説明

燃料タンク用キャップ

【課題】燃料タンク内の燃料が外部に露出することがない燃料タンクキャップを提供する。
【解決手段】アウタプレート4とインナプレート5によりキャップ本体6を構成し、アウタプレート4とインナプレート5との間に、空気室8と、通気孔9aとを設け、インナプレート5の中央部を、さらに中間部に二次空気室13を形成する上下二重壁構造とする。上壁部7aの中央には、空気室8に連通する上部連通孔12を設け、下壁部15cには、上部連通孔12の中心線の延長線に対して交差する方向を向く下部連通孔17を設け、二次空気室13内には、フィルタ18を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク用キャップに関する
【背景技術】
【0002】
従来、燃料タンク用キャップとして、アウタプレートとインナプレートとを重合し、その中央部に空気室を設けるとともに、外周部に外部の空気を空気室に導入する外気導入孔を設け、インナプレートには、空気室と燃料タンクの内部空間とを連通させる連通孔を設け、燃料タンク内が負圧になったときには、外部の空気が外気導入孔および連通孔を通って、燃料タンク内に供給されるようにし、燃料タンク内が正圧になった時は、逆に外部へ空気を逃がすようにしたものがある。
【0003】
このような燃料タンク用キャップにおいて、燃料タンクに振動が加えられたときに、燃料タンク内の燃料が外部に漏れ出るのを防止するために、インナプレートの連通孔と、外周部の外気導入孔との間に、燃料隔壁を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−49447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている燃料タンク用キャップにおいては、燃料隔壁の中央に大径のエア通路が設けられているため、依然として、空気室内に侵入した燃料が、燃料隔壁のエア通路を通って外部に漏出するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、燃料タンク内の燃料が、外部に漏出するのを可及的に防止することができるとともに、構造の簡素化を図ることができ、さらに部品を容易に交換することができ、しかも、従来の燃料タンク用キャップにも容易に適用しうるようにした燃料タンク用キャップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)燃料タンクの給油口を開閉するキャップであって、アウタプレートとインナプレートとを重合することにより、内外二重壁構造の倒立有底筒状のキャップ本体を構成し、前記アウタプレートとインナプレートとの間に、インナプレートの中央部に設けた凹部によって形成される空気室と、インナプレートの凹部から半径方向外向きに延出する凹溝によって形成され、かつ前記空気室と燃料タンクの外部とを連通する通気孔とを設け、前記インナプレートの凹部の中央部を、中間部に二次空気室を有する上下二重壁構造とし、その上壁の中央に前記空気室に連通する上部連通孔を設け、下壁には、前記上部通気孔の中心線の延長線に対して交差する方向を向く下部連通孔を設け、前記二次空気室内には、フィルタを配設する。
【0008】
このような構成とすると、燃料タンク内の燃料が、振動等により飛散し、その飛沫が、上下二重壁構造の下部連通孔より二次空気室内に侵入したとしても、フィルタに吸収された後、自重によってフィルタから排出され、下部連通孔を通って燃料タンク内に戻されるので、二次空気室内に侵入した燃料が、上部連通孔から空気室内に侵入し難く、燃料が燃料タンク用キャップから外部に漏出するおそれを可及的に減少することができる。
【0009】
(2)上記(1)項において、前記インナプレートの凹部の中央部下面に、ボール弁型逆止弁における弁ケースを、その弁孔が前記インナプレートの凹部の底壁に設けた上部連通孔と連通するようにして設け、前記インナプレートの凹部の底壁と前記弁ケースに下方より着脱可能として外嵌した有底筒体とによって、前記有底筒体内を二次空気室とする上下二重壁構造を構成し、前記有底筒体における筒部の下端部外周から底壁の外周部にかけての部分に下部連通孔を設け、前記有底筒体内における底壁と前記弁ケースの下端面との間にフィルタを配設し、かつ前記弁ケースの下部に、弁ケース内とその下方の二次空気室内とを連通する中間連通孔を設け、前記燃料タンク内の燃料がボール弁体に達したとき、前記ボール弁体により前記弁孔を閉止しうるようにする。
【0010】
