説明

燃料タンクの送油管保護カバー構造

【課題】、燃料タンクの設置時でも後付でも取り付けができ、かつ、取り付けが容易で作業性がよく、強固に固定されて簡単に取り外すことのできない燃料タンクの送油管保護カバーを提供する。
【解決手段】支柱によって地面から離間して設置され、下面に形成した送油口に送油管4を結合させ、送油管4の一部を地中に埋設した燃料タンク1において、上記燃料タンク下面に形成されたフランジ部1aに上カバー6を取り付け、上記上カバー6の下方に補強材22を介して下カバー7を取り付け、これら上カバー6と下カバー7によって上記送油口とそれに連なる送油管4の地面より上の部分を収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に設置する燃料油ストーブや暖房・給湯用ボイラー等の燃料タンクに関し、特に燃料タンクの送油管保護カバー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外に設置する燃料タンクでは、燃料タンク下面にストレーナ等を供えた送油口を設け、送油口に連なる送油管を地面の下を通して屋内の燃料油ストーブや暖房用ボイラーに連結している。
【0003】
送油管は、剥き出した状態で使用している場合が多いが、剥き出しのままでは故意による切断事故や積雪による破損事故により油が流出して火災等の原因になる危険があるため、上記送油管の露出部分を保護する目的で燃料タンク下部に送油管保護カバーを設けたものがある(特許文献1および2)。これらは、燃料タンク下面の送油口とそれに連なる送油管を覆うようにして、上記の危険に対処したものである。
【特許文献1】実用新案登録第3115857号公報
【特許文献2】実用新案登録第3114535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、燃料タンク下面のフランジ部に取り付けた取付ブラケットに背面上保護カバーを固定し、その背面上保護カバーに正面上保護カバーを固定し、さらに、正面上保護カバーの下方に正面下保護カバーを固定し、背面上保護カバーの下方に背面下保護カバーを固定するという複雑な取付け方法となっており、作業性に問題があり、カバー自体も複雑な形状のため製作が比較的困難で、構造上取り付け後の強度にも問題がある。
【0005】
また、特許文献2では、外筒パイプを燃料タンク下面のフランジ部に留め金具で固定し、その下に内筒パイプを互いに摺動自在に嵌合させて設置し、内筒パイプが下にさがらないように帯バンドで固定する取付け方法となっている。この方式では、既存の燃料タンクに後付けする場合、送油管を取り外さなければならず作業性に問題があり、内筒パイプが簡単に外されてしまう危険もある。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解消して、燃料タンクの設置時でも後付でも取り付けができ、かつ、取り付けが容易で作業性がよく、強固に固定されて簡単に取り外すことのできない燃料タンクの送油管保護カバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1にかかる発明は、支柱によって地面から離間して設置され、下面に形成した送油口に送油管を結合させ、送油管の一部を地中に埋設した燃料タンクにおいて、上記燃料タンク下面に形成されたフランジ部に上カバーを取り付け、上記上カバーの下方に補強材を介して下カバーを取り付け、これら上カバーと下カバーによって上記送油口とそれに連なる送油管の地面より上の部分を収容することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記上カバーは、上記フランジ部を収納する係合溝を備えたアタッチメントを介して上記フランジ部に固定され、該フランジ部は上記係合溝の外側から挿通したボルトにより弾性部材を介して圧接固定されたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または2において、上記上カバーと下カバーは、各々前後に分割して開閉可能に形成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、上記上カバーは、左右に2分割された部分の一端は他方にヒンジを介して回動可能に連結され、他端はかしめて結合される部分を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、上カバーの内側に補強材を取り付けることで上カバーを強固な構造とすることができ、さらに、その補強材に下カバーを取り付けることにより、下カバーも強固な構造とすることができる。
【0012】
