説明

燃焼装置

【課題】燃焼装置において、閉塞検知精度の向上を図ること。
【解決手段】バーナの燃焼時間Cbをバーナが燃焼される毎に積算した積算燃焼時間Bを記憶する燃焼時間積算メモリ421と、ファンを所定の閉塞検知回転数で作動させたときのファンモータの電流値に基づいて給気通路および排気通路の閉塞度合を判定する閉塞判定部423と、燃焼時間積算メモリ421に記憶された積算燃焼時間Bが所定の基準燃焼時間S2に達した場合に前記閉塞度合の判定を実行させる制御手段と、バーナの燃焼停止時間Db1,Db2を積算燃焼時間Bから減算させる制御手段とを備えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給気通路および排気通路の閉塞度合を検知する機能を備えた燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の燃焼装置において、所定の閉塞検知回転数によってファンを作動させた際のファン電流に基づいて給気通路および排気通路の閉塞度合を検出する閉塞検知動作の実行手段と、バーナの燃焼時間を積算して記憶するメモリと、ファンが停止している時間を上記メモリに記憶された積算燃焼時間から減算させる減算手段とを備え、減算後の積算燃焼時間が所定時間に達した場合に閉塞検知動作を実行するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−29740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の燃焼装置では、バーナが消火された後、その燃焼室内からの燃焼排気の排出や装置内の結露を防止するためにファンを一定時間作動させるポストパージが行われるなど、排気通路やバーナ等の装置内全体が冷却されるから、閉塞検知動作を行う毎の装置内の温度状態に伴って通気抵抗にばらつきを生じ、正確な閉塞判定がなされない虞があった。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、閉塞検知精度の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、バーナの燃焼時間をバーナが燃焼される毎に積算した積算燃焼時間を記憶する燃焼時間積算メモリと、ファンを所定の閉塞検知回転数で作動させたときのファンモータの電流値に基づいて給気通路および排気通路の閉塞度合を判定する閉塞判定部と、燃焼時間積算メモリに記憶された積算燃焼時間が所定の基準燃焼時間に達した場合に前記閉塞度合の判定を実行させる制御手段とを備えた燃焼装置であって、
バーナの燃焼停止時間を前記積算燃焼時間から減算させる制御手段を備えたものである。
【0007】
このものでは、バーナや排気通路等の装置内全体が冷却されるバーナの燃焼停止時間がメモリに記憶された積算燃焼時間から減算されるから、その装置内が冷却される度合に合わせて、適切に閉塞検知動作実行時期の調整がなされる。これにより、装置内の温度状態が安定し、通気抵抗のばらつきの少ない状態で閉塞検知動作を実行させることが可能である。
【0008】
上記燃焼装置において、ファンが作動している間のバーナが消火されている第1の燃焼停止時間と、ファンが停止している間のバーナが消火されている第2の燃焼停止時間とを、前記燃焼停止時間として前記積算燃焼時間から減算させるものであるのが望ましい。
【0009】
このものでは、バーナが消火された後のファンの作動している時間と停止している時間とがメモリに記憶された積算燃焼時間から減算されるから、バーナや排気通路等の装置内が冷却される度合に合わせて、適切に閉塞検知動作実行時期の調整がなされる。これにより、装置内の温度状態が安定し、通気抵抗のばらつきのより少ない状態で閉塞検知動作を実行させることが可能である。
【0010】
上記燃焼装置において、第1の燃焼停止時間および第2の燃焼停止時間を増減させる補正係数の設定部と、第1の燃焼停止時間を増減させる第1の補正係数に所定の増加定数を乗じて第1の燃焼停止時間の増減度合を所定の割合だけ大きくする制御手段とを備えたものであるのが望ましい。
【0011】
バーナ消火後のファンの作動している時間は、停止している時間に比べてバーナや排気通路等の装置内の冷却される度合も大きくなるが、このものでは、積算燃焼時間から減算する第1の燃焼停止時間の増減度合が増加定数を乗じた分だけ大きくなるよう補正されるから、バーナや排気通路等の装置内の冷却される度合に合わせて、より適切に閉塞検知動作実行時期の調整がなされる。これにより、装置内の温度状態が安定し、通気抵抗のばらつきのより少ない状態で閉塞検知動作を実行させることが可能である。
