説明

燃料電池用のフラーレン系電解質

【課題】高分子材料の相対湿度が低いときのプロトン伝導性を向上させる。
【解決手段】様々な高分子材料の相対湿度が低いときのプロトン伝導性を向上させるために、高分子材料にプロトン伝導性フラーレン物質を少量添加する。このようにして作成したプロトン伝導体は、幅広い相対湿度及び室温から水の沸点までの幅広い温度で作動する、燃料電池用の高分子電解質膜として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池に用いる高分子電解質膜に関し、より詳しくは、前記高分子材料の相対湿度が低いときのプロトン伝導性を向上させるためにフラーレン物質を利用することに関する。
【0002】
本願は、2003年6月12日提出の出願番号第60/477,971号仮出願、及び、2003年11月5日提出の出願番号第60/500,603号仮出願の利益を主張するものである。
【0003】
また、この発明は、米国の国防総省と契約した政府契約第DAAD19−03−C−0024号に基づいて、米国政府の支援の下でなされたものである。米国政府はこの特許に関する一定の権利を有している。
【背景技術】
【0004】
携帯用電源に対する需要は着実に増加しており、より効率的でより強力な燃料電池装置の進歩への関心が高まっている。高分子電解質膜型(polymer electrolyte membrane:PEM)燃料電池は軽量で出力密度が高いので、市販用途の携帯用電源として有力な候補である。
【0005】
PEM型燃料電池の動作は、その燃料電池の2つの電極間に位置し、燃料電池内でプロトンを一方の電極から他方に移動させる高分子膜のプロトン伝導性に依存している。また、高分子膜は、電子伝導性を有さず、化学的・機械的安定性が良好でって、しかも、燃料のクロスオーバーを防ぐための十分な気体不浸透性を有することが必須である。長年に渡って、高分子膜としては、ナフィオン(Nafion;TM)として知られているデュポン(DuPont)社から市販されているスルホン酸化ペルフルオロ・ポリマーが使用されてきた。ナフィオンは、酸性又はイオノマーの形態で使用可能である、テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)と、ペルフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホニル フルオリド(perfluoro-3,6-dioxa-4-methyl-7-octenesulfonyl fluoride)とのコポリマーである。
【0006】
ナフィオンの燃料電池の理想的な高分子電解質膜としての主な欠点は、プロトンの伝導はヒドロニウム・イオン(H3O)の拡散に基づいているため、プロトン伝導性が膜内に含まれる水に依存するということである。高いプロトン伝導性を保つために、ナフィオン膜は、80度以下の作動温度で、予め湿らせた気体の使用を必要とする。そのような必要条件は、ナフィオンを使用する燃料電池のコスト、サイズ及び複雑さを著しく増加させる。ナフィオン膜は、高温時には化学反応が早く出力が高いと思われるが、乾燥した又は相対湿度が低い状態で、或いは、水の沸点以上では作動できない。さらに、ナフィオン膜が必要とする低温で作動させると、燃料電池触媒に一酸化炭素が混入する危険性が増加する。
【0007】
PEM型燃料電池用の無水プロトン伝導膜を開発するために様々な試みが行われてきたが、それらはナフィオンが低温で相対湿度が高い作動環境が必要であるという要件を満たしていなかった。そのような試みの1つとして、例えば、Hinokumaらによる米国特許第6,495,290号(取得日:2002年12月17日)がある(この参照により本発明に含まれるものとする)。Hinokumaらが使用しているプロトン伝導体は、例えばOH、−SOHなどの酸性官能基を含んでいるフラーレン誘導体(fullerene derivative)に基づいており、幅広い温度及び乾燥状態で作動するように設計されている。このプロトン伝導体は、フラーレン誘導体を圧縮して粉末状にしたものや、フラーレン誘導体を少量(一般的に、20重量パーセント以下)の被膜高分子と混合させたものが開示されている。なお、前記被膜高分子としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン樹脂又はポリビニル・アルコールなどがある。この特許では、高分子を20重量%以上混合させると、フラーレン誘導体のプロトン伝導性が低下することを警告している。さらに、Hinokumaらの特許では、フラーレン誘導体をナフィオンと組み合わせて使用することについては示唆していない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、様々な高分子材料(ナフィオンを含んでいても)の相対湿度が低いときのプロトン伝導性を向上させるために、少量でも(約1重量%の少量でも)使用可能なプロトン伝導性フラーレン物質の発見に属するものである。