このような構成とすると、燃料タンクが転倒して、燃料タンク内の燃料が給油口側に逆流し、二次空気室内に侵入したとしても、ボール弁体によって弁孔が閉止されるため、燃料は、弁孔から空気室に侵入するのを阻止され、燃料タンクキャップから外部に漏出することがなくなる。
また、有底筒体を弁ケースから外すことにより、フィルタを容易に交換することができる。
さらに、既設の燃料タンク用キャップに、ボール弁型逆止弁が設けられている場合、後付によって、弁ケースに、有底筒体を外嵌することにより、簡単に上下二重壁構造を実現することができる。
【0011】
(3)上記(2)項において、前記有底筒体を伸縮性の材料により形成し、上端開口部を弾性拡径させて弁ケースに外嵌する。
【0012】
このような構成とすると、有底筒体を弁ケースに簡単に装着することができる。
【0013】
(4)上記(3)項において、前記有底筒体の上部における弁ケースに外嵌した部分を、締付手段により外側から締着する。
【0014】
このような構成とすると、弁ケースに外嵌した有底筒体が弁ケースから外れることがない。
【0015】
(5)上記(1)項において、前記インナプレートの凹部の中央部下面に、ボール弁型逆止弁における弁ケースを、その弁孔が前記インナプレートの凹部の底壁に設けた上部連通孔と連通するようにして設け、前記インナプレートの凹部の底壁と前記弁ケースとによって、前記弁ケース内を二次空気室とし、かつ前記弁ケースの底壁を下壁部とする上下二重壁構造を構成し、前記弁ケースの筒部の下端部外周から底壁の外周部にかけての部分に下部連通孔を設け、前記弁ケース内の底部にフィルタを、さらにその上方に前記弁孔を開閉するボール弁体を配設し、前記燃料タンク内の燃料が前記弁ケース内のボール弁体に達したとき、前記ボール弁体により前記弁孔を閉止しうるようにする。
【0016】
このような構成とすると、ボール弁型逆止弁によって、上下二重壁構造を形成し、その中にフィルタを配設するだけで、本願発明を簡単に適用することができる。
【0017】
(6)上記(1)項において、前記インナプレートの凹部の中央部に上向き凹部を形成し、この上向き凹部の上壁部に上部連通孔を設け、前記上向き凹部の下端開口縁の一部に、外下方を向く傾斜凹溝を設け、前記上向き凹部の下端開口と傾斜凹溝の下端開口の一部とを閉塞板をもって閉塞することにより、前記上向き凹部と閉塞板とによって囲まれた空間を二次空気室とする上下二重壁構造を構成し、前記閉塞板によって閉塞されていない傾斜凹溝の下端開口により前記下部連通孔を形成し、前記上向き凹部内にフィルタを配設する。
【0018】
このような構成とすると、インナープレートの外側に突出する部分がないので、キャップ本体を小型化することができるとともに、上下二重壁構造を簡単に形成することができ、構造の簡素化を図ることができる。。
【0019】
(7)上記(6)項において、前記閉塞板を、前記インナプレートの凹部の下面に固着され、かつ前記凹部の外周面より外方に突出する複数の係合爪を有する爪板と一体的に形成する。
【0020】
このような構成とすると、爪板を閉塞板として利用できるので、部品点数を低減することができる。
【0021】
(8)燃料タンクの給油口を開閉するキャップであって、アウタプレートとインナプレートとを重合することにより、内外二重壁構造の倒立有底筒状のキャップ本体を構成し、前記アウタプレートとインナプレートとの間に、インナプレートの中央部に設けた凹部によって形成される空気室と、インナプレートの凹部から半径方向外向きに延出する凹溝によって形成され、かつ前記空気室と燃料タンクの外部とを連通する通気孔とを設け、前記インナプレートの凹部の中央部下面に、ボール弁型逆止弁における下端が開口する弁ケースを、その弁孔が前記インナプレートの凹部の底壁に設けた連通孔と連通するようにして設け、前記弁ケースにおける下端開口部を、フィルタをもって閉塞し、このフィルタにより閉塞された前記弁ケース内に、前記弁孔を開閉するボール弁体を配設し、前記燃料タンク内の燃料がボール弁体に達したとき、前記ボール弁体により前記弁孔を閉止しうるようにする。
【0022】
このような構成とすると、フィルタと弁ケースの下端壁とを一体化して、部品点数の削減を図ることができる。
また、弁ケースの下端に形成した下部開口部を、フィルタによって閉塞することにより、燃料タンク内の燃料の飛沫は、フィルタに衝突して吸収された後、自重によってフィルタから迅速に排出され、燃料タンクに戻される。したがって、燃料タンク内の燃料が、上部連通孔を通って空気室まで達することがないため、燃料が燃料タンク用キャップから外部に漏出することがなくなる。
【0023】
