燃焼装置
【課題】点火不良や着火不良や炎立ち消えが起きる不適切な状況での使用や、再点火により異常着火が生じることを防ぐ。
【解決手段】パイロットバーナへの点火操作が行われたにもかかわらず、パイロットバーナに点火が行われなかった点火不良回数と、メインバーナへの着火操作が行われたにもかかわらず、メインバーナに着火が行われなかった着火不良回数と、メインバーナの燃焼中に炎が消えた炎立ち消え回数とを回数検出手段61がそれぞれ検出する。その検出値を、燃焼強制禁止制御手段63が区別し、バーナの燃焼強制停止と再点火操作の禁止のための対応する判断基準回数と比較し、前記検出値の少なくとも一つが対応する前記判断基準回数に達したときには全てのバーナの燃焼を強制的に停止すると共にその後、予め定められた設定禁止期間は点火手段によるパイロットバーナの点火動作を強制的に禁止する。
【解決手段】パイロットバーナへの点火操作が行われたにもかかわらず、パイロットバーナに点火が行われなかった点火不良回数と、メインバーナへの着火操作が行われたにもかかわらず、メインバーナに着火が行われなかった着火不良回数と、メインバーナの燃焼中に炎が消えた炎立ち消え回数とを回数検出手段61がそれぞれ検出する。その検出値を、燃焼強制禁止制御手段63が区別し、バーナの燃焼強制停止と再点火操作の禁止のための対応する判断基準回数と比較し、前記検出値の少なくとも一つが対応する前記判断基準回数に達したときには全てのバーナの燃焼を強制的に停止すると共にその後、予め定められた設定禁止期間は点火手段によるパイロットバーナの点火動作を強制的に禁止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼室内に口火用のパイロットバーナと、パイロットバーナの口火によって着火するメインバーナとを備え、乾電池を電源とした燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5には、本願発明者が開発中の燃焼装置が模式的なシステム図により示されている。なお、このシステム構成は、後述する実施例にも適用される。この燃焼装置は、例えば浴室に配置され、バランス型風呂釜と呼ばれている装置である。この装置は、口火用のパイロットバーナ38と、給湯メインバーナ10と、風呂の追い焚き用の風呂メインバーナ39とを有しており、パイロットバーナ38に供給される燃料ガスに点火するイグナイタ電極43が設けられている。このイグナイタ電極43および前記各バーナ38,10,39は金属製のケースに覆われている燃焼室60内に設けられており、燃焼室60には、空気の吸気口(図示せず)と、バーナ38,10,39の燃焼ガスの排気口17とが設けられている。
【0003】
なお、給湯メインバーナ10には能力切り替えつまみ49が設けられており、燃焼装置の設置時等に、能力切り替えつまみ49の手動操作によって給湯メインバーナ10の燃焼能力(燃料ガスの供給量)が設定されるが、その後は、設定された能力で燃焼が行われる(給湯メインバーナ10の燃焼が行われる毎に可変されることはない)。
【0004】
風呂メインバーナ39の上部側には、風呂メインバーナ39によって加熱される風呂追い焚き熱交換器40が設けられ、給湯メインバーナ10の上部側には、給湯メインバーナ10により加熱される給湯熱交換器7が設けられている。給湯熱交換器7の出側には給湯ハイリミットスイッチ47が設けられており、風呂追い焚き熱交換器40には風呂ハイリミットスイッチ46が設けられている。なお、符号45は、過熱防止装置を示す。
【0005】
給湯熱交換器7には、該給湯熱交換器7に水を導入する給水導入通路19と、給湯熱交換器7を通って加熱された水を給湯先に導く給湯通路11とが接続されている。給湯通路11の先端側には給湯栓9が設けられており、この例では、給湯栓9が切り替えレバー方式の栓で形成されている。この種の給湯栓9は、レバーの切り替えによって、給湯通路11を通った湯を、カラン側の出湯管30側とシャワー側通路31のいずれかから選択的に出湯させるものであり、同図では、出湯管30側から出湯されるように選択した状態が示されている。符号57は逆止弁、58は熱湯遮断弁をそれぞれ示す。
【0006】
前記給水導入通路19には、水量調節機構21が接続されており、水量調節機構21には、水ガバナー15、ダイヤフラムケース(ダイヤフラム室)13、水量調節室20が設けられている。ダイヤフラムケース13には、ダイヤフラム14が設けられており、このダイヤフラム14によって、ダイヤフラムケース13内が、一次室13aと二次室13bとに区分けされている。水量調節室20には温度調節子23が設けられており、温度調節子23は、温度調節つまみ22に接続されている。
【0007】
また、水量調節機構21には、水量調節機構21に水を供給する給水通路8と、水量調節機構21から水を導出する通路16と、排水通路24とが接続されている。給水通路8にはフィルタ25が介設され、排水通路24には水抜き栓26が設けられている。
【0008】
前記給湯メインバーナ10には、ガス供給手段としてのガス通路32が接続されており、該ガス通路32は、水圧自動ガス弁33と、器具栓34とを介し、ガス導入通路35に接続されている。なお、符号51は水自弁スイッチを示す。器具栓34の下部側にはガスの電磁弁54が設けられており、水圧自動ガス弁33は、前記ダイヤフラム14に連結して設けられている。
【0009】
ガス導入通路35は、燃料ガスを燃焼装置に外部から導入するものであり、ガス導入通路35から導入される燃料ガスが、器具栓34を介してガス通路32を通り、給湯メインバーナ10に供給される。また、器具栓34には、ガス供給手段としてのガス通路36,37が接続されており、ガス導入通路35から器具栓34まで導入された燃料ガスが、ガス通路36を通してパイロットバーナ38に導入され、ガス通路37を通して風呂メインバーナ39に供給される構成を成している。
【0010】
なお、同図には図示されていないが、パイロットバーナ38の炎口の近傍には、炎口から出る炎の熱をその熱による起電力により検出する熱電対と、パイロットバーナ38の炎を検出するためのフレームロッド電極とが設けられている。熱電対は電磁弁54に電気的に接続されている。
【0011】
前記器具栓34は、器具栓つまみ(操作つまみ)48とシャフト50と手動開閉通路である閉子53を有して形成され、器具栓つまみ48の手動操作に応じてシャフト50と閉子53が図5の矢印に示すように、上下したり回転したりすることによって、手動により操作される。器具栓つまみ48は、図4(a)に示すように、回動自在に形成されて、この例ではつまみの印が付いている側を「止」、「口火」、「給湯・シャワー」、「追いだき」のいずれかの位置に適宜合わせることにより、パイロットバーナ38、給湯メインバーナ10、風呂メインバーナ39のうちの対応するバーナへの点火や着火が行われるようになっている。
【0012】
以下、これらのバーナへの点火や着火動作について、図7〜図12を参照しながら簡単に説明する。シャフト50には、図5に示すように、器具栓スイッチ52(52a,52b,52c)が設けられ、これらのスイッチは、マイクロスイッチにより形成されている。図7のステップS1で、器具栓つまみ48を「止」の位置において下側に押し下げると、器具栓つまみ48と共にシャフト50が下がり、器具栓スイッチ52aがオン(52aオン,52bオフ,52cオフ)する(表1も参照)。
【0013】
【表1】
【0014】
そして、このときの押し下げ力により、電磁弁54が開き(図7のステップS2、参照)、燃料ガスがガス導入通路35を通って器具栓34の入口まで流入する。その状態で、図7のステップS3で、器具栓つまみ48を「口火」の位置に回していき、その回転に伴い、図4(b)に示すように、その回転角度θ(「止」の位置とつまみの印との角度)が例えば33°となると、燃料ガスは器具栓34の閉子53に形成された口火用通路を通り(口火用通路が開き)、図7ステップS4のように、(口火用の)ガス通路36が開くことになって、ガス通路36に燃料ガスが導入されていき(つまり、器具栓34が消火位置から点火位置に移動する間にガス通路36から前記パイロットバーナ38への燃料ガスの供給が開始し)、ガス通路36の先端に設けられたパイロットノズルを経て、パイロットバーナ38の一次空気孔から一次空気を吸引しながら炎口側(パイロットバーナヘッド)に流れる。
【0015】
また、この燃料ガスの供給時に器具栓スイッチ52cがオン(52aオン,52bオフ,52cオン)となり、図示されていない乾電池を電源とした、図示されていない燃焼制御部の制御によって、図7のステップS6で、図示されていないイグナイタ(点火トランス)への通電が行われ、イグナイタ電極43の火花によるパイロットバーナ38への点火が行われる。つまり、器具栓つまみ48を「止」の位置から「口火」の位置に移動させて、器具栓34を消火位置から点火位置に移動させる点火操作が行われたときに、燃焼装置は、前記のような点火動作を行う。
【0016】
なお、図5に示す燃焼装置において、器具栓つまみ48を「口火」の位置に回して器具栓つまみ48を放す(押し下げる力を除く)と、シャフト50が元の位置に戻り、器具栓スイッチ52aはオフ(52aオフ,52bオフ,52cオン)となるが(表1、参照)、器具栓つまみ48を「口火」の位置に回した直後は図示されていない燃焼制御部の制御によって電磁弁54に電流が流されて強制開状態に保たれる(図7のステップS7、参照)。その後、前記のようにパイロットバーナ38の炎口近傍に設けられた熱電対(図示せず)の起電力が予め定められる電磁弁維持電圧以上になると、前記燃焼制御部の通電が停止される。すなわち、熱電対の起電力が発生する前の燃焼制御部の通電や、熱電対の起電力により、図7のステップS11で器具栓つまみ48から手を離しても(押し下げる力を除いても)、電磁弁54が開状態に保たれる(図8のステップS22、23、参照)。ただし、電磁弁54が開かれた直後には前記の如く電流を流すが、その通電は、熱電対の起電力が前記電磁弁維持電圧以上になると停止されるので、その後、熱電対の起電力が前記電磁弁維持電圧より下がると電磁弁54が閉じる方向に動作する。
【0017】
なお、電磁弁54への通電や熱電対の起電力は、あくまで開状態に保つのみであり、器具栓つまみ48を下側に押し下げていない状態で通電や熱電対の起電力相当を与えても開とはならない。また、熱電対を無くし、パイロットバーナ38の燃焼中は、図示されていない燃焼制御部の制御によってのみの電流で開状態に保つようにしてもよい。
【0018】
また、器具栓つまみ48を「給湯・シャワー」や「追いだき」の位置に回していくと、燃料ガスが器具栓つまみ48の回転角度に応じて閉子53に形成されているガスメイン通路を通り、ガス通路32,37を通って給湯メインバーナ10や風呂メインバーナ39に供給される。例えば、図9のステップS1で、器具栓つまみ48を「口火」から「給湯・シャワー」の位置に移動すると、その移動の間に器具栓スイッチ52bがオン(52aオフ,52bオン,52cオン)し、給湯栓9の開により(図9のステップS7、参照)生じる通水に応じて生じる差圧で開閉する水圧自動ガス弁33の開により(図9のステップS8、参照)、パイロットバーナ38の口火が給湯メインバーナ10に着火する。
【0019】
また、図11に示すように、ステップS1で器具栓つまみ48を「追いだき」の位置に移動させると、その移動の間に器具栓スイッチ52cがオフし(52aオフ,52bオン,52cオフ)、ステップS2に示すように、ガス通路37が通じる(開く)ことにより風呂メインバーナ39にガスが供給されてパイロットバーナ38の口火が風呂メインバーナ39に着火する(ステップS3、参照)。
【0020】
以上のように、器具栓つまみ48を「口火」の位置から「給湯・シャワー」の位置に移動させて、器具栓34を点火位置から給湯メインバーナ10の着火位置に移動させる着火操作や、「口火」の位置から「追いだき」の位置に移動させて、器具栓34を点火位置から風呂メインバーナ39の着火位置に移動させる着火操作が行われたときに、燃焼装置は、前記のような着火動作を行う。
【0021】
さらに、図12に示すように、そのステップS1で、器具栓つまみ48を「止」の位置に戻すと、器具栓スイッチ52b,52cがいずれもオフしてガス通路36が閉じ(ステップS2、参照)、ステップS3で、器具栓つまみ48を手から離すことにより器具栓スイッチ52aもオフし、電磁弁54も閉じて(ステップS4、参照)、消火状態となる(ステップS5、参照)。なお、器具栓つまみ48の「止」、「口火」、「給湯・シャワー」、「追いだき」の各位置における器具栓スイッチ52b,52cのオン・オフの状態は、表2に示すようになる。また、器具栓スイッチ52a,52b,52cのオン・オフの状態は、図8、図9、図12にも示されており、図8、図9、図12において、器具栓つまみ48の「給湯・シャワー」の表記を省略し、「給湯」と示している。燃焼装置において、器具栓つまみ48の表記は、このように、「給湯・シャワー」の代わりに「給湯」としてもよい。
