説明

燃料集合体の置き違い事故の分析方法

【課題】少ない分析対象から分析する燃料集合体の置き違い事故の分析方法を提供する。
【解決手段】ステップ11で単一の燃料集合体の置き違いの状況を計算し、ステップ12で各個別の状況に対して炉心全体の燃料消耗を計算し、ステップ13で置き違いの組み合わせに対応する二つの個別の置き違いの限界出力比のマトリックスを検出し、二組のCPRマトリックスを重ね合わせると、一つの置き違いの組み合わせのCPRマトリックスを得ることができ、ステップ14で置き違いの各組み合わせのCPRマトリックスから最小限界出力比の最大変化量を求め、ステップ15で上述の置き違いの組み合わせをMaxDCPRに基づいて数値の大きいものから小さい順に10番目までの置き違いの組み合わせを選び出し、炉心全体の燃料消耗を再度計算して、10個の組み合わせから最大のMaxDCPR値を検出し、最終的な分析結果を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料集合体の置き違い事故の分析方法に関し、特に沸騰水型軽水炉における燃料集合体の置き違いの事故を分析する燃料集合体の置き違い事故の分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所で使用する核燃料は、一定の運転期間を経過すると、次の運転に備えて新しい燃料に交換しなければならない。炉心には数百体もの燃料集合体が設けられている。よって、新しい燃料に交換する場合、複数の燃料集合体を出し入れしなければならない。
【0003】
燃料集合体を置き違えることによって事故が発生する確率は低い。しかしながら、一度事故が発生すると、原子力発電の安全に重大な影響を与える。よって、原子力発電の安全から言うと、それぞれの燃料レイアウトについていずれも実際に運転する前に燃料集合体の置き違い事故を想定した安全のための分析を行い、原子炉のための分析を行い、原子炉の安全を確実に保ち、燃料集合体の置き違いによる沸騰水型軽水炉の事故発生を防がなければならない。
【0004】
従来の燃料集合体の置き違い事故の分析は、エンジニアの経験に基づき「トライ・アンド・エラー(try−and−error)」という方法で燃料集合体の最も深刻な置き違いの状況を検出していた。しかしながら、該「トライ・アンド・エラー」の分析方法は、分析に多くの人手を必要とするとともに、最も深刻な燃料集合体の置き違いの状況を必ず導き出せるわけではなかった。よって、その後、「簡易選別法(simple filtering method)」、「パラメーター分析法(parameter analysis method)」及びフォークス式検索法(Fawk’s searching method)(アメリカ合衆国特許公報5,790,618号)などを含むその他の分析方法が開発された。
【0005】
該「簡易選別法」は、二次元の炉心分析方法か、もしくはハリング燃料消耗法(Haling principle to analyze)など簡易な炉心の計算方法で、最も深刻な燃料集合体の置き違いの状況を分析し、三次元の炉心分析ツールで比較的正確に分析を行い、最も深刻な燃料集合体の置き違いの状況を求める。
【0006】
「パラメーター分析法」は、最も深刻な燃料集合体の置き違いの状況に関連する物理的なパラメーターを定義した後、それぞれの燃料集合体のパラメーターの値の排列に基づいて最も深刻な燃料集合体の置き違いの状況を決定する。
【0007】
フォークス式検索法は1998年、特許登録した。フォークス式検索法は、スワップバリュー(SwapVariable)によって最も深刻な燃料集合体の置き違いの状況を検索するための範囲を定義する。フォークス式検索法は、初期段階(Initialization Phase)と、検索段階(Search Phase)の2つの段階に分けることができる。
【0008】
初期段階では、燃料集合体が炉心の効率における貢献度がスワップバリュー(Swap Value)を決定する。該スワップバリューはそれぞれ、炉心の燃料集合体1つ1つに対応している。検索段階では、任意で2つのスワップバリューを選択し、該スワップバリューに対応する燃料集合体の位置を交換して燃料集合体の置き違えた状況を発生させる。その後、炉心の分析ツールで燃料集合体の配置を誤った状況が与える影響を分析する。さらに、次の一対のスワップバリュー値を交換する。変換のルールは軽水炉により決定され、異なる軽水炉はそれぞれ異なる変換ルールを具えており、且つエンジニアの経験によりこられのルールが決定される。
【0009】
「簡易選別法」もしくは「パラメーター分析法」に関わらず、いずれも正確性に欠ける。よって、最も深刻な燃料集合体の置き違いの状況を含め、三次元の炉心分析のための計算を大量に行わなければならないため、作業時間が延長され、実用的でない。また、フォークス式検索法はスワップバリューを調整する場合に共通のルールがなく、異なる軽水炉がそれぞれ独自の調整ルールを具え、且つエンジニアの経験によりルールが決定される。基本的にフォークス式は検索法に属し、燃料集合体の配置の誤りによる最も深刻な状況を確実に求めることができない。フォークス式の分析方法で最も深刻な燃料集合体の置き違いの状況を検索する確率を高めようとする場合、検索過程におけるスワップバリューの数、及び三次元の炉心分析の時間を延長しなければならないため、実用的ではない。
【0010】
上述のそれぞれの分析方法は燃料集合体の置き違いの最も深刻な状況を求めることができるが、非常に長い作業時間を必要とする。沸騰水型軽水炉を例にとると、炉心には数百体もの燃料集合体が納められている。よって、すべての燃料集合体の置き違いの状況の全周期の最小限界出力比(Minimum Critical Power Ratio、MCPR)の最大変化量を分析すると、分析対象件数が膨大な数になり、非常に多くの時間を必要とする。よって、従来の方法では、実用性に欠ける。
