説明

燃料集合体及び燃料番号確認方法

【課題】燃料集合体に付された燃料番号を迅速かつ確実に確認可能にする。
【解決手段】複数本の燃料棒12、複数本の燃料棒12の上端部を正方格子状に支持する上部タイプレート14、及び上部タイプレート14に設けたハンドル20を有する燃料体10と、燃料体10を取り囲む角筒部材、及び燃料体を前記チャンネルボックスに挿入した際に、燃料体10に係合するクリップ部32を有するチャンネルボックス30とを備えた燃料集合体1において、ハンドル20には、燃料集合体1毎に付与される燃料番号が刻印され、クリップ部32には、チャンネルボックス30毎に付与されるボックス番号が刻印され、燃料番号は、原子炉に装荷される複数の燃料集合体1毎に異なる固有情報を含み、ボックス番号は、燃料番号とチャンネルボックス30の製造元の情報とを関連付けた番号であり、燃料番号及びボックス番号は、上方から確認可能に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電プラントに用いられる燃料集合体及び燃料番号確認方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、原子力発電プラントにおいては、ウラン235のような核分裂性物質を燃料とし、核分裂性物質の核分裂によって発生する熱によって水を沸騰させ、蒸気を発生させる原子炉と、この原子炉から供給される蒸気によって回転するタービンと、タービンに連結し、タービンの回転によって発電を行う発電機と、タービンに供給した蒸気を水にしてから原子炉に戻す復水器等が備えられている。
【0003】
原子炉、特に、沸騰水型原子炉(BWR)には、燃料として燃料集合体が配置される。この燃料集合体は、核分裂性物質を含む複数の燃料ペレットを被覆管内に充填してなる複数の燃料棒を正方格子状に束ねてなる燃料体を、チャンネルボックスと称される横断面が正方形の角筒体で取り囲むことによって構成される。
【0004】
ここで、チャンネルボックスは、燃料体に取付けて使用するものである。しかし、チャンネルボックスと燃料体とは別々に購入しているため、燃料体に関する情報とチャンネルボックスに関する情報とは関連付けられていない。このため、燃料体の管理は燃料管理システムで行い、チャンネルボックスの管理はチャンネルボックス管理システムで行っているのが現状である。チャンネルボックスの管理としては、従来、特許文献1に記載されているように、チャンネルボックスの管理を、燃料管理システムにおける原子燃料の管理と連携して行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−293945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来、チャンネルボックスには製造元の製造番号が側面に印されており、また、燃料体には燃料番号が印されている。ここで、燃料集合体が原子炉あるいは使用済燃料貯蔵プール内に装荷されている場合、燃料番号は、燃料体の上部に印されているため、燃料集合体の上方から確認可能であるが、製造番号は、チャンネルボックスの側面に付されているため、燃料集合体の上方から確認することは困難である。
【0007】
このため、チャンネルボックスにトラブルが発生した場合において、チャンネルボックスの製造元を把握するには、その都度、チャンネルボックス取付作業実績からボックス番号を探し出し、チャンネルボックス管理システムを用いて、燃料番号から製造元を検索する必要があり、トラブルに対する対応が遅くなるおそれがあった。また、燃料集合体にトラブルが発生した場合には、燃料集合体の燃料番号を確認することによってトラブルが発生した燃料集合体を特定する。しかし、燃料番号付近がさびによって確認しにくくなっている場合があり、このような場合には、燃料番号を確認するまで時間がかかり、トラブルに対する対応が遅くなるおそれがあった。
【0008】
また、燃料体にチャンネルボックスを取り付けた場合に、燃料体に対して当初予定していたチャンネルボックスを取り付けたか否かを容易に確認することができなかった。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決した燃料集合体及び燃料番号確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備えている。