【0022】
【表2】
【0023】
この燃焼装置において、給水栓(図示せず)を開くと、水は、給水通路8を通って水ガバナー15を通り、ダイヤフラムケース13の一次室13aへと流れ、水量調節子23により分岐して、その一方は、通路16を通り、給湯通路11側に導かれる。他方は、給水導入通路19、給湯熱交換器7を通って給湯通路11側に導かれ、給湯通路11から出湯管30(またはシャワー側通路31)へ流れて出水される。
【0024】
また、器具栓つまみ48を「給湯・シャワー」の位置に合わせることにより、燃料ガスは、水圧自動ガス弁33の配設位置まで流れる。この状態で給湯栓9を開き、給水通路8を通して水が流れ始めると、この水がダイヤフラムケース13の一次室13aから通路16を通り、通水による圧力損失で得られる低圧力が通路16によりダイヤフラム二次室13bに伝えられ、一次室13a(高圧)との差圧がダイヤフラム14の面積により荷重として働き、ダイヤフラム14が二次室13b側へと移動する。
【0025】
この結果、ダイヤフラム14と連結された水圧自動ガス弁33が開き、燃料ガスがガス通路32を通って給湯メインバーナ10に供給され、前記の如く、パイロットバーナ38の口火から給湯メインバーナ10に着火する。このように、給湯メインバーナ10は、給湯栓9が開かれることにより流れる(燃焼装置に導入される)水の量が予め定められた設定作動流量以上となったときに燃焼を開始する。そして、この給湯メインバーナ10の燃焼によって、給湯熱交換器7を通る水が加熱され、出湯管30(またはシャワー側通路31)から出湯される。
【0026】
また、図5には示されていないが、風呂追い焚き熱交換器40は風呂循環通路を介して浴槽に接続されており、その接続部(上部循環口)よりも例えば10cm以上高い位置まで湯または水を入れた状態で、器具栓つまみ48を「追いだき」の位置に合わせることにより、燃料ガスが通路36を通って風呂メインバーナ39に供給され、前記の如く、パイロットバーナ38の口火から風呂メインバーナ39に着火し、風呂追い焚き熱交換器40を循環して浴槽内の湯水の加熱が行われる。
【0027】
なお、バランス型風呂釜等の燃焼装置において、イグナイタ電極43の代わりに、圧電スパークによってパイロットバーナ38への点火を行う点火プラグを設けたバランス型風呂釜も用いられており、この点火プラグが設けられた構成の燃焼装置の場合は、器具栓つまみ48を「口火」の状態として点火装置のハンドルを手動により回転させることにより圧電素子を叩き、発生する高電圧を点火プラグにかけ、点火プラグから圧電スパーク(火花)を飛ばして点火が行える構成を成している。なお、手動により回転させるスピードを変えても圧電素子から発生する電圧、すなわち、点火プラグから放出される電圧に変化はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
ところで、前記のような開発中のバランス型風呂釜において、パイロットバーナ38への点火操作が行われたにもかかわらず前記パイロットバーナ38に点火が行われなかったこと(点火不良)が連続して繰り返し生じると、パイロットバーナ38に供給される燃料ガスに火がつかないまま、点火操作に応じて生ガスが供給され続けることになり、その燃料ガスがプロパンガスの場合には、生ガスがバーナの底部にたまる。その状態で再度点火操作を行ったときに初めてパイロットバーナ38への点火が行われると、溜まった燃料ガスに一気に着火し、大きな音がして近所迷惑となったり、近くを歩く人が驚いたりするといった支障が生じる場合があった。
【0029】
また、給湯メインバーナ10や風呂メインバーナ39への着火操作が行われたにもかかわらず、これらのメインバーナに着火が行われなかったことが生じたりした場合には、メインバーナ10,39に供給される燃料ガスに火がつかないまま、着火操作に応じて生ガスが供給され続けることになるため、その状態で一気に火が着くことは避けたい。さらに、メインバーナ10,39の燃焼中に炎が消えるのは(パイロットバーナ38に点火しているにもかかわらず、炎の立ち消えが生じるのは)、図6(a)の矢印Wに示すような、屋外から入って燃焼装置のケース内(燃焼室内)を流れる風により燃料ガスが揺らぎ、その揺らぎが、図6(b)に示すように大きくなったためと考えられ、この揺らぎによって燃料ガスがバーナの炎口に接しやすい状態であるために、一度炎が消えると、失火検知までの間に多くのガスが放出されると共に、例えば台風等、使用に適さない条件と考えられるので、継続しての使用は避けたい。なお、パイロットバーナ38に点火しているにもかかわらず、メインバーナ10,39に着火が行われない場合の要因は、パイロットバーナ38の複数の炎口(例えば、第1〜第3の炎口)のうち、メインバーナ10,39に面する炎口の炎のみ、風によって消えた場合や、消えていなくても、パイロットバーナ38の炎とメインバーナ10,39に供給される燃料ガスとの間に風の流れが入り込み、火移りしない等の要因が考えられる。
【0030】
しかしながら、このような、点火不良や着火不良(火移り不良)や炎の立ち消えが生じた際に、これらの状況を的確に判断し、台風等、不適切な状況での使用を回避し、また、再点火時に大きな着火音が生じる等の支障が生じることを防げる燃焼装置は提案されていなかった。
【0031】
本発明は、前記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、点火不良や着火不良や、炎立ち消えが起きる不適切な状況での使用や、その後の再点火時の大きな着火音発生等の支障が生じることを防げる燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は上記目的を達成するために、次の構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、燃焼室内に、口火用のパイロットバーナと、該パイロットバーナの炎によって着火するメインバーナと、前記パイロットバーナに点火する点火手段とが設けられ、前記パイロットバーナに前記燃料ガスを供給するガス供給手段と、手動により操作される器具栓とを有して、該器具栓を消火位置から点火位置に移動させる点火操作が行われたときに前記パイロットバーナへの点火動作を行い、前記器具栓を前記点火位置からメインバーナへの着火位置に移動させる着火操作が行われたときに燃料ガスが供給されている前記メインバーナに前記パイロットバーナの火を着火する着火動作を行う燃焼装置において、前記パイロットバーナへの点火操作が行われたにもかかわらず前記パイロットバーナに点火が行われなかった点火不良回数と、前記メインバーナへの着火操作が行われたにもかかわらず前記メインバーナに着火が行われなかった着火不良回数と、前記メインバーナの燃焼中に炎が消えた炎立ち消え回数のいずれか1つ以上を検出する回数検出手段を有し、前記パイロットバーナへの再点火動作の禁止を判断するための条件として前記点火不良回数と前記着火不良回数と前記炎立ち消え回数の少なくとも1つ以上の判断基準回数が設定され、前記回数検出手段により検出される点火不良回数の検出値と着火不良回数の検出値と炎立ち消え回数の検出値とをそれぞれ区別してそれぞれの検出値を対応する前記判断基準回数と比較し、前記検出値の少なくとも一つが対応する前記判断基準回数に達したときには全てのバーナの燃焼を強制的に停止すると共にその後パイロットバーナの再点火操作が行われても設定禁止期間は前記点火手段による前記パイロットバーナの点火動作を強制的に禁止する燃焼強制禁止制御手段を有する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0033】
また、第2の発明は、前記第1の発明の構成に加え、前記器具栓を消火位置から点火位置に移動させてパイロットバーナへの点火操作を1回行う毎に、前記器具栓を前記点火位置から前記消火位置に戻してからでないと前記パイロットバーナの再点火操作を行えない構成と成していることを特徴とする。
【0034】
さらに、第3の発明は、前記第1または第2の発明の構成に加え、前記点火手段はイグナイタにより形成されており、燃焼強制禁止制御手段は前記イグナイタへの通電を強制的に禁止してイグナイタ電極により火花を飛ばす動作を禁止することによってパイロットバーナの点火動作を強制的に禁止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、パイロットバーナへの点火操作が行われたにもかかわらずその点火が行われなかった点火不良回数と、メインバーナへの着火操作が行われたにもかかわらずその着火が行われなかった着火不良回数と、前記メインバーナの燃焼中に炎が消えた炎立ち消え回数のいずれか1つ以上を検出し、それぞれの検出値を区別して、バーナの燃焼強制停止と再点火操作の禁止のための予め与えられた対応する判断基準回数と比較する。そして、前記検出値の少なくとも一つが対応する前記判断基準回数に達したときには、全てのバーナの燃焼を強制的に停止すると共に、その後、パイロットバーナの再点火操作が行われても予め定められた設定禁止期間は前記点火手段による前記パイロットバーナの点火動作を強制的に禁止するので、点火不良や着火不良や、炎立ち消えが起きる不適切な状況での使用や、その後の再点火時の大きな着火音発生等の支障が生じることを確実に防ぐことができる。
【0036】
また、器具栓を消火位置から点火位置に移動させてパイロットバーナへの点火操作を1回行う毎に、前記器具栓を前記点火位置から前記消火位置に戻してからでないと前記パイロットバーナの再点火操作を行えない構成とすることにより、パイロットバーナの再点火操作の際には、一度器具栓を点火位置から消火位置に戻さなければならないので、この間に、燃料ガスが自然換気されるようにすることができ、パイロットバーナの点火不良によって生ガスが溜まる割合を小さくすることができ、点火不良によって溜まった生ガスに再点火により一気に火がつくことによって大きな着火音が発生することをより一層確実に防ぐことができる。
【0037】
さらに、点火手段をイグナイタとして、燃焼強制禁止制御手段がイグナイタ電極により火花を飛ばす動作を禁止することによってパイロットバーナの点火動作を強制的に禁止することにより、燃焼強制禁止制御手段によるパイロットバーナの再点火動作の禁止を、非常に容易に、かつ、的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る燃焼装置の一実施例の制御構成を示すブロック図である。
【図2】実施例に適用されているバーナを説明するための斜視図(a)とパイロットバーナの平面説明図(b)である。
【図3】図2に示したバーナの構成を模式化して示す説明図である。
【図4】燃焼装置の器具栓つまみの例を示す平面図である。
【図5】開発中の燃焼装置であるバランス型風呂釜のシステム構成図である。
【図6】燃焼装置内に風が流れるときの燃料ガスの状態と、立ち消え発生時の燃料ガスの状態を模式的に示す説明図である。
【図7】実施例の燃焼装置の口火動作例を図8と共に示すフローチャートである。
【図8】実施例の燃焼装置の口火動作例を図7と共に示すフローチャートである。
【図9】実施例の燃焼装置の給湯動作例を図10と共に示すフローチャートである。
【図10】実施例の燃焼装置の給湯動作例を図9と共に示すフローチャートである。
【図11】実施例の燃焼装置の追い焚き動作例を示すフローチャートである。
【図12】実施例の燃焼装置の消火動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本実施例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【実施例】
【0040】
本実施例の燃焼装置は、図5に示した燃焼装置のシステム構成に、給湯側フレームロッド電極5を加えた構成を有している。また、本実施例では、図2(a)、図3に示すようなバーナ構成と、図2(b)の平面図に示すパイロットバーナ構成を有しており、以下、パイロットバーナ38に設けたフレームロッド電極は、パイロット側フレームロッド電極という。
【0041】
図2、図3に示すように、本実施例では、パイロットバーナ38が第一、第二、第三の炎口1,2,3を有し、熱電対を用いる場合には、第一の炎口1には、該第一の炎口1から出る炎の熱を検出する熱電対44が設けられ、第二の炎口2には、該第二の炎口2から出る炎を検出するパイロット側フレームロッド電極4が設けられ、第三の炎口3には、パイロットバーナ38に点火するイグナイタ電極43が設けられている。給湯メインバーナ10の炎口には、パイロットバーナ38の近傍側に、給湯メインバーナ10の炎口から出る炎を検出する給湯側フレームロッド電極5が設けられている。
