説明

燃料電池用電位測定装置

【課題】緻密な局所電位分布を、簡単且つ容易に計測するとともに、経済的に製造することを可能にする。
【解決手段】電位測定装置10では、参照電極との電位差を検出するとともに、一方の側部側に突出する計測部54a〜60aを有する複数の導電性端子54〜60と、前記複数の導電性端子54〜60を挟んで前記一方の側部側と他方の側部側とに配置され、該複数の導電性端子54〜60を覆って一体化させ、且つ前記計測部54a〜60aのみを外部に露呈させた電極ユニット52を形成する第1絶縁シート62及び第2絶縁シート64とを備える。第2絶縁シート64には、計測部54a〜60aに接する凸部64a〜64dが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質膜の両側に、それぞれ電極が設けられた電解質膜・電極構造体と、セパレータとが積層される燃料電池の電位を測定する燃料電池用電位測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。この燃料電池は、固体高分子電解質膜の両側に、それぞれ電極触媒(電極触媒層)と多孔質カーボン(ガス拡散層)からなるアノード電極及びカソード電極を配設した電解質膜・電極構造体(MEA)を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持する発電セルを構成している。通常、燃料電池では、発電セルを所定の数だけ積層した燃料電池スタックが、例えば、車載用燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
この種の燃料電池において、アノード電極には、燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガスが供給される一方、カソード電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気が供給されている。アノード電極に供給された燃料ガスは、電極触媒上で水素がイオン化され、電解質膜を介してカソード電極側へと移動する。その間に生じた電子は、外部回路に取り出され、直流の電気エネルギーとして利用されている。
【0004】
その際、燃料電池に対して、発電に必要な燃料ガス量(及び酸化剤ガス量)が供給されているか否かを検出する必要がある。このため、例えば、特許文献1に開示されている燃料電池が知られている。
【0005】
この燃料電池は、図9に示すように、セパレータ1における電流貫通方向(X)の両側面1a、1bに配置された一対の電位測定電極2と、前記一対の電位測定電極2間の電位差を測定する電位差測定手段3とを備えている。電位差測定手段3は、一対の電位測定電極2に各導線4を介して接続された電位センサ5を備えている。
【0006】
そして、セパレータ1における一対の電位測定電極2間の電位差を測定することにより、電流密度を求めることができ、従って、燃料電池の局所電流を検出することが可能になる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4428046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記の燃料電池では、緻密な局所電位分布を計測しようとすると、それぞれ一対の電位測定電極2を互いに近接して配置する必要がある。しかしながら、狭小な範囲内に複数の電位測定電極2を配置することができず、緻密な局所電位分布を計測することが困難になるという問題がある。
【0009】
本発明は、この種の問題を解決するものであり、緻密な局所電位分布を、簡単且つ容易に計測するとともに、経済的に製造することが可能な燃料電池用電位測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電解質膜の両側に、それぞれ電極が設けられた電解質膜・電極構造体と、セパレータとが積層される燃料電池の電位を測定する燃料電池用電位測定装置に関するものである。
【0011】
この燃料電池用電位測定装置では、参照電極との電位差を検出するとともに、一方の側部側に突出する計測部を有する複数の導電性端子と、前記複数の導電性端子を挟んで前記一方の側部側と他方の側部側とに配置され、該複数の導電性端子を覆って一体化させ、且つ前記計測部のみを外部に露呈させたユニットを形成する第1絶縁シート及び第2絶縁シートとを備えている。そして、第2絶縁シートには、計測部に他方の側部側から接する凸部が設けられている。ここで、参照電極は、専用の電極を使用することができる他、アノード電極の中央部分に端子を繋いで該参照電極として使用することも可能である。
【0012】
また、この燃料電池用電位測定装置では、複数の導電性端子の各計測部は、ユニット内で、順次、段差状に配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の導電性端子が一体化されたユニットを形成するため、前記ユニットを電位計測部に配置するだけで、複数の測定点を同時に計測することができる。