【0011】
(1) 核分裂性物質を被覆管内に充填してなる複数本の燃料棒、前記複数本の燃料棒の上端部を正方格子状に支持するタイプレート、及び当該タイプレートに設けたハンドル部を有する燃料体と、当該燃料体を下端側開口から挿入して、前記燃料体を取り囲む角筒部材、及び当該角筒部材の上端側開口の角部の一部を覆うように形成され、前記燃料体を前記チャンネルボックスに挿入した際に、前記燃料体に係合するクリップ部を有するチャンネルボックスとを備えた燃料集合体において、前記ハンドル部は、燃料集合体毎に付与される燃料番号を表示する燃料番号表示部を有し、前記クリップ部は、前記チャンネルボックス毎に付与されるボックス番号を表示するボックス番号表示部を有し、前記燃料番号は、原子炉に装荷される複数の燃料集合体毎に異なる固有情報を含み、前記ボックス番号は、前記燃料番号と前記チャンネルボックスの製造元の情報とを関連付けた番号であり、前記燃料番号表示部及び前記ボックス番号表示部は、上方から確認可能に配置されていることを特徴とする燃料集合体。
【0012】
(1)によれば、燃料集合体の上方から、燃料番号とボックス番号との両方を確認することができる。ここで、燃料番号とボックス番号は、互いに関連性を有するため、燃料体にチャンネルボックスを取り付けた際に、燃料番号とボックス番号とを確認することにより、燃料体に対して当初予定していたチャンネルボックスを取り付けたか否かを容易に確認することが可能になる。また、チャンネルボックスにトラブルが発生した場合に、燃料集合体の上部を視認して、ボックス番号を確認することにより、容易に製造元を把握することが可能になり、製造元に対して迅速に連絡を取ることが可能になる。また、燃料体にトラブルが発生した場合には、燃料番号とボックス番号のいずれかを確認することにより、トラブルが発生している燃料体を特定することが可能になる。このように、チャンネルボックスに付されたボックス番号から、チャンネルボックスの製造元の他に燃料番号を取得することが可能になる。
【0013】
(2) (1)において、前記燃料体に前記チャンネルボックスを取り付けた場合に、前記燃料番号表示部に表示される燃料番号の文字列と、前記ボックス番号表示部に表示されるボックス番号の文字列とは、平行であることを特徴とする燃料集合体。
【0014】
(2)によれば、燃料番号及びボックス番号が確認しやすくなる。
【0015】
(3) (1)、(2)において、前記ボックス番号は、前記燃料番号において、前記固有情報の隣に、前記チャンネルボックスの製造元の情報を位置付けたものであることを特徴とする燃料集合体。
【0016】
(3)によれば、ボックス番号において、燃料番号の固有情報とチャンネルボックスの製造元の情報とが隣り合っているため、ボックス番号から燃料番号を識別する際に、チャンネルボックスの製造元の情報を認識することにより、燃料番号を容易に識別することが可能になる。
(4) (1)〜(3)において、前記燃料番号表示部は、燃料番号を前記ハンドル部に刻印したものであり、前記ボックス番号表示部は、ボックス番号を前記クリップ部に刻印したものであることを特徴とする燃料集合体。
【0017】
(4)によれば、燃料番号及びボックス番号が消えることがなくなる。
【0018】
(5) (1)〜(4)の燃料集合体を上方から撮影する撮影手段に、前記燃料集合体の燃料番号表示部を撮影させ、燃料番号の撮影画像をモニタ表示させて燃料番号の確認を行い、燃料番号の確認が困難な場合に前記撮影手段を移動させて、前記燃料集合体のボックス番号表示部を撮影させ、ボックス番号の撮影画像をモニタ表示させて燃料番号の確認を行うことを特徴とする燃料番号確認方法。
【0019】
(5)によれば、燃料番号の確認が困難な場合に、ボックス番号を確認することによって燃料集合体の燃料番号をより確実に把握することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、燃料番号とボックス番号が、互いに関連性を有するため、燃料体にチャンネルボックスを取り付けた際に、燃料番号とボックス番号とを確認することにより、燃料体に対して当初予定していたチャンネルボックスを取り付けたか否かを容易に確認することが可能になる。また、チャンネルボックスにトラブルが発生した場合に、燃料集合体の上部を視認して、ボックス番号を確認することにより、容易に製造元を把握することが可能になり、製造元に対して迅速に連絡を取ることが可能になる。また、燃料体にトラブルが発生した場合には、燃料番号とボックス番号のいずれかを確認することにより、トラブルが発生している燃料体を特定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態における燃料集合体の外観を示す斜視図である。