【0042】
なお、給湯側フレームロッド電極5の配設場所は、必ずしもパイロットバーナ38の近傍側とは限らない。また、本実施例で熱電対を用いない場合には、例えば、第一の炎口1と第三の炎口3から出る炎を検出するパイロット側フレームロッド電極4を設け(電極4を2つの炎口1,3をまたがるように設け)、第二の炎口2には、パイロットバーナ38に点火するイグナイタ電極43を設けてもよい。
【0043】
また、本実施例では、器具栓34を消火位置から点火位置に移動させてパイロットバーナ38への点火操作を1回行う毎に、器具栓34を前記点火位置から前記消火位置に戻してからでないと(つまり、器具栓つまみ48を「口火」の位置から「止」の位置に戻してからでないと)、パイロットバーナ38の再点火操作を行えない構成を成している。
【0044】
さらに、本実施例では、図1に示すように、制御装置55内に、回数検出手段61、メモリ部62、燃焼強制禁止制御手段63、弁閉制御手段64、時計機構65、通電手段66を設けた制御構成を有している。
【0045】
回数検出手段61は、パイロットバーナ38への点火操作が行われたにもかかわらず、パイロットバーナ38に点火が行われなかった点火不良回数と、給湯メインバーナ10への着火操作が行われたにもかかわらず、給湯メインバーナ10に着火が行われなかった着火不良回数および、風呂メインバーナ39への着火操作が行われたにもかかわらず、風呂メインバーナ39に着火が行われなかった着火不良回数と、給湯メインバーナ10と風呂メインバーナ39の少なくとも一方の燃焼中に炎が消えた炎立ち消え回数とをそれぞれ検出する。
【0046】
具体的には、回数検出手段61は、器具栓スイッチ52(52a,52b,52c)のオン信号とオフ信号を受けて、器具栓34の手動操作によるパイロットバーナ38の点火操作や給湯メインバーナ10の着火操作や風呂メインバーナ39の着火操作が行われたことを検知する。
【0047】
例えば、回数検出手段61は、器具栓スイッチ52aがオンとなった後に、器具栓スイッチ52cがオンとなったとき(器具栓スイッチ52bはオフ)には、表1、表2、図8、図9に示したように、器具栓つまみ48が「口火」の位置に操作されてパイロットバーナ38への点火操作が行われたことを検出する。この場合、回数検出手段61は、パイロットバーナ38にイグナイタ電極43からの放電による点火動作が行われたか否かをパイロット側フレームロッド電極4により検出し(図7のステップS8、参照)、パイロット側フレームロッド電極4による炎検出が行われなかったとき(炎が検出されずに、図7のステップS12に示すように、例えば5秒たったとき)には、パイロットバーナ38に点火が行われなかったと判断し(図7のステップS13、参照)、点火不良回数として数える。なお、回数検出手段61は、パイロットバーナ38に点火動作が行われたか否かを熱電対44の起電力に基づいて判断してもよい。
【0048】
また、パイロットバーナ38の点火操作後、器具栓スイッチ52aがオフとなり、器具栓つまみ48が「給湯・シャワー」の位置に操作されて器具栓スイッチ52cのオンに加えて器具栓スイッチ52bもオンになり(表1、表2、参照)、かつ、水自弁スイッチ51がオンになった場合に、回数検出手段61は、給湯メインバーナ10への着火操作が行われたことを検出する。この場合、回数検出手段61は、給湯メインバーナ10に着火動作が正常に行われたか否かを給湯側フレームロッド電極5により検出し(図10のステップS9、参照)、図10のステップS10で、3秒経過しても、給湯側フレームロッド電極5による炎検出が行われなかったときには、給湯メインバーナ10に着火が行われなかったと判断し(図10のステップS11、参照)、給湯メインバーナ10の着火不良回数として数える(図10のステップS12、参照)。
【0049】
さらに、給湯メインバーナ10への着火後、給湯側フレームロッド電極5によって、給湯メインバーナ10の炎立ち消え状態が検出されたとき、つまり、器具栓スイッチ52aがオフ、器具栓スイッチ52b,52cがオンであり、水自弁スイッチ51がオンのときに、給湯メインバーナ10が燃焼しているはずであるにもかかわらず、給湯側フレームロッド電極5による炎検出信号が出力されなくなったときには(図10のステップ15、参照)、給湯メインバーナ10の炎立ち消えが生じたと判断し(図10のステップS16、参照)、給湯メインバーナ10の炎立ち消え回数として数える。
【0050】
そして、回数検出手段61は、以上のようにしてそれぞれ検出した(数えた)点火不良回数、着火不良回数、立ち消え回数を、燃焼強制禁止制御手段63に加える。
【0051】
また、本実施例において、全バーナ10,38,39の燃焼強制停止およびパイロットバーナ38への再点火動作の禁止を判断するための条件として、前記点火不良回数と前記着火不良回数と前記炎立ち消え回数のそれぞれについて判断基準回数を予め設定してもよい。例えば判断基準回数の例として、点火不良回数の判断基準回数は10回、着火不良回数の判断基準回数は3回、炎立ち消え回数の判断基準回数は1回と設定し、これらの値をメモリ部62に予め格納してもよい。
【0052】
燃焼強制禁止制御手段63は、回数検出手段61により検出される点火不良回数の検出値と着火不良回数の検出値と炎立ち消え回数の検出値とをそれぞれ区別して、それぞれの検出値を対応する前記判断基準回数(例えば、点火不良回数の判断基準回数は10回、着火不良回数の判断基準回数は3回、炎立ち消え回数の判断基準回数は1回)と比較し、前記検出値の少なくとも一つが対応する判断基準回数に達したときには(図7のステップS15、図10のステップS13、参照)、弁閉制御手段64に指令を加え、弁閉制御手段64によって電磁弁54を強制的に閉じ、全てのバーナ10,38,39の燃焼を強制的に停止する(図7のステップS16、参照)。なお、前記炎立ち消え回数の判断基準回数は1回と設定されているので、図10のステップS16で炎立ち消えが生じたと判断されたときには、直接、図7のステップS16に進む。
【0053】
また、燃焼強制禁止制御手段63は、このバーナ10,38,39の強制停止動作と共に、その後、パイロットバーナ38の再点火操作が行われても、予め定められた設定禁止期間(例えば5分間)は、点火手段であるイグナイタへの通電を強制的に禁止してパイロットバーナ38の点火動作を強制的に禁止する。つまり、燃焼強制禁止制御手段63は、時計機構65により検出される時間を取り込み、前記設定禁止期間中は、通電手段66による図示されないイグナイタ(点火トランス)への通電を強制的に禁止し、イグナイタ電極43により火花を飛ばす動作を禁止することによって、パイロットバーナ38の点火動作を強制的に禁止する。このように、例えば5分間といった設定禁止期間を設けてパイロットバーナ38の点火動作を強制的に禁止することにより(図7のステップS21、参照)、この間にケースの底に溜まった燃料ガスの換気を確実とする。
【0054】
なお、前記のような点火不良回数と着火不良回数と炎立ち消え回数のそれぞれについての判断基準回数は、以下の事項に基づいて設定されているものであり、この判断基準回数の設定によって、本実施例では、大きな着火音の発生等が生じる量の燃料ガス(生ガス)がバーナの炎口の下側に溜まった状態で、その生ガスに一気に火が着くことによる大きな着火音の発生や、入浴中に停電となり、暗い中で足を滑らす等の不具合を確実に防ぐことができる。
【0055】
まず、点火不良回数についての判断基準回数の設定について述べる。プロパンガスの発熱量は23680kcal/Nm3であり、それに対し、例えば、底面積が540mm×230mmで、底面から炎口までの高さが70mmの位置のパイロットバーナ38の場合、パイロットバーナ38の炎口よりも下に形成されている空間の(ガスの流入可能な)体積は、540×230×70=0.008694m3である。そして、パイロットバーナ38の発熱により生じるカロリーが250kcal/h(hは時間)の場合、燃焼限界(爆発限界とも言う)を例えば1.8%とすると(プロパンガスの燃焼限界は、通常9.5〜2.1%だが、ブタン等が混ざると1.8%位となる場合もある)、器具底面に溜まる燃焼可能な生ガスは、250[kcal/h]÷60[min(分)/h]÷23680[kcal/Nm3]÷1.8%(0.018)=0.009775Nm3/minとなる。
【0056】
パイロットバーナ38の点火不良によって生ガスが発生することにより、パイロットバーナ38の着火時に大きな音がするといった支障が生じる(以下、異常着火が生じるともいう)のに要する時間は、例えばパイロットバーナ38から放出された濃い生ガスが薄く(時間をかけて放出されるので、例えば燃焼限界下限値の1.8%に)なったような場合を、器具底面積、パイロットバーナ38の炎口と器具底面との距離、パイロットバーナ38の消費ガス量、燃焼限界、に基づいて想定した場合、異常着火が生じると想定される時間は、最短で53秒(0.008694m2÷0.009775m2×60秒=53秒)と想定される。
【0057】
本実施例において、パイロットバーナ38の点火不良を判断するために必要な判断時間(点火不良の検出時間)は1回につき5秒であるので、パイロットバーナ38の点火不良が連続10回生じた場合、50秒となり、パイロットバーナ38の点火不良による生ガスの発生によりパイロットバーナ38の異常着火が生じると想定される時間(53秒)より短い。したがって、パイロットバーナ38の点火不良が連続10回生じた後にパイロットバーナ38への点火が行われても、前記異常着火は生じない。
【0058】
なお、パイロットバーナ38の点火不良を判断するために必要な判断時間は1回に付き5秒あるが、例えば2秒間で手を離してしまう使用者もいる。このような場合には、トータル時間(52a、52bがONしている時間)50秒(2秒+5秒+・・・)でロックさせるようにしてもよい。すなわち、点火不良回数と着火不良回数と炎立ち消え回数のそれぞれについての判断基準回数に変えて、異常着火が生じると想定される時間より短い判断基準時間を用いるようにしてもよい。
【0059】
また、本実施例では、前記の如く、パイロットバーナ38への点火操作を1回行う毎に、器具栓つまみ48を「口火」の位置から「止」の位置に戻してからでないと、パイロットバーナ38の再点火操作を行えないので、この器具栓つまみ48を「口火」の位置から「止」の位置に戻す作業中に自然換気され、さらに安全性が高められ、確実にパイロットバーナ38の異常着火を防ぐことができる。
【0060】
なお、本実施例において、この器具栓つまみ48を「口火」の位置から「止」の位置に戻す操作によって制御装置55の電源がオフする構成とすると、回数検出手段61による検出回数がリセットされてしまうので、例えば電源がオフしても例えば1分間といった設定記憶時間は回数検出手段61がその検出回数を記憶しておくように構成されている。つまり、設定記憶時間内に再度、パイロットバーナ38の点火操作を繰り返し行えば、回数検出手段61によって検出される点火不良回数は連続して記憶される。また、設定記憶時間内にはパイロットバーナ38の点火操作が行われなかった場合(設定記憶時間を超えるだけの長い時間の後に再点火操作を行うような利用者の場合)は、再点火操作までの間に燃料ガスの換気が進むことになり、再点火操作が連続して繰り返し行われる場合のように、燃料ガスがバーナの底部に溜まって着火時に大きな音がするといった支障は生じないと考えられる。
【0061】
さらに、前記設定記憶時間は、回数検出手段61の記憶回数に応じて可変してもよい。すなわち、パイロットバーナ38の点火不良が連続9回生じた後、1分間といった設定記憶時間経過後に再度パイロットバーナ38の点火不良が連続9回生じた場合には、換気時間(点火不良1回当たり例えば0.5分=設定禁止期間の初期値(例えば5分)÷判断基準回数(例えば10回))が不足する。そこで、点火不良が連続して生じた回数をY回として(Yは正の整数)、連続Y回生じた後の前記設定記憶時間を予め定められた設定禁止期間に応じて(すなわち換気時間に応じて)、設定記憶時間を、例えば前記のような、1分といった固定の値から可変することが好ましい。例えば点火不良が連続9回生じた場合の設定記憶時間は、設定禁止期間の初期値(例えば5分)×設定記憶時間(例えば1分)×Y回÷判断基準回数(例えば10回)=4.5分とすることが好ましい。なお、単純に設定禁止期間(例えば5分)と設定記憶時間を同じにして、監視を強化してもかまわない。
【0062】
