説明

爆薬装填方法

【課題】本発明は、発破作業における爆薬の装填時間の短縮及び作業効率を向上させることを目的とする。
【解決手段】本発明は、酸化剤、水、乳化剤、微小中空球体及び油類(ただし、全部または一部が樹脂に置換されている)を含有し、粒状に成型された油中水滴型エマルション爆薬を、爆薬装填機を用いて発破孔内に装填する際に、爆薬の装薬速度を調整することで発破孔内の爆薬装填比重を変化させることを特徴とする爆薬装填方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は爆薬装填方法に関する。更に詳しくは隧道掘進、採石、採鉱等の産業用爆破作業に利用される油中水滴型エマルション爆薬の装填方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
爆破作業に用いられる産業用爆薬として、ダイナマイト、含水爆薬、硝安爆薬、硝安油剤爆薬(以下ANFO爆薬と呼ぶ)等が良く知られている。これらの爆薬のうち含水爆薬は、組成物中に危険度の高い火薬成分が含まれてないことから従来のダイナマイトよりも比較的安全であり、産業用爆薬として広く用いられるようになっている。この含水爆薬はスラリー爆薬として特許文献1にて公開されて以来、さまざまな改良が行われてきており、現在では耐水性、安全性の点で、従来の爆薬より優れた性能を有しているものが得られている。
【0003】
他方、発破現場においては、爆薬の装填時間の短縮や装填作業中、切羽付近の落石等からの危険を回避する安全性確保という観点から、爆薬の装薬作業の機械化が要望されるようになってきている。爆薬の機械装填を行うためには、使用される爆薬がより安全である必要があり、ANFO爆薬を装填機等によって機械装填する方法が鉱山や採石場等で実用化されている。
【0004】
ところがANFO爆薬は、油中水滴型エマルション爆薬と比較すると、発破後の残留ガス組成が悪いため十分な排気装置を設ける必要がある。また、発破孔中に水が存在する場合、ANFO爆薬が水に溶解して所定の爆薬性能が得られなくなるために、使用することが困難になる。このため水が存在する発破孔や湧水孔においては、あらかじめ発破孔中の水を排出してからポリチューブ等を挿入した後、そのポリチューブ内にANFO爆薬を装填するといった煩雑な方法が行われる場合がある。また油中水滴型エマルション爆薬については、例えば諸外国において、非特許文献1にあるように、バルクエマルション爆薬と呼ばれる油中水滴型エマルション爆薬を、エア駆動のモノポンプ等を利用して、直接発破孔に自動装填するバルクエマルション爆薬システムと呼ばれる方法がすでに実用化されている。しかしバルクエマルション爆薬システムにおいては、高粘度の油中水滴型エマルション爆薬を使用するために、装薬作業後の清掃作業や残留爆薬の管理がきわめて煩雑になるため高コスト化を招く恐れがある。また、バルクエマルション爆薬を装填するためには、安全性の確保のためにも高価な装填用機械が必要となる。
【0005】
また、現在トンネルなどでは周辺孔の余掘りを防ぐために、スムースブラスティング工法などの様々な制御発破が行われているが、これらの制御発破はトンネル中心部に威力のある爆薬、周辺孔に威力を抑えた爆薬というように、異なる爆薬種を使用したり、直径を通常のものより細くしたサイズのものを使用したりしており、爆薬装填時の作業効率はあまり良いとは言えない。機械装填が可能なANFO爆薬を用いても威力の調整は不可能であり、スムースブラスティング等の制御発破を行う場合は数種の爆薬種を使用する必要があり、作業が非常に煩雑になるのが現状である。
【0006】
このため、空気装填機のように比較的簡単な機械で装薬が可能で、比較的多くの水が存在する発破孔でも使用可能で、安全性の高い爆薬が要望されている。これらの問題を解決する爆薬として、例えば特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5に記載された、顆粒あるいは粒状の油中水滴型エマルション爆薬の開発が進められているが未だ充分とは言えない。
【0007】
【特許文献1】米国特許第3,161,551号公報