【0012】
上記燃焼装置において、装置内へ送り込まれる空気の温度を検出する給気温センサを備え、
前記検知温度が低い場合は、高い場合に比べて大きい前記補正係数が設定されるものであるのが望ましい。
【0013】
装置内へ送り込まれる空気の温度、即ち、給気温が低い場合、バーナや排気通路等の装置内の冷却される度合も大きくなるが、このものでは、給気温が低ければ、その分、積算燃焼時間の減算される度合が大きくなるよう補正されるから、バーナや排気通路等の装置内の冷却される度合に合わせて、正確に閉塞検知動作実行時期の調整がなされる。これにより、装置内の温度状態が安定し、通気抵抗のばらつきのより少ない状態で閉塞検知動作を実行させることが可能である。
【0014】
上記燃焼装置において、第1の燃焼停止時間を増減させる第1の補正係数は、第1の燃焼停止時間が長いほど小さい値に設定され、第2の燃焼停止時間を増減させる第2の補正係数は、第2の燃焼停止時間が長いほど小さい値に設定されるものであるのが望ましい。
【0015】
バーナの燃焼停止時間が長いほど、バーナや排気通路等の装置内の冷却される度合もそれに従って小さくなるが、このものでは、燃焼停止時間が長ければ、その分、補正係数を小さな値に設定し、積算燃焼時間の減算される度合が小さくなるよう補正されるから、バーナや排気通路等の装置内の冷却される度合に合わせてより正確に閉塞検知動作実行時期の調整がなされる。これにより、装置内の温度状態が安定し、通気抵抗のばらつきのより少ない状態で閉塞検知動作を実行させることが可能である。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の燃焼装置によれば、常に安定した条件の下、閉塞検知動作を実行させることが可能であるから、閉塞検知精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る燃焼装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る燃焼装置の制御部を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る燃焼装置における閉塞検知動作を示す作動フローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る燃焼装置における閉塞検知動作を示す作動フローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る燃焼装置における燃焼停止時間と燃焼時間補正係数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、上記した本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
【0019】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る燃焼装置1は、カランやシャワー等の湯出口A2へ温水を供給する給湯ユニット2と、浴槽A3内の水を循環し加熱する風呂ユニット3とを一体的に構成した複合給湯装置であり、その本体ケース10内には、これら給湯ユニット2および風呂ユニット3の動作を各別に制御する制御部4が組み込まれている。
【0020】
本体ケース10には、給湯ユニット2および風呂ユニット3内で生成された燃焼排気を外部へ排出するための排気口101と、給湯ユニット2および風呂ユニット3内へ燃焼用空気を取り込むための給気口102,103とが設けられている。
【0021】
給湯ユニット2は、給湯管路L2を介して湯出口A2に繋がる熱交換器21と、熱交換器21を加熱するバーナ22と、バーナ22へ燃焼用空気を供給するファン23とを備えており、このファン23を作動させることによって、本体ケース10外の空気が給気口102から給気通路201を通って給湯ユニット2の燃焼室200内へ取り込まれ、燃焼用空気としてバーナ22へ導かれ、さらには、ガス管路LGからバーナ22へ供給される燃料ガスと上記燃焼用空気との燃焼排気が、排気通路202を通って排気口101から本体ケース10外へ排出されるように構成されている。
【0022】
給湯管路L2には、その上流側から熱交換器21へ送り込まれる水の温度を検出する入水温センサ24が設けられている。また、給気通路201には、燃焼室200内へ送り込まれる燃焼用空気の温度を検出する給気温センサ25が設けられている。
【0023】
