説明

燃料ノズルスプリングサポート

【課題】タービン燃焼器のキャップアセンブリ内で燃料ノズルを配置するために使用される燃料ノズルスプリングサポートシステムを提供する。
【解決手段】燃料ノズルスプリングサポートシステム100は、燃料ノズル60と、キャップアセンブリ65と、燃料ノズル60とキャップアセンブリ65の間に配置されたスプリングサポート110とを含む。本燃料ノズルスプリングサポートシステム100は、大規模な機器取替または莫大な変更費用を要することなく、燃料ノズルの固有振動数を好適に低下または変化させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してガスタービンエンジンに関し、より詳細には、タービン燃焼器のキャップアセンブリ内で燃料ノズルを配置するために使用されるスプリングサポートに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、概して様々な構成で内部に配置された複数の燃料ノズルを有する燃焼器を含む。例えば、ニューヨーク州スケネクタディのゼネラル・エレクトリック・カンパニーによって提供されるDLN2.6+(「乾式低NOx」)燃焼システムは、5つの外側燃料ノズルによって取り囲まれた中央燃料ノズルを有する6つの燃料ノズル構造を備えている。そのような燃焼システムは、反応又は燃焼帯に侵入する前に1つ以上の燃料流及び空気流を混合する。そのような予混合は、全体的な燃焼温度を下げるのみならず、窒素酸化物(NOx)等の望ましくない排出物を減らす傾向がある。
【0003】
周知のように、燃料ノズルは、概してフランジ上に取り付けられた多数の燃料及び空気管を含む。DLN2.6+燃焼システムでは、燃料ノズルはやや片持ち式でキャップアセンブリ内に配置される。しかしながら、片持ち構造と中央燃料ノズルの固有振動数との組み合わせはやや高い振幅共鳴を引き起こし、フランジと1つの外側予混合管の間のブレイズド接合に関する問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,082,766B1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
燃料ノズル及びキャップアセンブリの設計は、接合に関する問題を取り除くように修正することはできるが、現場には現在動作中の機器が相当数ある。従って、高い振幅共鳴に関して生じる可能性があるあらゆる問題を避けるために、中央燃料管の固有振動数を低下又は少なくとも変化させるシステム及び方法に対する要求がある。このシステム及び方法は、大規模な機器取替又は莫大な変更費用を要することなく、燃料ノズルの固有振動数を好適に低下又は変化させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は、燃料ノズルスプリングサポートシステムを提供する。燃料ノズルスプリングサポートシステムは、燃料ノズルと、キャップアセンブリと、燃料ノズルとキャップアセンブリの間に配置されたスプリングサポートとを含む。
【0007】
本発明は更に、燃料ノズル及びキャップアセンブリを有する燃焼器の運転方法を提供する。方法は、燃料ノズルの固有振動数を変更するためにスプリングサポートの大きさを設定するステップと、燃料ノズルとキャップアセンブリの間にスプリングサポートを配置するステップと、燃料ノズルを変更した固有振動数で作動させるステップとを含む。
【0008】
本発明は、更なる燃料ノズルスプリングサポートシステムを提供する。燃料ノズルスプリングサポートシステムは、燃料ノズルと、キャップアセンブリと、燃料ノズルとキャップアセンブリの間に配置されたスプリングサポートとを含む。スプリングサポートは、フラシール(hula seal)及びカラーを含む。
【0009】
本発明の上記及びその他の特徴は、図面及び添付の特許請求の範囲を参照しながら以下の詳細な説明を検討することで当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ガスタービンエンジンの概略図である。
【図2】周知の燃料ノズル及びキャップアセンブリの斜視図である。
【図3】図2の燃料ノズル及びキャップアセンブリの側断面図である。
【図4】図2の燃料ノズルの機械加工リング及びキャップアセンブリの浮遊カラーの側断面図である。
【図5】本明細書に記載の燃料ノズルスプリングサポートの斜視図である。
【図6】燃料ノズル及びキャップアセンブリを有する本明細書に記載の燃料ノズルスプリングサポートシステムの斜視図である。
【図7】図6の燃料ノズルの機械加工リング、スプリングサポート、及びキャップアセンブリの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面全体を通して同様の参照番号が同様の要素を示す図面を参照すると、図1はガスタービンエンジン10の概略図を示す。周知のように、ガスタービンエンジン10は流入空気流を圧縮するための圧縮機20を含む。圧縮機20は、圧縮空気流を燃焼器30に供給する。燃焼器30は、圧縮空気流を圧縮燃料流と混合して、混合物に点火する。(単一の燃焼器30が示されているが、ガスタービンエンジン10は任意の数の燃焼器30を含んで良い。)更に、高温燃焼ガスがタービン40に供給される。高温燃焼ガスは、機械仕事を発生するようにタービン40を駆動する。タービン40によって発生した機械仕事は、圧縮機20と、例えば発電機等の外部負荷50とを駆動する。ガスタービンエンジン10は、天然ガス、様々な種類の合成ガス、及びその他の種類の燃料を使用することができる。ガスタービンエンジン10は、本明細書において、その他の構造を有しても良く、その他の種類の部品を使用しても良い。
【0012】
図2〜4は、既存の燃料ノズル60を示す。具体的には、9FBA中央燃料ノズル60を示す。燃料ノズル60は、キャップアセンブリ65内に配置される。キャップアセンブリ65は、DLN2.6+燃焼システムの一部であり得る。図示するように、DLN2.6+燃焼システムは、1つのノズルの周囲に5つのノズルがある構造を使用している。具体的には、ノズル60は、燃料ノズル60上の機械加工リング75に沿って浮かんでいる浮遊カラー70を介してキャップアセンブリ65内に保持される。9FBA中央燃料ノズル60は、3/revロータ速度に対してほぼゼロマージンで動作する。上述の通り、高い振幅共鳴によって、フランジ80と燃料ノズル60の外側予混合管85の間で問題が生じていた。
