爪矯正具および爪矯正治療セット
【課題】変形爪への取り付け取り外しが容易で、しかも、爪から外れにくく、適正かつ均一な矯正力が得られ、患者の痛みも軽減できる爪矯正具および爪矯正治療セットを提供。
【解決手段】弾性を有する材料によって筒状に形成された筒体11と、筒体11の一端から他端にかけて筒体11の長手方向に沿って形成され、爪1の先端縁に差し込まれて爪1を挟持するスリット21とを備える。筒体11には、スリット21から筒体11の周方向に沿って形成された分割溝12によって筒体の長手方向に複数に分割され、スリットを挟んで爪の先端縁を挟持する複数対の挟持歯片13と、スリットの反対側において隣接する挟持歯片13を連結する連結片14とが形成されている。
【解決手段】弾性を有する材料によって筒状に形成された筒体11と、筒体11の一端から他端にかけて筒体11の長手方向に沿って形成され、爪1の先端縁に差し込まれて爪1を挟持するスリット21とを備える。筒体11には、スリット21から筒体11の周方向に沿って形成された分割溝12によって筒体の長手方向に複数に分割され、スリットを挟んで爪の先端縁を挟持する複数対の挟持歯片13と、スリットの反対側において隣接する挟持歯片13を連結する連結片14とが形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陥入爪や巻き爪などの変形爪を矯正するための爪矯正具および爪矯正治療セットに関する。
【背景技術】
【0002】
陥入爪は、爪の側縁が内側に巻き込むように屈曲して軟質組織(足指の肉など)を圧迫、あるいは、軟質組織に刺さって炎症を起こす要因であって、苦痛を与えるほか、肉芽を発生させたり、化膿させるなどの症状を引き起こすことがある。ちなみに、巻き爪とは、爪の側縁が内側に巻き込んでいる状態を呼ぶが、陥入爪の人は巻き爪になっていることが多い。
【0003】
従来、このような巻き爪や陥入爪などの変形爪を矯正するための矯正具が提案されている。
たとえば、形状記憶合金や形状記憶樹脂を用いて形成した板状体またはテープ状体に、予め正常な爪の形状を所定温度で記憶させておき、その板状体またはテープ状体を接着剤で変形爪に貼り付けるようにした矯正具が提案されている(特許文献1、特許文献2および特許文献3参照)。
【0004】
しかしながら、上述した矯正具では、板状体などを爪に貼り付ける際、強力な接着剤を必要とし、接着剤の乾燥にも時間がかかり、その間ピンセットなどで押さえていなければならないなど、取り扱いが極めて面倒である。また、接着剤が爪以外の皮膚などに付着すると、皮膚が炎症を起こし、剥がれるなど外傷を起こしやすい。
【0005】
そこで、本出願人は、先に、これらの課題を解決した陥入爪矯正具を提案した(特許文献4参照)。これは、弾性を有する材料によって形成された板状体と、この板状体に間隔を隔てて設けられ爪の先端縁を挟持する複数の挟持部とで構成されている。挟持部には、上挟持片と下挟持片とが設けられている。
陥入爪矯正具の使用に際しては、矯正具の挟持部を爪の先端縁に差し込み、挟持部の上挟持片および下挟持片で爪の先端縁を挟持させる。これにより、爪の両側縁に対して、常時上方への引き上げ力が作用するため、変形爪に対する矯正効果が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−215227号公報
【特許文献2】特開平9−253110号公報
【特許文献3】特開平9−253111号公報
【特許文献4】特開2007−185203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本出願人が先に提案した陥入爪矯正具も、更に、次のような課題が考えられる。
(i)この矯正具は板状体であり、爪の先端縁に対して挟持部で挟み込んでいるだけであるので、爪を挟み込む力が弱く矯正具が外れやすい。
(ii)矯正具が外れやすいので、テーピングで押さえたり、接着剤で固定しなければならず、作業が煩わしい上、特に、炎症を起こしている患者に適用するのは危険である。
(iii)爪が伸びていないときに、挟持部を爪と指との間に差し込んだ状態において、矯正具が物に当たると、挟持部の下挟持片が爪と指との間に更に食い込むため、患者は強い痛みを感じる虞がある。
【0008】
本発明の目的は、これらの課題を解決し、爪があまり伸びていない状況でも、変形爪への取り付け、取り外しが容易で、しかも、爪から外れにくく、適正かつ均一な矯正力が得られ、装着すると患者の痛みも軽減できる爪矯正具および爪矯正治療セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の爪矯正具は、弾性を有する材料によって筒状に形成された筒体と、前記筒体の一端から他端にかけて前記筒体の長手方向に沿って形成され、爪の先端縁に差し込まれて前記爪を挟持するスリットと、を備えたことを特徴とする。
ここで、筒体の断面形状は、必ずしも、円形状に限らず円を潰した扁平円形状や、多角形状であってもよい。また、筒体を形成する材料としては、弾性を有する材料であれば、どのようなものでもよい。例えば、超弾性特性や、形状記憶特性を有する弾性体でもよく、また、ステンレス、チタン合金、銅合金、鉄系などの弾性材料のほか、プラスチックスなどの弾性材料でもよい。
【0010】
このような構成によれば、爪の先端縁に、筒体の一端から他端にかけて長手方向に沿って形成されたスリットを差し込むと、スリットが爪の先端縁を挟持するので、爪への取り付けが容易で、さらに、取り外しも爪からスリットを引き抜くだけでよいから、取り外しも簡単にできる。しかも、筒体は弾性を有する材料で形成されているため、爪の形状や厚みに関係なく、どの指の爪にも適用できる。
また、筒体の長手方向に沿って形成したスリットによって爪の先端縁を挟持するため、爪矯正具が爪から外れにくく、さらに、スリットの全長に渡って爪への矯正力が均一に働くため、変形爪全体に適正かつ均一な矯正力が得られる。従って、変形爪の矯正に効果が期待できる。
更に、爪矯正具を変形爪に取り付けた状態において、爪矯正具が物にあたっても、爪矯正具が筒形状であるから、爪と指との間に更に食い込むのが防止される。従って、患者に与える痛みを軽減できる。
なお、ここでいう変形爪とは、巻き爪や陥入爪、あるいは、これらになる虞のある変形しかかった爪を意味する。
【0011】
本発明の爪矯正具において、前記筒体には、前記スリットから前記筒体の周方向に沿って形成された分割溝によって前記筒体の長手方向に複数に分割され、前記スリットを挟んで前記爪の先端縁を挟持する複数対の挟持歯片と、前記スリットの反対側において隣接する前記挟持歯片を連結する連結片とが形成されている、ことが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、筒体には、スリットから筒体の周方向に沿って形成された分割溝によって筒体の長手方向に複数に分割され、スリットを挟んで爪の先端縁表裏面側を挟持する複数対の挟持歯片が形成されているから、爪の先端縁に、筒体に形成されたスリットを差し込むと、爪の湾曲度合いに応じて、挟持歯片の間隔が変化される。つまり、爪の表側に位置する挟持歯片の間隔は長手方向に拡大され、逆に、爪の裏側(内側)に位置する挟持歯片の間隔は長手方向に縮小される。従って、爪の湾曲面に沿って爪矯正具を変形しやすく爪に適合させて、爪幅全体に均一な矯正力を付与することができるため、外れにくく、適切な力で均一な矯正を持続的に行うことができる。
【0013】
本発明の爪矯正具において、前記各対の挟持歯片は、外側輪郭線に沿って略一定幅で形成された帯状枠部と、この帯状枠部の内部に形成された空間部とを有する、ことが好ましい。
このような構成によれば、挟持歯片が、外側輪郭線に沿って形成された帯状枠部の内部に空間部が形成されているから、この空間部によって帯状枠部を容易に変形させることができる。そのため、爪の表側に位置する挟持歯片の幅を長手方向に更に拡大でき、逆に、爪の裏側(内側)に位置する挟持歯片の幅を長手方向に更に縮小できるため、大きく湾曲した変形爪の矯正にも適用できる。更に、連結片で挟まれた空間部を筒体の長手方向に拡大または縮小すれば、分割溝もそれに伴って変形し、筒体のスリットが幅方向に湾曲するので、爪の湾曲形状に合わせて爪矯正具を変形させて適合させることができる。
【0014】
本発明の爪矯正具において、前記挟持歯片の先端は、円弧形状に形成されている、ことが好ましい。
ここで、円弧形状とは、矩形形状の角部をアール状に加工した形状を含む意味である。
このような構成によれば、爪に接触する部分が円弧形状であるから、爪に引っ掛かることが少ない。特に、挟持歯片の先端が円弧状に形成されているから、スライド操作により、爪への取り付け、取り外しも、爪に引っ掛かることなくスムーズに行うことができるとともに、エッジで爪を傷つけることも少ない。
【0015】
本発明の爪矯正具において、前記爪矯正具は、超弾性効果または形状記憶効果を有する材料によって形成されている、ことが好ましい。
超弾性効果を有する材料によって形成すれば、弾性限が広くプラトー領域を有することから、大きく変形しても応力はあまり増加せず、爪に大きな負担を与えることがない。従って、大きく変形した変形爪の矯正に対応でき、患者の爪矯正の痛みを軽減させることができる。
形状記憶効果を有する材料によって形成すれば、例えば、体温より僅かに高い温度(例えば、38℃以上の温度)のAf点(形状回復温度)を有する形状記憶効果を有する材料によって形成すれば、普段の矯正力は弱いが、入浴時など爪が柔らかくなったときに、弾性係数が3倍程度高くなり、大きな矯正力が働くため、強弱をつけた矯正が可能となる。例えば、変形爪の痛みを強く感じ普段の生活に支障が生じたとき、緊急にドライヤやお湯で足や爪を温め、矯正具をAf点以上に加熱すると、矯正力がアップし、爪への食い込みを解放し、足の痛みを緩和することができる。