【特許文献2】特開平7−223888号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開平11−278975号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開2001−172096号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開2001−206797号公報(特許請求の範囲)
【非特許文献1】「効果的なトンネル技術に関する検討報告書」(社)日本トンネル技術協会発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、発破作業における爆薬の装填時間の短縮、装填作業の自動化、作業効率の向上が可能な爆薬装填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、粒状に成型された特定の成分からなる油中水滴型エマルション爆薬を、爆薬装填機を用いて装薬する際の装薬速度を変化させ、発破孔内の爆薬装填比重を所望の範囲に変化させることで、爆薬の威力を調整でき、同一種の爆薬を使用しながら、例えばトンネル掘進での周辺孔のスムースブラスティングが可能となることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0010】
すなわち本発明は、
(1)酸化剤、水、乳化剤、微小中空球体及び油類(ただし、全部または一部が樹脂に置換されている)を含有し、粒状に成型された油中水滴型エマルション爆薬を、爆薬装填機を用いて発破孔内に装填する際に、爆薬の装薬速度を調整することで発破孔内の爆薬装填比重を変化させることを特徴とする爆薬装填方法
(2)爆薬装填機が、圧力容器、装薬ホース、空気圧送装置及び圧力容器からの圧縮空気とは別に、装薬ホースに圧縮空気を送るための装置から構成されている空気装填機であって、圧力容器内の圧力を0.1〜0.5MPaに、また、圧力容器とは別に装薬ホース内に送られる圧縮空気を0.05〜0.7MPaにそれぞれ調整し、爆薬を装填する上記(1)記載の装填方法
(3)爆薬の成型体一粒当たりの平均重量が0.03〜5.0gであ上記(1)または(2)記載の装填方法
【発明の効果】
【0011】
本発明の爆薬装填方法は、油中水滴型エマルション爆薬を、爆薬装填機を用いて装薬する際の装薬時間の短縮及び作業効率を向上させることができ、スムースブラスティング工法などの様々な発破パターンを一つの爆薬で実施することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される爆薬装填機は、爆薬を入れる容器、装薬ホース、爆薬供給装置から構成されていれば、どのような形態のものでも構わない。例えば、ANFO装填機のような爆薬を入れる圧力容器、装薬ホース、空気圧送装置から構成されている空気装填機が好ましい具体例として挙げられる。
【0013】
空気装填機は圧力容器と装薬ホースの接続部付近に、圧力容器からの圧縮空気とは別に、装薬ホースに圧縮空気を送るための装置を備えたものが好ましい。例えば、圧力容器と装薬ホースの接続部に2重管を使用し、2重管の内側には圧力容器からの爆薬、外側には圧縮空気を同時に送るような構造を有するものが挙げられる。圧力容器からの圧縮空気のみでの爆薬の輸送では、装薬ホース内で爆薬が閉塞するという問題が生じる場合がある。しかし、圧力容器とは別に圧縮空気のみを装薬ホース内に送ることで、装薬ホース内の爆薬の占有比率を下げて爆薬を輸送することが可能であり、爆薬の閉塞という問題を解消できる。
【0014】
装薬ホースは内径が15〜40mmのものが使用される。装薬ホースは、発破孔の径に合わせて適宜異なる外径のものを接続してもよいが、装薬中の詰まりを防ぐために装薬ホースの先端のみ外径を小さくするのが好ましい。
【0015】
本発明においては、装薬速度を変化させ、粒状に成型された油中水滴型エマルション爆薬(以下、単に粒状爆薬という場合もある)を発破孔壁に衝突させる衝撃力を調整することにより、粒状爆薬を変形させ充填密度、即ち装薬比重を所望の程度に変化させる。装薬速度の方法に特に制限はないが、本発明の好ましい実施態様である空気装填機を使用した場合、装填圧力を適度に調整すればよい。この場合、上記したように装薬ホース内で爆薬が閉塞するという問題をさけるために、好ましくは圧力容器からの圧縮空気とは別に、装薬ホースに圧縮空気を送る装置を備えた装置を使用する。
【0016】
