置/乾燥装置ユニットでは、投資/製作段階及び運転段階の両方においてコストが増大し、また特別な保守を必要とする機器がさらにもう1つ形成する。
【0015】
例えば、米国特許第4,442,795号明細書で説明されているように、粒子分離装置と炉との間の外部循環に燃料を供給することも知られている。
【0016】
しかし、上述の特許文献では、上述の問題に対処していないか、又は対処しているとしても(湿潤燃料)、結果として、ボイラの外側に個別粒子乾燥装置を備える非常に複雑な構成となる。
【0017】
本発明のさらなる目的は、微細、軽質、揮発性、及び/又は湿潤燃料を循環流動層ボイラ内に供給して燃焼させることに関係する上述の問題に対するいくつかの代替的解決策を示唆することである。
【0018】
すべての代替的解決策は、炉内に燃料を供給して、燃料と再循環する固形物との間の熱伝達プロセスが、燃料と循環する高温の流動媒体との間の混合を改善することによって改善されることに基礎を置いている。
【0019】
本発明の第1の好ましい実施例は、入ってくる燃料の上に混合された形態で供給される、炉壁に沿って下方に流れる流動媒体を回収することに基礎を置いている。
【0020】
本発明の第2の好ましい実施例は、外部循環からの再循環された材料が燃料供給の上に供給されるように構成することに基礎を置いている。
【0021】
本発明の第3の好ましい実施例は、入ってくる燃料の上に流動媒体流を放出するように、流動層熱交換室を配置することに基礎を置いている。
【0022】
本発明の第4の好ましい実施例は、入ってくる燃料の上に流動媒体流を導入するように、固形物分離装置から、又は外部熱交換室からの流動媒体流の出口を配置することに基礎を置いている。
【0023】
本発明の第5の好ましい実施例は、一時的に炉の外側に内部循環から流動媒体の側方流を取り出し、燃料が炉内に入る直前にその側方流を燃料と流体連通させることに基礎を置いている。
【0024】
本発明の方法及び装置の他の特徴については、添付されている請求項を参照されたい。
【0025】
本発明を利用することで、循環流動層ボイラ内の微細、軽質、揮発性、及び/又は湿潤燃料の供給及び燃焼に関係する少なくともいくつかの問題は、燃料を循環流動層ボイラの炉内に供給する単純かつ効果的な手段を使って解決される。例えば、湿潤燃料を乾燥させるために、従来技術で知られているような、外部乾燥室を設計し製作することは不要である。また、個別混合室内で軽質粉末燃料と高温流動媒体とを混合する必要もなくなっている。
【0026】
本発明により、軽質、微細、揮発性、及び/又は湿潤燃料が燃焼するとき炉の下部にあるとしても層温度をより高く維持することが可能になる。これは、層温度が自然に低下しがちである下側ボイラ負荷についても特に当てはまる。従来技術による構成と比較して、本発明は、使用する際に、
湿潤燃料の乾燥開始が早くなり、
乾燥した燃料の点火及び燃焼が早くなり、
より高い割合の軽質及び微細燃料が流動層へ下がり、これにより、負荷状態が低いときであっても層温度が上昇するか、又は許容可能なレベルに留まり、
燃焼燃料を再循環する固形物の高密度流束と混合させると、固形物の流束の温度が高くなり、次いで、熱が炉の底部に伝わり、層温度がさらに上がり、
燃焼燃料を再循環する固形物と混合させることで、燃料と可燃性ガスの側面混合も改善され、これにより、炉の下側部分での燃焼もさらに改善され、その結果、より均一な燃焼及び熱流速が側方に分配されることになり、
燃料供給が炉の壁上でより高くなるようになされ、これにより、逆圧がより小さくなる、という利点を実現する。
最後の2つの利点は、必ずしも軽質及び微細燃料に関係するというわけではないが、すべての種類の燃料に関係する。
【0027】
以下では添付図面を参照しつつ本発明の方法及び装置をさらに詳しく説明することにする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来技術の循環流動層ボイラの概略図である。
【図2a】本発明の第1の好ましい一実施例の概略正面図である。
【図2b】本発明の第1の好ましい一実施例の概略側面図である。
【図3】本発明の第2の好ましい一実施例の概略図である。
【図4】本発明の第3の好ましい一実施例の概略図である。
【図5】本発明の第4の好ましい一実施例の概略図である。
【図6a】本発明の第5の好ましい一実施例の代替的形態の概略図である。
