説明

燃料電池解体方法

【課題】燃料電池を解体する必要が生じたときに確実に解体することができる。
【解決手段】ヒータ21,22への通電を開始するとヒータ21,22は加熱する。この加熱は、シール部8が軟化温度以上に加熱されて軟化又は溶融するまで続ける。そして、シール部8が軟化又は溶融して一対のセパレータ6,7を接着する接着力が弱まったあと、各除熱器を燃料電池10から取り外す。その後、作業者は工具を利用するか手で掴んで一対のセパレータ6,7を完全に分離し、燃料電池10からMEA2を取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池としては、電解質の両面に電極が配置された電極アセンブリと、この電極アセンブリの周囲に配設されたシシール部と、電極アセンブリを両面から挟み込んだ状態で前記シール部を介して接着され一方の電極側に燃料ガス通路が他方の電極側に酸化ガス通路が形成された一対のセパレータと、を備えたものが知られている。この種の燃料電池では、燃料ガス通路に燃料ガスとして水素を供給すると共に酸化ガス通路に酸化ガスとしてエアを供給すると、燃料ガス通路に面する電極(アノード)で水素がプロトンと電子に分かれ、そのうちのプロトンが電解質を通ってもう一方の電極(カソード)へ移動し、電子は外部回路を通ってカソードへ移動し、カソードでエア中の酸素とプロトンと電子とが反応して水が生成する。この反応により起電力が生じる。ここで、シール部は、両セパレータを接着する接着剤の層であり、各電極の外周部分で酸素と水素が直接接触するのを防ぐ役割を果たしている。
【0003】
ところで、使用済みの燃料電池から高価な電極アセンブリ(特に貴金属触媒を含む電極)を回収したり、使用済みの燃料電池を分別して廃棄したり、使用済みの燃料電池の電極アセンブリの性能を評価したりするために、燃料電池を解体したい場合がある。このため、例えば特許文献1では、燃料電池のシール部とセパレータとの間に線状部材を設けておき、燃料電池を解体するときにはこの線状部材を外方向へ引っ張ることで線状部材によりシール部とセパレータとを剥離させるものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−151112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の燃料電池では、作業者が力を入れて線状部材を引っ張ることでシール部とセパレータとを剥離させるものであるため、線状部材が途中で切れたり固くて動かなかったりすることがあり、燃料電池を確実に解体するのが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、燃料電池を解体する必要が生じたときに確実に解体することのできる燃料電池解体方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
即ち、本発明の第1の燃料電池解体方法は、電極アセンブリを両面から挟み込む一対のセパレータが接着部により接着された燃料電池を解体する方法であって、外部加熱手段の熱を前記接着部に付与して該接着部を軟化又は溶融させることにより前記一対のセパレータの分離を助長させる分離助長ステップ、を含むものである。
【0009】
この燃料電池解体方法の分離助長ステップでは、外部加熱手段の熱を接着部に付与して該接着部を軟化又は溶融させることにより一対のセパレータの分離を助長させる。つまり、接着部が軟化又は溶融するとセパレータ同士の接着力が弱まり分離しやすくなるため、一対のセパレータの分離が助長される。したがって、燃料電池を解体する必要が生じた時に確実に解体することができる。なお、本発明は、どのタイプの燃料電池でも適用可能であり、例えば固体電解質膜形(高分子電解質形)、固体酸化物形、溶融炭酸塩形、リン酸形、アルカリ水溶液形等の燃料電池に適用可能である。また、燃料電池は、単体であってもよいし、単体を直接又は介在物を介して間接的に積層した積層体であってもよい。
【0010】
本発明の第1の燃料電池解体方法において、前記分離助長ステップでは、前記外部加熱手段を前記一対のセパレータの少なくとも一方に接触又は近接させてもよい。こうすれば、セパレータは比較的面積が広いため、外部加熱手段を配置しやすい。この場合、外部加熱手段の熱はセパレータを介して接着部に付与される。
【0011】
本発明の第1の燃料電池解体方法において、前記分離助長ステップでは、前記外部加熱手段を前記一対のセパレータの間隙を覆うように配置してもよい。こうすれば、接着部は一対のセパレータの間隙に介在していることから外部加熱手段から接着部に熱を付与しやすい。
【0012】
本発明の第1の燃料電池解体方法において、前記分離助長ステップでは、前記外部加熱手段を前記接着部の配置されている箇所に沿って配置してもよい。こうすれば、外部加熱手段の熱を効率よく接着部に付与することができる。
【0013】
本発明の第1の燃料電池解体方法において、前記分離助長ステップでは、前記外部加熱手段は前記接着部の軟化温度以上で前記電極アセンブリの耐熱温度未満となる熱を該接着部に付与してもよい。こうすれば、接着部が軟化又は溶融したときに電極アセンブリが熱の影響を受けて大きく変質するおそれがない。
【0014】
本発明の第1の燃料電池解体方法において、前記分離助長ステップでは、外力付与手段により前記一対のセパレータが離間する方向の外力を付与した状態で前記外部加熱手段の熱を前記接着部に付与してもよい。こうすれば、接着部を軟化又は溶融することによりその接着力を弱めたときに一対のセパレータが互いに離間する方向の外力が加えられているため、一対のセパレータの分離が一層助長される。このとき、前記外力付与手段は、前記一対のセパレータの間隙に挿入される方向に付勢されたクサビ状の部材であってもよい。こうすれば、接着部の接着力が弱まるにつれてクサビ状の部材が一対のセパレータの間隙の奥へと挿入されてその間隙を押し広げていくため、一対のセパレータの分離が一層助長される。また、前記外力付与手段は、前記外部加熱手段により加熱された状態で前記一対のセパレータの間隙に挿入されてもよい。こうすれば、外力付与手段を介して接着部に熱が付与される。あるいは、前記外力付与手段は一方のセパレータに設けたツマミに外力を付与して他方のセパレータから引き離す手段であってもよい。こうすれば、一方のセパレータに設けたツマミを利用して一対のセパレータを容易に引き離すことができる。このようなツマミとしては、例えばセパレータの側面に設けた突起物が挙げられる。
【0015】
本発明の第1の燃料電池解体方法において、前記分離助長ステップでは、前記外部加熱手段は前記一対のセパレータが離間する方向の外力を付与しつつ前記接着部に熱を付与してもよい。こうすれば、接着部を軟化又は溶融することによりその接着力を弱めたときに一対のセパレータが互いに離間する方向の外力が加えられているため一対のセパレータの分離が一層助長されるし、外部加熱手段のほかに上述の外力付与手段を別途設ける必要がないため構成が簡素になる。
【0016】
本発明の第1の燃料電池解体方法において、前記接着部は、前記電極アセンブリの周囲に配設され該電極アセンブリに供給されるガスが外部に漏れないようにシールする機能を有していてもよい。接着部にこのようなシール機能を持たせることにより、接着部とは別にこのようなシール機能をもつシール部を設ける場合に比べて、構成が簡素になる。このような接着部としては、例えば接着剤を固化したものであってもよいし、ガスケットであってもよい。また、接着剤やガスケットの材質としては、例えばフッ素樹脂材やシリコーン樹脂材などが挙げられる。
【0017】
