燃料電池スタック装置
【課題】第1エンドプレートおよび第2エンドプレートとテンションプレートとの組み付けにあたり、使用する締結ボルトを低減または廃止するのに有利な燃料電池スタック装置を提供することを課題とする。
【解決手段】燃料電池スタック装置は、スタック2と、第1係合部34をもつ第1エンドプレート3と、第2係合部44をもつ第2エンドプレート4と、スタック2の各セルを互いに密接させる方向に付勢する付勢部材5と、テンションプレート6とを備えている。テンションプレート6では、付勢部材5の付勢力により第1係合部34に係脱可能に係合する第1被係合部61と、付勢部材5の付勢力により第2係合部44に係脱可能に係合する第2被係合部62とが設けられている。
【解決手段】燃料電池スタック装置は、スタック2と、第1係合部34をもつ第1エンドプレート3と、第2係合部44をもつ第2エンドプレート4と、スタック2の各セルを互いに密接させる方向に付勢する付勢部材5と、テンションプレート6とを備えている。テンションプレート6では、付勢部材5の付勢力により第1係合部34に係脱可能に係合する第1被係合部61と、付勢部材5の付勢力により第2係合部44に係脱可能に係合する第2被係合部62とが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスタックの積層方向の両側にエンドプレートを有する燃料電池スタック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池スタック装置は、燃料電池のセルを積層方向に積層して形成されたスタックと、スタックの積層方向の一端部側に配置された第1エンドプレートと、スタックの積層方向の他端部側に配置された第2エンドプレートと、スタックの各セル同士を互いに密接させる方向に付勢する付勢部材と、スタックの積層方向に沿ったスタック側面を覆うテンションプレートとを備えている。テンションプレートは、第1エンドプレートと第2エンドプレートとの間に配置されており、付勢部材の付勢力を張力として受けつつ、第1エンドプレートと第2エンドプレートとの間の間隔を規定する。
【特許文献1】特開2006−331805号公報
【特許文献2】特開2001−135344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した燃料電池スタック装置によれば、第1エンドプレートおよび第2エンドプレートとテンションプレートとの組み付けにあたり、使用する締結ボルトの数が多く、組み付け性は面倒である。
【0004】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、第1エンドプレートおよび第2エンドプレートとテンションプレートとの組み付けにあたり、使用する締結ボルトを低減または廃止するのに有利な燃料電池スタック装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)様相1に係る燃料電池スタック装置は、(i)燃料電池のセルを積層方向に積層して形成されたスタックと、(ii)スタックの積層方向の一端部側に配置され第1係合部をもつ第1エンドプレートと、(iii)スタックの積層方向の他端部側に配置され第2係合部をもつ第2エンドプレートと、(iv)第1エンドプレートと第2エンドプレートとの間に配置され第1エンドプレートおよび第2エンドプレートを互いに離間する方向に付勢させることにより、スタックの各セルを互いに密接させる方向に付勢する付勢部材と、(v)スタックの積層方向に沿ったスタック側面を覆うように第1エンドプレートと第2エンドプレートとの間に配置され、付勢部材の付勢力を受けて第1係合部に係脱可能に係合する第1被係合部と付勢部材の付勢力を受けて第2係合部に係脱可能に係合する第2被係合部とを備えるテンションプレートと、を具備していることを特徴とする。
【0006】
付勢部材は、第1エンドプレートと第2エンドプレートとの間に配置されており、第1エンドプレートおよび第2エンドプレートを互いに離間する方向に付勢させる。これによりスタックの各セル同士の密接する方向に付勢力が作用し、セル同士を密接させる。
【0007】
テンションプレートは、スタックの積層方向に沿ったスタック側面を覆うように第1エンドプレートと第2エンドプレートとの間に配置されている。付勢部材の付勢力を受け、テンションプレートの第1被係合部は、第1エンドプレートの第1係合部に係脱可能に係合する。また、付勢部材の付勢力を受け、テンションプレートの第2被係合部は、第2エンドプレートの第2係合部に係脱可能に係合する。
【0008】
上記したように付勢部材の付勢力を利用することにより、第1エンドプレートとテンションプレートとを組み付けると共に、第2エンドプレートとテンションプレートとを組み付けることができる。即ち、テンションプレートの第1被係合部と第1エンドプレートの第1係合部とを係合させる係合力の増加に、付勢部材の付勢力が作用する。またテンションプレートの第2被係合部と第2エンドプレートの第2係合部とを係合させる係合力の増加に、付勢部材の付勢力が作用する。
【0009】
(2)様相2に係る燃料電池スタック装置によれば、上記様相において、(i)スタックの積層方向と交差する方向に沿ってテンションプレートを第1エンドプレートおよび第2エンドプレートに対して相対移動させて接近させることにより、第1係合部と第1被係合部とを対面させると共に第2係合部と第2被係合部とを対面させる対面操作と、(ii)対面操作後に付勢部材の付勢力を受けて第1エンドプレートおよび第2エンドプレートをスタックの積層方向において互いに離間させる方向に付勢させて相対移動させる付勢操作とにより、(iii)第1エンドプレートの第1係合部は、テンションプレートの第1被係合部と係脱可能に係合すると共に、第2エンドプレートの第2係合部は、テンションプレートの第2被係合部と係脱可能に係合する。
【0010】
かかる対面操作と付勢操作により、第1エンドプレートおよび第2エンドプレートとテンションプレートとの組み付けを、付勢部材の付勢力を利用することにより、実施することができる。この結果、付勢部材の付勢力を受けて、テンションプレートの第1被係合部は、第1エンドプレートの第1係合部に係脱可能に係合することができる。また、付勢部材の付勢力を受けて、テンションプレートの第2被係合部は、第2エンドプレートの第2係合部に係脱可能に係合することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上記したように付勢部材の付勢力を利用することにより、第1エンドプレートおよび第2エンドプレートとテンションプレートとの組み付けを実施することができる。この場合、付勢部材の付勢力を利用するため、第1エンドプレートおよび第2エンドプレートとテンションプレートとの組み付けにあたり、使用する締結ボルトの数を低減したり、締結ボルトを廃止したりできる。なお補助的であれば、締結ボルトを使用しても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
各様相によれば、第1エンドプレートの第1係合部としては、凸状でも良いし、凹状でも良い。同様に第2エンドプレートの第2係合部としては、凸状でも良いし、凹状でも良い。要するに、第1係合部としては、テンションプレートの第1被係合部と係脱可能に係合できるものであれば良い。第2係合部としては、テンションプレートの第2被係合部と係脱可能に係合できるものであれば良い。テンションプレートの第1被係合部および第2被係合部としては、凸状でも良いし、凹状でも良い。
【0013】
テンションプレートの第1被係合部は、テンションプレートを厚み方向に貫通する第1被係合開口と、第1被係合開口の縁部に形成された第1被係合突起とを備えていることが好ましい。テンションプレートの第2被係合部は、テンションプレートを厚み方向に貫通する第2被係合開口と、第2被係合開口の縁部に形成された第2被係合突起とを備えていることが好ましい。第1エンドプレートの第1係合部は、第1被係合突起が嵌まる第1凹部を形成する第1包囲壁を備えていることが好ましい。第2エンドプレートの第2係合部は、第2被係合突起が嵌まる第2凹部を形成する第2包囲壁を備えていることが好ましい。
【0014】
テンションプレートは軽量化用の開口窓を備えている形態が例示される。これによりテンションプレートが軽量化される。開口窓は、テンションプレートにおいて、第1被係合部と第2被係合部との間に形成されている形態が例示される。
【0015】
第1エンドプレート及び第2エンドプレートの材質としては、炭素鋼系や合金鋼等の金属、硬質樹脂、セラミックス等が挙げられる。テンションプレートの材質としては、炭素鋼系や合金鋼等の金属、硬質樹脂、セラミックス等が挙げられる。殊に、高張力鋼が例示される。
【0016】
(実施形態1)
本発明を具体化した実施形態1について図1〜図12を参照しつ説明する。燃料電池スタック装置1は定置用でも車両用でも良い。図1は燃料電池スタック装置1の平面視を示す。図2は燃料電池スタック装置1の側面視を示す。図1に示すように、燃料電池スタック装置1は、燃料電池のスタック2と、第1エンドプレート3と、第2エンドプレート4と、付勢部材5と、スタック2の積層方向(矢印X方向)に沿ったスタック側面23をそれぞれ覆うように対向するテンションプレート6(合計2個)とを備えている。スタック2は、燃料電池のプレート状のセル20を積層方向(矢印X方向)に積層して形成されている。セル20は、固体高分子系または無機系のイオン伝導膜を有する膜電極接合体と、膜電極接合体の燃料極に燃料を供給する燃料用の配流板と、膜電極接合体の酸化剤極に酸化剤を供給する酸化剤用の配流板とを備えている。図1に示すように、スタック2の積層方向(矢印X方向)において、スタック2の外側には、電気エネルギ取り出し用の端子部材21が配置されている。スタック2の積層方向(矢印X方向)において、スタック2の外側には、電気絶縁性をもつ第1絶縁部材22および第2絶縁部材23が配置されている。第1絶縁部材22の外側に位置するように、プレッシャプレート24が第1絶縁部材22と第1エンドプレート3との間に配置されている。
【0017】
図1に示すように、第1エンドプレート3はスタック2の積層方向(横方向,矢印X方向)の一端部側に配置されており、スタック2のセル20の表面方向に沿っている第1プレート部30と、第1プレート部30に対して第2エンドプレート4に向けて曲成された互いに対向する2個の第1フランジ部31とを備えている。
【0018】
図1に示すように、第2エンドプレート4はスタック2の積層方向(矢印X方向)の他端部側に配置されており、スタック2のセル20の表面方向(表面の2次元方向)に沿っている第2プレート部40と、第2プレート部40に対して曲成され互いに対向する2個の第2フランジ部41とを備えている。
【0019】
図5は第1エンドプレート3を示す。図5に示すように、第1エンドプレート3は、第1プレート部30の上部に対して曲成され外方に向かう反り防止兼用の吊り下げ用の第1上フランジ部38と、第1プレート部30の下部に対して曲成され外方に向かう反り防止兼用の設置用の第1下フランジ部39とを備えている。