【図6b】本発明の第5の好ましい一実施例の代替的形態の概略図である。
【図6c】本発明の第5の好ましい一実施例の代替的形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、従来技術の循環流動層ボイラの概略を示している。ボイラ10は、実質的に垂直な壁32を有する炉12、燃焼排ガス及びそれによって懸濁された固形粒子を固形物分離装置16へ移すための炉12の上側端部内の放出通路14、固形物分離装置16から浄化した排ガスを取り除くために固形物分離装置16の上側端部に配置されている通路18、分離された固形物の少なくとも一部を炉12の下側部分に戻すための固形物分離装置16の下側端部にある再循環導管20、炉の側壁32に配置された燃料供給手段22、並びに炉12の下部に配置された、一次空気の導入手段24、及び二次空気の導入手段26を備える。燃料供給手段の2、3の例として、スクリュー供給装置、ドロップ・レッグ(drop leg)、空気圧供給装置が挙げられる。一次空気24は、流動媒体を流動化するためにも使用される一次燃焼ガスであり、したがって、炉12の底部に配置された格子を通じて炉12内に供給される。二次ガス26は、炉12内に、格子の少し上にある炉12の側壁32を通して導入される。ガス・ロック(gas lock)28は、ガスが炉12から再循環導管20を介して固形物分離装置16内に流れ込むのを防止するように再循環導管20内に配置されている。ここで、再循環導管20は、再循環する固形物から熱伝達媒体へと熱を回収する流動層熱交換室30をさらに備える。ボイラ10の側壁32とともに固形物分離装置の側壁は、通常、水が熱伝達媒体として働くように水管を備える。
【0030】
図2a及び図2bは、炉の傾斜側壁32が2つの燃料供給手段を有することを前提とする炉の下側端部を示す本発明の第1の好ましい実施例を例示している。ボイラ10の側壁32の内面は、それぞれの燃料供給手段22の上に2つの傾斜誘導板34を備えている。誘導板34は、耐火材で製作されるのが好ましいが、必ずしもその必要はなく、また壁32に対して実質的に直角をなすように壁32に固定され、実際には壁32内の開口部36のように見える、燃料供給手段の方へ傾斜している。誘導板34の下側端部には、それらの間に間隙があり、この間隙は燃料供給開口部36の直径と一致することが好ましい。誘導板34の目的は、固形物、すなわち、ボイラ10の壁32を伝って流れ落ちる流動媒体を回収し、燃料供給開口部36の上に流動媒体流を混合する(合併する)ことである。混合された流動媒体は燃料供給の上を流れるので、燃料の少なくとも一部を下方に移動させて、炉12の底部において燃料を実際の流動媒材と混合させる。図2a及び図2bは、炉壁32に固定された誘導板34に加えて追加のさらなる特徴として燃料供給開口部36の覆い38を示している。この覆い38の目的は、燃料供給を炉12の壁32に沿って下方に導き、それによって、炉12の底部に向かう燃料の通過を促進することである。この覆いの別の目的は、格子上にできる限り多くの燃料が下に流れるように燃料と乱流流動媒体との間に一種のカーテンを炉内奥深くに形成することである。好ましくは、誘導板34は、矢印F及び矢印Bによって示されているように、覆い38の下から炉内に入る燃料Fの上に流動媒体流Bを誘導するように覆い38の側部に沿って延在する実質的に垂直な延長部34’を備える。これらの延長部は、炉内部に面する燃料流の側部への固形物のカーテンの形成をさらに強化する。このようにして、炉の下側部分における燃料の滞留時間が延長されることによって、一方では、燃料が湿潤である場合には、従来技術と比べて、層領域で燃焼が生じるように燃料が乾燥するのにさらに時間がかかり、他方では、燃料が軽質、揮発性、及び/又は微細である場合には、従来技術と比べて、燃料が炉の下部で燃焼するのにさらに時間がかかる。これに対して従来技術では、燃料が格子上の一定距離のところで炉内に導入されるため、燃料が上向きに移動する流動層に入り、炉の上部に素早く運ばれる。両方の代替的形態の結果として、燃料が炉内の下側で燃焼し、これにより、炉内の下側にある流動媒体の温度が上昇する。
【0031】
