説明

燃料電池装置

【課題】外部空気による対流熱伝達の発生を抑えて、断熱材による断熱効果を向上させることができる燃料電池装置を提供する。
【解決手段】燃料電池モジュール2と、断熱材料からなり、収納容器2aを覆うように設けられる、板状断熱部材4a,4b、4c、4dと、収納容器2aの外表面と断熱体の収納容器2aに臨む側の面とを接合する、収納容器2aを構成する少なくとも1つの壁面の外郭に沿って設けられた外郭接合層6aと外郭接合層6aで囲まれる領域を区画するように設けられた区画接合層6bとからなる接着剤層6と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池モジュールを断熱材によって外装してなる燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代エネルギー生成装置として、燃料ガス(水素含有ガス)と空気(酸素含有ガス)とを用いて電力を得ることができる燃料電池セルを複数個配列してなるセルスタック、および天然ガス等の原燃料を燃料ガスに改質するための改質器等を収納容器内に収納してなる燃料電池モジュールが種々提案されている。
【0003】
燃料電池の中でも特に固体酸化物形燃料電池(SOFC)では、動作温度が600℃〜900℃と高温になるため、セル温度の効率的な上昇および安定化が発電効率に直結し、重要となる。そのため、燃料電池モジュールの収納容器の外表面を断熱材で被覆し、収納容器の外表面からの放熱を抑えることで、セル温度の効率的な上昇および安定化を促進する必要がある。
【0004】
収納容器は、内部空間に燃料電池セルを収納する直方体形状の容器であり、収納容器の外表面は平坦である。断熱材は、複数の板状部材からなり、収納容器の外表面を各板状部材によってそれぞれ被覆するように組み付けられる。また、特許文献1には、一面が開口した箱状の断熱本体と蓋状部材とから形成される断熱体の内壁に、燃料電池モジュールの外面を密着して収納する燃料電池装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、ケーシングと断熱ボードとの間に隙間が発生しないように、接着剤で密着させる燃料電池装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−84657号公報
【特許文献2】特開2001−176537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
断熱材を燃料電池モジュールに組み付ける場合、たとえば、ねじ止めによって収納容器に固定するが、ねじ止め位置から離れた箇所では断熱材と収納容器との間に隙間が生じやすく、この隙間と外部空間とが連通してしまう。
【0008】
特許文献2記載の燃料電池装置のように、接着剤で収納容器と断熱材とを貼り付ける場合、収納容器の材質の熱膨張率と断熱材の材質の熱膨張率との差によって、断熱材が収納容器から剥がれてしまい、剥がれた部分と外部空間と連通してしまう。
【0009】
断熱材と収納容器との隙間および剥がれ部分では、外部空間との連通により、外部の空気が断熱材と収納容器との隙間や剥がれ部分を介して出入してしまい、外部空気による対流熱伝達が発生して、断熱材の断熱効果が不十分となってしまう。
【0010】
本発明の目的は、外部空気による対流熱伝達の発生を抑えて、断熱材による断熱効果を向上させることができる燃料電池装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、直方体形状の収納容器および該収納容器に収納される燃料電池セルを有する燃料電池モジュールと、
断熱材料からなり、前記収納容器を覆うように設けられる、直方体形状の断熱体と、
前記収納容器の外表面と前記断熱体の収納容器に臨む側の面とを接合する、前記収納容器を構成する少なくとも1つの壁面の外郭に沿って設けられた外郭接合層と該外郭接合層で囲まれる領域を区画するように設けられた区画接合層とからなる接着剤層と、を含むことを特徴とする燃料電池装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、接着剤層が、前記収納容器の外表面と、前記断熱体の収納容器に臨む側の面とを接合する。この接着剤層は、前記収納容器の外郭に沿って設けられた外郭接合層と該外郭接合層で囲まれる領域を区画するように設けられた区画接合層とからなる。
【0013】