【図2】燃料体の外観を示す斜視図である。
【図3】チャンネルボックスの外観を示す斜視図である。
【図4】燃料体の上面及びチャンネルボックスの上面を示す図である。
【図5】燃料番号を確認するシステムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態における燃料集合体の外観を示す斜視図である。燃料集合体1は、燃料体10及びチャンネルボックス30から構成されている。図1に示すように、燃料体10は、複数本の燃料棒12を束ねたものであり、チャンネルボックス30は、角筒状の部材である。燃料集合体1は、燃料体10にチャンネルボックス30を被せて両者を結合させたものである。
【0024】
図2は、燃料体の外観を示す斜視図である。燃料体10は、複数本の燃料棒12、上部タイプレート14、スペーサ16、下部タイプレート18及びハンドル20を備えている。
【0025】
燃料棒12は、核分裂性物質を含む燃料ペレットを、棒状の被覆管内に充填してなるものである。
【0026】
上部タイプレート14は、上面視正方形状であり、表面に燃料棒12の上端部を挿入しかつ支持する複数の孔部(図示せず)を有しており、対角線に沿ってU字型のハンドル20が配置されている。上部タイプレート14とハンドル20とは一体的に構成されている。このハンドル20は、燃料集合体1を図示しない原子炉から抜き差しする際の把持部として用いられる。また、下部タイプレート18は、表面に燃料棒12の下端部を挿入しかつ支持する複数の孔部(図示せず)を有しており、スペーサ16は、燃料棒12を挿通する貫通孔(図示せず)を有している。
【0027】
そして、複数本の燃料棒12の下端部を下部タイプレート18の孔部に挿入して固定させ、複数本の燃料棒12をスペーサ16の貫通孔に挿入して、スペーサ16を7個、複数本の燃料棒12を8等分する位置に付け、さらに、複数本の燃料棒12の上端部を上部タイプレート14の孔部に挿入して固定させる。この上部タイプレート14、スペーサ16及び下部タイプレート18によって、複数の燃料棒12における隣り合う燃料棒12同士の間隔が、規定間隔に維持される。これにより、複数本の燃料棒12は、上部タイプレート14、スペーサ16、及び下部タイプレート18によって正方格子状に束ねられて、燃料体10が構成される。
【0028】
また、ハンドル20の上面には、燃料体10に付与された燃料番号が刻印されている。このように、燃料番号が刻印されたハンドル20の上面は、燃料番号表示部に相当する。
【0029】
図3は、チャンネルボックスの外観を示す斜視図である。チャンネルボックス30は、上面視した形状が、上部タイプレート14よりも若干大きい略正方形の角筒部材である。また、チャンネルボックス30の上端側開口における、互いに対角線に対向する角部に、上端側開口の一部を覆うようにクリップ部32、32が形成されている。
【0030】
また、一方のクリップ部32の上面には、チャンネルボックス30に付与されたボックス番号が刻印されている。他方のクリップ部32の上面には、ねじ穴33が形成されており、このねじ穴33に、燃料体10とチャンネルボックス30とを接続する金具であるチャンネルファスナ34(図1参照)が固定される。このように、ボックス番号が刻印されたクリップ部32の上面は、ボックス番号表示部に相当する。なお、以下の説明において、ボックス番号が刻印された一方のクリップ部32をクリップ部32a、ねじ穴33が形成された他方のクリップ部32をクリップ部32bと称する。
【0031】
そして、チャンネルボックス30を下端側開口から燃料体10に挿入して、図1に示すように、燃料体10をチャンネルボックス30によって取り囲み、燃料体10の上端側の角部にクリップ部32、32を係合させ、チャンネルボックス30の上端側開口からハンドル20を突出させる。さらに、ねじ穴33にチャンネルファスナ34をねじによって結合することにより、燃料集合体1が構成される。
【0032】
