説明

物体検出器装置および方法

物体検出器装置を提供する。前記物体検出器装置は、繰り返し運動を有する物体から信号を受信するように構成された受信機であって、前記信号は前記物体の前記繰り返し運動の周波数に依存した周波数で繰り返すことを特徴とする受信器を備える。前記物体検出器装置は、前記受信器で受信した信号を、サンプリング・パラメータの第1の組によって、第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングし、前記第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいた出力を発生するように構成されている解析器を更に備える。前記解析器はまた、前記受信器で受信した信号を、サンプリング・パラメータの前記第1の組とは異なるサンプリング・パラメータの第2の組を用いて、第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングし、前記第2のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて出力を発生するように動作可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の存在を検出する物体検出器装置と方法に関し、特に、本発明は、回転している切削工具のような繰り返し運動を有する物体の存在を検出するための物体検出器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
繰り返し運動を有する物体は、物体からの信号を受信する検出器デバイスによって検出出来る。例えば、検出器デバイスは、信号をデータのパターンとして記録し、記録されたデータのパターンと以前に記録されたデータのパターンとを比較することが出来る。記録されたデータのパターンと以前に記録されたデータのパターンとの間に相関があれば、そのとき、検出器デバイスは、物体が検出されたと判定することが出来る。回転している切削工具を検出するためのこのような検出器デバイスは、特許文献1に記述されている。
【0003】
しかしながら、このような既知の検出器デバイスでは、検出すべき物体の運動は、特定の、所定の周波数で繰り返すことが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第06/027577号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ある範囲の異なる周波数に亘って物体を検出することが出来ることが重要であることがある。或る状況では、物体を1つの特定の所定の周波数で繰り返させることが可能ではないか、または望ましくないという理由のためである。
【0006】
更に、たとえ物体の運動を所要の周波数で繰り返させることが可能であったとしても、物体は、通常は異なる周波数で動作するはずである。従って、検出できるように物体の動作周波数を変化させる間の遅延が存在するであろう。また、物体の速度をその正常な動作周波数に戻すのにも遅延が存在するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、一態様では、本発明は、繰り返し運動を有する物体からの信号を受信するように構成された受信器であって、信号が、物体の繰り返し運動の周波数に依存している周波数で繰り返している受信器と、受信器によって受信された信号をサンプリング・パラメータの第1の組によって、第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングし、第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて出力を発生するように構成された解析器とを備え、解析器は、受信器によって受信された信号を、サンプリング・パラメータの第1の組とは異なるサンプリング・パラメータの第2の組を用いて、第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングし、第2のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つ以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて出力を発生するように動作することを特徴とする物体検出器装置を提供する。
【0008】
受信器によって受信された信号を、少なくとも2つの異なるサンプリング・パラメータを用いてサンプリングすることが出来るということは、物体検出器装置が、運動の少なくとも2つの異なる周波数での繰り返し運動で動く物体を検出することが出来るようにする。例えば、物体が回転している物体であれば、このときは、本発明は、物体検出器装置が、回転している物体を少なくとも2つの異なる回転速度で検出できるようにする。従って、本発明は、現行の物体検出器装置よりもより広い範囲の繰り返し運動周波数で用いることが出来る。更に、検出のために物体の繰り返し運動の周波数を変えねばならないときは、周波数を変える際の遅延を、1つの特定の周波数で繰り返して動いている物体を検出することが出来る物体検出器装置よりも少なくすることが出来る。
【0009】
繰り返し運動は、回転運動であってもよい。例えば、物体検出器装置は、回転している物体からの信号を受信し、信号は、物体の回転速度に依存する周波数で繰り返すことを特徴とするように構成することが出来る。繰り返し運動は、往復運動であってもよい。例えば、物体検出器装置は、振動する物体からの信号を受信し、信号は、振動の周波数に依存する周波数で繰り返すことを特徴とするように構成することが出来る。物体は、直線的に振動していてもよい。物体は、軸の周りに振動していてもよい。代替として、物体は、軸に沿って振動していてもよい。
【0010】
少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組のデータは、過去に使われたデータであってもよい。当然のことながら、過去に使われたデータは、物体検出器装置の動作の前に記録され、蓄積されたデータとすることができる。この場合、少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組は、所定の周波数で繰り返し運動をしている物体を表すデータを含むことが出来る。これは、物体検出器装置の動作中は、物体を検出するために記録される必要があるのは、サンプリングされたデータの1組だけであるので、物体の迅速な検出を可能にする。
【0011】
好適には、少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組の中のデータは、サンプリングされたデータの組の中の信号をサンプリングするほぼ直前に、受信器によって受信された信号のサンプリングされたデータである。従って、物体を検出するために物体検出器装置の動作中は、少なくとも2つのサンプリングされたデータの組が記録される必要がある。すなわち、少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組が記録される必要があり、次に第1の(または第2の)データの組が記録される必要がある。物体検出器装置が、過去に使われたデータを蓄積するための容量を持つ必要はないので、これは有利である。更に、物体検出器装置が、動作の前に物体が作り出すデータのパターンを知る必要はない。
【0012】
第1のサンプリングされたデータの組と比較される少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組は、第2のサンプリングされたデータの組と比較される少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組と同じであってもよい。例えば、少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組が過去に使われたデータであるときに、第1と第2のサンプリングされたデータの組は次いで、共に、2つのうちのどちらかが過去に使われたデータと整合するかどうかを見るために同一の過去に使われたデータとすることが出来る。
【0013】
好適には、第1のサンプリングされたデータの組が比較される少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組は、第2のサンプリングされたデータの組が比較される少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組と異なる。特に、好適には、データを少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組にサンプリングするために用いられたサンプリング・パラメータは、信号を、以前にサンプリングされたデータの組と比較されるサンプリングされたデータの組にサンプリングするために用いられるサンプリング・パラメータと同じである。従って、好適には、第1のデータの組が、少なくとも1つの第1の以前にサンプリングされたデータの組と比較され、かつ、第2のデータの組が、少なくとも1つの第1の以前にサンプリングされたデータの組とは異なる、少なくとも1つの第2の以前にサンプリングされたデータの組と比較される。
【0014】
第1のサンプリングされたデータの組へサンプリングされた信号と第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングされた信号とは同じ信号であってよい。例えば、第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングされた信号は、第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングされた信号と同じ物体から受信したものであってよい。
【0015】
更に、第1のサンプリングされたデータの組へサンプリングされた信号は、第2のデータの組へサンプリングされた信号と同じ時間帯に亘ってとられた同じ信号であってもよい。従って、解析器は、受信器によって受信された信号を第1のサンプリングされたデータの組へサンプリングし、および信号を第2のサンプリングされたデータの組へサンプリングするように構成することが出来る。第1および第2のデータの組への信号のサンプリングは、ほぼ同時に行うことが出来る。解析器は、それ故に、異なる2組のサンプリング・パラメータを用いて並行して物体から受信した信号を解析することが出来る。
【0016】
解析器は、受信器に結合してよい。解析器と受信器とは、単一のユニットとして実現することが出来る。随意に、解析器は、受信器とは別のユニットとして、受信器との通信が出来る状態で供給することが出来る。