前記フラーレン物質としては、Hinokumaらによる米国特許第6,495,290号に開示されたフラーレン誘導体を含む(ただし、これに限定されるものではない)。本発明で使用されるプロトン伝導性フラーレン物質としては、結合水、孤立電子対を有する複数の官能基、又は、それらの組み合わせを含む。そして、このプロトン伝導性フラーレン物質は、ドーピング、機械的混合、又は、化学反応により共有結合を形成することによって、高分子材料に添加される。そのようにして作成されたプロトン伝導体は、幅広い相対湿度、及び、水の沸点以上の幅広い温度で作動する燃料電池の高分子電解質膜として使用可能である。
【0009】
本発明は、プロトン伝導性フラーレン物質を使用して、高分子材料の相対湿度が低いときのプロトン伝導性を向上させる方法を含む。また、本発明は、前記方法のために使用されるプロトン伝導体と、該プロトン伝導体を使用した燃料電池とをさらに含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明では、プロトン伝導性フラーレン物質を使用して、燃料電池の高分子電解質膜として使用される高分子材料の相対湿度が低いときのプロトン伝導性を向上させる。「相対湿度が低いとき」とは、相対湿度が約50%以下のときである。
【0011】
本発明で使用されるプロトン伝導性フラーレン物質は、結合水、孤立電子対を有する複数の官能基、又は、それらの組み合わせを含む。孤立電子対を有する官能基を複数含んでいるフラーレン物質としては、これらに限定されるものではないが、Hinokumaらによる米国特許第6,495,290号に記載されている様々なフラーレン誘導体がある。前記フラーレン誘導体は、化学式−XH(Xは任意の原子又は2価結合を有する原子団である)で表される官能基、さらに具体的には化学式−OH又は−YOH(Yは任意の原子又は2価結合を有する原子団である)で表され、好ましくはOH、−OSOH、−COOH、−SOH又は−OPO(OH)で表される官能基がある。他の、孤立電子対を有する官能基としては、例えば、−NH2、=NH及び≡Nなどの塩基性官能基がある。
【0012】
結合水を含んでいるフラーレン物質は、官能基の有無に関わらず、ほとんど全てのフラーレン物質を含み、C60をも含む。これは、フラーレンは元々その分子内に一定量の結合水を含んでおり、それを完全に排出することは非常に難しいからである。この点において、全てのフラーレン及びフラーレン誘導体は、本来、ヒドロニウム・イオンの拡散によって移動するプロトンをある程度支持可能な水のキャリアである。これは、フラーレン誘導体によって生じる、官能基間を移動するプロトンのプロトンホッピング機構とは無関係である。このため、C60は、それ自体が機能化しなくても、プロトン伝導性フラーレン物質として含まれ、意外なことに、本発明に使用するのに好ましいプロトン伝導性フラーレン物質の1つであることが見いだされた。
【0013】
他の本発明に使用するのに好ましいプロトン伝導性フラーレン物質としては、ポリ水酸化フラーレン、ポリスルホン酸化フラーレン、又は、ポリ水酸化ポリスルホン酸化フラーレンがある。
【0014】
本発明は、プロトン伝導性フラーレン物質を添加することによりプロトン伝導性が高められた塩基性高分子材料を選択することによって、柔軟性を大きくすることができる。この選択は、一般的に、電子伝導性を有さず、化学的・機械的安定性が良好であって、しかも、燃料のクロスオーバーを防ぐための十分な気体不浸透性を有するなどの、燃料電池用の高分子電解質膜として必要な他の性質に基づいて行われる。ナフィオンはこれらの性質を示すことが周知であり、長い間燃料PEM型電池の用途に選択されてきたので、論理上、本発明に使用するのに好適な高分子材料である。他の好ましい高分子材料としては、一般に、ポリエチレン・オキシド、ポリスチレン及びスルホン化ポリスチレンなどのスルホン酸化ペルフルオロ・ポリマーがある。
【0015】
高分子材料の相対湿度が低いときのプロトン伝導性を向上させるために、高分子材料に添加するプロトン伝導性フラーレン物質の必要量は、とりわけHinokumaらによる米国特許第6,495,290号におけるフラーレン誘導体に20重量%以上の高分子を添加するとフラーレン誘導体のプロトン伝導性が低下するという警告を考慮すると、驚くほどに少なかった。本発明は、前記特許での手法とは反対に、高分子に少量(高分子に対して少量)のフラーレン物質を添加した。添加する量は、一般的に、約30重量%以下であり、ほとんどの場合は、約1〜10重量%の範囲である。
【0016】