【0020】
図6は第2エンドプレート4を示す。図6に示すように、第2エンドプレート4は、第2プレート部40の上部に対して曲成され外方に向かう第2上フランジ部48と、第2プレート部40の下部に対して曲成され外方に向かう第2下フランジ部49とを備えている。
【0021】
図1に示すように、付勢部材5は、第1エンドプレート3と第2エンドプレート4との間に配置されている。具体的には、付勢部材5は、第1エンドプレート3とプレッシャプレート24との間に配置されている。付勢部材5は、第1エンドプレート3および第2エンドプレート4を矢印X方向において互いに離間する方向に付勢させる。これにより付勢部材5の付勢力は、スタック2の各セル20同士を互いに密接させる方向に作用する。なお、付勢部材5はコイルバネとされているが、これに限定されるものではなく、板バネ、皿バネなどの公知のバネとしても良い。なお、付勢部材5とプレッシャプレート24との間には、バネの位置決め等の他の部材が存在する場合でも良い。
【0022】
図1および図2に示すように、テンションプレート6は、スタック2の積層方向(矢印X方向)に沿ったスタック側面23を覆うように、第1エンドプレート3と第2エンドプレート4との間に配置されている。テンションプレート6は、スタック2の積層方向と交差する方向(矢印Y方向)において、スタック2の両側に合計2個配置されている。テンションプレート6の材質は、高い強度をもつ材料(例えば炭素鋼系、合金鋼系、アルミ合金系、チタン合金系)が好ましい。殊に、高い耐引張性をもつ高張力鋼が例示される。
【0023】
図3はテンションプレート6の側面視を示す。図3に示すように、テンションプレート6は平板形状をなしており、上辺6u、下辺6d、2つの側辺6sを備えている。テンションプレート6は、矢印H方向(高さ方向)に間隔を隔てて並設された複数の第1被係合部61と、矢印H方向に間隔を隔てて並設された複数の第2被係合部62とを備えている。テンションプレート6の第1被係合部61は、第1エンドプレート3の第1係合部34に係合可能であるため、第1係合部34に対面可能な位置に形成されている。テンションプレート6の第2被係合部62は、第2エンドプレート4の第2係合部44に係合可能であるため、第2係合部44に対面可能な位置に形成されている。
【0024】
図3に示すように、テンションプレート6において、第1被係合部61は、テンションプレート6を厚み方向に貫通する第1被係合開口601と、第1被係合開口601の縁に凸をなす爪状に形成された第1被係合突起602とを備えている。第1被係合突起602は先端602eをもつ。第1被係合開口601は丸みをもつほぼ四角形状をなしており、スタック2の積層方向(矢印X方向)において互いに対向する直状をなす辺601a,辺601bと、スタック2の高さ方向(矢印H方向)において互いに対向する辺601c,辺601dとをもつ。第1被係合突起602は、辺601a,辺601bのうちスタック2の積層方向(矢印X方向)において外側の辺601aに一体に形成されており、第2エンドプレート4に向かう方向(矢印X2方向)に指向している。
【0025】
図3に示すように、第1被係合開口601を構成する辺601c,辺601dは、凹丸み状をもつ円弧軌跡で規定されている。この場合、第1被係合開口601における応力集中を緩和でき、第1被係合開口601の耐久性の向上に有利である。更に、図4に示すように、辺601aの端領域601x、辺601bの端領域601wは、それぞれ丸みをもつ。この場合、応力集中の緩和に一層有利であり、第1被係合開口601の耐久性の向上に一層有利である。
【0026】
更に、図3に示すように、テンションプレート6において、第2被係合部62は、テンションプレート6を厚み方向に貫通する第2被係合開口621と、第2被係合開口621の縁部に形成された第2被係合突起622とを備えている。第2被係合開口621は、スタック2の積層方向(矢印X方向)において互いに対向するほぼ直状をなす辺621a,辺621bと、スタック2の高さ方向(矢印H方向)において互いに対向すると共に丸みをもつ辺621c,辺621dとをもつ。第2被係合突起622は、辺621a,辺621bのうちスタック2の積層方向(矢印X方向)において外側の辺621aに形成されており、第1エンドプレート3に向かう方向(矢印X2方向)に指向している。
【0027】
図5は第1エンドプレート3を示す。図5に示すように、第1エンドプレート3の第1フランジ部31には第1係合部34が高さ方向(矢印H方向,鉛直方向)に沿って複数個(合計4個)形成されている。各第1係合部34の高さ位置は、テンションプレート6の第1被係合部61の高さ位置に対応するように設定されている。第1エンドプレート3の各第1係合部34は、第1被係合突起602が嵌まる第1凹部35を形成する第1包囲壁36を備えている。第1包囲壁36は、端面36pをもつ袋壁状(フック壁状)とされている。なお、第1包囲壁36のうち端面36pの反対側は、閉鎖されて閉鎖壁36mとされている。閉鎖壁36mは第1包囲壁36の強化に貢献できる。
【0028】
図6は第2エンドプレート4を示す。第2エンドプレート4の第2フランジ部41には第2係合部44が高さ方向(矢印H方向,鉛直方向)に沿って複数個(合計4個)形成されている。各第2係合部44の高さ位置は、テンションプレート6の第2被係合部62の高さ位置に対応するように設定されている。第2エンドプレート4の第2係合部44は、第2被係合突起622が嵌まる第2凹部45を形成する第2包囲壁46を備えている。第2包囲壁46は、端面46pをもつ袋壁状(フック壁状)とされている。なお、第2包囲壁46のうち端面46pの反対側は、閉鎖壁46mとされている。
【0029】
なお、図6に示すように、第2エンドプレート4の第2プレート部40は、酸化剤導入孔71、スタック2を冷却する冷却水導入孔73、燃料導入孔75を備えていると共に、酸化剤導出孔72、スタック2を冷却する冷却水導出孔74、燃料導出孔76を備えている。酸化剤導入孔71はスタック2の酸化剤極の入口に繋がる。冷却水導入孔73はスタック2の内部の冷却通路の入口に繋がる。燃料導入孔75はスタック2の燃料極の入口に繋がる。酸化剤導出孔72はスタック2の酸化剤極の出口に繋がる。冷却水導出孔74はスタック2の内部の冷却通路の出口に繋がる。燃料導出孔76はスタック2の燃料極の出口に繋がる。なお、各導入孔および各導出孔の位置はこれに限定されるものではなく、燃料、酸化剤および冷却水の流れ方向に応じて適宜変更できる。
【0030】
本実施形態によれば、図2に示すように、第1エンドプレート3の第1係合部34を構成する上側の第1辺壁34u、下側の第1辺壁34dは、所定の曲率で曲成された円弧凸状に形成されており、第1係合部34の第1包囲壁36の三次元ドーム化が進行している。この場合、第1係合部34における応力集中を緩和でき、第1係合部34の耐久性を向上させるのに有利である。同様に、第2エンドプレート4の第2係合部44を構成する上側の第2辺壁44u、下側の第2辺壁44dは、所定の曲率で曲成された円弧凸状に形成されており、第2係合部44の第2包囲壁46の三次元ドーム化が進行している。この場合、第2係合部44における応力集中を緩和でき、第2係合部44の耐久性を向上させるのに有利である。なお、図2において、スタック2はスタック下面2dとスタック上面2uとを備えている。
【0031】
次に、第1エンドプレート3および第2エンドプレート4にテンションプレート6を組み付ける手順について説明を加える。図7〜図10は、第1エンドプレート3の第1係合部34とテンションプレート6の第1被係合部61とを係脱可能に係合させる過程を示す。第2エンドプレート4の第2係合部44とテンションプレート6の第2被係合部62とを係合させる過程も同様である。便宜上、図7〜図10に従って、第1エンドプレート3の第1係合部34とテンションプレート6の第1被係合部61とを係合させる過程を説明する。
【0032】
図7において、矢印Y方向は、スタック2の積層方向(矢印X方向)と直交(交差)する方向を示す。矢印Y方向において、テンションプレート6の第1被係合部61の第1被係合開口601を、第1エンドプレート3の第1フランジ部31の第1係合部34に接近させた状態で対向させる。次に、テンションプレート6を第1エンドプレート3に対して矢印Y1方向(図7参照)に沿って相対移動させて更に接近させる。これにより図8に示すように、第1エンドプレート3のフック壁状をなす第1係合部34の第1包囲壁36と、テンションプレート6の第1被係合部61の第1被係合開口601とを嵌め込む(図8参照)。この場合、図示はしないものの、同様に、第2エンドプレート4の第2係合部44はテンションプレート6の第2被係合部62の第2被係合開口621に嵌め込まれる。
【0033】
この状態において、付勢部材5の付勢力が作用すると、第1エンドプレート3および第2エンドプレート4は、スタック2の積層方向(矢印X方向)において互いに離間させる方向に付勢されて相対移動する。即ち、第1係合部34がテンションプレート6の第1被係合部61の第1被係合開口601に嵌め込まれた状態において、第1エンドプレート3が矢印X1方向(付勢力の付勢方向)に付勢されて変位する(図8,図9参照)。この結果、第1エンドプレート3の第1係合部34の第1凹部35は、テンションプレート6の第1被係合部61の第1被係合突起602に嵌まり、両者の係合度が進行する(図9,図10参照)。
【0034】
図10は、組み付けが終了した状態における第1係合部34付近の斜視図を示す。図11は同断面図を示す。組み付けが完了した状態では、図10に示すように、第1係合部34の第1包囲壁36の端面36pが、第1被係合突起602をもつ辺601aに前記付勢力により強く押圧される。なお、辺601a付近(殊に、辺601a付近において第1被係合突起602付近)に応力が集中し易い領域が存在する(図10および図4において、×印として示す)。
【0035】
また図10に示すように、第1エンドプレート3の第1被係合突起602は第1凹部35内に進入し、第1包囲壁36により覆われて第1包囲壁36に係合している。このため、図10に示す第1被係合突起602は、矢印Y2方向(スタック2の積層方向と交差する方向の外方)に容易には離脱することができない。即ち、エンドプレートは矢印Y2方向(スタック2の積層方向と交差する方向の外方)に容易には離脱することができない。
【0036】
図12は、組み付けが終了した状態における第2係合部44付近の斜視図を示す。図12に示すように、第2エンドプレート4の第2被係合部62側については、第2被係合突起622をもつ辺621aは、第2係合部44の第2包囲壁46の端面46pに前記付勢力により押圧される。なお、辺621a付近(殊に、辺621a付近において第2被係合突起622付近)に応力が集中し易い領域が存在する(図12において×印として示す)。また図12に示すように、第2エンドプレート4の第2被係合突起622は第2凹部45内に進入し、第2包囲壁46により覆われて第2包囲壁46に係合している。このため、第2被係合突起622は、矢印Y2方向(スタック2の積層方向と交差する方向の外方)に容易には離脱することができない。