【0017】
解析器は、アナログ信号処理回路網を備えてよい。随意的に、解析器は、ディジタル信号処理回路網を備えてよい。当然のことながら、解析器は、アナログおよびディジタル信号処理回路網の両方を備えてもよい。解析器は、ハード・ワイヤードであってもよい。随意的に、解析器は、プログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)のようなプログラマブル・ロジック、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プログラマブル・アレイ・ロジック(PAL)、およびアンコミッテッド・ロジック・アレイ(ULA)のようなプログラムド・ゲート・アレイ(PGA)を備えてもよい。解析器の少なくとも一部は、例えば、プロセッサのように電子回路網上を走るソフトウェア経由で実装してもよい。適当なプロセッサは、ディジタル信号プロセッサ(DSP)のようなマイクロ・プロセッサと、プログラマブル・インテリジェント・コンピュータ(PIC)マイクロコントローラのようなマイクロコントローラとを含む。
【0018】
解析器は、受信器によって受信された信号をサンプリングするためのサンプラーを備えてもよい。解析器は、サンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組とを比較するための比較器を備えてもよい。解析器は、第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも第2のサンプリングされたデータの組とをサンプリングするための個別のサンプラーを備えてもよい。解析器は、第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも第2のサンプリングされたデータの組との比較をするための個別の比較器を備えてもよい。随意的に、同じサンプラーと比較器を、サンプリングされたデータの組の各々をサンプリングして比較するために用いることが出来る。当然のことながら、サンプラーと比較器とは、アナログまたはディジタル回路網またはその組み合わせ、または、実際、以前に言及したタイプの回路網のいずれかであってよい。特に、サンプラーと比較器とは、サンプリングおよびサンプリングされたデータの組を比較するために構成されたプロセッサによって供給することが出来る。
【0019】
解析器は、信号を第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングするために構成された第1の回路網、および、第1の回路網と並行して動作し、信号を第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングするように構成された第2の回路網を備えることが出来る。各々のサンプリング・パラメータによって信号をサンプリングする個別の回路網は、第1のサンプリングされたデータの組と第2のサンプリングされたデータの組とを発生する異なるサンプリング・パラメータを用いて信号をサンプリングするステップを交互にする単一の回路よりもより効率的に動作することが出来る。当然のことながら、第1の回路網と第2の回路網とは、アナログまたはディジタル回路網、またはその組み合わせ、または、実際、以前に言及したタイプの回路網のいずれかであってよい。好適には、第1の回路網は第1のプロセッサであり、第2の回路網は、第2のプロセッサである。
【0020】
好適には、第1の回路網は、第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組とを比較して、比較に基づいて出力を発生するように構成される。好適には、第2の回路網は、第2のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組とを比較して、比較に基づいて出力を発生するように構成される。比較のために異なる回路網を用いることは、第1のデータの組および第2のデータの組と、少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較を交互にするような単一の回路を持つ場合に比べて遥かに効率がよい。
【0021】
好適には、解析器は、第1のサンプリング・パラメータと第2のサンプリング・パラメータとは異なるサンプリング・パラメータの少なくとも第3の組を用いて、受信器によって受信した信号を、少なくとも第3のサンプリングされたデータの組にサンプリングし、少なくとも第3のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて出力を発生するように動作できる。解析器が用いることが出来るサンプリング・パラメータの組が多ければ多いほど、検出可能な繰り返し運動の異なる周波数を持つ物体の数は多くなる。
【0022】
より好適には、解析器は、信号を第3のデータの組にサンプリングするように構成された少なくとも第3の回路網を備える。好適には、第3の回路網は、第3のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組とを比較し、比較に基づいて出力を発生するように構成される。
【0023】
好適には、解析器は、第1のデータの組および第2のデータの組とそれらのそれぞれの以前にサンプリングされたデータの組との比較のいずれか1つまたは全てが、物体が検出されたことを示す出力信号をもたらすときに、物体検出信号を出力するように構成される。従って、サンプリング・パラメータの1つが物体の繰り返し運動の周波数で動いている物体を検出するために適当である限り、物体検出信号は出力される。より好適には、解析器は、第1の回路網と第2の回路網からの出力のOR出力を出すORゲートを備える。
【0024】
第2のサンプリングされたデータの組へサンプリングされた信号は、第1のデータの組へサンプリングされた信号とは異なる信号であってもよい。特に、第2のサンプリングされたデータの組へサンプリングされた信号は、第1のデータの組へサンプリングされた信号に引き続いて、受信器によって受信された信号であってもよい。第2のサンプリングされたデータの組へサンプリングされた信号と第1のデータの組へサンプリングされた信号とは、同じ物体からであってもよい。随意的に、第2のサンプリングされたデータの組へサンプリングされた信号と第1のデータの組へサンプリングされた信号とは、異なる物体からであってもよい。
【0025】
これは、物体検出器装置を、第1の周波数をもって運動している物体を第1に検出するように構成し、つぎに、引き続き、異なる第2の周波数をもって運動している物体を検出するように構成することを可能にするので有利である。第2の周波数を持つ物体は、第1の周波数で運動している物体と同じ物体であってもよいし、異なる物体であってもよい。それ故に、一度に1つの信号をサンプリングして処理する単一の回路だけを用いて、異なる周波数で動作している同じまたは異なる物体を検出することが可能である。
【0026】
解析器は、信号を第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングし、引き続き、信号を第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングするように構成された回路網を備えることが出来る。
【0027】
解析器は、サンプリング・パラメータの異なる所定の組を次々と繰り返してもよい。解析器は、物体が検出されたことを示す出力が解析器によって発生されるまで、サンプリング・パラメータの異なる所定の組を繰り返してもよい。例えば、解析器は、第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較の結果が、物体が検出されたことにならない場合のみ、受信器によって受信した信号を、サンプリング・パラメータの第2の組を用いてサンプリングするように構成してもよい。これは、並列処理をする必要なく、複数の可能な周波数の中の1つをもって運動する物体の自動検出を可能にする。
【0028】
物体検出器装置は、サンプリング・パラメータの第1の組と第2の組の少なくとも1つを設定できる入力機構を備えることが出来る。これは、物体検出器装置が動作する前にサンプリング・パラメータを判定しておく必要はないので有利と成り得る。更に、これは、サンプリング・パラメータを物体検出器装置の動作中に変えられるようにする。
【0029】
入力機構は、利用者が、手動でサンプリング・パラメータの第1の組と第2の組の少なくとも1つを入力することが出来るような利用者入力デバイスを備えることが出来る。
【0030】
好適には、入力機構は、物体の繰り返し運動の周波数を判定するために動作するフィードバック・デバイスを備える。好適には、入力機構および解析器の少なくとも1つは、物体の繰り返し運動の判定された周波数に基づいて、サンプリング・パラメータの第1の組と第2の組の少なくとも1つを判定するように構成される。これは、解析器が、物体の運動の周波数で運動しているところの物体を首尾よく検出するのに必要な正しいサンプリング・パラメータを自動的に採用することが出来るので有利である。
【0031】
フィードバック機構は、物体の運動の周波数を示す、物体を駆動している機械からの信号を受信するように構成されてもよい。
【0032】
随意的に、フィードバック機構は、物体の運動の周波数を検出するように構成されてもよい。フィードバック機構は、受信器によって受信したマーカ信号の周波数を判定するように構成されてもよい。マーカ信号は、物体または物体を繰り返しの運動で動かす機械の一部分のどちらかの上のマーカによって作られてもよい。フィードバック機構は、マーカ信号の判定された周波数から繰り返し運動の周波数を計算するように構成されてもよい。好適には、マーカ信号は光信号である。当然のことながら、任意の所定の数のマーカが提供されてもよい。好適には、マーカは、物体の繰り返し運動のサイクル毎に1つのマーカ信号(例えば、回転または振動ごとに1つのマーカ信号)を提供するように構成される。
【0033】
好適には、解析器は、フィードバック機構を備える。好適には、受信器は、マーカ信号を受信するように構成される。より好適には、解析器は、解析器が、受信器によって受信した信号を解析して物体の存在を判定する物体検出モードと、解析器が、受信器によって受信した信号を解析して物体の運動の周波数を判定するフィードバック・モードとで選択的に動作するように構成される。
【0034】