実際の塩基性高分子材料へのフラーレン物質の添加は、出発物質の形態に基づいた様々な方法によって行われる。例えば、塩基性高分子が市販のナフィオン膜などのすでに膜の形態であれば、フラーレン物質は、膜をフラーレン物質のドーピング溶液に浸すことによって高分子材料にドーピングされる。また、例えば臨界超過COを使用してフラーレン物質を溶液に混合させた後、コンポジット膜をキャストする又は前記溶剤を蒸発させることによって粉末を形成し、その粉末をペレタイジングしてペレット化した膜を作成することもできる。場合によっては、フラーレン物質と高分子材料との間の化学反応によって、フラーレン物質を高分子材料に添加させることが望ましい。
【0017】
他の添加物は、高分子材料にフラーレン物質と共に添加されることが望ましい。例えば、フラーレンを比較的高い割合で添加すると、最終的には膜がもろくなるので、高分子材料の脆性を抑制する量の可塑剤を添加することが望ましい。前記可塑剤としては、低分子量のポリエチレン・オキシド、ポリエチレン・イミン、又は、二硫化炭素などがある。また、高分子材料へのフラーレン物質の必要量の添加は、フラーレン吸収助剤を添加することによって助成することが望ましい。前記フラーレン吸収助剤としては、シリカ、アルミナ及びチタニアなどがある。シルカを最大10重量%添加することが、この目的に特に適していることが分かった。以下の次の実施例によって、本発明をさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0018】
《実施例1》
まず、デュポン社製のナフィオン117膜を、3%過酸化水素水に入れて30分間煮沸した。その後、前記膜を脱イオン水によって数回洗浄した。その後、無機鉱物を取り除くために、前記膜を1M硫酸によって1時間煮沸した。そして、前記膜を脱イオン水によって再度洗浄し、使用するまでイソプロピル・アルコールに浸した。1wt%の乾燥C60(OH)12を0.8gのデュポン社製のナフィオンイオノマー溶液と混ぜ合わせた。湿った膜を、C60(OH)12とナフィオンイオノマーとの混合液が入っている密閉されたビンの中に24時間浸した。その後ビンから膜を取り出し、真空オーブン内で乾燥させた。その結果、1wt%のC60(OH)12がドーピングされたナフィオン膜が得られた。
【0019】
《実施例2》
60(OH)12の代わりにC60(OSOH)(OH)8を使用して実施例1を繰り返し、1wt%のC60(OSOH)(OH)8がドーピングされたナフィオン膜を作成した。
【0020】
《実施例3》
60(OH)12の代わりにC60を使用して実施例1を繰り返し、1wt%のC60がドーピングナフィオン膜を作成した。
【0021】
《実施例4》
溶液中で2つの成分を混ぜ合わせることにより、ポリエチレン・オキシドと1wt%のC60(OSOH)(OH)8とから成る複合膜を作成した。その後、前記溶液をテフロンシート上の膜にキャステングした。
【0022】
《実施例5》
60(OSOH)(OH)8の量を20wt%に増やして、実施例4を繰り返した。
【0023】
《実施例6》
溶液中で2つの成分を混ぜ合わせることにより、スルホン化ポリスチレンと10wt%のC60(OSOH)(OH)8から成る複合膜を作成した。その後、前記溶液をテフロンシート上の膜にキャステングした。
【0024】
実施例1〜5で作成した膜と何もしていないナフィオン膜のプロトン伝導性を、30℃(すなわち低温)で、相対湿度が20%から100%の範囲で測定した。図1は、相対湿度(relative humidity :R.H.)に対するプロトン伝導性を表したグラフである。
図1では、プロットaは何もしていないナフィオン膜、プロットbは1wt%のC60がドープされたナフィオン膜(実施例3)、プロットcは1wt%のC60(OH)12がドープされたナフィオン膜(実施例1)、プロットdは1wt%のC60(OSOH)(OH)8がドープされたナフィオン膜(実施例2)、プロットeはポリエチレン・オキシドと20wt%のC60(OSOH)(OH)8とから成る複合膜(実施例5)、プロットfはポリエチレン・オキシドと1wt%のC60(OSOH)(OH)8とから成る複合膜(実施例4)を示す。図1のプロットb・c・dとプロットaとを比較すると容易に分かるように、ナフィオン膜にフラーレン物質をドーピングすると、たとえそれがわずか1wt%などの少量であったとしても、膜の相対湿度が低いときのプロトン伝導性が著しく向上する。さらに、図1のプロットeとfとを比較すると、ポリエチレン・オキシド膜の場合は、フラーレンの添加を1wt%から20wt%に増やすと、相対湿度の全範囲で、膜のプロトン伝導性が著しく増加する。
【0025】