本発明の第1の燃料電池解体方法において、前記分離助長ステップでは、前記外部加熱手段の熱を、前記燃料電池が複数積層された燃料電池積層体のうち前記燃料電池同士を直接又は介在物を介して間接的に接着する電池間接着部にも付与して該電池間接着部を軟化又は溶融させることにより、前記燃料電池同士の分離を助長させてもよい。こうすれば、燃料電池積層体の解体も助長することができる。
【0018】
本発明の第2の燃料電池解体方法は、燃料電池同士を直接又は介在物を介して間接的に接着する電池間接着部を有する燃料電池積層体を解体する方法であって、
外部加熱手段の熱を前記電池間接着部に付与して該電池接着部を軟化又は溶融させることにより前記燃料電池同士の分離を助長させる分離助長ステップ、
を含むものとしてもよい。
【0019】
この燃料電池解体方法の分離助長ステップでは、外部加熱手段の熱を電池間接着部に付与して該電池間接着部を軟化又は溶融させることにより一対のセパレータの分離を助長させる。つまり、電池間接着部が軟化又は溶融するとセパレータ同士の接着力が弱まり分離しやすくなるため、燃料電池同士の解体が助長される。したがって、燃料電池を解体する必要が生じた時に確実に解体することができる。
【0020】
本発明の第3の燃料電池解体方法は、電極アセンブリを両面から挟み込む一対のセパレータが接着部により接着された燃料電池を解体する方法であって、
外部除熱手段により前記接着部から熱を除去して該接着部を収縮させることにより前記一対のセパレータの分離を助長させる分離助長ステップ、
を含むものとしてもよい。
【0021】
この燃料電池解体方法の分離助長ステップでは、外部除熱手段により接着部から熱を除去して該接着部を収縮させることにより一対のセパレータの分離を助長させる。つまり、接着部が冷えて収縮するとセパレータ同士の接着力が弱まり分離しやすくなるため、燃料電池同士の解体が助長される。したがって、燃料電池を解体する必要が生じた時に確実に解体することができる。
【0022】
本発明の第3の燃料電池解体方法において、前記分離助長ステップでは、前記外部除熱手段を前記一対のセパレータの少なくとも一方に接触又は近接させてもよい。こうすれば、セパレータは比較的面積が広いため、外部除熱手段を配置しやすい。この場合、外部除熱手段による除熱はセパレータを介して行われる。
【0023】
本発明の第3の燃料電池解体方法において、前記分離助長ステップでは、前記外部除熱手段を前記一対のセパレータの間隙を覆うように配置してもよい。こうすれば、接着部は一対のセパレータの間隙に介在していることから外部除熱手段により接着部から熱を除去しやすい。
【0024】
本発明の第3の燃料電池解体方法において、前記分離助長ステップでは、前記外部除熱手段を前記接着部の配置されている箇所に沿って配置してもよい。こうすれば、外部除熱手段により効率よく接着部から熱を除去することができる。
【0025】
本発明の第3の燃料電池解体方法において、前記分離助長ステップでは、外力付与手段により前記一対のセパレータが離間する方向の外力を付与した状態で前記外部除熱手段により前記接着部から熱を除去してもよい。こうすれば、接着部を冷却して収縮することによりその接着力を弱めたときに一対のセパレータが互いに離間する方向の外力が加えられているため、一対のセパレータの分離が一層助長される。このとき、前記外力付与手段は、前記一対のセパレータの間隙に挿入される方向に付勢されたクサビ状の部材であってもよい。こうすれば、接着部の接着力が弱まるにつれてクサビ状の部材が一対のセパレータの間隙の奥へと挿入されてその間隙を押し広げていくため、一対のセパレータの分離が一層助長される。また、前記外力付与手段は、前記外部除熱手段により熱が奪われ冷却された状態で前記一対のセパレータの間隙に挿入されてもよい。こうすれば、外力付与手段を介して接着部から熱が除去される。あるいは、前記外力付与手段は一方のセパレータに設けたツマミに外力を付与して他方のセパレータから引き離す手段であってもよい。こうすれば、一方のセパレータに設けたツマミを利用して一対のセパレータを容易に引き離すことができる。このようなツマミとしては、例えばセパレータの側面に設けた突起物が挙げられる。
【0026】
本発明の第3の燃料電池解体方法において、前記分離助長ステップでは、前記外部除熱手段は前記一対のセパレータが離間する方向の外力を付与しつつ前記接着部から熱を除去してもよい。こうすれば、接着部を冷却して収縮させることによりその接着力を弱めたときに一対のセパレータが互いに離間する方向の外力が加えられているため一対のセパレータの分離が一層助長されるし、外部除熱手段のほかに上述の外力付与手段を別途設ける必要がないため構成が簡素になる。
【0027】
本発明の第3の燃料電池解体方法において、前記接着部は、前記電極アセンブリの周囲に配設され該電極アセンブリに供給されるガスが外部に漏れないようにシールする機能を有していてもよい。接着部にこのようなシール機能を持たせることにより、接着部とは別にこのようなシール機能をもつシール部を設ける場合に比べて、構成が簡素になる。このような接着部としては、例えば接着剤を固化したものであってもよいし、ガスケットであってもよい。また、接着剤やガスケットの材質としては、例えばフッ素樹脂材やシリコーン樹脂材などが挙げられる。
【0028】
本発明の第3の燃料電池解体方法において、前記分離助長ステップでは、前記外部除熱手段により、前記燃料電池が複数積層された燃料電池積層体のうち前記燃料電池同士を直接又は介在物を介して間接的に接着する電池間接着部からも熱を除去して該電池間接着部を収縮させることにより、前記燃料電池同士の分離を助長させてもよい。こうすれば、燃料電池積層体の解体も助長することができる。
【0029】
本発明の第4の燃料電池解体方法は、燃料電池同士を直接又は介在物を介して間接的に接着する電池間接着部を有する燃料電池積層体を解体する方法であって、
外部除熱手段により前記電池間接着部から熱を除去して該電池接着部を収縮させることにより前記燃料電池同士の分離を助長させる分離助長ステップ、
を含むものとしてもよい。
【0030】
この燃料電池解体方法の分離助長ステップでは、外部除熱手段により電池間接着部から熱を除去して該電池間接着部を収縮させることにより一対のセパレータの分離を助長させる。つまり、電池間接着部が収縮するとセパレータ同士の接着力が弱まり分離しやすくなるため、燃料電池同士の解体が助長される。したがって、燃料電池を解体する必要が生じた時に確実に解体することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】燃料電池の概略構成を表す説明図であり、(a)は平面図、(b)はA−A断面図である。
【図2】燃料電池にヒータを配置したときの平面図である。
【図3】図2のB−B断面図である。
【図4】シール部が軟化・溶融したときの断面図である。
【図5】別の形状のヒータを用いたときの断面図である。
【図6】別の形状のヒータを用いたときの断面図である。
【図7】燃料電池にヒータと挿入部材を配置した時の平面図である。
【図8】図7のC−C断面図である。
【図9】シール部が軟化・溶融したときの断面図である。
【図10】両セパレータが離間する外力をワイヤを介して加えたときの斜視図である。
【図11】図10のD−D断面図である
【図12】発電時及び解体時のセルスタックの斜視図である。
【図13】図12のE−E断面図である
【図14】別のセルスタックの断面図である。
【図15】燃料電池に除熱器を配置したときの説明図であり、(a)は平面図、(b)はF−F断面図である。
【図16】別の形状の除熱器を用いたときの断面図である。
【図17】別の形状の除熱器を用いたときの断面図である。