【特許文献1】アメリカ合衆国特許公報5,790,618号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明は、分析対象となる燃料集合体の置き違いの数が少ない燃料集合体の置き違いの事故の分析方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで本発明者は、従来の技術に鑑み鋭意研究を重ねた結果、分析対象となる燃料集合体の置き違いの数が少ない燃料集合体の置き違いの事故の分析方法であって、燃料集合体の置き違いの個別の計算結果を相互に重ね合わせてそれぞれの置き違いの結果を求める沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違いの事故の分析方法であって、
該分析方法は少なくとも次ぎのステップにより実施し:ステップaではプログラムを利用して少なくとも単一の燃料集合体の置き違いの状況を計算し、ステップbでは炉心の中性子の分析方法を利用して上述の燃料の置き違いのそれぞれの個別の状況に対して炉心全体の燃料消耗を計算し、ステップcでは別のプログラムを介して燃料集合体の置き違いの組み合わせを発生させて、置き違いの組み合わせに対応する二つの個別の置き違いの限界出力比(Critical Power Ratio、CPR)のマトリックスを検出し、該二組のCPRマトリックスを重ね合わせると、少なくとも一つの置き違いの組み合わせのCPRマトリックスを得ることができ、
ステップdでは燃料集合体の置き違いのそれぞれの組み合わせのCPRマトリックスから最小限界出力比(Minimum Critical Power Ratio、MCPR)の最大変化量(Maximum of Difference of Minimum Critical Power Ratio、MaxDCPR)を求め、ステップeでは上述の置き違いの組み合わせをMaxDCPRに基づいて数値の大きいものから小さい順に並べ、大きいものから10番目までの置き違いの組み合わせを選び出し、炉心全体の燃料消耗を再度計算して、該10個の置き違いの組み合わせの中から最大のMaxDCPR値を検出し、該数値が燃料集合体の置き違いの事故の最終的な分析結果になる。
以下、この発明について具体的に説明する。
【0013】
請求項1に記載の燃料集合体の置き違いの事故の分析方法は、燃料集合体の置き違いの個別の計算結果を相互に重ね合わせてそれぞれの置き違いの結果を求める沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違いの事故の分析方法であって、該分析方法は少なくとも次ぎのステップにより実施し:ステップaではプログラムを利用して少なくとも単一の燃料集合体の置き違いの状況を計算し、ステップbでは炉心の中性子の分析方法を利用して上述の燃料の置き違いのそれぞれの個別の状況に対して炉心全体の燃料消耗を計算し、ステップcでは別のプログラムを介して燃料集合体の置き違いの組み合わせを発生させて、置き違いの組み合わせに対応する二つの個別の置き違いの限界出力比(Critical Power Ratio、CPR)のマトリックスを検出し、該二組のCPRマトリックスを重ね合わせると、少なくとも一つの置き違いの組み合わせのCPRマトリックスを得ることができ、ステップdでは燃料集合体の置き違いのそれぞれの組み合わせのCPRマトリックスから最小限界出力比(Minimum Critical Power Ratio、MCPR)の最大変化量(Maximum of Difference of Minimum Critical Power Ratio、MaxDCPR)を求め、ステップeでは上述の置き違いの組み合わせをMaxDCPRに基づいて数値の大きいものから小さい順に並べ、大きいものから10番目までの置き違いの組み合わせを選び出し、炉心全体の燃料消耗を再度計算して、該10個の置き違いの組み合わせの中から最大のMaxDCPR値を検出し、該数値が燃料集合体の置き違いの事故の最終的な分析結果になる。
【0014】
請求項2に記載の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法は、請求項1におけるステップaの個別の置き違いの状況の数値が、燃料集合体の個数に燃料形態の個数から1を引いた数をかけた数値になる。
【0015】
請求項3に記載の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法は、請求項1におけるステップaの個別の置き違いの状況の計算には次の段階を実施し:a1の段階では燃料集合体を正確に配置した状況の燃料形態の配置データを読み取り、a2の段階では炉心の四分の一の領域において、炉心のレイアウトの順序に基づいてそれぞれもともとの燃料形態とその他の燃料形態に分けてから置き換えて、それぞれの個別の置き違いの状況を計算する。
【0016】
請求項4に記載の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法は、請求項1におけるステップcにおける燃料集合体の置き違いの組み合わせのCPRマトリックスの形成には次の段階を実施し:c1の段階では燃料集合体を正確に配置した状況の燃料集合体のレイアウトのデータを読み取り、c2の段階では炉心の四分の一の領域において炉心のレイアウトに基づいて燃料形態を得て、再度、炉心全体のレイアウトに基づいて別の燃料形態を得て、置き違いの組み合わせを発生させて、c3の段階では燃料集合体の置き違いの組み合わせに相対する第一及び第二の置き違いの組み合わせの炉心全体の燃料消耗を計算した結果を読み取り、第一及び第二のCPRマトリックスをそれぞれ求め、正確に装荷した状況の計算結果を読み取り、第三のCPRマトリックスを求め、c4の段階では第二のCPRマトリックスを第四、第五及び第六のCPRマトリックスと置き換えて、第一のCPRマトリックスに重ね合わせてから第三のCPRマトリックスを引くと、少なくとも一つの燃料集合体の置き違いの状況の組み合わせのCPRマトリックスを得る。