実施例2及び3で作成した膜及び何もしていないナフィオン膜をPEM型燃料電池に適用した際の性能を、120℃(すなわち高温)及び相対湿度25%(すなわち相対湿度は低い)で測定した。なお、燃料は水素と空気であり、圧力は大気圧で、プラチナの添加量は0.2mg/cm−2であった。図2は、分極曲線を示すグラフである。図2では、プロットaは何もしていないナフィオン膜、プロットbは1wt%のC60がドープされたナフィオン膜(実施例3)、プロットcは1wt%のC60(OSOH)(OH)8がドープされたナフィオン膜(実施例2)を示す。図2から容易に分かるように、ナフィオン膜にフラーレン物質をドーピングすると、たとえそれがわずか1wt%などの少量であったとしても、高温で相対湿度が低い場合のPEM型燃料電池の性能が著しく向上する。
【0026】
また、実施例1、3及び6で作成した膜と、何もしていないナフィオン膜とのプロトン伝導性を、120℃(すなわち高温)及び相対湿度25%(すなわち相対湿度は低い)で測定した。結果を表1に示す。
【表1】

【0027】
図1に示したプロトン伝導性のデータから、膜へのフラーレン物質の添加は、ナフィオン膜及びスルホン化ポリスチレン膜の両方の場合で、高温で相対湿度が低い場合のPEM型燃料電池の伝導性を一桁向上させる。
【0028】
上述した試験結果から明らかなように、本発明に係るプロトン伝導体は相対湿度が低いときのプロトン伝導性を向上させるので、燃料電池用の高分子電解質膜に使用するのに好適である。このプロトン伝導体を使用した燃料電池の例を図3に示す。図3を参照して、燃料電池1は、端子3を有する水素電極2と、端子5を有する酸素電極4とを備えている。水素電極2の内面には触媒6が設置されており、酸素電極4の内面には触媒7が設置されている。本発明に係るプロトン伝導体8は、2つの電極の間に、触媒6,7に近接して配置されている。燃料電池の使用時は、水素が水素電極2の側部にある入口9から供給され、流路10を通って出口11から排出される。水素が流路10を流れるとプロトンが生成され、プロトン伝導体8で生成されたプロトンと共に酸素電極4の側部へ移動する。そして、酸素電極4の側部へ移動したプロトンは、入口13から供給され流路12を通って出口14から排出される酸素(空気)と反応して、所望の起電力を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】相対湿度(relative humidity :R.H.)に対してのプロトン伝導性の測定結果を表すグラフであり、プロットaは何もしていないナフィオン膜、プロットb・c・dは様々なフラーレン物質が1重量%ドープされたナフィオン膜、プロットe・fはポリエチレン・オキシド複合材料である。
【図2】120℃、相対湿度25%以下で測定されたPEM型燃料電池の分極曲線を表すグラフであり、プロットaは何もしていないナフィオン膜、プロットb・cはフラーレン物質が1重量%ドープされたナフィオン膜である。
【図3】本発明に係るプロトン伝導体を使用した燃料電池の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池の高分子電解質膜として使用される高分子材料の相対湿度が低いときのプロトン伝導性を向上させる方法であって、
前記高分子材料に、プロトン伝導性を向上させる量のプロトン伝導性フラーレン物質を添加するステップを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記フラーレン物質は、前記高分子材料に少量添加されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記添加される量は約30重量%以下であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記添加される量は約1〜10重量%の範囲であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記フラーレン物質は、結合水、孤立電子対を有する複数の官能基又はそれらの組み合わせを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記フラーレン物質は、C60を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、