前記区画接合層によって区画された複数の領域においては、前記収納容器の外表面と前記断熱体とが接合されておらず、断熱材と収納容器との熱膨張率差による応力が緩和され、断熱材が収納容器から剥離することを抑制できる。さらには、断熱体と燃料電池モジュールとの間に外部空気が出入することを抑制できることから、外部空気による対流熱伝達の発生を抑え、熱の移動を抑制することで断熱体の断熱効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態である燃料電池装置1の構成を示す分解斜視図である。
【図2】燃料電池装置1の長手方向に直交する面で切断した断面図である。
【図3】収納容器2aを構成する1つの壁面の外表面における接着剤層6の形成部分を示す模式図である。
【図4】空間5aの形状および凹部5の断熱体3における配置を示す図である。
【図5】接着剤層6の他の実施態様を示す模式図である。
【図6】本発明の第2実施形態である燃料電池装置1Aの構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態である燃料電池装置1の構成を示す分解斜視図である。
燃料電池装置1は、燃料電池モジュール2と断熱体3とからなる。
【0016】
本実施形態では、断熱体3は、6つの板状断熱部材4a,4b,4c,4d,4e,4fからなり、それぞれは直方体の6面を構成するものである。以下では、板状断熱部材を個別に示す場合は、参照符号にa〜fを付記し、板状断熱部材の全体を示す場合は、単に板状断熱部材4と記載する。
【0017】
燃料電池モジュール2は、固体酸化物形の燃料電池モジュールであり、従来公知の燃料電池モジュールと形状の差異はなく、少なくとも直方体形状の収納容器2aと、収納容器2a内に収納される複数の燃料電池セルとを備える。なお、図1では、収納容器2aの側面の一部を取り外して示し、燃料電池セルの図示は省略した。
【0018】
断熱体3は、燃料電池モジュール2の収納容器2aの6面にそれぞれ6つの板状断熱部材4a,4b,4c,4d,4e,4fを貼り付けて構成される。板状断熱部材4aが収納容器2aの上面に貼り付けられ、板状断熱部材4bが収納容器2aの底面に貼り付けられ、板状断熱部材4c,4dが収納容器2aの互いに平行な2つの側面にそれぞれ貼り付けられ、板状断熱部材4e,4fが収納容器2aの互いに平行な他の2つの側面に貼り付けられる。
【0019】
したがって、収納容器2aの各面に貼り付けられた状態で、断熱体3は、略直方体形状となる。
【0020】
図2は、燃料電池装置1の長手方向に直交する面で切断した断面図であり、図3は、収納容器2aを構成する1つの壁面の外表面における接着剤層6の形成部分を示す模式図である。図3は、断熱体3の1つの板状断熱部材、たとえば板状断熱部材4eを除去した際の収納容器2aの1つの壁面を、除去した板状断熱部材側から見た図である。板状断熱部材4は、一方の主面が収納容器2aの外表面に接するように設けられ、図2の断面図では、収納容器2aの周囲4面を覆うように設けられた状態を示す。
【0021】
板状断熱部材4には、収納容器2aに臨んで開口する凹部5が複数設けられる。板状断熱部材4は、一方の主面の開口の周囲の領域、すなわち開口を除く平坦部分の面が、収納容器2aの外表面に、接着剤層6によって気密に接合される。したがって、板状断熱部材4と収納容器2aとの間には、板状断熱部材4の凹部5と、収納容器2aの外表面と接着剤層6とで囲まれた空間5aが形成される。この空間5aには、気体が封入される。封入気体としては、空気、水素、窒素、酸素などの板状断熱部材4よりも熱伝導率の低い気体を用いることが望ましい。空間5aに封入される封入気体の圧力は、常温で約1気圧である。
【0022】
接着剤層6は、収納容器2aを構成する1つの壁面の外郭に沿って設けられた外郭接合層6aと外郭接合層6aで囲まれる領域を区画するように設けられた区画接合層6bとからなる。図2の断面図においては、角部に設けられた部分が、外郭接合層6aであり、凹部5と凹部5との間で接合する部分が区画接合層6bに相当する。
【0023】
区画接合層6bによって区画された複数の領域、すなわち凹部5に対応する領域においては、収納容器2aの外表面と板状断熱部材4とが接合されておらず板状断熱部材4と収納容器2aとの熱膨張率差による応力が緩和され、板状断熱部材4が収納容器2aから剥離することを抑制でき、外部空気による対流熱伝達を抑制できる。
【0024】
さらに、各凹部5内に気体を封入した空間を設けることにより、断熱体3と燃料電池モジュール2との間に発生する、外部空気による対流熱伝達を抑え、熱の移動を抑制することで断熱体3の断熱効果を向上させることができる。
【0025】
本実施形態では、図2に示すように、板状断熱部材4に複数設けられる凹部5は、全て同じ大きさであり、複数設けられる凹部5のうち、1つの板状断熱部材4に設けられる凹部5については、互いに隣り合う凹部5同士の間隔は同じである。すなわち、1つの板状断熱部材4を厚み方向からみたときに、凹部5が各格子点に位置するように設けられる。
