説明

燃料電池セパレータの製造方法

【課題】緻密な導電層を基材表面に良好に被覆させ基材が露出する面積を小さくする(導電層の被覆率を上げる)とともに、基材と基材表面に形成させた導電層とを強固に密着させることにより、燃料電池セル内部の高温・酸性雰囲気下でも高い導電性を長時間維持でき、かつ、加工性に優れる燃料電池セパレータの製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法は、金属基材の表面に黒鉛層を形成する黒鉛層形成工程と、形成した前記黒鉛層を前記金属基材上に圧着する圧着工程と、前記黒鉛層が圧着した前記金属基材を熱処理する熱処理工程と、を含み、前記黒鉛層形成工程において、前記黒鉛層を形成するために使用する黒鉛粉が、鱗状黒鉛粉、鱗片状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、および熱分解黒鉛粉のうちのいずれか、または、これらを主体とする黒鉛粉であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に用いられる燃料電池セパレータの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素等の燃料と酸素等の酸化剤を供給し続けることで継続的に電力を取り出すことができる燃料電池は、乾電池等の一次電池や鉛蓄電池等の二次電池とは異なり、発電効率が高く、システム規模の大小にあまり影響されず、また、騒音や振動も少ないため、多様な用途・規模をカバーするエネルギー源として期待されている。燃料電池は、具体的には、固体高分子型燃料電池(PEFC)、アルカリ電解質型燃料電池(AFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)、バイオ燃料電池等として開発されている。中でも、燃料電池自動車や、家庭用燃料電池(家庭用コジェネレーションシステム)、携帯電話やパソコン等の携帯機器向けとして、固体高分子型燃料電池の開発が進められている。
【0003】
固体高分子型燃料電池(以下、燃料電池という)は、固体高分子電解質膜を、アノード電極とカソード電極とで挟んだものを単セルとし、ガス(水素、酸素等)の流路となる溝が形成されたセパレータと呼ばれる(バイポーラプレートとも呼ばれる)電極を介して、前記単セルを複数個重ね合わせたスタックとして構成される。燃料電池は、スタックあたりのセル数を増やすことで、出力を高くすることができる。
【0004】
そして、燃料電池用のセパレータは、発生した電流を燃料電池の外部へ取り出すための部品であるので、その材料には、接触抵抗(電極とセパレータ表面との間で、界面現象のために電圧降下が生じることをいう)が低く、それがセパレータとしての使用中に長期間維持されるものでなければならない。
【0005】
さらに、燃料電池セル内部は高温・酸性雰囲気であるので、燃料電池用のセパレータは、このような雰囲気下でも高い導電性を長期間維持する必要がある。この性能を発揮するには、セパレータの基材上に導電層を良好に被覆させ、基材が露出している面積を小さくすること、および、基材と基材上に形成させた導電層との密着性を向上することが求められる。
【0006】
特に、自動車用途では、走行時の振動などにより、セパレータ表面は接触するカーボンクロスやカーボンペーパーから摩擦を受けることから、セパレータの導電層は基材と非常に強固に結合している必要がある。
これらの要求を満足するために、基材として金属材料を用いたセパレータが指向され、以下のような提案がされている。
【0007】
薄型化が可能で、優れた加工性および高強度を有するアルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル合金、チタン合金等の金属材料を基材とし、これに耐食性と導電性を兼ね備えたAuやPt等の貴金属を被覆して耐食性および導電性を付与したセパレータが提案されている。しかしながら、これらの貴金属材料は非常に高価であるため、コスト高となる。
【0008】
前記問題に対して、貴金属材料を使用しない金属セパレータの製造方法が提案されている。
例えば、基材自身の酸化皮膜の表面に、気相成膜法により中間層および導電性薄膜を形成する方法(特許文献1)や、基材表面に、半金属元素等からなる部分と炭素等からなる部分とから構成される表面処理層を気相成膜法により形成する方法(特許文献2)が提案されている。
【0009】
また、ステンレス基材の表面に黒鉛粉を圧延により圧着させる方法(特許文献3)や、カーボン粉を分散させた塗料をステンレス基材に被覆した後、加熱処理により当該塗料を分解、消失させる方法(特許文献4)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4147925号公報
【特許文献2】特開2004−14208号公報
【特許文献3】特許第3904690号公報
