説明

物体の生物発光、化学発光または蛍光の測定のための測定装置、照射装置、測定システム、および植物の観察のための方法

【課題】植物の研究により一層適するように改善した、機械的に複雑でなく、植物全体の測定に適する汎用型の測定装置を提供する。
【解決手段】測定チャンバKを取り囲む耐光性のハウジング10と前記測定チャンバ内を見る高感度カメラ40とを備え、物体の生物発光、化学発光または蛍光の測定ための測定装置であって、前記測定チャンバK内に、回転ディスク20を配置するための回転シャフト24が縦方向に延在し、第1の動作状態において、前記カメラ40の視線が実質的に横方向を向くことを特徴とする測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の物体の生物発光、化学発光または蛍光の測定のための測定装置、請求項11に記載の照射装置、請求項15に記載の測定システム、および請求項19に記載の植物の観察のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光およびルミネセンスの測定のための方法は、多年にわたり生物学および薬学の研究における使用で奏功している。これらの方法は、個々の植物または個々の動物の少なくとも1つの遺伝子がルミネセンスまたは蛍光を呈するたんぱく質をコードすることのできるトランスフェクトした、または遺伝子導入した動物または植物の使用を伴う。この遺伝子が活性化されている場合、このたんぱく質が形成され、このたんぱく質のルミネセンスまたは蛍光を観察することにより、個々の遺伝子の活性に関して、よってさらには、例えば、植物/動物に対するある物質の有効性などに関して結論を引き出すことができる。
【0003】
そのような方法を実行するための既存の装置は実質的には以下のようなものとして設計されている。すなわちそれらの装置は、測定されるべき物体を測定チャンバ内に配置するためのドアを有する、光を通さないように測定チャンバを取り囲むハウジングを備える。ハウジングの屋根にはカメラが取り付けられており、カメラの光軸および視線は垂直方向に延在し、したがって、測定チャンバ内を見下ろしている。このカメラは通例非常に高感度の冷却CCDセンサを有するため、全体として非常に弱いルミネセンス信号からの位置分解能を用いて画像を生成することができる。さらに、測定されるべき動物または植物の「通常の」写真画像も撮影しようとする場合には、ハウジングの屋根の付近に照明手段が設けられる。この照明手段は上から、すなわちカメラの視線と実質的に平行に照射し、カメラは対応する動作状態にあるときに写真露出も行うことができる。蛍光露出と写真露出(写真露出とは、この状況においては、光の反射または吸収に基づくものである露出をいう)は、後続のデータ処理段階において相互に重ね合わせることができるため、ルミネセンス光が動物/植物のどの領域から発しているか非常に簡単に理解することができる。ルミネセンスではなく蛍光を測定しようとする場合には、さらに、励起フィルタを備える蛍光励起光源も設けられ、カメラの光路内に吸収フィルタ(emission filter)を配置することが可能でなければならない。
【0004】
前述のような測定装置は、例えば、Berthold Technologiesによって、「NightOWL」という商品名で製造販売されている。
【0005】
米国特許出願公開第2006/0057710号には、有機物質の生物発光を測定する測定装置が示されている。この測定装置は機械的に非常に複雑であり、植物全体の測定に適するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0057710号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、この先行技術から進んで、汎用型の測定装置を植物の研究により一層適するように改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有する測定装置によって達成される。
【0009】
本発明によれば、カメラは、第1の動作状態において、上からではなく横から測定チャンバ内を見る。これは、カメラの視線が、既存の汎用型の測定装置の場合のように、実質的に縦方向に延在するものではないことを意味する。好ましくは、カメラの視線は横方向に延在するが、この横方向からのある程度のずれも可能である。
【0010】
さらに、ハウジングの下部付近には縦方向に延在する回転ディスクのための回転シャフトが配置されている。このようにして、植物の複数の側面から露出(写真露出およびルミネセンスまたは蛍光露出)を行うこと、および複数の植物を、特に特別な容器に入れて、回転ディスクの上に配置することも可能になり、それによって、1測定周期の間に複数の植物を観察することができる。この効果を達成するために、回転ディスクは、好ましくは、複数の保持装置を有する。