【0016】
本発明の爪矯正具において、前記爪矯正具には、薬剤がコーティングまたは含浸されている、ことが好ましい。
ここで、薬剤としては、白癬菌治療薬剤や、細菌を殺したり活性を弱めることで細菌による感染症の治療に用いられる抗菌剤など、例えば、塩酸クロコナゾール、塩酸ブテナフィン、シッカニン、トルナフタートなどが挙げられる。
このような構成によれば、爪矯正具には、薬剤がコーティングまたは含浸されているから、これらの薬剤が足の軟質組織(足指の肉など)に接触し、白癬菌等の発生を予防したり、治療することができる。
【0017】
本発明の爪矯正具において、前記筒体の内部には、薬液を収容するとともに、その収容した薬液を徐々に排出可能な薬液カプセルが収納されている、ことが好ましい。
このような構成によれば、薬液カプセルを筒体の内部に収納するだけで、上記治療効果が期待できるから、簡単に製作できる。
【0018】
本発明の爪矯正具治療セットは、前記爪矯正具と、この爪矯正具を爪に固定する接着剤とを備えたことを特徴とする。
筒体に形成されるスリットの隙間が小さいと、爪矯正具を爪に装着しずらく、逆に、スリットの隙間が大きいと、爪矯正具が爪から外れやすい。従って、このような相反する課題を同時に解消できる爪矯正具が望ましい。しかし、爪の厚さは人によって、また、装着しようとする指の爪によっても異なる。親指は爪の厚さも厚いが、人差し指、中指、薬指、小指などは爪の厚さも薄い。
本発明の構成によれば、爪矯正具を爪に固定する接着剤を備えているから、爪矯正具を爪の先端に装着したのち、その上から接着剤を塗布して、爪矯正具を爪に固定することができるから、爪矯正具を爪に装着しやすくしても、爪矯正具が爪から外れにくくできる。
ちなみに、接着剤としては、トップコート(水性アクリル塗料)やジェルネール(ゲル状の樹脂を紫外線によって硬化させるもの)などを用いることができる。
【0019】
本発明の爪矯正治療セットにおいて、前記接着剤には、薬剤が含浸されている、ことが好ましい。
このような構成によれば、接着剤に含まれる白癬菌治療薬剤や抗菌剤などの薬剤が足の軟質組織(足指の肉など)に接触し、白癬菌等の発生を予防したり、治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態の爪矯正具を爪に取り付けた状態の斜視図。
【図2】前記第1実施形態の爪矯正具を示す斜視図。
【図3】前記第1実施形態の爪矯正具を示す側面図。
【図4】前記第1実施形態の爪矯正具を展開した状態を示す展開図。
【図5】前記第1実施形態の爪矯正具の製造装置(レーザ加工機)を示す図。
【図6】前記第1実施形態の爪矯正具の他の製造工程(エッチング)を示す図。
【図7】前記第1実施形態の爪矯正具の製造工程のうち露光工程を示す図。
【図8】本発明の第2実施形態の爪矯正具を爪に取り付けた状態の斜視図。
【図9】前記第2実施形態の爪矯正具を示す斜視図。
【図10】前記第2実施形態の爪矯正具の断面を示す断面図。
【図11】前記第2実施形態の爪矯正具の変形例を示す斜視図。
【図12】本発明の第3実施形態の爪矯正具を爪に取り付けた状態の斜視図。
【図13】前記第3実施形態の爪矯正具を示す斜視図。
【図14】本発明の第4実施形態の爪矯正具を爪に取り付けた状態の斜視図。
【図15】前記第4実施形態の爪矯正具を示す斜視図。
【図16】前記第1実施形態の爪矯正具においてスリットの隙間寸法を変えた変形例1を示す図。
【図17】前記第1実施形態の爪矯正具においてスリットの隙間寸法を変えた変形例2を示す図。
【図18】前記第1実施形態の爪矯正具において異なる形状パターンを示す展開図。
【図19】前記第1実施形態の爪矯正具において他の異なる形状パターンを示す展開図。
【図20】前記各実施形態の爪矯正具において筒体の断面形状を楕円形状にした変形例を示す図。
【図21】図20の爪矯正具を製造する金型を示す図。
【図22】前記第1実施形態の爪矯正具において樹脂をコーティングした変形例を示す図。
【図23】前記各実施形態の爪矯正具において筒体の内部に薬液カプセルを収納した変形例を示す図。
【図24】前記第1実施形態の爪矯正具において接着剤で固定した状態を示す図。
【図25】第1実施例の爪矯正具の3点曲げテストでの力の変化を示す図。
【図26】第1実施例の爪矯正具のトップコート有無による抜去力を示す図。
【図27】第1実施形態の爪矯正具の円形曲げテストを示す図。
【図28】同上テスト結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態(図1〜図7参照)>
第1実施形態の爪矯正具10Aは、図1〜図3に示すように、巻き爪や陥入爪など矯正する爪1に装着して爪1を矯正するものであって、円筒状に形成された筒体11と、この筒体11の一端から他端にかけて筒体11の長手方向に沿って形成され、矯正する爪1の先端縁に差し込まれて爪1を挟持するスリット21とを備え、全体が弾性を有する超弾性材料で断面C形状に形成されている。
【0022】
筒体11の長手方向寸法Lは、矯正する爪1の幅に応じて決定され、例えば、約5mm〜20mm程度に形成されている。また、筒体11の外径寸法Dは、矯正する爪1の湾曲度合いに応じて決定され、例えば、約1.2mm〜4.0mm程度に決定されている。また、筒体11の肉厚寸法Tは、爪矯正具10Aに用いる材質との関係で決定され、例えば、約0.02〜0.5mm程度に決定されている。
【0023】
筒体11の外周面には、詳細を図4の展開図に示すように、スリット21から筒体11の周方向に沿って形成された分割溝12によって筒体11の長手方向に複数に分割され、スリット21を挟んで対向し爪1の先端縁を挟持する複数対(5対)の挟持歯片13と、スリット21の反対側においてスリット21と略平行に延びて隣接する挟持歯片13を連結する連結片14とが形成されている。
各対の挟持歯片13は、外側輪郭線に沿って略一定幅で形成された帯状枠部15と、この帯状枠部15の内部に形成された空間部16とを有する。帯状枠部15は、スリット21を挟んで対向する挟持歯片13の先端が円弧形状に形成され、その円弧形状の両端から連結片14に向かうに従って互いに接近する内側に窪んだのち、互いに離れる方向へ延びて連結片14に一体的に連結される形状に形成されている。従って、帯状枠部15内に形成される空間部16は、連結片14が位置する中央部の間隔W1(筒体11の長手方向寸法)が最も広く、挟持歯片13の中間部の間隔W2が最も狭く、挟持歯片13の先端部の間隔W3がW1とW2との間の幅に形成されている。
【0024】
スリット21は、筒体11の一方の端縁から長手方向に沿って他方の端縁間を切断することで形成される切断面であり、この切断面の一方の面である上挟持部22と、切断面の他方の面である下挟持部23とで構成される。スリット21の隙間寸法S(上挟持部22と下挟持部23との間隔)は、矯正する爪1の厚みや湾曲度合いに応じて決定され、例えば、0.3mm〜2.5mm程度、最も多くは0.5mm〜1.6mm程度に決定されている。
【0025】
(爪矯正具の製造方法)
爪矯正具10Aの製造にあたっては、ステントなどと同様に、レーザ加工機により網目状に加工する他に、エッチングなどにより加工することも可能である。そこで、これらの加工方法を説明する。
レーザ加工機を図5に示す。レーザ加工機は、ベース71と、このベース71に支持ブロック72を介して載置され爪矯正具の筒体素材11A(超弾性材料や形状記憶合金などで円筒状に形成したパイプにスリットを形成した筒体素材)を案内するガイドチューブ73Aを有し、ガイドチューブ73A内の筒体素材11Aを回転させながら軸方向へ送り出す旋回送り機構73と、ベース71の上に支持脚74を介して載置されたレーザ発光装置75と、このレーザ発光装置75からのレーザ光を真下へ向けて光路変更し筒体素材11Aに照射するレーザ加工部76と、このレーザ加工部76によって加工された爪矯正具を回収する回収ケース77とから構成されている。
加工にあたっては、筒体素材11Aを旋回送り機構73のガイドチューブ73A内に挿入する。すると、ガイドチューブ73A内に挿入された筒体素材11Aは、旋回送り機構73によって回転されながら軸方向へ送り出されるとともに、レーザ加工部76からのレーザ光によって網目状に加工されたのち、回収ケース77内に回収される。
なお、実際の加工では、筒体素材11A内に水が供給されるようになっている。これは、レーザ加工部76からのレーザ光が筒体素材11Aの上側を加工したのち、筒体素材11A内の水によって拡散され、筒体素材11Aの下側を加工するのを防止するためである。
【0026】
また、エッチング加工工程の例を図6で説明する
(a)表面処理工程
予め、超弾性材料や形状記憶合金などで円筒状に形成したパイプにスリットを形成した筒体素材を用意しておき、この筒体素材に脱脂、水洗、中和、水洗を施す。
(b)レジスト塗布工程
表面処理工程を行った筒体素材の表面にレジスト(感光液)を塗布する。
(c)露光処理工程
例えば、図7に示すように、ガラス基板に挟持歯片、連結片の形状部分を除く部分を遮光したフィルムを密着させたフィルム密着原版51を、筒体素材11Aに接触した状態に保ち、この上にスリット露光治具52を載せる。この状態において、スリット露光治具52の露光窓52Aから光(紫外線)を照射するとともに、筒体素材11Aを回転させる。すると、筒体素材11Aの回転に伴ってフィルム密着原版51もスライドされるから、筒体素材11Aの外周面に塗布されたレジストのうち、挟持歯片、連結片の形状部分が露光される。
【0027】
(d)現像処理工程
露光処理工程を行った筒体素材11Aを現像液に所定時間沈積して、不要なレジストを除去したのち、水洗する。
(e)パイプ内コート工程
筒体素材の内面にレジスト(感光液)を塗布する。