【特許文献4】特許第3904696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1、および2に開示された技術は、基材表面に、気相成膜法により、中間層、導電性薄膜等が形成されていることから、各層の界面における密着性が弱いことが懸念される。
また、特許文献3、および4に開示された技術は、基材表面に粒状の炭素粉を付着させているだけであり、炭素粉と基材との密着性が不十分で、導電性の劣化の懸念がある。さらに、基材表面の炭素層がポーラス状で環境遮断性が悪いため、基材表面が酸化されやすく導電性が劣化する恐れがある。
【0012】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、緻密な導電層を基材表面に良好に被覆させ基材が露出する面積を小さくする(導電層の被覆率を上げる)とともに、基材と基材表面に形成させた導電層とを強固に密着させることにより、燃料電池セル内部の高温・酸性雰囲気下でも高い導電性を長時間維持でき、かつ、加工性に優れる燃料電池セパレータの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明者らは、鋭意検討を行った結果、鱗状黒鉛粉、鱗片状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、および熱分解黒鉛粉のうちのいずれか、または、これらを主体とする黒鉛粉を用いることにより、基材表面に、緻密かつ高被覆率であるとともに、密着性良く黒鉛層を形成することができることを見出し、本発明に至った。
以下、本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法を詳細に説明する。
【0014】
前記課題を解決するために、本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法は、金属基材の表面に黒鉛層を形成する黒鉛層形成工程と、形成した前記黒鉛層を前記金属基材上に圧着する圧着工程と、前記黒鉛層が圧着した前記金属基材を熱処理する熱処理工程と、を含み、前記黒鉛層形成工程において、前記黒鉛層を形成するために使用する黒鉛粉が、鱗状黒鉛粉、鱗片状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、および熱分解黒鉛粉のうちのいずれか、または、これらを主体とする黒鉛粉であることを特徴とする。
【0015】
このように、本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法は、黒鉛層を形成するために使用する黒鉛粉が、鱗状黒鉛粉、鱗片状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、および熱分解黒鉛粉のうちのいずれか、または、これらを主体とする黒鉛粉であることから、金属基材表面に、緻密かつ高被覆率であるとともに、密着性良く黒鉛層を形成することができる。
そして、圧着工程により金属基材に黒鉛層を圧着させた後、金属基材に熱処理を施すことにより、黒鉛層と金属基材との結合をさらに強固なものとすることができる。
【0016】
また、本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法は、前記圧着工程が、前記黒鉛層を形成した前記金属基材を圧延する圧延工程であることが好ましい。
【0017】
このように、本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法は、黒鉛層形成工程と熱処理工程との間に、金属基材に対して圧延を施すことにより、黒鉛層中の黒鉛粉が十分に潰されて広がり、金属基材表面に黒鉛層を高い被覆率で被覆させることができるとともに、圧延の圧力により黒鉛層と金属基材との密着性をさらに向上することができる。
【0018】
また、本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法は、前記圧延工程における前記金属基材の圧下率が0.1〜40%であることが好ましい。
【0019】
このように、本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法は、圧延工程における金属基材の圧下率が0.1〜40%であることから、圧延により得られる効果(黒鉛層の基材に対する被覆率および密着性の向上)を確保することができる。
【0020】
また、本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法は、前記熱処理工程が、300〜850℃の温度範囲で前記金属基材を熱処理する熱処理工程であることが好ましい。
【0021】
このように、本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法は、熱処理工程が300〜850℃の温度範囲で金属基材を熱処理する熱処理工程であることから、熱処理により得られる効果(黒鉛層の基材に対する密着性の向上)を確保することができる。