【0011】
一方においてカメラの横方向の視線は、植物が透明容器内に位置する透明ゲル中で生育されていれば、根を含むその植物全体の観察を可能にし、他方において植物の上部の葉は、下に位置するその植物の部分の眺めを遮らない。
【0012】
請求項4によれば、調べられるべき植物が測定装置内でも生育することができるように、回転ディスクの位置の上方に、下に向けて照射する照射手段が設けられる。これらの照射手段により植物は自然に振る舞う。すなわち植物は実質的に縦方向に上に向かって生育する。
【0013】
使用されるカメラは、好ましくは、ルミネセンス測定に適するものであり、そのためにカメラは、好ましくはさらに、冷却半導体センサも有する。
【0014】
本発明の別の目的は、多数の植物を観察するのに用いることのできるシステムを提供することである。
【0015】
この効果を達成するために、請求項11に記載の特徴を有する照射装置、および請求項15で特許請求される測定システムを提案する。
【0016】
そのような測定システムを用いた植物の観察のための方法が請求項19に明記されている。
【0017】
植物の生育に関する知見に至るためには、植物は、通例、数日間にわたって観察されなければならない。しかし、ルミネセンスまたは蛍光の測定は、場合によっては一日に1、2回のみ、多くとも毎時数分間にわたって行えばすむ。観察されるべき植物は、残りの時間においては、必ずしも高価な高感度カメラを備える測定装置内に置かれる必要はなく、この間には、植物が管理されしたがって繁殖可能な照射によって生育するよう刺激を受ける別の照射装置内に収容することができる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態は、さらに別の従属請求項と、次に図を参照して提示する説明例を読めば明らかになるであろう。

【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の動作状態にある測定装置の縦方向に延在する断面を示す概略的断面図である。
【図1a】別の赤外線ダイオードの配置を有する図1の測定装置を示す図である。
【図2】図1の面A−Aに沿った断面を示す図である。
【図3】照射装置の個別要素を示す図である。
【図4】第2の動作状態にある図1の測定装置を示す図である。
【図4a】第2のフランジ式カメラを備える図1の測定装置を示す図である。
【図5】単一の植物に対するルミネセンス測定時における図1の構成を示す図である。
【図6】蛍光測定の実行時における図5の実施形態を示す図である。
【図7】植物カセットのある状態の図1の詳細Dを示す図である。
【図8】図1に対応する説明図における照射装置を示す図である。
【図9】図1に対応する説明図における全体装置を空の状態として示す図である。
【図10】第1の動作状態にある図9の実施形態を示す図である。
【図11】第2の動作状態にある図10の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1および図2に測定装置の概略的断面図を示す。図2は図1の面A−Aに沿った断面であり、図1は図2の面B−Bに沿った断面である。以下ではこれら2つの図を参照する。
【0021】
測定装置は、床12、屋根14、および4つの区間を有する側壁16を有するハウジング10を備える。側壁16の前の区間にはドア17が取り付けられている。ドア17が閉じられた状態では、ハウジング10は光を通さないように測定チャンバK取り囲む。ハウジング10の下部付近には、モータ22によって駆動することのできる縦方向に配置された回転シャフト24が配置されている。この回転シャフト上には、図示のように圧力嵌めで回転ディスク20を配置することができ、このようにして回転ディスク20を回転シャフトによって回転させることができる。回転ディスク20は例えば、アルミニウム板などからなり、その表面は反射を防ぐために黒色ラッカで被覆されている。回転ディスク20は固定エッジ21で取り囲まれている。
【0022】
側壁16の一区間には第1の測定開口部18aが設けられており、図1および図2に示すような第1の動作状態では、適切な第1の固定手段によって第1の測定開口部18aにカメラ40がフランジ連結されており、カメラと側壁16の間の連結は耐光性のものである。カメラは、カメラハウジング44と、入射レンズ42aを有するレンズ構造42と、例えばペルチエ冷却器などとして設計することのできる冷却器48によって冷却することのできるCCDセンサ46とを備える。入射レンズ42aの前には吸収フィルタ50を配置するためのフィルタ引出しが設けられている。カメラの光路には反射鏡もプリズムもなく、そのため、カメラの光軸はカメラの視線Bと一致する。この状況における「視線」Bは、観察されるべき物体のところで終わる光路の部分を意味するものと理解すべきである。第1の動作状態では、この視線は、横方向Hの床12および回転ディスク20と平行に、すなわち回転シャフト24と直角に延在することが明らかである。