前記フラーレン物質は、ポリ水酸化フラーレン、ポリスルホン酸化フラーレン又はポリ水酸化ポリスルホン酸化フラーレンを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記高分子材料は、スルホン酸化ペルフルオロ・ポリマー、ポリエチレン・オキシド、ポリスチレン又はスルホン化ポリスチレンであることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記高分子材料は、酸性又はイオノマーの形態の、テトラフルオロエチレンとペルフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホニル フルオリドとのコポリマーであることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記フラーレン物質は、前記高分子材料にドーピングされることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記フラーレン物質は、化学反応によって前記高分子材料に共有結合されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記フラーレン物質は、臨界超過COを使用して前記高分子材料に添加されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記フラーレン物質を前記高分子材料の脆性を抑制する量の可塑剤と共に前記高分子材料に添加することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
前記高分子材料への前記フラーレン物質の必要量の添加は、シリカ、アルミナ及びチタニアから成る群より選択されるフラーレン吸収助剤を添加することによって助成されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記フラーレン吸収助剤はシリカであることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記シリカは、最大で約10重量%添加されることを特徴とする方法。
【請求項17】
高分子材料と、前記高分子材料に少量添加されるプロトン伝導性フラーレン物質とから成るプロトン伝導体であって、
前記添加される量は、前記高分子材料における相対湿度が低いときのプロトン伝導性を向上させるのに有効な量であること特徴とするプロトン伝導体。
【請求項18】
請求項17に記載のプロトン伝導体であって、
前記添加される量は約30重量%以下であることを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項19】
請求項18に記載のプロトン伝導体であって、
前記添加される量は約1〜10重量%の範囲であることを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項20】
請求項17に記載のプロトン伝導体であって、
前記フラーレン物質は、結合水、孤立電子対を有する複数の官能基又はそれらの組み合わせを含むことを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項21】
請求項20に記載のプロトン伝導体であって、
前記フラーレン物質は、C60を含むことを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項22】
請求項20に記載のプロトン伝導体であって、
前記フラーレン物質は、ポリ水酸化フラーレン、ポリスルホン酸化フラーレン又はポリ水酸化ポリスルホン酸化フラーレンを含むことを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項23】
請求項17に記載のプロトン伝導体であって、
前記高分子材料は、スルホン酸化ペルフルオロ・ポリマー、ポリエチレン・オキシド、ポリスチレン又はスルホン化ポリスチレンであることを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項24】
請求項23に記載のプロトン伝導体であって、
前記高分子材料は、酸性又はイオノマーの形態の、テトラフルオロエチレンとペルフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホニル フルオリドとのコポリマーであることを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項25】
請求項17に記載のプロトン伝導体であって、
前記フラーレン物質は、前記高分子材料にドーピングされることを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項26】
請求項17に記載のプロトン伝導体であって、
前記フラーレン物質は、化学反応によって前記高分子材料に共有結合されることを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項27】
請求項17に記載のプロトン伝導体であって、
前記高分子材料の脆性を抑制する量の可塑剤をさらに含んでいることを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項28】
