説明

燃料電池

【課題】設計誤差や製造バラツキ等によりガス拡散層にセパレータを接合する位置がずれた場合でも、ガス拡散層がガス流路に落ち込んで剪断による損傷などを起こすこと等を防止することのできる燃料電池を提供する。
【解決手段】2つの矩形状のセパレータ8、10には、その長手方向にガスを流すための複数のガス流路7、9と、このガス流路7、9の間を仕切る複数のリブ11、12が設けられ、セパレータ8、10がその短手方向について一つのガス流路7、9の幅の範囲内でずれた状態でガス拡散層に接合された場合に、一方のセパレータに設けられたガス流路と、他方のセパレータに設けられたリブが、単位セルの積層方向から見てセパレータの長手方向に亘って重なり合わないように、ガス流路7、9およびリブ11、12が形成されていることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に関し、特に設計誤差等によりセパレータがずれて接合された場合でもガス拡散層の損傷等を防止することのできる燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は白金等の触媒を有する燃料極と酸化剤極によって電解質膜を挟み、燃料極に燃料ガス、酸化剤極に酸化剤ガスを供給することによって発電を行う。例えば自動車用途においては電解質膜として、一般的には水素イオン導電性を有する固体高分子電解質膜を利用する場合が多い。また、燃料ガスとして水素、酸化剤ガスとして空気を燃料電池に供給すると、以下のような反応が起こる。
【0003】
燃料極:2H2 → 4H+ + 4e- ・・・式(1)
酸化剤極:O2 + 4H+ + 4e- → 2H2O ・・・式(2)
したがって燃料電池は副生成物として水しか排出しないため、内燃機関のような二酸化炭素など地球環境に対するダメージを与える物質を放出しないといった利点がある。
【0004】
一般的に固体高分子型の燃料電池では、燃料極および酸化剤極の外側をそれぞれガス拡散層およびセパレータで挟持することで単位セルを構成し、この単位セルを100〜200層程度積層した状態で0.5〜3.0MPa程度の圧力をかけることにより燃料電池スタックを形成する。また、セパレータにはリブと呼ばれる仕切りで仕切られたガス流路が形成されるが、レイアウト、性能、コスト等の観点から種々の形状のガス流路を形成することができる。
【0005】
例えば従来の燃料電池では、直線状で互いに平行な複数のガス流路が形成された矩形状のセパレータを用いていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−12466号公報(第1頁、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし従来の燃料電池では(例えば、特許文献1参照)、設計誤差や製造バラツキ等によりガス拡散層にセパレータを接合する位置がずれた場合に、単位セルの積層方向について一方のセパレータのリブと他方のセパレータのガス流路が単位セルの多くの部分で重なり合ってしまうという問題点があった。単位セルの積層方向について一方のセパレータのリブと他方のセパレータのガス流路が重なり合うと、本来両側のリブで挟持されるはずのガス拡散層の部分が減少して、ガス拡散層にかかる面圧が過大になったり、ガス拡散層がガス流路に落ち込んで剪断による損傷などを起こすという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、設計誤差や製造バラツキ等によりガス拡散層にセパレータを接合する位置がずれた場合でも、ガス拡散層にかかる面圧が過大になったり、ガス拡散層がガス流路に落ち込んで剪断による損傷などを起こすことを防止することのできる燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る燃料電池は、電解質膜と、この電解質膜の両側に設けられた2つの電極層と、この電極層の外側に配置された2つのガス拡散層と、この2つのガス拡散層の両側に接合された2つの矩形状のセパレータと、を備えた単位セルを複数積層することにより構成された燃料電池において、前記セパレータには、その長手方向にガスを流すための複数のガス流路と、このガス流路の間を仕切る複数のリブが設けられ、前記セパレータがその短手方向について一つの前記ガス流路の幅の範囲内でずれた状態で前記ガス拡散層に接合された場合に、一方の前記セパレータに設けられた前記ガス流路と、他方のセパレータに設けられた前記リブが、前記単位セルの積層方向から見て前記セパレータの長手方向に亘って重なり合わないように、前記ガス流路および前記リブが形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る燃料電池は、矩形状のセパレータがその短手方向について一つのガス流路の幅の範囲内でずれた状態でガス拡散層に接合された場合に、一方のセパレータに設けられたガス流路と、他方のセパレータに設けられたリブが、単位セルの積層方向から見てセパレータの長手方向に亘って重なり合わないようにガス流路およびリブが形成されているため、設計誤差や製造バラツキ等によりガス拡散層にセパレータを接合する位置がずれた場合でも、ガス拡散層にかかる面圧が過大になったり、ガス拡散層がガス流路に落ち込んで剪断による損傷などを起こすことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施形態1)