(9)上記(1)〜(7)項のいずれかにおいて、前記フィルタを、側方に移動可能として配設する。
【0024】
このような構成とすると、仮に、フィルタが目詰まりし、或いはフィルタが凍結したとしても、燃料タンク用キャップ内に流入した空気は、フィルタ外周面と弁ケース内周面との隙間を通り、燃料タンク内に確実に供給されるようになる。
【0025】
(10)上記(1)〜(7)項のいずれかにおいて、下壁部に、複数の下部連通孔を放射状に設ける。
【0026】
このような構成とすると、燃料タンク用キャップが、燃料タンクの給油口に斜めに取付けられたとき、複数の下部連通孔の一部が、他の下部連通孔より低い位置に配設される。そのため、仮に、上方の下部連通孔から二次空気室内に燃料が侵入したとしても、この燃料は、重力によって下方の下部連通孔から外部に排出される。したがって、二次空気室内に燃料が滞留することがない。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、燃料タンク内の燃料が、外部に漏出するのを可及的に防止することができるとともに、構造の簡素化を図ることができ、さらに部品を容易に交換することができ、しかも、従来の燃料タンク用キャップにも容易に適用しうるようにした燃料タンク用キャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態1に係る燃料タンク用キャップを、燃料タンクの給油口に取り付けた状態を示す正面図である。
【図2】図に示す燃料タンク用キャップの中央縦断拡大正面図である。
【図3】同じく、底面図である。
【図4】本発明の燃料タンク用キャップの実施形態2の中央縦断正面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】本発明の燃料タンク用キャップの実施形態3の中央縦断正面図である。
【図7】本発明の燃料タンク用キャップの実施形態4の中央縦断正面図である。
【図8】同じく、底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
実施形態1は、請求項1〜4、9および10に記載されている発明の実施形態である。
図1に示すように、実施形態1の燃料タンク用キャップ1は、燃料タンク2の給油口3を開閉するため、給油口3に着脱可能に取り付けられる。
この燃料タンク用キャップ1は、図2に示すように、円形のアウタプレート4の内側に、やや小径の円形のインナプレート5を重合することにより、内外二重壁構造とした倒立有底円筒状のキャップ本体6を備えている。インナプレート5には、同心状のやや小径の凹陥部7が設けられ、これにより、アウタプレート4とインナプレート5との間には、空気室8が形成されている。
【0030】
インナプレート5の凹陥部7の側壁における径方向に対向する箇所には、上下方向を向く凹入溝9、9が設けられ、これにより、空気室8と燃料タンク2の外部とを連通する通気孔9aが形成されている。
【0031】
インナプレート5における凹陥部7の底壁7aの中央部には、ボール弁型逆止弁10における弁ケース10aが、その弁孔11をインナプレート5の凹陥部7の底壁7aの中央に設けた上部連通孔12と連通するようにして設けられている。弁ケース10aの底部外周に形成されている傾斜面には、弁ケース10a内と、その下方の後述する二次空気室13内とを連通する複数の中間連通孔14が穿設されている。弁ケース10a内には、ボール弁体10bが遊嵌されている。このボール弁体10bは、燃料タンク2内の燃料がボール弁体10bに達したとき、弁孔11を閉止しうるようになっている。
【0032】
弁ケース10aには、伸縮性を有するゴム製の有底筒体15が、下方より着脱可能として外嵌されている。この有底筒体15と、インナプレート5における凹陥部7の底壁7aとによって、有底筒体15内を二次空気室13とする上下二重壁構造が構成されている。有底筒体15は、上端開口部を弾性拡径させて弁ケース10aに外嵌され、図3に示すように、締付手段16により弁ケース10aの上から強く締め付けられ、脱落しないようになっている。締付手段16は、1対の把持片16a、16aを、互いに接近させることにより拡径し、把持片16a、16aから手を離すと、縮径して有底筒体15を締め付けるようにした、公知のホースクリップとすることができる。
【0033】
図2および図3に示すように、有底筒体15における筒部15aの下端部外周から底壁15bの外周部にかけての部分に、上部連通孔12の中心線の延長線に対して交差する方向を向く、複数の下部連通孔17が放射状に設けられている。