【図18】燃料電池に除熱器と挿入部材を配置した時の説明図であり、(a)は平面図、(b)はG−G断面図である。
【図19】発電時及び解体時のセルスタックの斜視図である。
【図20】図19のH−H断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて以下に説明する。
【実施例】
【0033】
[第1実施例]
図1は、本実施例の燃料電池10の概略構成を表す説明図で(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【0034】
本実施例の燃料電池10は、固体高分子型燃料電池であって、主として、固体電解質膜3の両面に電極4,5が配置された膜電極アセンブリ(Membrane Electrode Assembly、以下MEAという)2と、このMEA2の周囲に配設されたシール部8と、MEA2を両面から挟み込んだ状態でシール部8と接着された一対のセパレータ6,7とを備えている。この燃料電池10は、単セルと呼ばれるものであり起電力が0.6〜0.8V程度である。このため、例えば車両の駆動モータの供給電源として使用する場合には、多数の燃料電池10を緊密に積層することで数百Vの直流電源とする。
【0035】
MEA2は、固体電解質膜3を二つの電極、つまり燃料極であるアノード4と酸素極であるカソード5とで挟みこんだものである。本実施例のMEA2は、固体電解質膜3の面積がアノード4やカソード5の面積よりも大きい。ここで、固体電解質膜3は、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を有する固体高分子材料で作製された膜であり、具体的にはフッ素系樹脂により形成された膜(デュポン社製のナフィオン膜等)などが挙げられる。また、アノード4及びカソード5は、それぞれ触媒電極4a,5aとガス拡散電極4b,5bとによって構成されている。触媒電極4a,5aは、固体電解質膜3に接触する側に位置し、白金微粒子を担持させた導電性カーボンブラックにより形成されている。一方、ガス拡散電極4b,5bは、触媒電極4a,5aに積層され、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスにより形成されている。なお、触媒電極4a,5aに含まれる白金は、水素をプロトンと電子に分けるのを促進したり酸素とプロトンと電子から水を生成する反応を促進する作用を有するものであるが、同様の作用を有するものであれば白金以外のものを用いてもよい。また、ガス拡散電極4b,5bは、カーボンクロスのほか、炭素繊維からなるカーボンペーパーまたはカーボンフェルトによって形成してもよく、十分なガス拡散性および導電性を有していればよい。
【0036】
一対のセパレータ6,7は、それぞれガス不透過の発熱性導体、例えば成形カーボンか金属(ステンレス鋼など)により形成されている。両セパレータ6,7は、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給孔6a,7aと、燃料ガスを排出するための燃料ガス排出孔6b,7bと、酸化ガスを供給するための酸化ガス供給孔6c,7cと、酸化ガスを排出するための酸化ガス排出孔6d,7dと、冷媒(例えば冷却液)を供給するための冷媒供給孔6e,7eと、冷媒を排出するための冷媒排出孔6f,7fとを備えている。また、一方のセパレータ6には、MEA2のアノード4と接触する面に燃料ガスを通過させる燃料ガス通路6gが形成され、他方の面に冷媒を通過させる冷媒通路(図示略)が形成されている。このうち、燃料ガス通路6gは複数の凹溝で構成され燃料ガス供給孔6aや燃料ガス排出孔6bには通じているが他の孔には通じておらず、冷媒通路は冷媒供給孔6eや冷媒排出孔6fには通じているが他の孔には通じていない。もう一方のセパレータ7には、MEA2のカソード5と接触する面に酸化ガスを通過させる酸化ガス通路7gが形成され、他方の面に冷媒を通過させる冷媒通路(図示略)が形成されている。このうち、酸化ガス通路7gは複数の凹溝で構成され酸化ガス供給孔7cや酸化ガス排出孔7dには通じているが他の孔には通じておらず、冷媒通路は冷媒供給孔7eと冷媒排出孔7fには通じているが他の孔には通じていない。
【0037】
シール部8は、MEA2の固体電解質膜3のうちアノード4やカソード5が設けられていない外周部分の全周にわたって接着剤(例えばエポキシ系接着剤)を固化することにより形成した層であり、本発明の接着部に相当する。このシール部8は、固体電解質膜3とセパレータ6によって囲まれる燃料ガスが存在する空間をシールすると共に固体電解質膜3とセパレータ7によって囲まれる酸化ガスが存在する空間をシールしている。なお、シール部8には、セパレータ6,7に設けられた各孔6a〜6f,7a〜7fの位置に合わせて貫通孔が設けられている。
【0038】
次に、燃料電池10の発電について説明する。燃料電池10を発電させるには、燃料電池10の外部から、燃料ガス供給孔6a,7aに燃料ガスとして加湿した水素を供給すると共に酸化ガス供給孔6c,7cに酸化ガスとしてエアを供給する。すると、水素は燃料ガス供給孔6aから燃料ガス通路6gを経て燃料ガス排出孔6bへと流れたあと外部へ排出され、エアは酸化ガス供給孔6cから酸化ガス通路7gを経て酸化ガス排出孔7dへと流れたあと外部へ排出される。そして、燃料ガス通路6gを通過する水素は、アノード4のガス拡散電極4bで拡散されて触媒電極4aに至り、この触媒電極4aでプロトンと電子に分かれる。このうちプロトンは湿潤状態の固体電解質膜3を伝導してカソード5に移動し、電子は図示しない外部回路を通ってカソードに移動する。また、酸化ガス通路7gを通過するエアは、カソード5のガス拡散電極5bで拡散されて触媒電極5aに至る。そして、カソード5でプロトンと電子とエア中の酸素とが反応して水が生成し、この反応により起電力が生じる。また、燃料電池10を発電に適した温度域(例えば70〜80℃)に維持するために、外部から冷媒供給孔6e,7eへ冷媒を供給する。この冷媒は、セパレータ6,7に設けられた図示しない冷媒通路を経て冷媒排出孔6f,7fから排出され、図示しない熱交換器で低温化されたあと再び冷媒供給孔6e,7eへ供給される。なお、MEA2の固体電解質膜3はプロトンを伝導する役割を果たすほか、燃料電池10の内部でエアと水素とが直接接触するのを防ぐ隔離膜としての役割も果たしている。また、シール部8は、MEA2の外周部分でエアと水素とが混合するのを防止すると共に、これらのガスが燃料電池10の外部へ漏れ出すのを防止している。
【0039】
次に、この燃料電池10を解体する必要が生じたときの解体手順について図2〜図4に基づいて説明する。図2は燃料電池10にヒータ21〜24を装着したときの平面図、図3は図2のB−B断面図、図4はヒータ21〜24によりシール部8を軟化させたときの断面図である。図2に示すように、燃料電池10の上側のセパレータ6の四辺に沿って、換言すればシール部8に沿って、それぞれ電熱式のヒータ21〜24を配置する。これらヒータ21〜24は本発明の外部加熱手段に相当するものであり、このうちヒータ21,22は、図3に示すように断面略L字状に形成され、セパレータ6に当接するセパレータ当接面21a,22aとセパレータ6,7の間隙を覆う間隙被覆面21b,22bとを備えている。なお、ヒータ23,24も図示しないがヒータ21,22と同様、断面略L字状に形成され、セパレータ6に当接するセパレータ当接面と一対のセパレータ6,7の間隙を覆う間隙被覆面とを備えている。また、ヒータ21〜24には、図2に示すようにそれぞれ通電回路25〜28が接続され、各通電回路25〜28により各ヒータ21〜24への通電・遮電を調節することにより各ヒータ21〜24のオン・オフが調節される。続いて、各ヒータ21〜24への通電を開始する。すると各ヒータ21〜24は加熱する。ここで、MEA2の固体電解質膜3として耐熱温度が230℃程度のスルホン酸基含有フッ素化高分子を使用し、シール部8として軟化温度が130℃のエポキシ樹脂を使用したとすると、各ヒータ21〜24によるシール部8の加熱温度を130〜200℃になるように通電を制御する。そして、図4に示すようにシール部8が軟化温度以上に加熱されて軟化又は溶融するまで各ヒータ21〜24によるシール部8の加熱を続ける。そして、シール部8が軟化又は溶融して一対のセパレータ6,7を接着する接着力が弱まったあと、各ヒータ21〜24を燃料電池10から取り外す。その後、作業者は工具を利用するか手で掴んで一対のセパレータ6,7を完全に分離し、燃料電池10からMEA2を取り出す。
