説明

燃料給油装置

【課題】燃料キャップが螺合されるリテーナ周辺の外径を大きくせず、金属製のガン案内部材を有した簡単な構成の燃料給油装置を提供する。
【解決手段】
燃料給油装置10は、フィラーネック20と、燃料キャップFCが脱着するリテーナ30と、フィラーネック20内に配置され、給油ガンのノズルを案内する金属製のガン案内部材50と有する。金属製のガン案内部材50の導入孔53から外径方向突出されている被保持部55が、フィラーネック20の開口部24と、リテーナ30の拡径部35で軸方向において挟持されることにより、ガン案内部材50が組みつけられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料給油装置に関し、詳しくは燃料キャップがねじ込み装着されるリテーナと給油ガンを案内するガン案内部材とを有する燃料給油装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料給油装置は、燃料タンクへ燃料を導く燃料パイプが繋がっており、給油ガンが挿入される箇所の装置である。燃料給油時以外は、通常、燃料キャップで燃料給油装置のリテーナに螺合されている。
【0003】
現在、燃料給油装置も質量の削減と形状の自由度の向上から、金属製から樹脂製にすることが主流となってきている。しかし、給油ガンのノズル部は金属製であるため、燃料給油装置も給油ガンと接触するリテーナおよびガン案内部材は、金属製である。その場合、樹脂製のフィラーネック本体の開口にリテーナが折り曲げて、組み付けられている。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−80959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、フィラーネックの開口を挟むようにリテーナが折り曲げられて組みつけられている場合、従来の燃料キャップを螺合するためには、リテーナの内径部分は小さくできないため、フィラーネックの肉厚の分、燃料キャップの螺合部であるリテーナ周辺の外径が大きくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記の課題を踏まえ、燃料キャップが螺合されるリテーナ周辺の外径を大きくせず、金属製のガン案内部材を有した簡単な構成の燃料給油装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
車両の給油口に取り付けられる燃料給油装置であって、
燃料タンクへ連通する流入路を形成するフィラーネックと、
上記流入路に連続して通路を形成するように上記フィラーネックの車外側の開口部に直列に配置され、燃料キャップがねじ込み装着されるキャップ装着部と、該キャップ装着部の外周に拡径した拡径部と、該拡径部から該キャップ装着部と連続して形成されている上記フィラーネックに外挿される筒状の接続部とからなるリテーナと、
上記フィラーネック内に挿入される円筒のガン案内部材本体と、上記拡径部と上記開口部とで上記フィラーネックの軸方向に挟持される被保持部とからなる金属製のガン案内部材を備える、ことを特徴とする。
【0008】
上記構成の燃料給油装置において、金属製のガン案内部材の被保持部が、フィラーネックの開口部とリテーナの拡径部とで挟持されることで、特にフィラーネック本体の軸方向で確実に組みつけられる。また、フィラーネックの流入路に連続して通路を形成するように直列にリテーナのキャップ装着部が配置されることで、キャップ装着部だけとなり、外径方向に厚みをとらないため、給油口周辺を省スペースとすることができる。
【0009】
また、上記した燃料給油装置は、開口部の上面に凹所を備え、被保持部は、ガン案内部材本体の車外側に向いている導入孔から外周方向に突設して凹所に収納されている構成にすることができる。
【0010】
上記の構成において、被保持部が凹所内に収まることで、径方向にもガン案内部材の移動を規制でき、より確実にガン案内部材を組み付けることができる。また、軸方向において被保持部は、フィラーネックの開口部よりも突出していないため、リテーナの拡径部とも被保持部とフィラーネックの開口部により面当たりするため、確実に組みつけられ、局地的に応力集中をさけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、燃料給油装置が燃料タンクに組付けられている概略構成図である。
【図2】図2は、燃料給油装置の断面図である。
【図3】図3は、燃料給油装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0013】
(1)燃料給油装置の概略構成
図1は、燃料給油装置10が燃料タンクFTに組付けられている概略構成図である。燃料給油装置10は、車外から燃料を燃料タンクFTに供給する燃料供給通路10Pを形成するように、フィラーネック20と、樹脂製の燃料パイプ60と、タンク接続部材70によって、主に構成されている。
【0014】
(2)各部の構成
フィラーネック20の車外側には、燃料キャップFCが螺合され装着されるためのリテーナ30が組みつけられている。燃料を車外から燃料タンクFTに供給する場合は、燃料キャップFCを取り外し、リテーナ30に給油ガンのノズルを給油可能となる位置まで挿入して、燃料を供給する。この場合に、フィラーネック20の内周側に配置されたガン案内部材50に給油ガンのノズルがあたりながら案内される。
【0015】
図2は、燃料給油装置の断面図である。図3は、燃料給油装置の分解斜視図である。フィラーネック20は、樹脂製のフィラーネック本体21と燃料パイプ60と接合する管接続部22とからなり、流入路23を形成している。車外側の開口部24には複数の凹所25が形成されている。外周側には環状溝26が形成されている。管接続部22は、開口部24の逆側であって、フィラーネック本体21よりも縮径しており流出孔27を形成している。管接続部22の外周は、燃料パイプ60の圧入方向にかけ拡径しており、車外側は略直角となっている環状突部28が複数形成されている。この環状突部28により燃料パイプ60の引抜を防止し結合している。
【0016】
リテーナ30は、キャップ装着部31と接続部36とで構成されている。キャップ装着部31は、給油ガンのノズルが入る注入孔32を形成する注入部33を形成している。注入部33の内周には、燃料キャップFCが脱着できるよう雄ねじ部34が形成されている。注入部33から外周方向へ拡径している拡径部35が連続して形成されており、さらに、拡径部35から、軸方向に円筒に連続して接続部36が形成されている。接続部36は、フィラーネック本体21の環状溝26に収納されるゴム製のOリング40を挟むように開口部24に外装される。