図5は、一般的な燃料電池の単位セル100の反応部を示す部分縦断面図である。一般的な燃料電池は、図5に示すような単位セル100を例えば100から200枚積層して構成されており、スタック構造を有する。なお図5は、図6に示す燃料電池が組み立てられた状態のX−X断面を示している。また図5(a)は、2つのセパレータがガス拡散層に正常に取り付けられた状態を示し、図5(b)は2つのセパレータがガス拡散層に若干ずれて取り付けられた状態を示している。
【0011】
単位セル100は、固体高分子電解質膜(以下、電解質膜とする)102と、電解質膜102を両側から挟むアノード触媒層(電極層、燃料極)103とカソード触媒層(電極層、酸化剤極)104と、アノード触媒層103の外側に設けられたアノードガス拡散層105と、カソード触媒層104の外側に設けたカソードガス拡散層106とを備える。また、アノードガス拡散層105側の面に設けられ、複数の水素流路(ガス流路)107を有する矩形状のアノードセパレータ108と、カソードガス拡散層106側の面に設けられ、複数の空気流路(ガス流路)109を有する矩形状のカソードセパレータ110を備える。さらにアノードセパレータ108、カソードセパレータ110には、水素流路107、空気流路109の間にリブ111、リブ112が設けられている。このリブ111、リブ112により、水素流路107、空気流路109がそれぞれ複数のガス流路に仕切られている。例えば複数の空気流路109は、後述する空気導入マニホールド120側から空気排出マニホールド121側に直線状に延び、互いに平行な状態で区画形成されている(図6参照)。
【0012】
本発明では、電解質膜102とアノード触媒層103とカソード触媒層104とアノードガス拡散層105とカソードガス拡散層106が、膜電極複合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)113を構成しているものとする。
【0013】
アノード触媒層103、カソード触媒層104は、例えば白金などの触媒をカーボンブラック等に担持させて構成する。アノードガス拡散層105、カソードガス拡散層106は、導電性の多孔質材料からなり、例えばカーボンペーパーやカーボンクロスによって構成する。また本発明では、アノードセパレータ108、カソードセパレータ110をカーボンから構成するものとするが、アノードセパレータ108、カソードセパレータ110を貴金属メッキした金属等で構成するようにしてもよい。
【0014】
図6は、図5に示す単位セル100からアノードセパレータ108およびカソードセパレータ110を取り外した状態の分解図である。図6では、膜電極複合体113を模式的に示している。
【0015】
カソードセパレータ110は、膜電極複合体113と対峙する面に空気(酸化剤ガス)が流れる空気流路109を備え、空気流路109に空気を供給する空気導入マニホールド(酸化剤ガス入口)120と、反応部において反応しなかった空気を空気流路109から排出する空気排出マニホールド(酸化剤ガス出口)121を備える。空気流路109と空気導入マニホールド120はディフューザー122によって連結し、空気流路9と空気排出マニホールド121はディフューザー123によって連結している。
【0016】
また、アノードセパレータ108は、水素流路107に水素(燃料ガス)を導入する水素導入マニホールド(燃料ガス入口)124と、反応部において反応しなかった水素を水素流路107から排出する水素排出マニホールド(燃料ガス出口)125とを備える。さらにアノードセパレータ108およびカソードセパレータ110は、冷却水流路(図示せず)に冷却水を導入するための冷却水導入マニホールド126と、冷却水流路から冷却水を排出するための冷却水排出マニホールド127とを備える。図5および図6に示す単位セル100は、燃料ガスと酸化剤ガスが互いに逆向きに流れる、いわゆる向流型のものである。
【0017】
図5(a)に示すように、2つのセパレータがガス拡散層に正常に取り付けられた状態では、アノードセパレータ108のリブ111とカソードセパレータ110のリブ112が膜電極複合体113を挟持しており、リブ111の中心線Aとリブ112の中心線Bが一致している。このような状態では、膜電極複合体113に過大な面圧がかかることはなく、アノード触媒層103やカソード触媒層104が損傷する恐れがない。
【0018】