【0017】
請求項5に記載の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法は、請求項1におけるステップdでは少なくとも次の段階を実施し:d1の段階ではステップcで得た燃料集合体の置き違いの状況のそれぞれの組み合わせのCPRマトリックスからそれぞれの周期の燃料消耗点のMCPR値を読み取り、d2の段階では燃料集合体を正確に装荷した状況のCPRマトリックスからそれぞれの周期の燃料消耗点のMCPR値を読み取り、d3の段階では燃料集合体の置き違いのそれぞれの状況の組み合わせのCPRマトリックスにおけるそれぞれの周期の燃料消耗点のMCPR値から、燃料集合体を正確に装荷した状況のCPRマトリックスから相対する周期の燃料消耗点のMCPR値を引くと、それぞれの周期の燃料消耗点のMCPRの変化量(Difference of Minimum Critical Power Ratio、DCPR)を求め、d4の段階ではそれぞれの周期の燃料消耗点のDCPR値からMaxDCPRを求める。
【0018】
請求項6に記載の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法は、請求項1における炉心の中性子の分析で使用する解析コードがSIMULATE−3コードである。
【0019】
請求項7に記載の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法は、請求項1における二つのプログラムはFortran言語から形成する。
【0020】
請求項8に記載の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法は、請求項1における沸騰水型軽水炉は従来の沸騰水型軽水炉、及び最新の沸騰水型軽水炉である。
【0021】
請求項9に記載の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法は、請求項1におけるステップeではMaxDCPRの数値の大きいものから100番目までの置き違いの状況の組み合わせを選び出し、炉心全体の燃料消耗を再度計算する。
【発明の効果】
【0022】
この発明の燃料集合体の置き違いの分析方法は、分析する対象数が少ないため、分析する時間を短縮することができ、実用的で炉心の安全性を確保することができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
この発明は、分析対象となる燃料集合体の置き違いの数が少ない燃料集合体の置き違いの事故の分析方法であって、燃料集合体の置き違いの個別の計算結果を相互に重ね合わせてそれぞれの置き違いの結果を求める沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違いの事故の分析方法であって、該分析方法は少なくとも次ぎのステップにより実施し:ステップaではプログラムを利用して少なくとも単一の燃料集合体の置き違いの状況を計算し、ステップbでは炉心の中性子の分析方法を利用して上述の燃料の置き違いのそれぞれの個別の状況に対して炉心全体の燃料消耗を計算し、ステップcでは別のプログラムを介して燃料集合体の置き違いの組み合わせを発生させて、置き違いの組み合わせに対応する二つの個別の置き違いの限界出力比(Critical Power Ratio、CPR)のマトリックスを検出し、該二組のCPRマトリックスを重ね合わせると、少なくとも一つの置き違いの組み合わせのCPRマトリックスを得ることができ、ステップdでは燃料集合体の置き違いのそれぞれの組み合わせのCPRマトリックスから最小限界出力比(Minimum Critical Power Ratio、MCPR)の最大変化量(Maximum of Difference of Minimum Critical Power Ratio、MaxDCPR)を求め、ステップeでは上述の置き違いの組み合わせをMaxDCPRに基づいて数値の大きいものから小さい順に並べ、大きいものから10番目までの置き違いの組み合わせを選び出し、炉心全体の燃料消耗を再度計算して、該10個の置き違いの組み合わせの中から最大のMaxDCPR値を検出し、該数値が燃料集合体の置き違いの事故の最終的な分析結果になる。
係る構成の燃料集合体の置き違いの事故の分析方法について、その構造と特徴を詳述するために具体的な実施例を挙げ、以下に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、この発明のフローチャートを示したものである。図面によれば、この発明は燃料集合体の置き違いの事故の分析方法であって、二つの個別の燃料集合体の置き違いの状況の限界出力比(Critical Power Ratio、CPR)のマトリックスと、燃料集合体を正しく装荷した状況のCPRマトリックスとを交互に重ね合わせてそれぞれの配置を誤った組み合わせのCPRマトリックスを求めた。また、この発明は対象となる炉心の四分の一の領域にのみ分析を行い、分析は次のステップで行った。
【0025】
ステップa(11)では燃料集合体の置き違いの個別の状況に関する数値を計算した。プログラムを利用して少なくとも一つの個別の配置を誤った状況に関する数値を計算した。該プログラムはFortran言語により作成した。個別の置き違いの状況の数は対象になる炉心の燃料集合体の個数の4分の1に燃料集合体の形態の個数から1を引いた数値をかけた数になった。
