説明

燃焼器における振動支持のための装置及びその装置を形成する方法

【課題】燃焼器(14)用のスリーブ部品アセンブリ(104)及び該燃焼器(14)用のスリーブ部品アセンブリ(104)を形成する方法を開示する。
【解決手段】本スリーブ部品アセンブリ(104)は、内側スリーブ部品(100)又は外側スリーブ部品(102)の1つを備えたスリーブ部品(100、102)を含む。本スリーブ部品アセンブリ(104)はさらに、スリーブ部品(100、102)から延びまた隣接するスリーブ部品(100、102)と接触しかつ該隣接するスリーブ部品(100、102)に対して振動支持を与えるように構成された少なくとも1つの支持機構(110)を含む。少なくとも1つの支持機構(110)は、スリーブ部品(100、102)と一体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示した主題は、総括的にはタービンシステムに関し、より具体的には、タービンシステムの燃焼器における振動を減少させるための装置及び該装置を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンシステムは、発電のような分野において広く利用されている。例えば、従来型のガスタービンシステムは、圧縮機、燃焼器及びタービンを含む。タービンシステムの運転時に、タービンシステム内の様々な部品は、高い温度流れに曝される可能性があり、それにより部品が故障するおそれがある。より高い温度流れは一般的に、ガスタービンシステムの性能、効率及び出力の増大をもたらすので、高い温度流れに曝される部品は、ガスタービンシステムが高い温度で運転されるのを可能にするために冷却しなければならない。
【0003】
タービンシステムの運転時に、該タービンシステムの多くの部品は、大きな構造振動を受ける可能性がある。それらの振動は、部品に応力を加えかつ最終的には該部品を故障させるおそれがある。例えば、ガスタービンシステムにおいて、燃焼器インピンジメントスリーブは、構造振動に対して特に脆弱である。
【0004】
インピンジメントスリーブにおける構造振動を減少させるこれ迄の試みは、インピンジメントスリーブの壁を厚くすること或いはインピンジメントスリーブにリブ又はガセットを付加することを伴うものであった。しかしながら、壁を厚くすることは、インピンジメントスリーブを重量のあるものにする可能性があるので望ましくなくまたさらにインピンジメントスリーブを一層費用が掛かりかつ製造するのが困難なものにする可能性がある。リブ又はガセットの付加はまた、インピンジメントスリーブを一層費用が掛かりかつ製造するのが困難になりかねず、また潜在的にシステムに対する故障部位を増加させるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、タービンシステムの燃焼器における構造振動を減少させるための改良型の装置及び該装置を形成する方法は、当該技術分野では望ましいと言える。例えば、既存の燃焼器部品と一体の支持機構を備える方法及び装置は、利点を有する。さらに、最適な振動及び熱伝達性能になるように構成することができる支持機構を備える方法及び装置は、望ましいと言える。
【0006】
本発明の態様及び利点は、次の説明においてその一部を記載しており、或いはそれら説明から自明なものとして理解することができ、或いは本発明の実施により学ぶことができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、燃焼器用のスリーブ部品アセンブリを開示する。本スリーブ部品アセンブリは、内側スリーブ部品又は外側スリーブ部品の1つを備えたスリーブ部品を含む。本スリーブ部品アセンブリはさらに、スリーブ部品から延びまた隣接するスリーブ部品と接触しかつ該隣接するスリーブ部品に対して振動支持を与えるように構成された少なくとも1つの支持機構を含む。少なくとも1つの支持機構は、スリーブ部品と一体である。
【0008】
別の実施形態では、燃焼器用のスリーブ部品アセンブリを形成する方法を開示する。本方法は、内側スリーブ部品又は外側スリーブ部品の1つを備えたスリーブ部品をその内部で形成するように構成された少なくとも1つのゲート及び少なくとも1つのシェルを有する鋳型内に該少なくとも1つのゲートを通してスリーブ部品基材を流すステップを含む。本方法はさらに、鋳型内でスリーブ部品基材を凝固させて、スリーブ部品及び該スリーブ部品と一体でありかつ少なくとも1つのゲート内に配置される少なくとも1つの支持機構を備えたスリーブ部品アセンブリを形成するステップを含む。本方法はさらに、鋳型からスリーブ部品アセンブリを取外すステップと、少なくとも1つの支持機構の高さを調整して、該少なくとも1つの支持機構が隣接するスリーブ部品と接触しかつ該隣接するスリーブ部品に対して振動支持を与えるように構成するステップとを含む。