しかし図5(b)に示すように、例えばアノードセパレータ108がその短手方向にほぼ1つの水素流路107の幅分ずれた状態では、リブ111の中心線A′とリブ112の中心線B′が一致しておらず、アノードセパレータ108のリブ111とカソードセパレータ110のリブ112が膜電極複合体113を挟持した状態とならず、一方のセパレータに設けられたガス流路と、他方のセパレータに設けられたリブが、単位セルの積層方向から見て重なり合う。このような状態では、膜電極複合体113に過大な面圧がかかったり、アノード触媒層103やカソード触媒層104がガス流路に落ち込んでアノード触媒層103やカソード触媒層104が損傷する恐れがある。
【0019】
図1は、本発明の実施形態1に係る燃料電池の単位セルからアノードセパレータ8およびカソードセパレータ10を取り外した状態の分解図である。図1では、膜電極複合体13を模式的に示している。なお本実施形態に係る燃料電池は、以下に示す点を除いて図5および図6に示した燃料電池と同様であり、図5および図6に示した燃料電池と同じ構成要素には図5および図6の符号から100を差し引いた符号を付して説明する。
【0020】
本発明の各実施形態では、アノードセパレータ8またはカソードセパレータ10がその短手方向について一つのガス流路の幅の範囲内でずれた状態でアノードガス拡散層105またはカソードガス拡散層106に接合された場合に、一方のセパレータに設けられたガス流路と、他方のセパレータに設けられたリブが、単位セルの積層方向から見てセパレータの長手方向に亘って重なり合わないように、ガス流路およびリブが形成されている。
【0021】
本実施形態において、アノードセパレータ8は図5および図6に示したアノードセパレータ108と同じものであり、直線状の水素流路7が互いに平行になるように区画形成されている。
【0022】
一方、本実施形態に係る燃料電池のカソードセパレータ10の空気流路9は、水素流路7に対して0度でない所定の角度を成して形成されている。なお本実施形態では、空気流路9も直線状で互いに平行に形成されているものとする。このように空気流路9を水素流路7に対して斜めに配置することで、図5(b)および図6示すように一方のセパレータに設けられたガス流路と他方のセパレータに設けられたリブが単位セルの積層方向から見てセパレータの長手方向全体に亘って重なり合う状態を回避することができる。これにより膜電極複合体13に過大な面圧がかかったり、アノード触媒層やカソード触媒層がガス流路に落ち込んでアノード触媒層やカソード触媒層が損傷するのを防止することが可能となる。
【0023】
なお本実施形態における空気流路9と水素流路7の間の角度は、カソードセパレータ10の長手方向の両端において空気流路9が、カソードセパレータ10の短手方向について一つの空気流路9の幅と一つのリブ12の幅を合わせた長さよりもずれ量Cが少なくなるように設定されている。これにより、空気流路9における配流バラツキを抑制しながらカソード触媒層の損傷を防止することができる。
【0024】
本実施形態では、空気流路9と水素流路7が0度でない所定の角度を成しているため、一方のセパレータに設けられたガス流路と、他方のセパレータに設けられたリブが、単位セルの積層方向から見てセパレータの長手方向に亘って重なり合わず、設計誤差や製造バラツキ等によりガス拡散層にセパレータを接合する位置がずれた場合でも、ガス拡散層にかかる面圧が過大になったり、ガス拡散層がガス流路に落ち込んで剪断による損傷などを起こすことを低コストで防止することができる。
【0025】
(実施形態2)
図2は、本発明の実施形態2に係る燃料電池の単位セルからアノードセパレータ8およびカソードセパレータ10を取り外した状態の分解図である。図2では、膜電極複合体13を模式的に示している。なお本実施形態に係る燃料電池は、以下に示す点を除いて図5および図6に示した燃料電池と同様であり、図5および図6に示した燃料電池と同じ構成要素には図5および図6の符号から100を差し引いた符号を付して説明する。
【0026】
本実施形態において、アノードセパレータ8は図5および図6に示したアノードセパレータ108と同じものであり、直線状の水素流路7が互いに平行になるように区画形成されている。
【0027】
一方、カソードセパレータ10にも直線状の空気流路9が互いに平行になるように設けられているが、カソードセパレータ10のリブ12の幅がアノードセパレータ8のリブ11の幅よりも長くなっている。なお本実施形態では、それぞれのセパレータに設けられた複数のリブの幅はそれぞれ同じであるものとするが、例えばそれぞれのセパレータに設けられた複数のリブの幅をリブごとに変化させるようにしてもよい。また、カソードセパレータ10のリブ12の幅とアノードセパレータ8のリブ11の幅は、整数倍にならないようにするのが望ましい。これにより、一方のセパレータに設けられたガス流路と、他方のセパレータに設けられたリブが、単位セルの積層方向から見てセパレータの長手方向に亘って重なり合うのを効果的に回避することができる。
【0028】
本実施形態では、カソードセパレータ10のリブ12の幅とアノードセパレータ8のリブ11の幅が異なるため、一方のセパレータに設けられたガス流路と、他方のセパレータに設けられたリブが、単位セルの積層方向から見てセパレータの長手方向に亘って重なり合わず、設計誤差や製造バラツキ等によりガス拡散層にセパレータを接合する位置がずれた場合でも、ガス拡散層にかかる面圧が過大になったり、ガス拡散層がガス流路に落ち込んで剪断による損傷などを起こすことを低コストで防止することができる。