【0026】
ステップb(12)ではそれぞれの個別の燃料集合体の置き違いに対して炉心の燃料の消耗を計算した。炉心全体の中性子の分析方法を利用して、上述のそれぞれの個別の燃料集合体の置き違いの状況対する炉心全体の燃料の消耗を計算した。該炉心の中性子の分析方法に使用する解析コードはSIMULATE−3コードとした。
【0027】
ステップc(13)では複数のCPRマトリックスを重ね合わせると燃料集合体の置き違いの状況のCPRマトリックスを得ることができた。別のFortranプログラムにより燃料集合体の置き違いの状況の組み合わせを作成し、燃料集合体の置き違いの状況の組み合わせに対応する二つの個別の燃料集合体の置き違いのCPRマトリックスを求め、該二組のCPRマトリックスと燃料集合体を正しく装荷した状況のCPRマトリックスとを重ね合わせると、少なくとも一つの燃料集合体の置き違いの組み合わせのCPRマトリックスを得ることができた。
【0028】
ステップd(14)ではそれぞれの燃料集合体の置き違いの状況の組み合わせのMaxDCPRを求めた。それぞれの燃料集合体の置き違いの状況の組み合わせの最小限界出力比(Minimum Critical Power Ratio、MCPR)の最大変化量(Maximum of Difference of Minimum Critical Power Ratio、MaxDCPR)を求めた。
【0029】
ステップe(15)では燃料集合体の置き違いの事故の分析結果を得た。該燃料集合体の置き違いの組み合わせを排列し、最終的な計算を行うと、燃料集合体の置き違いの事故の分析の最終結果を得た。
【実施例2】
【0030】
この発明の分析方法を初装荷炉心に応用した場合を説明した。
【0031】
図1はこの発明のフローチャートを示した。図1Aはステップaのフローチャートを示した。図1Bはステップcのフローチャートを開示した。図1Cはステップdのフローチャートを示した。図1Dは実例1の初装荷炉心における燃料集合体のレイアウトを示した。
【0032】
図面によれば、実例1では初装荷炉心16に対して燃料集合体の置き違いの事故における分析を行った。この実例で分析する初装荷炉心16は、対象となる炉心の縦、横軸が直交して四等分された領域の四分の一とした。該初装荷炉心16は624体の燃料集合体を具えてなり、第一燃料形態161、第二燃料形態162及び第三燃料形態163など三種類の燃料形態を具えたものとした。この発明の分析方法は炉心の四分の一の領域164に対してのみ分析を行い、分析には次のステップを実施した。
【0033】
ステップaではFortran言語で作成されたプログラムで312体の燃料集合体の置き違いの状況の数値を計算した。計算は次の段階で行った。
【0034】
(a1)の段階において燃料集合体を正確に配置した燃料形態の配置データを読み取った111のステップを行い、(a2)の段階においてもともとの燃料形態と他の二種類の燃料形態とを置き換えて、それぞれの炉心のに二つの個別の誤った配置を形成した112のステップを行った。炉心の四分の一の領域164に、炉心のレイアウトに基づいてもともとの燃料形態とその他の二種類の燃料形態とを置き換えると、それぞれの炉心のレイアウトに二つの個別の置き違いの状況が発生した。前述の方法で計312体の個別の燃料集合体の置き違いの状況の数値を計算した。
【0035】
上述の(a2)の段階で個別の置き違いの数が炉心の四分の一の領域164の燃料集合体の個数に燃料形態の個数から1を引いた数値をかけた数値であることが得られた。よって、この実施例では312個(624/4×(3−1)=312)の個別の燃料集合体の置き違いを具えたものとなった。
【0036】
ステップbではSIMULATE−3コードの炉心の中性子を分析する方法で、上述の312体の置き違いのそれぞれの状況に対して炉心全体の燃料の消耗を計算した。
【0037】
ステップcではFortran言語で作成したプログラムで燃料集合体の置き違いの状況の組み合わせを発生させて、312体の燃料集合体の置き違いの状況から計算した炉心全体の燃料の消耗の結果から相対する二つの個別の置き違いのCPRマトリックスを求めた。また、該二組のCPRマトリックスと正確に装荷した状況のCPRマトリックスとを重ね合わせると、少なくとも一つの燃料集合体の置き違いの状況の組み合わせのCPRマトリックスを得ることができ、マトリックスを得るために次の段階を実施した。
【0038】
(c1)の段階では燃料集合体を正確に配置した燃料形態の配置データを読み取った131のステップを実施した。
【0039】
(c2)の段階では燃料形態の情報を得た後、さらにレイアウトの順序に従って別の燃料形態を得て、置き違いの組み合わせを発生させ、炉心の四分の一の領域164における炉心のレイアウトの順序に基づいて燃料形態の情報を読み取り、炉心全体のレイアウトの順序に基づいて別の燃料形態の情報を読み取り置き違いの組み合わせを発生させた132のステップを実施した。
【0040】
(c3)の段階では第一及び第二CPRマトリックス及び正確に配置した状況の計算結果から第三のCPRマトリックスを得た133のステップを実施した。誤った配置の組み合わせに対応する二つの個別の燃料集合体の置き違いの状況の計算結果を読み取り、第一及び第二のCPRマトリックスを求めた。また、正確に配置した計算結果を読み取り第三のCPRマトリックスを得た。
【0041】