誘導板34、34’の寸法決めに関して、基準寸法は、一方では、炉の寸法に依存し、他方では、流動媒体の特性に依存している。通常は、誘導板の高さ(炉壁の表面から外向きに測定した)は、200mm〜500mm程度であり、傾斜角(水平方向から測定した)は約30度から70度である。しかし、誘導板が、再循環する流動媒体を例えば流動層熱交換器から炉の底部に導く落とし樋を形成する場合、誘導板も垂直であってよく、したがって、その傾斜は、実際には、30度から90度の範囲であるものとしてよい。言い換えると、落とし樋は、流動層熱交換器からだけでなく、炉壁からも循環する固形物を回収することが可能であり、したがって、落とし樋の側壁が上述の誘導板34と同様の働きをすることが理解できる。覆い38に関しては図2a及び図2bに示されているように1つの平面頂板と2つの平面側板から形成することができるが、この覆いは開口部36の円周形状に従うものとしてもよく、覆いは曲面板としてもよい。さらなる選択肢として、誘導板34及び誘導板34’(使用される場合)は、実質的に燃料供給開口部36の幅に合わせて固形物を導入することができるが、いくぶん大きな領域に合わせて、すなわち開口部36の両側に延在する領域に合わせて固形物を導入することもできる。これにより、炉内に入る燃料が、燃料によってすべての(開放された)側部から遮蔽された、すなわち、完全な被覆カーテンが形成される。しかし、何らかの理由により、燃料をより開放された状態で炉内に入らせたい場合には、燃料上の流動媒体供給をより細くすることができ、これにより、燃料を固形物の流れの側部から回避させることができる。そして最後に、誘導板によって回収され、燃料供給の上に導入される流動媒体の量は、それぞれの事例に即して別々に設計できる。
【0032】
図3は、本発明の第2の好ましい一実施例の概略を示している。ここで、固形物分離装置16(図1を参照)から、又は熱交換室30(図1を参照)からの混合された固形物の流れBは、固形物放出導管20を介して、炉の壁32内の供給開口部を通して炉内に入る燃料Fの上で炉12内に再循環される。上述の方法で外部循環から固形物を導入し、燃料を炉内に導入することにより、燃料が炉の底部へ下降することを実質的に妨げることなく可能にする燃料と乱流流動媒体との間のカーテン状の覆いを炉内奥深くに形成することがない限り、第1に燃料が再循環している固形物と効率よく混合されることは確実である。第2に、燃料/固形物混合物又は燃料及び戻された固形物は、炉の底部で流動媒体と効率よく混合される。固形物導入導管20は、構造上の要件及び制限の観点から可能な限り燃料供給手段22の上近くに位置するように計画される。
【0033】
当然のことながら、燃料供給開口部の覆いに似た、図2a及び図2bの実施例に関連して示されている類似の構成をここでも使用することができる。この実施例では、固形物供給と燃料供給の両方の流れの方向が壁32に対して平行に方向を変えるように、覆いを両方の供給開口部に連接するように構成することは有利であろう。この方法では、固形物の流れのカーテン効果も確保される。
【0034】
図4は、本発明の第3の好ましい一実施例の概略を示している。ここで、再循環する固形物は、炉の下側の傾斜壁32’に連接して配置されている炉21の落とし樋内の内部循環から回収される。落とし樋21によって、炉の壁32’からだけでなく、例えば、炉の上側に配置されている流動層熱交換器からも固形物を回収することができる。落とし樋21は、落とし樋の底面が炉内に入る燃料供給手段22と平行に傾斜するように、炉の底部近くで終端する構成にされることが好ましい。追加の特徴として、落とし樋は、燃料供給手段22に平行に配置され、炉内に入る燃料の流れの上に固形物の流れを誘導するように燃料供給手段22の真上に位置決めされた、誘導板23を備えることもできる。別の代替的形態として、落とし樋は、板23に対して終端するものとしてよく、また燃料供給開口部36又は、より一般的にいうと、燃料供給手段は、落とし樋の底板23の下の壁32’に位置決めすることもできる。両方の場合において、板23によって、燃料上に適切な固形物のカーテンが確実に形成される。このように、落とし樋21と覆い板23の動作は、図2a及び図2bの実施例に関連して上で説明されているのと基本的に同じである。また、上で参照されている燃料供給手段22は、落とし樋21の傾斜壁内の単なる開口部であってもよいか、図4に示されているように、落とし樋21内の一定距離のところに貫入するパイプ状導管、又は落とし樋21の真下の炉壁32’内の開口部とすることもできる。
【0035】