(f)エッチング工程
上記工程を行った筒体素材をエッチング液中に所定時間沈積し、筒体素材に分割溝、挟持歯片、連結片を形成する。
【0028】
(g)剥離工程
不要となったレジストを剥離する。
(h)乾燥工程
乾燥機にて所定温度、所定時間乾燥させる。
(i)コーティング材塗布工程
最後に、コーティング材としてトップコート(例えば、水性アクリル塗料またはラッカー塗料)を塗布する。これにより、爪矯正具10Aが製造される。
【0029】
(爪矯正具の取付)
爪矯正具10Aを取り付ける際は、スリット21を拡開しながら、矯正しようとする爪1の先端縁に差し込む(図1参照)。すると、スリット21を構成する上挟持部22と下挟持部23とが爪1を挟んだ状態で、爪矯正具10Aが爪1に取り付けられる。従って、爪1への装着を容易に行える。
爪矯正具10Aが爪1に取り付けられると、筒体11には、スリット21から筒体11の周方向に沿って形成された分割溝12によって筒体11の長手方向に複数に分割され、スリット21を挟んで爪1の先端縁を挟持する複数対の挟持歯片13が形成されているから、爪1の表側に位置する挟持歯片13の間隔は長手方向に拡大され、逆に、爪1の裏側(内側)に位置する挟持歯片13の間隔は長手方向に縮小される。
従って、爪1の湾曲面に沿って爪矯正具10Aを適合させて、爪幅全体で矯正力を付与することができるため、適切な力で矯正を持続的に行うことができる。
【0030】
しかも、各対の挟持歯片13が、外側輪郭線に沿って形成された帯状枠部15の内部に空間部16が形成されているから、この空間部16によって帯状枠部15を容易に変形させることができる。そのため、爪1の表側に位置する挟持歯片13の幅を長手方向に更に拡大でき、逆に、爪1の裏側(内側)に位置する挟持歯片13の幅を長手方向に更に縮小できるため、大きく湾曲した爪1の矯正にも適用できる。
更に、連結片14で挟まれた空間部16を拡大または縮小すれば、分割溝12もそれに伴って変形し、筒体11のスリット21も幅方向に湾曲するので、爪1の先端形状に沿わせて爪矯正具10Aを湾曲させて適合させることができる。
【0031】
また、挟持歯片13の先端は、円弧形状に形成されているから、爪1に引っ掛かることが少なく、爪1への取り付け、取り外しもスムーズに行うことができるとともに、爪1を傷つけることも少なくできる。
【0032】
<第2実施形態(図8〜図11参照)>
第2実施形態の爪矯正具10Bは、図8〜図10に示すように、円筒状に形成された筒体11と、筒体11の一端から他端にかけて筒体11の長手方向に沿って形成され、爪1の先端縁に差し込まれて爪1を挟持するスリット21とを備え、全体が弾性を有する超弾性材料で断面C形状に形成されている。つまり、第1実施形態の爪矯正具10Aに対して、筒体11には分割溝12、複数対(5対)の挟持歯片13、連結片14などが形成されていない点で異なる。
第2実施形態によれば、第1実施形態の爪矯正具10Aに比べ、爪1を矯正する力が強く、しかも、筒体11に分割溝12、挟持歯片13、連結片14などを形成しなくてもよいので、製造が比較的簡単に、かつ、安価にできる利点がある。
【0033】
なお、図11に示すように、爪1の形状や巻き込み度合いに応じて、筒体11の長手方向に沿って、スリット21の間隔方向に湾曲させて使用してもよい。このようにすれば、筒体11が湾曲されているので、爪1に対して矯正する力を変化させることができる。例えば、爪1の湾曲率に近い曲率に湾曲させれば、矯正力を軽減することができる。
【0034】
<第3実施形態(図12および図13参照)>
第3実施形態の爪矯正具10Cは、図12に示すように、第2実施形態の爪矯正具10Bに対して、筒体11のスリット21と対向する位置に、筒体11の長手方向に沿って爪1の先端縁を突出させるための切欠溝17が形成されている点が異なる。
切欠溝17は、図13に示すように、筒体11の長手方向に沿って、爪1の先端縁を差し込むことができる程度の寸法に形成されている。これにより、爪1の先端縁を、爪矯正具10Cの切欠溝17に差し込むことができるので、爪矯正具10Cの上挟持部22および下挟持部23が、爪1の先端縁から基端側方向の深い位置を挟持することができる。
【0035】
第3実施形態によれば、爪矯正具10Cの筒体11に、爪1の先端縁を差し込む切欠溝17を設けたので、この切欠溝17に爪1の先端縁を差し込むと、スリット21が爪1の先端縁から基端側方向の深い位置を挟持できるので、爪矯正具10Cが爪1から外れにくい。
このことは、筒体11の両端縁が、例えば衣類等に引っ掛かることを防止できる。また、切欠溝17を設けたため、爪矯正具10Cを取り付けるのに、爪1をスクウェアカットする必要が無く、延ばした爪でも容易に取り付けることができる。
【0036】
<第4実施形態(図14および図15参照)>
第4実施形態の爪矯正具10Dは、図14に示すように、第2実施形態の爪矯正具10Bに対して、筒体11の両端面切断形状が異なる。つまり、筒体11の両端面が略楕円状の切断面18に形成されている。
略楕円状の切断面18は、図15に示すように、外方を向いた位置になるように、爪1に装着される。すなわち、筒体11を平面視すると略台形状に両端部が切り欠かれており、スリット21が形成された側の長手方向が長辺で、これと対向する側の長手方向が短辺となっている。
【0037】
第4実施形態によれば、筒体11の両端部が切り欠かれているので、爪矯正具10Dが爪1に取り付けられた状態において、筒体11の両端縁が、例えば衣類等に引っ掛かることを防止できる。
【0038】
<変形例(図16〜図24参照)>
なお、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。従って、上記に開示した形状、数量などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、数量などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載も、本発明に含まれる。
【0039】
前記各実施形態では、超弾性材料を用いて爪矯正具10A〜10Dを構成したが、これに限らず、弾性を有する材料であれば、他の材料であってもよい。例えば、樹脂などでもよく、また、形状記憶効果を有する材料やステンレスなどでもよい。
形状記憶効果を有する材料によって形成すれば、例えば、体温より僅かに高い温度(例えば、38℃以上の温度)のAf点(形状回復温度)を有する形状記憶効果を有する材料によって形成すれば、普段の矯正力は弱いが、入浴時など爪が柔らかくなったときに、弾性係数が3倍程度高くなり、大きな矯正力が働くため、強弱をつけた矯正が可能となる。また、変形爪の痛みを強く感じ普段の生活に困難が生じたとき、緊急にドライヤやお湯で足や爪を温め、矯正具をAf点以上に加熱すると、矯正力がアップし、爪への食い込みを解放し、足の痛みを緩和することができる。
【0040】
また、その時は材料の相変態により矯正力も大きくなる。たとえば、少し熱めの風呂に入ったりすると、爪が柔らかくなる一方、爪矯正具は形状が回復して矯正が働き、更に矯正力が大きくなるから、爪に負担を掛けることが少ない状態でより高い矯正効果が期待できる。
【0041】
前記各実施形態では、スリット21の隙間寸法Sが筒体11の長手方向において均一であったが、筒体11の長手方向において異なる隙間寸法に形成してもよい。
具体的には、スリット21の隙間寸法Sを、筒体11の中央部よりも筒体11の両端部が広くなるように形成すれば、爪矯正具10A〜10Dを爪1に挿入しやすい。逆に、スリット21の隙間寸法Sを、筒体11の中央部よりも筒体11の両端部が狭くなるように形成すれば、爪矯正力が大きく、爪1から爪矯正具10A〜10Dが外れにくい利点がある。従って、矯正する爪1の変形度合いなどに応じて、スリット21の隙間寸法Sを変更すれば、矯正する爪1に適した使用が可能となる。
【0042】
例えば、第1実施形態の場合、図16に示すように、筒体11の中央部の挟持歯片13の隙間寸法S1よりも、筒体11の両端部側の挟持歯片13の隙間寸法S2,S3が次第に広くなるように形成すれば、爪矯正具10A〜10Dを爪1に挿入しやすい。逆に、図17に示すように、筒体11の中央部の挟持歯片13の隙間寸法S11よりも筒体11の両端部側の挟持歯片13の隙間寸法S12,S13が狭くなるように形成すれば、爪矯正力が大きく、爪1から爪矯正具10A〜10Dが外れにくい。
【0043】
また、筒体11の外周面に形成する分割溝12、挟持歯片13および連結片14の形状についても、上記実施形態に限らず、他の形状であってもよい。
例えば、図18の展開図(図4に対応する図)に示すように、連結片14をS字状に形成したもの、あるいは、図19図の展開図(図4に対応する図)に示すように、連結片14をU字状または逆U字状に形成したものであってもよい。このようにすれば、軸方向の曲げ量を大きくできる。
なお、これらの図18、19に示す爪矯正具の空間部16の形状については、対向する挟持歯片13内に形成される間隔が最も広く、これらを連結する部分が平行な幅に形成されている。
【0044】
更に、挟持歯片13についても、筒体11の長手方向において同一形状であったが、例えば、筒体の両端側に形成される挟持歯片13の幅寸法が中央部分に形成される挟持歯片13の幅寸法より狭い形状であってもよい。
【0045】
前記第1実施形態では、レーザ加工やエッチング加工により、筒体11の外周面に分割溝12、挟持歯片13および連結片14を形成したが、これに限られない。例えば、平板状材料に、レーザ加工やプレス加工などで分割溝12や空間部16を切断加工して、残る挟持歯片13や連結片14を形成し、これを筒状に成形して筒体11を形成してもよく、あるいは、プラスチックの成形加工などもよい。