バーナ22の炎孔近傍には、イグナイタIGから高電圧を印加することによって火花放電する点火プラグ26と、その炎孔近傍の燃焼炎の有無を検知する炎検知器27とが設けられている。
【0024】
ファン23のファンモータM2には、そのファンモータM2の回転数を検出する回転数センサ28と、ファンモータM2の電流値を検出する電流センサ29とが設けられている。
【0025】
風呂ユニット3は、温水循環管路L3を介して浴槽A3に繋がる熱交換器31と、熱交換器31を加熱するバーナ32と、バーナ32へ燃焼用空気を供給するファン33とを備えており、このファン33を作動させることによって、本体ケース10外の空気が給気口103から給気通路301を通って風呂ユニット3の燃焼室300内へ送り込まれ、燃焼用空気としてバーナ32へ導かれ、さらには、ガス管路LGからバーナ32へ供給される燃料ガスとその燃焼用空気との混合ガスの燃焼排気が、排気通路302を通って排気口101から本体ケース10外へ排出されるように構成されている。
【0026】
温水循環管路L3には、浴槽A3から熱交換器31へ送り込まれる水の温度を検出する入水温センサ34が設けられている。また、給気通路301には、燃焼室300内へ送り込まれる燃焼用空気の温度を検出する給気温センサ35が設けられている。
【0027】
バーナ32の炎孔近傍には、イグナイタIGから高電圧を印加することによって火花放電する点火プラグ36と、その炎孔近傍の燃焼炎の有無を検知する炎検知器37とが設けられている。
【0028】
ファン33のファンモータM3には、そのファンモータM3の回転数を検出する回転数センサ38と、ファンモータM3の電流値を検出する電流センサ39とが設けられている。
【0029】
入水温センサ24,34や給気温センサ25,35、炎検知器27,37、イグナイタIG、ファンモータM2,M3、回転数センサ28,38、電流センサ29,39等は、図示しない電気配線を通じて制御部4に接続されている。
【0030】
図2に示すように、制御部4は、バーナ22,32の点火や消火動作を行うバーナ制御部4Aと、ファンモータM2,M3の作動や停止動作を行うファンモータ制御部4Bと、給気通路201,301および排気通路202,302の閉塞度合を検出する閉塞検知制御部4Cとを備えている。
【0031】
ファンモータ制御部4Bは、給湯ユニット2側のバーナ22の目標燃焼量、或いは、風呂ユニット3側のバーナ32の目標燃焼量に合わせてファンモータM2,M3の目標回転数を設定する目標回転数設定部411、上記目標回転数の補正係数を算出し設定する回転補正係数設定部412、ファンモータM2,M3の回転数を目標回転数に合わせて調整する回転数制御部413等によって構成されている。尚、ファンモータ制御部4Bは、給湯ユニット2側のバーナ22または風呂ユニット3側のバーナ32のいずれか一方が点火された時点でファンモータM2,M3の双方を作動させるように設定されており、これによって、給湯ユニット2側から風呂ユニット3側へ或いは風呂ユニット3側から給湯ユニット2側への燃焼排気の逆流を防止している。
【0032】
閉塞検知制御部4Cは、バーナ22,32が燃焼している間のファンモータM2,M3の作動時間(以下、「ファン作動時間」という)Cfを計測するファンONタイマ414や、バーナ22,32の燃焼が停止している間のファンモータM2,M3の停止時間(以下、「ファン停止時間」という)Dfを計測するファンOFFタイマ415、ファン作動時間Cfを積算し且つその積算した時間である積算ファン作動時間Fからファン停止時間Dfを減算して記憶するファン作動時間積算メモリ416、ファン停止時間Dfの補正係数を算出し設定する作動時間補正係数設定部417、バーナ22,32の燃焼時間Cbを計測する燃焼ONタイマ418、ファンモータM2,M3が作動している間のバーナ22,32の燃焼停止時間である第1の燃焼停止時間Db1を計測する第1燃焼OFFタイマ419、ファンモータM2,M3が停止している間のバーナ22,32の燃焼停止時間である第2の燃焼停止時間Db2を計測する第2燃焼OFFタイマ420、バーナ22,32が燃焼される毎に燃焼時間Cbを積算して記憶し、また、その積算された時間である積算燃焼時間Bからバーナ22,32の燃焼が停止される毎に第1の燃焼停止時間Db1および第2の燃焼停止時間Db2を減算する燃焼時間積算メモリ421、給気温センサ25,35の検知温度(以下、「給気温」という)T2に応じて第1の燃焼停止時間Db1の補正係数および第2の燃焼停止時間Db2の補正係数を設定する燃焼時間補正係数設定部422、ファンモータM2,M3の電流値に基づいて給気通路201,301および排気通路202,302の閉塞度合を判定する閉塞判定部423、積算ファン作動時間Fが所定の基準作動時間S1に達したか否かを判定するファン作動時間判定部424、積算燃焼時間Bが所定の基準燃焼時間S2に達したか否かを判定する燃焼時間判定部425、ファン停止時間Dfが所定の基準停止時間S3に達したか否かを判定するファン停止時間判定部426、入水温センサ24,34の検知温度(以下、「入水温」という)T1が基準温度S4以上であるか否かを判定する入水温判定部427等によって構成されている。
