説明

牡蠣のむき身の水切り装置

【課題】牡蠣のむき身から、均等に水を切り、牡蠣のむき身本来の重量が正しく測定できるようにする、重量測定時の前処理としての、牡蠣のむき身の水切り装置が望まれていた。
【解決手段】重量を測るべき牡蠣のむき身が投入されるホッパー2と、ホッパー2から落下する牡蠣のむき身を載せて搬送し、搬送方向下流端から牡蠣のむき身を重量測定用の容器13へ落下させるコンベヤー3とを設ける。コンベヤー3は、牡蠣のむき身は受止、水分は落下させる水通過性のある搬送帯19で構成する。
【効果】牡蠣のむき身から、均等に余計な水を落下させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、牡蠣のむき身の水切り装置に関し、特に、牡蠣のむき身の重量測定を行う場合に、その前処理としてむき身の水を切るために用いられる水切り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
牡蠣のむき身は、通常、薄い塩水に浸された状態で出荷されて取引される。取引時には、牡蠣のむき身の重量が測定されて、その重量に応じて取引価格が決められる。
ところで、牡蠣のむき身は吸水性がよく、水に浸した場合、たとえばスポンジのようにむき身は水を吸収する。そして牡蠣のむき身の重量が増加する。このため、牡蠣のむき身の取引の現場においては、牡蠣のむき身をざるに入れて、余分な水を切り、むき身の重量調整を行って、取引時の公正化を図っている。
【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、牡蠣のむき身に対し、最初に水をたくさん含ませていると、そのむき身をざるに移して一定時間を経ても、ざるに当接した周囲の牡蠣のむき身から水が落下するだけで、ざる内部のむき身は多くの水を含んだ状態のままであるという課題があった。
また、牡蠣のむき身の取引では、多量のむき身が扱われるので、小さなざるで少量ずつむき身から水を出させる等の手間をかけるわけにはいかなかった。
【0004】
この発明は、かかる背景のもとになされたもので、牡蠣のむき身から、均等に水を切り、牡蠣のむき身本来の重量が正しく測定できるようにする、重量測定時の前処理としての、牡蠣のむき身の水切り装置を提供することを主たる目的とする。
またこの発明は、短時間で、均等に牡蠣のむき身の水切りを行える水切り装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、重量を測るべき牡蠣のむき身が投入されるホッパーと、上記ホッパーから落下する牡蠣のむき身を載せて搬送し、搬送方向下流端から牡蠣のむき身を重量測定用の容器へ落下させるコンベヤーとを有し、上記コンベヤーは、牡蠣のむき身は受け取め、水分は落下させる水通過性のある部材で形成されていることを特徴とする、牡蠣のむき身の水切り装置である。
【0006】
請求項2記載の発明は、上記コンベヤーは、駆動軸と、駆動軸と所定距離離れて配置された従動軸と、駆動軸および従動軸間に掛け渡された無端状の搬送帯とを有し、搬送帯は、搬送方向に直交方向に延びる円筒体が搬送方向に多数配列されて形成されており、円筒体と円筒体との間に水を通過させる間隙を有することを特徴とする、請求項1記載の牡蠣のむき身の水切り装置である。
【0007】
請求項3記載の発明は、上記コンベヤーは、その搬送速度が調整可能であることを特徴とする、請求項1または2記載の牡蠣のむき身の水切り装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明では、ホッパーから落下されてコンベヤーに載せられて搬送される間に、牡蠣のむき身から余分な水分が落下する。よって、コンベヤーの先端に達した牡蠣のむき身には、余分な水が含まれておらず、牡蠣のむき身が含有している水分量がほぼ均等な量となる。
コンベヤーは、無端状に随時回転しているので、コンベヤー上で牡蠣のむき身が塊って山積み状態とはならず、コンベヤー上に載せられたむき身は、搬送中に、余分な水分が落下し、均等に水が抜ける。
【0009】
請求項2記載の発明では、コンベヤーを、多数の円筒体を用いた搬送帯により、簡単で、かつ牡蠣のむき身の搬送および水抜きに適した構成とすることができる。
請求項2の構成において、円筒体は、たとえばステンレス製の筒で形成し、好ましくははその周面が樹脂カバーで覆われているのがよい。こうすることにより、牡蠣のむき身に対して傷つき防止等を図ることができる。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、コンベヤーによる牡蠣のむき身の搬送距離が定まっているから、その距離を搬送するのに必要な時間を、コンベヤーの搬送速度を調整することにより変更することができる。搬送時間が長ければ、その間に牡蠣のむき身から落下する水分量は多くなるから、搬送時間を適当な時間に調整することにより、重量を測定すべき牡蠣のむき身が含有している水分量を所望の水分量に調整することができる。
【0011】
以上のように、この発明によれば、重量を測定するための牡蠣のむき身が含有する水分量を所望の水分量とすることができ、牡蠣のむき身の重量を公正に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明をする。
図1は、この発明の一実施形態に係る牡蠣のむき身の水切り装置の構成を示す正面図であり、図2は、上記水切り装置を右側から見た要部斜視図である。
図1および図2を参照して説明すると、水切り装置1にはホッパー2およびコンベヤー3が備えられている。コンベヤー3は、搬送方向にみて左右両側、すなわち図1において手前側および奥側が金属製のフレーム4によって保持されており、フレーム4には2対の脚5が取り付けられている。脚5によってフレーム4は所定の高さ(作業がし易い高さ)とされ、そのフレーム4によってコンベヤー3は保持されている。