次に、着火不良回数についての判断基準回数の設定について述べる。給湯メインバーナ10の発熱により生じるカロリーは、能力切替つまみ49の手動設定値の最大値である15000kcal/h(hは時間)の場合、燃焼限界は通常9.5〜2.1%だが、濃い生ガスは瞬時に出るような場合、ケース下部に溜まるガスのうち下側は濃く、上側が薄く燃焼限界の通常9.5%となる場合が想定され、平均を例えば20.4%とすると、器具底面に溜まる燃焼可能な生ガスは、15000[kcal/h]÷60[min(分)/h]÷23680[kcal/Nm3]÷20.4%(0.204)=0.586524Nm3/minとなる。
【0063】
つまり、給湯メインバーナ10の着火(火移り)不良によって生ガスが発生すると、この濃い生ガスは瞬時に大量に出るので、パイロットバーナ38から放出された濃い生ガスのように薄く(例えば1.8%に)なる時間的余裕はない。また着火(火移り)不良が生じる条件としては、ある程度強い風が吸気口からケース内に流れ込んでいると考えられる。つまり、図6(a)に示したような燃焼装置内を流れる風が強いため、燃料ガスの揺らぎが図6(b)に示すように大きく、その揺らぎによって溜まった燃料ガスの表面が希釈されやすい状態である。すなわち、燃焼限界である通常9.5〜2.1%より濃い生ガスが溜まっても、表面の一部は燃焼限界範囲に入ると考えられるので、給湯メインバーナ10の炎口から出る濃度が若干下がる値(例えば20.4%)を想定した場合、給湯メインバーナ10の炎口から出る生ガスに一気に火がついて、着火時に大きな音がするといった支障が生じると想定される時間は、器具底面積、パイロットバーナ38の炎口と器具底面との距離、給湯メインバーナ10の最大消費ガス量、給湯メインバーナ10の炎口から出るガス濃度、に基づいて、最短で10秒と想定される。
【0064】
本実施例において、給湯メインバーナ10の着火不良を判断するために必要な判断時間(着火不良の検出時間)は1回につき3秒であるので、給湯メインバーナ10の着火不良が連続3回生じた場合、9秒となり、前記異常着火が生じると想定される時間(10秒)より短い。そのため、給湯メインバーナ10の着火不良が連続3回生じたときには電磁弁54を閉じることにより、給湯メインバーナ10の着火不良により発生してバーナ10,39の底に溜まった生ガスに一気に火が着いて、大きな音がするといったことを防ぐことができる。
【0065】
なお、給湯メインバーナ10の着火不良時において、前記設定記憶時間を回数検出手段61の記憶回数に応じて可変してもよく、このことは、パイロットバーナ38の点火不良の時と同じである。すなわち、給湯メインバーナ10の着火不良が連続2回生じた後、1分間といった設定記憶時間経過後に、再度給湯メインバーナ10の着火不良が連続2回生じた場合には、換気時間が、着火不良1回当たり例えば1.7分が不足する。(設定禁止期間の初期値(例えば5分)÷判断基準回数(例えば3回)=1.7分)そこで、着火不良が連続Y回生じた後の前記設定時間を予め定められた設定禁止期間に応じて(すなわち掃気時間に応じて)、以下の計算で求める等して、設定記憶時間を可変することが好ましい。つまり、例えば着火不良が連続2回生じた場合の設定記憶時間は、設定禁止期間の初期値(例えば5分)×設定記憶時間(例えば1分)×Y回÷判断基準回数(例えば3回)=3.3分とすることが好ましい。
【0066】
また、単純に設定禁止期間(例えば5分)と設定記憶時間を同じにして監視を強化してもかまわない。さらに、給湯メインバーナ10の着火不良を判断するために必要な判断時間は1回に付き3秒あるが、例えば2秒間で給湯栓9を閉じてしまう使用者もいる。このような場合には、トータル時間(マイクロスイッチ52b、52c、水自弁スイッチ51が共にONしている時間)10秒(2秒+5秒+・・・)でロックさせるようにしてもよい。
【0067】
さらに、例えばパイロットバーナ38の点火不良が連続7回(点火不良判断基準回数の70%)生じた後、パイロットバーナ38への点火が成功した直後に、給湯メインバーナ10の着火不良が生じた場合には、例えば着火不良判断基準回数の設定を3回から1回に変更してもよい。つまり、パイロットバーナ38の点火不良が連続7回生じると、この点火不良判断基準回数の70%となった時点で、器具の底面に燃焼可能な生ガスが、ある程度(この場合、例えば70%位のように)溜まるので、その後に着火不良が生じたときに、着火不良判断基準回数の100%に達するように、着火不良判断基準回数を3回としてしまうと、パイロットバーナ38の炎口よりも下に形成されている空間以上の体積の燃焼可能なガスが蓄積されてしまうことになる。
【0068】
そこで、このような場合には、着火不良判断基準回数の設定を3回から1回にしてもよい。なお、このように1回着火不良判断基準回数の設定を3回から1回にすると、器具の底面に燃焼可能な生ガスの量は、点火不良判断基準回数の70%+着火不良判断基準回数の33%=103%となる。同様に、例えばパイロットバーナ38の点火不良が連続4回(点火不良判断基準回数の40%)生じた後にパイロットバーナ38への点火が成功した直後に、給湯メインバーナ10の着火不良が生じた場合には、例えば着火不良判断基準回数の設定を3回から2回に変更してもよく、この場合、器具の底面に燃焼可能な生ガスの量は、点火不良判断基準回数の40%+着火不良判断基準回数の66%=106%となる。
【0069】
これらのように、点火不良が連続して生じた後にパイロットバーナ38への点火が成功した直後に、給湯メインバーナ10の着火不良が生じた場合には、点火不良判断基準回数と着火不良判断基準回数とを総合的に考慮し、点火不良と着火不良で器具底面に溜まる燃焼可能な生ガス量が、トータルで、103%や106%等、例えば100%以上、かつ、100%近傍の値となるように、器具底面に溜まる燃焼可能な生ガス量に基づいた判断をするようにして、判断基準回数を可変してもよい。また、このように、点火不良と着火不良で器具底面に溜まる燃焼可能な生ガス量が、トータルで、前記のように、103%や106%等、多いと判断した場合には、設定禁止期間を可変してもよい。さらに、燃焼装置の設置条件(ウインドサッシ設置、ダクト設置等)に応じて、前記判断基準回数を可変できるようにしてもよい。
【0070】
次に、炎立ち消え回数についての判断基準回数の設定について述べる。給湯メインバーナ10の炎立ち消えが生じる条件として、装置内における風による揺らぎが一因として考えられる。つまり、図6(a)に示したような燃焼装置内を流れる風が強いため、炎立ち消え回数の判断基準回数は1回と設定し、炎立ち消えが検出されたときには、即座にバーナ10,38,39の燃焼停止が行えるようにしている。
【0071】
それは、例えば、前記揺らぎは台風等が原因と考えられる為であり、入浴中に停電等が発生すると、浴室で転倒しやすい等、入浴に適さない条件と考えられるからである。通常の商用電源を用いる機器では、停電と同時に使用不可となるため前記入浴に適さない条件では即座に使用できなくなるが、本願のように電池を用いて入浴に際して使用する機器においては、前記入浴に適さない条件でも使用できてしまっていた。そこで、不適切な状況での使用を回避ためにも、炎立ち消えが検出されたならば即座に使用出来ない状態とし、かつ、例えば5分間といった風が弱まったか否かを再判断する期間としての設定禁止期間を設け、給湯の再使用をも強制的に禁止する。なお、点火不良、着火不良での設定禁止期間と異なるのは、炎立ち消えでの設定禁止期間がケースの底に溜まった燃料ガスの換気として設けられていない点である。
【0072】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。例えば、前記実施例では、点火手段をイグナイタとし、燃焼強制禁止制御手段63は、設定禁止期間中は通電手段66によるイグナイタへの通電を強制的に禁止し、イグナイタ電極43により火花を飛ばす動作を禁止することによって、パイロットバーナ38の点火動作を強制的に禁止するようにしたが、別の方法によって、パイロットバーナ39の点火動作を強制的に禁止するようにしてもよい。
【0073】
また、前記実施例では、パイロットバーナ38への点火操作を1回行う毎に、器具栓つまみ48を「口火」の位置から「止」の位置に戻してからでないと、パイロットバーナ38の再点火操作を行えない構成としたが、この構成は設けなくてもよい。その場合は、点火不良回数について設定する判断基準回数を10回よりも少ない回数とすることが好ましい。
【0074】
さらに、本発明の燃焼装置に適用されるバーナの構成は図2、図3に示した構成とは限らず、適宜設定されるものであり、回数検出手段61によって、点火不良、着火不良、炎立ち消えの検出ができるような構成とすればよい。
【0075】
さらに、前記実施例では回数検出手段61は点火不良回数、着火不良回数、立ち消え回数それぞれを検出する構成としたが、いずれか1つ以上を検出する構成としてもよい。
【0076】
さらに、前記実施例では、燃焼室60内に、給湯メインバーナ10と風呂メインバーナ39の両方を設けたが、給湯メインバーナ10と風呂メインバーナ39のうち、いずれか一方とパイロットバーナ38とを金属製の燃焼室60内に設けた構成の燃焼装置であってもよい。
【0077】
さらに、本発明の燃焼装置は、給排気トップが器具に直接取り付けられるバランス型風呂釜(BF−W)に限定されるものではなく、ファンのない密閉燃焼型機器であればよく、例えば乾電池を電源としたチャンバー式ダクト式の燃焼装置であっても構わず、また、DP(ダブルパイプ)型の燃焼装置(BF−DP)であってもよい。また、給湯メインバーナ10の着火不良のみについて述べたが、風呂メインバーナ39に対応するフレームロッド電極を設けて、給湯と風呂の両方の着火不良や炎立ち消えについて対応するようにしてもよいし、風呂メインバーナ39にのみフレームロッド電極を設けて、風呂のみ着火不良や炎立ち消えについて対応するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、点火不良や着火不良や炎立ち消えが生じた際の危険を回避し、その後の再点火により異常着火が生じることを防ぐことができるので、風呂や給湯等の機能を有する安全な燃焼装置として利用できる。
【符号の説明】
【0079】
1 第一の炎口
2 第二の炎口
3 第三の炎口
4 パイロット側フレームロッド電極
5 給湯側フレームロッド電極
10 給湯メインバーナ
38 パイロットバーナ
39 風呂メインバーナ
43 イグナイタ電極
44 熱電対
54 電磁弁
55 制御装置
61 回数検出手段
62 メモリ部
63 燃焼強制禁止制御手段
64 弁閉制御手段
65 時計機構
66 通電手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼室内に口火用のパイロットバーナと、パイロットバーナの口火によって着火するメインバーナとを備え、乾電池を電源とした燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5には、本願発明者が開発中の燃焼装置が模式的なシステム図により示されている。なお、このシステム構成は、後述する実施例にも適用される。この燃焼装置は、例えば浴室に配置され、バランス型風呂釜と呼ばれている装置である。この装置は、口火用のパイロットバーナ38と、給湯メインバーナ10と、風呂の追い焚き用の風呂メインバーナ39とを有しており、パイロットバーナ38に供給される燃料ガスに点火するイグナイタ電極43が設けられている。このイグナイタ電極43および前記各バーナ38,10,39は金属製のケースに覆われている燃焼室60内に設けられており、燃焼室60には、空気の吸気口(図示せず)と、バーナ38,10,39の燃焼ガスの排気口17とが設けられている。
【0003】
なお、給湯メインバーナ10には能力切り替えつまみ49が設けられており、燃焼装置の設置時等に、能力切り替えつまみ49の手動操作によって給湯メインバーナ10の燃焼能力(燃料ガスの供給量)が設定されるが、その後は、設定された能力で燃焼が行われる(給湯メインバーナ10の燃焼が行われる毎に可変されることはない)。
【0004】
風呂メインバーナ39の上部側には、風呂メインバーナ39によって加熱される風呂追い焚き熱交換器40が設けられ、給湯メインバーナ10の上部側には、給湯メインバーナ10により加熱される給湯熱交換器7が設けられている。給湯熱交換器7の出側には給湯ハイリミットスイッチ47が設けられており、風呂追い焚き熱交換器40には風呂ハイリミットスイッチ46が設けられている。なお、符号45は、過熱防止装置を示す。
【0005】