【0037】
なお、テンションプレート6を第1エンドプレート3および第2エンドプレート4から取り外す場合について説明する。この場合、図10に示す状態において、付勢部材5の付勢力に抗しつつ、作業者またはロボットなどが第1エンドプレート3と第2エンドプレート4との間隔を狭める。すると、第1係合部34の係合状態は、図10に示す状態→図9に示す状態→図8に示す状態に順に移行する。そして、図8に示す状態において、テンションプレート6を矢印Y2方向(スタック2のセル20の積層方向と交差する方向の外側)に相対的に移動させれば、テンションプレート6を第1エンドプレート3および第2エンドプレート4から取り外すことができる。第2係合部44についても同様である。
【0038】
以上説明したように本実施形態によれば、第1エンドプレート3とテンションプレート6との組み付け、更には、第2エンドプレート4とテンションプレート6との組み付けにあたり、付勢部材5の付勢力を利用することにより、締結ボルトを用いることなく、第1エンドプレート3の第1係合部34とテンションプレート6の第1被係合部61とを係合できる。同様に、第2エンドプレート4の第2係合部44とテンションプレート6の第2被係合部62とを係合できる。この場合に置いても、付勢部材5の付勢力を利用することにより、締結ボルトを用いることなく組み付け得る。従って、締結ボルトを廃止することができる。
【0039】
なお、必要に応じて、補助的に締結ボルトを用いても良い。この場合においても、使用される締結ボルトの数は従来よりも少なく、締結ボルトも従来よりも小型である。更に、組み付けにあたり、締結ボルトが廃止されているため、高い熟練度を廃止するのに有利である。
【0040】
また、高い引張強度を有する高張力鋼でテンションプレート6を形成すれば、テンションプレート6の強度を確保しつつこれの厚みを更に薄くでき、テンションプレート6の軽量化を図り得る。また高張力鋼等の鋼板の厚みであっても、プレス成形によって係合部を作製することができる。
【0041】
図2は第1エンドプレート3の側面視を示す。図2に示すように第1係合部34の第1包囲壁36を構成する上側の辺壁34uおよび下側の辺壁34dは、側面視において、円弧凸形状をなす。この場合、第1係合部34の第1包囲壁36における応力集中の緩和に有利である。同様に、第2係合部44の上側の辺壁44uおよび下側の辺壁44dは、側面視において、円弧凸形状をなす。この場合、第2係合部44の第2包囲壁46における応力集中の緩和に有利である。従って第1係合部34および第2係合部44の耐久性の向上に貢献できる。
【0042】
図7は、第1エンドプレート3の第1フランジ部31の第1係合部34の第1包囲壁36付近を示す。第1包囲壁36は、第1包囲壁36に隣接する小開口37を第1エンドプレート3に形成した後に、金属製の第1エンドプレート3の第1フランジ部31の壁部をプレス成形で部分的に矢印Y3方向に膨出成形させることにより、端面36pを形成しつつ、ほぼドーム形状に形成されている。この場合、プレス成形が冷間加工であれば、第1係合部34の第1包囲壁36を加工硬化により強化させて耐久性を向上させることができる。第2係合部44の第2包囲壁46についても同様である。なお、プレス成形は冷間加工に限らず、温間加工、熱間加工にしても良い。
【0043】
更に、図7に示すように、第1係合部34の第1凹部35の入口35i側には、小開口37が第1フランジ部31を厚み方向に貫通するように形成されている。この場合、小開口37が第1係合部34の第1包囲壁36に隣設して形成されているため、プレス成形の際に、第1包囲壁36の膨出成形が容易となる。ここで図7に示すように、小開口37の長さL1とし、第1係合部34の第1包囲壁36の高さ方向のサイズをL2とすると、L1はL2よりも大きく設定されている(L1>L2)。この結果、図7に示すように、小開口37は、第1凹部35の入口35iよりも外側(上側)に位置する開口部37aと、第1凹部35の入口35iよりも外側(下側)に位置する開口部37cとをもつ構造を備えている。かかる構造によれば、組み付け時、プレス成形時等における第1包囲壁36および小開口37付近の応力集中を抑えるのに有利となる。更に図7に示すように、開口部37aの縁37eと、開口部37cの縁37fとは、円弧凹状(ほぼ半円形状)とされており、前述したように端面36pが押圧されるときであっても、第1包囲壁36付近における応力集中の緩和に一層有利である。従って、第1包囲壁36の耐久性の向上を一層図り得る。
【0044】
ところで、テンションプレート6は、厚みが厚いため軽量化が要請されている。ここで、図3に示すように、第1被係合突起602および第2被係合突起622は、スタック2の積層方向(矢印X方向)に沿って突設されている。テンションプレート6は、これの厚み方向に貫通する軽量化用の開口窓65(図3参照)を複数備えている。これによりテンションプレート6が軽量化されている。開口窓65は、矢印X方向に沿って長く延設されており、長手方向の端65a,65cは半円形状をなす。テンションプレート6において、隣設する開口窓65間には壁部分6mが矢印X方向に沿って延設されている。
【0045】
換言すると、図3に示すように、開口窓65は、第1被係合開口601と第2被係合開口621との間に形成されている。ここで、図3に示す仮想線Paは、テンションプレート6において、矢印X方向において互いに隣設する第1被係合部61および第2被係合部62について、第1被係合部61を構成する第1被係合突起602の高さ方向(矢印H方向)の中心と、第2被係合部62を構成する第2被係合突起622の高さ方向(矢印H方向)の中心とを繋ぐ仮想線である。図3に示す仮想線Pc,Peは、高さ方向(矢印H方向,第1係合部34の並設方向,第2係合部44の並設方向)において互いに隣設する仮想線Pa間に位置する。図3に示すように、仮想線Paに沿って、軽量化用の開口窓65がテンションプレート6において延設されている。
【0046】
ここで、エンドプレート3,4とテンションプレート6とが組み付けられている状態のときには、図3において、第1被係合開口601のうち第1被係合突起602を有する辺601aに引張力F1(図3参照,付勢部材5の付勢力に基づく)が作用する。実際的には、引張力F1は、辺601aのうち第1被係合突起602の両脇付近に作用するが、便宜上、辺601aに作用すると取り扱うことができる。引張力F1,F2は仮想線Paに沿って作用すると考えられる。同様に、第2被係合開口621のうち第2被係合突起622を有する辺621aに引張力F2(引張力F1と反対方向,図3参照,付勢部材5の付勢力に基づく)が作用する。
【0047】
ここで、上記組み付け状態における応力解析シュミレーションの結果によれば、仮想線Pc,Peの部位においては、仮想線Paの部位よりも、引張力F1,F2の影響を受け易く、単位面積あたり応力が相対的に高くなることが確認されている。このため開口窓65は、仮想線Pc,Peの位置に形成するのではなく、仮想線Paの位置において、第1被係合開口601と第2被係合開口621との間に形成されている。上記した仮想線Pc,Peの位置には壁部分6mが形成されている。なお、テンションプレート6は高い強度をもつ材料(例えば高張力鋼)で形成されているため、開口窓65を形成しても支障がない。
【0048】
(実施形態2)
図13は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。第1包囲壁36は第1凹部35をもつ。第1凹部35において、軽量化等のため、入口35iと反対側にも開口35kが形成されている。前述したように、テンションプレート6と第1エンドプレート3とを組み付けるときには、テンションプレート6の第1被係合突起602をもつ辺601aは、第1係合部34の第1包囲壁36の端面36pに押圧されて係合する。かかる係合構造であるため、第1包囲壁36の開口35kを形成しても、係合力の維持には支障がないためである。更にプレス工程において型抜き性が容易である。本実施形態においても、第1エンドプレート3および第2エンドプレート4とテンションプレート6とは、締結ボルトを用いることなく、組み付けられる。
【0049】
(実施形態3)
図14(A)(B)は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図14(A)(B)は、第2エンドプレート4とテンションプレート6とが係合する過程を表す断面図を示す。まず、図14(A)に示すように、矢印Y方向において、テンションプレート6(一点鎖線で示す)を第2エンドプレート4の第2フランジ部41に対向させる。次に、テンションプレート6を第1エンドプレート3に対して矢印Y1方向に沿って相対移動させて更に接近させる。これにより図14(A)に示すように、第2エンドプレート4の第2フランジ部41の第2係合部44と、テンションプレート6の第2被係合部62の第2被係合開口621とを嵌め込む。
【0050】
この状態において、付勢部材5の付勢力により、第2エンドプレート4は矢印X2方向に付勢されて相対移動する。この結果、図14(B)に示すように、第2エンドプレート4の第2係合部44の第2凹部45と、テンションプレート6の第2被係合突起622とは互いに嵌合して係合される。この状態では、図14(B)に示すように、テンションプレート6の第2被係合突起622の先端622eと、第2係合部44の第2包囲壁46の内壁面46iとは、互いに当接している。このように当接している状態では、第2エンドプレート4の第2被係合突起622は、第2包囲壁46により覆われて第2包囲壁46に係合している。このため、第2被係合突起622は矢印Y2方向(スタック2の積層方向と交差する方向の外方)に離脱することができない。即ち、テンションプレート6は矢印Y2方向(スタック積層方向と交差する方向の外方)に離脱することができない。このようにして第2エンドプレート4とテンションプレート6とは、締結ボルトを用いることなく、組み付けられる。第1エンドプレート3とテンションプレート6との組み付けも同様な構造であり、締結ボルトを用いることなく、組み付けられる。
【0051】
(実施形態4)
図15(A)(B)は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。第2エンドプレート4の第2フランジ部41には、第2係合部44が形成されている。第2係合部44は、実施形態1と同様の構成をもち、第2凹部45を形成する第2包囲壁46を備えている。第2包囲壁46は袋壁状とされている。図15(A)(B)に示すように、テンションプレート6の第2被係合部62Bは、テンションプレート6をプレス成形により部分的に曲成した凸をなす爪状の第2被係合突起622Bと、第2凹み部627とを有する。第2被係合突起622Bは、テンションプレート6から第2エンドプレート4の第2プレート部40に向けてプレス成形(冷間加工,温間加工および熱間加工)により部分的に曲成されている。この場合、プレス成形が冷間加工であれば、第2被係合突起622Bの加工硬化による強化が期待される。