【0014】
しかも、第2絶縁シートには、計測部に他方の側部側から接する凸部が設けられている。このため、各導電性端子は、突出する計測部の裏面側に肉盛りをする必要がなく、全体として使用される材料を良好に削減することが可能になる。従って、材料費が有効に低減され、電位測定装置全体の製造コストの削減が容易に図られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電位測定装置が組み込まれる燃料電池の要部分解斜視図である。
【図2】前記電位測定装置の概略説明図である。
【図3】前記電位測定装置を構成する電極ユニットの斜視説明図である。
【図4】前記電極ユニットの、図3中、IV−IV線断面図である。
【図5】前記電極ユニットの正面説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る電位測定装置を構成する電極ユニットの断面説明図である。
【図7】前記電極ユニットを製造する際の説明図である。
【図8】前記電極ユニットを製造する際の説明図である。
【図9】特許文献1に開示されている燃料電池の斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る電位測定装置10が組み込まれる燃料電池12は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)(MEA)14が、カソード側セパレータ16及びアノード側セパレータ18に挟持されて矢印A方向(例えば、水平方向)に積層される。
【0017】
複数の燃料電池12が矢印A方向に積層されることにより、例えば、車載用燃料電池スタックが構成される。なお、燃料電池12は、電解質膜・電極構造体14とアノード側セパレータ18及びカソード側セパレータ16とが、矢印A方向に積層されるとともに、複数の前記燃料電池12が矢印A方向に積層されている。なお、燃料電池12は、矢印C方向(鉛直方向)に積層してもよい。
【0018】
燃料電池12の矢印B方向(水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔20a、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔22a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔24bが、矢印C方向(鉛直方向)に配列して設けられる。
【0019】
燃料電池12の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔24a、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔22b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔20bが、矢印C方向に配列して設けられる。
【0020】
カソード側セパレータ16及びアノード側セパレータ18としては、例えば、カーボンセパレータが使用されるが、金属セパレータを用いてもよい。カソード側セパレータ16の電解質膜・電極構造体14に向かう面16aには、酸化剤ガス入口連通孔20aと酸化剤ガス出口連通孔20bとに連通する酸化剤ガス流路26が設けられる。酸化剤ガス流路26は、矢印B方向に延在する複数の酸化剤ガス流路溝を有する。酸化剤ガス流路26と酸化剤ガス入口連通孔20a及び酸化剤ガス出口連通孔20bとは、連結通路部28a、28bを介して連通する。
【0021】
アノード側セパレータ18の電解質膜・電極構造体14に向かう面18aには、燃料ガス入口連通孔24aと燃料ガス出口連通孔24bとに連通する燃料ガス流路30が設けられる。燃料ガス流路30は、酸化剤ガス流路26と同様に、矢印B方向に延在する複数の燃料ガス流路溝を有する。燃料ガス流路30と燃料ガス入口連通孔24a及び燃料ガス出口連通孔24bとは、連結通路部32a、32bを介して連通する。
【0022】
カソード側セパレータ16とアノード側セパレータ18とは、互いに対向する面16b、18b間に冷却媒体流路34を一体的に形成する。冷却媒体流路34と冷却媒体入口連通孔22a及び冷却媒体出口連通孔22bとは、連結通路部34a、34bを介して連通する。
【0023】
カソード側セパレータ16の面16a、16bには、このカソード側セパレータ16の外周縁部を周回して第1シール部材36が一体的又は個別に設けられる。アノード側セパレータ18の面18a、18bには、このアノード側セパレータ18の外周縁部を周回して第2シール部材38が一体的又は個別に設けられる。第1シール部材36及び第2シール部材38は、それぞれ平面シール部を有するとともに、凸状シール部36a、38aが所望の部位に設けられる。