(c4)では第二のCPRマトリックスを置き換えて第四、第五及び第六のCPRマトリックスを得たステップ134を実施した。また、第一のCPRマトリックスを重ね合わせてから第三のCPRマトリックスを引くと誤った配置の組み合わせのCPRマトリックスを得ることができた。燃料集合体を置き違えた炉心の第二のCPRマトリックスに対応するマトリックスを置き換え、第四、第五及び第六のCPRマトリックス(追って説明する)を取得し、それぞれ第一のCPRマトリックスに重ね合わせて、第三のCPRマトリックスを引くと、少なくとも一つの誤った配置の組み合わせのCPRマトリックスを得られた。
【0042】
ステップdではそれぞれの誤った配置の組み合わせのMaxDCPR値を求めた。検出には次のステップを実施した。
【0043】
(d1)では、燃料集合体の置き違いのそれぞれの組み合わせのMCPRを読み取った141のステップを実施した。ステップcで得た燃料集合体の置き違いのそれぞれの組み合わせのCPRマトリックスから、各周期の燃料の消耗点のMCPRを読み取った(この実施例では計27332個の置き違いの組み合わせを具えていたため、27332個のCPRマトリックスを摘出する必要があった。また全周期では45個の燃料消耗点を具えていた)。
【0044】
(d2)では燃料集合体を正確に配置した状況のMCPRを得た142のステップを実施した。燃料集合体を正確に配置した状況のCPRマトリックスからそれぞれの周期の燃料の消耗点におけるMCPRを読み取った。
【0045】
(d3)では燃料集合体の置き違いの状況の組み合わせのそれぞれのMCPR値から燃料集合体を正確に装荷した状況のMCPR値を引くと、燃料集合体の置き違いの状況の組み合わせのDCPRを得られた143のステップを実施した。(d2)の段階のMCPR値から(d1)の段階のMCPR値を引くと、燃料集合体の置き違いのそれぞれの状況の組み合わせの各周期の燃料の消耗点のMCPRの変化量を得ることができた(DCPR;Difference of Minimum Critical Power Ratio)。
【0046】
(d4)の段階ではDCPR値からMaxDCPRを求めた144のステップを実施した。(d3)の段階のDCPR値から最大値を求めると、燃料集合体の置き違いのそれぞれの状況の組み合わせの各周期の燃料の消耗点におけるMaxDCPRを得ることができた。
【0047】
ステップeでは上述の燃料集合体の置き違いの組み合わせの状況であって、そのMaxDCPRを大きな値から小さな値に並べ、最大値から10番目までの数値か、もしくは100番目までの誤った配置の組み合わせを選び出して、再度、炉心全体の燃料の消耗を計算した。また、該10個、もしくは100個の燃料集合体の置き違いの状況の組み合わせにおいて最大のMaxDCPR値を求めた。該数値は燃料集合体の置き違いの事故の最終的な分析結果になった。
【0048】
上述の方法は、燃料集合体の置き違いの状況を検出し、求められた燃料集合体の置き違いの状況に対して分析を行うため、軽水炉の運転前に実施する燃料集合体の置き違いの事故の安全性を分析する時間を縮小することができた。
【実施例3】
【0049】
この発明の分析方法を再装荷した炉心に応用する場合を説明した。
【0050】
図1Eは、再装荷した炉心の燃料集合体に応用した場合を示した。図面によれば、この発明の実例2は再装荷した炉心17で燃料集合体を誤って配置した場合の事故を分析する方法とした。この実例では再装荷した炉心17の四分の一の領域に対して分析を実施した。該再装荷した炉心17は624体の燃料集合体を具えてなり、第一の燃料形態81、第二の燃料形態82及び第四の燃料形態83など三種類の燃料形態を具えてなるようにした。
【0051】
該第一の燃料形態81及び第二の燃料形態82は、第一次に消耗した燃料とした。よって、第一の燃料形態81及び第二の燃料形態82は燃料消耗の分布を有し、同一形態の燃料集合体はその燃料の消耗に差があるため、2体の同一形態の燃料集合体でも置き違いの状況の組み合わせが発生する可能性があった。これは初装荷炉心ではみられない状況であった。この実例の燃料形態は三種類とした。しかしながら、第一の燃料形態に見られる燃料消耗の分布は7.257〜13.195GWD/MT(gigawatt−days per metric ton)であって、燃料消耗の分布の範囲が比較的大きかった。よって第一の燃料形態は更に二種類の形態に分けることができた。一種類目の形態は燃料消耗の分布が10GWD/MTよりも大きく、もう一種類の形態は燃料消耗の分布が10GWD/MTよりも小さくなった。また、第二種の燃料形態の燃料消耗の分布は10.831〜11.387GWD/MTになり、分布の範囲が大きくなかった。このため更に細かく燃料形態を分ける必要がなく、この実施例では計4種類の燃料形態を具えていた。また、この発明の分析方法は、炉心の四分の一の領域174に対してのみ分析を行い、分析には下記のステップを実施した。
【0052】
ステップaではFortran言語で作成したプログラムで468体の個別の燃料集合体の配置を誤った状況を計算した。計算には次ぎの段階を実施した。
【0053】
(a1)の段階では、燃料集合体を正確に配置した燃料形態のデータを読み取った。
【0054】
(a2)の段階では炉心の四分の一の領域174において炉心のレイアウトの順序に基づいてもともとの燃料形態に分けて、その他の三種類の燃料形態に置き換え、それぞれの炉心のレイアウトに対して燃料集合体の置き違いの三つの状況を形成した。この方法により計468体の個別の置き違いの状況を計算した。
【0055】
上述の(a2)の段階は個別の置き違いの状況の数値が炉心の四分の一の領域174の燃料集合体の数に燃料形態の数から1を引いた数をかけたものになった。よって、この実施例では468個(624/4×(4−1)=468)の置き違いの状況が得られた。
【0056】
ステップbではSIMULATE−3コードを炉心の中性子を分析する方法として、上述の468体の個別の置き違いのレイアウトにおける炉心全体の燃料の消耗を計算した。