【0022】
また、本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法は、前記金属基材が純チタンもしくはチタン合金であることが好ましい。
【0023】
このように、本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法は、金属基材が純チタンもしくはチタン合金であることから、本発明に係る製造方法により製造した燃料電池セパレータの耐食性を確保できるとともに、軽量化を図ることができる。
【0024】
また、本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法は、前記金属基材がステンレス鋼であることが好ましい。
このように、本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法は、金属基材がステンレス鋼であることから、本発明に係る製造方法により製造した燃料電池セパレータの耐食性を確保することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法は、金属基材表面に黒鉛層を形成する際に使用する黒鉛粉として、鱗片状黒鉛粉、鱗状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、および熱分解黒鉛粉のうちのいずれか、または、これらを主体とする黒鉛粉を用い、黒鉛層を形成した後に熱処理を行う、または圧延および熱処理を行うことにより、前記種類以外の黒鉛粉を使用した場合と比べて、黒鉛層が基材上を被覆する割合を高めることができるとともに、金属基材と黒鉛層の密着性を向上させることができる。
その結果、高い導電性を長期間維持できるとともに、加工性に優れた燃料電池セパレータを生産性良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例における接触抵抗測定、および、密着性評価において使用した接触抵抗測定装置の概略図である。
【図2】実施例における試験体の表面について光学顕微鏡観察を行った結果である。
【図3】実施例における試験体についてラマンスペクトル分析を行った結果である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法の実施するための形態について、詳細に説明する。
【0028】
≪燃料電池セパレータ≫
まず、本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法で製造される燃料電池セパレータ(以下、適宜、セパレータという)について説明する。
セパレータは、金属基材と、当該金属基材の表面に形成された黒鉛層(黒鉛粉により形成される層)と、から構成される。なお、黒鉛層は、金属基材の片面に形成されていても、両面に形成されていてもよい。また、セパレータとは、セパレータ用の板材も含む。
以下、セパレータを構成する金属基材、黒鉛層について説明する。
【0029】
<金属基材>
燃料電池セパレータの基材は、ガスの流路となる溝を形成するために必要となる加工性の点、ガスバリア性の点、導電性や熱伝導性の点から金属基材を用いるのが好ましく、更に燃料電池内部環境下での耐食性の観点から、純チタン、チタン合金またはステンレス鋼からなるのが好ましい。中でも純チタンまたはチタン合金はステンレス鋼と比べて軽量であるとともに耐食性に優れるため、非常に好ましい材料である。
【0030】
金属基材(以下、適宜、基材という)は、従来公知の方法、例えば、原料金属を溶解、鋳造して鋳塊とし、熱間圧延した後、焼鈍+酸洗処理し、その後冷間圧延を施して作製し準備すればよい。また、基材は、焼鈍仕上げされていることが好ましいが、その仕上げ状態は問わず、例えば「冷間圧延仕上げ」、「焼鈍+酸洗仕上げ」、「真空熱処理仕上げ」、「光輝焼鈍仕上げ」等のいずれの仕上げ状態であっても構わない。
【0031】
なお、基材は、特定の組成の純チタン、チタン合金またはステンレス鋼に限定されるものではないが、純チタン、チタン合金からなる基材を用いる場合は、チタン素材(母材)の冷間圧延のし易さ(中間焼鈍なしでトータル圧下率35%以上の冷間圧延を実施できる)や、その後のプレス成形性確保の観点から、O:1500ppm以下(より好ましくは1000ppm以下)、Fe:1500ppm以下(より好ましくは1000ppm以下)、C:800ppm以下、N:300ppm以下、H:130ppm以下であり、残部がTiおよび不可避的不純物からなるものが好ましい。例えば、JIS 1種の冷間圧延板を使用することができる。なお、チタン基材を用いることにより、燃料電池セパレータの強度や靱性が向上する共に、基材自体が高い耐食性を有しているため、燃料電池環境下で黒鉛層に被覆されてない箇所(チタン基材が露出している箇所)からの基材の溶出を防ぐことができる。さらに、軽量であるため、特に自動車用途として使用し易い。