【0033】
尚、基準作動時間S1は、ファンモータM2,M3の作動を開始した時点からそのファンモータM2,M3の温度が安定状態となるまで上昇するのに要する時間(例えば、5分)に設定されている。基準燃焼時間S2は、バーナ22,32を点火した時点から熱交換器21,31やバーナ22,32、排気通路202,302等、装置内部(給湯ユニット2や風呂ユニット3の内部)全体の温度が安定状態となるまで上昇するのに要する時間(例えば、10分)に設定されている。基準停止時間S3は、ファンモータM2,M3を停止した時点から装置内部全体の温度が常温状態となるまで低下するのに要する時間(例えば、30分)に設定されている。また、基準温度S4は、熱交換器21,31の温度が閉塞判定を行うのに適した状態となり得る温度(例えば、30℃)に設定されている。
【0034】
[本発明の実施の形態における閉塞検知動作の実際]
次に、上記制御部4による閉塞検知動作を、風呂ユニット3によって浴槽A3内の水の追焚が行われた場合を例に、図3および図4のフローチャートに従って説明する。
【0035】
リモコンの風呂追焚スイッチが押され、制御部4に風呂ユニット3側のバーナ32のON信号が入力されると、回転数センサ28,38の検出回転数が所定の目標回転数となるよう、フィードバック制御を行いながらファンモータM2,M3を作動させる。また、風呂ユニット3側のバーナ32への燃料ガスの供給を開始させるとともにイグナイタIGから点火プラグ36へ高電圧を印加して火花放電させ、バーナ32を点火させる(ST1〜ST2)。
【0036】
炎検知器37によってバーナ32の燃焼炎が検知されると、ファンONタイマ414によるファン作動時間Cfの計測、および、燃焼ONタイマ418によるバーナ32の燃焼時間Cbの計測を開始する(ST3〜ST4)。
【0037】
その後、リモコンの風呂追焚スイッチが再度押され、制御部4に風呂ユニット3側のバーナ32のOFF信号が入力されるか、或いは、浴槽A3の水温が追焚設定温度に達すれば、風呂ユニット3側のバーナ32への燃料ガスの供給を停止して消火させる(ST5〜ST6)。
【0038】
そして、燃焼時間Cbの計測を終了し、この燃焼時間Cbを燃焼時間積算メモリ421に記憶された積算燃焼時間B(運転開始前の初期状態では、0分)に加算記憶させる(ST7)。
【0039】
また、ファン作動時間Cfの計測を終了し、この時点におけるファン作動時間Cf、即ち、バーナ32の燃焼中におけるファンモータM3の作動時間をファン作動時間積算メモリ416に記憶された積算ファン作動時間F(運転開始前の初期状態では、0分)に加算記憶させる。尚、バーナ32を消火させた際に、給湯ユニット2側のバーナ22が燃焼状態であれば、積算燃焼時間Bを初期状態にリセットした上でST10のステップを実行し、給湯ユニット2側のバーナ22が消火状態であれば、積算燃焼時間BをリセットしないでST10のステップが実行される(ST8〜ST10)。
【0040】
次に、積算ファン作動時間Fが基準作動時間S1以上であるか否かが判定され、積算ファン作動時間Fが基準作動時間S1以上であれば(ST11のステップでyes)、さらに、積算燃焼時間Bが基準燃焼時間S2以上であるか否かが判定される。また、積算燃焼時間Bが基準燃焼温度S2以上であれば(ST12のステップでyes)、入水温T1が基準温度S4以上であるか否かが判定される(ST11〜ST13)。
【0041】
その結果、入水温T1が基準温度S4以上であれば(ST13のステップでyes)、給気通路301および排気通路302の閉塞判定が行われ、その結果、給気通路301または排気通路302が閉塞状態であると判断された場合は、ファンモータM3の目標回転数の補正処理が行われる(ST14〜ST15)。
【0042】
即ち、ファンモータM3および風呂ユニット3内部全体の温度が安定状態まで上昇し、且つ、熱交換器31へ送り込まれる水の温度も基準値以上である安定した条件の下、給気通路301および排気通路302の閉塞度合を判定し、その判定結果に応じてファンモータM3の目標回転数の補正処理が行われる。
