説明

燃焼装置

【課題】 排気混合室を設けることなく一酸化炭素の発生を早期に検出することができる燃焼装置を提供する。
【解決手段】 燃焼装置は、空気流量調節手段であるガスバーナ3に供給する一次空気の流量を一次空気ダンパ3cにより調節する。そして、ガスバーナ3の燃焼排気が流れる方向の一酸化炭素濃度が高くなる左右いずれかの側で、熱交換器4におけるガスバーナ3の燃焼排気流路の下流側に一酸化炭素センサSが配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風呂給湯器等の燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風呂等に給湯する給湯器の燃焼装置として、ガスバーナを内蔵する燃焼部と、燃焼部の上方に設けられ燃焼部からの燃焼排気を混合する排気混合室と、排気混合室内の燃焼排気中の一酸化炭素濃度を検出する一酸化炭素検出手段と、排気混合室から燃焼排気を排出する排気筒とを備える燃焼装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる燃焼装置によれば、燃焼排気が排気混合室で混合されて燃焼排気中の一酸化炭素濃度分布が均一化され、混合された後の燃焼排気中の一酸化炭素濃度が一酸化炭素検出手段で検出されるので、一酸化炭素濃度を的確に検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−258386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような燃焼装置の構造では、排気混合室内の燃焼排気中の一酸化炭素濃度分布を均一化するために燃焼排気を充分混合し得る混合流路が必要であると共に、排気混合室は燃焼排気が漏れないように気密性の高いものとする必要がある。
【0006】
そこで、混合流路を長くすると、燃焼装置全体が大きくなってコスト上昇をもたらすと共に、設置スペースを大きくとることとなる。
【0007】
また、排気混合室の気密性を高くするには、燃焼排気の温度が高いこと及び一酸化炭素検出器はシリコンと反応して劣化する傾向があることから、シリコンを含有するパッキンをシール材として使用することはできない。このため、排気混合室の気密のために上記の環境に耐えるアロンセラミック等のシール材を用いることになるが、生産性を低下させるという問題がある。
【0008】
本発明は、以上の課題を解決するものとして、排気混合室を設けることなく一酸化炭素を的確に検出することができる燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の燃焼装置は、ガスバーナと、該ガスバーナにより加熱される熱交換器と、前記ガスバーナの燃焼排気が流れる方向の左右いずれかの側の一酸化炭素濃度が高くなるように、前記ガスバーナに供給される一次空気及び/又は二次空気の流量を調節する空気流量調節手段と、前記熱交換器における前記ガスバーナの燃焼排気流路の下流側で、前記空気流量調節手段の調節により一酸化炭素濃度が高くなる側に配置された一酸化炭素検出手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、空気流量調節手段の調節により一酸化炭素濃度が高くなる側に一酸化炭素検出手段が配置されているので、ガスバーナ全体では一酸化炭素濃度が低いときに一酸化炭素を検出するので、公知の排気混合室なしで一酸化炭素を、濃度が低い段階で早期に検出することができる。また、燃料排気を混合する排気混合室が不要であるから、燃焼装置全体をコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の燃焼装置を適用した実施形態の給湯器を示す図である。
【図2】実施形態の給湯器におけるガスバーナ部を示す図である。
【図3】実施形態の給湯器における本体外面の操作パネルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明に係る燃焼装置を適用した実施形態の給湯器を示す。給湯器本体1は箱状に形成されている。給湯器本体1内には、燃焼筐2が設けられており、燃焼筐2内の下部と上部とに夫々ガスバーナ3と給湯用の熱交換器4とを配置し、ガスバーナ3の燃焼熱によって熱交換器4が加熱されるようにしている。燃焼筐2の下端には、給気ファン5が接続されており、給湯器本体1に形成した空気取入れ口1aからの空気を給気ファン5により燃焼用空気として燃焼筐2内に強制給気し、ガスバーナ3の燃焼排ガスを燃焼筐2の上端の排気口2aから排出するように構成されている。
【0013】
熱交換器4には、上流側の給水管6と下流側の給湯管7とが接続されている。また、給湯管7に熱交換器4をバイパスして給水管6を接続するバイパス管8が設けられている。従って、給湯管7の下流端に接続される出湯栓(図示省略)を開いたとき、給水管6からの水が熱交換器4に通水され、熱交換器4で加熱された温水にバイパス管8からの水が混合され、給湯管7を介して出湯栓から出湯される。給水管6には、水量調節機構たる流量調節弁9と、通水量を検出する流量センサ10とが介設されている。流量調節弁9は、操作摘み9aに連動する回転カム9bにより駆動される弁体9cを備えており、操作摘み9aの手動操作に応じて通水量を可変するように構成されている。また、給湯管7のバイパス管8との合流部下流側には、給湯温度を検出する湯温センサ11と、過圧逃し弁12とが設けられている。
【0014】