【0029】
(実施形態3)
図3は、本発明の実施形態3に係る燃料電池の単位セルからアノードセパレータ8およびカソードセパレータ10を取り外した状態の分解図である。図3では、膜電極複合体13を模式的に示している。なお本実施形態に係る燃料電池は、以下に示す点を除いて図5および図6に示した燃料電池と同様であり、図5および図6に示した燃料電池と同じ構成要素には図5および図6の符号から100を差し引いた符号を付して説明する。
【0030】
本実施形態では、水素流路7がアノードセパレータ8で規定される面内、すなわち水素流路7が並んだ平面内で湾曲している。また空気流路9もカソードセパレータ10で規定される面内、すなわち空気流路9が並んだ平面内で湾曲している。
【0031】
複数の水素流路7および複数の空気流路9は、それぞれアノードセパレータ8の面内およびカソードセパレータ10の面内で周期的に湾曲しているが、水素流路7と空気流路9の単位セルの積層方向から見た位相は異なっている。ここで、単位セルの積層方向から見た位相が異なっているというのは、例えば水素流路7が図3の左端から右端にかけて−sin(x)のカーブになっている場合に、空気流路9が180度位相がずれたsin(x)のカーブであったり、90度位相のずれた−cos(x)のカーブであったりするということである。なお本実施形態では、水素流路7と空気流路9の周期が同じであるものとする。また本実施形態では、水素流路7と空気流路9のそれぞれのセパレータの短手方向のずれ量の最大値(振幅の2倍、図3のD参照)は、同じであるものとするが、それぞれのセパレータにおけるガス流路の短手方向のずれ量の最大値は異なっていてもよい。
【0032】
なお、それぞれのセパレータに設けられたガス流路のセパレータの短手方向のずれ量Dの最大値は、一つのガス流路の幅と一つのリブの幅を合わせた長さよりも小さいのが望ましい。これは、ガス流路のアールが大きすぎるとガス流路をガスが流れる際の流路抵抗が大きくなるのを防止するためである。
【0033】
本実施形態では、水素流路7および空気流路9をそれぞれアノードセパレータ8およびカソードセパレータ10の面内で周期的に湾曲させ位相をずらしているため、アノードセパレータ8およびカソードセパレータ10の長手方向および短手方向のずれ、また回転方向のずれに対してもガス拡散層等の損傷を防止することができる。その他の効果については、実施形態1に係る燃料電池と同様である。
【0034】
(実施形態4)
図4は、本発明の実施形態4に係る燃料電池の単位セルからアノードセパレータ8およびカソードセパレータ10を取り外した状態の分解図である。図4では、膜電極複合体13を模式的に示している。なお本実施形態に係る燃料電池は、以下に示す点を除いて図5および図6に示した燃料電池と同様であり、図5および図6に示した燃料電池と同じ構成要素には図5および図6の符号から100を差し引いた符号を付して説明する。
【0035】
本実施形態では、実施形態3と同様に水素流路7がアノードセパレータ8で規定される面内、すなわち水素流路7が並んだ平面内で湾曲している。また空気流路9もカソードセパレータ10で規定される面内、すなわち空気流路9が並んだ平面内で湾曲している。
【0036】
複数の水素流路7および複数の空気流路9は、それぞれアノードセパレータ8の面内およびカソードセパレータ10の面内で周期的に湾曲しているが、水素流路7と空気流路9の単位セルの積層方向から見た周期は異なっている。例えば、図4に示す燃料電池の水素流路7はアノードセパレータ8の左端から右端にかけて2周期分湾曲しており、図4の空気流路9はカソードセパレータ10の左端から右端にかけて1周期分湾曲している。また本実施形態では、水素流路7と空気流路9のそれぞれのセパレータの短手方向のずれ量の最大値(振幅の2倍)は、同じであるものとするが、それぞれのセパレータにおけるガス流路の短手方向のずれ量の最大値は異なっていてもよい。
【0037】
本実施形態では、水素流路7および空気流路9をそれぞれアノードセパレータ8およびカソードセパレータ10の面内で周期的に湾曲させ周期を相違させているため、アノードセパレータ8およびカソードセパレータ10の長手方向および短手方向のずれ、また回転方向のずれに対してもガス拡散層等の損傷を防止することができる。その他の効果については、実施形態1に係る燃料電池と同様である。
【0038】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。例えば、図1に示す燃料電池ではアノードセパレータ8の水素流路7を斜めにしてもよく、図2に示す燃料電池では、アノードセパレータ8のリブ11を太くするようにしてもよい。また、図3および図4において、2つのセパレータのいずれか一方のガス流路のみを湾曲させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態1に係る燃料電池の単位セルからアノードセパレータおよびカソードセパレータを取り外した状態の分解図である。