【0009】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点については、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって理解を深めることができるであろう。なお、本願の内容の一部をなす添付の図面には、本発明の実施形態を例示するとともに、発明の詳細な説明と併せて本発明の原理を説明する。
【0010】
本発明を当業者が実施できるように、以下の詳細な説明では、図面を参照しながら、本発明を最良の形態を含めて十分に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ガスタービンシステムの概略図。
【図2】本開示のガスタービンシステムの様々な部品の一実施形態の断面側面図。
【図3】本開示のスリーブ部品アセンブリの一実施形態の側面図。
【図4】本開示のスリーブ部品アセンブリのための鋳型の一実施形態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳しく説明するが、その1以上の実施例を図面に示す。各実施例は例示にすぎず、本発明を限定するものではない。実際、本発明の技術的範囲又は技術的思想から逸脱せずに、本発明に様々な修正及び変形をなすことができることは当業者には明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示又は説明した特徴を、別の実施形態に用いてさらに別の実施形態としてもよい。従って、本発明は、かかる修正及び変形を特許請求の範囲で規定される技術的範囲及びその均等の範囲に属するものとして包含する。
【0013】
図1は、ガスタービンシステム10の概略図である。本システム10は、圧縮機12、燃焼器14及びタービン16を含むことができる。さらに、本システム10は、複数の圧縮機12、燃焼器14及びタービン16を含むことができる。圧縮機12及びタービン16は、シャフト18によって結合することができる。シャフト18は、単一のシャフト又は互いに結合されてシャフト18を形成した複数のシャフトセグメントとすることができる。
【0014】
図2に示すように、燃焼器14は一般的に、圧縮機12及びタービン16に対して流体結合される。圧縮機12は、互いに流体連通状態で結合されて燃焼器14に向けて作動流体24を送るのを可能にするようになったディフューザ20及び吐出プレナム22を含むことができる。例えば、圧縮機12内で加圧された後に、作動流体24は、ディフューザ20を通って流れかつ吐出プレナム22に供給することができる。作動流体24は次に、吐出プレナム22から燃焼器14に流れ、燃焼器14において、作動流体24は燃料ノズル26からの燃料と混合させることができる。燃料と混合された後に、作動流体24/燃料混合気は、燃焼チャンバ28内で点火燃焼させて高温ガス流れ30を発生させることができる。この高温ガス流れ30は、高温ガス通路32に沿って燃焼チャンバ28を通ってトランジションピース空洞34内に送られかつタービンノズル36を通ってタービン16に送られるようにすることができる。
【0015】
燃焼器14は、作動流体24が流れるのを可能にするように構成された中空環状壁を含むことができる。例えば、燃焼器14は、流れスリーブ42内に配置された燃焼器ライナ40を含むことができる。図2に示すように、燃焼器ライナ40及び流れスリーブ42の配置は、ほぼ同心でありかつそれらの間に環状通路又は流路を形成することができる。一部の実施形態では、流れスリーブ42及び燃焼器ライナ40は、燃焼器14の第1の又は上流の中空環状壁を形成することができる。流れスリーブ42は、圧縮機12から吐出プレナム22を通って流路44内に流れる作動流体24の少なくとも一部分のための流路を構成した複数の入口46を含むことができる。言い換えれば、流れスリーブ42は、開口部のパターンで穿孔して多孔環状壁を形成することができる。燃焼器ライナ40の内部は、ほぼ円筒形の又は環状の燃焼チャンバ28を形成しかつ少なくともその一部がそれを通して高温ガス流れ30を導くことができる高温ガス通路32を形成することができる。
【0016】