【0026】
また、本実施形態では、凹部5の内表面の断面形状は矩形状であり、凹部5と収納容器2aの外表面で囲まれる空間5aの形状は直方体または立方体形状である。
【0027】
空間5aの形状が直方体形状の場合、矩形状の開口寸法、凹部5の深さなどは、燃料電池装置1の動作条件や燃料電池装置1の大きさなどに応じて、効果を奏するように適宜設定すればよい。
【0028】
また、1つの板状断熱部材4に設けられる凹部5における互いに隣り合う凹部5同士の間隔についても、燃料電池装置1の動作条件や燃料電池装置1の大きさなどに応じて、効果を奏するように適宜設定すればよい。ここで、間隔は隣り合う凹部の中心間の距離を示す。
【0029】
さらに、1つの板状断熱部材4に設けられる凹部5の数も、燃料電池装置1の動作条件や燃料電池装置1の大きさなどに応じて、効果を奏するように適宜設定すればよい。
【0030】
空間5aに封入される気体を、上記のように板状断熱部材4よりも熱伝導率の低い気体とすることで、凹部5で囲まれた空間5aに封入された気体が断熱材として働くので、断熱効果をさらに向上させることができる。
【0031】
断熱体3を構成する断熱材料は、燃料電池モジュール2が固体酸化物形であること、すなわち、動作温度が600℃〜900℃と高温になることを考慮して、このような高温であっても耐性を有する耐熱性の高い断熱材料を用いることが好ましい。耐熱性が高い断熱材料としては、多孔質セラミックス材料を用いることができる。多孔質セラミックス材料としては、たとえば、SiO、Al、TiOを主成分とするセラミックス材料を用いることができる。多孔質セラミックス材料の熱伝導率は、0.1W/m・K以下が好ましく、より好ましくは0.01W/m・K以下である。
【0032】
また、燃料電池モジュール2の動作温度を考慮して、断熱体3と燃料電池モジュール2とを貼り合わせるための接着剤層6として、耐熱性が高い接着剤を用いることが好ましい。耐熱性が高い接着剤としては、たとえば、高純度アルミナをベース成分としたセラミック系接着剤などが挙げられる。
【0033】
燃料電池動作時には、空間5aに封入される気体の温度が上昇し、内圧が上昇するため、断熱材料として、多孔質セラミックス材料を用いる場合、封入される気体の一部が、板状断熱部材4を厚み方向に透過するおそれがある。このような気体の透過を抑制するためには、凹部5の内面にコーティング膜7を設けることが好ましい。コーティング膜7は、たとえば、セラミックスファイバー(主成分はAl,ZnO,SiOなど)と無機バインダーを湿式混合したペーストを凹部5の内面に塗布することで形成される。
【0034】
収納容器2aの外表面に、熱の輻射を抑制するための塗料を塗布し、塗膜8を設けることが好ましい。上記のように燃料電池動作時の動作温度は非常に高温となり、収納容器2から接着剤層6を介して断熱体3に熱移動し、さらに断熱体3を外方に向かって熱移動する熱伝導経路に加えて、収納容器2aの外表面が断熱体3に接触していない部分、すなわち空間5aに臨む部分において、輻射による熱の放出がある。収納容器2aの外表面からの輻射熱は、凹部5の内面を加熱し、凹部5内面から外方に向かって断熱体3を熱移動する。
【0035】
白色または淡彩色の塗料を塗布して塗膜8を形成することで、収納容器2aの外表面からの輻射熱による熱移動を抑制することができる。燃料電池動作時に収納容器2aの温度が高温となることを考慮して、塗膜8も高い耐熱性を有することが好ましい。輻射熱を抑制するためには、塗料の発する色も重要であり、白色または淡彩色を発する塗料であって、高い耐熱性を有する塗料を用いることができる。
【0036】
図4は、空間5aの形状および凹部5の断熱体3における配置を示す図である。
図4(a)および図4(b)は、空間5aが三角錐形状である場合を示し、図4(c)および図4(d)は、空間5aが三角柱形状である場合を示し、図4(e)および図4(f)は、空間5aが半球状である場合を示す。
【0037】
図4(a)に示すように、空間5aが三角錐形状の四面体である場合、凹部5は、図4(b)に示すように、開口形状が、三角錐の底面に相当する三角形状であり、最も深い部分が三角錐の頂点となるように形成される。
【0038】
図4(c)に示すように、空間5aが三角柱形状の五面体である場合、凹部5は、図4(d)に示すように、開口形状が、三角柱の一方の底面に相当する三角形状であり、最も深い底面が三角柱の他方の底面となるように形成される。
【0039】