また、燃料タンクのリブを利用する構造であり、燃料タンクは全く加工しないので、安全性が損なわれない。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、上カバーは、上記フランジ部を収納する係合溝を備えたアタッチメントを介して上記フランジ部に固定され、該フランジ部は上記係合溝の外側から挿通したボルトにより弾性部材を介して圧接固定されているから、燃料タンクを傷つけるおそれがないので、安全性が確保できる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、上カバーと下カバーは、各々前後に分割して開閉可能に形成されているから、取り付け時の作業が容易であり、メンテナンスも容易となる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、上カバーは、左右に2分割された部分の一端は他方にヒンジを介して回動可能に連結され、他端はかしめて結合される構成であるから、燃料タンク設置時でも、後付けの場合でも保護カバーの設置が容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1および図2は、本発明の一実施形態に係る燃料タンクの送油管保護カバー構造の要部の正面図および側面図であり、符号1は燃料タンクを示す。この燃料タンク1は、燃料油ストーブや暖房・給湯用ボイラー等の燃料油を貯蔵する燃料タンクである。この燃料タンク1は周囲にフランジ部1aを有する2枚の略直方体の皿状の鋼板からなり、そのフランジ部1aを溶接することにより略直方体に形成されている。図示しないが、上面には給油口とエアー抜きと燃料油の量を計測するゲージとが設けられ、支持脚によって地上から離間した位置に設置されている。
【0017】
上記燃料タンク1の下面には送油口2が設けられている。送油口2には、燃料油のストレーナ3や開閉バルブ(図示せず)が設けられており、送油管4が接続されている。
【0018】
送油管4は、送油口2の下に設置されたストレーナ3との結合部の近くではコイル状に配設され、地面近くではほぼ鉛直形状となり、さらに地中を通って屋内の燃料ストーブ等に接続されている。コイル状の部分により、地震等によるの外的衝撃を吸収する。
【0019】
燃料油はその自重により送油管4を通って送油される。送油管4には配管が容易なように銅管またはゴムホースが使用されている。
【0020】
次に、上記送油管4は保護カバー5によって保護されている。この保護カバー5の概略構成を図3(a)、(b)で説明する。図3(a)は図1のA−A断面図であり、図3(b)は保護カバー5の取り付け時のA−A断面図である。
【0021】
図3(a)、(b)に示すように、保護カバー5はアルミニウム等の押出型材からなり、筒状の上カバー6および下カバー7から構成される。上カバー6は、送油口2、ストレーナ3や開閉バルブ、あるいはコイル状の送油管4が設けられている部分を覆って保護し、下カバー7は送油管4の垂れ下がり部分を覆って保護するもので、上カバー6に比べて下カバー7は細く形成されている。
【0022】
上カバー6は背面上カバー6aと、正面上カバー6bから構成され、下カバー7は、背面下カバー7aと正面下カバー7bから構成されている。上カバー6の背面上カバー6aは、図3(a)および図5に示されるように、断面がL字形の部材8、9を突合せ端部Cで一体に結合したもので、突合せ端部Cにおいて、一方の部材に連続形成された断面U字形の係合溝10に他方の部材の突縁11を係合し、係合溝10の一方の溝壁10aを閉じてかしめることにより結合されている。さらに、背面上カバー6aは、正面上カバー6bとヒンジ12を介して前後に開閉自在に連結され、送油口2とそれに連なる送油管4を収容する筒を形成している。この正面上カバー6bには、ストレーナ3の正面位置に透明アクリル板の点検窓13が設置されている。
【0023】
背面下カバー7aは正面下カバー7bとヒンジ12で開閉自在に連結されて、送油管4を収容する筒を形成している。
【0024】
次に、上記構成の保護カバー5の燃料タンク1への取り付け方法についてさらに詳しく説明する。
【0025】
図4は、燃料タンクのフランジ部とアタッチメントとの取り付け部を示す図であり、図5は、図4のB−B断面図である。
【0026】
図4において、まず、燃料タンク1の下面のフランジ部1aにアタッチメント14をボルト15にて固定する。アタッチメント14は、上記フランジ部1aを収納する係合溝16の底部から下方に取付片17を形成してなり、係合溝16はフランジ部1aよりも幅広で、フランジ部1aとネオプレンゴムシート等の弾性部材18とが係合できる溝幅に形成されている。そして、上記係合溝16の外側から挿通したボルト15をフランジ部1aと弾性部材18を側面に圧接してフランジ部1aにアタッチメント14を固定している。さらに、上記取付片17を背面上カバー6aにボルト20により固定する。
【0027】
次に、図5に示すように、既設の送油管4の背後に、分割された背面上カバー6aをまわし、この背面上カバー6aを燃料タンク1と一体に固定された上記アタッチメント14にボルト20にて固定する。
【0028】
次に、図3(a)に示すように、背面上カバー6aの内側の所定位置に金属製の補強材22をボルト19、23にて固定する。補強材22は断面山形に形成されている。
【0029】
次に、背面下カバー7aを既設の送油管4の背後にまわすようにして配設し、上記補強材22にボルト23にて固定する。この際、地面は若干掘り下げておいて、背面下カバー7aの下端が最終的に地面GLより下に設置されるようにする。地面GLとの間に隙間を開けるとそこから送油管4に危害を加えられるおそれがあり、それを避けるためである。
【0030】
次に、正面下カバー7bを一方の端部のヒンジ12から回動し、図3(a)に示されるように、内側に送油管4を収容して他方の端部でボルト25にて固定し、筒状の下カバー7を形成させる。26はボルト受け、27はキャップである。