図5は、本発明の第4の好ましい一実施例の概略を示している。前述した実施例と同様に、ここでも、内部循環からの固形物は、微細、揮発性及び/若しくは軽質、並びに/又は湿潤燃料と効率よく混合し、燃料を炉内の下方に運び、その燃料を実際の流動媒体と混合する。ここで、本発明は、炉の傾斜した側壁32’に連接して炉の下側部分に、やはり位置決めされる。
【0036】
本発明の本実施例において、燃料供給手段は、炉若しくはボイラの内壁32’に特定の様式で配置された燃料供給開口部40である。燃料供給開口部40は、炉の傾斜した側壁32’内に一体化された鉛直向きの流路42の実質的に鉛直の底部内に配置される。流路42は、この特定の実施例では、いくぶん傾斜した(ほとんど鉛直の)底壁43及び実質的に鉛直の側壁46から形成される。図5では、流路42の底壁43は、わずかに傾斜して示されているが、壁43は、正確に鉛直であってもよいし、いっそう傾斜しているものであってもよい。実質的に鉛直の流路42では、固形物は、例えば、内部循環から炉の底に向かって戻る。この構造は、前述した実施例と同様に独立して機能する、すなわち、混合された固形物の流れを開口部40から炉内に入る燃料の上に導入する。言い換えると、鉛直の実質的にU字形の流路は、炉内のより高い位置に配置されている流動層熱交換器から、又は炉の壁に沿って内部循環から、下に向かう固形物を受け入れることができる。流路内では乱流の状態が明らかに弱いので、流路42によって、炉内の乱流流動媒体から固形物を効率よく回収することができる。流路の十分に深い断面によって、固形物が回収され、まとまった(集約された)流れとして、すなわち、壁32’上の内部循環よりも高密度の流れとして固形物が下に流れることができる静穏な空洞を形成する。
【0037】
しかし、この好ましい実施例では、内部流動層熱交換室44は、上述の実質的に鉛直の流路42の側壁46と流体連通するように構成されている。流動層熱交換室44は、炉の壁32’内でその上に配置された開口部48を介して内部循環から固形物を受け入れる。流動層熱交換室44内に入った固形物は、熱交換室の底部50を通る空気流によって流動化される。熱交換室の側部に、実際には流動層熱交換室44と実質的に鉛直な流路42との間に、熱交換室44を鉛直な流路42に接続する、いわゆるリフト・レッグ(lift-leg)52がある。リフト・レッグ52は、熱交換室44に面する側壁の下端に、室内で固形物が流れるようにするための開口部を有し、対向する側壁の上端に、リフト・レッグ室52から実質的に鉛直な流路42へ固形物が流れるようにするための開口部を有する小さな室である。したがって、実質的に鉛直な流路42を下に流れる内部循環及びリフト・レッグ52を介した熱交換室44からの固形物の流れは、両方とも燃料と混合し、燃料を実質的に鉛直な流路42の底部54へ強制的に下降させる。
【0038】
ここで、実質的に鉛直の流路42の両側に流動層熱交換室44が存在してもよいことを理解されたい。また、流動層熱交換室44の位置は、燃料供給開口部40に関して、図5に示されている高さよりも高くてもよいし、低くてもよい。同様に、実質的に鉛直の流路の側壁(複数可)46は、側壁46が図5に示されている領域よりも広い領域から内部循環を回収するように傾斜を付けることができる。内部循環を流路42内に回収するために図2に示されているものと同様の傾斜した誘導板を実質的に鉛直の流路の上に配置することも可能である。同様に、さらなる開口部を燃料供給開口部40の上に配置し、外部循環からの固形物を実質的に鉛直の流路42内に導入し、供給される燃料の上に供給することが可能である。
【0039】
このように、本発明の実施例は、主に、流動層熱交換器からの固形物の流れを使用して、流動層熱交換器の位置決めと無関係に強制的に燃料流を層領域に流すことに関するものであることは明らかである。言い換えると、再循環する流動媒体を1つ又は複数の流動層熱交換室(複数可)から流路に沿って導入し、燃料供給の上に導入することができる。最も単純な形態では、燃料供給開口部は、流動層熱交換室の固形物出口開口部の下に配置され、これにより、個別の流路は必ずしも必要でなくなる。
【0040】
流動層熱交換器のさらに有利な使い方は、実際には外部循環がなく内部循環がごく少ない場合に、負荷条件が低いことに関係する。そこで、過剰な流れ又は補助流路を介して熱交換器内に流動媒体を導入することによって(米国特許第7,240,639号明細書(B2)で詳しく説明されている)、熱交換器の放出開口部が燃料供給開口部の上にある場合に、入ってくる燃料上に粒子状材料を放出することが可能である。