本発明における装薬速度は、爆薬の1分当りの供給量を指し、通常約10〜40kg/分程度の範囲で変化させるのが好ましい。この範囲の爆薬供給速度に調整するには、例えば前記本発明における好ましい装填機を使用した場合、圧力容器内の圧力が0.1〜0.5MPa、好ましくは0.2〜0.4MPaに、また、圧力容器とは別に装薬ホース内に送られる圧縮空気が0.05〜0.7MPa、好ましくは0.2〜0.5MPaにそれぞれ設定される。
【0017】
本発明に使用される粒状爆薬は、油中水滴型エマルション爆薬であって、酸化剤、水、乳化剤、微小中空球体及び油類を含有する爆薬の油類の全部または一部を樹脂に置換したものを使用する。
【0018】
以下、本発明に使用する粒状爆薬につき説明する。
粒状爆薬の酸化剤はその水溶液として用いるのが好ましく、使用しうる酸化剤の具体例としては、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウムのようなアルカリ金属硝酸塩類、硝酸カルシウムのようなアルカリ土類金属硝酸塩類、塩素酸ナトリウムのようなアルカリ金属塩素酸塩類、塩素酸カルシウムのようなアルカリ土類金属塩素酸塩類、過塩素酸カリウムのようなアルカリ金属過塩素酸塩類、過塩素酸カルシウムのようなアルカリ土類金属過塩素酸塩類、過塩素酸アンモニウム等が挙げられ、これらは単独または混合して使用することができる。これらの酸化剤のうち特に好ましいものは硝酸アンモニウム及び硝酸ナトリウムである。
【0019】
粒状爆薬の酸化剤水溶液には、所望により硝酸モノメチルアミン、硝酸モノエチルアミン、硝酸ヒドラジン、二硝酸ジメチルアミン等の水溶性アミン硝酸塩類、硝酸メタノールアミン、硝酸エタノールアミン等の水溶性アルカノールアミン硝酸塩類及び水溶性の一硝酸エチレングリコール等を補助鋭感剤として添加することが可能である。
【0020】
粒状爆薬の酸化剤水溶液中における水の含有量は、酸化剤水溶液の結晶析出温度が30〜90℃になるような量だけ使用されることが好ましく、通常酸化剤水溶液に対して5〜40重量%、好ましくは7〜30重量%の範囲で使用される。
酸化剤水溶液中には結晶析出温度を下げるためにメチルアルコール、エチルアルコール、ホルムアマイド、エチレングリコール、グリセリン等の水溶性有機溶剤が補助溶媒として使用可能である。酸化剤水溶液は爆薬中に50〜95重量%の範囲で含有される。
【0021】
粒状爆薬の乳化剤としては、通常油中水滴型エマルション爆薬に使用される乳化剤、例えば、ステアリン酸アルカリ金属塩、ステアリン酸アンモニウム塩、ステアリン酸カルシウム塩、ポリオキシエチレンエーテル塩、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル類等が挙げられ、これらは1種または2種以上の混合物として使用される。乳化剤は爆薬中に0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の範囲で含有される。
【0022】
粒状爆薬に含有される油類の具体例としては、軽油、灯油、ミネラルオイル、潤滑油、重油等の石油系油類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス類、その他疎水性の植物油、植物性ワックス、動物油、動物性ワックス類が挙げられ、これらは単独または2種類以上混合して用いることができる。油類は爆薬中に0.1〜20重量%好ましくは1〜10重量%の範囲で含有される。
【0023】
本発明における粒状爆薬は、前記油類の一部または全部を油溶性または油類と相溶性を示す樹脂に置換して使用する。用いる樹脂の特性としては、油中水滴型エマルション爆薬を射出成型でき、油中水滴型エマルションの安定性を保つためにエマルション基材と反応しないような樹脂であれば良い。常温で液体または低融点の熱硬化性樹脂や常温では固体で加熱すると流動性を示す熱可塑性樹脂や合成ゴムなどが好ましく、具体例としてはフェノール樹脂、石油樹脂、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリブタジエン、スチレンブタジエンゴム等が挙げられる。また、爆薬の製造においては溶融させた樹脂を用いるため、JIS K7210に記された「熱可塑性プラスチックの流れ試験法」に基づき測定されたメルトフローレートが10g/10min.以上、好ましくは15g/10min.以上であるものを使用することが好ましい。これらの樹脂は、酸化剤、油類、乳化剤からなる混合物(油中水滴型エマルション基材)中に含まれる油類の一部として混合して用いることもできるし、油中水滴型エマルション爆薬に添加物として混合することもできる。