【0023】
第1の測定開口部18aの上方には照射手段が配置されている。この照射手段は複数の個別要素を備える。断面図には断面内に位置する要素だけしか示されないため、これらの個別要素のうちの2つ70、70’が見えている。照射手段は、自然の日光、より具体的には自然の昼光を模したスペクトルを発する。個別要素の設計について以下でより詳細に説明する。照明装置Sは下を向いているが、必ずしも正確に垂直方向であるとは限らない。
【0024】
図示の測定装置は蛍光測定を行うためのものでもあり、そのために回転ディスク20の方向を向いた蛍光励起光源60が設けられている。この蛍光励起光源60の射出窓は励起フィルタ64を形成している。蛍光測定が行われるとき、吸収フィルタ50は図6に示す位置まで移動される。
【0025】
ハウジングの屋根14には、第2の測定開口部18bが設けられており、第2の測定開口部18bは、図1に示すような第1の動作状態では、盲フランジ15によって光を通さないように封止される。
【0026】
保持装置として働く保持スロット26が、回転ディスクの上面から回転ディスク20内部まで延在している。回転ディスク20にはさらに別の保持装置が保持穴28として設けられている。加えて、写真露出のために使用することのできる赤外線LED30も、植物容器の真後ろに(図1a参照)、または図1に示すように、第1の測定開口部18aが位置している壁のところに配置されている。図1aに示すように、赤外線LED30が植物容器の真後ろに配置されているとき、その電源は、好ましくは、電池/充電式電池によって提供され、その制御は、好ましくは、電波制御によるなど無線で行われる。またLEDは回転ディスクの下に取り付けることもでき、その場合には、保持装置の下にあるスロットが光を上方に貫通させ、縦方向に配置された植物容器の背後の拡散板が後ろから植物に光を放つ(不図示)。
【0027】
回転ディスク上に保持装置が存在するために、様々なやり方でこの回転ディスク上に植物を配置することができる。例えば、図5に示されるように、その中で植物が生育しているポットまたはカップ80を、回転ディスクの中央に単に置くだけとすることも可能である。多くの場合、この状況では、その中で植物が生育する透明ゲル82で満たされた透明材料でできているポットまたはカップ80を選択することが好まれる。
【0028】
保持スロット26には植物カセット85用のホルダ87を挿入することができる。保持穴は、特にいわゆるde−Wit植物チャンバを受けるのに適する。図7には、保持スロット26に挿入されたホルダ87によって回転ディスク20上に保持される植物カセット85が詳細図として示されている。この植物チャンバは、透明なプラスチック材料からなる。
【0029】
図3には、測定装置に設置されるような照射装置の個別要素70の概略的上面図が示されている。この個別要素は、反射面と、台板上に配置された複数のLED、図示の例示的実施形態では4個のLED74a〜74dとを有する平坦な台板72を備える。LEDのうちの3個は冷却され、異なる最大発光波長、好ましくは、450nm、660nmおよび730nmを有する。第4のLEDは白色スペクトルを有する。この結果、地表に到達する日光のスペクトル、すなわち昼光を十分正確に再現することができる。一日の異なる時刻と地球の異なる緯度とにおける昼光をシミュレートすることができるように、LEDを制御ユニットによって個別に制御することができる。例えば、正午の、または赤道付近の日光を再現すべきである場合には、その日光は青の割合を多く含まなければならない。また、LEDを個別に制御することができることは、特に、一日が経過するにつれて変化する日光スペクトルを再現することも可能にする。所与の用途に応じて、他の最大発光波長、例えば500nm前後(緑)や580nm前後(黄)などを有するLEDを設けることもできる。理想的な照射を得るためには、植物カセットの保持装置ごとに1つの個別要素を設けることが有益となり得る。また用途によっては、もっぱら白色スペクトルを発するLEDだけを使用することも可能である。また、前述の個別要素およびそれらを制御するやり方は、昼光シミュレーションが必要とされる他の用途にも使用することができる。
【0030】
図4には第2の動作状態が示されている。図4においてカメラは、適切な第2の固定手段によって第2の測定開口部18bにフランジ連結されており、上から測定チャンバ内を見ている。この場合第1の測定開口部18aは盲フランジ15によって光を通さないように封止されている。したがって測定装置は、「従来の」形状寸法測定にも使用することができる。加えて、2つの視線から同時に、またはほぼ同時に測定することができるようにチャンバに2台のカメラをフランジ連結することも可能である(図4a)。これらのカメラは、同じ種類のものとすることもでき、異なる設計のものとすることもできる。
