説明

燃料供給ユニット

【課題】大規模災害等が発生した場合でも、被災地等、車輌への燃料油の確保が困難な地域に対して必要な燃料油を供給することのできる燃料供給ユニットを提供する。
【解決手段】燃料油を貯留する貯蔵タンク2と、貯蔵タンク2に貯留した燃料油を供給する給油装置3とを移動用の架台4上に配設した燃料供給ユニット1。貯蔵タンク2と給油装置3とを配設した架台4を移動させ、大規模災害等が発生し、道路が寸断された地域でも燃料油の供給が可能となり、緊急車輌や重機による迅速な復旧作業を行うことができる。給油装置3は、貯蔵タンク2内の燃料油により駆動するエンジン式発電機によって作動することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料供給ユニットに関し、特に、大規模災害等が発生した場合に、被災地等の車輌へ燃料油を供給する燃料供給ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃料油を供給する給油所では、複数の地下タンクが埋設され、これらの地下タンク内にガソリン、軽油、灯油等の燃料油を貯留している。この地下タンクには給油管が設けられ、上端のマンホールピットで横引き配管に接続される。横引き配管は、マンホールピットより導出して給油所の各給油装置に接続され、ハウジング本体内に配設される配管途中に設けられた給油機構を介し、給油ホースの先端に設けた給油ノズルによって車輌へ燃料油が供給される。
【0003】
ところで、地震等の災害が生じた場合、前記給油管は地下タンクとの接続部分で大きな力が作用して変形して亀裂が生じ、給油装置での給油が不可能になるおそれがある。
【0004】
そこで、本出願人は、災害発生時等に、緊急車輌にガソリン等の燃料油を供給する可搬式給油装置として、地下タンク内の燃料油を供給することのできる可搬式給油装置を提案した(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−17099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の可搬式給油装置は、地震等の災害時に給油装置での給油が不可能であっても、地下タンク内の燃料油を供給することができて有効に機能するが、大規模災害が起こった時には、道路が寸断されて給油所への進入そのものが不可能となったり、給油者の被害が大きく、地下タンクが破損して車輌等への給油が困難となる不都合があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、大規模災害等が発生した場合でも、被災地等、車輌への燃料油の確保が困難な地域に対して必要な燃料油を供給することのできる燃料供給ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、燃料供給ユニットであって、燃料油を貯留する貯蔵タンクと、該貯蔵タンクに貯留した燃料油を供給する給油装置とを移動用の架台上に配設したことを特徴とする。
【0009】
そして、本発明によれば、貯蔵タンクと給油装置とを配設した架台を移動させることができるため、大規模災害等が発生し、道路が寸断された地域でも燃料油の供給が可能となり、緊急車輌や重機による迅速な復旧作業を行うことができる。
【0010】
上記燃料供給ユニットにおいて、前記給油装置は、前記貯蔵タンク内の燃料油により駆動するエンジン式発電機によって作動することができる。これによって、給油装置の駆動源に燃料油を補給する手間が不要となり、より使い勝手のよい燃料供給ユニットを提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、大規模災害等が発生した場合でも、被災地等、車輌への燃料油の確保が困難な地域に対して必要な燃料油を供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明にかかる燃料供給ユニットの一実施の形態を示す斜視図であって、(a)は燃料供給ユニットの全体を示し、(b)は(a)のA部拡大図である。
【図2】図1の燃料供給ユニットを図1とは異なる方向から見た場合の斜視図であって、(a)は燃料供給ユニットの全体を示し、(b)は(a)のB部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1及び図2は、本発明にかかる燃料供給ユニットの一実施の形態を示し、この燃料供給ユニット1は、大別して、燃料油を貯留する貯蔵タンク2と、貯蔵タンク2に貯留した燃料油を供給する給油装置3と、貯蔵タンク2及び給油装置3を配設して移動可能な架台4とで構成される。
【0015】