【0057】
ステップcでは別のFortran言語から作成したプログラムで燃料集合体の置き違いの組み合わせを発生させた。468体の燃料集合体の個別の置き違いの炉心全体の燃料消耗を計算した結果から相対する二つの個別の置き違いのCPRマトリックスを求める。該二組のCPRマトリックスと燃料集合体を正確に装填した状況のCPRマトリックスを重ね合わせると、少なくとも一つの燃料集合体の置き違いの組み合わせのCPRマトリックスが得られた。マトリックスを得るために次ぎの段階を実施した。
【0058】
(c1)の段階では燃料集合体を正確に配置した燃料形態の配置データを読み取った。
【0059】
(c2)の段階では炉心の四分の一の領域174において炉心のレイアウトの順序に基づいて一種類の燃料形態の情報を得た。その後、炉心全体の配置順序に基づいてもう一種類の燃料形態を得て燃料集合体を置き違えた状況の組み合わせを形成した。
【0060】
(c3)の段階では燃料集合体を置き違えた状況の組み合わせに対応する二つの個別の燃料集合体の置き違えた炉心全体の燃料の消耗を計算した結果を読み取り、第一及び第二のCPRマトリックスをそれぞれ求めた。また、燃料集合体を正確に装荷した状況の炉心全体の燃料の消耗を計算した結果を読み取ると、第三のCPRマトリックスを得られた。
【0061】
(c4)の段階では燃料集合体を置き違えた状況の炉心の位置により第二のCPRマトリックスと対応するマトリックスのレイアウトの交換を行った。レイアウトの交換は第四、第五及び第六のCPRマトリックス(追って説明する)とし、それぞれ第一のCPRマトリックスと重ね合わせた後、第三のCPRマトリックスを引くと、少なくとも一つの燃料集合体を置き違えた状況の組み合わせのCPRマトリックスを得られた。
【0062】
ステップdではそれぞれの誤った配置の組み合わせのMaxDCPR値を求めた。検出には、次ぎのステップを実施した。
【0063】
(d1)の段階ではステップcで得たそれぞれの誤った配置の組み合わせのCPRマトリックスから、各周期の燃料消耗点のMCPR値を求めた(この実施例では32116個の誤った配置の組み合わせを具えていたため、32116個のCPRマトリックスを求めた。また、全周期では計35個の燃料消耗点を具えていた)。
【0064】
(d2)の段階では燃料集合体を正確に装荷した状況のCPRマトリックスから、それぞれの周期の燃料消耗点のMCPR値を読み取った。
【0065】
(d3)の段階では(d2)の段階のMCPR値からステップd1のMCPR値を引くと、それぞれの置き違いの組み合わせの各周期の燃料消耗点のDCPR値を得た。
【0066】
(d4)の段階では(d3)の段階のDCPR値から最大値を選び出すと、それぞれの誤った配置の組み合わせの各周期の燃料消耗点のMaxDCPR値を得られた。
【0067】
ステップeでは上述の誤った配置の組み合わせのMaxDCPRを大きい数値から小さくなるように並べた。最も大きい数値から10番目か、もしくは100番目までの誤った組み合わせを選び出し、全ての炉心の燃料消耗を再度計算し、10個、もしくは100個の誤った組み合わせの中から最大のMaxDCPR値を求めた。その数値は燃料集合体の設置を誤った事故の最終的な分析結果になった。
【0068】
発生する可能性のある燃料集合体の置き違いの状況を検出し、燃料集合体を置き違えた状況に対して上述の方法で分析を行うと、軽水炉の運転前に実施する燃料集合体の配置の誤りによる事故の安全性に関する分析の時間を短縮することができた。
【0069】
図2Aは燃料集合体を正確に装荷した状況の燃料の配置を示した。図2Bは燃料集合体を置き違えた第一の状況を示した。図2Cは燃料集合体を置き違えた第一の個別の状況を示した。図2Dは燃料集合体を置き違えた第二の個別の状況を示した。図2Eは燃料集合体を置き違えた第三の個別の状況を示した。図2Fは燃料集合体を置き違えた第二の組み合わせを示した。図2Gは燃料集合体を置き違えた第四の個別の状況を示した。図2Hは燃料集合体を置き違えた第三の状況を示した。図2Iは燃料集合体を置き違えた第五の個別の状況を示した。図2Jは燃料集合体を置き違えた第四の状況を示した。
【0070】
図面によれば、ステップcにおいて複数のCPRマトリックスを重ね合わせた方法を下記に示した。図2Aでは、炉心の四分の一の対称となる領域21に燃料集合体を正確に装荷したと仮定した。また、そのCPRマトリックスは第三のCPRマトリックス(fol)であって、次のように表示された。
【数1】

【0071】
図2Bでは燃料集合体の置き違いの第一の状況10を仮定した。また、図2Cは上述の燃料集合体の置き違いの状況の第一の組み合わせ221の第一の個別の誤ったレイアウト231であって、そのCPRマトリックスは第一のCPRマトリックス(P)だった。該CPRマトリックスを下記に表示した。
【数2】

【0072】
図2Dでは上述の燃料集合体の第一の置き違いの状況の組み合わせ221の第二の個別の置き違いの状況232を示した。該CPRマトリックスは第二のCPRマトリックス(Q)であって、下記に表示した。
【数3】

【0073】
よって、上述の第一のCPRマトリックス(P)と第二のCPRマトリックス(Q)を加えて、第三のCPRマトリックス(fo1)を引くと、第一の誤った配置の組み合わせのCPRマトリックスを得ることができた。該CPRマトリックスを下記に表示した。
【数4】

【0074】
第二のCPRマトリックスはY軸を通して反射すると、第2Eに開示した第三の個別の置き違いの状況233のCPRマトリックスを得ることができた。該CPRマトリックスは第四のCPRマトリックスであって、第一のCPRマトリックスに第四のCPRマトリックスを加えた後、第三のCPRマトリックスを引くと、第二の置き違いの状況の組み合わせ222(図2F参照)のCPRマトリックスを得ることができた。該CPRマトリックスを下記に表示した。