【0031】
測定装置の単独動作は以下に示すように行われる。
【0032】
a)ルミネセンス測定と光測定の組み合わせ
【0033】
回転ディスク20が回転シャフト24上に配置される。この回転板20上に観察されるべき1つまたは複数の植物が配置され、ドアが閉められる。次いで測定が始まり、測定は通例、数日間、すなわち、数回のシミュレートされた昼期と夜期に及ぶ。おそらくはその間に周波数スペクトルが変動する昼光をシミュレートするために、照射装置の個別要素70、70’のうちの全部または一部のスイッチが、ある長さの時間、例えば12時間などにわたってオンにされる。一日の残りの時間においては、照射要素70、70’のスイッチはオフにされたままである。また照射要素70、70’は、(必要ならば)写真露出を行うための照明としても使用され、そのために、第1の動作状態のカメラ40はある一定の時間間隔において光露出を行う。ルミネセンス測定は、照射要素70、70’のスイッチをオフにして実行される。その場合、この工程においてカメラは、第2の高感度の動作状態にある。通例、ルミネセンス測定を実行する前には、植物と、測定装置の構成部分と、使用される植物容器との残光/りん光が徐々に消えるまで、数分間にわたり照射要素のスイッチをオフにする必要がある。写真露出とルミネセンス測定の画像は、後続のデータ処理段階において相互に重ね合わせることができる。個々の写真露出またはルミネセンス測定の間には、それぞれ、回転板20を所定の量だけ回転させて、同じ植物の異なる眺めまたは異なる植物カセットもしくはde−Witチャンバをカメラの前に位置決めすることができる。
【0034】
「夜期」においても写真測定が行われるべきである場合には、このために赤外線LED30のスイッチがオンにされる。この場合の発光波長は好ましくは、900nmから950nmまでである。植物はこの範囲では影響を受けず、したがって「夜間シミュレーション」が妨げられることはない。カメラ40が夜期において写真露出を行うのにも使用することができるように、カメラ40にはこの波長範囲で感度のよいCCDセンサ46が使用される。代替として、別個のIRカメラを使用することも可能である。また当然ながら、重ね合わされる画像を植物の24時間周期全体にわたってしかるべく生成することができるように、夜期においては重ね合わされるべきルミネセンス露出も行うことができる。
【0035】
b)蛍光測定と光測定の組み合わせ
【0036】
蛍光動作において、吸収フィルタ50は入射レンズ42aの前に移動される(図6)。蛍光測定も同様に、照射要素70、70’のスイッチをオフにし、蛍光励起光源60のスイッチをオンにして行わる。他の点では、ルミネセンス測定の状況において前述したのと同じ動作がこの場合にも適用される。
【0037】
すでに述べたように、各植物に対する測定の周期は数日間に及ぶ。しかし、生物発光、化学発光または蛍光の測定のために必要な正味測定時間は通例、一日当たりわずか数分にすぎない。残りの時間、カメラは「遊休状態」にある。しかし、高感度カメラは高価な構成部品であるため、このことはかなりの不経済となる。したがって、前述の好ましい実施形態では回転板は回転シャフト上にしっかりと固定されず、回転シャフトから取り外すことができる。したがって回転板は、測定のためにだけ測定チャンバ内に配置し、残りの時間は照射装置内に配置することができる。そのような照射装置が図8の概略的断面図に示されている。またこの照射装置は好ましくは、耐光性のハウジングも有する。この耐光性のハウジング内には前述のような照射装置が配置されている。均一な照射を保証するために、モータによって同様に駆動することのできる回転シャフトを設けることができるが、これは必須ではない。また固定式の保持装置を設けることも可能である。
【0038】
測定システムは測定装置1台当たり複数のそうした照射装置を備えることができ、回転板は常に測定のためにだけ測定装置内に移動され、残りの時間は照射装置内に留まる。よって、1時間間隔においてただ1台の高感度カメラによって観察することのできる植物の数を大幅に増やすことができる。各個別測定を一意に識別することができるように、回転板または個々の植物カセット/de−Wittチャンバはそれぞれ、RFIDチップを備えることができ、この場合、測定チャンバ内にはRFID読取装置95が配置されている。RFIDシステムの代わりに、例えばバーコードを用いて動作するような他の識別システムを使用することもできる。
【0039】