【図2】本発明の実施形態2に係る燃料電池の単位セルからアノードセパレータおよびカソードセパレータを取り外した状態の分解図である。
【図3】本発明の実施形態3に係る燃料電池の単位セルからアノードセパレータおよびカソードセパレータを取り外した状態の分解図である。
【図4】本発明の実施形態4に係る燃料電池の単位セルからアノードセパレータおよびカソードセパレータを取り外した状態の分解図である。
【図5】一般的な燃料電池の単位セルの反応部を示す部分縦断面図である。
【図6】図5に示す単位セルからアノードセパレータおよびカソードセパレータを取り外した状態の分解図である。
【符号の説明】
【0040】
2、102 電解質膜
3、103 アノード触媒層
4、104 カソード触媒層
5、105 アノードガス拡散層
6、106 カソードガス拡散層
7、107 水素流路
8、108 アノードセパレータ
9,109 空気流路
10、110 カソードセパレータ
11、111 リブ
12、112 リブ
13、113 膜電極複合体
20、120 空気導入マニホールド
21、121 空気排出マニホールド
22、122 ディフューザー
23、123 ディフューザー
24、124 水素導入マニホールド
25、125 水素排出マニホールド
26、126 冷却水導入マニホールド
27、127 冷却水排出マニホールド
100 単位セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質膜と、この電解質膜の両側に設けられた2つの電極層と、この電極層の外側に配置された2つのガス拡散層と、この2つのガス拡散層の両側に接合された2つの矩形状のセパレータと、を備えた単位セルを複数積層することにより構成された燃料電池において、
前記セパレータには、その長手方向にガスを流すための複数のガス流路と、このガス流路の間を仕切る複数のリブが設けられ、
前記セパレータがその短手方向について一つの前記ガス流路の幅の範囲内でずれた状態で前記ガス拡散層に接合された場合に、一方の前記セパレータに設けられた前記ガス流路と、他方のセパレータに設けられた前記リブが、前記単位セルの積層方向から見て前記セパレータの長手方向に亘って重なり合わないように、前記ガス流路および前記リブが形成されていることを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
一方の前記セパレータに設けられた前記ガス流路が互いに平行であり、他方の前記セパレータに設けられた前記ガス流路が、前記一方のセパレータに設けられた前記ガス流路に対して0度でない所定の角度を成していることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記所定の角度は、前記セパレータの長手方向の両端において前記ガス流路が、前記セパレータの短手方向に一つの前記ガス流路の幅と一つの前記リブの幅を合わせた長さよりもずれ量が少なくなるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記2つのセパレータに設けられた前記ガス流路が互いに平行であり、それぞれの前記セパレータに設けられた前記複数のリブの幅が同じで、一方の前記セパレータに設けられたリブの幅と、他方の前記セパレータに設けられたリブの幅が異なることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項5】
少なくとも一つの前記セパレータに設けられた複数の前記ガス流路が1平面内に設けられており、この複数のガス流路が前記1平面内で湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項6】
それぞれの前記セパレータに設けられた前記ガス流路は周期的に湾曲しており、2つの前記セパレータに設けられたガス流路の周期は同じであり、2つのセパレータに設けられたガス流路は位相が異なることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池。
【請求項7】
それぞれの前記セパレータに設けられた前記ガス流路は周期的に湾曲しており、2つの前記セパレータに設けられたガス流路の周期が異なることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池。
【請求項8】
それぞれの前記セパレータに設けられた前記ガス流路の前記セパレータの短手方向のずれ量の最大値は、一つの前記ガス流路の幅と一つの前記リブの幅を合わせた長さよりも小さいことを特徴とする請求項5から7のいずれか一つに記載の燃料電池。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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