【0040】
以上詳述した本実施例によれば、ヒータ21〜24の熱をシール部8に付与して該シール部8を軟化又は溶融させることにより一対のセパレータ6,7の分離を助長させる。つまり、シール部8が軟化又は溶融するとセパレータ6,7同士の接着力が弱まり分離しやすくなるため、一対のセパレータ6,7の分離が助長される。したがって、燃料電池10を解体する必要が生じた時に確実に解体することができる。また、ヒータ21〜24を比較的面積が広いセパレータ6に接触させて配置するため配置しやすいし、セパレータ6,7の間隙を覆うように配置するためその間隙に介在するシール部8に熱を付与しやすい。また、シール部8にはヒータ21〜24からセパレータ6,7の間隙を介して熱が付与されるばかりでなくセパレータ6を介してもヒータ21〜24の熱が付与されるため、シール部8を早く昇温させることができる。また、ヒータ21〜24はシール部8が形成されている箇所に沿って配置されるため、ヒータ21〜24の熱を効率よくシール部8に付与することができる。更に、ヒータ21〜24はシール部8の軟化温度以上でMEA2の耐熱温度未満となる熱をシール部8に付与するため、シール部8が軟化又は溶融したときにMEA2が熱の影響を受けて大きく変質するおそれがない。更にまた、MEA2に供給される酸化ガスや燃料ガスが外部に漏れないようにシールする機能を有するシール部8でもって一対のセパレータ6,7を接着したため、シール機能を持つ部材と接着機能を持つ部材とをそれぞれ別部材で構成した場合に比べて簡素な構成となる。
【0041】
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0042】
例えば、上述した実施例では、各ヒータ21〜24を断面略L字状としたが、図5に示すように断面略C字状としてもよい。即ち、ヒータ21は、セパレータ6に当接するセパレータ当接面21aと、セパレータ6,7の間隙を覆う間隙被覆面21bと、セパレータ7に当接するセパレータ当接面21cとを備えていてもよく、他のヒータ22〜24もこのヒータ21と同様の断面形状としてもよい。こうすれば、シール部8にはヒータ21〜24からセパレータ6,7の間隙を介して熱が付与されるばかりでなくセパレータ6やセパレータ7を介してもヒータ21〜24の熱が付与されるため、シール部8を一層早く昇温させることができる。あるいは、図6に示すように断面を上下に二分割した形状にしてもよい。即ち、ヒータ21は、セパレータ6に当接するセパレータ当接面21dとセパレータ7に当接するセパレータ当接面21eとに分割されていてもよく、他のヒータ22〜24もこのヒータ21と同様の断面形状としてもよい。こうすれば、シール部8にはヒータ21〜24からセパレータ6やセパレータ7を介してヒータ21〜24の熱が付与されるため、シール部8を比較的早く昇温させることができる。あるいは、ヒータ21をセパレータ6に当接するセパレータ当接面21aのみを有する部材としたり、セパレータ6,7の間隙を覆う間隙被覆面21bのみを有する部材としたり、セパレータ7に当接するセパレータ当接面21cのみを有する部材としたりしてもよい。
【0043】
また、上述した実施例において、各ヒータ21〜24の熱をシール部8に付与する際、図7〜図9に示すように、一対のセパレータ6,7が互いに離間するような外力を加えてもよい。なお、図7は燃料電池10にヒータ21〜24と挿入部材51〜54を配置したときの平面図、図8は図7のC−C断面図、図9はシール部8が軟化・溶融したときの断面図である。まず、図7及び図8に示すように、先端がクサビ状に形成された挿入部材51〜54を、略四角形の燃料電池10の各辺にセパレータ6,7の間に挿入可能となるように配置し、付勢部材であるバネ55〜58によりセパレータ6,7の間に挿入する方向に付勢する。また、同じく付勢部材であるバネ31〜34によりヒータ21〜24をセパレータ6に向かって付勢する。図8に示すように、これらのヒータ21〜24のうちヒータ21,22はバネ31,32に付勢されてセパレータ6と挿入部材51〜54とに強制的に当接されている。ここで、ヒータ21,22は、断面略L字状ではあるが上述した実施例とは異なりセパレータ6,7の間隙を覆っておらず、セパレータ6に当接するセパレータ当接面21a,22aと挿入部材51〜54に当接する挿入部材当接面21f,22fを有するように形成されている。なお、ヒータ23,24も図示しないがヒータ21,22と同様の断面形状に形成されている。続いて、各ヒータ21〜24への通電を開始する。すると各ヒータ21〜24は加熱する。ここでも、シール部8の温度がシール部8の軟化温度以上MEA2の耐熱温度未満となるように加熱し、シール部8が軟化温度以上に加熱されて軟化又は溶融するまで各ヒータ21〜24によるシール部8の加熱を続ける。そして、シール部8が軟化又は溶融して一対のセパレータ6,7を接着する接着力が弱まるにつれて、挿入部材51〜54のクサビ状の部分がセパレータ6,7の間隙の奥へと挿入されてセパレータ6,7の間隙を押し広げる力(図9の黒矢印参照)つまりセパレータ6,7が離間する方向の外力を加えるため、これらの挿入部材51〜54によってセパレータ6,7の分離が一層助長される。挿入部材51〜54は、加熱前は図7の実線の位置に配置されていたものが加熱終了後は一点鎖線の位置まで挿入される。また、ヒータ21〜24によって挿入部材51〜54は加熱された状態でセパレータ6,7の間隙に挿入されるため、挿入部材51〜54を介してもシール部8に熱が付与されることになり、シール部8を一層早く昇温させることができる。なお、図7〜図9においてヒータ21〜24を省略し、挿入部材51〜54にヒータの機能を持たせてもよく、こうすれば構成が簡素になる。
【0044】
あるいは、一対のセパレータ6,7が互いに離間するような外力を加えるにあたって、図10及び図11に示す構成を採用してもよい。図10は両セパレータ6,7が離間する外力をワイヤ66bを介して加えたときの斜視図、図11は図10のD−D断面図である。燃料電池60は、セパレータ6,7の周囲に突起物66,67を設けた以外は上述した燃料電池10と同じであるため、同じ構成要素については同じ符号を付してその説明を省略する。この燃料電池60において、突起物66は、セパレータ6のうち互いに表裏の関係にある2つの側面にそれぞれ形成され、2つの貫通孔66a,66aを有している。また、突起物67は、セパレータ7のうち互いに表裏の関係にある2つの側面にそれぞれ形成され、2つの貫通孔67a,67aを有している。この燃料電池60を解体するには、まず、燃料電池60を加熱炉61内のテーブル面62に載置したあと、ワイヤ66bを一方の貫通孔66aの上から下へ通したあと他方の貫通孔66aの下から上へと通すと共に、ワイヤ67bを貫通孔67aに通した状態で両端をテーブル面62に固定する。次に、巻き上げ装置63(外力付与手段)を利用してワイヤ66bの両端を上方向へ引き上げることにより、テーブル面62に固定されているセパレータ7からセパレータ6を離間させる外力を加える。それと共に、加熱炉61の内部温度がシール部8の軟化温度以上となるように調節する(例えば500℃で1時間保持する)ことにより、シール部8を軟化又は溶融させる。この結果、セパレータ6,7の分離が一層助長される。なお、突起物66や貫通孔66aはセパレータ6を引き上げ可能で反応ガス(酸化ガスや燃料ガス)や冷媒の給排を妨げなければどのような位置に設けてもよいし何カ所設けてもよい。また、突起物67や貫通孔67aはセパレータ7を固定可能で反応ガスや冷媒の給排を妨げなければどのような位置に設けてもよいし何カ所設けてもよい。