【0024】
第1シール部材36及び第2シール部材38は、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコンゴム、フロロシリコンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン、又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材を使用する。
【0025】
電解質膜・電極構造体14は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜40と、前記固体高分子電解質膜40を挟持するカソード電極42及びアノード電極44とを備える。固体高分子電解質膜40は、カソード電極42及びアノード電極44の外周端部よりも外方に突出するとともに、酸化剤ガス入口連通孔20a、酸化剤ガス出口連通孔20b、燃料ガス入口連通孔24a、燃料ガス出口連通孔24b、冷却媒体入口連通孔22a及び冷却媒体出口連通孔22bが形成される。
【0026】
カソード電極42及びアノード電極44は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布された電極触媒層とを有する。電極触媒層は、互いに固体高分子電解質膜40を介装して対向するように、前記固体高分子電解質膜40の両面に接合される。
【0027】
電位測定装置10は、図1及び図2に示すように、電解質膜・電極構造体14のアノード側の電解質膜上に配置される参照電極50と、カソード側に配置される電極ユニット52とを備える。なお、電極ユニット52は、測定部位に対応して複数設けることができるが、第1の実施形態では、MEAの外周に配置された単一の電極ユニット52を用いて説明する。ここで、参照電極50は、専用の電極を使用することができる他、アノード電極44の中央部分に端子を繋いで該参照電極として使用することも可能である。以下、単に、参照電極50という。
【0028】
図3及び図4に示すように、電極ユニット52は、参照電極50との電位差を検出するとともに、一方の側部側に突出する計測部54a、56a、58a及び60aを有する複数の導電性端子(電位測定電極)54、56、58及び60と、前記導電性端子54、56、58及び60を挟んで前記一方の側部側と他方の側部側とに配置され、該導電性端子54、56、58及び60を覆って一体化させ、且つ前記計測部54a、56a、58a及び60aのみを外部に露呈させる第1絶縁シート62及び第2絶縁シート64とを備える。なお、導電性端子54、56、58及び60は、例えば、シート状、円柱状、細線状、角柱状等の種々の形状から選択されるとともに、複数設けていればよく、個数は種々変更可能である。
【0029】
導電性端子54、56、58及び60は、例えば、薄膜状又は細線状の金(Au)により形成されるとともに、前記導電性端子54から前記導電性端子60に向かって、順次、短尺に構成される。各計測部54a、56a、58a及び60aは、第1絶縁シート62に形成された開口部62a、62b、62c及び62dから外部に長さL(数μm〜数十μm)だけ突出する(図4参照)。計測部54a、56a、58a及び60aは、他の部位54b、56b、58b及び60b上にめっき処理によって厚く構成し、又は、先端を折り曲げて厚くしてもよい。
【0030】
第2絶縁シート64には、各計測部54a、56a、58a及び60aに他方の側部側から接する凸部64a、64b、64c及び64dが設けられる。凸部64a、64b、64c及び64dは、断面略球面形状を有し、第1絶縁シート62の各開口部62a、62b、62c及び62dに対応して設けられる。なお、凸部64a〜64dは、種々の形状に選択可能である。
【0031】
図3に示すように、各計測部54a、56a、58a及び60aは、電極ユニット52内で、順次、段差状に高さ方向(矢印C方向)に低くなるように配置される。
【0032】
第2絶縁シート64は、基材を構成する一方、第1絶縁シート62は、前記第2絶縁シート64と同等又は該第2絶縁シート64よりも小さな寸法に設定される。第1絶縁シート62及び第2絶縁シート64は、絶縁性を有し、耐熱水性、耐酸性及び耐熱性に優れるとともに、フレキシブルな材料で形成される。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や液晶ポリマー(LCP)、ポリイミド等が好適である。
【0033】
図5に示すように、電極ユニット52は、縦方向及び横方向の寸法が、数μm〜数十cm、各導電性端子54、56、58及び60同士の矢印B方向(横方向)の間隔が、数μm〜数cmに設定される。各導電性端子54、56、58及び60の幅寸法が、数μm〜数十μm、各計測部54a、56a、58a及び60a同士の矢印C方向(高さ方向)の間隔が、数μm〜数十μm、前記計測部54a、56a、58a及び60aの厚さが、数μm〜数十μmに設定される。各計測部54a、56a、58a及び60aは、実際の発電状態に影響を及ぼさない程度に小さな寸法に設定されることが好ましい。