図4(e)に示すように、空間5aが半球状である場合、凹部5は、図4(f)に示すように、開口形状が、底面に相当する円形状であり、最も深い部分が半球の頂部となるように形成される。半球状の場合は、凹部の内面が全て曲面であるので、凹部の面内の熱応力を抑制する効果がより向上する。開口形状は、真円よりも楕円とするほうが、空間5a内で温度分布が生じにくくなり、熱応力を抑制する効果がさらに向上する。
【0040】
図5は、接着剤層6の他の実施態様を示す模式図である。
接着剤層6は、外郭接合層6aと区画接合層6bとからなる。本実施態様では、外郭接合層6aは、収納容器2aを構成する1つの壁面の外表面において、外郭に沿って設けられることで、矩形状を成している。図5(a)に示す態様では、区画接合層6bは、外郭接合層6aの矩形を4つの領域に区画するように設けられており、具体的には、矩形の対向する2辺の中央部にわたって設けられる2つの帯状接合層からなり、2つの帯状接合層は、矩形中央で交差している。
【0041】
また図5(b)に示す態様では、区画接合層6bは、複数の帯状接合層が格子状に設けられる。具体的には、矩形の対向する2辺の中央部にわたって、それぞれ3つの帯状接合層が設けられる。3つの帯状接合層は、矩形の各辺において、中央部に密に設けられ、角部では疎に設けられるので、区画接合層6bによって区画された複数の領域、すなわち、帯状接合層によって区画された複数の領域は、収納容器2aを構成する1つの壁面の外表面中央部における領域の面積が、外表面周縁部における領域の面積よりも小さくなる。
【0042】
収納容器2aを構成する1つの壁面の1つの外表面においては、その中央部が周縁部に比べて高温となりやすい。外表面中央部の領域の面積を、外表面周縁部の領域の面積よりも小さくすることは、すなわち中央部での帯状接合層による接合面積を、周辺部での帯状接合層による接合面積よりも大きくすることになるので、中央部での接合強度を大きくして板状断熱部材4が収納容器2aから剥離することを抑制できる。
【0043】
なお、図5(a)、(b)では、接着剤層6について記載しているだけで、凹部5については記載していないが、板状断熱部材4において、外郭接合層6aと区画接合層6bとで区画される複数の領域に対応する部分に、この区画される複数の領域に対応する大きさの凹部5を形成することができる。
【0044】
図6は、本発明の第2実施形態である燃料電池装置1Aの構成を示す分解斜視図である。燃料電池装置1は、燃料電池モジュール2と断熱体3Aとからなる。第1実施形態と第2実施形態とでは、断熱体の構成が異なるだけで他の構成は同一であるので、説明は省略する。
【0045】
第1実施形態の断熱体3は、6つの板状断熱部材4a,4b,4c,4d,4e,4fからなるものであったが、第2実施形態の断熱体3Aは、一面が開口した直方体状の断熱筐体4gと、この開口を塞ぐ蓋状部材4hとからなる。断熱筐体4gは、たとえば、燃料電池モジュール2の上面に対応する面が開口しており、蓋状部材4hは、この開口を塞ぎ、燃料電池モジュール2の上面を覆う。
【0046】
断熱筐体4gおよび蓋状部材4hには、それぞれ第1実施形態の板状断熱部材4と同様に凹部5が設けられ、断熱筐体4gおよび蓋状部材4hと、燃料電池モジュール2とは接着剤層6によって接合される。
【0047】
第2実施形態も第1実施形態と同様に、凹部5と収納容器2aとの間に気体を封入した空間が設けられることにより、断熱体3Aと燃料電池モジュール2との間に発生する、外部空気の流入および流出による対流熱伝達を抑え、熱の移動を抑制することで断熱体3Aの断熱効果を向上させることができる。
【0048】
また、第2実施形態は、第1実施形態と同様に、凹部5の内面にコーティング膜7を設けることが好ましく、燃料電池モジュール2の収納容器2aの外表面には、塗料による塗膜8を形成することが好ましい。
【0049】
断熱体3における凹部5の形成方法は、断熱材用が多孔質セラミックス材料の場合は、予め板状または箱状の焼成体を形成しておき、内表面側から研削などによって凹部5を形成してもよいし、焼成前の成形時に予め凸部を有する金型などを用いて凹部が形成された成形体とし、成形体を焼結して断熱体3を得ることもできる。
【0050】
上記図2では、凹部5の形状が、全て同じ形状、同じ大きさの場合について説明したが、これに限らず、同じ形状で大きさが異なる凹部5が混在してもよく、設ける位置によって大きさを異なるようにしてもよい。また、全て同じ形状でなくてもよく、空間5a形状が直方体、立方体となるものと、図4に示すような、空間5aの形状が、三角錐形状、三角柱形状および半球状となるような凹部5が混在するように設けてもよい。
【0051】