また、レーザ加工、エッチング加工、プレス加工、プラスチック成形加工などで、筒体11の外周面に分割溝12、挟持歯片13および連結片14を形成したのち、これらの表面を研磨したり、メッキを施すようにしてもよい。更に、その上に色や模様を施して装飾効果を高めるようにしてもよい。
【0046】
前記第1実施形態では、筒体11に形成した各対の挟持歯片13を、外側輪郭線に沿って略一定幅で形成された帯状枠部15と、この帯状枠部15の内部に形成された空間部16とを有する形状としたが、これに限られない。例えば、空間部16がなくてもよい。
また、挟持歯片13の先端を半円状の円弧形状としたが、直線形状、つまり、挟持歯片13を矩形形状としてもよく、その際、矩形形状の角部をアール加工してもよい。
【0047】
前記第1実施形態では、筒体11の断面形状を円形としたが、これに限らず、扁平円形状でもよく、多角形形状でもよい。
例えば、扁平円形状の場合、図20に示すように、爪1に装着されたとき、爪1の厚み方向の寸法が潰れるように、扁平円形状にすることが好ましい。このようにすると、爪上面から爪矯正具の上面までの段差が小さくなるから、引っ掛かりが少なく、靴下なども穿きやすく、脱ぎやすい。
これには、図21に示すように、爪矯正具のスリット21にスペーサ31を挟み、これを下型32と上型33との間に形成された空間34に収納したのち、下型32と上型33とボルトナットなどの締付具35で締め付ける。これにより、爪矯正具を扁平円筒形状に成形することができる。
【0048】
前記第1実施形態では、筒体11に5対の挟持歯片13を形成したが、挟持歯片13の数は、これに限られない。例えば、2対、3対、4対、6対以上であってもよい。
前記第1実施形態において、図22に示すように、筒体11の全体、つまり、挟持歯片13や連結片14を樹脂61、例えば、ポリウレタン、シリコン、塩化ビニールなどの樹脂や紫外線硬化樹脂などでコーティングしてもよい。このようにすれば、筒体11を爪1に沿って曲げたときでも、挟持歯片13が爪1に引っ掛かるのを防げる効果が期待できる。更に、親水性樹脂や撥水性樹脂でコーティングするようにしてもよい。
【0049】
また、樹脂61に代えて、薬剤を含浸またはコーティングさせてもよい。薬剤としては、白癬菌治療薬剤や、細菌を殺したり活性を弱めることで細菌による感染症の治療に用いられる抗菌剤など、例えば、塩酸クロコナゾール、塩酸ブテナフィン、シッカニン、トルナフタートなどが挙げられる。
このようにすれば、爪矯正具には、薬剤がコーティングまたは含浸されているから、これらの薬剤が足の軟質組織(足指の肉など)に接触し、白癬菌等の発生を予防したり、治療することができる。
更に、図23に示すように、筒体11の内部には、白癬機菌治療剤や抗菌剤などの薬液を収容するとともに、その収容した薬液を徐々に排出可能な弾性を有する薬液カプセル63を収納するようにしてもよい。
このようにすれば、薬液カプセル63を筒体11の内部に収納するだけで、上記治療効果が期待できるから、簡単に製作できる。
【0050】
また、図24に示すように、爪矯正具10A〜10Dと、この爪矯正具10A〜10Dを爪1に固定する接着剤62とを備えた爪矯正具治療セットとしてもよい。
通常、筒体に形成されるスリットの隙間が小さいと、爪矯正具を爪に装着しづらく、逆に、スリットの隙間が大きいと、爪矯正具が爪から外れやすい。従って、このような相反する課題を同時に解消できる爪矯正具が望ましい。しかし、爪の厚さは人によって、また、装着しようとする指の爪によっても異なる。親指は爪の厚さも厚いが、人差し指、中指、薬指、小指などは爪の厚さも薄い。
図24に示す構成によれば、爪矯正具10A〜10Dを爪1に固定する接着剤62を備えているから、爪矯正具10A〜10Dを爪1の先端に装着したのち、その上から接着剤62を塗布して、爪矯正具10A〜10Dを爪1に固定することができるから、爪矯正具10A〜10Dを爪1に装着しやすくしても、爪矯正具10A〜10Dが爪1から外れにくくできる。
ちなみに、接着剤62としては、トップコート(水性アクリル塗料)やジェルネール(ゲル状の樹脂を紫外線によって硬化させるもの)などを用いることができる。
【0051】
この際、接着剤62には、薬剤、例えば、白癬菌治療薬剤や、抗菌剤などが含浸されていれば、より好ましい。爪矯正具に薬剤が含浸されていれば、これらの薬剤が足の軟質組織(足指の肉など)に接触し、白癬菌等の発生を予防したり、治療することができる。
【実施例】
【0052】
<第1実施例(図25参照)>
第1実施形態の爪矯正具10Aを、ステンレス(SUS)でスリット21の隙間寸法Sを0.4mmとしたサンプルA、超弾性材料(nitinol:ニッケルとチタンの合金)でスリット21の隙間寸法Sがそれぞれ0.365mm、0.276mmとしたサンプルB,Cを製造し、このサンプルA,B,Cの曲げ力の変化を測定した。
測定方法は、爪矯正具10Aの両端を支持し、中央を押圧治具で押し下げたときの押し下げ力と、爪矯正具10Aの中央での押下距離(mm)との関係を測定した(3点曲げテスト)。
測定結果を、図25に示す。
この結果から、サンプルB,Cでは比較的緩やかな矯正力が働いていることが判る。サンプルAは押下距離(mm)に応じて大きな矯正力が働くことが判る。このことから、初めから、大きな矯正力を働かせると、患者に苦痛を与える可能性がある場合には、サンプルB,Cを用いて矯正すれば、患者に与える苦痛を緩やかにしながら陥入爪などの矯正を行うことができる。
【0053】
<第2実施例(図26参照)>
第1実施形態の爪矯正具10Aを、超弾性材料(nitinol)で、筒体の外径寸法D=2mm、長手方向寸法L=14mmとし、スリット21の隙間寸法Sを0.7、0.8、0.9、1.0、1.1mmで製造したものについて、表面にコーティング材としてトップコート(水性アクリル塗料)を塗布したものと、塗布しないものとを用意し、これらが爪から抜ける力を測定した。
測定方法は、これらの爪矯正具を、擬似爪(リン青銅で作成した先端が半径5mm、厚みが0.8mmの擬似爪)に装着したのち、テンションゲージを用いて、装着した爪矯正具を抜き取ったときの抜去力を調べた。
測定結果を、図26に示す。
この結果から、表面にコーティング材を塗布したものは、コーティング材を塗布しないものに比べて、抜去力が大きい。従って、爪から外れにくくするには、表面にコーティング材を塗布したものが好ましいことが判る。
【0054】
<第3実施例(図27、28参照)>
第1実施形態の爪矯正具10A(挟持歯片5対)を、超弾性材料(nitinol)で、筒体の外径寸法D=2.4mm、長手方向寸法L=17mmとし、スリット21の隙間寸法Sを1.0mmで製造したものについて、図27に示すように、一端を力ゲージ41に係止し、他端を芯金42に沿って90°、120°、150°、180°に曲げたときの力ゲージ41に値(矯正力)と、変形(へたり)を調べた(円形曲げテスト)。
測定結果を、図28に示す。
図28から、爪矯正具の曲げ角度が大きくなっても、矯正力はあまり変化しないことが判る。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、陥入爪や巻き爪などの変形爪を矯正するための爪矯正具として利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1…爪、
10A,10B,10C,10D…爪矯正具、
11…筒体、
12…分割溝、
13…挟持歯片、
14…連結片、
15…帯状枠部、
16…空間部、
21…スリット、
62…接着剤
63…薬液カプセル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、陥入爪や巻き爪などの変形爪を矯正するための爪矯正具および爪矯正治療セットに関する。
【背景技術】
【0002】
陥入爪は、爪の側縁が内側に巻き込むように屈曲して軟質組織(足指の肉など)を圧迫、あるいは、軟質組織に刺さって炎症を起こす要因であって、苦痛を与えるほか、肉芽を発生させたり、化膿させるなどの症状を引き起こすことがある。ちなみに、巻き爪とは、爪の側縁が内側に巻き込んでいる状態を呼ぶが、陥入爪の人は巻き爪になっていることが多い。
【0003】
従来、このような巻き爪や陥入爪などの変形爪を矯正するための矯正具が提案されている。
たとえば、形状記憶合金や形状記憶樹脂を用いて形成した板状体またはテープ状体に、予め正常な爪の形状を所定温度で記憶させておき、その板状体またはテープ状体を接着剤で変形爪に貼り付けるようにした矯正具が提案されている(特許文献1、特許文献2および特許文献3参照)。
【0004】
しかしながら、上述した矯正具では、板状体などを爪に貼り付ける際、強力な接着剤を必要とし、接着剤の乾燥にも時間がかかり、その間ピンセットなどで押さえていなければならないなど、取り扱いが極めて面倒である。また、接着剤が爪以外の皮膚などに付着すると、皮膚が炎症を起こし、剥がれるなど外傷を起こしやすい。
【0005】
そこで、本出願人は、先に、これらの課題を解決した陥入爪矯正具を提案した(特許文献4参照)。これは、弾性を有する材料によって形成された板状体と、この板状体に間隔を隔てて設けられ爪の先端縁を挟持する複数の挟持部とで構成されている。挟持部には、上挟持片と下挟持片とが設けられている。
陥入爪矯正具の使用に際しては、矯正具の挟持部を爪の先端縁に差し込み、挟持部の上挟持片および下挟持片で爪の先端縁を挟持させる。これにより、爪の両側縁に対して、常時上方への引き上げ力が作用するため、変形爪に対する矯正効果が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−215227号公報
【特許文献2】特開平9−253110号公報
【特許文献3】特開平9−253111号公報