【0024】
粒状爆薬には、適切な量の微小中空球体を含有せしめることによって雷管起爆性からブースター起爆にいたる広範囲な感度性能が得られる。微小中空球体としては、例えば、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン等の無機質中空球体、発泡スチレン、樹脂バルーン等の有機質中空球体の1種または2種以上の混合物が使用される。微小中空球体の量は、当該爆薬の用途に応じ広い範囲で変化し、また微小中空球体の比重にもよるので一概には言えないが、通常、当該爆薬の比重を1.4g/cc以下、好ましくは1.3g/cc以下になるような量が使用される。
【0025】
粒状爆薬には、アルミニウム粉、マグネシウム粉等の金属粉末、木粉、澱粉等の有機粉末の添加も可能である。
粒状爆薬の形状については、特に限定されるものではなく、球状、円柱状、円盤状、角柱状等いずれでもよく、成型に使用する成型機によって任意の形に成型される。例えば、一般に良く使われる押出し成型機によって柱状に成型する方法や、造粒機等で球状化する方法等が挙げられる。成型物の大きさとしては、爆薬の成型体一粒当たりの平均重量が0.03〜5gとなる大きさに成型されることが望ましい。爆薬の大きさは、その形状により一概には言えないが、円柱状の場合直径3〜10mm程度、長さ5〜15mm程度が好ましい。
【0026】
粒状爆薬には、成型後に必要に応じて付着防止剤をその表面に付着させこともできる。付着防止剤には平均粒径が500μm以下、好ましくは平均粒径が300μm以下の粉体が使用される。使用しうる粉体の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属塩類、酸化ケイ素、アルミナ等の金属酸化物類、タルク、カオリン、ベントナイト等の鉱物類、脂肪酸アミド、樹脂中空球体等の有機粉体、ガラス粉体等が挙げられる。使用される付着防止剤の量は、添加量が少なすぎると防止効果が十分でなく、多すぎると爆薬性能を低下させる恐れがある。用いる粉体の比重により変化するため一概には言えないが、粒状爆薬に対して、外割で通常0.03〜5重量%、程度付着させる。
【0027】
粒状爆薬は、例えば次のようにして製造される。前記の酸化剤及び、必要により、前記の補助鋭感剤を約85〜95℃で水に溶解させ酸化剤水溶液を得る。次いで約85〜95℃に加熱された油類と乳化剤の混合物に、十分撹拌しながら前述の酸化剤水溶液を徐々に添加する。できあがった油中水滴型エマルションに微小中空球体、必要に応じて他の添加剤、油溶性または油類との相溶性を示す樹脂を加えて、捏和機で混合し、油中水滴型エマルション爆薬を得る。この油中水滴型エマルション爆薬を押し出し成型機等で成型した後、必要に応じて付着防止剤として粉体を混合し粒状爆薬を得る。油溶性または油類との相溶性を示す樹脂は、油類を混合する工程や、微小中空球体で混合することができる。得られた粒状爆薬は、粒状を呈しているので、爆薬装填機を用いて容易に発破孔に装填することができる。また耐水性が高く、かつ比重が1よりも大きいので、縦穴の水孔に装填された場合でも、乾燥孔と同様に支障なく使用することができる。
【0028】
本発明では、粒状爆薬は、貯蔵時や輸送中など爆薬に自重が掛かる場合や爆薬装填機等の装薬タンク内でも静圧下では塊化しにくい特性を持ち、動圧下では容易に変形する可塑性を有しているものを使用する。例えば、爆薬上部10cmの位置から10gの重りを落下させた程度で容易に変形するものが好ましい。このように可塑性を有しているため、同じ粒状形態を呈しているANFO爆薬とは異なり、発破孔内で容易に装填比重を変化させることが可能である。
【0029】
本発明で使用する粒状爆薬は、粒状に成型され上記特性を有するものであるが、装填比重が小さい、例えば0.5〜0.75g/ccの場合は爆轟速度が2500〜3500m/s、装填比重が大きい、例えば0.75〜0.95g/ccの場合は爆轟速度が3500〜4500m/sと変化するものを使用するのが好ましい。
【0030】