図4(a)は燃料体の上面を示す図、図4(b)はチャンネルボックスの上面を示す図、図4(c)は燃料集合体の上面を示す図である。図4(a)に示すように、ハンドル20の上面には、「S1A123」という燃料番号が刻印されており、図4(b)に示すように、クリップ部32aの上面には、「S1AK123」というボックス番号が刻印されている。燃料番号及びボックス番号は、図4(c)に示すように、燃料集合体1を上方から視認することによって、確認可能である。
【0033】
燃料番号は、図4(a)に示すように、ハンドル20の長手方向、すなわち上部タイプレート14の対角線に沿って並ぶように刻印されている。また、ボックス番号は、図4(b)に示すように、チャンネルボックス30の上面部において、クリップ部32a、32bが形成されていない角部をつなぐ対角線に対して平行に並ぶように刻印されている。このため、図4(c)に示すようにチャンネルボックス30を燃料体10に挿入した場合には、燃料番号の文字列とボックス番号の文字列とが平行になる。
【0034】
次に、燃料番号及びボックス番号の内容について説明する。燃料番号は、発電プラントの番号を示す番号、装荷する定検回数を示す連番符号、燃料集合体1毎に付与される通し番号とからなる。図4(a)に示す例によれば、「S1」が発電プラントの番号を示す番号、「A」が装荷する定期点検回数を示す連番符号、「123」が通し番号である。そして、「S1A123」という燃料番号が、ハンドル20に刻印される。例えば、発電プラントの番号を示す番号は、同一の原子炉に装荷される複数の燃料集合体1に、共通情報として付されている。また、通し番号は、同一の原子炉に装荷される複数の燃料集合体1において各々異なった値を付与したものであり、個々の燃料集合体1の固有情報となる。なお、個々の燃料集合体1に関する情報は、燃料管理システム(図示せず)に燃料番号を入力することによって閲覧可能になる。
【0035】
ボックス番号は、燃料番号と、チャンネルボックス30の製造元を特定する文字又は文字列(例えば、製造元の頭文字)との組合せによって構成される。本実施形態によれば、燃料番号における定検回数を示す連番符号と通し番号との間に、チャンネルボックス30の製造元を特定する文字又は文字列を挿入したものがボックス番号である。すなわち、チャンネルボックス30の製造元を特定する文字又は文字列は、燃料番号における通し番号の隣に位置付けられている。図4(b)に示す例によれば、ボックス番号が「S1AK123」であり、この番号を視認することにより、チャンネルボックス30で取り囲んでいる燃料体10の燃料番号が「S1A123」であり、製造元を特定する文字は「K」であることがわかる。なお、個々のチャンネルボックス30に関する情報は、チャンネルボックス管理システム(図示せず)にボックス番号を入力することによって閲覧可能になる。
【0036】
ところで、原子炉内における燃料集合体1の使用実績については燃料管理システム(図示せず)によって管理されている。燃料集合体1の交換は、緊急時を除けば、定期点検時に行われる。このため、燃料集合体1を装荷する発電プラント、交換予定の定期点検回数、燃料集合体1の交換数は、使用実績を基に予め計画している。例えば、発電プラントが「S1号機」で、定期点検回数が「第A回定期点検」で、交換数に基づいて決定される通し番号が「123番」であれば、燃料番号が「S1A123」に決定される。そして、燃料体10の製造元に「S1A123」を刻印するようにオーダーすることによって、「S1A123」という燃料番号がハンドル20に刻印された燃料体10が製造される。
【0037】
一方、チャンネルボックス30の製造元の頭文字が「K」であれば、「S1A123」という燃料番号の燃料体10に対応するチャンネルボックス30のボックス番号は、「S1AK123」となる。そして、チャンネルボックス30の製造元に「S1AK123」を刻印するようにオーダーすることによって、「S1AK123」というボックス番号がクリップ部32aに刻印されたチャンネルボックス30が製造される。
【0038】
そして、燃料集合体1を製造する際には、燃料番号が「S1A123」の燃料体10と、ボックス番号が「S1AK123」のチャンネルボックス30とを組み合わせることによって、燃料番号が「S1A123」の燃料集合体1が完成する。
【0039】