【0032】
また、基材の板厚は、0.05〜1.0mmが好ましい。板厚が0.05mm未満では、基材に必要とされる強度を確保することができず、一方、1.0mmを超えると加工性が低下するからである。
【0033】
<黒鉛層>
黒鉛層は、基材表面に形成される層であり、下記の黒鉛粉により構成される。
黒鉛層の付着量は、特に限定されないが、10〜1000μg/cmが好ましい。10μg/cm未満では、導電性と耐食性を確保することができず、1000μg/cmを超えると導電性と耐食性の効果については飽和する一方で、加工性が低下するからである。
なお、黒鉛層は基材の表面全体に被覆されていることが好ましいが、導電性と耐食性を確保するために、基材表面の40%以上、好ましくは50%以上に被覆していればよい。
次に、この黒鉛層を形成するために使用する黒鉛粉を説明する。
【0034】
≪黒鉛粉≫
基材表面に黒鉛層を形成するが、この黒鉛層を形成する際に使用する黒鉛粉は、鱗状黒鉛粉、鱗片状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、および熱分解黒鉛粉のうちのいずれか、または、これらを主体とする黒鉛粉である。
【0035】
通常、黒鉛粉は人造黒鉛粉と天然黒鉛粉に大別される。このうち人造黒鉛粉は人工的に製造した黒鉛電極を粉砕して得られた粉末であり、一方、天然黒鉛粉は地熱や地圧を受けて生物・植物等が変質することにより生成された鉱物の粉末である。そして、この天然黒鉛粉の分類には、鱗状黒鉛粉(塊状黒鉛粉ともいう)、鱗片状黒鉛粉、土壌黒鉛粉が含まれる。
【0036】
また、前記種類の黒鉛粉のほかにも黒鉛粉として、膨張黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、熱分解黒鉛粉が存在する。このうち膨張黒鉛粉は、鱗片状黒鉛粉を化学処理することによって、鱗片状黒鉛粉の層間に化合物を挿入した後、熱処理によりその化合物をガス化させることで黒鉛を膨張するように変性させたものである。また、膨張化黒鉛粉は、膨張黒鉛粉を、さらに熱処理を施すことにより膨張化させた後、粉砕したものである。また、熱分解黒鉛粉は、粉末コークスを3000℃で熱処理して黒鉛化した後粉砕して得られるものである。
【0037】
発明者らは、様々な種類の黒鉛粉について鋭意検討を行った結果、前記黒鉛粉のなかでも、鱗状黒鉛粉、鱗片状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、熱分解黒鉛粉を黒鉛層の形成のために用いた場合、基材上に緻密な黒鉛層を高被覆率、かつ、密着性良く形成することができることを見出した。
【0038】
人造黒鉛粉は人工的に製造されるものであるため、様々なサイズの粉末が得られる、純度が高い、電気伝導性に優れる、といったメリットを持つ。このため、導電性が求められる用途、例えば黒鉛電極やリチウムイオン電池の負極材といった用途では主に人造黒鉛、人造黒鉛粉が用いられる。
さらに、人造黒鉛粉は前記メリットの他にも、高純度、高導電性という品質の材料を安定して供給可能というメリットが存在するため、黒鉛系の導電性材料としては、通常、人造黒鉛、人造黒鉛粉が用いられる。
【0039】
しかしながら、本発明のように燃料電池セパレータの基材表面に緻密な黒鉛層を形成しようとする場合、人造黒鉛粉は非常に硬い材料であるため、圧力を掛けても潰れにくく、その結果、人造黒鉛粉が単に基材表面に粒状に接合しているだけの状態となる。このような状態では黒鉛層自体がポーラスとなり、基材を周囲の腐食環境から遮断する環境遮断性が低くなるとともに、基材と黒鉛層との密着性が弱くなる。したがって、人造黒鉛粉を燃料電池セパレータの黒鉛層形成のために使用するのは好ましくない。
【0040】
これに対し、天然黒鉛粉は、鉛筆やシャープペンシル(mechanical pencil)の芯、潤滑液への添加剤として用いられるのが一般的である。そして、天然黒鉛粉のうち、鱗状黒鉛粉、鱗片状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、熱分解黒鉛粉は、粉末の粒が鱗状の形態となっているとともに、この粒自体は更に薄い黒鉛の薄片が積み重なってできている。このような黒鉛粉を用いて基材表面に黒鉛層を形成した後に圧延を施すと、粉末の粒を構成する薄片同士が圧力により滑って広がり、基材表面を覆うようになる。したがって、鱗状黒鉛粉、鱗片状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、熱分解黒鉛粉を用いると、基材上に、緻密で、被覆率の高い黒鉛層を形成することができる。
なお、これらの黒鉛粉の中でも、特に、膨張化黒鉛粉は薄片間に微細な空間があるため圧力を受けたときに潰れやすく、薄片間での滑りが起こることでより広がり易い。よって、膨張化黒鉛粉を用いるのが特に好ましい。
【0041】