燃焼器ライナ40及び流れスリーブ42の下流において、流れスリーブ42にインピンジメントスリーブ50を結合することができる。流れスリーブ42は、インピンジメントスリーブ50の取付け部材54を受けるように構成された取付けフランジ52を含むことができる。トランジションピース56は、インピンジメントスリーブ50の内部に配置して、該インピンジメントスリーブ50がトランジションピース56を囲むようにすることができる。インピンジメントスリーブ50及びトランジションピース56の同心配置により、それらの間に環状通路又は流路58を形成することができる。インピンジメントスリーブ50は、複数の入口60を含むことができ、これら入口60は、圧縮機12から吐出プレナム22を通って流路58内に流れる作動流体24の少なくとも一部分のための流路を構成することができる。言い換えれば、インピンジメントスリーブ50は、開口部のパターンで穿孔して多孔環状壁を形成することができる。トランジションピース56の内部空洞34はさらに、それを通して燃焼チャンバ28からの高温ガス流れ30をタービン16内に導くことができる高温ガス通路32を形成することができる。
【0017】
図示するように、流路58は、流路44に流体結合される。従って、流路44及び58は、圧縮機12及び吐出プレナム22からの作動流体24を燃料ノズル26に供給すると同時にさらに燃焼器14を冷却するように構成された流路を形成する。
【0018】
上述したように、タービンシステム10は、運転時に作動流体24を取入れかつ該作動流体24を圧縮機12に供給することができる。シャフト18によって駆動される圧縮機12は、回転しかつ作動流体24を加圧することができる。加圧作動流体は次に、ディフューザ20内に吐出させることができる。加圧作動流体24の大部分は次に、圧縮機12から、ディフューザ20を径由して、吐出プレナム22を通ってかつ燃焼器14内に吐出させることができる。さらに、加圧作動流体24の僅かな部分(図示せず)は、タービンエンジン10の他の部品を冷却するために下流に送ることができる。
【0019】
吐出プレナム22内の加圧作動流体24の一部は、入口60を通って流路58に流入させることができる。流路58内の作動流体24は次に、流路44を通して上流に送って、該作動流体24が燃焼器ライナ40上にわたって導かれるようにすることができる。従って、流路は、流路58(インピンジメントスリーブ50及びトランジションピース56によって形成された)並びに流路44(流れスリーブ42及び燃焼器ライナ40によって形成された)によって上流方向に形成される。従って、流路44は、流路58及び入口46の両方から作動流体24を受けることができる。上述したように、流路44を通る作動流体24は次に、燃料ノズル26に向けて上流に送ることができる。
【0020】
従って、燃焼器ライナ40、トランジションピース56、流れスリーブ42及びインピンジメントスリーブ50は全て、燃焼器14用のスリーブ部品である。図2に示すように、燃焼器ライナ40及びトランジションピース56の両方は、少なくともその一部が燃焼器14内に流れ境界部をもたらすように構成された内側スリーブ部品100となる。一般的に、本開示による内側スリーブ部品100は、燃焼器14内における流れの様々な流れ又は方向間に物理的境界部を形成することによって流れ境界部をもたらすように構成することができる。幾つかの実施形態では、流れの様々な流れ又は方向は、異なる温度を有することができ、従って内側スリーブ部品100はさらに、燃焼器14内に温度境界部をもたらすことができる。
【0021】
例えば、上述したように、燃焼器ライナ40及びトランジションピース56は、作動流体24の流れ及び高温ガス流れ30間に流れ境界部をもたらす。さらに、作動流体24は一般的に、高温ガス流れ30よりも低温であり、かつ燃焼器ライナ40及びトランジションピース56を冷却するために使用される。従って、燃焼器ライナ40及びトランジションピース56はさらに、温度境界部をもたらす。
【0022】
さらに、図2に示すように、流れスリーブ42及びインピンジメントスリーブ50の両方は、外側スリーブ部品102となる。一般的に、外側スリーブ部品102は、燃焼器14の部品でありかつ内側スリーブ部品100に隣接して配置される。外側スリーブ部品102は、内側スリーブ部品100に対する外側スリーブ又はケーシングとして作用することができ、かつ内側スリーブ部品100を通って流れる流れの外側境界部をもたらすことができる。例えば、流れスリーブ42及びインピンジメントスリーブ50は、それぞれ燃焼器ライナ40及びトランジションピース56に対する外側スリーブ部品102となる。
【0023】
本開示による外側スリーブ部品102は、タービンシステムの運転時に振動する可能性があり望ましくない。従って、外側スリーブ部品102の振動を減少させるか又は排除するために、該外側スリーブ部品102に対して振動支持を与える装置及び構成が必要となる。従って、本開示はさらに、タービンシステム10用のスリーブ部品アセンブリ104を対象とする。
【0024】