【0041】
従来技術と比較したさらなる改善として、燃料/固形物混合物を格子上に下ろして流動化する点が挙げられる。本発明のさらなる好ましい実施例によれば、鉛直向きの流路42の底部54には、燃料と固形物との混合物がD50粒子に対して10〜20Umfの範囲の速度を有するように流動化される(Umfは最小流動化速度に等しい)いわゆる流動化帯を形成する格子が取り付けられ、これにより燃料と固形物との間の混合が高められる。流路底部格子の近傍には、炉の底部の一部にいわゆる低速度帯を形成する第2の格子領域56があり、速度はD50粒子に対して40〜450Umfの範囲内である。この低速度帯において、材料が輸送され、炉の他の部分に噴霧されるが、終端速度より低い速度では、燃料粒子には、乾燥し(湿潤燃料の場合)、燃焼室の下部で点火及び燃焼プロセスが開始するように十分に加熱する時間がある。第1の格子領域と第2の格子領域は両方とも、指向性ノズル、又はいわゆる、格子に沿って水平方向に固形物を移動させるためのステップ格子(step grid)を備えることができる。第2の格子領域56の外側には、通常の格子速度の領域があり、そこでは、格子の下からのガス流は、炉内の燃料及び流動媒体の循環を開始するのに十分である。
【0042】
この種類の階段状格子の速度設定により、固形物が壁(燃料供給装置が設置されている)から格子に沿って炉の下側部分に向かい、壁に沿って上昇し、炉内のいくぶん上側にある流動層熱交換器へと達する内部循環が構成される。これにより、流動化帯へ進むとともに、燃料粒子を再循環させることもある、固形物の量が増加する。
【0043】
図6aから図6cには、3つの異なる代替的形態を伴う本発明の第5の好ましい実施例を開示している。図6a〜図6cの構成において、基本原理は、炉壁32に沿って下に流れる内部循環の一部を炉12から一時的に側方流として取り出し、その側方流を、炉12に燃料を供給する前に燃料の流れと流体連通するように導入することである。
【0044】
図6aに示す第1の代替的形態では、内部循環ICから流動媒体の一部を炉12の傾斜壁32’内の少なくとも1つの開口部58を通じて炉12から取り出し、導管60に沿って燃料供給導管22内に直接導入する。燃料供給導管22では、例えばスクリュー供給装置、空気圧供給装置などのような燃料供給手段の動作によって流動媒体及び燃料が効率よく混合される。
【0045】
図6bに示す第2の代替的形態では、内部循環ICから流動媒体の一部を、やはり、炉の傾斜壁32’内の少なくとも1つの開口部58を通じて炉12から取り出し、供給導管22に沿って炉の方へ流れる燃料と流体連通するように導管60に沿って導入する。しかし、この実施例では、循環する流動媒体の流れは、ループシール型の制御装置62を使って制御され、これにより、燃料供給に導入される流動媒体の量が調節されうる。
【0046】
図6cは、第2の代替的形態に非常に近い第3の代替的形態を開示している。実際、確認できる違いは、燃料と再循環する流動媒体とを混合する手法のみである。図6bの代替的形態では、流動媒体が燃料流導管22内に導入されるが、図6cの代替的形態では、燃料流導管22によって燃料がループシール型制御装置62の後の流動媒体導管60’内に導入される。
【0047】
図6a〜図6cに示されるように形成された流動媒体/燃料混合物は、炉内と同様に導入されうるが、図4及び図5に示されている流路と同様の流路内に混合物の供給開口部が配置されるように炉内にも導入されうる。混合物は、図2a〜図5に関連して説明されている前述の実施例における燃料供給と同様の方法で処理することもできる。言い換えると、その入口開口部は、混合物の流れを炉の格子の方へ下向きに導くための覆いを備えることができるし、炉内で循環する(その壁若しくは流路のいずれかに沿って)か、又は炉内に戻る他の何らかの固形物が、混合物の流れの上に導入されてもよく、これにより、混合物は格子の方へ強制的に下ろされるようになる。
【0048】