また、鱗状黒鉛粉、鱗片状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、熱分解黒鉛粉を用いると、低い圧下率でも、緻密な黒鉛層を高い被覆率で形成することが可能であるため、生産性に優れ、コスト面でもメリットが大きい。
以上より、本発明では、天然黒鉛の中でも、圧力を掛けても潰れにくい土壌黒鉛粉等を除いた鱗状黒鉛粉、鱗片状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、熱分解黒鉛粉を使用することとした。
【0042】
黒鉛層を形成するために使用する黒鉛粉は、鱗状黒鉛粉、鱗片状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、熱分解黒鉛粉のいずれかのみを用いてもよいし、これらを適宜混合して用いても良い。また、これらの黒鉛粉が主体として含まれる混合黒鉛粉であっても良く、その場合は、使用する黒鉛粉の総質量に対して、鱗状黒鉛粉、鱗片状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、熱分解黒鉛粉のいずれかもしくはこれらの混合粉末を50質量%以上含むように調整するのが好ましい。鱗状黒鉛粉、鱗片状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、熱分解黒鉛粉のいずれかもしくはこれらの混合粉末の割合が50質量%未満であると、基材と黒鉛層との密着性が悪くなる虞があるからである。
さらに好ましくは、鱗状黒鉛粉、鱗片状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、熱分解黒鉛のいずれかもしくはこれらの混合粉末からなる黒鉛粉を用いる場合である。
【0043】
黒鉛粉の粒径は0.02〜100μmであることが好ましい。粒径が0.02μm未満であると圧延時に黒鉛粉にかかる応力が小さくなるため、黒鉛粉と基材との密着性が向上し難く、粒径が100μmを超えると圧延後に得られる黒鉛層の厚さが厚すぎて、セパレータ上に流路となる溝を形成するために行うプレス加工時に、黒鉛層の剥離などが起こり易くなるからである。
【0044】
≪燃料電池セパレータの製造方法≫
燃料電池セパレータの製造方法は、黒鉛層形成工程と、圧着工程と、熱処理工程とを、含む。なお、圧着工程として、圧着工程の一形態である圧延工程を行うことが好ましい。
以下、燃料電池セパレータの製造方法を、工程ごとに説明する。
【0045】
<黒鉛層形成工程>
黒鉛層形成工程とは、基材表面に黒鉛層を形成する工程である。
黒鉛層の形成方法としては、基材表面に黒鉛層を形成することができる方法であれば、特に限定されないが、下記の方法が挙げられる。
例えば、黒鉛粉を塗料中に分散させたり、カルボキシメチルセルロース等のバインダを含む溶液に混合させたりすることによってスラリーを作製し、当該スラリーを基材表面に塗付して乾燥させる方法がある。このとき塗料中に含まれる樹脂成分としては、特にフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などが好ましく、これらの樹脂を含む塗料を用いると、黒鉛層と基板との密着性がより良好なものとなる。また、黒鉛粉を樹脂(ポリエステル樹脂等)中に混練してフィルムを作製し、当該フィルムを基材表面に貼り付ける方法がある。
【0046】
なお、スラリーを塗付する方法は、特に限定されないが、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ディップコーター、スプレーコーター等を用いて基材にスラリーを塗付すればよい。
【0047】
<圧着工程>
圧着工程とは、黒鉛層形成の後に、黒鉛層を基材に圧着する工程である。例えば不織布などを黒鉛層に押し付けて擦り広げることや、黒鉛層を形成した材料を、樹脂製、ゴム製あるいは金属製の2本のロールの間に加圧しながら通すことにより、黒鉛層を潰して伸ばし、緻密な状態にしながら基材との密着性を高める。
【0048】
<熱処理工程>
熱処理工程とは、圧着工程の後に、黒鉛層が形成された基材を熱処理することによって、黒鉛層と基材との結合をより強固なものとする工程である。
【0049】
この熱処理工程における熱処理温度は、300〜850℃であることが好ましい。熱処理温度が300℃未満であると、黒鉛と基材間の反応が起こりにくく密着性が向上し難いからである。また、基材に純チタンまたはチタン合金を用いる場合は、300℃以上の温度での熱処理により黒鉛層と基材との界面でチタンカーバイド層が形成されやすく、当該界面での密着性が良くなるとともに、電気伝導性が良くなるからである。一方、熱処理温度が850℃を超えると、基材の機械特性が低下する可能性が存在するからである。好ましい熱処理温度の範囲は400〜800℃であり、より好ましくは、450〜780℃である。
【0050】