図2及び図3に示すように、スリーブ部品アセンブリ104は、スリーブ部品を含むことができる。例示的な実施形態では、スリーブ部品は、内側スリーブ部品100とすることができ、或いはそれに代えて外側スリーブ部品102とすることができる。例えば、例示的な実施形態では、上述したように、スリーブ部品は、トランジションピース56とすることができる。
【0025】
スリーブ部品アセンブリ104はさらに、少なくとも1つの支持機構110を含む。例示的な実施形態では、スリーブ部品アセンブリ104は、複数の支持機構110を含む。各支持機構110は、内側スリーブ部品100又は外側スリーブ部品102のようなスリーブ部品から延びる。例えば、各支持機構110は、内側スリーブ部品100又は外側スリーブ部品102の他方とすることができる隣接するスリーブ部品に面するスリーブ部品の表面から延びるようにすることができる。スリーブ部品100がトランジションピース56である例示的な実施形態では、支持機構110は、隣接するインピンジメントスリーブ50に面するトランジションピース56の表面112から延びるようにすることができる。
【0026】
支持機構110は、隣接するスリーブ部品と接触しかつ該隣接するスリーブ部品に対して振動支持を与えるように構成することができる。例えば、幾つかの実施形態では、支持機構110は、隣接するスリーブ部品とほぼ連続的に接触しかつ該隣接するスリーブ部品に対して振動支持を与えるように構成することができる。従って、支持機構110は、隣接するスリーブ部品と相互作用して、該部品を支持しかつ該部品の構造振動を減少させることができる。
【0027】
例えば、支持機構110は各々、高さ114を形成することができる。図3に示すように、各支持機構110の高さ114は、支持機構110が隣接する外側スリーブ部品102のような隣接するスリーブ部品と接触しかつ該隣接するスリーブ部品と相互作用して必要な振動支持を与えるのを可能にすることができる。下述するように、各支持機構110の高さ114は、所望に応じて調整して、該支持機構110が隣接するスリーブ部品を適正に支持するのを保証することができる。
【0028】
幾つかの実施形態では、高さ114は、支持機構110が隣接するスリーブ部品とほぼ連続的に接触しかつ該隣接するスリーブ部品に対して振動支持を与えるように調整することができる。それらの実施形態では、高さ114は、タービンシステム10が運転中でない時に、隣接するスリーブ部品及び支持機構110が接触状態になるようにすることができる。しかしながら、運転時には、振動により、ほぼ連続的に接触している支持機構110及び隣接するスリーブ部品が時として分離する可能性があること、また互いに対する支持機構110及び隣接するスリーブ部品のこのような振動運動は、ほぼ連続的に接触している支持機構110及び隣接するスリーブ部品の技術的範囲及び技術思想の範囲内にあることを理解されたい。
【0029】
他の実施形態では、高さ114は、システム10の運転時に支持機構110が隣接するスリーブ部品と接触しかつ該隣接するスリーブ部品に対して振動支持を与えるように調整することができる。これらの実施形態では、高さ114は、タービンシステム10が運転中でない時には、隣接するスリーブ部品及び支持機構110が接触状態でないようにすることができる。運転時には、
振動により、ほぼ連続的に分離している支持機構110及び隣接するスリーブ部品が時として接触する可能性があり、従って支持機構110は、隣接するスリーブ部品と接触しかつ該隣接するスリーブ部品に対して振動支持を与えることができる。
【0030】
本開示による各支持機構110は、内側スリーブ部品100又は外側スリーブ部品102とのようにスリーブ部品と一体である。従って、スリーブ部品及び該スリーブ部品から延びる支持機構110は、同一の材料で形成することができ、かつ互いに単一のユニットとして形成することができる。例示的な実施形態では、スリーブ部品及び支持機構110は、ニッケル又はコバルト基合金又は超合金で形成することができる。それに代えて、スリーブ部品及び支持機構110は、燃焼器14において使用するのに好適なあらゆる材料で形成することができる。
【0031】
さらに、例示的な実施形態では、支持機構110は、スリーブ部品の鋳造時に形成することができる。例えば、幾つかの実施形態では、下述するように、スリーブ部品アセンブリ104をその内部で鋳造するようになった鋳型シェルは、スリーブ部品及び少なくとも1つの支持機構110を備えたスリーブ部品アセンブリ104を形成するように設計しかつ構成することができる。他の例示的な実施形態では、下述するように、鋳造時にそれを通して鋳型シェル内にスリーブ部品基材を流すために利用するゲートにより、支持機構110を形成することができる。支持機構110は、スリーブ部品の鋳造時にゲートによって形成することができる。従って、スリーブ部品アセンブリ104は、鋳造時に一体ユニットとして形成することができる。