【0045】
ここで、突起物66や貫通孔66aの代わりに、各セパレータ周縁に電圧検出用端子が突設されている場合にはその電圧検出用端子を利用したり、各セパレータの周縁にスタック圧接部材取付部が設けられている場合にはそのスタック圧接部材取付部を利用したりして、一対のセパレータ6,7が互いに離間するような外力を加えてもよい。なお、スタック圧接部材とは、燃料電池スタックを構成する複数の燃料電池を圧接してセパレータ同士を密着させるための部材であり、例えばボルトやテンションプレートなどが挙げられる。このように、既存の構造を利用したり既存の構造に外力付与手段による外力を受けることのできる機能を兼ねるように設計すれば、セパレータの大型化や重量増加を抑制できる。
【0046】
更に、上述した実施例では、各ヒータ21〜24を電熱式としたが、ガス式であってもよいし温風式であってもよい。また、ヒータの代わりにガスバーナや加熱炉等を用いてもよく、この場合、シール部8の温度を間接的に又は直接測定し、その測定値がシール部8の軟化温度以上MEA2の耐熱温度未満となるように温度制御すればよい。
【0047】
更にまた、上述した実施例では固体電解質膜形(高分子電解質形)の燃料電池について説明したが、他のタイプの燃料電池、例えば固体酸化物形、溶融炭酸塩形、リン酸形、アルカリ水溶液形等の燃料電池についても同様にして本発明を適用することができる。
[第2実施例]
第2実施例は、多数の燃料電池10を緊密に積層したセルスタック70に関するものである。図12は、発電時のセルスタック70の斜視図であり、図13は、図12のE−E断面図である。なお、図中、燃料電池10の構成要素については第1実施例と同じ符号を付した。
【0048】
セルスタック70は、図12に示すように、第1実施例の燃料電池10を多数重ね合わせた状態で両端に絶縁板71,72を介してエンドプレート73,74を配置し、両エンドプレート73,74を図示しない加圧装置により圧縮方向に押圧力を加えて緊密に積層したものであり、数百Vの電源として用いられるものである。図12で手前側のエンドプレート73は、絶縁板71を介して燃料電池10の燃料ガス供給孔6a,7a、酸化ガス供給孔6c,7c及び冷媒供給孔6e,7eにそれぞれ燃料ガス、酸化ガス及び冷媒を供給するパイプ80a,80c,80eを備えていると共に、同じく絶縁板71を介して燃料電池10の燃料ガス排出孔6b,7b、酸化ガス排出孔6d,7d及び冷媒供給孔6f,7fからそれぞれ燃料ガス、酸化ガス及び冷媒を排出するパイプ80b,80d,80fを備えている。また、図12で奥側の絶縁板72は閉塞板であり、各孔6a〜6f,7a〜7fを塞いでいる。このセルスタック70では、各燃料電池10の燃料ガス供給孔6a,7aが連通して燃料ガス供給マニホルドが形成され、各燃料電池10の燃料ガス排出孔6b,7bが連通して燃料ガス排出マニホルドが形成され、各燃料電池10の酸化ガス供給孔6c,7cが連通して酸化ガス供給マニホルドが形成され、各燃料電池10の酸化ガス排出孔6d,7dが連通して酸化ガス排出マニホルドが形成され、各燃料電池10の冷媒供給孔6e,7eが連通して冷媒供給マニホルドが形成され、各燃料電池10の冷媒排出孔6f,7fが連通して冷媒排出マニホルドが形成されている。また、各燃料電池10において、燃料ガス供給孔6a,7aは燃料ガス通路6g(図13参照)を経て燃料ガス排出孔6b,7bに通じ、酸化ガス供給孔6c,7cは酸化ガス通路7g(図13参照)を経て酸化ガス排出孔6d,7dに通じ、冷媒供給孔6e,7eは冷媒通路W(図13参照)を経て冷媒排出孔6f,7fに通じている。
【0049】
ここで、第1実施例では図示を省略したが、セパレータ6,7の背面には図13に示すようにそれぞれ冷媒通路形成用凹溝6h,7hが設けられており、セパレータ6,7の背面同士を密着させることにより、対向する冷媒通路形成用凹溝6h,7hが冷媒通路Wを形成する。この冷媒通路Wはセパレータ6,7の背面の外周に沿って設けられたシール部76(本発明の電池間接着部に相当)によりシールされているため、冷媒通路Wを通過する冷媒が燃料電池10の外部へ漏れ出すことはない。また、セパレータ6,7の背面同士は冷媒通路W及びシール部76を除き、互いに密着している。なお、MEA2を挟み込む一対のセパレータ6,7の隙間に配置されたシール部8は、MEA2の外周部分でエアと水素とが混合するのを防止すると共に、これらのガスが燃料電池10の外部へ漏れ出すのを防止する役割を果たす。
【0050】
次に、このセルスタック70の発電について説明する。発電時には、セルスタック70に対し、図示しない加圧装置により圧縮方向に押圧力F1を加えた状態とする。この状態で、セルスタック70のパイプ80aに燃料ガス(ここでは水素)を供給すると、この燃料ガスはセルスタック70を構成する各燃料電池10の燃料ガス供給孔6a,7aから燃料ガス通路6gを経て燃料ガス排出孔6b,7bに至り、最終的にはパイプ80bから排出される。また、セルスタック70のパイプ80bに酸化ガス(ここでは空気)を供給すると、この酸化ガスはセルスタック70を構成する各燃料電池10の酸化ガス供給孔6c,7cから酸化ガス通路7gを経て酸化ガス排出孔6d,7dに至り、最終的にはパイプ80dから排出される。このようにしてセルスタック70へ供給された燃料ガス及び酸化ガスは各燃料電池10内で既述の電気化学反応を起こし、これによりセルスタック70は全体として数百Vの起電力を生じる。また、セルスタック70を発電に適した温度域(例えば70〜80℃)に維持するために、パイプ80eに冷媒を供給すると、この冷媒はセルスタック70を構成する各燃料電池の冷媒供給孔6e,7eから冷媒通路Wを経て冷媒排出孔6f,7fに至り、最終的にはパイプ80fから排出される。なお、この冷媒は、図示しない熱交換器で低温化されたあと再びパイプ80eに供給される。
【0051】
次に、このセルスタック70及び燃料電池10を解体する必要が生じたときの解体手順につい説明する。解体時には、まず、セルスタック70に対し、図示しない加圧装置により発電時より弱い押圧力(ゼロでも可)を圧縮方向に加える。但し、発電時と同じ押圧力を加えたまま次の工程へ進んでもよい。続いて、セルスタック70の側面全体を覆うようにトンネル状に形成されたヒータ81を配置する。このヒータ81は、本発明の外部加熱手段に相当するものであり、シール部8やシール部76を外側から覆うと共に各燃料電池10を構成する一対のセパレータ6,7の間隙や燃料電池10同士の当接面を覆うように配置される。続いて、ヒータ81への通電を開始し、シール部8,76が軟化温度以上になるまでつまり軟化又は溶融するまで、加熱を続ける。なお、図示しないが、ヒータ81には第1実施例と同様の通電回路が設けられ、この通電回路により通電・遮電が調節される。また、加熱はMEA2の耐熱温度以上にならないように行う。そして、シール部8が軟化又は溶融して各燃料電池10を構成する一対のセパレータ6,7を接着する接着力が弱まり、且つシール部76が軟化又は溶融して隣接する燃料電池10同士を接着する接着力が弱まったあと、ヒータ81をセルスタック70から外す。その後、作業者は工具を利用するか手で掴んでセルスタック70及び燃料電池10を解体し、各燃料電池10からMEA2を取り出す。