【0031】
最後に、正面上カバー6bを一方の端部のヒンジ12から回動し、図3(a)に示すように、背面上カバー6aに取り付け、送油管4および下カバー7の上部を収容してもう一方の端部でボルト28にて固定し、筒状の上カバー6を形成させる。
【0032】
下カバー7は上カバー6より断面積の小さい筒を形成しており、下カバー7の上部は、上カバー6の内側に収まっている。そして、下カバー7の下部は、上カバー6の下端より露出して、その先端は、地面の中に埋設されて送油管4を保護している。
【0033】
なお、上記の説明は既設の燃料タンク1に対して保護カバー5を取り付けるケースについて行ったが、燃料タンク1の設置時に保護カバー5を取り付けるケースについては、上記説明と同様に送油管4を設置後に保護カバー5を取り付けてもよいし、保護カバー5の取り付け後に送油管4を取り付けてもよい。
【0034】
上記構成の保護カバー5は、補強材22を取り付けることにより背面上カバー6aを強固な構造とすることができ、さらに、この補強材22に取り付けられる背面下カバー7aもまた強固な構造とすることができる。上記上下のカバーに各々正面上カバー6bと正面下カバー7bを取り付けるので、結局、上カバー6と下カバー7とともに強固なものとすることができる。
【0035】
また、正面上カバー6bは、上記フランジ部1aを収納する係合溝16を備えたアタッチメント14を介して上記フランジ部1aに固定され、該フランジ部1aは上記係合溝16の外側から挿通したボルト15により弾性部材18を介して圧接固定されているから、燃料タンク1を傷つけるおそれがないので、安全性が確保できる。しかも、背面上カバー6aは、アタッチメント14を介して燃料タンク1に取り付けられるので、フランジ部1aとの取り付けについて、ボルト20用のあり溝を設けるだけでよいため単純な構造とすることができ、製作が容易となる。
【0036】
また、上下カバ6、7ーがともに前後に分割され、背面側カバー6a、7aを先に送油管4の背後に設置して取り付け、次に正面側カバー6b、7bを取り付けることができるため、取り付けが容易で作業性がよく、また、上下カバーとも正面側(前側)が開閉するのでメンテナンスも容易である。さらに、燃料タンクの設置時であっても、後付けの場合でも保護カバー5の設置が容易にできる。
【0037】
さらに、フランジ部1aにアタッチメント14を固定する際、係合溝16の外側から挿通したボルト15をフランジ部1aと弾性部材18を側面に圧接して行うので、フランジ部1aが傷ついたり破損したりするおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る燃料タンクの送油管保護カバー構造の一実施例を示す組立構成図の正面図である。
【図2】上記送油管保護カバー構造の側面からみた端面図である。
【図3】(a)は図1のA−A断面図であり、(b)は取り付け時のA−A断面図である。
【図4】燃料タンクのフランジ部とアタッチメントとの取り付け部を示す図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 燃料タンク
1a フランジ部
5 保護カバー
6 上カバー
6a 背面上カバー
6b 正面上カバー
7 下カバー
7a 背面下カバー
7b 正面下カバー
14 アタッチメント
22 補強材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱によって地面から離間して設置され、下面に形成した送油口に送油管を結合させ、送油管の一部を地中に埋設した燃料タンクにおいて、
上記燃料タンク下面に形成されたフランジ部に上カバーを取り付け、
上記上カバーの下方に補強材を介して下カバーを取り付け、これら上カバーと下カバーによって上記送油口とそれに連なる送油管の地面より上の部分を収容する
ことを特徴とする燃料タンクの送油管保護カバー構造。
【請求項2】
上記上カバーは、上記フランジ部を収納する係合溝を備えたアタッチメントを介して上記フランジ部に固定され、該フランジ部は上記係合溝の外側から挿通したボルトにより弾性部材を介して圧接固定されたことを特徴とする、請求項1に記載の燃料タンクの送油管保護カバー構造。
【請求項3】
上記上カバーと下カバーは、各々前後に分割して開閉可能に形成されたことを特徴とする、請求項1または2に記載の燃料タンクの送油管保護カバー構造。
【請求項4】
上記上カバーは、左右に2分割された部分の一端は他方にヒンジを介して回動可能に連結され、他端はかしめて結合される部分を有することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の燃料タンクの送油管保護カバー構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−30804(P2008−30804A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206330(P2006−206330)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000250432)理研軽金属工業株式会社 (89)
【Fターム(参考)】