マーカ信号は、受動的マーカ特徴物によって作られてもよい。例えば、マーカ特徴物は、光信号を反射してもよい。光信号は、赤外から紫外の範囲の任意の信号であってよい。好適には、光信号は、可視の信号である。光信号は、周辺光の反射でもよい。随意的に、物体検出器装置は、反射されるべき光信号を送信する光信号源を備えてもよい。マーカ信号は、能動的マーカ特徴物によって作られてもよい。例えば、マーカ特徴物は、光を送信してもよい。例えば、マーカ特徴物は、LEDであってもよい。
【0035】
サンプリングされたデータの組は、各々が受信器によって受信した特定の時点での信号の特性を表す複数のデータ・エントリを備えることが出来る。好適には、特性は、受信器によって受信した信号の強度である。好適には、信号のサンプルは、サンプリングされたデータの組の1つのデータ・エントリに対応する。
【0036】
好適には、サンプリング・パラメータは、サンプリング速度を含む。従って、好適には、第1のデータの組へサンプリングされた信号は、信号が第2のデータの組へサンプリングされる速度とは異なる速度でサンプリングされる。好適には、サンプリング速度は、一定の時間の間にとられるサンプルの数である。
【0037】
物体が回転しているときは、好適には、所定の回転速度をもつ物体を検出するためのサンプリング速度は、物体の1回転の間にすべての数のサンプルがとられるようなものである。好適には、所定の回転速度をもつ物体を検出するためのサンプリング速度は、物体の各回転の間に36以下のサンプルが取れるようなものであり、より好適には、24以下の、特に好適には、12以下のサンプルが取れることである。好適には、所定の回転速度をもつ物体を検出するためのサンプリング速度は、物体の各回転の間に6以上のサンプルが取れるようなものである。
【0038】
サンプリング・パラメータは、サンプリングされたデータの組の中のデータ・エントリの数を含むことが出来る。好適には、サンプリングされたデータの組には36以下のデータ・エントリが存在し、より好適には、サンプリングされたデータの組に24以下のデータ・エントリが存在し、特に好適には、サンプリングされたデータの組に12以下のデータ・エントリが存在する。好適には、サンプリングされたデータの組に6以上のデータ・エントリが存在し、特に好適には、サンプリングされたデータの組に10以上のデータ・エントリが存在する。最も好適には、サンプリングされたデータの組に12のデータ・エントリが存在する。
【0039】
サンプリング・パラメータは、第1のサンプリングされたデータの組と第2のサンプリングされたデータの組とが比較されるところの、多くの以前にサンプリングされたデータの組を含むことが出来る。そのとき必要な相関の数が大きいほど、解析器の信頼性が大きくなるが、解析器から出力を得るのにかかる時間が長くなる。
【0040】
サンプリングされたデータが比較されるところの、以前にサンプリングされたデータの組の最適数は、物体の繰り返し運動の周波数に依存することが出来る。周波数が高いほど、所定の時間間隔の間に記録される以前にサンプリングされたデータの組の数は多くなる。
【0041】
サンプリングされたデータが比較される、以前にサンプリングされたデータの組の最適数は、物体検出器装置の動作環境に依存することが出来る。動作環境が汚いほど、そのとき、物体が偶然に検出されるのを避けるために、必要であるデータの組は多くなる。
【0042】
好適には、サンプリングされたデータの組は、少なくとも2つの以前にサンプリングされたデータの組と比較される。或る状況では、好適には、サンプリングされたデータの組は、少なくとも3つの以前にサンプリングされたデータの組と比較され、より好適には、少なくとも4つの以前にサンプリングされたデータの組と比較される。好適には、サンプリングされたデータの組は、8個以下の以前にサンプリングされたデータの組と比較され、より好適には、6個以下の以前にサンプリングされたデータの組と比較され、特に好適には、5個以下の以前にサンプリングされたデータの組と比較される。
【0043】
好適には、解析器は、清潔環境モードと汚染環境モードのどちらかで動作することが出来る。好適には、汚染環境モードでサンプリングされたデータが比較される、以前にサンプリングされたデータの組の数は、清潔環境モードの場合のそれの2倍である。
【0044】
サンプリング・パラメータは、解析器が動作するのは清潔環境モードであるか汚染環境モードであるかを含むことが出来る。物体の傍に削り屑や液体などの汚染物がありそうな場合には、オペレータは解析器を汚染環境モードで動作するように設定したいと望むこととなる。例えば、これは、物体が冷却剤を浴びせられるときの場合のこととなる。
【0045】
好適には、サンプリングされたデータの組は、バイナリ・データを含む。サンプリングされたデータの組の各データ・エントリは、任意の数のビットを含むことが出来る。随意的に、2ビット以上のデータを各データ・エントリに蓄積できる。そのような場合には、受信器での信号の強度を記録することが出来るだろう。好適には、サンプリングされたデータの組の各データ・エントリは、1ビットだけのデータを含む。従って、データの各セクションは2つの値の1つだけを持つことが出来る。これは、3つ以上の考えられる値を比較しなければならない場合より比較するのが簡単である。
【0046】
好適には、サンプリングされたデータの組の中の各データ・エントリは、解析器によってとられた1つのサンプルを表す。好適には、サンプリングされたデータは、スクロール式に第1と第2のデータの組に加えられる。好適には、解析器は、サンプリングされたデータをサンプリングされたデータの組の1端に加えるように構成される。好適には、サンプリングされたデータの組が一杯の場合は、解析器は、新しくサンプリングされたデータが加わる都度、最も古いサンプリングされたデータをサンプリングされたデータの組から取り除くように構成される。好適には、第1と第2のサンプリングされたデータの組は、最初に入ったものは最初に出るという規則を守る。
【0047】
好適には、サンプリングされたデータの組から取り除かれる最古のサンプリングされたデータは、少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組に動かされる。従って、好適には、以前にサンプリングされたデータの組は、そのそれぞれの第1と第2のサンプリングされたデータの組から取り除かれたデータで満たされる。
【0048】
Xがサンプリングされたデータの組の中のデータ・エントリの数を表すとして、X個のサンプルがとられる毎に、第1のサンプリングされたデータの組と第2のサンプリングされたデータの組は、それらの以前にサンプリングされたデータの組と比較することが出来る。この場合、サンプリングされたデータの組の中のデータが新しいデータと完全に置き換わる毎に、比較が行われる。
【0049】
第1のサンプリングされたデータの組と第2のサンプリングされたデータの組は、そのそれぞれの少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組と、より高頻度で比較することが出来る。好適には、少なくとも(X−1)個のサンプルがとられる毎に、第1のサンプリングされたデータの組と第2のサンプリングされたデータの組とが、そのそれぞれの少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組と比較される(ここでXは、サンプリングされたデータの組の中のデータ・エントリの数を表す。)。
【0050】
より好適には、第1のサンプリングされたデータの組と第2のサンプリングされたデータの組が、新しいサンプルがサンプリングされたデータの組に加わる毎に、そのそれぞれの少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組と比較される。従って、第1のデータの組と第2のデータの組とが、そのそれぞれの少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組と比較される速度は、サンプリング速度と同じにすることが出来る。
【0051】
これは、第1のサンプリングされたデータの組と第2のサンプリングされたデータの組の中の、 および/またはそのそれぞれの少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組の中の誤りビットの迅速な削除を可能にする。誤りビットは、物体の特徴物を検出したことを不正確に示すビットとすることが出来る。そのような誤りビットは、例えば、電子回路における不正確さによって、または、物体の特徴物のように見える汚れの検出によって引き起こされる可能性がある。
【0052】
好適には、受信器は、電磁波(EMR)を受信するために構成される。 従って、好適には、受信器は、EMR受信器を備える。好適には、受信器は、物体から光信号を受信するように構成される。従って、好適には、受信器は、光受信器を備える。光信号は、赤外から紫外までの範囲の任意の信号であってよい。好適には、光信号は、可視の信号である。光信号は、反射された周辺光であってもよい。当然のことながら、適当な光受信器は、フォトダイオード、フォトトランジスタ、イメージ・センサ、電荷結合デバイス(CCD)、および相補的金属−酸化膜―半導体(CMOS)検出器を含む。
【0053】
好適には、物体検出器装置は、信号を送信するように構成された送信器を備える。この場合、受信器によって受信した信号は、好適には、送信された信号の少なくとも部分反射である。当然のことながら、物体によって反射された信号の全てが、受信器によって検出されるとは限らず、信号のいくらかは、散乱され、受信器では検出できないこととなる。好適には、送信器は、光信号を送信するように構成される。より好適には、送信器は、レーザ・ビームを送信するように構成される。当然のことながら、適当な光送信器は、発光ダイオード(LED)およびレーザ・ダイオードのような様々な光源を含む。
【0054】
送信器と受信器は、独立に操作可能な個別のユニット内にあってもよい。好適には、送信器と受信器は、単一のユニットの中にある。
【0055】
受信器は、物体から反射された光信号の強度を判定するために構成することが出来る。好適には、送信器は、物体から反射される光信号の判定された強度に応じて、送信器から放出される光信号の強度を制御するように構成される。好適には、物体から反射される光の判定された強度が所定の閾値の上であるときは、送信器は、送信器から放出される光信号の強度を低減するように構成される。好適には、物体から反射された光の判定された強度が所定の閾値以下のときは、送信器は、送信器から放出される光信号の強度を増加させるように構成される。
【0056】
物体は、切削工具であってもよい。例えば、物体は、ドリルビットであってもよい。
【0057】