貯蔵タンク2は、2種以上の燃料油を内部に貯留可能なように内部に仕切壁(不図示)を備え、各々のハッチへ燃料油を供給するための給油口7、8と、貯留した燃料油のレベルを手動で計測するための検尺棒9、10と、残油量を表示するフロート式残油計11、12を備える。
【0016】
給油装置3は、貯蔵タンク2に貯留した燃料油を2台の車輌に同時に給油可能に設けられ、2本の給油ホース14、15と、給油ホース14、15の各々の先端に装着された給油ノズル16、17等を備える。給油ホース14、15は、給油範囲を拡大するため、長く延ばすことができる。給油装置3と貯蔵タンク2との間には、燃料油のべーパーの侵入を防止するため、隔壁25が設けられる。
【0017】
給油装置3を運転するため、大容量バッテリー18が設けられ、大容量バッテリー18に蓄える電気を発生させるため、貯蔵タンク2内の燃料油を用いて発電するエンジン式発電機19が設けられる。これら大容量バッテリー18及びエンジン式発電機19には、安全性を考慮し、給油装置3から約5m以上の距離を開けて設置することができるように、延長可能な電源ケーブル28と、燃料ライン29が付設される。また、大容量バッテリー18及びエンジン式発電機19と、貯蔵タンク2との間にも、燃料油のべーパーの侵入を防止するため、隔壁26が設けられる。
【0018】
架台4は、貯蔵タンク2、給油装置3、大容量バッテリー18、エンジン式発電機19等を床4aに載置して移動可能なように強固なフレーム構造を備え、上部の四隅には、燃料供給ユニット1全体をヘリコプター等で吊り下げ可能なようにフック21〜24を備える。
【0019】
次に、上記構成を有する燃料供給ユニット1の使用方法について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0020】
地震等の災害時に、貯蔵タンク2の内部の各ハッチに、レギュラーガソリンと灯油を貯留する。これは、緊急時には、ハイオクタンガソリンはレギュラーガソリンで、軽油は灯油で代用可能であるためである。尚、貯蔵タンク2の内部の各ハッチに、ハイオクタンガソリンと軽油を貯留してもよい。各ハッチに貯留したレギュラーガソリン等のレベルは、検尺棒9、10やフロート式残油計11、12で確認することができる。
【0021】
次に、燃料供給ユニット1をトラックの荷台に積載したり、大規模災害等が発生して道路網が寸断されている場合には、フック21〜24を利用してヘリコプターで燃料供給ユニット1を吊り下げて被災地まで搬送する。
【0022】
被災地に到着後、電源ケーブル28及び燃料ライン29を延伸させ、大容量バッテリー18及びエンジン式発電機19を給油装置3から約5m以上の距離を開けた安全な場所に設置する。次に、貯蔵タンク2に貯留したレギュラーガソリン等を用いてエンジン式発電機19で発電して大容量バッテリー18に充電し、給油装置3を運転可能な状態とし、給油装置3から車輌へ燃料油を供給する。
【0023】
尚、上記実施の形態においては、給油装置3を大容量バッテリー18を用いて駆動したが、給油装置3の内部の防爆エリア(地上60cm以上の上部ハウジング内)に内蔵バッテリーを設けて駆動してもよい。
【0024】
また、上記燃料供給ユニット1は、広範囲に及ぶ災害を考慮し、全国に点在して保管するようにし、有事の際は、被害を受けなかった地域に保管してあるものを適宜被災地に搬送して使用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 燃料供給ユニット
2 貯蔵タンク
3 給油装置
4 架台
4a 床
7、8 給油口
9、10 検尺棒
11、12 フロート式残油計
14、15 給油ホース
16、17 給油ノズル
18 大容量バッテリー
19 エンジン式発電機
21〜24 フック
25、26 隔壁
28 電源ケーブル
29 燃料ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料油を貯留する貯蔵タンクと、
該貯蔵タンクに貯留した燃料油を供給する給油装置とを移動用の架台上に配設したことを特徴とする燃料供給ユニット。
【請求項2】
前記給油装置は、前記貯蔵タンク内の燃料油により駆動するエンジン式発電機によって作動することを特徴とする請求項1に記載の燃料供給ユニット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−18541(P2013−18541A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155803(P2011−155803)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000151346)株式会社タツノ (167)
【Fターム(参考)】