給湯熱交換器7には、該給湯熱交換器7に水を導入する給水導入通路19と、給湯熱交換器7を通って加熱された水を給湯先に導く給湯通路11とが接続されている。給湯通路11の先端側には給湯栓9が設けられており、この例では、給湯栓9が切り替えレバー方式の栓で形成されている。この種の給湯栓9は、レバーの切り替えによって、給湯通路11を通った湯を、カラン側の出湯管30側とシャワー側通路31のいずれかから選択的に出湯させるものであり、同図では、出湯管30側から出湯されるように選択した状態が示されている。符号57は逆止弁、58は熱湯遮断弁をそれぞれ示す。
【0006】
前記給水導入通路19には、水量調節機構21が接続されており、水量調節機構21には、水ガバナー15、ダイヤフラムケース(ダイヤフラム室)13、水量調節室20が設けられている。ダイヤフラムケース13には、ダイヤフラム14が設けられており、このダイヤフラム14によって、ダイヤフラムケース13内が、一次室13aと二次室13bとに区分けされている。水量調節室20には温度調節子23が設けられており、温度調節子23は、温度調節つまみ22に接続されている。
【0007】
また、水量調節機構21には、水量調節機構21に水を供給する給水通路8と、水量調節機構21から水を導出する通路16と、排水通路24とが接続されている。給水通路8にはフィルタ25が介設され、排水通路24には水抜き栓26が設けられている。
【0008】
前記給湯メインバーナ10には、ガス供給手段としてのガス通路32が接続されており、該ガス通路32は、水圧自動ガス弁33と、器具栓34とを介し、ガス導入通路35に接続されている。なお、符号51は水自弁スイッチを示す。器具栓34の下部側にはガスの電磁弁54が設けられており、水圧自動ガス弁33は、前記ダイヤフラム14に連結して設けられている。
【0009】
ガス導入通路35は、燃料ガスを燃焼装置に外部から導入するものであり、ガス導入通路35から導入される燃料ガスが、器具栓34を介してガス通路32を通り、給湯メインバーナ10に供給される。また、器具栓34には、ガス供給手段としてのガス通路36,37が接続されており、ガス導入通路35から器具栓34まで導入された燃料ガスが、ガス通路36を通してパイロットバーナ38に導入され、ガス通路37を通して風呂メインバーナ39に供給される構成を成している。
【0010】
なお、同図には図示されていないが、パイロットバーナ38の炎口の近傍には、炎口から出る炎の熱をその熱による起電力により検出する熱電対と、パイロットバーナ38の炎を検出するためのフレームロッド電極とが設けられている。熱電対は電磁弁54に電気的に接続されている。
【0011】
前記器具栓34は、器具栓つまみ(操作つまみ)48とシャフト50と手動開閉通路である閉子53を有して形成され、器具栓つまみ48の手動操作に応じてシャフト50と閉子53が図5の矢印に示すように、上下したり回転したりすることによって、手動により操作される。器具栓つまみ48は、図4(a)に示すように、回動自在に形成されて、この例ではつまみの印が付いている側を「止」、「口火」、「給湯・シャワー」、「追いだき」のいずれかの位置に適宜合わせることにより、パイロットバーナ38、給湯メインバーナ10、風呂メインバーナ39のうちの対応するバーナへの点火や着火が行われるようになっている。
【0012】
以下、これらのバーナへの点火や着火動作について、図7〜図12を参照しながら簡単に説明する。シャフト50には、図5に示すように、器具栓スイッチ52(52a,52b,52c)が設けられ、これらのスイッチは、マイクロスイッチにより形成されている。図7のステップS1で、器具栓つまみ48を「止」の位置において下側に押し下げると、器具栓つまみ48と共にシャフト50が下がり、器具栓スイッチ52aがオン(52aオン,52bオフ,52cオフ)する(表1も参照)。
【0013】
【表1】
【0014】
そして、このときの押し下げ力により、電磁弁54が開き(図7のステップS2、参照)、燃料ガスがガス導入通路35を通って器具栓34の入口まで流入する。その状態で、図7のステップS3で、器具栓つまみ48を「口火」の位置に回していき、その回転に伴い、図4(b)に示すように、その回転角度θ(「止」の位置とつまみの印との角度)が例えば33°となると、燃料ガスは器具栓34の閉子53に形成された口火用通路を通り(口火用通路が開き)、図7ステップS4のように、(口火用の)ガス通路36が開くことになって、ガス通路36に燃料ガスが導入されていき(つまり、器具栓34が消火位置から点火位置に移動する間にガス通路36から前記パイロットバーナ38への燃料ガスの供給が開始し)、ガス通路36の先端に設けられたパイロットノズルを経て、パイロットバーナ38の一次空気孔から一次空気を吸引しながら炎口側(パイロットバーナヘッド)に流れる。
【0015】
また、この燃料ガスの供給時に器具栓スイッチ52cがオン(52aオン,52bオフ,52cオン)となり、図示されていない乾電池を電源とした、図示されていない燃焼制御部の制御によって、図7のステップS6で、図示されていないイグナイタ(点火トランス)への通電が行われ、イグナイタ電極43の火花によるパイロットバーナ38への点火が行われる。つまり、器具栓つまみ48を「止」の位置から「口火」の位置に移動させて、器具栓34を消火位置から点火位置に移動させる点火操作が行われたときに、燃焼装置は、前記のような点火動作を行う。
【0016】
なお、図5に示す燃焼装置において、器具栓つまみ48を「口火」の位置に回して器具栓つまみ48を放す(押し下げる力を除く)と、シャフト50が元の位置に戻り、器具栓スイッチ52aはオフ(52aオフ,52bオフ,52cオン)となるが(表1、参照)、器具栓つまみ48を「口火」の位置に回した直後は図示されていない燃焼制御部の制御によって電磁弁54に電流が流されて強制開状態に保たれる(図7のステップS7、参照)。その後、前記のようにパイロットバーナ38の炎口近傍に設けられた熱電対(図示せず)の起電力が予め定められる電磁弁維持電圧以上になると、前記燃焼制御部の通電が停止される。すなわち、熱電対の起電力が発生する前の燃焼制御部の通電や、熱電対の起電力により、図7のステップS11で器具栓つまみ48から手を離しても(押し下げる力を除いても)、電磁弁54が開状態に保たれる(図8のステップS22、23、参照)。ただし、電磁弁54が開かれた直後には前記の如く電流を流すが、その通電は、熱電対の起電力が前記電磁弁維持電圧以上になると停止されるので、その後、熱電対の起電力が前記電磁弁維持電圧より下がると電磁弁54が閉じる方向に動作する。
【0017】
なお、電磁弁54への通電や熱電対の起電力は、あくまで開状態に保つのみであり、器具栓つまみ48を下側に押し下げていない状態で通電や熱電対の起電力相当を与えても開とはならない。また、熱電対を無くし、パイロットバーナ38の燃焼中は、図示されていない燃焼制御部の制御によってのみの電流で開状態に保つようにしてもよい。
【0018】
また、器具栓つまみ48を「給湯・シャワー」や「追いだき」の位置に回していくと、燃料ガスが器具栓つまみ48の回転角度に応じて閉子53に形成されているガスメイン通路を通り、ガス通路32,37を通って給湯メインバーナ10や風呂メインバーナ39に供給される。例えば、図9のステップS1で、器具栓つまみ48を「口火」から「給湯・シャワー」の位置に移動すると、その移動の間に器具栓スイッチ52bがオン(52aオフ,52bオン,52cオン)し、給湯栓9の開により(図9のステップS7、参照)生じる通水に応じて生じる差圧で開閉する水圧自動ガス弁33の開により(図9のステップS8、参照)、パイロットバーナ38の口火が給湯メインバーナ10に着火する。
【0019】
また、図11に示すように、ステップS1で器具栓つまみ48を「追いだき」の位置に移動させると、その移動の間に器具栓スイッチ52cがオフし(52aオフ,52bオン,52cオフ)、ステップS2に示すように、ガス通路37が通じる(開く)ことにより風呂メインバーナ39にガスが供給されてパイロットバーナ38の口火が風呂メインバーナ39に着火する(ステップS3、参照)。
【0020】
以上のように、器具栓つまみ48を「口火」の位置から「給湯・シャワー」の位置に移動させて、器具栓34を点火位置から給湯メインバーナ10の着火位置に移動させる着火操作や、「口火」の位置から「追いだき」の位置に移動させて、器具栓34を点火位置から風呂メインバーナ39の着火位置に移動させる着火操作が行われたときに、燃焼装置は、前記のような着火動作を行う。
【0021】
さらに、図12に示すように、そのステップS1で、器具栓つまみ48を「止」の位置に戻すと、器具栓スイッチ52b,52cがいずれもオフしてガス通路36が閉じ(ステップS2、参照)、ステップS3で、器具栓つまみ48を手から離すことにより器具栓スイッチ52aもオフし、電磁弁54も閉じて(ステップS4、参照)、消火状態となる(ステップS5、参照)。なお、器具栓つまみ48の「止」、「口火」、「給湯・シャワー」、「追いだき」の各位置における器具栓スイッチ52b,52cのオン・オフの状態は、表2に示すようになる。また、器具栓スイッチ52a,52b,52cのオン・オフの状態は、図8、図9、図12にも示されており、図8、図9、図12において、器具栓つまみ48の「給湯・シャワー」の表記を省略し、「給湯」と示している。燃焼装置において、器具栓つまみ48の表記は、このように、「給湯・シャワー」の代わりに「給湯」としてもよい。
【0022】
【表2】
【0023】
この燃焼装置において、給水栓(図示せず)を開くと、水は、給水通路8を通って水ガバナー15を通り、ダイヤフラムケース13の一次室13aへと流れ、水量調節子23により分岐して、その一方は、通路16を通り、給湯通路11側に導かれる。他方は、給水導入通路19、給湯熱交換器7を通って給湯通路11側に導かれ、給湯通路11から出湯管30(またはシャワー側通路31)へ流れて出水される。
【0024】
また、器具栓つまみ48を「給湯・シャワー」の位置に合わせることにより、燃料ガスは、水圧自動ガス弁33の配設位置まで流れる。この状態で給湯栓9を開き、給水通路8を通して水が流れ始めると、この水がダイヤフラムケース13の一次室13aから通路16を通り、通水による圧力損失で得られる低圧力が通路16によりダイヤフラム二次室13bに伝えられ、一次室13a(高圧)との差圧がダイヤフラム14の面積により荷重として働き、ダイヤフラム14が二次室13b側へと移動する。
【0025】
この結果、ダイヤフラム14と連結された水圧自動ガス弁33が開き、燃料ガスがガス通路32を通って給湯メインバーナ10に供給され、前記の如く、パイロットバーナ38の口火から給湯メインバーナ10に着火する。このように、給湯メインバーナ10は、給湯栓9が開かれることにより流れる(燃焼装置に導入される)水の量が予め定められた設定作動流量以上となったときに燃焼を開始する。そして、この給湯メインバーナ10の燃焼によって、給湯熱交換器7を通る水が加熱され、出湯管30(またはシャワー側通路31)から出湯される。
【0026】
また、図5には示されていないが、風呂追い焚き熱交換器40は風呂循環通路を介して浴槽に接続されており、その接続部(上部循環口)よりも例えば10cm以上高い位置まで湯または水を入れた状態で、器具栓つまみ48を「追いだき」の位置に合わせることにより、燃料ガスが通路36を通って風呂メインバーナ39に供給され、前記の如く、パイロットバーナ38の口火から風呂メインバーナ39に着火し、風呂追い焚き熱交換器40を循環して浴槽内の湯水の加熱が行われる。
【0027】
なお、バランス型風呂釜等の燃焼装置において、イグナイタ電極43の代わりに、圧電スパークによってパイロットバーナ38への点火を行う点火プラグを設けたバランス型風呂釜も用いられており、この点火プラグが設けられた構成の燃焼装置の場合は、器具栓つまみ48を「口火」の状態として点火装置のハンドルを手動により回転させることにより圧電素子を叩き、発生する高電圧を点火プラグにかけ、点火プラグから圧電スパーク(火花)を飛ばして点火が行える構成を成している。なお、手動により回転させるスピードを変えても圧電素子から発生する電圧、すなわち、点火プラグから放出される電圧に変化はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
ところで、前記のような開発中のバランス型風呂釜において、パイロットバーナ38への点火操作が行われたにもかかわらず前記パイロットバーナ38に点火が行われなかったこと(点火不良)が連続して繰り返し生じると、パイロットバーナ38に供給される燃料ガスに火がつかないまま、点火操作に応じて生ガスが供給され続けることになり、その燃料ガスがプロパンガスの場合には、生ガスがバーナの底部にたまる。その状態で再度点火操作を行ったときに初めてパイロットバーナ38への点火が行われると、溜まった燃料ガスに一気に着火し、大きな音がして近所迷惑となったり、近くを歩く人が驚いたりするといった支障が生じる場合があった。