【特許文献4】特開2007−185203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本出願人が先に提案した陥入爪矯正具も、更に、次のような課題が考えられる。
(i)この矯正具は板状体であり、爪の先端縁に対して挟持部で挟み込んでいるだけであるので、爪を挟み込む力が弱く矯正具が外れやすい。
(ii)矯正具が外れやすいので、テーピングで押さえたり、接着剤で固定しなければならず、作業が煩わしい上、特に、炎症を起こしている患者に適用するのは危険である。
(iii)爪が伸びていないときに、挟持部を爪と指との間に差し込んだ状態において、矯正具が物に当たると、挟持部の下挟持片が爪と指との間に更に食い込むため、患者は強い痛みを感じる虞がある。
【0008】
本発明の目的は、これらの課題を解決し、爪があまり伸びていない状況でも、変形爪への取り付け、取り外しが容易で、しかも、爪から外れにくく、適正かつ均一な矯正力が得られ、装着すると患者の痛みも軽減できる爪矯正具および爪矯正治療セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の爪矯正具は、弾性を有する材料によって筒状に形成された筒体と、前記筒体の一端から他端にかけて前記筒体の長手方向に沿って形成され、爪の先端縁に差し込まれて前記爪を挟持するスリットと、を備えたことを特徴とする。
ここで、筒体の断面形状は、必ずしも、円形状に限らず円を潰した扁平円形状や、多角形状であってもよい。また、筒体を形成する材料としては、弾性を有する材料であれば、どのようなものでもよい。例えば、超弾性特性や、形状記憶特性を有する弾性体でもよく、また、ステンレス、チタン合金、銅合金、鉄系などの弾性材料のほか、プラスチックスなどの弾性材料でもよい。
【0010】
このような構成によれば、爪の先端縁に、筒体の一端から他端にかけて長手方向に沿って形成されたスリットを差し込むと、スリットが爪の先端縁を挟持するので、爪への取り付けが容易で、さらに、取り外しも爪からスリットを引き抜くだけでよいから、取り外しも簡単にできる。しかも、筒体は弾性を有する材料で形成されているため、爪の形状や厚みに関係なく、どの指の爪にも適用できる。
また、筒体の長手方向に沿って形成したスリットによって爪の先端縁を挟持するため、爪矯正具が爪から外れにくく、さらに、スリットの全長に渡って爪への矯正力が均一に働くため、変形爪全体に適正かつ均一な矯正力が得られる。従って、変形爪の矯正に効果が期待できる。
更に、爪矯正具を変形爪に取り付けた状態において、爪矯正具が物にあたっても、爪矯正具が筒形状であるから、爪と指との間に更に食い込むのが防止される。従って、患者に与える痛みを軽減できる。
なお、ここでいう変形爪とは、巻き爪や陥入爪、あるいは、これらになる虞のある変形しかかった爪を意味する。
【0011】
本発明の爪矯正具において、前記筒体には、前記スリットから前記筒体の周方向に沿って形成された分割溝によって前記筒体の長手方向に複数に分割され、前記スリットを挟んで前記爪の先端縁を挟持する複数対の挟持歯片と、前記スリットの反対側において隣接する前記挟持歯片を連結する連結片とが形成されている、ことが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、筒体には、スリットから筒体の周方向に沿って形成された分割溝によって筒体の長手方向に複数に分割され、スリットを挟んで爪の先端縁表裏面側を挟持する複数対の挟持歯片が形成されているから、爪の先端縁に、筒体に形成されたスリットを差し込むと、爪の湾曲度合いに応じて、挟持歯片の間隔が変化される。つまり、爪の表側に位置する挟持歯片の間隔は長手方向に拡大され、逆に、爪の裏側(内側)に位置する挟持歯片の間隔は長手方向に縮小される。従って、爪の湾曲面に沿って爪矯正具を変形しやすく爪に適合させて、爪幅全体に均一な矯正力を付与することができるため、外れにくく、適切な力で均一な矯正を持続的に行うことができる。
【0013】
本発明の爪矯正具において、前記各対の挟持歯片は、外側輪郭線に沿って略一定幅で形成された帯状枠部と、この帯状枠部の内部に形成された空間部とを有する、ことが好ましい。
このような構成によれば、挟持歯片が、外側輪郭線に沿って形成された帯状枠部の内部に空間部が形成されているから、この空間部によって帯状枠部を容易に変形させることができる。そのため、爪の表側に位置する挟持歯片の幅を長手方向に更に拡大でき、逆に、爪の裏側(内側)に位置する挟持歯片の幅を長手方向に更に縮小できるため、大きく湾曲した変形爪の矯正にも適用できる。更に、連結片で挟まれた空間部を筒体の長手方向に拡大または縮小すれば、分割溝もそれに伴って変形し、筒体のスリットが幅方向に湾曲するので、爪の湾曲形状に合わせて爪矯正具を変形させて適合させることができる。
【0014】
本発明の爪矯正具において、前記挟持歯片の先端は、円弧形状に形成されている、ことが好ましい。
ここで、円弧形状とは、矩形形状の角部をアール状に加工した形状を含む意味である。
このような構成によれば、爪に接触する部分が円弧形状であるから、爪に引っ掛かることが少ない。特に、挟持歯片の先端が円弧状に形成されているから、スライド操作により、爪への取り付け、取り外しも、爪に引っ掛かることなくスムーズに行うことができるとともに、エッジで爪を傷つけることも少ない。
【0015】
本発明の爪矯正具において、前記爪矯正具は、超弾性効果または形状記憶効果を有する材料によって形成されている、ことが好ましい。
超弾性効果を有する材料によって形成すれば、弾性限が広くプラトー領域を有することから、大きく変形しても応力はあまり増加せず、爪に大きな負担を与えることがない。従って、大きく変形した変形爪の矯正に対応でき、患者の爪矯正の痛みを軽減させることができる。
形状記憶効果を有する材料によって形成すれば、例えば、体温より僅かに高い温度(例えば、38℃以上の温度)のAf点(形状回復温度)を有する形状記憶効果を有する材料によって形成すれば、普段の矯正力は弱いが、入浴時など爪が柔らかくなったときに、弾性係数が3倍程度高くなり、大きな矯正力が働くため、強弱をつけた矯正が可能となる。例えば、変形爪の痛みを強く感じ普段の生活に支障が生じたとき、緊急にドライヤやお湯で足や爪を温め、矯正具をAf点以上に加熱すると、矯正力がアップし、爪への食い込みを解放し、足の痛みを緩和することができる。
【0016】
本発明の爪矯正具において、前記爪矯正具には、薬剤がコーティングまたは含浸されている、ことが好ましい。
ここで、薬剤としては、白癬菌治療薬剤や、細菌を殺したり活性を弱めることで細菌による感染症の治療に用いられる抗菌剤など、例えば、塩酸クロコナゾール、塩酸ブテナフィン、シッカニン、トルナフタートなどが挙げられる。
このような構成によれば、爪矯正具には、薬剤がコーティングまたは含浸されているから、これらの薬剤が足の軟質組織(足指の肉など)に接触し、白癬菌等の発生を予防したり、治療することができる。
【0017】
本発明の爪矯正具において、前記筒体の内部には、薬液を収容するとともに、その収容した薬液を徐々に排出可能な薬液カプセルが収納されている、ことが好ましい。
このような構成によれば、薬液カプセルを筒体の内部に収納するだけで、上記治療効果が期待できるから、簡単に製作できる。
【0018】
本発明の爪矯正具治療セットは、前記爪矯正具と、この爪矯正具を爪に固定する接着剤とを備えたことを特徴とする。
筒体に形成されるスリットの隙間が小さいと、爪矯正具を爪に装着しずらく、逆に、スリットの隙間が大きいと、爪矯正具が爪から外れやすい。従って、このような相反する課題を同時に解消できる爪矯正具が望ましい。しかし、爪の厚さは人によって、また、装着しようとする指の爪によっても異なる。親指は爪の厚さも厚いが、人差し指、中指、薬指、小指などは爪の厚さも薄い。
本発明の構成によれば、爪矯正具を爪に固定する接着剤を備えているから、爪矯正具を爪の先端に装着したのち、その上から接着剤を塗布して、爪矯正具を爪に固定することができるから、爪矯正具を爪に装着しやすくしても、爪矯正具が爪から外れにくくできる。
ちなみに、接着剤としては、トップコート(水性アクリル塗料)やジェルネール(ゲル状の樹脂を紫外線によって硬化させるもの)などを用いることができる。
【0019】
本発明の爪矯正治療セットにおいて、前記接着剤には、薬剤が含浸されている、ことが好ましい。
このような構成によれば、接着剤に含まれる白癬菌治療薬剤や抗菌剤などの薬剤が足の軟質組織(足指の肉など)に接触し、白癬菌等の発生を予防したり、治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態の爪矯正具を爪に取り付けた状態の斜視図。
【図2】前記第1実施形態の爪矯正具を示す斜視図。
【図3】前記第1実施形態の爪矯正具を示す側面図。
【図4】前記第1実施形態の爪矯正具を展開した状態を示す展開図。
【図5】前記第1実施形態の爪矯正具の製造装置(レーザ加工機)を示す図。
【図6】前記第1実施形態の爪矯正具の他の製造工程(エッチング)を示す図。
【図7】前記第1実施形態の爪矯正具の製造工程のうち露光工程を示す図。
【図8】本発明の第2実施形態の爪矯正具を爪に取り付けた状態の斜視図。
【図9】前記第2実施形態の爪矯正具を示す斜視図。
【図10】前記第2実施形態の爪矯正具の断面を示す断面図。
【図11】前記第2実施形態の爪矯正具の変形例を示す斜視図。
【図12】本発明の第3実施形態の爪矯正具を爪に取り付けた状態の斜視図。
【図13】前記第3実施形態の爪矯正具を示す斜視図。
【図14】本発明の第4実施形態の爪矯正具を爪に取り付けた状態の斜視図。
【図15】前記第4実施形態の爪矯正具を示す斜視図。
【図16】前記第1実施形態の爪矯正具においてスリットの隙間寸法を変えた変形例1を示す図。