【0013】
図5〜7は、本明細書に記載の燃料ノズルスプリングサポートシステム100を示す。燃料ノズルスプリングサポートシステム100は、燃料ノズル60とキャップアセンブリ65の間に配置されたスプリングサポート110を含む。図5に示すように、スプリングサポート110は、外側カラー130内に配置されたフラシール120を含む。例えば、所有者が共通の米国特許第6,334,310号に記載されているように、フラシール120は、円形ループ状に形成されたリーフスプリングのシステムとして定義される。フラシール120は、概して2つの同心ダクト間の滑り界面接合又は環状キャップを封止するために使用される。
【0014】
フラシール120は、燃料ノズルスプリングサポートシステム100に対してスプリング剛性及び減衰を提供する。図6及び7に示すように、フラシール120は、浮遊カラー70を使用する代わりに燃料ノズル60の機械加工リング75に対して配置することができる。フラシール120は、360度全周で燃料ノズル60を支持する。スプリングサポート110は、内部で多数のフラシール120を使用することができる。剛性を提供することに加えて、フラシール120における摩擦損失によって機械的減衰を提供して振幅を減少させることができる。
【0015】
従って、燃料ノズル60の中央部でフラシール120を使用することにより、ノズル60の固有振動数を増大させることができる。具体的には、フラシール120は、ノズル60の第1固有振動数を約150Hzから約230Hz以上に上昇させることができる。利用可能空間に基づいて、フラシール120は固有振動数を約4倍以上に増大させることができる。フラシール120とシールの剛性は、燃料ノズルの固有振動数を所望範囲に移動させるように大きさを設定しても良い。フラシール120は、好ましくは約70klb/inの剛性を有し、約30klb/inから約150klb/inを上回る範囲に及んでも良い。フラシール120は、インコネルX750(約700℃(華氏1290度)の高温でのクリープ破壊強度を有する、アルミニウム及びチタンを添加することによって析出硬化されたニッケルクロム合金)又は同様の種類の材料で作ることができる。
【0016】
従って、スプリングサポート110を使用することにより、中央燃料ノズル60及びキャップアセンブリ65の費用のかかる改良が回避される。更に、スプリングサポート110を使用することにより、現場で改良することができる。スプリングサポート110は更に、燃料ノズル60の有効寿命を増加させることができる。
【0017】
上述の内容は本発明の特定の実施形態のみに関連していること、また以下の特許請求の範囲及びその等価物によって規定される本発明の一般的な技術的思想及び技術的範囲から逸脱することなく、当業者が本明細書において多くの変更及び修正を行うことができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0018】
10 ガスタービンエンジン
20 圧縮機
30 燃焼器
40 タービン
50 外部負荷
60 燃料ノズル
65 キャップアセンブリ
70 浮遊カラー
75 機械加工リング
80 フランジ
85 予混合管
100 燃料ノズルスプリングサポートシステム
110 スプリングサポート
120 フラシール
130 カラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ノズル(60)と、
キャップアセンブリ(65)と、
前記燃料ノズル(60)と前記キャップアセンブリ(65)の間に配置されたスプリングサポート(110)とを備える、燃料ノズルスプリングサポートシステム(100)。
【請求項2】
前記スプリングサポート(110)はフラシール(120)を備える、請求項1に記載の燃料ノズルスプリングサポートシステム(100)。
【請求項3】
前記スプリングサポート(110)は前記フラシール(120)を取り囲むカラー(130)を備える、請求項2に記載の燃料ノズルスプリングサポートシステム(100)。
【請求項4】
前記フラシール(120)は前記燃料ノズル(60)を取り囲む、請求項2に記載の燃料ノズルスプリングサポートシステム(100)。
【請求項5】
前記フラシール(120)は約30〜150klb/inを上回る剛性を有する、請求項2に記載の燃料ノズルスプリングサポートシステム(100)。
【請求項6】
前記フラシール(120)はニッケルクロム合金を含む、請求項2に記載の燃料ノズルスプリングサポートシステム(100)。
【請求項7】
前記フラシール(120)は複数のフラシール(120)からなる、請求項2に記載の燃料ノズルスプリングサポートシステム(100)。
【請求項8】
前記燃料ノズル(60)はその周囲にリング(75)を備え、前記スプリングサポート(110)は前記リング(75)の周囲に配置される、請求項1に記載の燃料ノズルスプリングサポートシステム(100)。
【請求項9】
前記燃料ノズル(60)の固有振動数は、前記スプリングサポート(110)がその上に配置されている場合は約230Hzを上回る、請求項1に記載の燃料ノズルスプリングサポートシステム(100)。
【請求項10】
燃料ノズル(60)及びキャップアセンブリ(65)を有する燃焼器(30)の運転方法であって、
前記燃料ノズル(60)の固有振動数を変更するためにスプリングサポート(110)の大きさを設定するステップと、
前記燃料ノズル(60)と前記キャップアセンブリ(65)の間に前記スプリングサポート(110)を配置するステップと、
前記燃料ノズル(60)を前記変更した固有振動数で作動させるステップとを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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