【0029】
また、給湯メインバーナ10や風呂メインバーナ39への着火操作が行われたにもかかわらず、これらのメインバーナに着火が行われなかったことが生じたりした場合には、メインバーナ10,39に供給される燃料ガスに火がつかないまま、着火操作に応じて生ガスが供給され続けることになるため、その状態で一気に火が着くことは避けたい。さらに、メインバーナ10,39の燃焼中に炎が消えるのは(パイロットバーナ38に点火しているにもかかわらず、炎の立ち消えが生じるのは)、図6(a)の矢印Wに示すような、屋外から入って燃焼装置のケース内(燃焼室内)を流れる風により燃料ガスが揺らぎ、その揺らぎが、図6(b)に示すように大きくなったためと考えられ、この揺らぎによって燃料ガスがバーナの炎口に接しやすい状態であるために、一度炎が消えると、失火検知までの間に多くのガスが放出されると共に、例えば台風等、使用に適さない条件と考えられるので、継続しての使用は避けたい。なお、パイロットバーナ38に点火しているにもかかわらず、メインバーナ10,39に着火が行われない場合の要因は、パイロットバーナ38の複数の炎口(例えば、第1〜第3の炎口)のうち、メインバーナ10,39に面する炎口の炎のみ、風によって消えた場合や、消えていなくても、パイロットバーナ38の炎とメインバーナ10,39に供給される燃料ガスとの間に風の流れが入り込み、火移りしない等の要因が考えられる。
【0030】
しかしながら、このような、点火不良や着火不良(火移り不良)や炎の立ち消えが生じた際に、これらの状況を的確に判断し、台風等、不適切な状況での使用を回避し、また、再点火時に大きな着火音が生じる等の支障が生じることを防げる燃焼装置は提案されていなかった。
【0031】
本発明は、前記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、点火不良や着火不良や、炎立ち消えが起きる不適切な状況での使用や、その後の再点火時の大きな着火音発生等の支障が生じることを防げる燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は上記目的を達成するために、次の構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、燃焼室内に、口火用のパイロットバーナと、該パイロットバーナの炎によって着火するメインバーナと、前記パイロットバーナに点火する点火手段とが設けられ、前記パイロットバーナに前記燃料ガスを供給するガス供給手段と、手動により操作される器具栓とを有して、該器具栓を消火位置から点火位置に移動させる点火操作が行われたときに前記パイロットバーナへの点火動作を行い、前記器具栓を前記点火位置からメインバーナへの着火位置に移動させる着火操作が行われたときに燃料ガスが供給されている前記メインバーナに前記パイロットバーナの火を着火する着火動作を行う燃焼装置において、前記パイロットバーナへの点火操作が行われたにもかかわらず前記パイロットバーナに点火が行われなかった点火不良回数と、前記メインバーナへの着火操作が行われたにもかかわらず前記メインバーナに着火が行われなかった着火不良回数と、前記メインバーナの燃焼中に炎が消えた炎立ち消え回数のいずれか1つ以上を検出する回数検出手段を有し、前記パイロットバーナへの再点火動作の禁止を判断するための条件として前記点火不良回数と前記着火不良回数と前記炎立ち消え回数の少なくとも1つ以上の判断基準回数が設定され、前記回数検出手段により検出される点火不良回数の検出値と着火不良回数の検出値と炎立ち消え回数の検出値とをそれぞれ区別してそれぞれの検出値を対応する前記判断基準回数と比較し、前記検出値の少なくとも一つが対応する前記判断基準回数に達したときには全てのバーナの燃焼を強制的に停止すると共にその後パイロットバーナの再点火操作が行われても設定禁止期間は前記点火手段による前記パイロットバーナの点火動作を強制的に禁止する燃焼強制禁止制御手段を有する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0033】
また、第2の発明は、前記第1の発明の構成に加え、前記器具栓を消火位置から点火位置に移動させてパイロットバーナへの点火操作を1回行う毎に、前記器具栓を前記点火位置から前記消火位置に戻してからでないと前記パイロットバーナの再点火操作を行えない構成と成していることを特徴とする。
【0034】
さらに、第3の発明は、前記第1または第2の発明の構成に加え、前記点火手段はイグナイタにより形成されており、燃焼強制禁止制御手段は前記イグナイタへの通電を強制的に禁止してイグナイタ電極により火花を飛ばす動作を禁止することによってパイロットバーナの点火動作を強制的に禁止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、パイロットバーナへの点火操作が行われたにもかかわらずその点火が行われなかった点火不良回数と、メインバーナへの着火操作が行われたにもかかわらずその着火が行われなかった着火不良回数と、前記メインバーナの燃焼中に炎が消えた炎立ち消え回数のいずれか1つ以上を検出し、それぞれの検出値を区別して、バーナの燃焼強制停止と再点火操作の禁止のための予め与えられた対応する判断基準回数と比較する。そして、前記検出値の少なくとも一つが対応する前記判断基準回数に達したときには、全てのバーナの燃焼を強制的に停止すると共に、その後、パイロットバーナの再点火操作が行われても予め定められた設定禁止期間は前記点火手段による前記パイロットバーナの点火動作を強制的に禁止するので、点火不良や着火不良や、炎立ち消えが起きる不適切な状況での使用や、その後の再点火時の大きな着火音発生等の支障が生じることを確実に防ぐことができる。
【0036】
また、器具栓を消火位置から点火位置に移動させてパイロットバーナへの点火操作を1回行う毎に、前記器具栓を前記点火位置から前記消火位置に戻してからでないと前記パイロットバーナの再点火操作を行えない構成とすることにより、パイロットバーナの再点火操作の際には、一度器具栓を点火位置から消火位置に戻さなければならないので、この間に、燃料ガスが自然換気されるようにすることができ、パイロットバーナの点火不良によって生ガスが溜まる割合を小さくすることができ、点火不良によって溜まった生ガスに再点火により一気に火がつくことによって大きな着火音が発生することをより一層確実に防ぐことができる。
【0037】
さらに、点火手段をイグナイタとして、燃焼強制禁止制御手段がイグナイタ電極により火花を飛ばす動作を禁止することによってパイロットバーナの点火動作を強制的に禁止することにより、燃焼強制禁止制御手段によるパイロットバーナの再点火動作の禁止を、非常に容易に、かつ、的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る燃焼装置の一実施例の制御構成を示すブロック図である。
【図2】実施例に適用されているバーナを説明するための斜視図(a)とパイロットバーナの平面説明図(b)である。
【図3】図2に示したバーナの構成を模式化して示す説明図である。
【図4】燃焼装置の器具栓つまみの例を示す平面図である。
【図5】開発中の燃焼装置であるバランス型風呂釜のシステム構成図である。
【図6】燃焼装置内に風が流れるときの燃料ガスの状態と、立ち消え発生時の燃料ガスの状態を模式的に示す説明図である。
【図7】実施例の燃焼装置の口火動作例を図8と共に示すフローチャートである。
【図8】実施例の燃焼装置の口火動作例を図7と共に示すフローチャートである。
【図9】実施例の燃焼装置の給湯動作例を図10と共に示すフローチャートである。
【図10】実施例の燃焼装置の給湯動作例を図9と共に示すフローチャートである。
【図11】実施例の燃焼装置の追い焚き動作例を示すフローチャートである。
【図12】実施例の燃焼装置の消火動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本実施例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【実施例】
【0040】
本実施例の燃焼装置は、図5に示した燃焼装置のシステム構成に、給湯側フレームロッド電極5を加えた構成を有している。また、本実施例では、図2(a)、図3に示すようなバーナ構成と、図2(b)の平面図に示すパイロットバーナ構成を有しており、以下、パイロットバーナ38に設けたフレームロッド電極は、パイロット側フレームロッド電極という。
【0041】
図2、図3に示すように、本実施例では、パイロットバーナ38が第一、第二、第三の炎口1,2,3を有し、熱電対を用いる場合には、第一の炎口1には、該第一の炎口1から出る炎の熱を検出する熱電対44が設けられ、第二の炎口2には、該第二の炎口2から出る炎を検出するパイロット側フレームロッド電極4が設けられ、第三の炎口3には、パイロットバーナ38に点火するイグナイタ電極43が設けられている。給湯メインバーナ10の炎口には、パイロットバーナ38の近傍側に、給湯メインバーナ10の炎口から出る炎を検出する給湯側フレームロッド電極5が設けられている。
【0042】
なお、給湯側フレームロッド電極5の配設場所は、必ずしもパイロットバーナ38の近傍側とは限らない。また、本実施例で熱電対を用いない場合には、例えば、第一の炎口1と第三の炎口3から出る炎を検出するパイロット側フレームロッド電極4を設け(電極4を2つの炎口1,3をまたがるように設け)、第二の炎口2には、パイロットバーナ38に点火するイグナイタ電極43を設けてもよい。
【0043】
また、本実施例では、器具栓34を消火位置から点火位置に移動させてパイロットバーナ38への点火操作を1回行う毎に、器具栓34を前記点火位置から前記消火位置に戻してからでないと(つまり、器具栓つまみ48を「口火」の位置から「止」の位置に戻してからでないと)、パイロットバーナ38の再点火操作を行えない構成を成している。
【0044】
さらに、本実施例では、図1に示すように、制御装置55内に、回数検出手段61、メモリ部62、燃焼強制禁止制御手段63、弁閉制御手段64、時計機構65、通電手段66を設けた制御構成を有している。
【0045】
回数検出手段61は、パイロットバーナ38への点火操作が行われたにもかかわらず、パイロットバーナ38に点火が行われなかった点火不良回数と、給湯メインバーナ10への着火操作が行われたにもかかわらず、給湯メインバーナ10に着火が行われなかった着火不良回数および、風呂メインバーナ39への着火操作が行われたにもかかわらず、風呂メインバーナ39に着火が行われなかった着火不良回数と、給湯メインバーナ10と風呂メインバーナ39の少なくとも一方の燃焼中に炎が消えた炎立ち消え回数とをそれぞれ検出する。
【0046】
具体的には、回数検出手段61は、器具栓スイッチ52(52a,52b,52c)のオン信号とオフ信号を受けて、器具栓34の手動操作によるパイロットバーナ38の点火操作や給湯メインバーナ10の着火操作や風呂メインバーナ39の着火操作が行われたことを検知する。
【0047】
例えば、回数検出手段61は、器具栓スイッチ52aがオンとなった後に、器具栓スイッチ52cがオンとなったとき(器具栓スイッチ52bはオフ)には、表1、表2、図8、図9に示したように、器具栓つまみ48が「口火」の位置に操作されてパイロットバーナ38への点火操作が行われたことを検出する。この場合、回数検出手段61は、パイロットバーナ38にイグナイタ電極43からの放電による点火動作が行われたか否かをパイロット側フレームロッド電極4により検出し(図7のステップS8、参照)、パイロット側フレームロッド電極4による炎検出が行われなかったとき(炎が検出されずに、図7のステップS12に示すように、例えば5秒たったとき)には、パイロットバーナ38に点火が行われなかったと判断し(図7のステップS13、参照)、点火不良回数として数える。なお、回数検出手段61は、パイロットバーナ38に点火動作が行われたか否かを熱電対44の起電力に基づいて判断してもよい。
【0048】
また、パイロットバーナ38の点火操作後、器具栓スイッチ52aがオフとなり、器具栓つまみ48が「給湯・シャワー」の位置に操作されて器具栓スイッチ52cのオンに加えて器具栓スイッチ52bもオンになり(表1、表2、参照)、かつ、水自弁スイッチ51がオンになった場合に、回数検出手段61は、給湯メインバーナ10への着火操作が行われたことを検出する。この場合、回数検出手段61は、給湯メインバーナ10に着火動作が正常に行われたか否かを給湯側フレームロッド電極5により検出し(図10のステップS9、参照)、図10のステップS10で、3秒経過しても、給湯側フレームロッド電極5による炎検出が行われなかったときには、給湯メインバーナ10に着火が行われなかったと判断し(図10のステップS11、参照)、給湯メインバーナ10の着火不良回数として数える(図10のステップS12、参照)。