【数5】

【0075】
第二のCPRマトリックスがX軸を通して反射すると、図2Gに開示する第四の個別の置き違いの状況234のCPRマトリックスを得られた。該CPRマトリックスは第五のCPRマトリックスであって、第一のCPRマトリックスに第五のCPRマトリックスを加えた後、第三のCPRマトリックスを引くと、第三の置き違いの状況の組み合わせ223(図2H参照)のCPRマトリックスを得られた。該マトリックスを下記に表示した。
【数6】

【0076】
第二のCPRマトリックスがX軸及びY軸を通して2度反射されると、図2Iに開示する第五の個別の置き違いの状況235のCPRマトリックスを得ることができた。該CPRマトリックスは第六のCPRマトリックスであって、第一のCPRマトリックスに第六のCPRマトリックスを加えて、第三のCPRマトリックスを引くと、第四の置き違いの状況の組み合わせ224(図2J参照)のCPRマトリックスを得られた。該マトリックスを下記に表示した。
【数7】

【0077】
上述の方法を通して初装荷炉心を分析する場合、312個の単一置き違いのCPRマトリックスと燃料集合体を正確に装荷したCPRマトリックスとを重ね合わせた後、27332個の置き違いの状況のCPRマトリックスを得た。再装荷した炉心を分析する場合には、468個の個別の誤った配置のCPRマトリックスを正確に装荷したCPRマトリックスを重ね合わせて32116個の置き違いの状況の組み合わせのCPRマトリックスを得た。
【0078】
上述のように、この発明の沸騰水型軽水炉における燃料集合体の置き違いの事故の分析方法は、従来の分析方法の欠点を有効に改善し、分析に必要な誤った組み合わせの数を減らし、運転前に実施する燃料集合体の置き違いの事故の安全性を分析する時間を短縮して、炉心の安全を確保することができた。
【0079】
以上は、この発明の好ましい実施例であって、この発明の実施の範囲を限定するものではない。よって、当業者のなし得る修正、もしくは変更であって、この発明の精神の下においてなされ、この発明に対して均等の効果を有するものは、いずれもこの発明の特許請求の範囲に属するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明の沸騰水型軽水炉の燃料集合体を誤って配置した事故の分析方法を示したフローチャートである。
【図1A】図1に開示する沸騰水型軽水炉の燃料集合体を誤って配置した事故の分析方法のステップaを示したフローチャートである。
【図1B】図1に開示する沸騰水型軽水炉の燃料集合体を誤って配置した事故の分析方法のステップcを示したフローチャートである。
【図1C】図1に開示する沸騰水型軽水炉の燃料集合体を誤って配置した事故の分析方法のステップdを示したフローチャートである。
【図1D】この発明の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の実例1の初装荷炉心を示した断面図である。
【図1E】この発明の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の実例2の再装荷した炉心を示した断面図である。
【図2A】この発明の沸騰水型軽水炉に燃料集合体を正確に装荷した状況を示した断面図である。
【図2B】この発明の燃料集合体を誤って配置した第一の状況を示した断面図である。
【図2C】この発明の燃料集合体を誤って配置した第一の個別の状況を示した断面図である。
【図2D】この発明の燃料集合体を誤って配置した第二の個別の状況を示した断面図である。
【図2E】この発明の燃料集合体を誤って配置した第三の個別の状況を示した断面図である。
【図2F】この発明の燃料集合体を誤って配置した第二の状況を示した断面図である。
【図2G】この発明の燃料集合体を誤って配置した第四の個別の状況を示した断面図である。
【図2H】この発明の燃料集合体を誤って配置した第三の状況を示した断面図である。
【図2I】この発明の燃料集合体を誤って配置した第五の個別の状況を示した断面図である。
【図2J】この発明の燃料集合体を誤って配置した第四の状況を示した断面図である。
【符号の説明】
【0081】
16 初装荷炉心
17 再装荷した炉心
161 第一燃料形態
162 第二燃料形態
163 第三燃料形態
164 炉心の四分の一の領域
171 第一燃料形態
172 第二燃料形態
173 第四燃料形態
174 炉心の四分の一の領域
21 炉心の四分の一の対称となる領域
221 第一の置き違いの状況の組み合わせ
222 第二の置き違いの状況の組み合わせ
223 第三の置き違いの状況の組み合わせ
224 第四の置き違いの状況の組み合わせ
232 第二の個別の置き違いの状況
233 第三の個別の置き違いの状況
234 第四の個別の置き違いの状況
235 第五の個別の置き違いの状況

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料集合体の置き違いの個別の計算結果を相互に重ね合わせてそれぞれの置き違いの結果を求める沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違いの事故の分析方法であって、
該分析方法は少なくとも次ぎのステップにより実施し:
ステップaではプログラムを利用して少なくとも単一の燃料集合体の置き違いの状況を計算し、
ステップbでは炉心の中性子の分析方法を利用して上述の燃料の置き違いのそれぞれの個別の状況に対して炉心全体の燃料消耗を計算し、