【0032】
例示的な実施形態では、各支持機構110は、所望の振動特性を有するように構成することができる。例えば、各支持機構110は、該支持機構110が振動支持を与えている隣接する外側スリーブ部品102のような隣接するスリーブ部品上に所望の振動特性を与えるように個々に調整することができる。所望の振動特性を備えるために、各支持機構110は所望の形状、寸法及び/又は高さ114を有する状態で形成することができ、かつ/或いは支持機構110の位置は個々に調整することができ、かつ/或いは様々な支持機構110間の間隔は調整することができる。例示的な実施形態では、所望の振動特性は、隣接する外側スリーブ部品102のような隣接するスリーブ部品の固有振動数とすることができる。各支持機構110は、隣接するスリーブ部品の固有振動数を上昇させるか又は低下させるように、或いは隣接するスリーブ部品が特定の所望の固有振動数を有するように構成することができる。例えば、支持機構110の高さ114は、隣接するスリーブ部品の固有振動数を上昇ように高くするか又は隣接するスリーブ部品の固有振動数を低下させるように低くすることができる。
【0033】
しかしながら、本開示は、隣接するスリーブ部品の固有振動数を調整するために支持機構110の上記の特性を調整することに限定されるものではないことを理解されたい。それどころか、隣接するスリーブ部品のあらゆる好適な振動特性を調整するために支持機構110のあらゆる好適な特性を調整することは、本開示の技術的範囲及び技術思想の範囲内である。
【0034】
例示的な実施形態では、各支持機構110は、所望の熱伝達特性を備えるように構成することができる。上述したように、例示的な実施形態では、内側スリーブ部品102のようなスリーブ部品は、例えば比較的より高温の流れ及び比較的より低温の流れ間に温度境界部をもたらすことができる。例えば、スリーブ部品がトランジションピース56である実施形態では、スリーブ部品は、高温ガス流れ30及び作動流体24間に温度境界部をもたらすことができる。従って、支持機構110は、スリーブ部品に対して所望の熱伝達特性を与えるように利用することができる。所望の熱伝達特性を備えるために、各支持機構110は所望の形状、寸法及び/又は高さ114を有する状態で形成することができ、かつ/或いは支持機構110の位置は個々に調整することができ、かつ/或いは様々な支持機構間の間隔は調整することができる。例えば、スリーブ部品における熱交換は、比較的均一であることが望ましいと言える。従って、様々な支持機構110は、比較的厚肉の支持機構110として形成することができ、従って他の支持機構110を比較的薄肉の支持機構110として形成しながらスリーブ部品上の低温スポットを加熱する断熱材として作用させることができ、従ってスリーブ部品上の高温スポットを冷却するフィンとして作用させることができる。従って、支持機構110は、スリーブ部品における比較的均一な熱交換を行なうのを助けることができる。
【0035】
しかしながら、本開示は、スリーブ部品において均一な熱交換が行われるように支持機構110の上記の特性を調整することに限定されるものではないことを理解されたい。それどころか、スリーブ部品アセンブリ104又は隣接するスリーブ部品のあらゆる好適な熱伝達特性を調整するために支持機構110のあらゆる好適な特性を調整することは、本開示の技術的範囲及び技術思想の範囲内である。
【0036】
本開示はさらに、燃焼器14用のスリーブ部品アセンブリ104を形成する方法を対象とする。上述したように、スリーブ部品アセンブリ104は、内側スリーブ部品100又は外側スリーブ部品102のようなスリーブ部品と、少なくとも1つの支持機構110又は複数の支持機構110とを含む。さらに、例示的な実施形態では、スリーブ部品はトランジションピース56である。
【0037】
例えば、図4に示すように、本方法は、少なくとも1つのゲート204を通して又は複数のゲート204を通して鋳型202内にスリーブ部品基材200を流すステップを含む。鋳型202は、スリーブ部品100を形成するように構成されたゲート204及び少なくとも1つのシェルを含むことができる。例えば、図4に示すような幾つかの実施形態では、鋳型204は、少なくとも1つの内側シェル206又は複数の内側シェル206、並びに少なくとも1つの外側シェル208又は複数の外側シェル208を含むことができる。内側及び外側シェル206、208は、互いに嵌合させて、その内部にスリーブ部品100のための内部成形領域210を形成することができる。ゲート204は、内部成形領域210内に流れるスリーブ部品基材200のための外側シェル208及び/又は内側シェル206を貫通するアクセスポイントを構成することができる。