また前述の方法は大幅に自動化することもでき、その場合測定チャンバK内への回転板20の供給は機械的供給システムによって行われる。そのような機械的供給システムはいわゆるスタッカまたはロボットとすることができる。そのようなスタッカまたはロボットを利用することができるように、ドアの代わりに、プレートルミノメータ(plate luminometer)の場合のような耐光性の貫通式開口部が設置される。この耐光性の貫通式開口部は、そこに連結された任意の種類の機械的供給システムを備えることができる。
【0040】
さらに測定装置、照射装置および機械的供給システムを1台の全体装置に統合するという選択肢も存在する。そのような全体装置の一例が図9から11に示されている。この場合、照射装置のハウジング110は、測定装置のハウジング10の真下に配置され、どちらのハウジングも好ましくは相互に直接連結される。図示の例示的実施形態では、測定装置のハウジングの床12は同時に照射装置のハウジング110の屋根の部分でもある。測定装置のハウジング10の床12は開口部12aを有する。この開口部の下には、機械的供給システムとして使用される持上げ装置150が位置する。
【0041】
照射装置のハウジング110内には、回転板20を開口部12a下の位置と開口部12aから離れた位置とに移動させるための機械的送りシステムが位置している。図示の説明例において、この機械的送りシステムは、モータ134によって駆動することのできる運搬用回転板130を備える。この運搬用回転板130は、縦方向に延在するモータ134の回転シャフトに対して等距離の複数の段付き開口132を有する。その寸法は、各段付き開口132を持上げ装置150の上に位置決めすることができるように選択されている。
【0042】
各回転板20は、回転板用のモータ22も搭載する台板140上に配置されている。各台板140には環状の遮光材が付いている。そのような遮光材142は、通例、不透明な弾性要素であり、代替として、またはこれに加えて、床12の裏面にも配置することができる。台板140の直径は、回転板20の直径より大きく、段付き開口132の最小直径より大きく、段付き開口132の最大直径より小さい。
【0043】
回転板20上の1つまたは複数の植物が測定されるべきとき、運搬用回転板130は、対応する回転板20が持上げ装置150(図10)の上に位置決めされる位置まで回転する。持上げ装置150は次に制御ユニット(不図示)によって操作され、回転板20は、その台板140または台板の遮光材142がその下側でハウジング10の床12と接するまで持上げられる(図11)。この位置において、回転シャフト24および回転板20は測定チャンバK内に位置決めされ、台板140は光を通さないようにチャンバKを封止する。モータ22が作動され、前述のように所望の測定が行われる。モータ22への電力は台板上と床12の裏面にある接点(不図示)を介して供給することができる。測定が完了した後、回転板20は、持上げ装置150の下降によって照射装置の内部に、すなわち照射チャンバBに戻る。この場合もやはり、通例は、RFIDシステムまたは他の識別システムを使用することが有益である。加えて、非測定状態にあるときにカメラ40を閉じる機械的シャッタ52を設けることも有益となり得る。前述の全体装置は完全に自動的に動作させることができる。
【符号の説明】
【0044】
10 ハウジング
12 床
12a 床にある開口部
14 屋根
15 盲フランジ
16 側壁
17 ドア
18a 第1の測定開口部
18b 第2の測定開口部
20 回転板
21 エッジ
22 モータ
24 回転シャフト
26 保持スロット
28 保持穴
30 赤外線LED
40 カメラ
42 レンズ構造
42a 入射レンズ
44 ハウジング
46 CCDセンサ
48 冷却器
50 吸収フィルタ
52 シャッタ
60 蛍光励起光源
62 LED
64 励起フィルタ
70 個別要素
72 台板
74 LED
80 カップ
82 ゲル
85 植物カセット
87 ホルダ
90 植物
95 RFID読取装置
110 照射装置のハウジング
122 照射装置のモータ
124 照射装置の回転シャフト
130 運搬用回転板
132 段付き開口
134 運搬用回転板のモータ
140 台板
142 遮光材
150 持上げ装置
K 測定チャンバ
B 照射チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定チャンバ(K)を取り囲む耐光性のハウジング(10)と前記測定チャンバ内を見る高感度カメラ(40)とを備え、物体の生物発光、化学発光または蛍光の測定ための測定装置であって、
前記測定チャンバ(K)内に、回転ディスク(20)を配置するための回転シャフト(24)が縦方向に延在し、