ステップcでは別のプログラムを介して燃料集合体の置き違いの組み合わせを発生させて、置き違いの組み合わせに対応する二つの個別の置き違いの限界出力比(Critical Power Ratio、CPR)のマトリックスを検出し、該二組のCPRマトリックスを重ね合わせると、少なくとも一つの置き違いの組み合わせのCPRマトリックスを得ることができ、
ステップdでは燃料集合体の置き違いのそれぞれの組み合わせのCPRマトリックスから最小限界出力比(Minimum Critical Power Ratio、MCPR)の最大変化量(Maximum of Difference of Minimum Critical Power Ratio、MaxDCPR)を求め、
ステップeでは上述の置き違いの組み合わせをMaxDCPRに基づいて数値の大きいものから小さい順に並べ、大きいものから10番目までの置き違いの組み合わせを選び出し、炉心全体の燃料消耗を再度計算して、該10個の置き違いの組み合わせの中から最大のMaxDCPR値を検出し、該数値が燃料集合体の置き違いの事故の最終的な分析結果になることを特徴とする沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法。
【請求項2】
前記ステップaの個別の置き違いの状況の数値が、燃料集合体の個数に燃料形態の個数から1を引いた数をかけた数値になることを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法。
【請求項3】
前記ステップaの個別の置き違いの状況の計算には次の段階を実施し:
a1の段階では燃料集合体を正確に配置した状況の燃料形態の配置データを読み取り、
a2の段階では炉心の四分の一の領域において、炉心のレイアウトの順序に基づいてそれぞれもともとの燃料形態とその他の燃料形態に分けてから置き換えて、それぞれの個別の置き違いの状況を計算することを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法。
【請求項4】
前記ステップcにおける燃料集合体の置き違いの組み合わせのCPRマトリックスの形成には次の段階を実施し:
c1の段階では燃料集合体を正確に配置した状況の燃料集合体のレイアウトのデータを読み取り、
c2の段階では炉心の四分の一の領域において炉心のレイアウトに基づいて燃料形態を得て、再度、炉心全体のレイアウトに基づいて別の燃料形態を得て、置き違いの組み合わせを発生させて、
c3の段階では燃料集合体の置き違いの組み合わせに相対する第一及び第二の置き違いの組み合わせの炉心全体の燃料消耗を計算した結果を読み取り、第一及び第二のCPRマトリックスをそれぞれ求め、正確に装荷した状況の計算結果を読み取り、第三のCPRマトリックスを求め、
c4の段階では第二のCPRマトリックスを第四、第五及び第六のCPRマトリックスと置き換えて、第一のCPRマトリックスに重ね合わせてから第三のCPRマトリックスを引くと、少なくとも一つの燃料集合体の置き違いの状況の組み合わせのCPRマトリックスを得ることができることを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法。
【請求項5】
前記ステップdでは少なくとも次の段階を実施し:
d1の段階ではステップcで得た燃料集合体の置き違いの状況のそれぞれの組み合わせのCPRマトリックスからそれぞれの周期の燃料消耗点のMCPR値を読み取り、
d2の段階では燃料集合体を正確に装荷した状況のCPRマトリックスからそれぞれの周期の燃料消耗点のMCPR値を読み取り、
d3の段階では燃料集合体の置き違いのそれぞれの状況の組み合わせのCPRマトリックスにおけるそれぞれの周期の燃料消耗点のMCPR値から、燃料集合体を正確に装荷した状況のCPRマトリックスから相対する周期の燃料消耗点のMCPR値を引くと、それぞれの周期の燃料消耗点のMCPRの変化量(Difference of Minimum Critical Power Ratio、DCPR)を求め、
d4の段階ではそれぞれの周期の燃料消耗点のDCPR値からMaxDCPRを求めることを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法。
【請求項6】
前記炉心の中性子の分析で使用する解析コードはSIMULATE−3コードであることを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法。
【請求項7】
前記二つのプログラムはFortran言語から形成することを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法。
【請求項8】
前記沸騰水型軽水炉は従来の沸騰水型軽水炉、及び最新の沸騰水型軽水炉であることを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法。
【請求項9】
前記ステップeではMaxDCPRの数値の大きいものから100番目までの置き違いの状況の組み合わせを選び出し、炉心全体の燃料消耗を再度計算することを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型軽水炉の燃料集合体の置き違い事故の分析方法。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【公開番号】特開2007−256252(P2007−256252A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201086(P2006−201086)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(595165656)行政院原子能委員会核能研究所 (51)
【Fターム(参考)】