なお、上記各形態では、板状断熱部材4において、外郭接合層6aと区画接合層6bとで区画される複数の領域に対応する部分に、この区画される複数の領域に対応する大きさの凹部5を形成しているが、凹部5を形成しない場合であっても、板状断熱部材4と収納容器2aとの間には、収納容器2aの外表面と板状断熱部材4の収納容器2a外表面に対向する表面と接着剤層6とで囲まれた空間を形成できるため、断熱体3と燃料電池モジュール2との間に発生する、外部空気による対流熱伝達をある程度抑えることができる。凹部5を形成する場合と、凹部5を形成しない場合とでは、凹部5を形成するほうが、空間5aが大きく、収納容器2a外表面から凹部5の内面までの距離が遠いので、収納容器2a外表面からの輻射熱をより抑制できるので好ましい。
【0052】
また、上記各形態では、帯状の区画接合層6bの幅を同一幅とした形態について説明したが、収納容器を構成する少なくとも1つの壁面の外表面中央部の帯状接合層の幅を、外表面周縁部の帯状接合層の幅よりも細くすることができる。この場合には、外表面中央部での熱膨張による変形を許容し、断熱材が収納容器から剥離することを防止できる。
【0053】
さらに、上記各形態では、区画接合層によって区画された複数の領域は、収納容器を構成する1つの壁面の外表面における外形状が、四角形の形態について説明したが、円形、楕円形または五角形以上の多角形であっても良い。この場合には、接合層に与える応力を小さくすることができ、断熱材が収納容器から剥離することを抑制することができる。
【0054】
また、上記各形態では、収納容器2aの6つの壁面に、外郭接合層6aと区画接合層6bとからなる接着剤層6を設けているが、要求される断熱特性に応じて、たとえば、収納容器2aのいずれか1つの壁面のみに外郭接合層6aと区画接合層6bとからなる接着剤層6を設けても良く、2〜5の壁面に外郭接合層6aと区画接合層6bとからなる接着剤層6を設けても良い。
【符号の説明】
【0055】
1,1A 燃料電池装置
2 燃料電池モジュール
2a 収納容器
3,3A 断熱体
4 板状断熱部材
5 凹部
5a 空間
6 接着剤層
7 コーティング膜
8 塗膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状の収納容器および該収納容器に収納される燃料電池セルを有する燃料電池モジュールと、
断熱材料からなり、前記収納容器を覆うように設けられる、直方体形状の断熱体と、
前記収納容器の外表面と前記断熱体の収納容器に臨む側の面とを接合する、前記収納容器を構成する少なくとも1つの壁面の外郭に沿って設けられた外郭接合層と該外郭接合層で囲まれる領域を区画するように設けられた区画接合層とからなる接着剤層と、を含むことを特徴とする燃料電池装置。
【請求項2】
前記収納容器を構成する少なくとも1つの壁面の外表面において、前記区画接合層によって区画された複数の領域は、外表面中央部の領域の面積が、外表面周縁部の領域の面積よりも小さくなるように構成されることを特徴とする請求項1記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記区画接合層は、格子状に設けられる複数の帯状接合層からなり、前記収納容器を構成する少なくとも1つの壁面の外表面において、外表面中央部の帯状接合層の幅が、外表面周縁部の帯状接合層の幅よりも細くなるように構成されることを特徴とする請求項1記載の燃料電池装置。
【請求項4】
前記区画接合層によって区画された前記収納容器を構成する少なくとも1つの壁面の外表面における複数の領域は、外形状が円形、楕円形または五角形以上の多角形であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池装置。
【請求項5】
前記区画接合層によって区画された前記収納容器を構成する少なくとも1つの壁面の外表面における複数の領域にそれぞれ臨んで開口する凹部が前記断熱体に複数設けられ、前記凹部と前記収納容器の外表面との間の空間には、空気、水素、窒素および酸素のうち少なくともいずれか1種の気体が封入されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池装置。
【請求項6】
前記断熱材料は、多孔性セラミックス材料であり、
前記断熱体は、前記凹部の内面に設けられ、前記断熱材料の気体透過性よりも低い気体透過性を有するコーティング膜を有することを特徴とする請求項5記載の燃料電池装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−69433(P2013−69433A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205396(P2011−205396)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】