【0052】
図15(A)に示すように、矢印Y方向(スタック2の積層方向と交差する方向)において、テンションプレート6(一点鎖線で示す)を第2エンドプレート4の第2フランジ部41に対向させる。次に、テンションプレート6を矢印Y1方向に沿って相対移動させて接近させる。これにより図15(A)に示すように、第2エンドプレート4の第2係合部44とテンションプレート6の第2被係合部62Bとを対面させる。この状態において、付勢部材5の付勢力により、第2エンドプレート4は矢印X2方向に付勢されて相対移動する。このため図15(B)に示すように、第2エンドプレート4の第2係合部44の第2凹部45と、テンションプレート6の第2被係合部62Bの第2被係合突起622Bとは互いに嵌合して係合される。
【0053】
この状態では、図15(B)に示すように、テンションプレート6の第2被係合突起622Bは、第2エンドプレート4の第2係合部44の第2包囲壁46により覆われている。このため、第2被係合突起622Bは、矢印Y2方向(スタック2の積層方向と交差する方向の外側)に離脱することができない。なお、図示はしないものの、第1エンドプレートの第1係合部とテンションプレートの第1被係合部とが係合する過程も同様である。
【0054】
(実施形態5)
図16(A)(B)は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。第2エンドプレート4の第2フランジ部41には、第2係合部としての第2係合孔44Cが形成されている。第2係合孔44Cは、第2フランジ部41の厚み方向に貫通する。テンションプレート6の第2被係合部62Cは、テンションプレート6をプレス成形により部分的に曲成した凸をなす爪状をなす第2被係合突起622Cと、凹状部627とを有する。
【0055】
図16(A)に示すように、矢印Y方向(スタック2の積層方向と交差する方向)において、テンションプレート6(一点鎖線で示す)を第2エンドプレート4の第2フランジ部41に対向させる。次に、テンションプレート6を第2フランジ部41に対して矢印Y1方向に沿って相対移動させて接近させる。これにより図16(A)に示すように、第2エンドプレート4の第2係合開口44Cと、テンションプレート6の第2被係合部62Cとを嵌合させる。
【0056】
この状態において、付勢部材5の付勢力により、第2エンドプレート4は矢印X2方向に付勢されて相対移動する。この結果、図16(B)に示すように、テンションプレート6の第2被係合突起622Cは、第2エンドプレート4の第2係合部44Cの縁部449により覆われて縁部449に係合している。第2被係合突起622Cは、矢印Y2方向(スタック2の積層方向と交差する方向の外方)に離脱することができない。この結果、テンションプレート6は矢印Y2方向(スタック2の積層方向と交差する方向の外方)に離脱することができない。なお、図示はしないものの、第1エンドプレートの第1係合部とテンションプレートの第1被係合部とが係合する過程も同様である。
【0057】
(実施形態6)
図17は実施形態6を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。テンションプレート6には窓開口が形成されていないため、更なる強化が図られる。
【0058】
(その他)
上記した実施形態1によれば、軽量化用の開口窓65は仮想線Paに沿って形成されているが、場合によっては、仮想線Pc,Peに沿って開口窓65を形成しても良い。更に上記した実施形態1によれば、酸化剤導入孔71、冷却水導入孔73、燃料導入孔75、酸化剤導出孔72、冷却水導出孔74、燃料導出孔76が第2エンドプレート4の第2プレート部40に形成されているが、これに限らず、第1エンドプレート3の第1プレート部30に形成されていても良い。
【0059】
スタック2は、鉛直方向に沿った複数のセル20を水平方向に沿って積層させる構造であるが、これに限らず、水平方向に沿ったセル20を鉛直方向に沿って積層させる構造としても良い。第1係合部34の数は複数個であれば良い。第2係合部44の数は複数個であれば良く、第1係合部34と同数個でも良いし、異なっていても良い。
【0060】
上記した実施形態1によれば、第1係合部34の第1凹部35の入口35i側には、小開口37が第1フランジ部31を厚み方向に貫通するように形成されているが、これに限らず、小開口37は形成されていなくても良い。小開口37の長さL1としては、L1>L2とされているが、これに限定されない。小開口37は、開口部37aおよび開口部37cをもつが、これに限定されない。
【0061】
更に、第1エンドプレート3の第1上フランジ部38、第1下フランジ部39を廃止しても良い。第2エンドプレート4の第2上フランジ部48、第2下フランジ部49を廃止しても良い。第1係合突起602および第2係合突起622を強化処理(焼入処理など)しても良い。第1被係合開口601の周縁および第2被係合開口621の周縁を強化処理(例えば焼入処理など)しても良い。特に、応力が作用し易い辺601aの周縁,辺621aの周縁を強化処理(例えば焼入処理など)しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は例えば定置用、車両用、電気機器用、電子機器用、ポータブル用等の燃料電池スタック装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施形態1に係り、燃料電池スタック装置の平面に沿った断面図である。
【図2】実施形態2に係り、燃料電池スタック装置の側面図である。
【図3】テンションプレートの側面図である。
【図4】テンションプレートの第1被係合部の第1被係合開口の付近を部分的に示す側面図である。
【図5】第1係合部を有する第1エンドプレートの斜視図である。
【図6】第2係合部を有する第2エンドプレートの斜視図である。
【図7】第1エンドプレートの第1係合部とテンションプレートの第1被係合部とを係合させる直前の状態を示す斜視図である。
【図8】第1エンドプレートの第1係合部とテンションプレートの第1被係合部とを係合させる途中過程を示す斜視図である。
【図9】第1エンドプレートの第1係合部とテンションプレートの第1被係合部とを係合させる途中過程を示す斜視図である。
【図10】第1エンドプレートの第1係合部とテンションプレートの第1被係合部とが係合している状態を示す斜視図である。
【図11】(A)(B)は、第1エンドプレートの第1係合部とテンションプレートの第1被係合部とが係合する過程を示す断面図である。
【図12】第2エンドプレートの第2係合部とテンションプレートの第2被係合部とが係合している状態を示す斜視図である。
【図13】実施形態2に係り、第1エンドプレートの第1係合部とテンションプレートの第1被係合部とが係合している状態を示す斜視図である。
【図14】実施形態3に係り、(A)(B)は、第2エンドプレートの第2係合部とテンションプレートの第2被係合部とが係合する過程を示す断面図である。
【図15】実施形態4に係り、(A)(B)は、第2エンドプレートの第2係合部とテンションプレートの第2被係合部とが係合する過程を示す断面図である。
【図16】実施形態5に係り、(A)(B)は、第2エンドプレートの第2係合部とテンションプレートの第2被係合部とが係合する過程を示す断面図である。
【図17】実施形態6に係り、燃料電池スタック装置の側面図である。
【符号の説明】
【0064】
1は燃料電池スタック装置、2はスタック、20はセル、24はプレッシャプレート、3は第1エンドプレート、31は第1フランジ部、34は第1係合部、35は第1凹部、36は第1包囲壁、4は第2エンドプレート、41は第2フランジ部、44は第2係合部、45は第2凹部、46は第2包囲壁、5は付勢部材、65は開口窓、6はテンションプレート、61は第1被係合部、601は第1被係合開口、602は第1被係合突起、62は第2被係合部、621は第2被係合開口、622は第2被係合突起、Xはスタック積層方向を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明はスタックの積層方向の両側にエンドプレートを有する燃料電池スタック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池スタック装置は、燃料電池のセルを積層方向に積層して形成されたスタックと、スタックの積層方向の一端部側に配置された第1エンドプレートと、スタックの積層方向の他端部側に配置された第2エンドプレートと、スタックの各セル同士を互いに密接させる方向に付勢する付勢部材と、スタックの積層方向に沿ったスタック側面を覆うテンションプレートとを備えている。テンションプレートは、第1エンドプレートと第2エンドプレートとの間に配置されており、付勢部材の付勢力を張力として受けつつ、第1エンドプレートと第2エンドプレートとの間の間隔を規定する。
【特許文献1】特開2006−331805号公報
【特許文献2】特開2001−135344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した燃料電池スタック装置によれば、第1エンドプレートおよび第2エンドプレートとテンションプレートとの組み付けにあたり、使用する締結ボルトの数が多く、組み付け性は面倒である。
【0004】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、第1エンドプレートおよび第2エンドプレートとテンションプレートとの組み付けにあたり、使用する締結ボルトを低減または廃止するのに有利な燃料電池スタック装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)様相1に係る燃料電池スタック装置は、(i)燃料電池のセルを積層方向に積層して形成されたスタックと、(ii)スタックの積層方向の一端部側に配置され第1係合部をもつ第1エンドプレートと、(iii)スタックの積層方向の他端部側に配置され第2係合部をもつ第2エンドプレートと、(iv)第1エンドプレートと第2エンドプレートとの間に配置され第1エンドプレートおよび第2エンドプレートを互いに離間する方向に付勢させることにより、スタックの各セルを互いに密接させる方向に付勢する付勢部材と、(v)スタックの積層方向に沿ったスタック側面を覆うように第1エンドプレートと第2エンドプレートとの間に配置され、付勢部材の付勢力を受けて第1係合部に係脱可能に係合する第1被係合部と付勢部材の付勢力を受けて第2係合部に係脱可能に係合する第2被係合部とを備えるテンションプレートと、を具備していることを特徴とする。
【0006】