好適には、サンプリングされたデータの組のデータ・エントリの全てが同じ値を持つときには、解析器は、物体が検出されたことを示す信号を出力しないように構成される。
【0058】
本発明の第2の態様によれば、繰り返し運動を有する物体からの信号を受信するように構成された受信器であって、信号は物体の繰り返し運動の周波数に依存している周波数で繰り返している受信器と、サンプリング・パラメータの第1の組によって信号を第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングし、第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて第1の出力信号を発生し、サンプリング・パラメータの第1の組とは異なるサンプリング・パラメータの第2の組を用いて、同時に信号を第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングして、第2のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて第2の出力信号を発生するように構成された解析器とを備えた物体検出器装置が提供される。
【0059】
本発明の第3の態様によれば、繰り返し運動を有する物体からの信号を受信するように構成された受信器であって、信号は物体の繰り返し運動の周波数に依存している周波数で繰り返している受信器と、サンプリング・パラメータの第1の組によって受信器によって受信した第1の信号をサンプリングして、第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて第1の出力信号を発生するように構成された解析器であって、サンプリング・パラメータの第1の組とは異なるサンプリング・パラメータの第2の組により、第1の信号に引き続いて受信器によって受信した第2の信号を引き続きサンプリングして、第2のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて第2の出力信号を発生するように構成可能な解析器とを備えた物体検出器装置が提供される。
【0060】
本発明の第4の態様によれば、繰り返し運動を有する物体からの信号を受信するように構成された受信器であって、信号は物体の繰り返し運動の周波数に依存している周波数で繰り返す受信器と、サンプリング・パラメータの第1の組によって信号を第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングし、第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされているデータの組との比較に基づいて第1の出力信号を発生するように構成された解析器と、サンプリング・パラメータの第1の組が解析器へ入力できるような入力機構とを備えた物体検出器装置が提供される。
【0061】
随意的に、入力機構は、利用者が手動でサンプリング・パラメータの第1の組を入力できるように構成することが出来る。
【0062】
随意的に、入力機構は、利用者が手動で物体の繰り返し運動の周波数を入力できるように構成することが出来る。この場合、入力機構と解析器の少なくとも1つを、利用者によって入力された物体の繰り返し運動の周波数に基づいてサンプリング・パラメータの第1の組を判定して設定するように構成することが出来る。
【0063】
好適には、入力機構は、物体の繰り返し運動の周波数を判定するように動作できるフィードバック機構を備える。入力機構と解析器の少なくとも1つを、物体の繰り返し運動の判定された周波数に基づいてサンプリング・パラメータの第1の組を判定して設定するように構成することが出来る。
【0064】
フィードバック機構を、物体の繰り返し運動の周波数を示す、物体を駆動している機械からの信号を受信するように構成することが出来る。フィードバック・デバイスを、そのような信号を連続して受信し、物体の繰り返し運動の周波数の変化に合わせてサンプリング・パラメータの第1の組を連続して計算するように構成してもよい。
【0065】
フィードバック機構を、物体の繰り返し運動の周波数を検出するように構成してもよい。フィードバック機構は、受信器によって受信したマーカ信号の周波数を判定してもよい。マーカ信号を、物体または物体を繰り返しの様式で動かす機械の一部分のどちらかの上のマーカによって作ってもよい。フィードバック機構は、つぎに、マーカ信号の判定された周波数から繰り返し運動の周波数を計算してもよい。
【0066】
好適には、解析器は、フィードバック機構を備える。好適には、受信器は、マーカ信号を受信するように構成される。より好適には、解析器は、解析器が受信器によって受信した信号を解析して物体の存在を判定する物体検出モードと、解析器が受信器によって受信した信号を解析して物体の運動の周波数を判定するフィードバック・モードとで選択的に動作するように構成される。好適には、物体検出器装置は、解析器が物体検出モードとフィードバック・モードとの間を選択的に切り替えることを可能にするモード選択器を備える。好適には、モード選択器は、利用者によって操作できる。これは、例えば、物体検出器装置上のスイッチ経由、または、例えば、コンピュータのプログラム経由としてもよい。
【0067】
好適には、マーカ信号は、光信号である。マーカ信号を、受動的なマーカ特徴物によって作ってもよい。例えば、マーカ特徴物は、光信号を反射してもよい。光信号は、赤外から紫外の範囲内の任意の信号であってもよい。好適には、光信号は、可視の信号である。光信号は、反射された周辺光であってもよい。随意的に、物体検出器装置は、反射される光を送信する光信号源を備えてもよい。マーカ信号は、能動的なマーカ特徴物によって作られてもよい。例えば、マーカ特徴物は、光を送信してもよい。例えば、マーカ特徴物は、LEDであってもよい。
【0068】
好適には、入力機構は、物体の繰り返し運動の判定された周波数に基づいてサンプリング・パラメータの第1の組を判定するように構成される。
【0069】
本発明の第5の態様によれば、上記のように物体検出器装置を取り込んでいる機械工具装置が提供される。
【0070】
本発明の第6の態様によれば、物体の存在を検出する方法であって、(i)繰り返し運動を有する物体から信号を受信するステップであって、信号は、物体の繰り返し運動の周波数に依存した周波数で繰り返しているステップと、(ii)受信した信号を、サンプリング・パラメータの第1の組によって第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングして、第1のサンプリングされたデータの組と第1の以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて出力信号を発生するステップと、(iii)受信した信号を、サンプリング・パラメータの第1の組とは異なるサンプリング・パラメータの第2の組によって第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングして、第2のサンプリングされたデータの組と第2の以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて出力信号を発生するステップとを備えることを特徴とする方法を提供する。
【0071】
当然のことながら、本発明の方法は、上記した実施形態によって動作するように構成されてもよい。例えば、第2のサンプリングされるデータの組にサンプリングされる信号は、第1のデータの組にサンプリングされる信号に引き続いて受信器によって受信した信号であってもよい。好適には、第1のサンプリングされるデータの組にサンプリングされる信号は、第2のサンプリングされるデータの組にサンプリングされる信号と同じ信号である。受信された信号をサンプリング・パラメータの第2の組によってサンプリングするステップは、サンプリング・パラメータの第1の組によって受信された信号をサンプリングするステップと実質的に同時に起こってもよい。
【0072】
方法は、(i)に引き続いて、(ii)の前に、サンプリング・パラメータの第2の組を入力するステップと、サンプリング・パラメータの第2の組を用いるために解析器を再構成するステップを備えることが出来る。
【0073】
方法は、物体の繰り返し運動の周波数を判定するステップを備えることが出来る。この場合、方法は、物体の繰り返し運動の判定された周波数に基づいて、サンプリング・パラメータの第1の組と第2の組の中の少なくとも1つを判定するステップを更に備えることが出来る。
【0074】
方法は、物体の運動の周波数を示す、物体を駆動している機械からの信号を受信するステップを備えることが出来る。随意的に、方法は、物体の運動の周波数を判定するステップを備えることが出来る。方法は、受信器によって受信したマーカ信号の周波数を判定するステップを備えることが出来る。マーカ信号は、物体または物体を繰り返しの様式で運動させる機械の一部分のどちらかの上のマーカによって作られてもよい。方法は、マーカ信号の判定された周波数から繰り返し運動の周波数を計算するステップを更に備えてもよい。
【0075】
本発明の実施形態は、例示にしか過ぎない形式で、以下の図面を参照して記述される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】切削工具検出器として用いる本発明による物体検出器装置を示す図である。
【図2】図1に示された物体検出器装置の内部の概略図である。
【図3a】本発明による物体検出器装置の代替の構成を示す図である。
【図3b】本発明による物体検出器装置の代替の構成を示す図である。
【図4】図1および図2に示された物体検出器装置に用いられる回路網のブロック回路図である。
【図5−1】図5a、図5b、および図5cは、図4に示された回路網の図的表現を示す図である。
【図5−2】図5d、図5e、図5f、および図5gは、図4に示された回路網の図的表現を示す図である。
【図6】図4に示された回路網の代替の動作の図的表現を示す図である。
【図7】本発明の代替の利用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
ここで図面を参照すると、図1は、本発明による物体検出器装置10、機械など(図示せず)にデバイスを固定するための取り付け金具80、および物体検出器装置10によって検出されるべき工具30の一部分を示す。
【0078】
図2に示すように、物体検出器装置10は、レーザ・ダイオードの光送信器(レーザ)12を含む筐体26と、送信器の集束レンズ14と、受信器レンズ16と、フォトダイオードの光受信器(フォトダイオード)18と、解析器回路網20とを備える。物体検出器装置10は、出力線28を経由して機械工具制御器50に電気的に結合される。機械工具制御器50は、工具30の動作を制御する機械工具の動作を制御する。