【0034】
二次空気室13内には、フィルタ18が側方に移動可能として配設されている。すなわち、フィルタ18の外周面と有底筒体15の内周面との間には、常時、隙間ができるようになっている。これにより、フィルタ18が目詰まりしたり、或いは凍結しても、有底筒体15内に、弁孔11から下部連通孔17まで連通する空気の通路を確保することができる。
【0035】
フィルタ18は、その内部に侵入した燃料が、表面張力によって滞留しないようにするため、過小なメッシュのものを避け、適切なメッシュのものを選定する。例えば、燃料が軽油の場合は、フィルタ18のメッシュを、1〜1.5mmとするのが好ましい。
【0036】
また、フィルタ18の素材は、面状壁のスポンジ状のものではなく、線状壁の三次元網目構造とし、さらに、押圧により縮小可能なものとすることにより、簡単に交換することができるようにするのが好ましい。
【0037】
キャップ本体6の外周部6aと、凹陥部7の外側面との間における凹溝の上面には、環状のパッキン19が嵌着されている。凹陥部7の下面には、図3に示すように、凹陥部7の外周面より外方に突出する3個の係合爪20aを有する爪板20が、リベットによって固着されている。この爪板20は、キャップ本体6を燃料タンク2の給油口3に装着した際の外れ止めとなるものである。図2に示すように、爪板20の中央部における嵌合孔21は、弁ケース10aの上部に嵌合されている。
【0038】
実施形態1の燃料タンク用キャップ1においては、課題を解決するための手段の欄の段落0008、0010、0012、0014、0024、および0026に記載されている効果を奏することができる。
【0039】
特に、実施形態1の燃料タンク用キャップ1においては、燃料タンク用キャップ1にボール弁型逆止弁10を設け、その弁ケース10aに有底筒体15を嵌め込み、有底筒体15内にフィルタ18を配設するだけで、燃料タンク用キャップ1からの燃料の漏出を可及的に減少させることができる。
【0040】
例えば、既設の燃料用タンクにボール弁型逆止弁が設けられている場合には、その弁ケース10aに有底筒体15を嵌め込み、その中にフィルタ18を挿入するだけで、本発明の燃料タンク用キャップ1とすることができる。
【0041】
(実施形態2)
実施形態2は、請求項1、5、9および10に記載されている発明の実施形態である。
図4および図5は、本発明の実施形態2の燃料タンク用キャップ22を示す。なお、実施形態1と同様の部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
この燃料タンク用キャップ22は、実施形態1の燃料タンク用キャップ1に対して、有底筒体15を省略し、インナプレート5と弁ケース10aによって上下二重壁構造を構成した点と、弁ケース10a内にフィルタ18を配設した点とが、主として相違する。
【0042】
すなわち、凹陥部7の底壁7aを上壁部とするとともに、弁ケース10aの底壁10cを下壁部とする上下二重壁構造が構成され、弁ケース10a内に二次空気室13が形成されている。
また、図5に示すように、弁ケース10aの筒部の下端部外周に、上部連通孔12の中心線の延長線に対して直交する方向を向く、複数の下部連通孔17が放射状に設けられている。
【0043】
弁ケース10aの底壁10cは、弁ケース10aに着脱可能として取付け、底壁10cを弁ケース10aから外すことにより、フィルタ18を交換することができるようにするのが望ましい。
【0044】
実施形態2の燃料タンク用キャップ22においては、課題を解決するための手段の欄の段落0008、0016、0024、および0026に記載されている効果を奏することができる。
【0045】
(実施形態3)
実施形態3は、請求項1、6、7、9および10に記載されている発明の実施形態である。
図6は、本発明の実施形態3の燃料タンク用キャップ23を示す。この燃料タンク用キャップ23は、実施形態2の燃料タンク用キャップ22に対して、弁ケース10aの下端に開口部24を設けた点、弁ケース10a内にフィルタ25を挿入するとともに、フィルタ25の下部における拡径部25aを、弁ケースaの下端面に交換可能に止着したことにより、開口部24をフィルタ25によって閉塞した点が、主として相違する。
【0046】
なお、フィルタ25は、弁ケース10aの二次空気室13内に、接着、圧入、はめ込み等によって着脱可能となるように止着し、交換や洗滌が可能となるようにするのが好ましい。
【0047】