【0034】
図2に示すように、電位測定装置10は、電位検出部70を備えるとともに、前記電位検出部70には、参照電極50が導線ライン72を介して接続される。各導電性端子54、56、58及び60には、他の部位54b、56b、58b及び60bの下端部に導電ライン74a、74b、74c及び74dが接続される。
【0035】
電位検出部70は、各導電性端子54、56、58及び60により検出される電位と参照電極50との電位差を検出するために、導電ライン74a、74b、74c及び74dに接続される電圧計76a、76b、76c及び76dを設ける。
【0036】
このように構成される燃料電池12の動作について、以下に説明する。
【0037】
図1に示すように、酸化剤ガス入口連通孔20aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔24aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔22aに純水やエチレングリコール等の冷却媒体が供給される。
【0038】
酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔20aからカソード側セパレータ16の酸化剤ガス流路26に導入される。このため、酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路26に沿って矢印B方向に流通し、電解質膜・電極構造体14のカソード電極42に供給される。
【0039】
一方、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔24aからアノード側セパレータ18の燃料ガス流路30に導入される。この燃料ガス流路30では、燃料ガスが矢印B方向に流通することにより、電解質膜・電極構造体14のアノード電極44に供給される。
【0040】
従って、電解質膜・電極構造体14では、カソード電極42に供給される酸化剤ガスと、アノード電極44に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
【0041】
次いで、カソード電極42に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔20bに排出される。同様に、アノード電極44に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔24bに排出される。
【0042】
一方、冷却媒体入口連通孔22aに供給された冷却媒体は、カソード側セパレータ16とアノード側セパレータ18との間に形成された冷却媒体流路34に導入される。この冷却媒体流路34では、冷却媒体が水平方向(矢印B方向)に移動する。従って、冷却媒体は、電解質膜・電極構造体14の発電面全面にわたって冷却した後、冷却媒体出口連通孔22bに排出される。
【0043】
ところで、電位測定装置10では、図2に示すように、電位検出部70の作用下に、参照電極50及び各導電性端子54、56、58及び60を介してカソード電極42における複数の測定点での電位が検出される。
【0044】
この場合、第1の実施形態では、複数の導電性端子54、56、58及び60は、第1絶縁シート62と第2絶縁シート64とにより一体化された電極ユニット52を構成している。従って、電極ユニット52を所望の電位計測部に配置するだけでよく、前記電極ユニット52の配置作業が一挙に簡素化されるとともに、複数の測定点を同時に計測することができる。
【0045】
しかも、各導電性端子54、56、58及び60同士を近接して設けることが可能になる。特に、導電性端子54、56、58及び60の各計測部54a、56a、58a及び60aは、電極面内の電位分布を計測可能にするために、電極ユニット52内で、順次、段差状に高さ方向(矢印C方向)に低くなるように配置されている。これにより、各導電性端子54、56、58及び60同士を可及的に隣接して設けることができる。
【0046】
その上、各計測部54a、56a、58a及び60aは、第1絶縁シート62に形成された開口部62a、62b、62c及び62dから外部に長さL(数μm〜数十μm)だけ突出している(図4参照)。そして、第2絶縁シート64には、各計測部54a、56a、58a及び60aに他方の側部側から接する凸部64a、64b、64c及び64dが設けられている。凸部64a、64b、64c及び64dは、断面略球面形状を有し、第1絶縁シート62の各開口部62a、62b、62c及び62dに対応して設けられている。
【0047】