【0052】
以上詳述した本実施例によれば、ヒータ81の熱をシール部8に付与して該シール部8が軟化又は溶融するとセパレータ6,7同士の接着力が弱まり分離しやすくなるため、一対のセパレータ6,7の分離が助長される。また、同じくヒータ81の熱をシール部76に付与して該シール部76が軟化又は溶融すると隣接する燃料電池10同士の接着力が弱まり分離しやすくなるため、燃料電池10の分離が助長される。したがって、燃料電池10を解体する必要が生じた時に確実に解体することができる。また、ヒータ81がセパレータ6,7の間隙や燃料電池10同士の当接面を覆うように配置されるため、その間隙に介在するシール部8やその当接面に配置されたシール部76に熱を付与しやすい。更に、ヒータ81はシール部8,76の軟化温度以上でMEA2の耐熱温度未満となる熱をシール部8,76に付与するため、シール部8,76が軟化又は溶融したときにMEA2が熱の影響を受けて大きく変質するおそれがない。更にまた、MEA2に供給される酸化ガスや燃料ガスが外部に漏れないようにシールする機能を有するシール部8でもって一対のセパレータ6,7を接着し且つ冷媒が漏れないようにシールする機能を有するシール部76でもって燃料電池10同士を接着したため、シール機能を持つ部材と接着機能を持つ部材とをそれぞれ別部材で構成した場合に比べて簡素な構成となる。
【0053】
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0054】
例えば、上述した実施例では、隣り合う2つの燃料電池10を直接シール部76を介して接着するようにしたが、隣り合う2つの燃料電池10を冷媒通路用セパレータを介して接着するようにしてもよい。すなわち、図14に示すように、燃料電池10を構成する一対のセパレータ6,7に冷媒通路形成用凹溝を設けず、その代わりに冷媒通路用セパレータ83の両面に冷媒通路形成用凹溝83hを設けて、この凹溝83hを利用して冷媒通路Wを形成し、冷媒通路Wをシールするためのシール部76を冷媒通路用セパレータ83と燃料電池10を構成するセパレータ6,7との間に配置してもよい。この場合、燃料電池10は介在物として冷媒通路用セパレータ83を介して間接的に接着される。この場合も、上述した実施例と同様のヒータ81を用いて解体を助長することができる。
【0055】
また、上述した実施例では、シール部8とシール部76とを一度に軟化又は溶融させたが、片方ずつ順次加熱してもよい。この場合も、上述した実施例と同様の効果が得られる。あるいは、シール部8のみを軟化又は溶融させて一対のセパレータ6,7の分離を助長するようにしてもよいし、シール部76のみを軟化又は溶融させて燃料電池10同士の分離を助長するようにしてもよい。
[第3実施例]
第3実施例では、燃料電池10を解体する必要が生じたとき、以下の解体手順により燃料電池10を解体する。図15は燃料電池に除熱器を配置したときの説明図であり、(a)は平面図、(b)はF−F断面図である。なお、第1実施例と同じ構成要素については同じ符号を付し、その説明を省略する。まず、図15に示すように、熱伝導性の良い金属製の除熱器121〜124を予め冷凍庫に入れてマイナス数十℃にしておき、燃料電池10の解体時にこの除熱器121〜124を冷凍庫から取り出して、セパレータ6の四辺に沿って、換言すればシール部8に沿って、除熱器121〜124を配置する。これら除熱器121〜124は本発明の外部除熱手段に相当するものであり、このうち除熱器121,122は、図15(b)に示すように断面略L字状に形成され、セパレータ6に当接するセパレータ当接面121a,122aとセパレータ6,7の間隙を覆う間隙被覆面121b,122bとを備えている。なお、除熱器123,124も図示しないが除熱器121,122と同様、断面略L字状に形成され、セパレータ6に当接するセパレータ当接面と一対のセパレータ6,7の間隙を覆う間隙被覆面とを備えている。また、除熱器121〜124はドライアイスや小型冷却器などによりマイナス数℃〜マイナス数十℃に保たれている。さて、この状態で暫くすると、除熱器121〜124によりシール部8は熱が奪われて冷却され収縮する。そして、シール部8が収縮して一対のセパレータ6,7を接着する接着力が弱まったあと、各除熱器121〜124を燃料電池10から取り外す。その後、作業者は工具を利用するか手で掴んで一対のセパレータ6,7を完全に分離し、燃料電池10からMEA2を取り出す。
【0056】
以上詳述した本実施例によれば、除熱器121〜124によりシール部8から熱を除去して該シール部8を収縮させることにより一対のセパレータ6,7の分離を助長させる。つまり、シール部8が収縮するとセパレータ6,7同士の接着力が弱まり分離しやすくなるため、一対のセパレータ6,7の分離が助長される。したがって、燃料電池10を解体する必要が生じた時に確実に解体することができる。また、除熱器121〜124を比較的面積が広いセパレータ6に接触させて配置するため配置しやすいし、セパレータ6,7の間隙を覆うように配置するためその間隙に介在するシール部8から熱を除去しやすい。また、シール部8は除熱器121〜124によりセパレータ6,7の間隙を介して熱が除去されるばかりでなくセパレータ6を介しても熱が除去されるため、シール部8を早く低温にすることができる。また、除熱器121〜124はシール部8が形成されている箇所に沿って配置されるため、除熱器121〜124により効率よくシール部8から熱を除去することができる。更に、MEA2に供給される酸化ガスや燃料ガスが外部に漏れないようにシールする機能を有するシール部8でもって一対のセパレータ6,7を接着したため、シール機能を持つ部材と接着機能を持つ部材とをそれぞれ別部材で構成した場合に比べて簡素な構成となる。
【0057】
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0058】
例えば、各除熱器121〜124を断面略L字状としたが、図16に示すように断面略C字状としてもよい。即ち、除熱器121は、セパレータ6に当接するセパレータ当接面121aと、セパレータ6,7の間隙を覆う間隙被覆面121bと、セパレータ7に当接するセパレータ当接面121cとを備えていてもよく、他の除熱器122〜124もこの除熱器121と同様の断面形状としてもよい。あるいは、図17に示すように断面を上下に二分割した形状にしてもよい。即ち、除熱器121は、セパレータ6に当接するセパレータ当接面121dとセパレータ7に当接するセパレータ当接面121eとに分割されていてもよく、他の除熱器122〜124もこの除熱器121と同様の断面形状としてもよい。あるいは、除熱器121をセパレータ6に当接するセパレータ当接面121aのみを有する部材としたり、セパレータ6,7の間隙を覆う間隙被覆面121bのみを有する部材としたり、セパレータ7に当接するセパレータ当接面121cのみを有する部材としたりしてもよい。
【0059】