また、この熱処理工程は真空中やArガス雰囲気等の非酸化雰囲気下において前記温度範囲で行うことが好ましい。熱処理における非酸化雰囲気とは、酸素分圧が低い雰囲気であり、Arガスや窒素ガス雰囲気の場合はガス中の酸素濃度が100ppm以下であるのが好ましく、真空雰囲気の場合は真空度が50Pa以下、すなわち酸素分圧が10Pa以下の雰囲気であるのが好ましい。酸素分圧が10Paを超えると、黒鉛粉の炭素が雰囲気中の酸素と反応することで、二酸化炭素となってしまい(燃焼反応を起こしてしまい)、導電性および耐食性を向上させる炭素の量が減少してしまうからである。また、同時に基材表面が酸化されてしまうため導電性が低下してしまう虞がある。
【0051】
また、熱処理の時間は、0.5〜60分間が好ましく、温度が低い場合は長時間の処理、温度が高い場合は短時間の処理というように、温度によって時間を適宜調整すればよい。
なお、この熱処理は、300〜850℃の熱処理温度で熱処理を行うことができ、かつ雰囲気調整ができる熱処理炉であれば、電気炉、ガス炉等、どのような熱処理炉でも用いることができる。
【0052】
<圧延工程>
上述した圧着工程の一形態として、圧延工程が挙げられる。圧延工程は、黒鉛層形成工程と熱処理工程との間に、黒鉛層が形成されている基材を圧延することにより、黒鉛層中の黒鉛粉を基材表面に強固に圧着させる工程である。この圧延工程によって、基材表面に形成されている黒鉛層中の黒鉛粉が潰されて広がり、基材表面を高い被覆率により被覆させることができるとともに、圧力により黒鉛層と基材との密着性が向上する。この「潰されて広がる」という点において、鱗状黒鉛粉、鱗片状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、熱分解黒鉛粉は非常に良好に作用する。
【0053】
圧延工程において、基材表面に黒鉛層を強固に密着させるために、圧下率は0.1%以上であることが好ましい。一方、圧下率が40%を超えても基材表面の黒鉛層の被覆率および密着性向上の効果が飽和するため、圧下率の上限を40%とする。
なお、圧下率は、圧延工程前後の黒鉛層が形成された基材(黒鉛層の厚さも含む)の厚さの変化から算出した値であり、「圧下率=(t0―t1)/t0×100」(t0:黒鉛層形成工程後の初期厚さ、t1:圧延後の厚さ)により算出する。
【0054】
圧延工程の圧延は、従来公知の圧延装置やロールプレス装置を用いて行えばよい。なお、黒鉛層中の黒鉛粉が潤滑剤の役割も果たすため、圧延を施す際に、潤滑剤は使用しなくても良い。
【0055】
なお、本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法は、黒鉛層形成工程、圧着工程(圧延工程)、熱処理工程以外の工程、例えば、熱処理工程の後にセパレータを放冷する工程、セパレータにガスの流路となる溝を形成する工程等、を含む構成となっていてもよい。
【0056】
以上の製造方法によって製造された燃料電池セパレータ材は、基材表面に緻密、かつ、高い被覆率で黒鉛層が形成されているとともに、その黒鉛層が基材上に強固に密着しているため、基材を燃料電池のセル内環境から遮蔽する環境遮蔽性(バリア性)が高く、優れた導電性を長期間維持することができる。
また、ガスの流路となる溝をプレス成形により形成する場合、黒鉛層が潤滑剤としての作用を持つため、潤滑油無しでもプレス成形が可能であるとともに、プレス成形後も黒鉛層の剥離がほとんど起こらない。このためプレス成形後の脱脂洗浄が不要となりセパレータの生産性も良くなる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。
【実施例1】
【0058】
次に、本発明に燃料電池セパレータの製造方法について、本発明の要件を満たす実施例(試験体No.1〜14)と本発明の要件を満たさない比較例(試験体No.15〜22)とを比較して具体的に説明する。
【0059】
[試験体の作製]
基材としては、JIS 1種のチタン基材(焼鈍酸洗仕上げ)を使用した。チタン基材の化学組成は、O:450ppm、Fe:250ppm、N:40ppm、残部がTiおよび不可避的不純物であり、チタン基材の板厚は、0.2mmであり、サイズは50×150mmとした。当該チタン基材は、チタン原料に対して従来公知の溶解工程、鋳造工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程を施して得られたものである。
【0060】
使用した黒鉛粉は、人造黒鉛粉(高純度化学社製、CCE02PB、平均粒径10μm、純度4N)、鱗状黒鉛粉(伊藤黒鉛工業社製、SRP−7、平均粒径7μm、純度98.2%)、鱗片状黒鉛粉(SECカーボン社製、SNO-10、平均粒径10μm、純度99.6%)、膨張化黒鉛粉(SECカーボン社製、SNE−6G、平均粒径7μm、純度99.9%)、熱分解黒鉛粉(伊藤黒鉛工業社製、PC−10、平均粒径10μm、純度99.3%)土状黒鉛粉(伊藤黒鉛工業社製、HAC−6、平均粒径4μm、純度92.5%)の6種類である。