図5は、燃料番号を確認するシステムの構成を示すブロック図である。燃料番号を確認するシステムは、水中カメラ100、照明装置102、移動装置104、制御装置200、及びモニタ202によって構成されている。
【0040】
原子炉500内に、複数の燃料集合体1からなる燃料集合体群300が配置されており、燃料集合体群300の上方に、撮影手段に相当する水中カメラ100及び照明装置102が配置されている。
【0041】
水中カメラ100は、燃料集合体群300を撮影するものであり、水中カメラ100が撮影した画像データは、モニタ202に送信される。照明装置102は、水中カメラ100の撮影箇所を照明するものである。
【0042】
移動装置104は、水中カメラ100及び照明装置102を移動させ、撮影位置を変えるものである。
【0043】
制御装置200及びモニタ202は、移動装置104上に設けられている。制御装置200は、作業員の操作によって、水中カメラ100のフォーカスや照明装置102の照度をコントロールするものである。モニタ202は、水中カメラ100からの画像データを処理して、画像表示させるものである。
【0044】
例えば、原子炉500に燃料集合体群300を構成する燃料集合体1を装荷した際に、規定箇所に燃料集合体1が収まっているか否かを確認する場合、作業員が、移動装置104を手動操作して、水中カメラ100及びモニタ202を移動させる。そして、作業員が、モニタ202に表示された水中カメラ100の撮影画像を視認することによって、燃料集合体1の状態を確認する。燃料集合体1が規定箇所に収まっていない場合には、規定箇所に収まっていない燃料集合体1の上方からハンドル20を撮影して、燃料番号をモニタ202に表示させる。これにより、規定箇所に収まっていない燃料集合体1を燃料番号によって特定することが可能になる。
【0045】
この時、モニタ202に表示される燃料番号が、例えば、さびの付着によって確認できない場合、あるいは光の加減で確認しにくい場合には、水中カメラ100を移動させてクリップ部32aを撮影して、ボックス番号をモニタ202に表示させる。そして、ボックス番号に含まれている燃料番号を把握することにより、規定箇所に収まっていない燃料集合体1を特定することが可能になる。
【0046】
以上、説明したように構成した本実施形態によれば、燃料集合体1の上部から、燃料番号とボックス番号との両方を確認することができる。ここで、燃料番号とボックス番号は、互いに関連性を有するため、燃料体10にチャンネルボックス30を取り付けた際に、燃料番号とボックス番号とを確認することにより、燃料体10に対して当初予定していたチャンネルボックス30を取り付けたか否かを容易に確認することが可能になる。また、チャンネルボックス30にトラブルが発生した場合に、燃料集合体1の上部を視認して、ボックス番号を確認することにより、容易に製造元を把握することが可能になり、製造元と早く連絡を取ることが可能になる。また、燃料体10にトラブルが発生した場合には、燃料番号とボックス番号のいずれかを確認することにより、トラブルが発生している燃料体10を特定することが可能になる。このように、チャンネルボックス30に付されたボックス番号から、チャンネルボックス30の製造元の他に燃料体10の情報を取得することが可能になる。
【0047】
また、本実施形態によれば、燃料体10にチャンネルボックス30を取り付けた場合に、ハンドル20の上面に表示される燃料番号の文字列と、クリップ部32aの上面に表示されるボックス番号の文字列とは、互いに平行である。このため、燃料番号を確認した後、水中カメラの撮影方向を変えずに撮影位置を変えることにより、燃料番号と同じ方向に並ぶボックス番号が表示される。その結果、ボックス番号が確認しやすくなる。
【0048】
また、本実施形態によれば、ボックス番号において、燃料集合体1の特定に必要な燃料番号における通し番号と、チャンネルボックス30の製造元の文字又は文字列とが隣り合っているため、ボックス番号から燃料番号を識別する際に、チャンネルボックス30の製造元の文字又は文字列を認識することにより、通し番号を容易に識別することが可能になる。
【0049】
また、本実施形態によれば、燃料番号及びボックス番号は、刻印によって表示されるため、燃料番号及びボックス番号が消えることがなくなる。
【0050】