また、上述した実施例において、各除熱器121〜124によりシール部8から熱を除去する際、図18に示すように、一対のセパレータ6,7が互いに離間するような外力を加えてもよい。なお、図18は燃料電池10に除熱器121〜124と挿入部材151〜154を配置したときの説明図であり、(a)は平面図、(b)はG−G断面図である。まず、図18に示すように、先端がクサビ状に形成された挿入部材151〜154を、略四角形の燃料電池10の各辺にセパレータ6,7の間に挿入可能となるように配置し、付勢部材であるバネ155〜158によりセパレータ6,7の間に挿入する方向に付勢する。また、除熱器121〜124を予め冷凍庫に入れてマイナス数十℃にしておき、付勢部材であるバネ131〜134により除熱器121〜124をセパレータ6に向かって付勢する。これらの除熱器121〜124のうち除熱器121,122はバネ131,132に付勢されてセパレータ6と挿入部材151,152とに強制的に当接されている。ここで、除熱器121,122は、断面略L字状ではあるが上述した実施例とは異なりセパレータ6,7の間隙を覆っておらず、セパレータ6に当接するセパレータ当接面121a,122aと挿入部材151〜154に当接する挿入部材当接面121f,122fを有するように形成されている。なお、除熱器123,124も図示しないが除熱器121,122と同様の断面形状に形成されている。また、除熱器121〜124はドライアイスや小型冷却器などによりマイナス数℃〜マイナス数十℃に保たれている。さて、この状態で暫くすると、除熱器121〜124によりシール部8は熱が奪われて冷却され収縮する。そして、シール部8が収縮して一対のセパレータ6,7を接着する接着力が弱まるにつれて、挿入部材151〜154のクサビ状の部分がセパレータ6,7の間隙の奥へと挿入されてセパレータ6,7の間隙を押し広げる力つまりセパレータ6,7が離間する方向の外力を加えるため、これらの挿入部材151〜154によってセパレータ6,7の分離が一層助長される。また、除熱器121〜124によって挿入部材151〜154は冷却された状態でセパレータ6,7の間隙に挿入されるため、挿入部材151〜154を介してもシール部8から熱が除去されることになり、シール部8を一層早く低温にすることができる。なお、図18において除熱器121〜124を省略し、挿入部材151〜154に除熱器の機能を持たせてもよく、こうすれば構成が簡素になる。
【0060】
あるいは、一対のセパレータ6,7が互いに離間するような外力を加えるにあたって、既述の図10及び図11に示す構成を採用してもよい。但し、ここでは加熱炉61内ではなく冷凍庫内で作業を行うようにする。
【0061】
更に、上述した実施例では固体電解質膜形(高分子電解質形)の燃料電池について説明したが、他のタイプの燃料電池、例えば固体酸化物形、溶融炭酸塩形、リン酸形、アルカリ水溶液形等の燃料電池についても同様にして本発明を適用することができる。
[第4実施例]
第4実施例は、多数の燃料電池10を緊密に積層したセルスタック70に関するものである。図19は、発電時のセルスタック70の斜視図であり、図20は、図19のH−H断面図である。なお、セルスタック70は第2実施例で述べたとおりのものであり、燃料電池10は第1実施例で述べたとおりのものであるため、同じ構成要素については同じ符号を付し、その説明を省略する。また、発電時の作動についても第2実施例と同じであるため、その説明を省略する。
【0062】
次に、このセルスタック70及び燃料電池10を解体する必要が生じたときの解体手順につい説明する。解体時には、まず、セルスタック70に対し、図示しない加圧装置により発電時より弱い押圧力(ゼロでも可)を圧縮方向に加える。但し、発電時と同じ押圧力を加えたまま次の工程へ進んでもよい。続いて、セルスタック70の側面全体を覆うようにトンネル状に形成された除熱器86を配置する。この除熱器86は、例えば空冷式密閉型の冷凍機が内蔵されたもので、本発明の外部除熱手段に相当するものであり、シール部8やシール部76を外側から覆うと共に各燃料電池10を構成する一対のセパレータ6,7の間隙や燃料電池10同士の当接面を覆うように配置される。続いて、除熱器86に内蔵された冷凍機のスイッチを入れて冷却を開始し、シール部8,76が収縮するまで冷却を続ける。そして、シール部8が収縮して各燃料電池10を構成する一対のセパレータ6,7を接着する接着力が弱まり、且つシール部76が収縮して隣接する燃料電池10同士を接着する接着力が弱まったあと、除熱器86をセルスタック70から外す。その後、作業者は工具を利用するか手で掴んでセルスタック70及び燃料電池10を解体し、各燃料電池10からMEA2を取り出す。
【0063】
以上詳述した本実施例によれば、除熱器86によりシール部8から熱を除去して該シール部8が収縮するとセパレータ6,7同士の接着力が弱まり分離しやすくなるため、一対のセパレータ6,7の分離が助長される。また、同じく除熱器86によりシール部76から熱を除去して該シール部76が収縮すると隣接する燃料電池10同士の接着力が弱まり分離しやすくなるため、燃料電池10の分離が助長される。したがって、燃料電池10を解体する必要が生じた時に確実に解体することができる。また、除熱器86がセパレータ6,7の間隙や燃料電池10同士の当接面を覆うように配置されるため、その間隙に介在するシール部8やその当接面に配置されたシール部76から熱を除去しやすい。更に、MEA2に供給される酸化ガスや燃料ガスが外部に漏れないようにシールする機能を有するシール部8でもって一対のセパレータ6,7を接着し且つ冷媒が漏れないようにシールする機能を有するシール部76でもって燃料電池10同士を接着したため、シール機能を持つ部材と接着機能を持つ部材とをそれぞれ別部材で構成した場合に比べて簡素な構成となる。
【0064】
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0065】
例えば、上述した実施例では、隣り合う2つの燃料電池10を直接シール部76を介して接着するようにしたが、隣り合う2つの燃料電池10を冷媒通路用セパレータを介して接着するようにしてもよい(図14参照)。この場合も、上述した実施例と同様の除熱器86を用いて解体を助長することができる。
【0066】
また、上述した実施例では、シール部8とシール部76とを一度に冷却し収縮させたが、片方ずつ順次冷却してもよい。この場合も、上述した実施例と同様の効果が得られる。あるいは、シール部8のみを冷却し収縮させて一対のセパレータ6,7の分離を助長するようにしてもよいし、シール部76のみを冷却し収縮させて燃料電池10同士の分離を助長するようにしてもよい。
【0067】
上述した第1〜第4実施例において、シール部8やシール部76は接着剤を固化することにより形成したが、これらをガスケットにより形成してもよい。ガスケットとしては、例えばフッ素樹脂製のものやシリコーン樹脂製のものなどを使用することができる。
【0068】
また、燃料電池を外部から加熱する方法として、燃料電池10の温度よりも高温の液体を外部加熱手段とし該液体に燃料電池10又はセルスタック70を浸すことによりシール部8又はシール部76を軟化又は溶融させてもよい。この場合、燃料電池10内の流路に液体が浸透するように浸してもよい。なお、分解した燃料電池10を再利用することを考慮すると、前記液体は純水であることが好ましい。また、再利用をする前に、燃料電池10に気体を流入することにより内部に浸透した液体を強制的に排出してもよいが、液体が純水の場合にはそのまま再利用してもよい。
【符号の説明】
【0069】