【0043】
閉塞判定について詳述すると、まず、ファンモータM3の目標回転数を予め設定された閉塞検知回転数(例えば、バーナ32の最大燃焼時における回転数の1.2倍)とし、回転数センサ38の検知回転数がその閉塞検知回転数になるようフィードバック制御を行いながらファンモータM3を駆動させる。そして、このときの電流センサ39の検知電流(以下、「ファン電流」という)と、給気通路301および排気通路302が閉塞状態でないときの基準電流とを比較させ、そのファン電流が基準電流以上である場合は、給気通路301および排気通路302が閉塞状態でないと判定し、基準電流より低い場合は、給気通路301または排気通路302が閉塞状態であると判定する。
【0044】
目標回転数の補正処理について詳述すると、まず、閉塞判定時のファン電流に応じて回転数補正係数が算出される。そして、その回転数補正係数が所定値以上であれば、現在の目標回転数に上記回転数補正係数を乗じた値が新たな目標回転数として設定される。
【0045】
上述した閉塞判定および目標回転数の補正処理(ST14およびST15のステップ)が終了すれば、ファン作動時間積算メモリ416に記憶された積算ファン作動時間Fおよび燃焼時間積算メモリ421に記憶された積算燃焼時間Bを初期状態にリセットするとともに、ファンモータM2,M3を停止させ、閉塞検知動作を終了する(ST16〜ST17)。
【0046】
一方、ST11のステップにて、積算ファン作動時間Fが基準作動時間S1に達していない場合(ST11のステップでno)、或いは、ST12のステップにて、積算燃焼時間Bが基準燃焼温度S2に達していない場合(ST12のステップでno)、或いは、ST13のステップにて、入水温T1が基準温度S4に達していない場合(ST13のステップでno)、即ち、ファンモータM3または風呂ユニット3内部全体の温度が安定状態にまで達していないか、或いは、熱交換器31へ送り込まれる水の温度が基準値未満である場合には、給気通路301および排気通路302の閉塞判定をしないで、燃焼室300内からの燃焼排気の排出や風呂ユニット3内の結露を防止するためにファンを一定時間作動させるポストパージが行われるとともに、そのポストパージの実行中における積算燃焼時間Bの減算補正が行われる(ST18〜ST23)。
【0047】
ポストパージについて詳述すると、まず、ファンモータM3の目標回転数を予め設定されたパージ回転数(例えば、バーナ32の最大燃焼時における回転数)とし、回転数センサ38の検知回転数がそのパージ回転数になるようフィードバック制御を行いながらファンモータM3を駆動させる。そして、所定時間(例えば、1分)が経過すれば、ファンモータM3を停止させる。
【0048】
ポストパージの実行中における積算燃焼時間Bの減算補正について詳述すると、ポストパージが開始され、ファンモータM3の回転数がパージ回転数に達した時点より、第1燃焼OFFタイマ419による第1の燃焼停止時間Db1の計測が開始される。また、その時点での給気温T2に対応する第1の燃焼停止時間Db1とその補正係数との関係に基づいて、第1の燃焼停止時間Db1を補正するための燃焼時間補正係数Nb1が燃焼時間補正係数設定部422によって設定される。燃焼時間補正係数設定部422には、図5のグラフに示すような燃焼時間補正係数Nb1のパターンデータが組み込まれており、例えば、給気温T2が23℃で且つ第1の燃焼停止時間Db1が1分である場合は、燃焼時間補正係数Nb1に「1」が選定され、給気温T2が23℃で且つ第1の燃焼停止時間Db1が2分である場合は、燃焼時間補正係数Nb1に「0.8」が選定され、給気温T2が23℃で且つ第1の燃焼停止時間Db1が3分である場合は、燃焼時間補正係数Nb1に「0.6」が選定される。但し、ポストパージによりファン33を作動させた状態の第1の燃焼停止時間Db1は、ファン33が停止した状態の第2の燃焼停止時間Db2に比べて熱交換器31やバーナ32、排気通路302等の冷却される度合が大きいため、上述のように選定された燃焼時間補正係数Nb1に所定の増加定数a(例えば、2)を乗じた値が燃焼時間補正係数Nb1aとして設定される。
【0049】
そして、この設定された燃焼時間補正係数Nb1aを所定の単位時間Ut(例えば、1秒)に乗じ、さらにその乗じた値を燃焼時間積算メモリ421に記憶された積算燃焼時間Bから減算し、その減算した値が新たな積算燃焼時間Bとして記憶し直される。
【0050】