【0049】
さらに、給湯メインバーナ10への着火後、給湯側フレームロッド電極5によって、給湯メインバーナ10の炎立ち消え状態が検出されたとき、つまり、器具栓スイッチ52aがオフ、器具栓スイッチ52b,52cがオンであり、水自弁スイッチ51がオンのときに、給湯メインバーナ10が燃焼しているはずであるにもかかわらず、給湯側フレームロッド電極5による炎検出信号が出力されなくなったときには(図10のステップ15、参照)、給湯メインバーナ10の炎立ち消えが生じたと判断し(図10のステップS16、参照)、給湯メインバーナ10の炎立ち消え回数として数える。
【0050】
そして、回数検出手段61は、以上のようにしてそれぞれ検出した(数えた)点火不良回数、着火不良回数、立ち消え回数を、燃焼強制禁止制御手段63に加える。
【0051】
また、本実施例において、全バーナ10,38,39の燃焼強制停止およびパイロットバーナ38への再点火動作の禁止を判断するための条件として、前記点火不良回数と前記着火不良回数と前記炎立ち消え回数のそれぞれについて判断基準回数を予め設定してもよい。例えば判断基準回数の例として、点火不良回数の判断基準回数は10回、着火不良回数の判断基準回数は3回、炎立ち消え回数の判断基準回数は1回と設定し、これらの値をメモリ部62に予め格納してもよい。
【0052】
燃焼強制禁止制御手段63は、回数検出手段61により検出される点火不良回数の検出値と着火不良回数の検出値と炎立ち消え回数の検出値とをそれぞれ区別して、それぞれの検出値を対応する前記判断基準回数(例えば、点火不良回数の判断基準回数は10回、着火不良回数の判断基準回数は3回、炎立ち消え回数の判断基準回数は1回)と比較し、前記検出値の少なくとも一つが対応する判断基準回数に達したときには(図7のステップS15、図10のステップS13、参照)、弁閉制御手段64に指令を加え、弁閉制御手段64によって電磁弁54を強制的に閉じ、全てのバーナ10,38,39の燃焼を強制的に停止する(図7のステップS16、参照)。なお、前記炎立ち消え回数の判断基準回数は1回と設定されているので、図10のステップS16で炎立ち消えが生じたと判断されたときには、直接、図7のステップS16に進む。
【0053】
また、燃焼強制禁止制御手段63は、このバーナ10,38,39の強制停止動作と共に、その後、パイロットバーナ38の再点火操作が行われても、予め定められた設定禁止期間(例えば5分間)は、点火手段であるイグナイタへの通電を強制的に禁止してパイロットバーナ38の点火動作を強制的に禁止する。つまり、燃焼強制禁止制御手段63は、時計機構65により検出される時間を取り込み、前記設定禁止期間中は、通電手段66による図示されないイグナイタ(点火トランス)への通電を強制的に禁止し、イグナイタ電極43により火花を飛ばす動作を禁止することによって、パイロットバーナ38の点火動作を強制的に禁止する。このように、例えば5分間といった設定禁止期間を設けてパイロットバーナ38の点火動作を強制的に禁止することにより(図7のステップS21、参照)、この間にケースの底に溜まった燃料ガスの換気を確実とする。
【0054】
なお、前記のような点火不良回数と着火不良回数と炎立ち消え回数のそれぞれについての判断基準回数は、以下の事項に基づいて設定されているものであり、この判断基準回数の設定によって、本実施例では、大きな着火音の発生等が生じる量の燃料ガス(生ガス)がバーナの炎口の下側に溜まった状態で、その生ガスに一気に火が着くことによる大きな着火音の発生や、入浴中に停電となり、暗い中で足を滑らす等の不具合を確実に防ぐことができる。
【0055】
まず、点火不良回数についての判断基準回数の設定について述べる。プロパンガスの発熱量は23680kcal/Nm3であり、それに対し、例えば、底面積が540mm×230mmで、底面から炎口までの高さが70mmの位置のパイロットバーナ38の場合、パイロットバーナ38の炎口よりも下に形成されている空間の(ガスの流入可能な)体積は、540×230×70=0.008694m3である。そして、パイロットバーナ38の発熱により生じるカロリーが250kcal/h(hは時間)の場合、燃焼限界(爆発限界とも言う)を例えば1.8%とすると(プロパンガスの燃焼限界は、通常9.5〜2.1%だが、ブタン等が混ざると1.8%位となる場合もある)、器具底面に溜まる燃焼可能な生ガスは、250[kcal/h]÷60[min(分)/h]÷23680[kcal/Nm3]÷1.8%(0.018)=0.009775Nm3/minとなる。
【0056】
パイロットバーナ38の点火不良によって生ガスが発生することにより、パイロットバーナ38の着火時に大きな音がするといった支障が生じる(以下、異常着火が生じるともいう)のに要する時間は、例えばパイロットバーナ38から放出された濃い生ガスが薄く(時間をかけて放出されるので、例えば燃焼限界下限値の1.8%に)なったような場合を、器具底面積、パイロットバーナ38の炎口と器具底面との距離、パイロットバーナ38の消費ガス量、燃焼限界、に基づいて想定した場合、異常着火が生じると想定される時間は、最短で53秒(0.008694m2÷0.009775m2×60秒=53秒)と想定される。
【0057】
本実施例において、パイロットバーナ38の点火不良を判断するために必要な判断時間(点火不良の検出時間)は1回につき5秒であるので、パイロットバーナ38の点火不良が連続10回生じた場合、50秒となり、パイロットバーナ38の点火不良による生ガスの発生によりパイロットバーナ38の異常着火が生じると想定される時間(53秒)より短い。したがって、パイロットバーナ38の点火不良が連続10回生じた後にパイロットバーナ38への点火が行われても、前記異常着火は生じない。
【0058】
なお、パイロットバーナ38の点火不良を判断するために必要な判断時間は1回に付き5秒あるが、例えば2秒間で手を離してしまう使用者もいる。このような場合には、トータル時間(52a、52bがONしている時間)50秒(2秒+5秒+・・・)でロックさせるようにしてもよい。すなわち、点火不良回数と着火不良回数と炎立ち消え回数のそれぞれについての判断基準回数に変えて、異常着火が生じると想定される時間より短い判断基準時間を用いるようにしてもよい。
【0059】
また、本実施例では、前記の如く、パイロットバーナ38への点火操作を1回行う毎に、器具栓つまみ48を「口火」の位置から「止」の位置に戻してからでないと、パイロットバーナ38の再点火操作を行えないので、この器具栓つまみ48を「口火」の位置から「止」の位置に戻す作業中に自然換気され、さらに安全性が高められ、確実にパイロットバーナ38の異常着火を防ぐことができる。
【0060】
なお、本実施例において、この器具栓つまみ48を「口火」の位置から「止」の位置に戻す操作によって制御装置55の電源がオフする構成とすると、回数検出手段61による検出回数がリセットされてしまうので、例えば電源がオフしても例えば1分間といった設定記憶時間は回数検出手段61がその検出回数を記憶しておくように構成されている。つまり、設定記憶時間内に再度、パイロットバーナ38の点火操作を繰り返し行えば、回数検出手段61によって検出される点火不良回数は連続して記憶される。また、設定記憶時間内にはパイロットバーナ38の点火操作が行われなかった場合(設定記憶時間を超えるだけの長い時間の後に再点火操作を行うような利用者の場合)は、再点火操作までの間に燃料ガスの換気が進むことになり、再点火操作が連続して繰り返し行われる場合のように、燃料ガスがバーナの底部に溜まって着火時に大きな音がするといった支障は生じないと考えられる。
【0061】
さらに、前記設定記憶時間は、回数検出手段61の記憶回数に応じて可変してもよい。すなわち、パイロットバーナ38の点火不良が連続9回生じた後、1分間といった設定記憶時間経過後に再度パイロットバーナ38の点火不良が連続9回生じた場合には、換気時間(点火不良1回当たり例えば0.5分=設定禁止期間の初期値(例えば5分)÷判断基準回数(例えば10回))が不足する。そこで、点火不良が連続して生じた回数をY回として(Yは正の整数)、連続Y回生じた後の前記設定記憶時間を予め定められた設定禁止期間に応じて(すなわち換気時間に応じて)、設定記憶時間を、例えば前記のような、1分といった固定の値から可変することが好ましい。例えば点火不良が連続9回生じた場合の設定記憶時間は、設定禁止期間の初期値(例えば5分)×設定記憶時間(例えば1分)×Y回÷判断基準回数(例えば10回)=4.5分とすることが好ましい。なお、単純に設定禁止期間(例えば5分)と設定記憶時間を同じにして、監視を強化してもかまわない。
【0062】
次に、着火不良回数についての判断基準回数の設定について述べる。給湯メインバーナ10の発熱により生じるカロリーは、能力切替つまみ49の手動設定値の最大値である15000kcal/h(hは時間)の場合、燃焼限界は通常9.5〜2.1%だが、濃い生ガスは瞬時に出るような場合、ケース下部に溜まるガスのうち下側は濃く、上側が薄く燃焼限界の通常9.5%となる場合が想定され、平均を例えば20.4%とすると、器具底面に溜まる燃焼可能な生ガスは、15000[kcal/h]÷60[min(分)/h]÷23680[kcal/Nm3]÷20.4%(0.204)=0.586524Nm3/minとなる。
【0063】
つまり、給湯メインバーナ10の着火(火移り)不良によって生ガスが発生すると、この濃い生ガスは瞬時に大量に出るので、パイロットバーナ38から放出された濃い生ガスのように薄く(例えば1.8%に)なる時間的余裕はない。また着火(火移り)不良が生じる条件としては、ある程度強い風が吸気口からケース内に流れ込んでいると考えられる。つまり、図6(a)に示したような燃焼装置内を流れる風が強いため、燃料ガスの揺らぎが図6(b)に示すように大きく、その揺らぎによって溜まった燃料ガスの表面が希釈されやすい状態である。すなわち、燃焼限界である通常9.5〜2.1%より濃い生ガスが溜まっても、表面の一部は燃焼限界範囲に入ると考えられるので、給湯メインバーナ10の炎口から出る濃度が若干下がる値(例えば20.4%)を想定した場合、給湯メインバーナ10の炎口から出る生ガスに一気に火がついて、着火時に大きな音がするといった支障が生じると想定される時間は、器具底面積、パイロットバーナ38の炎口と器具底面との距離、給湯メインバーナ10の最大消費ガス量、給湯メインバーナ10の炎口から出るガス濃度、に基づいて、最短で10秒と想定される。
【0064】
本実施例において、給湯メインバーナ10の着火不良を判断するために必要な判断時間(着火不良の検出時間)は1回につき3秒であるので、給湯メインバーナ10の着火不良が連続3回生じた場合、9秒となり、前記異常着火が生じると想定される時間(10秒)より短い。そのため、給湯メインバーナ10の着火不良が連続3回生じたときには電磁弁54を閉じることにより、給湯メインバーナ10の着火不良により発生してバーナ10,39の底に溜まった生ガスに一気に火が着いて、大きな音がするといったことを防ぐことができる。
【0065】
なお、給湯メインバーナ10の着火不良時において、前記設定記憶時間を回数検出手段61の記憶回数に応じて可変してもよく、このことは、パイロットバーナ38の点火不良の時と同じである。すなわち、給湯メインバーナ10の着火不良が連続2回生じた後、1分間といった設定記憶時間経過後に、再度給湯メインバーナ10の着火不良が連続2回生じた場合には、換気時間が、着火不良1回当たり例えば1.7分が不足する。(設定禁止期間の初期値(例えば5分)÷判断基準回数(例えば3回)=1.7分)そこで、着火不良が連続Y回生じた後の前記設定時間を予め定められた設定禁止期間に応じて(すなわち掃気時間に応じて)、以下の計算で求める等して、設定記憶時間を可変することが好ましい。つまり、例えば着火不良が連続2回生じた場合の設定記憶時間は、設定禁止期間の初期値(例えば5分)×設定記憶時間(例えば1分)×Y回÷判断基準回数(例えば3回)=3.3分とすることが好ましい。
【0066】
また、単純に設定禁止期間(例えば5分)と設定記憶時間を同じにして監視を強化してもかまわない。さらに、給湯メインバーナ10の着火不良を判断するために必要な判断時間は1回に付き3秒あるが、例えば2秒間で給湯栓9を閉じてしまう使用者もいる。このような場合には、トータル時間(マイクロスイッチ52b、52c、水自弁スイッチ51が共にONしている時間)10秒(2秒+5秒+・・・)でロックさせるようにしてもよい。