【図17】前記第1実施形態の爪矯正具においてスリットの隙間寸法を変えた変形例2を示す図。
【図18】前記第1実施形態の爪矯正具において異なる形状パターンを示す展開図。
【図19】前記第1実施形態の爪矯正具において他の異なる形状パターンを示す展開図。
【図20】前記各実施形態の爪矯正具において筒体の断面形状を楕円形状にした変形例を示す図。
【図21】図20の爪矯正具を製造する金型を示す図。
【図22】前記第1実施形態の爪矯正具において樹脂をコーティングした変形例を示す図。
【図23】前記各実施形態の爪矯正具において筒体の内部に薬液カプセルを収納した変形例を示す図。
【図24】前記第1実施形態の爪矯正具において接着剤で固定した状態を示す図。
【図25】第1実施例の爪矯正具の3点曲げテストでの力の変化を示す図。
【図26】第1実施例の爪矯正具のトップコート有無による抜去力を示す図。
【図27】第1実施形態の爪矯正具の円形曲げテストを示す図。
【図28】同上テスト結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態(図1〜図7参照)>
第1実施形態の爪矯正具10Aは、図1〜図3に示すように、巻き爪や陥入爪など矯正する爪1に装着して爪1を矯正するものであって、円筒状に形成された筒体11と、この筒体11の一端から他端にかけて筒体11の長手方向に沿って形成され、矯正する爪1の先端縁に差し込まれて爪1を挟持するスリット21とを備え、全体が弾性を有する超弾性材料で断面C形状に形成されている。
【0022】
筒体11の長手方向寸法Lは、矯正する爪1の幅に応じて決定され、例えば、約5mm〜20mm程度に形成されている。また、筒体11の外径寸法Dは、矯正する爪1の湾曲度合いに応じて決定され、例えば、約1.2mm〜4.0mm程度に決定されている。また、筒体11の肉厚寸法Tは、爪矯正具10Aに用いる材質との関係で決定され、例えば、約0.02〜0.5mm程度に決定されている。
【0023】
筒体11の外周面には、詳細を図4の展開図に示すように、スリット21から筒体11の周方向に沿って形成された分割溝12によって筒体11の長手方向に複数に分割され、スリット21を挟んで対向し爪1の先端縁を挟持する複数対(5対)の挟持歯片13と、スリット21の反対側においてスリット21と略平行に延びて隣接する挟持歯片13を連結する連結片14とが形成されている。
各対の挟持歯片13は、外側輪郭線に沿って略一定幅で形成された帯状枠部15と、この帯状枠部15の内部に形成された空間部16とを有する。帯状枠部15は、スリット21を挟んで対向する挟持歯片13の先端が円弧形状に形成され、その円弧形状の両端から連結片14に向かうに従って互いに接近する内側に窪んだのち、互いに離れる方向へ延びて連結片14に一体的に連結される形状に形成されている。従って、帯状枠部15内に形成される空間部16は、連結片14が位置する中央部の間隔W1(筒体11の長手方向寸法)が最も広く、挟持歯片13の中間部の間隔W2が最も狭く、挟持歯片13の先端部の間隔W3がW1とW2との間の幅に形成されている。
【0024】
スリット21は、筒体11の一方の端縁から長手方向に沿って他方の端縁間を切断することで形成される切断面であり、この切断面の一方の面である上挟持部22と、切断面の他方の面である下挟持部23とで構成される。スリット21の隙間寸法S(上挟持部22と下挟持部23との間隔)は、矯正する爪1の厚みや湾曲度合いに応じて決定され、例えば、0.3mm〜2.5mm程度、最も多くは0.5mm〜1.6mm程度に決定されている。
【0025】
(爪矯正具の製造方法)
爪矯正具10Aの製造にあたっては、ステントなどと同様に、レーザ加工機により網目状に加工する他に、エッチングなどにより加工することも可能である。そこで、これらの加工方法を説明する。
レーザ加工機を図5に示す。レーザ加工機は、ベース71と、このベース71に支持ブロック72を介して載置され爪矯正具の筒体素材11A(超弾性材料や形状記憶合金などで円筒状に形成したパイプにスリットを形成した筒体素材)を案内するガイドチューブ73Aを有し、ガイドチューブ73A内の筒体素材11Aを回転させながら軸方向へ送り出す旋回送り機構73と、ベース71の上に支持脚74を介して載置されたレーザ発光装置75と、このレーザ発光装置75からのレーザ光を真下へ向けて光路変更し筒体素材11Aに照射するレーザ加工部76と、このレーザ加工部76によって加工された爪矯正具を回収する回収ケース77とから構成されている。
加工にあたっては、筒体素材11Aを旋回送り機構73のガイドチューブ73A内に挿入する。すると、ガイドチューブ73A内に挿入された筒体素材11Aは、旋回送り機構73によって回転されながら軸方向へ送り出されるとともに、レーザ加工部76からのレーザ光によって網目状に加工されたのち、回収ケース77内に回収される。
なお、実際の加工では、筒体素材11A内に水が供給されるようになっている。これは、レーザ加工部76からのレーザ光が筒体素材11Aの上側を加工したのち、筒体素材11A内の水によって拡散され、筒体素材11Aの下側を加工するのを防止するためである。
【0026】
また、エッチング加工工程の例を図6で説明する
(a)表面処理工程
予め、超弾性材料や形状記憶合金などで円筒状に形成したパイプにスリットを形成した筒体素材を用意しておき、この筒体素材に脱脂、水洗、中和、水洗を施す。
(b)レジスト塗布工程
表面処理工程を行った筒体素材の表面にレジスト(感光液)を塗布する。
(c)露光処理工程
例えば、図7に示すように、ガラス基板に挟持歯片、連結片の形状部分を除く部分を遮光したフィルムを密着させたフィルム密着原版51を、筒体素材11Aに接触した状態に保ち、この上にスリット露光治具52を載せる。この状態において、スリット露光治具52の露光窓52Aから光(紫外線)を照射するとともに、筒体素材11Aを回転させる。すると、筒体素材11Aの回転に伴ってフィルム密着原版51もスライドされるから、筒体素材11Aの外周面に塗布されたレジストのうち、挟持歯片、連結片の形状部分が露光される。
【0027】
(d)現像処理工程
露光処理工程を行った筒体素材11Aを現像液に所定時間沈積して、不要なレジストを除去したのち、水洗する。
(e)パイプ内コート工程
筒体素材の内面にレジスト(感光液)を塗布する。
(f)エッチング工程
上記工程を行った筒体素材をエッチング液中に所定時間沈積し、筒体素材に分割溝、挟持歯片、連結片を形成する。
【0028】
(g)剥離工程
不要となったレジストを剥離する。
(h)乾燥工程
乾燥機にて所定温度、所定時間乾燥させる。
(i)コーティング材塗布工程
最後に、コーティング材としてトップコート(例えば、水性アクリル塗料またはラッカー塗料)を塗布する。これにより、爪矯正具10Aが製造される。
【0029】
(爪矯正具の取付)
爪矯正具10Aを取り付ける際は、スリット21を拡開しながら、矯正しようとする爪1の先端縁に差し込む(図1参照)。すると、スリット21を構成する上挟持部22と下挟持部23とが爪1を挟んだ状態で、爪矯正具10Aが爪1に取り付けられる。従って、爪1への装着を容易に行える。
爪矯正具10Aが爪1に取り付けられると、筒体11には、スリット21から筒体11の周方向に沿って形成された分割溝12によって筒体11の長手方向に複数に分割され、スリット21を挟んで爪1の先端縁を挟持する複数対の挟持歯片13が形成されているから、爪1の表側に位置する挟持歯片13の間隔は長手方向に拡大され、逆に、爪1の裏側(内側)に位置する挟持歯片13の間隔は長手方向に縮小される。
従って、爪1の湾曲面に沿って爪矯正具10Aを適合させて、爪幅全体で矯正力を付与することができるため、適切な力で矯正を持続的に行うことができる。
【0030】
しかも、各対の挟持歯片13が、外側輪郭線に沿って形成された帯状枠部15の内部に空間部16が形成されているから、この空間部16によって帯状枠部15を容易に変形させることができる。そのため、爪1の表側に位置する挟持歯片13の幅を長手方向に更に拡大でき、逆に、爪1の裏側(内側)に位置する挟持歯片13の幅を長手方向に更に縮小できるため、大きく湾曲した爪1の矯正にも適用できる。
更に、連結片14で挟まれた空間部16を拡大または縮小すれば、分割溝12もそれに伴って変形し、筒体11のスリット21も幅方向に湾曲するので、爪1の先端形状に沿わせて爪矯正具10Aを湾曲させて適合させることができる。
【0031】
また、挟持歯片13の先端は、円弧形状に形成されているから、爪1に引っ掛かることが少なく、爪1への取り付け、取り外しもスムーズに行うことができるとともに、爪1を傷つけることも少なくできる。
【0032】
<第2実施形態(図8〜図11参照)>
第2実施形態の爪矯正具10Bは、図8〜図10に示すように、円筒状に形成された筒体11と、筒体11の一端から他端にかけて筒体11の長手方向に沿って形成され、爪1の先端縁に差し込まれて爪1を挟持するスリット21とを備え、全体が弾性を有する超弾性材料で断面C形状に形成されている。つまり、第1実施形態の爪矯正具10Aに対して、筒体11には分割溝12、複数対(5対)の挟持歯片13、連結片14などが形成されていない点で異なる。
第2実施形態によれば、第1実施形態の爪矯正具10Aに比べ、爪1を矯正する力が強く、しかも、筒体11に分割溝12、挟持歯片13、連結片14などを形成しなくてもよいので、製造が比較的簡単に、かつ、安価にできる利点がある。
【0033】
なお、図11に示すように、爪1の形状や巻き込み度合いに応じて、筒体11の長手方向に沿って、スリット21の間隔方向に湾曲させて使用してもよい。このようにすれば、筒体11が湾曲されているので、爪1に対して矯正する力を変化させることができる。例えば、爪1の湾曲率に近い曲率に湾曲させれば、矯正力を軽減することができる。
【0034】