【0079】
使用状態では、レーザ12によって送信された光は、工具30が出力光路52に沿って期待される点にほぼ集束される。工具30が存在するときは、送信された光の少なくとも一部分は、反射光路54に沿って反射される。反射された光54は、次いで、受信器レンズ16によってフォトダイオード18上に集束される。
【0080】
機械加工の環境では、破片の粒子が光路52、54とレンズ14、16を不明瞭にする。これを緩和するためには、物体検出器装置10は、送信器集束レンズ14の場所に空気供給器22を備える。空気供給器22は、筐体26の中から開口24を通して機械加工環境へ空気が連続して流れるように空気の連続した流れを供給する。この連続した陽圧は、破片が筐体26に入り込み、また筐体の部分に付着し、光路52に沿ってレーザ―フォトダイオード光送信器12により送信されたレーザの伝播を邪魔するのを防ぐ助けになる。
【0081】
破片の問題を更に緩和するために、受信器レンズ16を必要な大きさの約2倍にする。従って、受信器レンズ16の表面の半分まで粒子や油の膜で覆われてもよく、信号が適切に受信できるように、なお十分な表面の面積が残っている。このように、反射された信号が、最適の反射光路54からずれてもなお受信できるように、系は、冗長に作られている。
【0082】
記述される実施形態では、検出器デバイス10は、物体の存在を検出するための解析器回路網20を含む。解析器回路網20は、筐体内に搭載される。当然のことながら、解析器回路網20は、筐体24の外に、作業環境から遠くに離れて置かれてもよい。フォトダイオード光受信器18で受信した光の強度を示す信号は、信号が物体の存在を示すかどうかを判定する解析器回路網20へ伝わる。解析器回路網20は、信号が物体が存在していることを示すと判定するとき、次いで、物体検出信号を出力線28に沿って機械工具制御器50へ出力する。解析器回路網20とその動作は、図4と関連して以下により詳しく記述されるであろう。
【0083】
図3aと3bは、本発明による物体検出器装置の代替の実施形態を示す。図3aと3bでは、物体検出器装置102、218、218´は、送信器デバイス100、212、212´とは別のデバイスとして提供される。レーザ・ダイオード光送信器112、送信器集束レンズ114、受信器レンズ116、およびフォトダイオード光受信器118が図3aに示されている。
【0084】
図3aに示されるように、送信器デバイス100と物体検出器装置102とは、お互いに垂直に変位している。
【0085】
図3bでは、送信器デバイスと物体検出器装置の2組が備えられる。各組では、送信器/検出器の対は、実質的に同じ垂直面に在るが、工具30の回転している軸の周りに半径方向に変位している。ある場合には、送信器212と検出器218の間の変位の角度は90度未満である。他の場合には、送信器212´と検出器218´の間の変位の角度は90度と180度との間である。
【0086】
図4を参照すると、解析器回路網は、クロック発振器42と分割回路40とを備える。ディバイダ40は、2つの同期した出力を発生する。第1の出力は、レーザ・ダイオード駆動器63の制御のもとでレーザ12をトリガーするための信号であり、第2の出力は、サンプリングと保持回路44への信号である。分割回路からの信号は、約125kHzで動作する。この周波数で、レーザ12は、機械操作者または観測者には弱いレーザ出力であると思われる速度で、定常的に発光のオンとオフを行う。このようにレーザ12の平均光出力52は、現行のレーザを保護なしで見る受容限界以下である。結果として、レーザ12の出力52は、操作者にとって安全である。
【0087】
レンズ16に戻る反射された光54と周辺光とは、フォトダイオード18で検出され、そのアナログ信号は2段増幅器46/48で増幅される。直流分再生器50は、適当な電圧の周りの交流信号を例えば、周辺光のレベルの変化による揺動を停止させるために保持する。サンプリングと保持回路44は、クロック分割回路40からの同期した信号によってレーザ12とほぼ同時にトリガーされる。増幅器46/48によって発生した信号は、レーザ光52が1回光ったことを表す。
【0088】
サンプリングと保持回路からの信号37は、実際には、1つのサンプリングには約8μSecかかるが、周波数が高く(125kHz)、図5aに示すように連続して見える。
【0089】
サンプリングと保持回路44からの信号は、次に、低域フィルタ56で濾波され不要な高周波雑音を取り去る。フィルタからの周期的アナログ信号は、次に、分割され、信号比較器58と参照電圧発生回路網60とに供給される。参照電圧発生回路網60は、ピーク信号強度検出器62とパーセント分割回路64を備えている。
【0090】
このように、参照電圧回路60からの出力(Vref)は、低域フィルタ56からのピーク・アナログ信号強度のパーセントである。この参照電圧Vrefは、アナログ信号37と比較され、比較器58は、アナログ信号が 参照電圧を超えるときだけ出力を発生する。
【0091】
これが起こるのは、光検出器での光の量が異常に高いとき、すなわちレーザ光54がフォトダイオード18上に反射されるときだけである。比較器58からの出力66は、図5bに示される。
【0092】
工具30が回転していて、歯または他の不規則物を有する場合には、歯または他の不規則物が、光52のパルスの中へ動きフォトダイオード18によって検出される反射54を引き起こすので、光検出器によって検出される光量は規則的にピークとなる。パルスは、頻繁に起こるので、回転している歯などは、検出解析器回路網20によって見落とされることはない。
【0093】
比較器58からの出力は、PICマイクロコントローラ・ユニット68に送り込まれる。PICマイクロコントローラ・ユニット68は、はじめにプログラミング入力線91を経由して設定され、サンプリング速度と同期を保つためにクロック発振器42からの入力をもつ。PICマイクロコントローラ・ユニット68は、信号比較器58から受信したディジタル信号66を解析して、信号比較器58からの信号が工具30を検出したことを示すか否かを示す出力信号を発生する。PICマイクロコントローラ・ユニット68からの出力信号は、リレー駆動器70と固体リレー(SSR)72を通して、単純24ボルトのオン/オフ信号を備えたスキップ線として知られる線を経由して、機械工具制御器50へ入力される。この信号は、次に、工具30の動作を制御するために機械工具制御器50によって用いられる。
【0094】
以下により詳しく記述するように、異なるサンプリング・パラメータがPICマイクロコントローラ・ユニット68に入力できるように、PICマイクロコントローラ・ユニット68は、サンプリング・パラメータ入力線90をもつ。
【0095】
信号37の強度は、フォトダイオード18で受信した光信号の強度に依存している。フォトダイオード18で受信した光の強度が高すぎるか低すぎると、受信信号の中でピークを検出することは困難である。フォトダイオード18で受信した光の強度は、レーザ12の出力パワー、物体とフォトダイオード18との間の距離、およびどれくらい物体が反射するかのような多くの異なる要因に依存することが出来る。
【0096】
線61は、ピーク信号強度検出器62からのピーク信号強度を示す信号を、レーザ12の動作を駆動するレーザ・ダイオード駆動器63へ運ぶ。レーザ・ダイオード駆動器63は、線61から受信した信号を、好ましい上下の閾値限界値と比較する。線61から受信した信号が上閾値限界値の上か下閾値限界値以下である場合は、次いで、レーザ・ダイオード駆動器63は、ピーク信号強度が上下の閾値限界値以内になるようにレーザ12の出力パワーを調節する。ここで記述する実施形態では、レーザ12の出力パワーは、ピーク信号強度が出来るだけ4ボルトに近くなるようにレーザ・ダイオード駆動器によって制御される。従って、この場合、上下の閾値限界値は、それぞれ4.01ボルトと3.99ボルトである。
【0097】
ここでは、PICマイクロコントローラ・ユニット68の動作が、図5aから5eを参照してより詳しく説明されるであろう。
【0098】
PICマイクロコントローラ・ユニット68は、PICマイクロコントローラを1つ備えることが出来るし、或いは、並行して動作することが出来る複数のPICマイクロコントローラを備えることが出来る。PICマイクロコントローラ・ユニット68の動作は、PICマイクロコントローラ・ユニット68が複数のPICマイクロコントローラを備え、検出されるべき工具30が200rpmで回転している実施形態に関してまず記述されるであろう。
【0099】
PICマイクロコントローラ・ユニット68は、信号比較器58からの信号を受信し、その信号を各PICマイクロコントローラへ提供する。 各PICマイクロコントローラは、異なる回転速度で回転している工具を検出することが出来るように、信号比較器58からの信号を異なるサンプリング基準を用いてサンプリングするように設定される。ここで記述する実施形態では、第1のPICマイクロコントローラは、200rpmで回転している工具を検出するために設定され、第2のPICマイクロコントローラは、300rpmで回転している工具を検出するために設定される。更に、第1と第2のPICマイクロコントローラ両方は、設定された回転速度で回転している工具の1回転につき12個のサンプルを得るように設定される。
【0100】
カッターの歯の数が12の因数となっているだろうから、1回転当たり12個のサンプルは、好適である。もしそうであれば、歯を検出する信号は、サンプル時間の縁ではなくサンプル時間の中途で起こる。結果として、歯を検出する信号が、検出の3回転以上の間に1つのサンプル位置から隣接するサンプル位置へ浮遊する危険性は減り、従って相関データがないために工具が検出されない機会は減る。
【0101】
従って、第1のPICマイクロコントローラのサンプリング周期は約25mSであり、第2のPICマイクロコントローラのサンプリング周期は約 16.6mSである。
【0102】
信号比較器58からの信号が、信号比較器から第1のPICマイクロコントローラによってそのサンプリング周期内に受信される場合は、次いで第1のPICマイクロコントローラは、この事象をバイナリ“1”としてそのレジスタに記録し、他の場合はバイナリ“0”が記録される。同様に、信号比較器58からの信号が、信号比較器から第2のPICマイクロコントローラによってそのサンプリング周期内に受信される場合は、次いで第2のPICマイクロコントローラは、この事象をバイナリ“1”としてそのレジスタに記録し、他の場合は、バイナリ“0”が記録される。
【0103】