このようにして、ポストパージが開始されてから所定時間が経過するまでの間、積算燃焼時間Bの減算補正が所定の単位時間Ut毎に繰り返され、所定時間が経過した時点でその減算補正を終了し、第1の燃焼停止時間Db1の計測を終了させる。
【0051】
これにより、燃焼時間積算メモリ421に記憶された積算燃焼時間Bは、バーナ32が燃焼停止中で且つファン33が作動している間の、熱交換器31やバーナ32、排気通路302等の強制冷却される分が減算調整される。
【0052】
上述したポストパージが終了すると、第2燃焼OFFタイマ420による第2の燃焼停止時間Db2の計測、および、ファンOFFタイマ415によるファン停止時間Dfの計測を開始するとともに、そのファン停止時間Dfが基準停止時間S3に達するか、或いは、制御部4に風呂ユニット3側のバーナ32のON信号が入力されるまでの間、ファンモータM3の停止中における積算ファン作動時間Fの減算補正、および、積算燃焼時間Bの減算補正が行われる(ST24〜ST33)。
【0053】
ファンモータM3の停止中における積算ファン作動時間Fの減算補正について詳述すると、ポストパージが終了し、ファンモータM3が停止した時点より、ファン停止時間Dfの計測が開始される。また、その時点からのファンモータM3の温度の低下度合に対応する所定のファン作動時間補正係数Nf(例えば、0.1)が作動時間補正係数設定部417によって設定される。
【0054】
そして、このファン作動時間補正係数Nfを所定の単位時間Ut(例えば、1秒)に乗じ、さらにその乗じた値をファン作動時間積算メモリ416に記憶された積算ファン作動時間Fから減算し、その減算した値が新たな積算ファン作動時間Fとして記憶し直される。
【0055】
ファンモータM3の停止中における積算燃焼時間Bの減算補正について詳述すると、ポストパージが終了し、ファンモータM3が停止した時点より、第2の燃焼停止時間Db2の計測が開始される。また、その時点での給気温T2に対応する第2の燃焼停止時間Db2とその補正係数との関係に基づいて、第2の燃焼停止時間Db2を補正するための燃焼時間補正係数Nb2が燃焼時間補正係数設定部422によって設定される。燃焼時間補正係数設定部422には、図5のグラフに示すような燃焼時間補正係数Nb2のパターンデータが組み込まれており、例えば、給気温T2が5℃で且つ第2の燃焼停止時間Db2が1分である場合は、燃焼時間補正係数Nb2に「1.3」が選定され、給気温T2が5℃で且つ第2の燃焼停止時間Db2が3分である場合は、燃焼時間補正係数Nb2に「0.8」が選定され、給気温T2が5℃で且つ第2の燃焼停止時間Db2が5分である場合は、燃焼時間補正係数Nb2が「0.6」に選定される。
【0056】
そして、この選定された燃焼時間補正係数Nb2を所定の単位時間Ut(例えば、1秒)に乗じ、さらにその乗じた値を燃焼時間積算メモリ421に記憶された積算燃焼時間Bから減算し、その減算した値が新たな積算燃焼時間Bとして記憶し直される。
【0057】
このようにして、ファン停止時間Dfが基準停止時間S3に達するか、或いは、バーナ32のON信号が入力されるまでの間、積算ファン作動時間Fの減算補正および積算燃焼時間Bの減算補正が所定の単位時間Ut毎に繰り返され、その間にファン停止時間Dfが基準停止時間S3に達した場合(ST28のステップでyes)は、それらの減算補正を終了し、ファン停止時間Dfの計測を終了するとともにファン作動時間積算メモリ416に記憶された積算ファン作動時間Fを初期状態にリセットし、さらに、第2の燃焼停止時間Db2の計測を終了するとともに燃焼時間積算メモリ421に記憶された積算燃焼時間Bを初期状態にリセットし、再び、上述したST1のステップ以降の動作が繰り返される(ST30〜ST31)。
【0058】
即ち、ファンモータM3が一定時間以上停止した状態が続いた場合は、風呂ユニット3内部全体の温度が常温近くにまで低下しているとして、積算燃焼時間Bの計測が始めからやり直される。
【0059】
一方、ファン停止時間Dfが基準停止時間S3に達するまでの間に、再び、風呂ユニット3側のバーナ32のON信号が制御部4へ入力された場合(ST29のステップでyes)は、積算ファン作動時間Fの減算補正および積算燃焼時間Bの減算補正を終了するとともに、第2の燃焼停止時間Db2の計測およびファン停止時間Dfの計測を終了させ、再び、上述したST2のステップ以降の動作が繰り返される(ST32〜ST33)。
【0060】
これにより、ファン作動時間積算メモリ416に記憶された積算ファン作動時間Fは、バーナ32が燃焼停止中で且つファン33も作動停止している間の、ファンモータM3の自然冷却される分が減算調整される。また、燃焼時間積算メモリ421に記憶された積算燃焼時間Bは、バーナ32が燃焼停止中で且つファン33も作動停止している間の、熱交換器31やバーナ32、排気通路302等の自然冷却される分が減算調整される。