<第3実施形態(図12および図13参照)>
第3実施形態の爪矯正具10Cは、図12に示すように、第2実施形態の爪矯正具10Bに対して、筒体11のスリット21と対向する位置に、筒体11の長手方向に沿って爪1の先端縁を突出させるための切欠溝17が形成されている点が異なる。
切欠溝17は、図13に示すように、筒体11の長手方向に沿って、爪1の先端縁を差し込むことができる程度の寸法に形成されている。これにより、爪1の先端縁を、爪矯正具10Cの切欠溝17に差し込むことができるので、爪矯正具10Cの上挟持部22および下挟持部23が、爪1の先端縁から基端側方向の深い位置を挟持することができる。
【0035】
第3実施形態によれば、爪矯正具10Cの筒体11に、爪1の先端縁を差し込む切欠溝17を設けたので、この切欠溝17に爪1の先端縁を差し込むと、スリット21が爪1の先端縁から基端側方向の深い位置を挟持できるので、爪矯正具10Cが爪1から外れにくい。
このことは、筒体11の両端縁が、例えば衣類等に引っ掛かることを防止できる。また、切欠溝17を設けたため、爪矯正具10Cを取り付けるのに、爪1をスクウェアカットする必要が無く、延ばした爪でも容易に取り付けることができる。
【0036】
<第4実施形態(図14および図15参照)>
第4実施形態の爪矯正具10Dは、図14に示すように、第2実施形態の爪矯正具10Bに対して、筒体11の両端面切断形状が異なる。つまり、筒体11の両端面が略楕円状の切断面18に形成されている。
略楕円状の切断面18は、図15に示すように、外方を向いた位置になるように、爪1に装着される。すなわち、筒体11を平面視すると略台形状に両端部が切り欠かれており、スリット21が形成された側の長手方向が長辺で、これと対向する側の長手方向が短辺となっている。
【0037】
第4実施形態によれば、筒体11の両端部が切り欠かれているので、爪矯正具10Dが爪1に取り付けられた状態において、筒体11の両端縁が、例えば衣類等に引っ掛かることを防止できる。
【0038】
<変形例(図16〜図24参照)>
なお、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。従って、上記に開示した形状、数量などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、数量などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載も、本発明に含まれる。
【0039】
前記各実施形態では、超弾性材料を用いて爪矯正具10A〜10Dを構成したが、これに限らず、弾性を有する材料であれば、他の材料であってもよい。例えば、樹脂などでもよく、また、形状記憶効果を有する材料やステンレスなどでもよい。
形状記憶効果を有する材料によって形成すれば、例えば、体温より僅かに高い温度(例えば、38℃以上の温度)のAf点(形状回復温度)を有する形状記憶効果を有する材料によって形成すれば、普段の矯正力は弱いが、入浴時など爪が柔らかくなったときに、弾性係数が3倍程度高くなり、大きな矯正力が働くため、強弱をつけた矯正が可能となる。また、変形爪の痛みを強く感じ普段の生活に困難が生じたとき、緊急にドライヤやお湯で足や爪を温め、矯正具をAf点以上に加熱すると、矯正力がアップし、爪への食い込みを解放し、足の痛みを緩和することができる。
【0040】
また、その時は材料の相変態により矯正力も大きくなる。たとえば、少し熱めの風呂に入ったりすると、爪が柔らかくなる一方、爪矯正具は形状が回復して矯正が働き、更に矯正力が大きくなるから、爪に負担を掛けることが少ない状態でより高い矯正効果が期待できる。
【0041】
前記各実施形態では、スリット21の隙間寸法Sが筒体11の長手方向において均一であったが、筒体11の長手方向において異なる隙間寸法に形成してもよい。
具体的には、スリット21の隙間寸法Sを、筒体11の中央部よりも筒体11の両端部が広くなるように形成すれば、爪矯正具10A〜10Dを爪1に挿入しやすい。逆に、スリット21の隙間寸法Sを、筒体11の中央部よりも筒体11の両端部が狭くなるように形成すれば、爪矯正力が大きく、爪1から爪矯正具10A〜10Dが外れにくい利点がある。従って、矯正する爪1の変形度合いなどに応じて、スリット21の隙間寸法Sを変更すれば、矯正する爪1に適した使用が可能となる。
【0042】
例えば、第1実施形態の場合、図16に示すように、筒体11の中央部の挟持歯片13の隙間寸法S1よりも、筒体11の両端部側の挟持歯片13の隙間寸法S2,S3が次第に広くなるように形成すれば、爪矯正具10A〜10Dを爪1に挿入しやすい。逆に、図17に示すように、筒体11の中央部の挟持歯片13の隙間寸法S11よりも筒体11の両端部側の挟持歯片13の隙間寸法S12,S13が狭くなるように形成すれば、爪矯正力が大きく、爪1から爪矯正具10A〜10Dが外れにくい。
【0043】
また、筒体11の外周面に形成する分割溝12、挟持歯片13および連結片14の形状についても、上記実施形態に限らず、他の形状であってもよい。
例えば、図18の展開図(図4に対応する図)に示すように、連結片14をS字状に形成したもの、あるいは、図19図の展開図(図4に対応する図)に示すように、連結片14をU字状または逆U字状に形成したものであってもよい。このようにすれば、軸方向の曲げ量を大きくできる。
なお、これらの図18、19に示す爪矯正具の空間部16の形状については、対向する挟持歯片13内に形成される間隔が最も広く、これらを連結する部分が平行な幅に形成されている。
【0044】
更に、挟持歯片13についても、筒体11の長手方向において同一形状であったが、例えば、筒体の両端側に形成される挟持歯片13の幅寸法が中央部分に形成される挟持歯片13の幅寸法より狭い形状であってもよい。
【0045】
前記第1実施形態では、レーザ加工やエッチング加工により、筒体11の外周面に分割溝12、挟持歯片13および連結片14を形成したが、これに限られない。例えば、平板状材料に、レーザ加工やプレス加工などで分割溝12や空間部16を切断加工して、残る挟持歯片13や連結片14を形成し、これを筒状に成形して筒体11を形成してもよく、あるいは、プラスチックの成形加工などもよい。
また、レーザ加工、エッチング加工、プレス加工、プラスチック成形加工などで、筒体11の外周面に分割溝12、挟持歯片13および連結片14を形成したのち、これらの表面を研磨したり、メッキを施すようにしてもよい。更に、その上に色や模様を施して装飾効果を高めるようにしてもよい。
【0046】
前記第1実施形態では、筒体11に形成した各対の挟持歯片13を、外側輪郭線に沿って略一定幅で形成された帯状枠部15と、この帯状枠部15の内部に形成された空間部16とを有する形状としたが、これに限られない。例えば、空間部16がなくてもよい。
また、挟持歯片13の先端を半円状の円弧形状としたが、直線形状、つまり、挟持歯片13を矩形形状としてもよく、その際、矩形形状の角部をアール加工してもよい。
【0047】
前記第1実施形態では、筒体11の断面形状を円形としたが、これに限らず、扁平円形状でもよく、多角形形状でもよい。
例えば、扁平円形状の場合、図20に示すように、爪1に装着されたとき、爪1の厚み方向の寸法が潰れるように、扁平円形状にすることが好ましい。このようにすると、爪上面から爪矯正具の上面までの段差が小さくなるから、引っ掛かりが少なく、靴下なども穿きやすく、脱ぎやすい。
これには、図21に示すように、爪矯正具のスリット21にスペーサ31を挟み、これを下型32と上型33との間に形成された空間34に収納したのち、下型32と上型33とボルトナットなどの締付具35で締め付ける。これにより、爪矯正具を扁平円筒形状に成形することができる。
【0048】
前記第1実施形態では、筒体11に5対の挟持歯片13を形成したが、挟持歯片13の数は、これに限られない。例えば、2対、3対、4対、6対以上であってもよい。
前記第1実施形態において、図22に示すように、筒体11の全体、つまり、挟持歯片13や連結片14を樹脂61、例えば、ポリウレタン、シリコン、塩化ビニールなどの樹脂や紫外線硬化樹脂などでコーティングしてもよい。このようにすれば、筒体11を爪1に沿って曲げたときでも、挟持歯片13が爪1に引っ掛かるのを防げる効果が期待できる。更に、親水性樹脂や撥水性樹脂でコーティングするようにしてもよい。
【0049】
また、樹脂61に代えて、薬剤を含浸またはコーティングさせてもよい。薬剤としては、白癬菌治療薬剤や、細菌を殺したり活性を弱めることで細菌による感染症の治療に用いられる抗菌剤など、例えば、塩酸クロコナゾール、塩酸ブテナフィン、シッカニン、トルナフタートなどが挙げられる。
このようにすれば、爪矯正具には、薬剤がコーティングまたは含浸されているから、これらの薬剤が足の軟質組織(足指の肉など)に接触し、白癬菌等の発生を予防したり、治療することができる。
更に、図23に示すように、筒体11の内部には、白癬機菌治療剤や抗菌剤などの薬液を収容するとともに、その収容した薬液を徐々に排出可能な弾性を有する薬液カプセル63を収納するようにしてもよい。
このようにすれば、薬液カプセル63を筒体11の内部に収納するだけで、上記治療効果が期待できるから、簡単に製作できる。
【0050】
また、図24に示すように、爪矯正具10A〜10Dと、この爪矯正具10A〜10Dを爪1に固定する接着剤62とを備えた爪矯正具治療セットとしてもよい。
通常、筒体に形成されるスリットの隙間が小さいと、爪矯正具を爪に装着しづらく、逆に、スリットの隙間が大きいと、爪矯正具が爪から外れやすい。従って、このような相反する課題を同時に解消できる爪矯正具が望ましい。しかし、爪の厚さは人によって、また、装着しようとする指の爪によっても異なる。親指は爪の厚さも厚いが、人差し指、中指、薬指、小指などは爪の厚さも薄い。