第1のPICマイクロコントローラの記録するステップは、図5cに示した第1の24ビット・レジスタ70にスクロール式に入って、1箇所で新しいデータを古いデータと常に置き換える。同様に、第2のPICマイクロコントローラの記録するステップは、図5fに示した第2の24ビット・レジスタ72にスクロール式に入って、1箇所で新しいデータを古いデータと常に置き換える。
【0104】
ここに記述する実施形態では、2個のPICマイクロコントローラがあるが、当業者には当然のことながら、同じ方法と技術は、任意の数のサブ処理ユニットに適用可能である。例えば、PICマイクロコントローラ・ユニット68は、少なくとも3個のPICマイクロコントローラを備えることが出来る。
【0105】
図5cの24ビットレジスタ70は、図5aと5bに示した信号に対応する、工具30の2回転分に対する第1のPICマイクロコントローラの記録するステップを示す。例示の目的で、24ビット・レジスタ70は、2つの12ビット・レジスタ、すなわち第1のサブレジスタ74と第2のサブレジスタ76に分割される。第1のサブレジスタ74は、第2のサブレジスタ76に記録された工具30の回転の前の工具30の回転中に記録されたデータを表す。第1のサブレジスタ74の中のデータは、第2のサブレジスタ76から移される。
【0106】
第1のサブレジスタ74と第2のサブレジスタ76のエントリは、図示のように排他的OR演算されて第1の結果レジスタ78を得る。第1の結果レジスタ78は、第1のサブレジスタ74と第2のサブレジスタ76の中のデータが一致するときだけ全て0である。すなわち同じデータのパターンを持つときだけ一致する。
【0107】
回転している工具などが光をフォトダイオード18上に、工具の各回転の期間の同じ時点で反射するときは、第1のサブレジスタ74と第2のサブレジスタ76は、同じデータのパターンを持つ。このように、ここで記述する実施形態では、第1の結果レジスタ78は、工具が200rpmで回転しているときは全て0を含む。
【0108】
追加的に、第1のサブレジスタ74と第2のサブレジスタ76とが全て1または全て0を含むときに、第1の結果レジスタ78は、全て0を含む。これは、工具が存在しないときか、光ビーム52が常にフォトダイオード18上に反射されている時か、または過剰な光がフォトダイオード18に達している時に起こりうる。上記のいずれかの事象が工具検出器を誤ってトリガーさせることを避けるために、論理回路が用いられる。第1のサブレジスタ74と第2のサブレジスタ76とが、全て1または全て0を含むときは、論理0が第1のANDゲート80に入れられる。第1のサブレジスタ74と第2のサブレジスタ76とが全て1または全て0でなく、かつ、第1の結果レジスタ78が全て0の時だけ、第1のANDゲートは出力をトリガーする。
【0109】
両レジスタが、フォトダイオード18で受信された信号を表すデータで満たされるのに十分長く工具が送信光路52に保持されると、第1のサブレジスタ74と第2のサブレジスタ76との比較が起こる。ここで記述される実施形態では、引き続きの比較は、第2のサブレジスタ76の内容が工具の更なる完全な1回転からの新しいデータで置き換えられたときにだけ起こる。しかしながら、引き続く比較は、より頻繁に(またはより少ない頻度で)、行ってもよい。例えば、引き続く比較は、新しいデータ・エントリが第1のレジスタ70に加わるたびに起こってもよい。
【0110】
図5fの24ビット・レジスタ72は、図5dと5eに示した信号に対応する、工具30の約1.5回転に対する第2のPICマイクロコントローラの記録するステップを示す。図5dと5eに示した信号は、図5aと5bに示したのと同じ時間にとった正確に同じ信号であるが、例示の容易さのために本図に再現した。また例示の目的のために、24ビット・レジスタ72は、2つの12ビット・レジスタ、すなわち第3のサブレジスタ82と第4のサブレジスタ84とに分割される。第3のサブレジスタ82は第4のサブレジスタ84に記録されたデータの前に記録されたデータを表す。第3のサブレジスタ82のデータは、第4のサブレジスタ84から移された。
【0111】
第3のサブレジスタ82と第4のサブレジスタ84のエントリは、図示のように排他的OR演算され、第2の結果レジスタ86を得る。第2の結果レジスタ86は、第3のサブレジスタ82と第4のサブレジスタ84のデータが一致するときにのみ全て0となり、それらが順に同じデータのパターンを持つときのみ一致する。
【0112】
図示された実施形態では、第2のPICマイクロコントローラのサンプリング速度は、この例では、信号54を反射している工具30の回転速度である200rpmではなくて、300rpmで回転している工具を検出するように構成される。従って、見てわかるように、サンプリング周期は短すぎて、工具が完全に1回転する前に、第3のレジスタ82は満たされ、第4のレジスタ84は満たされ始める。従って、図5fに示すように、第3のレジスタ82と第4のレジスタ84は、異なるデータのパターンを含み、第2の結果レジスタ86は、全てOを含むものではない。従って、第2のANDゲート88からの出力はない。
【0113】
第1の結果レジスタ78と同じように、第3のサブレジスタ82と第4のサブレジスタ84が全て1または全て0を含むときに、第2の結果レジスタ86は全て0を含む。 従って、そのような事情が誤った信号を出力するのを防ぐための論理回路が用いられる。もし第3のサブレジスタ82と第4のサブレジスタ84が、全て1または全て0を含む場合は、次いで、第2のANDゲート88で論理0が入れられる。第3のサブレジスタ82と第4のサブレジスタ84が、全て1ではない、または全て0ではなく、第2の結果レジスタ86が全て0のときのみ、第2のANDゲート88は出力をトリガーする。
【0114】
第1のPICマイクロコントローラと第2のPICマイクロコントローラは、並行して動作する。図5gに示すように、第1のANDゲート80と第2のANDゲート88からの出力AとBはOR演算され、物体検出出力信号を得る。従って、解析器回路網20が物体検出出力信号を出力するためには、唯一必要なことは、第1のPICマイクロコントローラと第2のPICマイクロコントローラのうちの1つが工具を成功して検出することである。
【0115】
当然のことながら、第2のPICマイクロコントローラは、工具を検出し、工具30の回転の周期が、第2のサブプロセッサ内の1つの12ビット・レジスタを満たすためにかかる期間と同じであるときに、第2のANDゲート88は、信号を出力する。従って、本実施形態では、第2のPICマイクロコントローラは、(12個の16.6mSのサンプルに等しい回転の周期である)300rpmで回転している工具を検出する。
【0116】
解析器回路網20から出力を発生するために、フォトダイオード18によって受信される信号内に変化を生じさせる特徴物を有する回転物体が必要であることが前述の説明からわかるであろう。
【0117】
代替の実施形態では、第1のサブレジスタ74と第3のサブレジスタ82の内容は、過去に使われたデータ源から選択された、あるいはダウン・ロードされた、以前に記録されたデータを含むことが出来る。本実施形態では、サブレジスタは、前記した様式で比較される。
【0118】
PICマイクロコントローラ・ユニット68が、1個のPICマイクロコントローラだけを備える実施形態では、PICマイクロコントローラ・ユニット68は、図5aから5cと関連して上記し、図5dから5fと関連して上記したものと正確に同じ様式で動作する。しかしながら、異なる2つのサンプリング・パラメータによって並行して、信号比較器58からの信号を解析できるというより、PICマイクロコントローラ・ユニット68は、1度にサンプリング・パラメータの1組によって信号比較器58からの信号を解析することが出来るだけである。
【0119】
PICマイクロコントローラ・ユニット68は、200rpmのような第1の回転速度で回転している工具を検出するために初期設定することができる。この場合、サンプリング・パラメータは、信号比較器58からの信号を12ビット・レジスタへサンプリングすることとなり、ここではサンプリング周期は25mSである。そこで、PICマイクロコントローラ・ユニット68は次いで、引き続き、300rpmのような異なる回転速度で回転している工具を検出するために、異なるサンプリング・パラメータで設定されてもよい。これは、例えば、物体の回転速度を判定して、それを入力線90を経由してPICマイクロコントローラ・ユニット68へ入力する機械工具制御器50によって行われてもよい。PICマイクロコントローラ・ユニット68は、次いで、用いるべきサンプリング・パラメータを判定することが出来る。この場合、サンプリング・パラメータは、信号比較器58からの信号を12ビット・レジスタへサンプリングすることとなる。ここでサンプリング周期は16.6mSである。
【0120】
同様に、PICマイクロコントローラ・ユニット68が、複数のPICマイクロコントローラを備える実施形態において、入力線90を、複数のPICマイクロコントローラのうちの1つまたは複数によって用いられるサンプリング・パラメータを構成するために用いることが出来る。
【0121】
当然のことながら、入力線90は、機械工具制御器に接続される必要は必ずしもなくて、利用者が、物体の回転速度を入力するか、または、用いるべきサンプリング・パラメータを直接入力することが出来る入力デバイスに接続されてもよい。更に、入力線90は、PICマイクロコントローラを、工具の回転速度を判定し、引き続き、用いるべき適当なサンプリング・パラメータを計算するフィードバック・モードで動作させることが出来るスイッチまたは他のデバイスに接続してもよい。検出されるべき物体上の反射性特徴物の数が既知の場合、例えば、工具上の反射性の溝の数が既知の場合には、PICマイクロコントローラは、工具自身によって反射された光を解析することによって工具の回転速度を判定するように構成されてもよい。他方、代替的な例では、親工具(master tool)を機械加工の工具のチャックに装荷してもよい。親工具は、例えば、レーザ12によって送信された光をフォトダイオード18上に、回転ごとに1回反射する単一の反射性のマーカを有してもよい。更に、反射性のマーカは、機械工具自身の回転している部分の上に備えられてもよい。従って、反射された光の周波数を判定することによって、機械工具によって回転される物体の回転速度を判定することが出来る。当然のことながら、マーカは、反射性である必要はない。マーカは、例えば、フォトダイオード18によって検出可能な光信号を送信するように構成されたLEDまたは他の光源であってもよい。
【0122】
機械冷却材の液滴が工具検出器の近くの環境に充満しているときは、これらの液滴が、工具が発見されたとする信号を誤ってトリガーすることを引き起こす可能性がある。誤ったトリガーを減らすために、データの相関を3回転以上にわたって実行することが出来る。これを、図6に関連して説明する。