請求項17に記載のプロトン伝導体であって、
シリカ、アルミナ及びチタニアから成る群より選択されるフラーレン吸収助剤をさらに含んでいることを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項29】
請求項28に記載のプロトン伝導体であって、
前記フラーレン吸収助剤はシリカであることを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項30】
請求項29に記載のプロトン伝導体であって、
前記シリカは、最大で約10重量%含まれることを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項31】
第1の電極と、第2の電極と、前記第1及び第2の電極の間に位置するプロトン伝導体とから成る燃料電池であって、
前記プロトン伝導体は、高分子材料と、前記高分子材料に少量添加されるプロトン伝導性フラーレン物質とを含んでおり、
前記添加される量は、前記高分子材料における相対湿度が低いときのプロトン伝導性を向上させるのに有効な量であること特徴とする燃料電池。
【請求項32】
請求項31に記載の燃料電池であって、
前記添加される量は約30重量%以下であることを特徴とする燃料電池。
【請求項33】
請求項32に記載の燃料電池であって、
前記添加される量は約1〜10重量%の範囲であることを特徴とする燃料電池。
【請求項34】
請求項31に記載の燃料電池であって、
前記フラーレン物質は、結合水、孤立電子対を有する複数の官能基又はそれらの組み合わせを含むことを特徴とする燃料電池。
【請求項35】
請求項34に記載の燃料電池であって、
前記フラーレン物質は、C60を含むことを特徴とする燃料電池。
【請求項36】
請求項34に記載の燃料電池であって、
前記フラーレン物質は、ポリ水酸化フラーレン、ポリスルホン酸化フラーレン又はポリ水酸化ポリスルホン酸化フラーレンを含むことを特徴とする燃料電池。
【請求項37】
請求項31に記載の燃料電池であって、
前記高分子材料は、スルホン酸化ペルフルオロ・ポリマー、ポリエチレン・オキシド、ポリスチレン又はスルホン化ポリスチレンであることを特徴とする燃料電池。
【請求項38】
請求項37に記載の燃料電池であって、
前記高分子材料は、酸性又はイオノマーの形態の、テトラフルオロエチレンとペルフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホニル フルオリドとのコポリマーであることを特徴とする燃料電池。
【請求項39】
請求項31に記載の燃料電池であって、
前記フラーレン物質は、前記高分子材料にドーピングされることを特徴とする燃料電池。
【請求項40】
請求項31に記載の燃料電池であって、
前記フラーレン物質は、化学反応によって前記高分子材料に共有結合されることを特徴とする燃料電池。
【請求項41】
請求項31に記載の燃料電池であって、
前記高分子材料の脆性を抑制する量の可塑剤をさらに含んでいることを特徴とする燃料電池。
【請求項42】
請求項31に記載の燃料電池であって、
前記プロトン伝導体は、シリカ、アルミナ及びチタニアから成る群より選択されるフラーレン吸収助剤をさらに含んでいることを特徴とする燃料電池。
【請求項43】
請求項42に記載の燃料電池であって、
前記フラーレン吸収助剤はシリカであることを特徴とする燃料電池。
【請求項44】
請求項43に記載の燃料電池であって、
前記シリカは、最大で約10重量%含まれることを特徴とする燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−503707(P2007−503707A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533783(P2006−533783)
【出願日】平成16年6月12日(2004.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/018868
【国際公開番号】WO2004/112099
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(501365022)マテリアルズ アンド エレクトロケミカル リサーチ (エムイーアール) コーポレイション (8)
【出願人】(505456573)エムシー・リサーチ・アンド・イノベーション・センター (1)
【氏名又は名称原語表記】MC RESEARCH & INNOVATION CENTER
【住所又は居所原語表記】601 Pine Street, Suite C, Goleta, CA 93177, U.S.A.
【Fターム(参考)】