図24に示す構成によれば、爪矯正具10A〜10Dを爪1に固定する接着剤62を備えているから、爪矯正具10A〜10Dを爪1の先端に装着したのち、その上から接着剤62を塗布して、爪矯正具10A〜10Dを爪1に固定することができるから、爪矯正具10A〜10Dを爪1に装着しやすくしても、爪矯正具10A〜10Dが爪1から外れにくくできる。
ちなみに、接着剤62としては、トップコート(水性アクリル塗料)やジェルネール(ゲル状の樹脂を紫外線によって硬化させるもの)などを用いることができる。
【0051】
この際、接着剤62には、薬剤、例えば、白癬菌治療薬剤や、抗菌剤などが含浸されていれば、より好ましい。爪矯正具に薬剤が含浸されていれば、これらの薬剤が足の軟質組織(足指の肉など)に接触し、白癬菌等の発生を予防したり、治療することができる。
【実施例】
【0052】
<第1実施例(図25参照)>
第1実施形態の爪矯正具10Aを、ステンレス(SUS)でスリット21の隙間寸法Sを0.4mmとしたサンプルA、超弾性材料(nitinol:ニッケルとチタンの合金)でスリット21の隙間寸法Sがそれぞれ0.365mm、0.276mmとしたサンプルB,Cを製造し、このサンプルA,B,Cの曲げ力の変化を測定した。
測定方法は、爪矯正具10Aの両端を支持し、中央を押圧治具で押し下げたときの押し下げ力と、爪矯正具10Aの中央での押下距離(mm)との関係を測定した(3点曲げテスト)。
測定結果を、図25に示す。
この結果から、サンプルB,Cでは比較的緩やかな矯正力が働いていることが判る。サンプルAは押下距離(mm)に応じて大きな矯正力が働くことが判る。このことから、初めから、大きな矯正力を働かせると、患者に苦痛を与える可能性がある場合には、サンプルB,Cを用いて矯正すれば、患者に与える苦痛を緩やかにしながら陥入爪などの矯正を行うことができる。
【0053】
<第2実施例(図26参照)>
第1実施形態の爪矯正具10Aを、超弾性材料(nitinol)で、筒体の外径寸法D=2mm、長手方向寸法L=14mmとし、スリット21の隙間寸法Sを0.7、0.8、0.9、1.0、1.1mmで製造したものについて、表面にコーティング材としてトップコート(水性アクリル塗料)を塗布したものと、塗布しないものとを用意し、これらが爪から抜ける力を測定した。
測定方法は、これらの爪矯正具を、擬似爪(リン青銅で作成した先端が半径5mm、厚みが0.8mmの擬似爪)に装着したのち、テンションゲージを用いて、装着した爪矯正具を抜き取ったときの抜去力を調べた。
測定結果を、図26に示す。
この結果から、表面にコーティング材を塗布したものは、コーティング材を塗布しないものに比べて、抜去力が大きい。従って、爪から外れにくくするには、表面にコーティング材を塗布したものが好ましいことが判る。
【0054】
<第3実施例(図27、28参照)>
第1実施形態の爪矯正具10A(挟持歯片5対)を、超弾性材料(nitinol)で、筒体の外径寸法D=2.4mm、長手方向寸法L=17mmとし、スリット21の隙間寸法Sを1.0mmで製造したものについて、図27に示すように、一端を力ゲージ41に係止し、他端を芯金42に沿って90°、120°、150°、180°に曲げたときの力ゲージ41に値(矯正力)と、変形(へたり)を調べた(円形曲げテスト)。
測定結果を、図28に示す。
図28から、爪矯正具の曲げ角度が大きくなっても、矯正力はあまり変化しないことが判る。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、陥入爪や巻き爪などの変形爪を矯正するための爪矯正具として利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1…爪、
10A,10B,10C,10D…爪矯正具、
11…筒体、
12…分割溝、
13…挟持歯片、
14…連結片、
15…帯状枠部、
16…空間部、
21…スリット、
62…接着剤
63…薬液カプセル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する材料によって筒状に形成された筒体と、
前記筒体の一端から他端にかけて前記筒体の長手方向に沿って形成され、爪の先端縁に差し込まれて前記爪を挟持するスリットと、を備えたことを特徴とする爪矯正具。
【請求項2】
請求項1に記載の爪矯正具において、
前記筒体には、前記スリットから前記筒体の周方向に沿って形成された分割溝によって前記筒体の長手方向に複数に分割され、前記スリットを挟んで前記爪の先端縁を挟持する複数対の挟持歯片と、前記スリットの反対側において隣接する前記挟持歯片を連結する連結片とが形成されている、ことを特徴とする爪矯正具。
【請求項3】
請求項2に記載の爪矯正具において、
前記各対の挟持歯片は、外側輪郭線に沿って略一定幅で形成された帯状枠部と、この帯状枠部の内部に形成された空間部とを有する、ことを特徴とする爪矯正具。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の爪矯正具において、
前記挟持歯片の先端は、円弧形状に形成されている、ことを特徴とする爪矯正具。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の爪矯正具において、
前記爪矯正具は、超弾性効果または形状記憶効果を有する材料によって形成されている、ことを特徴とする爪矯正具。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の爪矯正具において、
前記爪矯正具には、薬剤がコーティングまたは含浸されている、ことを特徴とする爪矯正具。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の爪矯正具において、
前記筒体の内部には、薬液を収容するとともに、その収容した薬液を徐々に排出可能な薬液カプセルが収納されている、ことを特徴とする爪矯正具。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の爪矯正具と、
この爪矯正具を爪に固定する接着剤とを備えたことを特徴とする爪矯正治療セット。
【請求項9】
請求項8に記載の爪矯正治療セットにおいて、
前記接着剤には、薬剤が含浸されている、ことを特徴とする爪矯正治療セット。
【請求項1】
弾性を有する材料によって筒状に形成された筒体と、
前記筒体の一端から他端にかけて前記筒体の長手方向に沿って形成され、爪の先端縁に差し込まれて前記爪を挟持するスリットと、を備えたことを特徴とする爪矯正具。
【請求項2】
請求項1に記載の爪矯正具において、
前記筒体には、前記スリットから前記筒体の周方向に沿って形成された分割溝によって前記筒体の長手方向に複数に分割され、前記スリットを挟んで前記爪の先端縁を挟持する複数対の挟持歯片と、前記スリットの反対側において隣接する前記挟持歯片を連結する連結片とが形成されている、ことを特徴とする爪矯正具。
【請求項3】
請求項2に記載の爪矯正具において、
前記各対の挟持歯片は、外側輪郭線に沿って略一定幅で形成された帯状枠部と、この帯状枠部の内部に形成された空間部とを有する、ことを特徴とする爪矯正具。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の爪矯正具において、
前記挟持歯片の先端は、円弧形状に形成されている、ことを特徴とする爪矯正具。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の爪矯正具において、
前記爪矯正具は、超弾性効果または形状記憶効果を有する材料によって形成されている、ことを特徴とする爪矯正具。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の爪矯正具において、
前記爪矯正具には、薬剤がコーティングまたは含浸されている、ことを特徴とする爪矯正具。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の爪矯正具において、
前記筒体の内部には、薬液を収容するとともに、その収容した薬液を徐々に排出可能な薬液カプセルが収納されている、ことを特徴とする爪矯正具。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の爪矯正具と、
この爪矯正具を爪に固定する接着剤とを備えたことを特徴とする爪矯正治療セット。
【請求項9】
請求項8に記載の爪矯正治療セットにおいて、
前記接着剤には、薬剤が含浸されている、ことを特徴とする爪矯正治療セット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2012−176228(P2012−176228A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266866(P2011−266866)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【特許番号】特許第5009434号(P5009434)
【特許公報発行日】平成24年8月22日(2012.8.22)
【出願人】(598155966)株式会社アクトメント (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【特許番号】特許第5009434号(P5009434)
【特許公報発行日】平成24年8月22日(2012.8.22)
【出願人】(598155966)株式会社アクトメント (8)
【Fターム(参考)】
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