また、上記6種類の黒鉛粉のほかにアセチレンブラック粉末(Strem Chemicals,Inc.社製、平均粒径50nm、純度99.99%)を使用した。
【0061】
各種黒鉛粉を1wt%カルボキシメチルセルロース水溶液中に10wt%となるように分散させてスラリーを作製した。そして、当該スラリーをバーコーターを用いてチタン基材に塗布し、乾燥させた。また、アセチレンブラック粉末は1wt%カルボキシメチルセルロース水溶液中に5wt%となるように分散させてスラリーを作製し、同様にチタン基材に塗布し、乾燥させた。このようにして基材の両面に黒鉛層(片面の付着量は約300μg/cm)を形成した。
そして、4段圧延機を用いて、圧下率が所定の値となるようにロールギャップを調整し、所定のトータル圧下率まで複数パスに分けて冷間圧延を実施した。なお、圧延ロールには潤滑油を塗布していない。また、圧延を行わない(圧下率0%)試験体については、黒鉛スラリーを塗付して乾燥させた後、黒鉛層が形成されている面を不織布(商品名:ベンコット(旭化成製))で乾拭きして黒鉛層を圧着させた。
【0062】
次に、圧延を行った試験体および圧延を行わない試験体を6.7×10−3Paの真空雰囲気下(酸素分圧1.3×10−3Pa下)もしくは酸素濃度が10ppmのArガス雰囲気下(酸素分圧1.0Paに相当)において、所定の温度および所定時間の熱処理を施した。なお、一部の試験体については、熱処理を施していない。
【0063】
[接触抵抗測定]
前記方法により作製した試験体について、図1に示す接触抵抗測定装置10を用いて、接触抵抗を測定した。詳細には、試験体11の両面を2枚のカーボンクロス12、12で挟み、さらにその外側を接触面積1cmの2枚の銅電極13、13で挟んで荷重98N(10kgf)で加圧し、直流電流電源を用いて7.4mAの電流を通電し、カーボンクロス12、12の間に加わる電圧を電圧計で測定して、接触抵抗を求めた。
接触抵抗が8mΩ・cm以下の場合を導電性が良好、8mΩ・cmを超える場合を導電性が不良とした。
【0064】
[密着性評価]
図1に示す接触抵抗測定装置10を用いて、密着性評価を行った。試験体11の両面を2枚のカーボンクロス12、12で挟み、さらにその外側を接触面積1cmの銅電極13、13で挟んで荷重98N(10kgf)に加圧し、両面から加圧された状態を保持したまま、面内方向に試験体11を引き抜いた(引抜き試験)。
引抜き試験後、非摩擦面および摩擦面をSEM/EDXにて50倍の倍率で観察し、加速電圧を15kVとしてチタン(Ti)と炭素(C)を定量分析したときに、非摩擦面での炭素の量(原子%)に対する摩擦面での炭素の量の割合、すなわち摩擦試験後の炭素の残存率((摩擦面での炭素量(原子%)/非摩擦面での炭素量(原子%))×100)を求めた。この摩擦試験後の炭素の残存率が70%以上であったときは○(良好)、摩擦面での炭素の量が非摩擦面の炭素の50%以上、70%未満であるときは△(やや不良)、摩擦面での炭素の量が非摩擦面の炭素の量50%未満であるときを×(不良)と判断し、○(良好)となるものを合格と判断した。
【0065】
各試験体の黒鉛粉の種類、作製条件、接触抵抗測定結果、黒鉛層密着性評価結果を表1に示す。
【0066】
【表1】

【0067】
試験体No.1〜14は、本発明に規定する黒鉛粉を使用して、規定する範囲の工程を経て作製されているため、接触抵抗が低く(導電性が良く)、黒鉛層の密着性は合格範囲となった。
【0068】
一方、試験体No.15〜20は、黒鉛粉として人造黒鉛粉または土状黒鉛粉、またはアセチレンブラック粉末を使用したため、接触抵抗は低いものの、黒鉛層の密着性が劣るという結果となった。また、試験体No.21、22は、本特許で規定する種類の黒鉛粉を使用しているものの、熱処理を行っていないため、接触抵抗及び黒鉛層の密着性が不良となった。
【0069】
また、試験体No.5、9、16表面の光学顕微鏡観察を行った結果を図2に示した。人造黒鉛粉を使用した試験体No.16では黒鉛の粒があまりつぶれておらず、基材表面が露出している部分が多く観察される。それに対して鱗片状黒鉛粉を使用したNo.5および膨張化黒鉛粉を使用したNo.9では、黒鉛粉が良くつぶれて広がっており、基材のほぼ全面が緻密な黒鉛層で被覆されているのが分かる。
【実施例2】
【0070】
基材にステンレス(SUS316L)を用いステンレス基材の試験体を得た。なおSUS316Lの化学組成は、Cr:16.7%、Ni:12.3%、Mo:2.5%、Mn:1.2%、Si:0.5%、C:0.02%、残部がFeおよび不可避不純物であり、基材の板厚は0.2mmであり、サイズは50×150mmと実施例1のチタン基材と同厚さ、同サイズで作製した。
【0071】
ステンレス基材に、実施例1と同様の方法で黒鉛層の形成、圧延及び熱処理を行って試験体(No.23〜29)を得、それらの接触抵抗評価および密着性評価を行った。なお、接触抵抗および密着性評価の方法および合否基準は実施例1と同様とした。