【0038】
幾つかの実施形態では、鋳型202はさらに、1つの注入口212又は複数の注入口212、1つの湯口214又は複数の湯口214、並びに1つの湯道216又は複数の湯道216を含むことができる。注入口212は、スリーブ部品基材200のための鋳型202への入口として設けることができる。従って、一般的に、部品基材200は、注入口212を通して鋳型202内に流すことができる。湯口214及び湯道216は、スリーブ部品基材200のためのチャネル網を形成して、それらを通して流した後に内部成形領域210内に流すことができる。従って、湯口214及び湯道216は、鋳型202を通してスリーブ部品基材200を分散させて、該スリーブ部品基材200が比較的均等に内部成形領域210に流入しかつ比較的均等に凝固するのを可能にするようにすることができる。上述したように、ゲート204は、内部成形領域210内に流れるスリーブ部品基材200のための外側シェル208及び/又は内側シェル206を貫通するアクセスポイントを構成する。従って、湯口214及び/又は湯道216は、ゲート204と流体連通状態になっていて、スリーブ部品基材200がゲート204を通って湯口214及び/又は湯道216から内部成形領域210内全体に流れるようにすることができる。
【0039】
本方法はさらに、鋳型202内でスリーブ部品基材200を硬化させるなど凝固させて、スリーブ部品アセンブリ104を形成するステップを含むことができる。スリーブ部品基材200が鋳型202内に流されると、該基材200の一部分は、内部成形領域210内に流れるのではなく、ゲート204内に滞留することができる。従って、スリーブ部品基材200が凝固すると、ゲート204内の基材200は、スリーブ部品アセンブリ104の支持機構110を形成することができる。従って、スリーブ部品アセンブリ104は、スリーブ部品及び少なくとも1つの支持機構110を含むことができ、また支持機構110は、スリーブ部品と一体とすることができかつ少なくとも1つのゲート204内に配置することができる。
【0040】
本方法はさらに、鋳型202からスリーブ部品アセンブリ104を取外すステップを含むことができる。例えば、鋳型202の様々なシェル206、208、ゲート204及びその他の部品は、あらゆる好適な方法又は装置を使用してスリーブ部品アセンブリ104から取外すことができる。
【0041】
本方法はさらに、支持機構110の高さ114を調整するステップを含むことができる。高さ114は、支持機構110がタービンシステム10内において振動支持を与えるように構成されるように調整することができる。例えば、高さ114は、支持機構110が隣接するスリーブ部品と接触しかつ該隣接するスリーブ部品に対して振動支持を与えるように構成されるように調整することができる。高さ114を調整するために、支持機構110は、該支持機構110が所望通りに隣接するスリーブ部品と接触しかつ該隣接するスリーブ部品と相互作用するように、必要に応じて測定しかつトリム加工し、切削し、研磨し又はその他の方法で縮小加工することができる。
【0042】
例えば、幾つかの実施形態では、本方法は、支持機構110が所望の振動特性を備えるようにゲート204を設計するステップを含むことができる。例えば、上述したように、支持機構110は、所望の振動特性を備えるように構成することができる。従って、例えば、所望の振動特性を備えるために、各支持機構110は所望の形状、寸法及び/又は高さ114を有する状態で形成することができ、かつ/或いは支持機構110の位置は個々に調整することができ、かつ/或いは様々な支持機構間110間の間隔は調整することができる。所望の振動特性を備えるようにこのような構成で支持機構110を形成するために、ゲート204は、その中に形成された支持機構110が全体としてこのような構成を有するような寸法及び位置とすることができる。
【0043】
例えば、幾つかの実施形態では、本方法は、支持機構110が所望の熱伝達特性を備えるようにゲート204を設計するステップを含むことができる。例えば、上述したように、支持機構110は、所望の熱伝達特性を備えるように構成することができる。従って、例えば、所望の熱伝達特性を有するために、各支持機構110は所望の形状、寸法及び/又は高さ114を有する状態で形成することができ、かつ/或いは支持機構110の位置は個々に調整することができ、かつ/或いは様々な支持機構110間の間隔は調整することができる。所望の熱伝達特性を有するようにこのような構成で支持機構110を形成するために、ゲート204は、その中に形成された支持機構110が全体としてこのような構成を有するような寸法及び位置とすることができる。