実施形態3の燃料タンク用キャップ23においては、課題を解決するための手段の欄の段落0008、0018、0020、0024、および0026に記載されている効果を奏することができる。
【0048】
(実施形態4)
実施形態4は、請求項1、および8に記載されている発明の実施形態である。
図7は、本発明の実施形態4の燃料タンク用キャップ26を示す。この形態4は、実施形態1の燃料タンク用キャップ1に対して、ボール弁型逆止弁10を用いることなく、インナプレート5と爪板20とによって、上下二重壁構造を構成している点が、主として相違する。
【0049】
すなわち、この燃料タンク用キャップ26においては、インナプレート5における凹陥部7の中央部に、上向き凹部27が形成され、この上向き凹部27の上壁部27bに、上部連通孔12が設けられている。上向き凹部27における下端開口縁27aの一部には、外下方を向く複数の放射状の傾斜凹溝28が設けられている。
【0050】
図8に示すように、上向き凹部27の下端開口縁27aと、傾斜凹溝28の下端開口の一部とが、爪板20の中央部に一体的に形成された閉塞板29をもって閉塞されることにより、図7に示すように、上向き凹部27と爪板20とによって囲まれた空間が、二次空気室13となる上下二重壁構造が構成されている。また、閉塞板29によって閉塞されていない傾斜凹溝28の下端開口により、下部連通孔17が形成されている。上向き凹部27内には、フィルタ18が配設されている。
【0051】
なお、閉塞板29には点検孔30が設けられ、二次空気室13内のフィルタ18を縮小させることにより、点検孔30から取り出すことができるようになされている。
【0052】
実施形態4の燃料タンク用キャップ26においては、課題を解決するための手段の欄の段落0008、および0022に記載されている効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 燃料タンク用キャップ
2 燃料タンク
3 給油口
4 アウタプレート
5 インナプレート
6 キャップ本体
6a 外周部
7 凹陥部
7a 底壁
8 空気室
9 凹入溝
9a 通気孔
10 ボール弁型逆止弁
10a 弁ケース
10b ボール弁体
10c 底壁
11 弁孔
12 上部連通孔
13 二次空気室
14 中間連通孔
15 有底筒体
15a 筒部
15b 底壁
15c 下壁部
16 締付手段
16a 挾持片
17 下部連通孔
18 フィルタ
19 パッキン
20 爪板
20a 係合爪
21 嵌合孔
22 燃料タンク用キャップ
23 燃料タンク用キャップ
24 開口部
25 フィルタ
25a 拡径部
26 燃料タンク用キャップ
27 上向凹部
27a 下端開口縁
27b 上壁部
28 傾斜凹溝
29 閉塞板
30 点検孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク(2)の給油口(3)を開閉するキャップ(3)であって、アウタプレート(4)とインナプレート(5)とを重合することにより、内外二重壁構造の倒立有底筒状のキャップ本体(6)を構成し、前記アウタプレート(4)とインナプレート(5)との間に、インナプレート(5)の中央部に設けた凹陥部(7)によって形成される空気室(8)と、インナプレート(5)の凹陥部(7)から半径方向外向きに延出する凹溝によって形成され、かつ前記空気室(8)と燃料タンク(2)の外部とを連通する通気孔(9a)とを設け、前記インナプレート(5)の凹陥部(7)の中央部を、中間部に二次空気室(13)を有する上下二重壁構造とし、その上壁(7a)の中央に前記空気室(8)に連通する上部連通孔(12)を設け、下壁(10c)、(15b)には、前記上部連通孔(11)、(12)の中心線の延長線に対して交差する方向を向く下部連通孔(17)を設け、前記二次空気室(13)内には、フィルタ(18)を配設したことを特徴とする燃料タンク用キャップ。
【請求項2】
前記インナプレート(5)の凹陥部(7)の中央部下面に、ボール弁型逆止弁(10)における弁ケース(10a)を、その弁孔(11)が前記インナプレート(5)の凹陥部(7)の底壁に設けた上部連通孔(12)と連通するようにして設け、前記インナプレート(5)の凹陥部(7)の底壁(7a)と前記弁ケース(10a)に下方より着脱可能として外嵌した有底筒体(15)とによって、前記有底筒体(15)内を二次空気室とする上下二重壁構造を構成し、前記有底筒体(15)における筒部の下端部外周から底壁(15b)の外周部にかけての部分に下部連通孔(17)を設け、前記有底筒体(15)内における底壁(15b)と前記弁ケース(10a)の下端面との間にフィルタ(18)を配設し、かつ前記弁ケース(10a)の下部に、弁ケース(10a)内とその下方の二次空気室(13)内とを連通する中間連通孔(14)を設け、前記燃料タンク(2)内の燃料がボール弁体(10b)に達したとき、前記ボール弁体(10b)により前記弁孔(11)を閉止しうるようにした請求項1記載の燃料タンク用キャップ。