【0072】
ステンレス基材にて作製した試験体の黒鉛粉の種類、作製条件、接触抵抗測定結果、黒鉛層密着性評価結果を表2に示す。
【0073】
【表2】

【0074】
試験体No.23〜28は、本発明に規定する黒鉛粉を使用して規定する範囲の工程を経て作製されているため、接触抵抗が低く(導電性が良く)、黒鉛層の密着性は合格範囲となった。一方、試験体No.29はアセチレンブラック粉末を使用したため、接触抵抗は低いものの、黒鉛層の密着性が劣るという結果となった。
【0075】
[耐久性評価]
前記方法により作製した試験体について、耐久性評価(耐久試験)を行った。すなわち、試験体を比液量が20ml/cmである80℃の硫酸水溶液(10mmol/L)に1000時間浸漬した後、試験体を硫酸水溶液から取り出し、洗浄、乾燥して、前記と同様の方法で接触抵抗を測定した。
硫酸浸漬後(耐久試験後)の接触抵抗(表1では耐久試験後接触抵抗と示す)が15mΩ・cm以下の場合を耐久性が良好、15mΩ・cmを超える場合を耐久性が不良とした。
【0076】
初期の接触抵抗が低く、黒鉛層の密着性が合格範囲であったチタン基材を使用して作製した試験体No.6、9、10、13、14と、本発明に規定する黒鉛粉以外を用いた試験体No.20、ステンレス基材を使用して作製した試験体No.23、24、25、27、28、29を用い実施した、耐久性評価結果を表3に示す。
【0077】
【表3】

【0078】
表3より、試験体No.6、9、10、13、14、23、24、25、27、28は耐久試験後の接触抵抗の劣化が小さく、良好な耐久性を示すことが分かった。一方、試験体No.20、29は耐久試験後の接触抵抗の劣化が大きく、耐久性が不良と判断された。
【0079】
耐久性が良好であった試験体No.6、10と耐久性が不良であった試験体No.20について、耐久試験前のそれぞれの試験体を用いて顕微レーザーラマン分光分析を行い、試験体表面の炭素被膜のラマンスペクトル分析を行い、ラマンスペクトルを図3に示した。
約1350cm−1の位置にDバンドのピークが得られ、約1590cm−1の位置にGバンドのピークが得られる。試験体No.6、10ではDバンドのピーク強度に対してGバンドのピーク強度が非常に大きく、且つシャープであることから、結晶性の高い黒鉛被膜が形成されていることが分かる。一方、試験体No.20ではDバンドのピーク強度が大きく、且つGバンドピークの半値幅が大きくなっている。このように本発明に規定する製造方法で作製した材料は、黒鉛層の密着性が良好であると共に、黒鉛層の結晶性が非常に高いことから良好な導電性と耐食性を発揮する。
【0080】
表1〜3および図2の結果より、本発明で規定する方法によって製造した燃料電池セパレータは、基材上の黒鉛層が緻密であり、被覆率が高く、基材との密着性に優れ、さらに耐久性に優れることが分かった。
【符号の説明】
【0081】
10 接触抵抗測定装置
11 試験体
12 カーボンクロス
13 銅電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基材の表面に黒鉛層を形成する黒鉛層形成工程と、
形成した前記黒鉛層を前記金属基材上に圧着する圧着工程と、
前記黒鉛層が圧着した前記金属基材を熱処理する熱処理工程と、を含み、
前記黒鉛層形成工程において、前記黒鉛層を形成するために使用する黒鉛粉が、鱗状黒鉛粉、鱗片状黒鉛粉、膨張化黒鉛粉、および熱分解黒鉛粉のうちのいずれか、または、これらを主体とする黒鉛粉であることを特徴とする燃料電池セパレータの製造方法。
【請求項2】
前記圧着工程が、前記黒鉛層を形成した前記金属基材を圧延する圧延工程であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セパレータの製造方法。
【請求項3】
前記圧延工程における前記金属基材の圧下率が0.1〜40%であることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池セパレータの製造方法。
【請求項4】
前記熱処理工程は、300〜850℃の温度範囲で前記金属基材を熱処理する熱処理工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池セパレータの製造方法。
【請求項5】
前記金属基材が純チタンもしくはチタン合金であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池セパレータの製造方法。
【請求項6】
前記金属基材がステンレス鋼であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池セパレータの製造方法。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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