付勢部材は、第1エンドプレートと第2エンドプレートとの間に配置されており、第1エンドプレートおよび第2エンドプレートを互いに離間する方向に付勢させる。これによりスタックの各セル同士の密接する方向に付勢力が作用し、セル同士を密接させる。
【0007】
テンションプレートは、スタックの積層方向に沿ったスタック側面を覆うように第1エンドプレートと第2エンドプレートとの間に配置されている。付勢部材の付勢力を受け、テンションプレートの第1被係合部は、第1エンドプレートの第1係合部に係脱可能に係合する。また、付勢部材の付勢力を受け、テンションプレートの第2被係合部は、第2エンドプレートの第2係合部に係脱可能に係合する。
【0008】
上記したように付勢部材の付勢力を利用することにより、第1エンドプレートとテンションプレートとを組み付けると共に、第2エンドプレートとテンションプレートとを組み付けることができる。即ち、テンションプレートの第1被係合部と第1エンドプレートの第1係合部とを係合させる係合力の増加に、付勢部材の付勢力が作用する。またテンションプレートの第2被係合部と第2エンドプレートの第2係合部とを係合させる係合力の増加に、付勢部材の付勢力が作用する。
【0009】
(2)様相2に係る燃料電池スタック装置によれば、上記様相において、(i)スタックの積層方向と交差する方向に沿ってテンションプレートを第1エンドプレートおよび第2エンドプレートに対して相対移動させて接近させることにより、第1係合部と第1被係合部とを対面させると共に第2係合部と第2被係合部とを対面させる対面操作と、(ii)対面操作後に付勢部材の付勢力を受けて第1エンドプレートおよび第2エンドプレートをスタックの積層方向において互いに離間させる方向に付勢させて相対移動させる付勢操作とにより、(iii)第1エンドプレートの第1係合部は、テンションプレートの第1被係合部と係脱可能に係合すると共に、第2エンドプレートの第2係合部は、テンションプレートの第2被係合部と係脱可能に係合する。
【0010】
かかる対面操作と付勢操作により、第1エンドプレートおよび第2エンドプレートとテンションプレートとの組み付けを、付勢部材の付勢力を利用することにより、実施することができる。この結果、付勢部材の付勢力を受けて、テンションプレートの第1被係合部は、第1エンドプレートの第1係合部に係脱可能に係合することができる。また、付勢部材の付勢力を受けて、テンションプレートの第2被係合部は、第2エンドプレートの第2係合部に係脱可能に係合することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上記したように付勢部材の付勢力を利用することにより、第1エンドプレートおよび第2エンドプレートとテンションプレートとの組み付けを実施することができる。この場合、付勢部材の付勢力を利用するため、第1エンドプレートおよび第2エンドプレートとテンションプレートとの組み付けにあたり、使用する締結ボルトの数を低減したり、締結ボルトを廃止したりできる。なお補助的であれば、締結ボルトを使用しても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
各様相によれば、第1エンドプレートの第1係合部としては、凸状でも良いし、凹状でも良い。同様に第2エンドプレートの第2係合部としては、凸状でも良いし、凹状でも良い。要するに、第1係合部としては、テンションプレートの第1被係合部と係脱可能に係合できるものであれば良い。第2係合部としては、テンションプレートの第2被係合部と係脱可能に係合できるものであれば良い。テンションプレートの第1被係合部および第2被係合部としては、凸状でも良いし、凹状でも良い。
【0013】
テンションプレートの第1被係合部は、テンションプレートを厚み方向に貫通する第1被係合開口と、第1被係合開口の縁部に形成された第1被係合突起とを備えていることが好ましい。テンションプレートの第2被係合部は、テンションプレートを厚み方向に貫通する第2被係合開口と、第2被係合開口の縁部に形成された第2被係合突起とを備えていることが好ましい。第1エンドプレートの第1係合部は、第1被係合突起が嵌まる第1凹部を形成する第1包囲壁を備えていることが好ましい。第2エンドプレートの第2係合部は、第2被係合突起が嵌まる第2凹部を形成する第2包囲壁を備えていることが好ましい。
【0014】
テンションプレートは軽量化用の開口窓を備えている形態が例示される。これによりテンションプレートが軽量化される。開口窓は、テンションプレートにおいて、第1被係合部と第2被係合部との間に形成されている形態が例示される。
【0015】
第1エンドプレート及び第2エンドプレートの材質としては、炭素鋼系や合金鋼等の金属、硬質樹脂、セラミックス等が挙げられる。テンションプレートの材質としては、炭素鋼系や合金鋼等の金属、硬質樹脂、セラミックス等が挙げられる。殊に、高張力鋼が例示される。
【0016】
(実施形態1)
本発明を具体化した実施形態1について図1〜図12を参照しつ説明する。燃料電池スタック装置1は定置用でも車両用でも良い。図1は燃料電池スタック装置1の平面視を示す。図2は燃料電池スタック装置1の側面視を示す。図1に示すように、燃料電池スタック装置1は、燃料電池のスタック2と、第1エンドプレート3と、第2エンドプレート4と、付勢部材5と、スタック2の積層方向(矢印X方向)に沿ったスタック側面23をそれぞれ覆うように対向するテンションプレート6(合計2個)とを備えている。スタック2は、燃料電池のプレート状のセル20を積層方向(矢印X方向)に積層して形成されている。セル20は、固体高分子系または無機系のイオン伝導膜を有する膜電極接合体と、膜電極接合体の燃料極に燃料を供給する燃料用の配流板と、膜電極接合体の酸化剤極に酸化剤を供給する酸化剤用の配流板とを備えている。図1に示すように、スタック2の積層方向(矢印X方向)において、スタック2の外側には、電気エネルギ取り出し用の端子部材21が配置されている。スタック2の積層方向(矢印X方向)において、スタック2の外側には、電気絶縁性をもつ第1絶縁部材22および第2絶縁部材23が配置されている。第1絶縁部材22の外側に位置するように、プレッシャプレート24が第1絶縁部材22と第1エンドプレート3との間に配置されている。
【0017】
図1に示すように、第1エンドプレート3はスタック2の積層方向(横方向,矢印X方向)の一端部側に配置されており、スタック2のセル20の表面方向に沿っている第1プレート部30と、第1プレート部30に対して第2エンドプレート4に向けて曲成された互いに対向する2個の第1フランジ部31とを備えている。
【0018】
図1に示すように、第2エンドプレート4はスタック2の積層方向(矢印X方向)の他端部側に配置されており、スタック2のセル20の表面方向(表面の2次元方向)に沿っている第2プレート部40と、第2プレート部40に対して曲成され互いに対向する2個の第2フランジ部41とを備えている。
【0019】
図5は第1エンドプレート3を示す。図5に示すように、第1エンドプレート3は、第1プレート部30の上部に対して曲成され外方に向かう反り防止兼用の吊り下げ用の第1上フランジ部38と、第1プレート部30の下部に対して曲成され外方に向かう反り防止兼用の設置用の第1下フランジ部39とを備えている。
【0020】
図6は第2エンドプレート4を示す。図6に示すように、第2エンドプレート4は、第2プレート部40の上部に対して曲成され外方に向かう第2上フランジ部48と、第2プレート部40の下部に対して曲成され外方に向かう第2下フランジ部49とを備えている。
【0021】
図1に示すように、付勢部材5は、第1エンドプレート3と第2エンドプレート4との間に配置されている。具体的には、付勢部材5は、第1エンドプレート3とプレッシャプレート24との間に配置されている。付勢部材5は、第1エンドプレート3および第2エンドプレート4を矢印X方向において互いに離間する方向に付勢させる。これにより付勢部材5の付勢力は、スタック2の各セル20同士を互いに密接させる方向に作用する。なお、付勢部材5はコイルバネとされているが、これに限定されるものではなく、板バネ、皿バネなどの公知のバネとしても良い。なお、付勢部材5とプレッシャプレート24との間には、バネの位置決め等の他の部材が存在する場合でも良い。
【0022】
図1および図2に示すように、テンションプレート6は、スタック2の積層方向(矢印X方向)に沿ったスタック側面23を覆うように、第1エンドプレート3と第2エンドプレート4との間に配置されている。テンションプレート6は、スタック2の積層方向と交差する方向(矢印Y方向)において、スタック2の両側に合計2個配置されている。テンションプレート6の材質は、高い強度をもつ材料(例えば炭素鋼系、合金鋼系、アルミ合金系、チタン合金系)が好ましい。殊に、高い耐引張性をもつ高張力鋼が例示される。
【0023】
図3はテンションプレート6の側面視を示す。図3に示すように、テンションプレート6は平板形状をなしており、上辺6u、下辺6d、2つの側辺6sを備えている。テンションプレート6は、矢印H方向(高さ方向)に間隔を隔てて並設された複数の第1被係合部61と、矢印H方向に間隔を隔てて並設された複数の第2被係合部62とを備えている。テンションプレート6の第1被係合部61は、第1エンドプレート3の第1係合部34に係合可能であるため、第1係合部34に対面可能な位置に形成されている。テンションプレート6の第2被係合部62は、第2エンドプレート4の第2係合部44に係合可能であるため、第2係合部44に対面可能な位置に形成されている。
【0024】
図3に示すように、テンションプレート6において、第1被係合部61は、テンションプレート6を厚み方向に貫通する第1被係合開口601と、第1被係合開口601の縁に凸をなす爪状に形成された第1被係合突起602とを備えている。第1被係合突起602は先端602eをもつ。第1被係合開口601は丸みをもつほぼ四角形状をなしており、スタック2の積層方向(矢印X方向)において互いに対向する直状をなす辺601a,辺601bと、スタック2の高さ方向(矢印H方向)において互いに対向する辺601c,辺601dとをもつ。第1被係合突起602は、辺601a,辺601bのうちスタック2の積層方向(矢印X方向)において外側の辺601aに一体に形成されており、第2エンドプレート4に向かう方向(矢印X2方向)に指向している。
【0025】
図3に示すように、第1被係合開口601を構成する辺601c,辺601dは、凹丸み状をもつ円弧軌跡で規定されている。この場合、第1被係合開口601における応力集中を緩和でき、第1被係合開口601の耐久性の向上に有利である。更に、図4に示すように、辺601aの端領域601x、辺601bの端領域601wは、それぞれ丸みをもつ。この場合、応力集中の緩和に一層有利であり、第1被係合開口601の耐久性の向上に一層有利である。
【0026】