【請求項3】
前記有底筒体(15)を伸縮性の材料により形成し、上端開口部を弾性拡径させて弁ケース(10a)に外嵌した請求項2記載の燃料タンク用キャップ。
【請求項4】
前記有底筒体(15)の上部における弁ケース(10a)に外嵌した部分を、締付手段(16)により外側から締着した請求項3記載の燃料タンク用キャップ。
【請求項5】
前記インナプレート(5)の凹陥部(7)の中央部下面に、ボール弁型逆止弁(10)における弁ケース(10a)を、その弁孔(11)が前記インナプレート(5)の凹陥部(7)の底壁(7a)に設けた上部連通孔(12)と連通するようにして設け、前記インナプレート(5)の凹陥部(7)の底壁(7a)と前記弁ケース(10a)とによって、前記弁ケース(10a)内を二次空気室(13)とし、かつ前記弁ケース(10a)の底壁を下壁部とする上下二重壁構造を構成し、前記弁ケース(10a)の筒部の下端部外周から底壁(10c)の外周部にかけての部分に下部連通孔(17)を設け、前記弁ケース(10a)内の底部にフィルタ(18)を、さらにその上方に前記弁孔(11)を開閉するボール弁体(10b)を配設し、前記燃料タンク(2)内の燃料が前記弁ケース(10a)内のボール弁体(10b)に達したとき、前記ボール弁体(10b)により前記弁孔(11)を閉止しうるようにした請求項1記載の燃料タンク用キャップ。
【請求項6】
前記インナプレート(5)の凹陥部(7)の中央部に上向き凹部(27)を形成し、この上向き凹部(27)の上壁部に上部連通孔(12)を設け、前記上向き凹部(27)の下端開口縁(27a)の一部に、外下方を向く傾斜凹溝(28)を設け、前記上向き凹部(27)の下端開口と傾斜凹溝(28)の下端開口の一部とを閉塞板(29)をもって閉塞することにより、前記上向き凹部(27)と閉塞板(28)とによって囲まれた空間を二次空気室(13)とする上下二重壁構造を構成し、前記閉塞板(29)によって閉塞されていない傾斜凹溝の下端開口により前記下部連通孔(17)を形成し、前記上向き凹部(27)内にフィルタ(18)を配設したことを特徴とする請求項1記載の燃料タンク用キャップ。
【請求項7】
前記閉塞板(29)を、前記インナプレート(5)の凹陥部(7)の下面に固着され、かつ前記凹陥部(7)の外周面より外方に突出する複数の係合爪(20a)を有する爪板(20)と一体的に形成した請求項6記載の燃料タンク用キャップ。
【請求項8】
燃料タンク(2)の給油口(3)を開閉するキャップ(1)であって、アウタプレート(4)とインナプレート(5)とを重合することにより、内外二重壁構造の倒立有底筒状のキャップ本体(6)を構成し、前記アウタプレート(4)とインナプレート(5)との間に、インナプレート(5)の中央部に設けた凹陥部(7)によって形成される空気室(8)と、インナプレート(5)の凹陥部(7)から半径方向外向きに延出する凹溝によって形成され、かつ前記空気室(8)と燃料タンク(2)の外部とを連通する通気孔(9a)とを設け、前記インナプレート(5)の凹陥部(7)の中央部下面に、ボール弁型逆止弁(10)における下端が開口する弁ケース(10a)を、その弁孔(11)が前記インナプレート(5)の凹陥部(7)の底壁(7a)に設けた連通孔(12)と連通するようにして設け、前記弁ケース(10a)における下端開口部(24)を、フィルタ(25)をもって閉塞し、このフィルタ(25)により閉塞された前記弁ケース(10a)内に、前記弁孔(11)を開閉するボール弁体(10b)を配設し、前記燃料タンク(2)内の燃料がボール弁体(10b)に達したとき、前記ボール弁体(10b)により前記弁孔(11)を閉止しうるようにしたことを特徴とする燃料タンク用キャップ。
【請求項9】
前記フィルタ(18)を、側方に移動可能として配設した請求項1〜7のいずれかに記載の燃料タンク用キャップ。
【請求項10】
下壁部(15b)、(10c)、(29)に、複数の下部連通孔(17)を放射状に設けた請求項1〜7のいずれかに記載の燃料タンク用キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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