【0123】
図6では、データの整合するパターンが、工具の3回転(a、b、およびc)にわたって探索される。36ビット・レジスタ92内のデータの3つの部分a´、b´、およびc´に相関するデータ(すなわち整合する1または0)が見つけられると、工具が見つけられたとする信号を発生するために、図5cと5fに示された論理回路が用いられる。4回転以上が用いられてもよい。相関データの判定は、1回転ごとに1回なされる。
【0124】
図6に示す方法では、回転あたり12個のサンプルが用いられる。すなわち、5mS毎に1個である。約1000rpmで回転している(ドリルの歯のような)2つ歯工具が検出されている。アナログ信号94が閾値Vrefより上に上昇すると、バイナリ1がレジスタ92の現在位置に挿入される。前と同様に、レジスタは、新しいデータをスクロールし、最も古いデータを押し出す。第1の信号94aが受信されると、サンプルの中央が信号94aを受け取った時点で起こるように内部のクロックがリセットされる。すなわち次のサンプルが2.5mS後にスタートする(そして、7.5ms後に終了する。)。
【0125】
この例では、60mS(1回転)の間に受信された信号がないときには、このような調節が発生し、次いで、60mSの間に集められるデータがなくなるまで12番目のサンプルの後に起こるすべての信号94b、cがとられる。
【0126】
このように、歯が再度回ってくるが工具が正確に1000rpmで回転してはいないときは、歯と工具検出器は、回転ごとに再度同期がとられる。このことは、歯の反射によって起こるデータのパターンは、1回転から別の1回転の間にレジスタ位置1から12へドリフトすることはないが、各回転時点での工具とのクロックの再同期によって各回転の間同じレジスタ位置に留まる、ことを意味する。このように、回転数を増加することは、工具の検出において、誤ったトリガーの発生または工具が検出されないことが発生するのを低減するために用いることが出来る。
【0127】
機械工具の全てが回転している工具を持つわけではない。旋盤は、一般には非回転工具と回転する工作物保持チャックを持つ。図7は、切削工具は回転しないが、動作する工具上に試料をもたらす物体が回転する旋盤などで用いる本発明の実施形態を示す。検出器10が、平面図で示されていて、搭載器80によって旋盤上の主軸台200に固定され、旋盤チャック202の方に向けられている。旋盤チャック202は、矢印Aの方向に回転する。上記したように、チャックが回転すると、チャック上の反射性の特徴物206は、検出器10の中の解析器回路網20からの出力信号を発生させる。しかしながら、切削工具204がビーム52または54の中に持ち込まれると、出力信号は停止する。結果として、切削工具204の存在または不在は、解析器回路網20からの出力信号の状態から判定することが出来る。光ビーム52が、旋盤工具がそのビームに入ると予想される点に集束されると、より大きな精度を得ることが出来る。
【0128】
本実施形態では、工具はビームと相互作用をするときにパターンを供給するので、パターンの発生は、工具が存在することを意味するのではなくて寧ろ、その逆の事情である。工具が存在することを示すのは、チャックによって発生するパターンの不在である。それぞれの場合、パターンを発生するか、パターンを曖昧にするようなデータ流の変化が工具の存在を示す。
【0129】
更に、本発明は、回転していない物体を検出するために用いることが出来る。例えば、光路52に出入りする物体のような一定の周波数で振動する物体を検出することが出来る。光検出器18によって検出される光量は、物体が光路52中へ動くときに規則的にピークになり、フォトダイオード18によって検出される反射54を起こさせる。
【0130】
例として、非回転物体は、1Hzで振動していて、この物体は、毎秒1回、光路52の中に入る。図6を参照すると、信号94は、フォトダイオード18によって受信した信号を表すことが出来る。信号94におけるピークは、送信された光路52の中へ入っており、光路54に沿って光を反射して戻すような物体の存在を表し、波の谷は光路52からの物体の不在を表す。
【0131】
ここで記述される実施形態では、PICマイクロコントローラは、1Hzで振動する物体を検出するために設定される。 特に、PICマイクロコントローラは、約166mSごとに1回信号94をサンプリングするように設定され、物体の振動毎に6個のサンプルがとられる。更に、各レジスタは、12ビットの長さであるので、2回の振動全体が各レジスタa´、b´、およびc´に記録される。PICマイクロコントローラは、1Hzで振動している物体を検出するように正しく設定されているので、 各a´、b´、およびc´は、バイナリ“l”をそれらのレジスタの同じ場所に含む。従って、上記の方法を用いたこれら3つのレジスタの比較は、物体が存在することの判定を導くことになる。PICマイクロコントローラが、3Hzで振動する物体のような異なる周波数で振動する物体を検出するように設定された場合には、バイナリ“1”は、3個のレジスタの各々の異なる位置に位置し、物体の非検出が導かれる。
【0132】
ここまでに記述した実施形態では、工具またはチャックのような物体から反射された光は、受信器へ向けられる。代替の例では、物体から放出された光を、受信器へ向けることが出来る。例えば、物体は、LEDを備えることが出来る。
【0133】
機械工具制御器50内のソフトウェアは、(回転工具または非回転旋盤型工具のいずれかの)工具が検出されたときに、機械切削プログラムが機械加工工程を実行することを知らせるために用いることが出来る。
【0134】
本発明の範囲内である多くの変形が、当業者には容易に明らかであろう。例えば、工具以外の物体の検出は、検出されるべき物体または物体の近くのある部分が動いている限りは、可能である。
【0135】
レーザ光が記述されたが、任意の可視のまたは非可視の光が、周囲光を含む任意の光源から与えられてもよい。36ビットまでのバイナリ・レジスタが記述されたが、他のサイズが可能であり、また、必ずしもバイナリ・データを用いなくてもよい。
【0136】
上記を促進する形で、工具から反射された光に対応する信号を送るためのユニットを備えることが出来る。このように、検出器の近傍に工具を持っていく必要なく、工具検出器は、機械工具上に取り付けられチェックされる。ユニットは、単純な回転鏡、または他の反射性の表面を備えることが出来るが、好適には、工具検出器によって送られた同様のパルスに応答してレーザ光のパルスを発生する固体の配列である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体検出器装置であって、
繰り返し運動を有する物体から信号を受信するように構成された受信器であって、前記信号は、前記物体の前記繰り返し運動の周波数に依存した周波数で繰り返している受信器と、
前記受信器によって受信した信号をサンプリング・パラメータの第1の組によって第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングし、前記第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて出力を発生するように構成された解析器と
を備え、
前記解析器は、前記受信器によって受信した信号を、前記サンプリング・パラメータの第1の組とは異なるサンプリング・パラメータの第2の組を用いて第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングし、前記第2のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて出力を発生するように動作することができることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項2】
請求項1に請求の物体検出器装置において、前記第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングされた信号は、前記第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングされた信号と同じ信号であることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項3】
請求項2に請求の物体検出器装置において、前記解析器は、前記信号を前記第1のサンプリングされたデータの組へサンプリングし、前記信号を前記第2のサンプリングされたデータの組へ実質的に同時にサンプリングするように動作できることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項4】
請求項2または3に請求の物体検出器装置において、前記信号を前記第1のサンプリングされたデータの組へサンプリングするように構成された第1の回路網と、前記第1のプロセッサと並行して動作し、前記信号を前記第2のサンプリングされたデータの組へサンプリングするように構成された第2の回路網を更に備えることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項5】
請求項4に請求の物体検出器装置において、前記第1のプロセッサは、前記第1のサンプリングされたデータの組と前記第1の以前にサンプリングされたデータの組とを比較し、物体が、前記比較に基づいて検出されたことがあるかどうかを示す出力信号を発生するように構成され、前記第2のプロセッサは、前記第2のサンプリングされたデータの組と前記第2の以前にサンプリングされたデータの組とを比較して、物体が前記比較に基づいて検出されたことがあるかどうかを示す出力信号を発生するように構成されることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項6】
請求項5に請求の物体検出器装置において、物体検出信号は、前記第1のプロセッサと第2のプロセッサのどちらかまたは両方が、検出中の物体を示す信号を出力するときに出力されることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項7】
請求項1に請求の物体検出器装置において、前記第2のサンプリングされたデータの組へサンプリングされた前記信号は、前記第1のデータの組へサンプリングされた前記信号とは異なる信号であることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項8】