第1の動作状態において、前記カメラ(40)の視線が実質的に横方向を向くことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記回転シャフト(24)の上に回転ディスク(20)が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記回転ディスク(20)は、複数の縦方向に配置される植物カセットのための保持装置を有することを特徴とする、請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記回転ディスクの位置の方向に上から照射することのできる少なくとも1つの照射手段が設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項5】
前記照射手段は、それぞれが少なくとも3つのLED(74)を備える複数の個別要素(70、70’)を有することを特徴とする、請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
1つの個別要素の前記LED(74)は板(72)上に1平面として配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
各個別要素が厳密に1つの植物カセットに割り当てられることを特徴とする、請求項5または6に記載の測定装置。
【請求項8】
第2の動作状態において、前記カメラ(40)の視線が実質的に縦方向を向くことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項9】
前記ハウジングは前記カメラのための2つの間隔を置いた固定手段を有し、前記第1の動作状態は前記カメラが前記第1の固定手段に固定されているときに生じ、前記第2の動作状態は前記カメラが前記第2の固定手段に固定されているときに生じることを特徴とする、請求項8に記載の測定装置。
【請求項10】
蛍光光源が設けられていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項11】
回転ディスクのための保持装置と、前記回転ディスクの位置の方向に上から照射することのできる照射手段とを有する、回転ディスク上に配置される植物カセットのための照射装置。
【請求項12】
前記照射手段は、それぞれが少なくとも3つのLEDを備える複数の個別要素(70)を有することを特徴とする、請求項11に記載の照射装置。
【請求項13】
1つの個別要素の前記LEDは板上に1平面として配置されていることを特徴とする、請求項12に記載の照射装置。
【請求項14】
前記回転ディスク上に配置することのできる前記植物カセットそれぞれに厳密に1つの個別要素が割り当てられていることを特徴とする、請求項12または13に記載の照射装置。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の測定装置と、請求項11〜14のいずれか一項に記載の少なくとも1つの照射装置と、少なくとも1つの回転ディスクと、を備える測定システム。
【請求項16】
少なくとも2つの照射装置、および少なくとも2つの回転ディスクが設けられていることを特徴とする、請求項15に記載の測定システム。
【請求項17】
前記測定装置及び前記照射装置は相互に隣接して位置し、前記測定装置と前記照射装置の間での回転ディスクの自動搬送のための機械的供給システムが設けられていることを特徴とする、請求項15に記載の測定システム。
【請求項18】
前記照射装置は前記測定装置の下に配置されており、前記機械的供給システムは持上げ装置を備えることを特徴とする、請求項17に記載の測定システム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの回転ディスクが前記照射装置と前記測定装置の間で繰り返し行ったり来たりして搬送される、請求項15〜18のいずれか一項に記載の測定システムを使用した植物の観察のための方法。

【図1】
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【図1a】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4a】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−164092(P2011−164092A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−273952(P2010−273952)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(510324159)ベルトール テクノロジーズ ジー・エム・ビー・エイチ アンド シーオー ケージー (1)
【氏名又は名称原語表記】Berthold Technologies GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Calmbacher Strasse 22,75323 Bad Wildbad,Germany
【Fターム(参考)】