更に、図3に示すように、テンションプレート6において、第2被係合部62は、テンションプレート6を厚み方向に貫通する第2被係合開口621と、第2被係合開口621の縁部に形成された第2被係合突起622とを備えている。第2被係合開口621は、スタック2の積層方向(矢印X方向)において互いに対向するほぼ直状をなす辺621a,辺621bと、スタック2の高さ方向(矢印H方向)において互いに対向すると共に丸みをもつ辺621c,辺621dとをもつ。第2被係合突起622は、辺621a,辺621bのうちスタック2の積層方向(矢印X方向)において外側の辺621aに形成されており、第1エンドプレート3に向かう方向(矢印X2方向)に指向している。
【0027】
図5は第1エンドプレート3を示す。図5に示すように、第1エンドプレート3の第1フランジ部31には第1係合部34が高さ方向(矢印H方向,鉛直方向)に沿って複数個(合計4個)形成されている。各第1係合部34の高さ位置は、テンションプレート6の第1被係合部61の高さ位置に対応するように設定されている。第1エンドプレート3の各第1係合部34は、第1被係合突起602が嵌まる第1凹部35を形成する第1包囲壁36を備えている。第1包囲壁36は、端面36pをもつ袋壁状(フック壁状)とされている。なお、第1包囲壁36のうち端面36pの反対側は、閉鎖されて閉鎖壁36mとされている。閉鎖壁36mは第1包囲壁36の強化に貢献できる。
【0028】
図6は第2エンドプレート4を示す。第2エンドプレート4の第2フランジ部41には第2係合部44が高さ方向(矢印H方向,鉛直方向)に沿って複数個(合計4個)形成されている。各第2係合部44の高さ位置は、テンションプレート6の第2被係合部62の高さ位置に対応するように設定されている。第2エンドプレート4の第2係合部44は、第2被係合突起622が嵌まる第2凹部45を形成する第2包囲壁46を備えている。第2包囲壁46は、端面46pをもつ袋壁状(フック壁状)とされている。なお、第2包囲壁46のうち端面46pの反対側は、閉鎖壁46mとされている。
【0029】
なお、図6に示すように、第2エンドプレート4の第2プレート部40は、酸化剤導入孔71、スタック2を冷却する冷却水導入孔73、燃料導入孔75を備えていると共に、酸化剤導出孔72、スタック2を冷却する冷却水導出孔74、燃料導出孔76を備えている。酸化剤導入孔71はスタック2の酸化剤極の入口に繋がる。冷却水導入孔73はスタック2の内部の冷却通路の入口に繋がる。燃料導入孔75はスタック2の燃料極の入口に繋がる。酸化剤導出孔72はスタック2の酸化剤極の出口に繋がる。冷却水導出孔74はスタック2の内部の冷却通路の出口に繋がる。燃料導出孔76はスタック2の燃料極の出口に繋がる。なお、各導入孔および各導出孔の位置はこれに限定されるものではなく、燃料、酸化剤および冷却水の流れ方向に応じて適宜変更できる。
【0030】
本実施形態によれば、図2に示すように、第1エンドプレート3の第1係合部34を構成する上側の第1辺壁34u、下側の第1辺壁34dは、所定の曲率で曲成された円弧凸状に形成されており、第1係合部34の第1包囲壁36の三次元ドーム化が進行している。この場合、第1係合部34における応力集中を緩和でき、第1係合部34の耐久性を向上させるのに有利である。同様に、第2エンドプレート4の第2係合部44を構成する上側の第2辺壁44u、下側の第2辺壁44dは、所定の曲率で曲成された円弧凸状に形成されており、第2係合部44の第2包囲壁46の三次元ドーム化が進行している。この場合、第2係合部44における応力集中を緩和でき、第2係合部44の耐久性を向上させるのに有利である。なお、図2において、スタック2はスタック下面2dとスタック上面2uとを備えている。
【0031】
次に、第1エンドプレート3および第2エンドプレート4にテンションプレート6を組み付ける手順について説明を加える。図7〜図10は、第1エンドプレート3の第1係合部34とテンションプレート6の第1被係合部61とを係脱可能に係合させる過程を示す。第2エンドプレート4の第2係合部44とテンションプレート6の第2被係合部62とを係合させる過程も同様である。便宜上、図7〜図10に従って、第1エンドプレート3の第1係合部34とテンションプレート6の第1被係合部61とを係合させる過程を説明する。
【0032】
図7において、矢印Y方向は、スタック2の積層方向(矢印X方向)と直交(交差)する方向を示す。矢印Y方向において、テンションプレート6の第1被係合部61の第1被係合開口601を、第1エンドプレート3の第1フランジ部31の第1係合部34に接近させた状態で対向させる。次に、テンションプレート6を第1エンドプレート3に対して矢印Y1方向(図7参照)に沿って相対移動させて更に接近させる。これにより図8に示すように、第1エンドプレート3のフック壁状をなす第1係合部34の第1包囲壁36と、テンションプレート6の第1被係合部61の第1被係合開口601とを嵌め込む(図8参照)。この場合、図示はしないものの、同様に、第2エンドプレート4の第2係合部44はテンションプレート6の第2被係合部62の第2被係合開口621に嵌め込まれる。
【0033】
この状態において、付勢部材5の付勢力が作用すると、第1エンドプレート3および第2エンドプレート4は、スタック2の積層方向(矢印X方向)において互いに離間させる方向に付勢されて相対移動する。即ち、第1係合部34がテンションプレート6の第1被係合部61の第1被係合開口601に嵌め込まれた状態において、第1エンドプレート3が矢印X1方向(付勢力の付勢方向)に付勢されて変位する(図8,図9参照)。この結果、第1エンドプレート3の第1係合部34の第1凹部35は、テンションプレート6の第1被係合部61の第1被係合突起602に嵌まり、両者の係合度が進行する(図9,図10参照)。
【0034】
図10は、組み付けが終了した状態における第1係合部34付近の斜視図を示す。図11は同断面図を示す。組み付けが完了した状態では、図10に示すように、第1係合部34の第1包囲壁36の端面36pが、第1被係合突起602をもつ辺601aに前記付勢力により強く押圧される。なお、辺601a付近(殊に、辺601a付近において第1被係合突起602付近)に応力が集中し易い領域が存在する(図10および図4において、×印として示す)。
【0035】
また図10に示すように、第1エンドプレート3の第1被係合突起602は第1凹部35内に進入し、第1包囲壁36により覆われて第1包囲壁36に係合している。このため、図10に示す第1被係合突起602は、矢印Y2方向(スタック2の積層方向と交差する方向の外方)に容易には離脱することができない。即ち、エンドプレートは矢印Y2方向(スタック2の積層方向と交差する方向の外方)に容易には離脱することができない。
【0036】
図12は、組み付けが終了した状態における第2係合部44付近の斜視図を示す。図12に示すように、第2エンドプレート4の第2被係合部62側については、第2被係合突起622をもつ辺621aは、第2係合部44の第2包囲壁46の端面46pに前記付勢力により押圧される。なお、辺621a付近(殊に、辺621a付近において第2被係合突起622付近)に応力が集中し易い領域が存在する(図12において×印として示す)。また図12に示すように、第2エンドプレート4の第2被係合突起622は第2凹部45内に進入し、第2包囲壁46により覆われて第2包囲壁46に係合している。このため、第2被係合突起622は、矢印Y2方向(スタック2の積層方向と交差する方向の外方)に容易には離脱することができない。
【0037】
なお、テンションプレート6を第1エンドプレート3および第2エンドプレート4から取り外す場合について説明する。この場合、図10に示す状態において、付勢部材5の付勢力に抗しつつ、作業者またはロボットなどが第1エンドプレート3と第2エンドプレート4との間隔を狭める。すると、第1係合部34の係合状態は、図10に示す状態→図9に示す状態→図8に示す状態に順に移行する。そして、図8に示す状態において、テンションプレート6を矢印Y2方向(スタック2のセル20の積層方向と交差する方向の外側)に相対的に移動させれば、テンションプレート6を第1エンドプレート3および第2エンドプレート4から取り外すことができる。第2係合部44についても同様である。
【0038】
以上説明したように本実施形態によれば、第1エンドプレート3とテンションプレート6との組み付け、更には、第2エンドプレート4とテンションプレート6との組み付けにあたり、付勢部材5の付勢力を利用することにより、締結ボルトを用いることなく、第1エンドプレート3の第1係合部34とテンションプレート6の第1被係合部61とを係合できる。同様に、第2エンドプレート4の第2係合部44とテンションプレート6の第2被係合部62とを係合できる。この場合に置いても、付勢部材5の付勢力を利用することにより、締結ボルトを用いることなく組み付け得る。従って、締結ボルトを廃止することができる。
【0039】
なお、必要に応じて、補助的に締結ボルトを用いても良い。この場合においても、使用される締結ボルトの数は従来よりも少なく、締結ボルトも従来よりも小型である。更に、組み付けにあたり、締結ボルトが廃止されているため、高い熟練度を廃止するのに有利である。
【0040】
また、高い引張強度を有する高張力鋼でテンションプレート6を形成すれば、テンションプレート6の強度を確保しつつこれの厚みを更に薄くでき、テンションプレート6の軽量化を図り得る。また高張力鋼等の鋼板の厚みであっても、プレス成形によって係合部を作製することができる。
【0041】
図2は第1エンドプレート3の側面視を示す。図2に示すように第1係合部34の第1包囲壁36を構成する上側の辺壁34uおよび下側の辺壁34dは、側面視において、円弧凸形状をなす。この場合、第1係合部34の第1包囲壁36における応力集中の緩和に有利である。同様に、第2係合部44の上側の辺壁44uおよび下側の辺壁44dは、側面視において、円弧凸形状をなす。この場合、第2係合部44の第2包囲壁46における応力集中の緩和に有利である。従って第1係合部34および第2係合部44の耐久性の向上に貢献できる。
【0042】
図7は、第1エンドプレート3の第1フランジ部31の第1係合部34の第1包囲壁36付近を示す。第1包囲壁36は、第1包囲壁36に隣接する小開口37を第1エンドプレート3に形成した後に、金属製の第1エンドプレート3の第1フランジ部31の壁部をプレス成形で部分的に矢印Y3方向に膨出成形させることにより、端面36pを形成しつつ、ほぼドーム形状に形成されている。この場合、プレス成形が冷間加工であれば、第1係合部34の第1包囲壁36を加工硬化により強化させて耐久性を向上させることができる。第2係合部44の第2包囲壁46についても同様である。なお、プレス成形は冷間加工に限らず、温間加工、熱間加工にしても良い。
【0043】