上記の説明に関して、本発明の少数の最も好ましい実施例が説明されているに過ぎないことを理解されたい。したがって、本発明は、上で開示されている実施例に限定されず、添付の特許請求の範囲内で多くの方法により修正できることは明らかである。また、本発明の特定の実施例の特徴は、本発明の基本的な考え方の範囲内で、他の実施例の特徴に関連して適用されるか、又は別の実施例の特徴を組み合わせることで結果として実用的かつ技術的に実現可能な構造物を製作できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽質、微細、揮発性、及び/又は湿潤燃料を循環流動層ボイラに供給する供給方法であって、
燃料流が、炉に導入され、
燃料は、前記ボイラ(10)の前記炉(12)内で流動化された流動媒体の存在下で燃焼して燃焼排ガスが形成され、
前記流動化された流動媒体は、流動媒体が前記炉の壁に沿って下り前記炉の底部に戻る内部循環における前記炉(12)の内側、及び、外部循環、すなわち、少なくとも前記炉(12)と流体連通するように構成された固形物分離装置(16)を介した外部循環における前記炉(12)の外側、の両方を循環するようにされ、
流動媒体は、前記固形物分離装置(16)内で前記燃焼排ガスから分離され、
前記燃焼排ガスは、次の処理用に前記固形物分離装置(16)から除去され、
前記分離された流動媒体は、前記ボイラ(10)の前記炉(12)に戻される、供給方法において、
循環している流動媒体を戻り流れに回収するステップと、
前記炉(12)内の前記燃料の滞留時間を長くするために、前記流動媒体の戻り流れと前記燃料流とが、混合されて前記炉(12)内で下向きに流れるように、前記戻り流れを前記炉(12)に導入される前記燃料と流体連通させて混合するステップとを備える供給方法。
【請求項2】
少なくとも前記炉壁(32)に沿って下方に流れる内部循環、流動層熱交換器(30、44)からの固形物の放出、及び前記固形物分離装置(16)から戻る前記固形物のうちの1つから前記戻り流れを回収するステップを備える請求項1に記載の供給方法。
【請求項3】
前記燃料が前記炉(12)に導入されている間に前記燃料流の上に前記戻り流れを導入するステップを備える請求項1又は請求項2に記載の供給方法。
【請求項4】
前記炉(12)に入る前記燃料流を覆うように前記戻り流れを誘導するステップを備える請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の供給方法。
【請求項5】
前記炉(12)に入る前記流体流を前記炉の前記底部の方へ下向きに方向づけるステップを備える請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の供給方法。
【請求項6】
前記炉(12)に導入しようとする前記燃料と流体連通される前記固形物の一部を、前記内部循環から前記炉(12)の外側に取り出すステップを備える請求項1又は請求項2に記載の供給方法。
【請求項7】
前記内部循環から前記炉(12)の外側に前記固形物の一部を取り出すステップと、前記炉(12)に導入しようとする前記燃料を前記固形物の一部と流体連通させるステップとを備える請求項1又は請求項2に記載の供給方法。
【請求項8】
前記炉(12)の前記壁(32)に接して、又は前記壁(32)内に前記戻り流れを回収する回収手段を配置するステップを備え、前記燃料流の上に前記戻り流れを導入するための請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の供給方法。
【請求項9】
軽質、微細、揮発性、及び/又は湿潤燃料を循環流動層ボイラに供給する供給装置であって、
前記ボイラ(10)は少なくとも前記ボイラの底部の格子、側壁(32)、及び屋根によって画成される炉(12)と、
前記炉の上部と流体連通するように構成された固形物分離装置(16)と、
一次空気及び二次空気を前記炉(12)に供給する空気供給手段(24、26)と、
前記燃焼排ガスから前記分離装置(16)内で分離された前記固形物を前記炉(12)に戻す手段(20)と、
燃料流を前記炉(12)に供給する燃料供給手段(22)とを備える供給装置において、
前記固形物分離装置(16)から前記炉(12)に向かって戻る固形物、前記炉(12)の内側で循環し前記炉壁(32)に沿って下に流れる固形物、及び流動層熱交換器(30、44)から放出される固形物のうちの少なくとも1つを、前記燃料と流体連通させて混合する導入手段を備えて、前記燃料流を前記格子に向かって強制的に下降させて前記炉(12)内の前記燃料の滞留時間を延長することを特徴とする供給装置。
【請求項10】