ガスバーナ3は、燃焼量の比較的小さい第1ガスバーナブロック3aと、燃焼量の比較的大きい第2ガスバーナブロック3bとで構成されており、電磁開閉弁から成る元弁13とガスガバナ14とを介設したガス供給路15の下流端の第1ガスバーナブロック3a用の分岐路と第2ガスバーナブロック3b用の分岐路とに、夫々電磁開閉弁から成る第1、第2の能力切換弁16a、16bを介設している。そして、第1能力切換弁16aと第2能力切換弁16bとで能力切換機構16を構成し、熱交換器4の加熱能力を、第1能力切換弁16aを開弁して第1バーナブロック3aのみを燃焼作動させたときの小能力と、第1と第2の両能力切換弁16a,16bを開弁して第1と第2の両ガスバーナブロック3a,3bを燃焼作動させたときの大能力との2段階に選択できるようにしている。尚、ガスバーナ3には、点火プラグ17と、火炎検出のためのフレームロッド18とが付設されている。
【0015】
図2は、実施形態の給湯器のガスバーナ部を示す。本実施形態において、空気流量調節手段であるガスバーナ3に供給する一次空気の流量を一次空気ダンパ3cにより調節して、ガスバーナ3の燃焼排気が流れる方向の一酸化炭素濃度が高くなる左側で、熱交換器4におけるガスバーナ3の燃焼排気流路の下流側に一酸化炭素検出センサSが配置されている。一次空気ダンパ3cは、ガスバーナ3に供給される一次空気の流量をガスバーナ3の左側に供給される一次空気がガスバーナ3の右側に供給される一次空気対して少なくなるように形成されている。
【0016】
また、本実施形態において、一次空気ダンパ3cに代えて又はこれと共に、ガスバーナ3に供給される二次空気の流量を調節する空気導入路等の空気流量調節手段を用いることで、ガスバーナ3の燃焼排気が流れる方向の一酸化炭素濃度が高くなる左右いずれかの側に、一酸化炭素センサSを配置するようにしてもよい。
【0017】
また、第1ガスバーナブロック3aは、ガスバーナ3において燃焼排気が流れる方向の左側に設けられた常時燃焼部である。そして、ガスバーナ3の常時燃焼側である第1ガスバーナブロック3aの下流側に、一酸化炭素濃度を検出する一酸化炭素検出手段である一酸化炭素センサSが配置されている。
【0018】
一酸化炭素センサSで検出された一酸化炭素濃度が所定の基準を超えたとき、不完全燃焼状態になったと判断してガスバーナ3の燃焼を停止するようにしている。
【0019】
図3は、実施形態における給湯器本体の外面の操作パネルを示す。給湯器本体1の外面の操作パネル1bには、右側の水量調節部に位置させて上記した流量調節弁9の操作摘み9aが配置され、左側の温度調節部に位置させて手動操作式の能力設定手段たる高低2つの押しボタン19H,19Lが配置され、中間部に運転スイッチ20が配置されている。また、温度調節部には、加熱能力の2段切換に対応させて発光ダイオードから成る「1」「2」の2個の表示ランプ21が設けられている。
【0020】
給湯器本体1にはコントローラ22が内蔵されており、押しボタン19H,19Lの操作に応じてコントローラ22により前記第1と第2の能力切換弁16a、16bが開閉制御されると共に、表示ランプ21が点灯制御される。即ち、加熱能力が小能力に設定されているときは、「1」の表示ランプ21が点灯されると共に、第1能力切換弁16aが開弁される。この状態で押しボタン19Hを1回押すと、「1」の表示ランプ21に加えて「2」の表示ランプ21が点灯されると共に、第1と第2の両能力切換弁16a,16bが開弁されて、加熱能力が大能力に設定変更される。また、加熱能力が大能力に設定されている状態で押しボタン19Lを1回押すと、上記した小能力の状態に変化する。
【0021】
以上、本発明の実施形態によれば、空気流量調節手段である一次空気の流量を調節する一次空気ダンパ3c及び/又は二次空気の流量を調節する空気導入量等により一酸化炭素濃度が高くなる側に一酸化炭素センサSが配置されるため、ガスバーナ3全体では一酸化炭素濃度が低い状態で一酸化炭素の発生を検出するので、従来の排気混合室を設けることなく一酸化炭素の発生を早期に検出することができる。
【0022】
また、熱交換器4におけるガスバーナ3の常時燃焼部の下流側に一酸化炭素センサSが配置されるため、ガスバーナ3全体で発生する一酸化炭素濃度が低い状態で一酸化炭素の発生を検出するので、排気混合室を設けることなく一酸化炭素を早期に検出することができる。
【符号の説明】
【0023】
1…給湯器本体、1a…空気取入れ口、1b…操作パネル、2…燃焼筐、2a…排気口、3…ガスバーナ、3a…第1ガスバーナブロック、3b…第2ガスバーナブロック、3c…一次空気ダンパ、4…熱交換器、5…給気ファン、6…給水管、7…給湯管、8…バイパス管、9…流量調節弁、9a…操作摘み、9b…回転カム、9c…弁体、10…流量センサ、11…湯温センサ、12…過圧逃し弁、13…元弁、14…ガスガバナ、15…ガス供給路、16a…第1能力切換弁、16b…第2能力切換弁、17…点火プラグ、18…フレームロッド、19H,19L…押しボタン、20…運転スイッチ、21…表示ランプ、22…コントローラ、S…一酸化炭素センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバーナと、
該ガスバーナにより加熱される熱交換器と、
前記ガスバーナの燃焼排気が流れる方向の左右いずれかの側の一酸化炭素濃度が高くなるように、前記ガスバーナに供給される一次空気及び/又は二次空気の流量を調節する空気流量調節手段と、
前記熱交換器における前記ガスバーナの燃焼排気流路の下流側で、前記空気流量調節手段の調節により一酸化炭素濃度が高くなる側に配置された一酸化炭素検出手段とを備えることを特徴とする燃焼装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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