更に、図7に示すように、第1係合部34の第1凹部35の入口35i側には、小開口37が第1フランジ部31を厚み方向に貫通するように形成されている。この場合、小開口37が第1係合部34の第1包囲壁36に隣設して形成されているため、プレス成形の際に、第1包囲壁36の膨出成形が容易となる。ここで図7に示すように、小開口37の長さL1とし、第1係合部34の第1包囲壁36の高さ方向のサイズをL2とすると、L1はL2よりも大きく設定されている(L1>L2)。この結果、図7に示すように、小開口37は、第1凹部35の入口35iよりも外側(上側)に位置する開口部37aと、第1凹部35の入口35iよりも外側(下側)に位置する開口部37cとをもつ構造を備えている。かかる構造によれば、組み付け時、プレス成形時等における第1包囲壁36および小開口37付近の応力集中を抑えるのに有利となる。更に図7に示すように、開口部37aの縁37eと、開口部37cの縁37fとは、円弧凹状(ほぼ半円形状)とされており、前述したように端面36pが押圧されるときであっても、第1包囲壁36付近における応力集中の緩和に一層有利である。従って、第1包囲壁36の耐久性の向上を一層図り得る。
【0044】
ところで、テンションプレート6は、厚みが厚いため軽量化が要請されている。ここで、図3に示すように、第1被係合突起602および第2被係合突起622は、スタック2の積層方向(矢印X方向)に沿って突設されている。テンションプレート6は、これの厚み方向に貫通する軽量化用の開口窓65(図3参照)を複数備えている。これによりテンションプレート6が軽量化されている。開口窓65は、矢印X方向に沿って長く延設されており、長手方向の端65a,65cは半円形状をなす。テンションプレート6において、隣設する開口窓65間には壁部分6mが矢印X方向に沿って延設されている。
【0045】
換言すると、図3に示すように、開口窓65は、第1被係合開口601と第2被係合開口621との間に形成されている。ここで、図3に示す仮想線Paは、テンションプレート6において、矢印X方向において互いに隣設する第1被係合部61および第2被係合部62について、第1被係合部61を構成する第1被係合突起602の高さ方向(矢印H方向)の中心と、第2被係合部62を構成する第2被係合突起622の高さ方向(矢印H方向)の中心とを繋ぐ仮想線である。図3に示す仮想線Pc,Peは、高さ方向(矢印H方向,第1係合部34の並設方向,第2係合部44の並設方向)において互いに隣設する仮想線Pa間に位置する。図3に示すように、仮想線Paに沿って、軽量化用の開口窓65がテンションプレート6において延設されている。
【0046】
ここで、エンドプレート3,4とテンションプレート6とが組み付けられている状態のときには、図3において、第1被係合開口601のうち第1被係合突起602を有する辺601aに引張力F1(図3参照,付勢部材5の付勢力に基づく)が作用する。実際的には、引張力F1は、辺601aのうち第1被係合突起602の両脇付近に作用するが、便宜上、辺601aに作用すると取り扱うことができる。引張力F1,F2は仮想線Paに沿って作用すると考えられる。同様に、第2被係合開口621のうち第2被係合突起622を有する辺621aに引張力F2(引張力F1と反対方向,図3参照,付勢部材5の付勢力に基づく)が作用する。
【0047】
ここで、上記組み付け状態における応力解析シュミレーションの結果によれば、仮想線Pc,Peの部位においては、仮想線Paの部位よりも、引張力F1,F2の影響を受け易く、単位面積あたり応力が相対的に高くなることが確認されている。このため開口窓65は、仮想線Pc,Peの位置に形成するのではなく、仮想線Paの位置において、第1被係合開口601と第2被係合開口621との間に形成されている。上記した仮想線Pc,Peの位置には壁部分6mが形成されている。なお、テンションプレート6は高い強度をもつ材料(例えば高張力鋼)で形成されているため、開口窓65を形成しても支障がない。
【0048】
(実施形態2)
図13は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。第1包囲壁36は第1凹部35をもつ。第1凹部35において、軽量化等のため、入口35iと反対側にも開口35kが形成されている。前述したように、テンションプレート6と第1エンドプレート3とを組み付けるときには、テンションプレート6の第1被係合突起602をもつ辺601aは、第1係合部34の第1包囲壁36の端面36pに押圧されて係合する。かかる係合構造であるため、第1包囲壁36の開口35kを形成しても、係合力の維持には支障がないためである。更にプレス工程において型抜き性が容易である。本実施形態においても、第1エンドプレート3および第2エンドプレート4とテンションプレート6とは、締結ボルトを用いることなく、組み付けられる。
【0049】
(実施形態3)
図14(A)(B)は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図14(A)(B)は、第2エンドプレート4とテンションプレート6とが係合する過程を表す断面図を示す。まず、図14(A)に示すように、矢印Y方向において、テンションプレート6(一点鎖線で示す)を第2エンドプレート4の第2フランジ部41に対向させる。次に、テンションプレート6を第1エンドプレート3に対して矢印Y1方向に沿って相対移動させて更に接近させる。これにより図14(A)に示すように、第2エンドプレート4の第2フランジ部41の第2係合部44と、テンションプレート6の第2被係合部62の第2被係合開口621とを嵌め込む。
【0050】
この状態において、付勢部材5の付勢力により、第2エンドプレート4は矢印X2方向に付勢されて相対移動する。この結果、図14(B)に示すように、第2エンドプレート4の第2係合部44の第2凹部45と、テンションプレート6の第2被係合突起622とは互いに嵌合して係合される。この状態では、図14(B)に示すように、テンションプレート6の第2被係合突起622の先端622eと、第2係合部44の第2包囲壁46の内壁面46iとは、互いに当接している。このように当接している状態では、第2エンドプレート4の第2被係合突起622は、第2包囲壁46により覆われて第2包囲壁46に係合している。このため、第2被係合突起622は矢印Y2方向(スタック2の積層方向と交差する方向の外方)に離脱することができない。即ち、テンションプレート6は矢印Y2方向(スタック積層方向と交差する方向の外方)に離脱することができない。このようにして第2エンドプレート4とテンションプレート6とは、締結ボルトを用いることなく、組み付けられる。第1エンドプレート3とテンションプレート6との組み付けも同様な構造であり、締結ボルトを用いることなく、組み付けられる。
【0051】
(実施形態4)
図15(A)(B)は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。第2エンドプレート4の第2フランジ部41には、第2係合部44が形成されている。第2係合部44は、実施形態1と同様の構成をもち、第2凹部45を形成する第2包囲壁46を備えている。第2包囲壁46は袋壁状とされている。図15(A)(B)に示すように、テンションプレート6の第2被係合部62Bは、テンションプレート6をプレス成形により部分的に曲成した凸をなす爪状の第2被係合突起622Bと、第2凹み部627とを有する。第2被係合突起622Bは、テンションプレート6から第2エンドプレート4の第2プレート部40に向けてプレス成形(冷間加工,温間加工および熱間加工)により部分的に曲成されている。この場合、プレス成形が冷間加工であれば、第2被係合突起622Bの加工硬化による強化が期待される。
【0052】
図15(A)に示すように、矢印Y方向(スタック2の積層方向と交差する方向)において、テンションプレート6(一点鎖線で示す)を第2エンドプレート4の第2フランジ部41に対向させる。次に、テンションプレート6を矢印Y1方向に沿って相対移動させて接近させる。これにより図15(A)に示すように、第2エンドプレート4の第2係合部44とテンションプレート6の第2被係合部62Bとを対面させる。この状態において、付勢部材5の付勢力により、第2エンドプレート4は矢印X2方向に付勢されて相対移動する。このため図15(B)に示すように、第2エンドプレート4の第2係合部44の第2凹部45と、テンションプレート6の第2被係合部62Bの第2被係合突起622Bとは互いに嵌合して係合される。
【0053】
この状態では、図15(B)に示すように、テンションプレート6の第2被係合突起622Bは、第2エンドプレート4の第2係合部44の第2包囲壁46により覆われている。このため、第2被係合突起622Bは、矢印Y2方向(スタック2の積層方向と交差する方向の外側)に離脱することができない。なお、図示はしないものの、第1エンドプレートの第1係合部とテンションプレートの第1被係合部とが係合する過程も同様である。
【0054】
(実施形態5)
図16(A)(B)は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。第2エンドプレート4の第2フランジ部41には、第2係合部としての第2係合孔44Cが形成されている。第2係合孔44Cは、第2フランジ部41の厚み方向に貫通する。テンションプレート6の第2被係合部62Cは、テンションプレート6をプレス成形により部分的に曲成した凸をなす爪状をなす第2被係合突起622Cと、凹状部627とを有する。
【0055】
図16(A)に示すように、矢印Y方向(スタック2の積層方向と交差する方向)において、テンションプレート6(一点鎖線で示す)を第2エンドプレート4の第2フランジ部41に対向させる。次に、テンションプレート6を第2フランジ部41に対して矢印Y1方向に沿って相対移動させて接近させる。これにより図16(A)に示すように、第2エンドプレート4の第2係合開口44Cと、テンションプレート6の第2被係合部62Cとを嵌合させる。
【0056】
この状態において、付勢部材5の付勢力により、第2エンドプレート4は矢印X2方向に付勢されて相対移動する。この結果、図16(B)に示すように、テンションプレート6の第2被係合突起622Cは、第2エンドプレート4の第2係合部44Cの縁部449により覆われて縁部449に係合している。第2被係合突起622Cは、矢印Y2方向(スタック2の積層方向と交差する方向の外方)に離脱することができない。この結果、テンションプレート6は矢印Y2方向(スタック2の積層方向と交差する方向の外方)に離脱することができない。なお、図示はしないものの、第1エンドプレートの第1係合部とテンションプレートの第1被係合部とが係合する過程も同様である。
【0057】
(実施形態6)
図17は実施形態6を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。テンションプレート6には窓開口が形成されていないため、更なる強化が図られる。
【0058】
(その他)
上記した実施形態1によれば、軽量化用の開口窓65は仮想線Paに沿って形成されているが、場合によっては、仮想線Pc,Peに沿って開口窓65を形成しても良い。更に上記した実施形態1によれば、酸化剤導入孔71、冷却水導入孔73、燃料導入孔75、酸化剤導出孔72、冷却水導出孔74、燃料導出孔76が第2エンドプレート4の第2プレート部40に形成されているが、これに限らず、第1エンドプレート3の第1プレート部30に形成されていても良い。