【0013】
ホッパー2はフレーム4に固定されて、コンベヤー3の上に配置されている。
コンベヤー3は、図1において右端に駆動軸7が備えられ、左端に従動軸8が備えられている。そして、駆動軸7および従動軸8に無端状の搬送帯9が掛け渡されている。コンベヤー3は、図1においてその上面が左方向から右方向に矢印10で示すように移動される。つまり、搬送帯9が左から右方向に矢印10で示すように移動される。
【0014】
より具体的には、モータ11により動力伝達チェーン12を介して駆動軸7が回転される。そして駆動軸7の回転により、搬送帯9が矢印10方向へ移動される。
ホッパー2は搬送帯9の上面の移動方向上流端側に配置されている。ホッパー2は、その上部開口から重量を測るべき牡蠣のむき身が投入されると、その下端小開口から牡蠣のむき身を搬送帯9の上に落下させる。そして搬送帯9の上に落下された牡蠣のむき身は、搬送帯9の搬送移動に伴って矢印10方向へ搬送され、搬送方向下流端(図1において右端)から下方へ落下する。
【0015】
コンベヤー3の右端下方には、落下する牡蠣のむき身を受けるためのバケツ13が備えられている。なお、バケツ13が、重量測定器14に載せられた状態であれば、バケツ13に入った牡蠣のむき身の重量を測定することができる。
なお、図1において、水切り装置1の左側には、ホッパー2へ牡蠣のむき身を投入する際に、作業者が乗るための作業台15が設けられている。
【0016】
図3は、コンベヤー3の搬送帯9の詳細な構成を示す部分斜視図である。
搬送帯9は、搬送方向である矢印10に対して直交方向に延びる多数の円筒体16が、搬送方向に配列された構成を有する。各円筒体16は、図4に示すように、ステンレス製の円筒管17で形成されており、その周面は樹脂カバー18で覆われている。樹脂カバー18を厚みのある弾性体等で構成すれば、落下した牡蠣のむき身を受け止めた際に、牡蠣のむき身が傷ついたりすることを防止できる。しかし、円筒体16は、かかる構成に限定されるものではなく、ステンレス製の金属管の裸体で構成されていてもよいし、樹脂製の円筒管で構成されていてもよい。
【0017】
図3を再び参照して、円筒体16と円筒体16との間には、所定の隙間(間隙)19が存在する。この隙間19は、牡蠣のむき身が落下したり、その間に挟まったりしない程度の隙間である。しかし、隙間19は、水を落下させ得る。
よって、ホッパー2から搬送帯9の上に落下した牡蠣のむき身は、搬送帯9の移動に伴って搬送され、その間に、むき身が吸っている水の一部(余分な水)がむき身から滲み出し、搬送帯9の隙間19から下方へと落下する。
【0018】
そして、搬送帯9の上面には、ホッパー3からほぼ均等量の牡蠣のむき身が順に落下されてくるから、搬送帯9上で牡蠣のむき身は山積みになっておらず、薄く散らばった牡蠣のむき身から、余分な水が搬送中に落下する。
その結果、バケツ13に入ったときの牡蠣のむき身は、水の含有量がほぼ一定になり、重量測定の際に、多くの水分を含んだ牡蠣のむき身や、そうでない牡蠣のむき身が混在するといった状態がなくなる。
【0019】
よって、牡蠣のむき身の重量を公正に測ることが可能となる。
上述の実施形態では、搬送帯9は多数の円筒体16で形成されている構成を説明したが、搬送帯9は、たとえば網の目状の帯であってもよい。要は、牡蠣のむき身は受け止めるが、水分は落下させる水通過性のある部材で形成されていればよい。
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施形態に係る牡蠣のむき身の水切り装置の構成を示す正面図である。
【図2】上記水切り装置を右側から見た要部斜視図である。
【図3】コンベヤーの搬送帯の詳細な構成を示す部分斜視図である。
【図4】搬送帯を構成する円筒管の構成を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1 水切り装置
2 ホッパー
3 コンベヤー
7 駆動軸
8 従動軸
9 搬送帯
16 円筒体
17 円筒管
18 樹脂カバー
19 隙間x

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量を測るべき牡蠣のむき身が投入されるホッパーと、
上記ホッパーから落下する牡蠣のむき身を載せて搬送し、搬送方向下流端から牡蠣のむき身を重量測定用の容器へ落下させるコンベヤーとを有し、
上記コンベヤーは、牡蠣のむき身は受け取め、水分は落下させる水通過性のある部材で形成されていることを特徴とする、牡蠣のむき身の水切り装置。
【請求項2】
上記コンベヤーは、駆動軸と、駆動軸と所定距離離れて配置された従動軸と、駆動軸および従動軸間に掛け渡された無端状の搬送帯とを有し、
搬送帯は、搬送方向に直交方向に延びる円筒体が搬送方向に多数配列されて形成されており、円筒体と円筒体との間に水を通過させる間隙を有することを特徴とする、請求項1記載の牡蠣のむき身の水切り装置。
【請求項3】
上記コンベヤーは、その搬送速度が調整可能であることを特徴とする、請求項1または2記載の牡蠣のむき身の水切り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−288319(P2006−288319A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−116063(P2005−116063)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(595143609)卜部産業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】