【0017】
ガン案内部材50は、金属製であって、円筒状のガン案内部材本体51と、ガン案内部材本体51から徐々に縮径していく案内部52からなる。ガン案内部材本体51には車外側に向けて導入孔53が形成されており、給油ガンが挿入される。案内部52の開口は燃料給油時に、給油ガンのノズルが保持される導出孔54を形成しており、導出孔54の内径は、導入孔53の外径よりも小さくなっている。
【0018】
導入孔53には、外径方向に複数突設した被保持部55が形成されている。被保持部55は、折り曲げ成形により爪形状に形成されている。被保持部55は、フィラーネック本体21の開口部24に形成された凹所25に対応しており、被保持部55が凹所25に収納されることにより、ガン案内部材50は、フィラーネック本体21の流入路23に配置される。
【0019】
燃料給油装置10の組み付けについては、Oリング40を環状溝26に収納し、ガン案内部材50を組み付けた後に、リテーナ30を外挿されることで組み付ける。組み付け後の構成については、図2に示すとおり、フィラーネック本体21の開口部24は、径方向で外周側からリテーナ30の接続部36、内周側からガン案内部材本体51が組みつけられている。軸方向では、ガン案内部材本体51の被保持部55が、開口部24の凹所25に収納され、開口部24と被保持部55をリテーナ30の拡径部35が当接している。このとき、リテーナ30のキャップ装着部31と開口部24は、軸断面で直列に並んでいる。
【0020】
燃料タンクFTと接続されるタンク接続部材70については、図1に示すとおり、燃料パイプ60と燃料タンクFTの間に位置する。タンク接続部材70は、タンク側接続部71と、フランジ部72と、逆止弁73からなり、燃料供給通路10Pから燃料タンクFT内に連通するように筒状に形成されている。タンク側接続部71は、燃料パイプ60が圧入されることで組みつけられている。フランジ部72は、燃料タンクFTの内部につながる開口の外壁側に、超音波溶着、熱溶着、レーザ溶着などの手段を用いて溶着されている。
【0021】
逆止弁73は、燃料タンクFTの外壁に溶着されているフランジ部72から燃料タンクFTの開口を通じて内部突出されている。燃料が燃料供給通路10Pから流入されたときには、逆止弁が燃料に押されて燃料タンクFTの内部に流入する。しかし、燃料タンクFTの内の燃料は、燃料給油装置10へ逆流しないように防いでいる。
【0022】
(3)実施例の作用・効果
上記のフィラーネック本体21とリテーナ30とガン案内部材50の組み付け構造において、図2に示すとおり、軸方向で、フィラーネック本体21の開口部24と、リテーナ30の拡径部35が、金属製のガン案内部材50の被保持部55を挟持するため、簡単な構成で確実にガン案内部材50を組み付けることができる。さらに、フィラーネック本体21の開口部24に対してリテーナ30の接続部36が外挿されており、キャップ装着部31は、接続部36より縮径して開口部24と、ほぼ同じ径で、直列に配置されているため、給油口の周辺は、簡単な構成で、省スペースとすることができる。
【0023】
被保持部55は、導入孔53より外径方向に突出して爪形状に形成されており、フィラーネック本体21の開口部24の凹所25に収納されるため、リテーナ30の拡径部35が、開口部24と被保持部55に面当たりするように当接するため、確実に組みつけられ、局地的な応力集中をさけることができる。また、金属製であるため、被保持部55は、簡単に折り曲げることで形成することができる。
【0024】
なお、この発明は、上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【符号の説明】
【0025】
10・・・燃料給油装置
10P・・・燃料供給通路
20・・・フィラーネック
21・・・フィラーネック本体
22・・・管接続部
23・・・流入路
24・・・開口部
25・・・凹所
26・・・環状溝
27・・・流出孔
28・・・環状突部
30・・・リテーナ
31・・・キャップ装着部
32・・・注入孔
33・・・注入部
34・・・雄ねじ部
35・・・拡径部
36・・・接続部
40・・・Oリング
50・・・ガン案内部材
51・・・ガン案内部材本体
52・・・導入部
53・・・導入孔
54・・・導出孔
55・・・被保持部
60・・・燃料パイプ
70・・・タンク接続部材
71・・・タンク側接続部
72・・・フランジ部
73・・・逆止弁
FC・・・燃料キャップ
FT・・・燃料タンク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の給油口に取り付けられる燃料給油装置(10)であって、
燃料タンク(FT)へ連通する流入路(23)を形成するフィラーネック(20)と、
上記流入路(23)に連続して通路を形成するように上記フィラーネック(20)の車外側の開口部(24)に直列に配置され、燃料キャップ(FC)がねじ込み装着されるキャップ装着部(31)と、該キャップ装着部(31)の外周に拡径した拡径部(35)と、該拡径部(35)から該キャップ装着部(31)と連続して形成されている上記フィラーネック(20)に外挿される筒状の接続部(36)とからなるリテーナ(30)と、
上記フィラーネック(20)内に挿入される円筒のガン案内部材本体(51)と、上記拡径部(35)と上記開口部(24)とで上記フィラーネック(20)の軸方向に挟持される被保持部(55)とからなる金属製のガン案内部材(50)を備える
燃料給油装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料給油装置であって、
上記開口部(24)は、上面に凹所(25)を備え、
上記被保持部(55)は、上記ガン案内部材本体(51)の車外側に向いている導入孔(53)から外周方向に突設して上記凹所(23)に収納されている
燃料給油装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−23168(P2013−23168A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162846(P2011−162846)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】