【0059】
スタック2は、鉛直方向に沿った複数のセル20を水平方向に沿って積層させる構造であるが、これに限らず、水平方向に沿ったセル20を鉛直方向に沿って積層させる構造としても良い。第1係合部34の数は複数個であれば良い。第2係合部44の数は複数個であれば良く、第1係合部34と同数個でも良いし、異なっていても良い。
【0060】
上記した実施形態1によれば、第1係合部34の第1凹部35の入口35i側には、小開口37が第1フランジ部31を厚み方向に貫通するように形成されているが、これに限らず、小開口37は形成されていなくても良い。小開口37の長さL1としては、L1>L2とされているが、これに限定されない。小開口37は、開口部37aおよび開口部37cをもつが、これに限定されない。
【0061】
更に、第1エンドプレート3の第1上フランジ部38、第1下フランジ部39を廃止しても良い。第2エンドプレート4の第2上フランジ部48、第2下フランジ部49を廃止しても良い。第1係合突起602および第2係合突起622を強化処理(焼入処理など)しても良い。第1被係合開口601の周縁および第2被係合開口621の周縁を強化処理(例えば焼入処理など)しても良い。特に、応力が作用し易い辺601aの周縁,辺621aの周縁を強化処理(例えば焼入処理など)しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は例えば定置用、車両用、電気機器用、電子機器用、ポータブル用等の燃料電池スタック装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施形態1に係り、燃料電池スタック装置の平面に沿った断面図である。
【図2】実施形態2に係り、燃料電池スタック装置の側面図である。
【図3】テンションプレートの側面図である。
【図4】テンションプレートの第1被係合部の第1被係合開口の付近を部分的に示す側面図である。
【図5】第1係合部を有する第1エンドプレートの斜視図である。
【図6】第2係合部を有する第2エンドプレートの斜視図である。
【図7】第1エンドプレートの第1係合部とテンションプレートの第1被係合部とを係合させる直前の状態を示す斜視図である。
【図8】第1エンドプレートの第1係合部とテンションプレートの第1被係合部とを係合させる途中過程を示す斜視図である。
【図9】第1エンドプレートの第1係合部とテンションプレートの第1被係合部とを係合させる途中過程を示す斜視図である。
【図10】第1エンドプレートの第1係合部とテンションプレートの第1被係合部とが係合している状態を示す斜視図である。
【図11】(A)(B)は、第1エンドプレートの第1係合部とテンションプレートの第1被係合部とが係合する過程を示す断面図である。
【図12】第2エンドプレートの第2係合部とテンションプレートの第2被係合部とが係合している状態を示す斜視図である。
【図13】実施形態2に係り、第1エンドプレートの第1係合部とテンションプレートの第1被係合部とが係合している状態を示す斜視図である。
【図14】実施形態3に係り、(A)(B)は、第2エンドプレートの第2係合部とテンションプレートの第2被係合部とが係合する過程を示す断面図である。
【図15】実施形態4に係り、(A)(B)は、第2エンドプレートの第2係合部とテンションプレートの第2被係合部とが係合する過程を示す断面図である。
【図16】実施形態5に係り、(A)(B)は、第2エンドプレートの第2係合部とテンションプレートの第2被係合部とが係合する過程を示す断面図である。
【図17】実施形態6に係り、燃料電池スタック装置の側面図である。
【符号の説明】
【0064】
1は燃料電池スタック装置、2はスタック、20はセル、24はプレッシャプレート、3は第1エンドプレート、31は第1フランジ部、34は第1係合部、35は第1凹部、36は第1包囲壁、4は第2エンドプレート、41は第2フランジ部、44は第2係合部、45は第2凹部、46は第2包囲壁、5は付勢部材、65は開口窓、6はテンションプレート、61は第1被係合部、601は第1被係合開口、602は第1被係合突起、62は第2被係合部、621は第2被係合開口、622は第2被係合突起、Xはスタック積層方向を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池のセルを積層方向に積層して形成されたスタックと、
前記スタックの積層方向の一端部側に配置され第1係合部をもつ第1エンドプレートと、
前記スタックの積層方向の他端部側に配置され第2係合部をもつ第2エンドプレートと、
前記第1エンドプレートと前記第2エンドプレートとの間に配置され前記第1エンドプレートおよび前記第2エンドプレートを互いに離間する方向に付勢させることにより、前記スタックの各前記セル同士を互いに密接させる方向に付勢する付勢部材と、
前記スタックの積層方向に沿ったスタック側面を覆うように前記第1エンドプレートと前記第2エンドプレートとの間に配置され、前記付勢部材の付勢力を受けて前記第1係合部に係脱可能に係合する前記第1被係合部と前記付勢部材の付勢力を受けて前記第2係合部に係脱可能に係合する第2被係合部とを備えるテンションプレートと、を具備していることを特徴とする燃料電池スタック装置。
【請求項2】
請求項1において、前記スタックの積層方向と交差する方向に沿って前記テンションプレートを前記第1エンドプレートおよび前記第2エンドプレートに対して相対移動させて接近させることにより、前記第1係合部と前記第1被係合部とを対面させると共に前記第2係合部と前記第2被係合部とを対面させる対面操作と、前記対面操作後に前記付勢部材の付勢力を受けて前記第1エンドプレートおよび前記第2エンドプレートを前記スタックの積層方向において互いに離間させる方向に付勢させて相対移動させる付勢操作とにより、
前記第1エンドプレートの前記第1係合部は、前記テンションプレートの前記第1被係合部と係脱可能に係合すると共に、前記第2エンドプレートの前記第2係合部は、前記テンションプレートの前記第2被係合部と係脱可能に係合することを特徴とする燃料電池スタック装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記テンションプレートの前記第1被係合部は、前記テンションプレートを厚み方向に貫通する第1被係合開口と、前記第1被係合開口の縁部に形成された第1被係合突起とを備えており、
前記テンションプレートの前記第2被係合部は、前記テンションプレートを厚み方向に貫通する第2被係合開口と、前記第2被係合開口の縁部に形成された第2被係合突起とを備えており、
前記第1エンドプレートの前記第1係合部は、前記第1被係合突起が嵌まる第1凹部を形成する第1包囲壁を備え、
前記第2エンドプレートの前記第2係合部は、前記第2被係合突起が嵌まる第2凹部を形成する第2包囲壁を備えていることを特徴とする燃料電池スタック装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記テンションプレートは軽量化用の開口窓を備えていることを特徴とする燃料電池スタック装置。
【請求項5】
請求項4において、前記開口窓は、前記テンションプレートにおいて、前記第1被係合部と第2被係合部との間に形成されていることを特徴とする燃料電池スタック装置。
【請求項1】
燃料電池のセルを積層方向に積層して形成されたスタックと、
前記スタックの積層方向の一端部側に配置され第1係合部をもつ第1エンドプレートと、
前記スタックの積層方向の他端部側に配置され第2係合部をもつ第2エンドプレートと、
前記第1エンドプレートと前記第2エンドプレートとの間に配置され前記第1エンドプレートおよび前記第2エンドプレートを互いに離間する方向に付勢させることにより、前記スタックの各前記セル同士を互いに密接させる方向に付勢する付勢部材と、
前記スタックの積層方向に沿ったスタック側面を覆うように前記第1エンドプレートと前記第2エンドプレートとの間に配置され、前記付勢部材の付勢力を受けて前記第1係合部に係脱可能に係合する前記第1被係合部と前記付勢部材の付勢力を受けて前記第2係合部に係脱可能に係合する第2被係合部とを備えるテンションプレートと、を具備していることを特徴とする燃料電池スタック装置。
【請求項2】
請求項1において、前記スタックの積層方向と交差する方向に沿って前記テンションプレートを前記第1エンドプレートおよび前記第2エンドプレートに対して相対移動させて接近させることにより、前記第1係合部と前記第1被係合部とを対面させると共に前記第2係合部と前記第2被係合部とを対面させる対面操作と、前記対面操作後に前記付勢部材の付勢力を受けて前記第1エンドプレートおよび前記第2エンドプレートを前記スタックの積層方向において互いに離間させる方向に付勢させて相対移動させる付勢操作とにより、
前記第1エンドプレートの前記第1係合部は、前記テンションプレートの前記第1被係合部と係脱可能に係合すると共に、前記第2エンドプレートの前記第2係合部は、前記テンションプレートの前記第2被係合部と係脱可能に係合することを特徴とする燃料電池スタック装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記テンションプレートの前記第1被係合部は、前記テンションプレートを厚み方向に貫通する第1被係合開口と、前記第1被係合開口の縁部に形成された第1被係合突起とを備えており、
前記テンションプレートの前記第2被係合部は、前記テンションプレートを厚み方向に貫通する第2被係合開口と、前記第2被係合開口の縁部に形成された第2被係合突起とを備えており、
前記第1エンドプレートの前記第1係合部は、前記第1被係合突起が嵌まる第1凹部を形成する第1包囲壁を備え、
前記第2エンドプレートの前記第2係合部は、前記第2被係合突起が嵌まる第2凹部を形成する第2包囲壁を備えていることを特徴とする燃料電池スタック装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記テンションプレートは軽量化用の開口窓を備えていることを特徴とする燃料電池スタック装置。
【請求項5】
請求項4において、前記開口窓は、前記テンションプレートにおいて、前記第1被係合部と第2被係合部との間に形成されていることを特徴とする燃料電池スタック装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−81037(P2009−81037A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249156(P2007−249156)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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