【0061】
このように、上記実施の形態によれば、バーナ32が比較的短い時間間隔で燃焼および停止を繰り返すような使用をされても、ファンモータM3や排気通路302内の温度が安定状態まで上昇し、且つ、熱交換器31へ送り込まれる水の温度も基準値以上である安定した条件の下、その短い燃焼時間の中で給気通路301および排気通路302の閉塞判定が行われるから、精度の高い閉塞検知を実現できる。
【0062】
また、バーナ32が消火されてから点火されるまでの時間(第1の燃焼停止時間Db1および第2の燃焼停止時間Db2)が積算燃焼時間Bから減算されるから、バーナ32や排気通路302等の装置内が冷却される度合に合わせて適切に閉塞検知動作実行時期の調整がなされる。特に、このものでは、バーナ32が消火された後のファン33の作動時間(第1の燃焼停止時間Db1)と停止時間(第2の燃焼停止時間Db2)とが各別に積算燃焼時間Bから減算されるから、バーナ32や排気通路302等の装置内が冷却される度合に合わせてより適切に閉塞検知動作実行時期の調整がなされる。これにより、装置内の温度状態が安定し、通気抵抗のばらつきの少ない状態で閉塞検知動作を実行させることが可能である。よって、正確な閉塞検知を実現できる。
【0063】
また、積算燃焼時間Bから減算されるファン33の作動時間(第1の燃焼停止時間Db1)の増減度合が、増加定数aを乗じた分だけ大きくなるよう補正されるから、装置内の冷却される度合に合わせてより適切に閉塞検知動作実行時期の調整がなされる。これにより、装置内の温度状態が安定し、通気抵抗のばらつきのより少ない状態で閉塞検知動作を実行させることが可能である。よって、一層正確な閉塞検知を実現できる。
【0064】
さらに、積算燃焼時間Bから減算されるファン33の作動時間(第1の燃焼停止時間Db1)の増減度合が、給気温に合わせて所定の割合だけ大きくなるよう補正される。即ち、給気温が低ければ、その分、積算燃焼時間Bの減算される度合を大きくして、閉塞検知動作の実行時期を遅らせるから、装置内の冷却される度合に合わせて正確に閉塞検知動作実行時期の調整がなされる。これにより、装置内の温度状態が安定し、通気抵抗のばらつきのより少ない状態で閉塞検知動作を実行させることが可能である。よって、一層正確な閉塞検知を実現できる。
【0065】
また、このものでは、ファン33の停止時間(第2の燃焼停止時間Db2)が長ければ、その分、小さな燃焼時間補正係数Nb2が選定され、積算燃焼時間Bの減算される度合が小さくなるよう補正されるから、装置内の冷却される度合に合わせてより正確に閉塞検知動作実行時期の調整がなされる。これにより、装置内の温度状態が安定し、通気抵抗のばらつきのより少ない状態で閉塞検知動作を実行させることが可能である。よって、一層正確な閉塞検知を実現できる。
【0066】
尚、上記閉塞検知動作は、風呂ユニット3によって浴槽A3内の水の追焚が行われた場合について説明したが、給湯ユニット2によって湯出口A2へ温水の供給が行われた場合も、上述した閉塞検知動作と同様の制御が給湯ユニット2において行われる。
【0067】
[その他]
上記実施の形態では、閉塞判定にて給気通路301または排気通路302が閉塞状態であると判断された場合は、ファンモータM3の目標回転数の補正処理が行われる制御構成としたが、閉塞判定にて給気通路301または排気通路302が閉塞状態であると判断された場合、異常を報知するとともに風呂ユニット3の作動を停止させる制御構成としたものであっても良い。
【0068】
また、上記実施の形態では、パターンデータから選定された補正係数(燃焼時間補正係数Nb1,Nb2)を用いてバーナ32の積算燃焼時間Bを補正する制御構成としたが、図5のグラフに対応する演算式から算出された補正係数(例えば、給気温T2が−30℃で且つ第2の燃焼停止時間Db2が0分から5分までの場合は、第2の燃焼停止時間Db2に定数0.25を乗じ、その乗じた値を定数2.1から減じて算出され、給気温T2が−30℃で且つ第2の燃焼停止時間Db2が5分から20分までの場合は、第2の燃焼停止時間Db2に定数0.02を乗じ、その乗じた値を定数0.95から減じて算出された値)を用いて積算燃焼時間Bを補正するものであっても良いし、燃焼停止時間にかかわらず、給気温T2に応じて設定される補正係数(例えば、給気温T2が23℃のときは「1」、給気温T2が5℃のときは「1.3」)を用いて積算燃焼時間Bを補正するものであっても良い。