【0044】
例えば、幾つかの実施形態では、本方法は、支持機構110が所望の振動特性を有するように該支持機構110を修正するステップを含むことができる。例えば、スリーブ部品アセンブリ104を形成した後には、支持機構110は、所望の振動特性を備えるための適切な構成を有することができない。従って、所望の振動特性を備えるために、形状、寸法及び/又は高さ114のような様々な支持機構110の様々な特性は修正することができ、かつ/或いは様々な支持機構110は取除くことができ、かつ/或いは様々な支持機構110はその他の方法で修正することができる。支持機構110を修正するために、所望に応じて、該支持機構110の様々な部分は取除くことができ、或いは支持機構110は成形し直すことができ、或いは支持機構110は、その他の方法で修正することができる。
【0045】
例えば、幾つかの実施形態では、本方法は、支持機構110が所望の熱伝達特性を備えるように該支持機構110を修正するステップを含むことができる。例えば、スリーブ部品アセンブリ104を形成した後には、支持機構110は、所望の熱伝達特性を備えるための適切な構成を有することができない。従って、所望の熱伝達特性を備えるために、形状、寸法及び/又は高さ114のような様々な支持機構110の様々な特性は修正することができ、かつ/或いは様々な支持機構110は取除くことができ、かつ/或いは様々な支持機構110はその他の方法で修正することができる。支持機構110を修正するために、所望に応じて、支持機構110の様々な部分は取除くことができ、或いは支持機構110は形成し直すことができ、或いは支持機構110はその他の方法で修正することができる。
【0046】
従って、例示的実施形態では、本開示は、支持機構110を付加的に形成するために、スリーブ部品を形成するための鋳型202のゲート204を有利に利用する。例示的な実施形態では、鋳造プロセスとすることができる形成プロセス時には、鋳型に流入する基材のための様々なアクセスポイントを構成するような複数のゲート204を有するのが一般的に有利である。より多くのゲート204は、所望の部品への基材のより良好かつより均一な凝固を可能にする。しかしながら、これ迄は、ゲート204を付加することは、生じた突出部を所望の部品から取除く費用を重要視しなければならなかった。本開示では、生じた突出部が取除かれるのではなく燃焼器14内で振動支持を与えるように構成されることを必要とすることによって、その費用が軽減される。従って、より多くのゲート204は、本開示による形成プロセス時に利用することができる利点がある。より多くのゲート204により、振動支持の向上をもたらすことができるより多くの支持機構を備えたより高い品質のスリーブ部品アセンブリ104が得られる。
【0047】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない部品を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な部品を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0048】
10 タービンシステム
12 圧縮機
14 燃焼器
16 タービン
18 シャフト
20 ディフューザ
22 吐出プレナム
24 作動流体
26 燃料ノズル
28 燃焼チャンバ
30 高温ガス流れ
32 高温ガス通路
34 トランジションピース空洞
36 タービンノズル
40 燃焼器ライナ
42 流れスリーブ
44 流路
46 入口
50 インピンジメントスリーブ
52 取付けフランジ
54 取付け部材
56 トランジションピース
58 流路
60 入口
100 内側スリーブ部品
102 外側スリーブ部品
104 スリーブ部品アセンブリ
110 支持機構
112 表面
114 高さ
200 スリーブ部品基材
202 鋳型
204 ゲート
206 内側シェル
208 外側シェル
210 内部成形領域
212 注入口
214 湯口
216 湯道

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器用のスリーブ部品アセンブリであって、当該スリーブ部品アセンブリが、
内側スリーブ部品又は外側スリーブ部品の1つを備えたスリーブ部品と、
前記スリーブ部品から延びまた隣接するスリーブ部品と接触しかつ該隣接するスリーブ部品に対して振動支持を与えるように構成された少なくとも1つの支持機構と