また、本実施形態によれば、燃料集合体1を上方から撮影する水中カメラ100に、燃料集合体1の燃料番号を撮影させ、燃料番号の撮影画像をモニタ202に表示させて燃料番号の確認を行い、燃料番号の確認が困難な場合に水中カメラ100を移動させて、燃料集合体1のボックス番号を撮影させ、ボックス番号の撮影画像をモニタ202に表示させて燃料番号の確認を行う。これにより、燃料番号の確認が困難な場合に、ボックス番号を確認することによって燃料集合体の燃料番号をより確実に把握することが可能になる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、上述したものに限るものではない。例えば、ハンドル20に対して、表面を非光沢面とし、ハンドル20に刻印されている燃料番号の面を光沢面とする表面処理を行ってもよい。同様に、クリップ部32aに対して、表面を非光沢面とし、クリップ部32aに刻印されているボックス番号の面を光沢面とする表面処理を行ってもよい。これにより、燃料番号やボックス番号が確認しやすくなる。
【0052】
また、上述した実施形態によれば、原子炉500内の燃料集合体1の燃料番号を確認するものであるが、使用済み燃料プール内に装荷された使用済みの燃料集合体1の燃料番号を確認することに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 燃料集合体
10 燃料体
12 燃料棒
14 上部タイプレート
16 スペーサ
18 下部タイプレート
20 ハンドル
30 チャンネルボックス
32、32a、32b クリップ部
33 ねじ穴
34 チャンネルファスナ
100 水中カメラ
102 照明装置
104 移動装置
200 制御装置
202 モニタ
300 燃料集合体群
500 原子炉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核分裂性物質を被覆管内に充填してなる複数本の燃料棒、前記複数本の燃料棒の上端部を正方格子状に支持するタイプレート、及び当該タイプレートに設けたハンドル部を有する燃料体と、
当該燃料体を下端側開口から挿入して、前記燃料体を取り囲む角筒部材、及び当該角筒部材の上端側開口の角部の一部を覆うように形成され、前記燃料体を挿入した際に、前記燃料体に係合するクリップ部を有するチャンネルボックスとを備えた燃料集合体において、
前記ハンドル部は、燃料集合体毎に付与される燃料番号を表示する燃料番号表示部を有し、
前記クリップ部は、前記チャンネルボックス毎に付与されるボックス番号を表示するボックス番号表示部を有し、
前記燃料番号は、原子炉に装荷される複数の燃料集合体毎に異なる固有情報を含み、
前記ボックス番号は、前記燃料番号と前記チャンネルボックスの製造元の情報とを関連付けた番号であり、
前記燃料番号表示部及び前記ボックス番号表示部は、上方から確認可能に配置されていることを特徴とする燃料集合体。
【請求項2】
前記燃料体に前記チャンネルボックスを取り付けた場合に、前記燃料番号表示部に表示される燃料番号の文字列と、前記ボックス番号表示部に表示されるボックス番号の文字列とは、平行であることを特徴とする請求項1記載の燃料集合体。
【請求項3】
前記ボックス番号は、前記燃料番号において、前記固有情報の隣に、前記チャンネルボックスの製造元の情報を位置付けたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料集合体。
【請求項4】
前記燃料番号表示部は、燃料番号を前記ハンドル部に刻印したものであり、
前記ボックス番号表示部は、ボックス番号を前記クリップ部に刻印したものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の燃料集合体。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の燃料集合体を上方から撮影する撮影手段に、前記燃料集合体の燃料番号表示部を撮影させ、燃料番号の撮影画像をモニタ表示させて燃料番号の確認を行い、燃料番号の確認が困難な場合に前記撮影手段を移動させて、前記燃料集合体のボックス番号表示部を撮影させ、ボックス番号の撮影画像をモニタ表示させて燃料番号の確認を行うことを特徴とする燃料番号確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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