2…膜電極アセンブリ(MEA)、3…固体電解質膜、4…アノード(電極)、4a…触媒電極、4b…ガス拡散電極、5…カソード(電極)、5a…触媒電極、5b…ガス拡散電極、6…セパレータ、6a…燃料ガス供給孔、6b…燃料ガス排出孔、6c…酸化ガス供給孔、6d…酸化ガス排出孔、6e…冷媒供給孔、6f…冷媒排出孔、6g…燃料ガス通路、6h…冷媒通路形成用凹溝、7…セパレータ、7a…燃料ガス供給孔、7b…燃料ガス排出孔、7c…酸化ガス供給孔、7d…酸化ガス排出孔、7e…冷媒供給孔、7f…冷媒排出孔、7g…酸化ガス通路、7h…冷媒通路形成用凹溝、8…シール部、10…燃料電池、21〜24…ヒータ、25〜28…通電回路、31〜34…バネ、51〜54…挿入部材、55〜58…バネ、60…燃料電池、61…加熱炉、62…テーブル面、63…巻き上げ装置、66…突起物、66a…貫通孔、66b…ワイヤ、67…突起物、67a…貫通孔、67b…ワイヤ、70…セルスタック、71,72…絶縁板、73,74…エンドプレート、76…シール部、80a〜80f…パイプ、81…ヒータ、83…冷媒通路用セパレータ、83h…冷媒通路形成用凹溝、86…除熱器、121〜124…除熱器、131〜134…バネ、151〜154…挿入部材、155〜158…バネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極アセンブリを両面から挟み込む一対のセパレータが接着部により接着された燃料電池を解体する方法であって、
外部加熱手段の熱を前記接着部に付与して該接着部を軟化又は溶融させることにより前記一対のセパレータの分離を助長させる分離助長ステップ、
を含む燃料電池解体方法。
【請求項2】
前記分離助長ステップでは、前記外部加熱手段を前記一対のセパレータの少なくとも一方に接触又は近接させる、請求項1記載の燃料電池解体方法。
【請求項3】
前記分離助長ステップでは、前記外部加熱手段を前記一対のセパレータの間隙を覆うように配置する、請求項1又は2記載の燃料電池解体方法。
【請求項4】
前記分離助長ステップでは、前記外部加熱手段を前記接着部の配置されている箇所に沿って配置する、請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池解体方法。
【請求項5】
前記分離助長ステップでは、前記外部加熱手段は前記接着部の軟化温度以上で前記電極アセンブリの耐熱温度未満となる熱を該接着部に付与する、請求項1〜4のいずれか記載の燃料電池解体方法。
【請求項6】
前記分離助長ステップでは、前記一対のセパレータが離間する方向の外力を外力付与手段により付与した状態で前記外部加熱手段の熱を前記接着部に付与する、請求項1〜5のいずれか記載の燃料電池解体方法。
【請求項7】
前記分離助長ステップでは、前記外力付与手段は前記一対のセパレータの間隙に挿入される方向に付勢されたクサビ状の部材である、請求項6記載の燃料電池解体方法。
【請求項8】
前記分離助長ステップでは、前記外力付与手段を前記外部加熱手段により加熱した状態で前記一対のセパレータの間隙に挿入する、請求項7記載の燃料電池解体方法。
【請求項9】
前記分離助長ステップでは、前記外力付与手段は一方のセパレータに設けたツマミに外力を付与して他方のセパレータから引き離す手段である、請求項6記載の燃料電池解体方法。
【請求項10】
前記分離助長ステップでは、前記外部加熱手段は前記一対のセパレータが離間する方向の外力を付与しつつ前記接着部に熱を付与する、請求項1〜5のいずれか記載の燃料電池解体方法。
【請求項11】
前記接着部は、前記電極アセンブリの周囲に配設され該電極アセンブリに供給されるガスが外部に漏れないようにシールする機能を有する、請求項1〜10のいずれか記載の燃料電池解体方法。
【請求項12】
前記分離助長ステップでは、前記外部加熱手段の熱を、前記燃料電池が複数積層された燃料電池積層体のうち前記燃料電池同士を直接又は介在物を介して間接的に接着する電池間接着部にも付与して該電池間接着部を軟化又は溶融させることにより、前記燃料電池同士の分離を助長させる、
請求項1〜11のいずれか記載の燃料電池解体方法。
【請求項13】
燃料電池同士を直接又は介在物を介して間接的に接着する電池間接着部を有する燃料電池積層体を解体する方法であって、
外部加熱手段の熱を前記電池間接着部に付与して該電池接着部を軟化又は溶融させることにより前記燃料電池同士の分離を助長させる分離助長ステップ、
を含む燃料電池解体方法。
【請求項14】
電極アセンブリを両面から挟み込む一対のセパレータが接着部により接着された燃料電池を解体する方法であって、
外部除熱手段により前記接着部から熱を除去して該接着部を収縮させることにより前記一対のセパレータの分離を助長させる分離助長ステップ、
を含む燃料電池解体方法。
【請求項15】
前記分離助長ステップでは、前記外部除熱手段を前記一対のセパレータの少なくとも一方に接触又は近接させる、請求項14記載の燃料電池解体方法。
【請求項16】
前記分離助長ステップでは、前記外部除熱手段を前記一対のセパレータの間隙を覆うように配置する、請求項14又は15記載の燃料電池解体方法。
【請求項17】
前記分離助長ステップでは、前記外部除熱手段を前記接着部の配置されている箇所に沿って配置する、請求項14〜16のいずれか記載の燃料電池解体方法。
【請求項18】
前記分離助長ステップでは、前記一対のセパレータが離間する方向の外力を外力付与手段により付与した状態で前記外部除熱手段により前記接着部から熱を除去する、請求項14〜17のいずれか記載の燃料電池解体方法。
【請求項19】
前記分離助長ステップでは、前記外力付与手段は前記一対のセパレータの間隙に挿入される方向に付勢されたクサビ状の部材である、請求項18記載の燃料電池解体方法。
【請求項20】
前記分離助長ステップでは、前記外力付与手段は前記外部除熱手段により熱を奪われ冷却された状態で前記一対のセパレータの間隙に挿入される、請求項19記載の燃料電池解体方法。
【請求項21】
前記分離助長ステップでは、前記外力付与手段は一方のセパレータに設けたツマミに外力を付与して他方のセパレータから引き離す手段である、請求項18記載の燃料電池解体方法。
【請求項22】
前記分離助長ステップでは、前記外部除熱手段は前記一対のセパレータが離間する方向の外力を付与しつつ前記接着部から熱を除去する、請求項14〜17のいずれか記載の燃料電池解体方法。
【請求項23】
前記接着部は、前記電極アセンブリの周囲に配設され該電極アセンブリに供給されるガスが外部に漏れないようにシールする機能を有する、請求項14〜22のいずれか記載の燃料電池解体方法。
【請求項24】
前記分離助長ステップでは、前記外部除熱手段により、前記燃料電池が複数積層された燃料電池積層体のうち前記燃料電池同士を直接又は介在物を介して間接的に接着する電池間接着部からも熱を除去して該電池間接着部を収縮させることにより、前記燃料電池同士の分離を助長させる、
請求項14〜23のいずれか記載の燃料電池解体方法。
【請求項25】
燃料電池同士を直接又は介在物を介して間接的に接着する電池間接着部を有する燃料電池積層体を解体する方法であって、
外部除熱手段により前記電池間接着部から熱を除去して該電池接着部を収縮させることにより前記燃料電池同士の分離を助長させる分離助長ステップ、
を含む燃料電池解体方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−182694(P2010−182694A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92558(P2010−92558)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【分割の表示】特願2004−349942(P2004−349942)の分割
【原出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】