を備えており、前記少なくとも1つの支持機構が前記スリーブ部品と一体である、スリーブ部品アセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの支持機構が、前記スリーブ部品の鋳造時に形成される、請求項1記載のスリーブ部品アセンブリ。
【請求項3】
複数の支持機構をさらに含む、請求項1記載のスリーブ部品アセンブリ。
【請求項4】
前記スリーブ部品が内側スリーブ部品である、請求項1記載のスリーブ部品アセンブリ。
【請求項5】
前記スリーブ部品がトランジションピースである、請求項1記載のスリーブ部品アセンブリ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの支持機構が、前記隣接するスリーブ部品とほぼ連続的に接触するように構成される、請求項1記載のスリーブ部品アセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの支持機構が所望の熱伝達特性を備えるように構成される、請求項1記載のスリーブ部品アセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの支持機構が所望の振動特性を備えるように構成される、請求項1記載のスリーブ部品アセンブリ。
【請求項9】
タービンシステム用の燃焼器であって、当該燃焼器が、
内側スリーブ部品と、
前記内側スリーブ部品に隣接して配置された外側スリーブ部品と、
前記内側スリーブ部品又は外側スリーブ部品の1方から延びまた該内側スリーブ部品又は外側スリーブ部品の他方と接触しかつ該内側スリーブ部品又は外側スリーブ部品の他方に対して振動支持を与えるように構成された少なくとも1つの支持機構と
を備えており、前記少なくとも1つの支持機構が前記内側スリーブ部品又は外側スリーブ部品の一方と一体である、燃焼器。
【請求項10】
前記少なくとも1つの支持機構が、前記内側スリーブ部品又は外側スリーブ部品の一方の鋳造時に形成される、請求項9記載の燃焼器。
【請求項11】
複数の支持機構をさらに含む、請求項9記載の燃焼器。
【請求項12】
前記少なくとも1つの支持機構が前記内側スリーブ部品から延びる、請求項9記載の燃焼器。
【請求項13】
前記内側スリーブ部品がトランジションピースであり、前記外側スリーブ部品がインピンジメントスリーブである、請求項9記載の燃焼器。
【請求項14】
燃焼器用のスリーブ部品アセンブリを形成する方法であって、
内側スリーブ部品又は外側スリーブ部品の1つを備えたスリーブ部品をその内部で形成するように構成された少なくとも1つのゲート及び少なくとも1つのシェルを有する鋳型内に該少なくとも1つのゲートを通してスリーブ部品基材を流すステップと、
前記鋳型内で前記スリーブ部品基材を凝固させて、前記スリーブ部品及び該スリーブ部品と一体でありかつ前記少なくとも1つのゲート内に配置される少なくとも1つの支持機構を備えた前記スリーブ部品アセンブリを形成するステップと、
前記鋳型から前記スリーブ部品アセンブリを取外すステップと、
前記少なくとも1つの支持機構の高さを調整して、該少なくとも1つの支持機構が、隣接するスリーブ部品と接触しかつ該隣接するスリーブ部品に対して振動支持を与えるように構成するステップと
を含む方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの支持機構が複数の支持機構である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記スリーブ部品がトランジションピースである、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの支持機構が所望の熱伝達特性を備えるように、前記少なくとも1つのゲートを設計するステップをさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの支持機構が所望の振動特性を備えるように、前記少なくとも1つのゲートを設計するステップをさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの支持機構が所望の熱伝達特性を備えるように、該少なくとも1つの支持機構を修正するステップをさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの支持機構が所望の振動特性を備えるように、該少なくとも1つの支持機構を修正するステップをさらに含む、請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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