【0069】
また、上記実施の形態では、上述のように選定された燃焼時間補正係数Nb1に増加定数aを乗じることで、第1の燃焼停止時間Db1の増減度合を所定の割合だけ大きくする制御構成としたが、第1の燃焼停止時間Db1の増減度合が第2の燃焼停止時間Db2の増減度合より所定の割合だけ大きくなるような演算方法であれば、燃焼時間補正係数Nb1に定数を加しても良いし、燃焼時間補正係数Nb2を定数で除しても良いし、燃焼時間補正係数Nb2から定数を減じても良い。
【0070】
また、上記実施の形態では、燃焼ONタイマ418によってバーナ22,32の点火から消火までの燃焼時間Cbを計測し、その積算燃焼時間Bに応じて装置内部全体の温度が安定状態となるまで上昇したか否かを判定する制御構成としたが、その燃焼ONタイマ418に代えて、バーナ22,32の燃焼中におけるファンモータM2,M3の作動時間を計測する第2のファンONタイマを設け、この第2のファンONタイマによって計測されたファンモータM2,M3の作動時間をバーナ22,32の点火から消火までの燃焼時間に置き換えて上記実施の形態と同様の制御を行うよう構成されたものであっても良い。
【0071】
上述した閉塞検知動作の制御構成は、上記実施の形態で説明した複合給湯装置に限らず、単一の熱交換ユニットで構成される給湯器や風呂釜燃焼器、ガスファンヒータにも適用できる。
【符号の説明】
【0072】
1・・・燃焼装置
201,301・・・給気通路
202,302・・・排気通路
21,31・・・熱交換器
22,32・・・バーナ
23,33・・・ファン
25,35・・・給気温センサ
4・・・制御部
4A・・・バーナ制御部
4B・・・ファンモータ制御部
4C・・・閉塞検知制御部
418・・・燃焼ONタイマ(燃焼タイマ)
419・・・第1燃焼OFFタイマ(第1燃焼停止タイマ)
420・・・第2燃焼OFFタイマ(第2燃焼停止タイマ)
421・・・燃焼時間積算メモリ
422・・・燃焼時間補正係数設定部
423・・・閉塞判定部
M2,M3・・・ファンモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナの燃焼時間をバーナが燃焼される毎に積算した積算燃焼時間を記憶する燃焼時間積算メモリと、ファンを所定の閉塞検知回転数で作動させたときのファンモータの電流値に基づいて給気通路および排気通路の閉塞度合を判定する閉塞判定部と、燃焼時間積算メモリに記憶された積算燃焼時間が所定の基準燃焼時間に達した場合に前記閉塞度合の判定を実行させる制御手段とを備えた燃焼装置であって、
バーナの燃焼停止時間を前記積算燃焼時間から減算させる制御手段を備えた、燃焼装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼装置において、
ファンが作動している間のバーナが消火されている第1の燃焼停止時間と、ファンが停止している間のバーナが消火されている第2の燃焼停止時間とを、前記燃焼停止時間として前記積算燃焼時間から減算させることを特徴とする、燃焼装置。
【請求項3】
請求項2に記載の燃焼装置において、
第1の燃焼停止時間および第2の燃焼停止時間を増減させる補正係数の設定部と、第1の燃焼停止時間を増減させる第1の補正係数に所定の増加定数を乗じて第1の燃焼停止時間の増減度合を所定の割合だけ大きくする制御手段とを備えた、燃焼装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の燃焼装置において、
装置内へ送り込まれる空気の温度を検出する給気温センサを備え、
前記検知温度が低い場合は、高い場合に比べて大きい前記補正係数が設定されることを特徴とする、燃焼装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載の燃焼装置において、
第1の燃焼停止時間を増減させる第1の補正係数は、第1の燃焼停止時間が長いほど小さい値に設定され、第2の燃焼停止時間を増減させる第2の補正係数は、第2の燃焼停止時間が長いほど小さい値に設定されることを特徴とする、燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−2785(P2013−2785A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137173(P2011−137173)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】