【0067】
さらに、例えばパイロットバーナ38の点火不良が連続7回(点火不良判断基準回数の70%)生じた後、パイロットバーナ38への点火が成功した直後に、給湯メインバーナ10の着火不良が生じた場合には、例えば着火不良判断基準回数の設定を3回から1回に変更してもよい。つまり、パイロットバーナ38の点火不良が連続7回生じると、この点火不良判断基準回数の70%となった時点で、器具の底面に燃焼可能な生ガスが、ある程度(この場合、例えば70%位のように)溜まるので、その後に着火不良が生じたときに、着火不良判断基準回数の100%に達するように、着火不良判断基準回数を3回としてしまうと、パイロットバーナ38の炎口よりも下に形成されている空間以上の体積の燃焼可能なガスが蓄積されてしまうことになる。
【0068】
そこで、このような場合には、着火不良判断基準回数の設定を3回から1回にしてもよい。なお、このように1回着火不良判断基準回数の設定を3回から1回にすると、器具の底面に燃焼可能な生ガスの量は、点火不良判断基準回数の70%+着火不良判断基準回数の33%=103%となる。同様に、例えばパイロットバーナ38の点火不良が連続4回(点火不良判断基準回数の40%)生じた後にパイロットバーナ38への点火が成功した直後に、給湯メインバーナ10の着火不良が生じた場合には、例えば着火不良判断基準回数の設定を3回から2回に変更してもよく、この場合、器具の底面に燃焼可能な生ガスの量は、点火不良判断基準回数の40%+着火不良判断基準回数の66%=106%となる。
【0069】
これらのように、点火不良が連続して生じた後にパイロットバーナ38への点火が成功した直後に、給湯メインバーナ10の着火不良が生じた場合には、点火不良判断基準回数と着火不良判断基準回数とを総合的に考慮し、点火不良と着火不良で器具底面に溜まる燃焼可能な生ガス量が、トータルで、103%や106%等、例えば100%以上、かつ、100%近傍の値となるように、器具底面に溜まる燃焼可能な生ガス量に基づいた判断をするようにして、判断基準回数を可変してもよい。また、このように、点火不良と着火不良で器具底面に溜まる燃焼可能な生ガス量が、トータルで、前記のように、103%や106%等、多いと判断した場合には、設定禁止期間を可変してもよい。さらに、燃焼装置の設置条件(ウインドサッシ設置、ダクト設置等)に応じて、前記判断基準回数を可変できるようにしてもよい。
【0070】
次に、炎立ち消え回数についての判断基準回数の設定について述べる。給湯メインバーナ10の炎立ち消えが生じる条件として、装置内における風による揺らぎが一因として考えられる。つまり、図6(a)に示したような燃焼装置内を流れる風が強いため、炎立ち消え回数の判断基準回数は1回と設定し、炎立ち消えが検出されたときには、即座にバーナ10,38,39の燃焼停止が行えるようにしている。
【0071】
それは、例えば、前記揺らぎは台風等が原因と考えられる為であり、入浴中に停電等が発生すると、浴室で転倒しやすい等、入浴に適さない条件と考えられるからである。通常の商用電源を用いる機器では、停電と同時に使用不可となるため前記入浴に適さない条件では即座に使用できなくなるが、本願のように電池を用いて入浴に際して使用する機器においては、前記入浴に適さない条件でも使用できてしまっていた。そこで、不適切な状況での使用を回避ためにも、炎立ち消えが検出されたならば即座に使用出来ない状態とし、かつ、例えば5分間といった風が弱まったか否かを再判断する期間としての設定禁止期間を設け、給湯の再使用をも強制的に禁止する。なお、点火不良、着火不良での設定禁止期間と異なるのは、炎立ち消えでの設定禁止期間がケースの底に溜まった燃料ガスの換気として設けられていない点である。
【0072】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。例えば、前記実施例では、点火手段をイグナイタとし、燃焼強制禁止制御手段63は、設定禁止期間中は通電手段66によるイグナイタへの通電を強制的に禁止し、イグナイタ電極43により火花を飛ばす動作を禁止することによって、パイロットバーナ38の点火動作を強制的に禁止するようにしたが、別の方法によって、パイロットバーナ39の点火動作を強制的に禁止するようにしてもよい。
【0073】
また、前記実施例では、パイロットバーナ38への点火操作を1回行う毎に、器具栓つまみ48を「口火」の位置から「止」の位置に戻してからでないと、パイロットバーナ38の再点火操作を行えない構成としたが、この構成は設けなくてもよい。その場合は、点火不良回数について設定する判断基準回数を10回よりも少ない回数とすることが好ましい。
【0074】
さらに、本発明の燃焼装置に適用されるバーナの構成は図2、図3に示した構成とは限らず、適宜設定されるものであり、回数検出手段61によって、点火不良、着火不良、炎立ち消えの検出ができるような構成とすればよい。
【0075】
さらに、前記実施例では回数検出手段61は点火不良回数、着火不良回数、立ち消え回数それぞれを検出する構成としたが、いずれか1つ以上を検出する構成としてもよい。
【0076】
さらに、前記実施例では、燃焼室60内に、給湯メインバーナ10と風呂メインバーナ39の両方を設けたが、給湯メインバーナ10と風呂メインバーナ39のうち、いずれか一方とパイロットバーナ38とを金属製の燃焼室60内に設けた構成の燃焼装置であってもよい。
【0077】
さらに、本発明の燃焼装置は、給排気トップが器具に直接取り付けられるバランス型風呂釜(BF−W)に限定されるものではなく、ファンのない密閉燃焼型機器であればよく、例えば乾電池を電源としたチャンバー式ダクト式の燃焼装置であっても構わず、また、DP(ダブルパイプ)型の燃焼装置(BF−DP)であってもよい。また、給湯メインバーナ10の着火不良のみについて述べたが、風呂メインバーナ39に対応するフレームロッド電極を設けて、給湯と風呂の両方の着火不良や炎立ち消えについて対応するようにしてもよいし、風呂メインバーナ39にのみフレームロッド電極を設けて、風呂のみ着火不良や炎立ち消えについて対応するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、点火不良や着火不良や炎立ち消えが生じた際の危険を回避し、その後の再点火により異常着火が生じることを防ぐことができるので、風呂や給湯等の機能を有する安全な燃焼装置として利用できる。
【符号の説明】
【0079】
1 第一の炎口
2 第二の炎口
3 第三の炎口
4 パイロット側フレームロッド電極
5 給湯側フレームロッド電極
10 給湯メインバーナ
38 パイロットバーナ
39 風呂メインバーナ
43 イグナイタ電極
44 熱電対
54 電磁弁
55 制御装置
61 回数検出手段
62 メモリ部
63 燃焼強制禁止制御手段
64 弁閉制御手段
65 時計機構
66 通電手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室内に、口火用のパイロットバーナと、該パイロットバーナの炎によって着火するメインバーナと、前記パイロットバーナに点火する点火手段とが設けられ、前記パイロットバーナに前記燃料ガスを供給するガス供給手段と、手動により操作される器具栓とを有して、該器具栓を消火位置から点火位置に移動させる点火操作が行われたときに前記パイロットバーナへの点火動作を行い、前記器具栓を前記点火位置からメインバーナへの着火位置に移動させる着火操作が行われたときに燃料ガスが供給されている前記メインバーナに前記パイロットバーナの火を着火する着火動作を行う燃焼装置において、前記パイロットバーナへの点火操作が行われたにもかかわらず前記パイロットバーナに点火が行われなかった点火不良回数と、前記メインバーナへの着火操作が行われたにもかかわらず前記メインバーナに着火が行われなかった着火不良回数と、前記メインバーナの燃焼中に炎が消えた炎立ち消え回数のいずれか1つ以上を検出する回数検出手段を有し、前記パイロットバーナへの再点火動作の禁止を判断するための条件として前記点火不良回数と前記着火不良回数と前記炎立ち消え回数の少なくとも1つ以上の判断基準回数が設定され、前記回数検出手段により検出される点火不良回数の検出値と着火不良回数の検出値と炎立ち消え回数の検出値とをそれぞれ区別してそれぞれの検出値を対応する前記判断基準回数と比較し、前記検出値の少なくとも一つが対応する前記判断基準回数に達したときには全てのバーナの燃焼を強制的に停止すると共にその後パイロットバーナの再点火操作が行われても設定禁止期間は前記点火手段による前記パイロットバーナの点火動作を強制的に禁止する燃焼強制禁止制御手段を有することを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
器具栓を消火位置から点火位置に移動させてパイロットバーナへの点火操作を1回行う毎に、前記器具栓を前記点火位置から前記消火位置に戻してからでないと前記パイロットバーナの再点火操作を行えない構成と成していることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
点火手段はイグナイタにより形成されており、燃焼強制禁止制御手段は前記イグナイタへの通電を強制的に禁止してイグナイタ電極により火花を飛ばす動作を禁止することによってパイロットバーナの点火動作を強制的に禁止することを特徴とする請求項1または請求項2記載の燃焼装置。
【請求項1】
燃焼室内に、口火用のパイロットバーナと、該パイロットバーナの炎によって着火するメインバーナと、前記パイロットバーナに点火する点火手段とが設けられ、前記パイロットバーナに前記燃料ガスを供給するガス供給手段と、手動により操作される器具栓とを有して、該器具栓を消火位置から点火位置に移動させる点火操作が行われたときに前記パイロットバーナへの点火動作を行い、前記器具栓を前記点火位置からメインバーナへの着火位置に移動させる着火操作が行われたときに燃料ガスが供給されている前記メインバーナに前記パイロットバーナの火を着火する着火動作を行う燃焼装置において、前記パイロットバーナへの点火操作が行われたにもかかわらず前記パイロットバーナに点火が行われなかった点火不良回数と、前記メインバーナへの着火操作が行われたにもかかわらず前記メインバーナに着火が行われなかった着火不良回数と、前記メインバーナの燃焼中に炎が消えた炎立ち消え回数のいずれか1つ以上を検出する回数検出手段を有し、前記パイロットバーナへの再点火動作の禁止を判断するための条件として前記点火不良回数と前記着火不良回数と前記炎立ち消え回数の少なくとも1つ以上の判断基準回数が設定され、前記回数検出手段により検出される点火不良回数の検出値と着火不良回数の検出値と炎立ち消え回数の検出値とをそれぞれ区別してそれぞれの検出値を対応する前記判断基準回数と比較し、前記検出値の少なくとも一つが対応する前記判断基準回数に達したときには全てのバーナの燃焼を強制的に停止すると共にその後パイロットバーナの再点火操作が行われても設定禁止期間は前記点火手段による前記パイロットバーナの点火動作を強制的に禁止する燃焼強制禁止制御手段を有することを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
器具栓を消火位置から点火位置に移動させてパイロットバーナへの点火操作を1回行う毎に、前記器具栓を前記点火位置から前記消火位置に戻してからでないと前記パイロットバーナの再点火操作を行えない構成と成していることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
点火手段はイグナイタにより形成されており、燃焼強制禁止制御手段は前記イグナイタへの通電を強制的に禁止してイグナイタ電極により火花を飛ばす動作を禁止することによってパイロットバーナの点火動作を強制的に禁止することを特徴とする請求項1または請求項2記載の燃焼装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−97925(P2012−97925A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244150(P2010−244150)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000129231)株式会社ガスター (277)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000129231)株式会社ガスター (277)
【Fターム(参考)】
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