このため、各導電性端子54、56、58及び60は、突出する計測部54a、56a、58a及び60aの裏面側に肉盛りをする必要がなく、全体として使用される材料を良好に削減することが可能になる。従って、材料費が有効に低減されるとともに、電位測定装置10全体の製造コストの削減が容易に図られるという効果が得られる。
【0048】
なお、第1の実施形態では、参照電極50がアノード側に配置される一方、導電性端子54、56、58及び60がカソード側に配置されているが、これに限定されるものではない。例えば、電位計測部がアノード側であれば、導電性端子54、56、58及び60を前記アノード側に配置することができる。すなわち、導電性端子54、56、58及び60は、電位計測部に応じて、配置箇所が変更可能である。
【0049】
また、以下の第2の実施形態で説明するように、各導電性端子54、56、58及び60は、めっき処理やスパッタ処理により形成することができる。
【0050】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る電位測定装置を構成する電極ユニット80の断面説明図である。
【0051】
電極ユニット80は、線状又はシート状の導電性端子82を備え、前記導電性端子82は、第1絶縁シート84と第2絶縁シート86とに挟持される。導電性端子82は、第1絶縁シート84の外部に突出する計測部82aを有する。
【0052】
以下に、電極ユニット80の製造工程を説明する。図7に示すように、第2絶縁シート86が作製される。この第2絶縁シート86は、計測位置に対応して凸部86aを有している。凸部86aは、円柱状や角柱状等の種々の形状に設定することができる。そこで、第2絶縁シート86上には、導電性端子82が貼り付けられることにより、前記導電性端子82には、前記凸部86aの形状に沿って凸状部82bが一体に設けられる。
【0053】
次いで、図8に示すように、第2絶縁シート86上には、導電性端子82を覆うようにして、第1絶縁シート84が設けられる。第1絶縁シート84には、導電性端子82の凸状部82bの端面を外部に露呈させるため、開口部84aが形成されている。なお、第1絶縁シート84は、溶融した絶縁シート材を塗工することにより、成膜してもよい。
【0054】
さらに、図6に示すように、導電性端子82の凸状部82bには、導電性部材(導電性端子82と同一の材料)がめっき処理又はスパッタ処理により形成される。これにより、第1絶縁シート84の表面から外部に突出した計測部82aが形成される。
【0055】
このように構成される電極ユニット80では、第1の実施形態に係る電極ユニット52と同様の効果を得ることが可能になる。
【0056】
なお、第1絶縁シート84及び第2絶縁シート86を一体にして、導電性端子82を覆って成形してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…電位測定装置 12…燃料電池
14…電解質膜・電極構造体 16…カソード側セパレータ
18…アノード側セパレータ 20a…酸化剤ガス入口連通孔
20b…酸化剤ガス出口連通孔 22a…冷却媒体入口連通孔
22b…冷却媒体出口連通孔 24a…燃料ガス入口連通孔
24b…燃料ガス出口連通孔 26…酸化剤ガス流路
30…燃料ガス流路 34…冷却媒体流路
40…固体高分子電解質膜 42…カソード電極
44…アノード電極 50…参照電極
52、80…電極ユニット
54、56、58、60、82…導電性端子
54a、56a、58a、60a、82a…計測部
54b、56b、58b、60b…他の部位
62、64、84、86…絶縁シート 64a〜64d…凸部
70…電位検出部 72…導線ライン
74a〜74d…導電ライン 76a〜76d…電圧計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質膜の両側に、それぞれ電極が設けられた電解質膜・電極構造体と、セパレータとが積層される燃料電池の電位を測定する燃料電池用電位測定装置であって、
参照電極との電位差を検出するとともに、一方の側部側に突出する計測部を有する複数の導電性端子と、
前記複数の導電性端子を挟んで前記一方の側部側と他方の側部側とに配置され、該複数の導電性端子を覆って一体化させ、且つ前記計測部のみを外部に露呈させたユニットを形成する第1絶縁シート及び第2絶縁シートと、
を備え、
前記第2絶縁シートには、前記計測部に前記他方の側部側から接する凸部が設けられることを特徴とする燃料電池用電位測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池用電位測定装置において、前記複数の導電性端子の各計測部は、前記ユニット内で、順次、段差状に配置されることを特徴とする燃料電池用電位測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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