本発明の装填方法においては、爆薬装填比重が0.6〜1.10g/ccの範囲で調整可能である。なお、発破現場で所望する爆薬装填比重で装填するには、予め発破孔と同じサイズの鋼管に速度を変えて装薬し、装薬速度に対する装填比重をキャリブレーションしておけばよい。
【実施例】
【0031】
本発明を実施例を挙げて更に詳しく説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
実施例1
硝酸アンモニウム74.3重量部、硝酸ナトリウム4.8重量部、水10.5重量部からなる90℃の酸化剤水溶液を、マイクロクリスタリンワックス1.9重量部、エチレン酢酸ビニルコポリマー0.8重量部、ソルビタンモノオレエート2.9重量部の混合物に加え、十分撹拌混合して油中水滴型エマルションを得た。これに微小中空粒子としてガラスマイクロバルーン3.8重量部を加えて撹拌混合し、油中水滴型エマルション爆薬を得た。この油中水滴型エマルション爆薬をダイスが5mm径の押出し成型機で成型し、8mmの長さになるようにナイフで切断した後、タルク1.0重量部を加えて混合し、粒状爆薬を得た。この粒状爆薬を、圧力容器と装薬ホース(内径32mm、長さ30m)を備えたANFO装填機(KY−1;(株)カヤテック製)に圧力容器とは別に圧縮空気を送るための空気圧送装置を取り付けた装填機を使用して圧力容器内の圧力を0.5MPa、圧力容器とは別に送る圧縮空気の圧力を0.3MPaに設定し、内径48mm、長さ1m、肉厚5mmの鋼管中に装薬し、その装薬状況の確認及びドートリッシュ法にて爆轟速度の測定を実施した。
【0033】
実施例2
実施例1と同じ粒状爆薬を使用して、実施例1と同様な空気装填機(圧力容器内の圧力を0.3MPa、圧力容器とは別に送る圧縮空気の圧力を0.3MPa、装薬ホースの内径25mm、長さ30m)を用いて、内径48mm、長さ1m、肉厚5mmの鋼管中に装薬し、その装薬状況の確認及びドートリッシュ法にて爆轟速度の測定を実施した。
【0034】
実施例3
実施例1と同じ粒状爆薬を使用して、実施例1と同様な空気装填機(圧力容器内の圧力を0.2MPa、圧力容器とは別に送る圧縮空気の圧力を0.2MPa、装薬ホースの内径25mm、長さ30m)を用いて、内径48mm、長さ1m、肉厚5mmの鋼管中に装薬し、その装薬状況の確認及びドートリッシュ法にて爆轟速度の測定を実施した。
【0035】
実施例4
実施例1と同じ粒状爆薬を実施例1同様の空気装填機の圧力容器に入れ、容器内に0.7MPaの荷重を掛けた後、圧力容器内の圧力を0.3MPa、圧力容器とは別に送る圧縮空気の圧力を0.3MPaに設定し、内径32mm、長さ30mの装薬ホースを用いて、通常の装薬ができるか確認した。
【0036】
表1に実施例1〜4の装填比重、装薬速度、爆轟速度について示す。
【0037】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化剤、水、乳化剤、微小中空球体及び油類(ただし、全部または一部が樹脂に置換されている)を含有し、粒状に成型された油中水滴型エマルション爆薬を、爆薬装填機を用いて発破孔内に装填する際に、爆薬の装薬速度を調整することで発破孔内の爆薬装填比重を変化させることを特徴とする爆薬装填方法。
【請求項2】
爆薬装填機が、圧力容器、装薬ホース、空気圧送装置及び圧力容器からの圧縮空気とは別に、装薬ホースに圧縮空気を送るための装置から構成されている空気装填機であって、圧力容器内の圧力を0.1〜0.5MPaに、また、圧力容器とは別に装薬ホース内に送られる圧縮空気を0.05〜0.7MPaにそれぞれ調整し、爆薬を装填する請求項1記載の装填方法。
【請求項3】
爆薬の成型体一粒当たりの平均重量が0.03〜5.0gである請求項1または2記載の装填方法。

【公開番号】特開2008−111656(P2008−111656A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298897(P2007−298897)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【分割の表示】特願2003−142664(P2003−142664)の分割
【原出願日】平成15年5月20日(2003.5.20)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)