燃料を前記炉(12)に供給する前記燃料供給手段は、前記炉(12)の前記壁(32)内の燃料供給開口部(36、40)を備え、固形物を前記燃料と流体連通させる前記導入手段(34、34’、20、20’、42)は、前記燃料供給開口部(36、40)の実質的に真上に配置されることを特徴とする請求項9に記載の供給装置。
【請求項11】
固形物を前記燃料と流体連通させる前記導入手段は、前記燃料供給開口部(36、40)の真上の前記炉(12)の前記壁(32)内に、又は前記壁(32)に接して配置された流路(20’、42)を備えることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の供給装置。
【請求項12】
前記流路(20’、42)は、流動層熱交換室(30、44)、及び前記固形物分離装置(16)のうちの1つと流体連通するように構成されることを特徴とする請求項11に記載の供給装置。
【請求項13】
前記流路(20’、42)は、側壁を有し、前記側壁は、前記炉壁(32、32’)に沿って下に流れる固形物を回収するように傾斜していることを特徴とする請求項11に記載の供給装置。
【請求項14】
前記壁(32)に沿って下に流れる固形物を回収し、前記燃料供給の上に前記固形物を導入するために、固形物を前記燃料と流体連通させる前記導入手段は、前記燃料供給開口部(36)の真上の前記炉(12)の前記壁(32)に接して配置された傾斜した誘導板(34)を備えることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の供給装置。
【請求項15】
固形物を前記燃料と流体連通させる前記導入手段は、前記炉(12)の前記壁(32)内の前記燃料供給開口部(36)の実質的に真上に開口部を備えることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の供給装置。
【請求項16】
燃料を前記炉(12)に供給する前記燃料供給手段は、前記燃料供給開口部(36)に加えて、前記炉(12)に入る前記燃料を前記開口部(36)を通じて前記炉(12)の前記格子に向かって下降するように前記燃料供給開口部(36)の真上に配置された覆い(38)を備えることを特徴とする請求項9から請求項15までのいずれか一項に記載の供給装置。
【請求項17】
固形物を前記燃料と流体連通させる前記導入手段は、前記覆い(38)に連接して配置される少なくとも1つの誘導板(34’)を備えることを特徴とする請求項16に記載の供給装置。
【請求項18】
前記流動層熱交換器(30、44)は、前記炉(12)の前記上部に隣接して、又は前記炉(12)の前記収束する底部に隣接して、又は前記分離装置(16)に連接して配置されることを特徴とする請求項1から請求項17までのいずれか一項に記載の供給装置。
【請求項19】
固形物を前記燃料と流体連通させる前記導入手段は、前記炉(12)から前記炉壁(32)に沿って下に流れる固形物の一部を取り出すための前記炉(12)の前記傾斜した壁(32’)内の開口部(58)と、一端において前記開口部(58)に流体連通するとともに、対向端において前記燃料供給手段(22)に流体連通する前記炉(12)の外側の導管(60、60’)とを備えることを特徴とする請求項9に記載の供給装置。
【請求項20】
前記炉(12)から出る前記固形物の流れを制御する前記導管(60、60’)内に配置されるループシール型制御装置(62)を備えることを特徴とする請求項19に記載の供給装置。

【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図1】
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【公表番号】特表2013−510287(P2013−510287A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538368(P2012−538368)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050862
【国際公開番号】WO2011/058217
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(506425251)フォスター ホイーラー エナージア オサケ ユキチュア (23)
【Fターム(参考)】