請求項7に請求の物体検出器装置において、前記第2のサンプリングされたデータの組へサンプリングされた前記信号は、前記第1のデータの組へサンプリングされた前記信号に引き続き、前記受信器によって受信された信号であることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項9】
請求項8に請求の物体検出器装置において、前記信号を前記第1のサンプリングされたデータの組へサンプリングし、引き続き前記信号を前記第2のサンプリングされたデータの組へサンプリングするように構成された回路網を更に備えることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項10】
先行する請求項のいずれかに請求の物体検出器装置において、前記解析器によって用いられる前記サンプリング・パラメータを変えることができる入力機構をさらに備えることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項11】
請求項10に請求の物体検出器装置において、前記入力機構は、前記物体の前記繰り返し運動の前記周波数を判定し、繰り返し運動の判定された周波数に基づいて、前記解析器によって用いられる第1のサンプリング・パラメータおよび/または第2のサンプリング・パラメータを変化させるように動作可能なフィードバック・デバイスを備えることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項12】
先行する請求項のいずれかに請求の物体検出器装置において、前記受信器によって受信した信号を、前記サンプリング・パラメータの第1の組とサンプリング・パラメータの第2の組とは異なる少なくとも第3のサンプリング・パラメータの組を用いて少なくとも第3のサンプリングされたデータの組へサンプリングし、前記第3のサンプリングされたデータの組と以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて物体検出信号を出力するように動作可能であることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項13】
先行する請求項のいずれかに請求の物体検出器装置において、前記サンプリング・パラメータは、サンプリング速度を含むことを特徴とする物体検出器装置。
【請求項14】
先行する請求項のいずれかに請求の物体検出器装置において、前記サンプリング・パラメータは、第1および第2のサンプリングされた信号と比較される以前にサンプリングされたデータの組の数を含むことを特徴とする物体検出器装置。
【請求項15】
先行する請求項のいずれかに請求の物体検出器装置において、前記サンプリングされたデータの組は、バイナリ・データを含むことを特徴とする物体検出器装置。
【請求項16】
先行する請求項のいずれかに請求の物体検出器装置において、前記受信器は、物体から光信号を受信するように構成されることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項17】
先行する請求項のいずれかに請求の物体検出器装置において、信号を送信するように構成された送信器であって、前記受信器によって受信される前記信号は、送信された信号の少なくとも部分反射である送信器を更に備えることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項18】
先行する請求項のいずれかに請求の物体検出器装置において、検出されるべき前記物体は、切削工具であることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項19】
先行する請求項のいずれかに請求の物体検出器装置において、前記繰り返し運動は、回転であることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項20】
繰り返し運動を有する物体から信号を受信するように構成された受信器であって、前記信号は、前記物体の前記繰り返し運動の周波数に依存した周波数で繰り返している受信器と、
前記受信器に結合した解析器であって、前記信号をサンプリング・パラメータの第1の組によって第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングして、前記第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて第1の出力信号を発生し、同時に前記信号を前記サンプリング・パラメータの第1の組とは異なるサンプリング・パラメータの第2の組を用いて第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングして、前記第2のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて第2の出力信号を発生するように構成された解析器と
を備えることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項21】
繰り返し運動を有する物体から信号を受信するように構成された受信器であって、前記信号は、前記物体の前記繰り返し運動の周波数に依存した周波数で繰り返している受信器と、
前記受信器に結合した解析器であって、前記受信器によって受信した第1の信号をサンプリング・パラメータの第1の組によってサンプリングして、前記第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて第1の出力信号を発生するように構成され、前記第1の信号に引き続いて前記受信器によって受信した、第2の信号を、前記サンプリング・パラメータの第1の組とは異なるサンプリング・パラメータの第2の組によって引き続きサンプリングして、第2のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて第2の出力信号を発生するように構成することが出来る解析器と
を備えることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項22】
繰り返し運動を有する物体から信号を受信するように構成された受信器であって、前記信号は、前記物体の前記繰り返し運動の周波数に依存した周波数で繰り返している受信器と、
前記受信器に結合した解析器であって、前記信号をサンプリング・パラメータの第1の組によって第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングして、前記第1のサンプリングされたデータの組と少なくとも1つの以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて第1の出力信号を発生するように構成された解析器と、
前記サンプリング・パラメータの第1の組を前記解析器へ入力できる入力機構と
を備えることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項23】
請求項22に請求の物体検出器装置において、前記入力機構は、前記物体の前記繰り返し運動の前記周波数を判定するように動作可能であるフィードバック・デバイスを備えることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項24】
請求項23に請求の物体検出器装置において、前記入力機構は、前記物体の前記繰り返し運動の判定された周波数に基づいて前記サンプリング・パラメータの第1の組を判定するように構成されることを特徴とする物体検出器装置。
【請求項25】
先行する請求項のいずれかに請求された物体検出器装置を組み込んだ機械工具装置。
【請求項26】
物体の存在を検出する方法であって、前記方法は、
(i)繰り返し運動を有する物体から信号を受信するステップであって、前記信号は、前記物体の前記繰り返し運動の周波数に依存した周波数で繰り返しているステップと、
(ii)受信した前記信号を、サンプリング・パラメータの第1の組によって第1のサンプリングされたデータの組にサンプリングして、前記第1のサンプリングされたデータの組と第1の以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて出力信号を発生するステップと、
(iii)受信した前記信号を、前記サンプリング・パラメータの第1の組とは異なるサンプリング・パラメータの第2の組によって第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングして、前記第2のサンプリングされたデータの組と第2の以前にサンプリングされたデータの組との比較に基づいて出力信号を発生するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26に請求の方法において、前記第1のサンプリングされたデータの組へサンプリングされた前記信号は、前記第2のサンプリングされたデータの組へサンプリングされた前記信号と同じ信号であることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27に請求の方法において、前記サンプリング・パラメータの第2の組によって前記受信した信号をサンプリングするステップは、前記サンプリング・パラメータの第1の組によって前記受信した信号をサンプリングするステップと実質的に同時に起こることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項27に請求の方法において、前記第2のサンプリングされたデータの組にサンプリングされた前記信号は、第1のデータの組にサンプリングされた前記信号に引き続き前記受信器によって受信された信号であることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に請求の方法において、ステップ(i)に引き続き、かつステップ(ii)の前に、前記サンプリング・パラメータの第2の組を入力するステップと、前記サンプリング・パラメータの第2の組を用いるために前記解析器を再構成するステップとを更に備えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−513897(P2010−513897A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542188(P2009−542188)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004707
【国際公開番号】WO2008/074985
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】