説明

物品データ処理装置

【課題】複数の商品をカゴの中に入れた場合、カゴ内部でRFIDタグが他の商品の陰になるような配置でもRFIDタグを読取ることが出来ることを目的とする。
【解決手段】カゴの中のにある商品に貼付されているRFIDタグ内部に記憶されている識別情報を読取るための無線方式読取装置へ識別情報を読取る指示をする第1の読取指示手段と、この第1の読取指示手段に対応して無線方式読取装置から識別情報を受信する第1の受信手段と、この第1の受信手段によって受信した識別情報を所定の記憶領域に記憶する第1の記憶手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POS(Point Of Sales)システム等に用いられ、物品に取り付けられたRFID(Radio Frequency Identification)タグから物品データを読取って処理をする物品データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
販売物品である商品のそれぞれにRFIDタグ(無線タグ)を取り付けたものがある。RFIDタグ付きの商品が複数個カゴの中に入れられ、このカゴの両側に商品データ処理装置と有線で接続された無線タグリーダのアンテナを配置した技術が特許文献1に記載されている。この技術によりカゴの中にある商品を一括して読取ることが出来る。商品情報をRFIDタグから無線通信方式で読取ることにより、バーコードで一つ一つ読取る場合に比べて高速に読取ることが出来る。また、各RFIDタグにはそれぞれ異なる識別情報が記憶されており、同じ商品が複数カゴの中に入っている場合でも識別可能になる。
【特許文献1】特開平10−49756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、複数の商品をカゴの中に入れた場合、無線タグリーダのアンテナに対して、商品に取り付けられたRFIDタグが他の商品の陰になるような配置になることがある。この場合、RFIDタグが読取れない問題がある。
【0004】
本発明は、複数の商品をカゴの中に入れた場合、カゴ内部でRFIDタグが他の商品の陰になるような配置でもRFIDタグを読取ることが出来ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
カゴの中のにある商品に貼付されているRFIDタグ内部に記憶されている識別情報を読取るための無線方式読取装置へ前記識別情報を読取る指示をする第1の読取指示手段と、この第1の読取指示手段に対応して前記無線方式読取装置から前記識別情報を受信する第1の受信手段と、この第1の受信手段によって受信した前記識別情報を所定の記憶領域に記憶する第1の記憶手段と、を備えたことである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の商品をカゴの中に入れた場合、カゴ内部でRFIDタグが他の商品の陰になるような配置でも該当RFIDタグを読取ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施の形態を図1乃至図9に基づいて説明をする。図1は本発明の商品データ処理装置を含む全体図である。商品データ処理装置1はレジ台2の上に載置されている。商品データ処理装置1は商品データに関する情報を表示する表示器3や、図1には示さないがチェックアウト処理操作等を行なうためのキーボード、金銭の出し入れを行なうためのドロワ、レシート及びジャーナル印字等に用いられるプリンタ等を備えている。この商品データ処理装置1はPOS端末であっても良い。また、商品データ処理装置1は有線接続されたRFIDタグを読むための第2の読取装置のアンテナ4や重量を量る計量器5を備えている。さらに詳細は後述するが、無線によって第1の読取装置(無線方式読取装置)と通信を行う通信装置6を備えている。レジ台2とは異なるサッカー台7の上には第2の読取装置のアンテナ4や重量を量る計量器5が載置されている。第2の読取装置のアンテナ4はサッカー台の両側にそれぞれ他方に対向して設けられている。計量器5は2つの第2の読取装置アンテナ4の間に下方位置に設けられている。また、計量器5の上部はRFID付きの商品が複数入れられたカゴ8(収容体)が載置出来るようになっている。
【0008】
図2は図1で示したカゴ8(収容体)の内部の様子を拡大して示した図である。カゴ8の中には7つの商品と一つの第1の読取装置100が入っている。7つの商品にそれぞれ識別情報を記憶しているRFIDタグが貼付されている。7つの商品それぞれに番号11乃至17を付与し、対応するRFIDタグに11a乃至17aの番号を付与している。カゴ8の底には商品11と商品12が入れられ、商品11の上には商品13が商品12の上には商品15が置かれている。また、商品14は商品11及び商品12の上にまたがって置かれているとともに商品13と商品15の間に位置している。商品16は商品13の上に置かれ、商品17は商品14と商品15の上にまたがって置かれている。このような入れ方であるので、商品14に貼付されているRFIDタグ14aは第2の読取装置のアンテナ4とは商品13または商品15によって遮られ直接対向する位置になっていない。従って、RFIDタグ14aは第2の読取装置のアンテナ4に対して陰になっている配置となる。
【0009】
また、商品13と商品14の間には第1の読取装置100が配置されている。図2において、第1の読取装置100はカゴ8の中に一つのみ開示しているが個数は一つに限定されるものではなく、三つなど複数であってもよい。また、第1の読取装置100の長辺の長さはカゴ8の長辺のよりも短く、短辺はカゴ8の短辺よりも短い寸法になっている。第1の読取装置100の本体である基体の高さはカゴ8の高さよりも小さく、基体の厚みはカゴ8の幅よりも小さい寸法になっている。
【0010】
図3(a)は図2で示した第1の読取装置100を拡大して示した図である。図3(b)は変形例である。第1の読取装置は直方体のベース(基体)110に、通信装置6と無線通信を行う一つの通信アンテナ120と、商品に貼付されているRFIDタグ14aなどに記憶されている商品の識別情報を読み出すための複数の読取アンテナ131、132が設けられている。読取アンテナ131及び132が設けられている面と垂直関係になっているベース110の上面に通信アンテナ120が設けられている。読取アンテナはパッチアンテナであってもループアンテナであってもよい。
【0011】
ベース110を半分に分ける仮想線、すなわち中心を通る図示しない仮想線を想定した場合、この仮想線を中心に一方に読取アンテナ131が配置され他方に読取アンテナ132が設けられている。板状に形成されたベース110の一方の面から読取電波が放射されるように読取アンテナ131が配置され、また他方の面からも読取電波が放射されるように読取アンテナ132が配置されている。読取アンテナ131と読取アンテナ132とを、読取電波が放射される面の反対の面を合わせるように配置することにより、ベース110の周囲に死角がほぼ無くなる様にRFID読取領域を形成することが可能となる。ベース110の2つの面に読取アンテナ131と132が設けられているが、読取アンテナが設けられていない直方体のベース110の面の短辺はアンテナの一辺の長さより短い。第1の読取装置100は板状に形成されている。したがって、複数の商品がカゴ8の内部に入れられて出来た狭いスペースに挿入することが出来る。
【0012】
尚、第1の読取装置100は図3(a)に示す形状に限定されるものではない。図3(b)に示すようにベースが正6面体で総ての面に読取アンテナ131,133,134を設けたようにしてもよい。また、通信アンテナが設けられている面を上面とした場合、その側面総てには読取アンテナを設け、上面及びその反対側には読取アンテナを設けないようにしてもよい。さらにベースは直方体に限定されることは無く多面体であっても良い。多面体のベースの場合も、ベースを均等に分ける仮想線に対して双方に読取アンテナを設けていることが望ましい。
【0013】
次に、図4で第1の読取装置100の内部の回路図を説明する。第1の読取装置100はCPUや制御するプログラムを記憶しているROMや一時的なデータを記憶しているRAMなどを含む制御部150と、通信アンテナ120に関する回路ブロックと、読取アンテナ131などに関する回路ブロック及び電源部166などから構成されている。制御部151はISO18000−6に準拠したRFIDタグの通信プロトコル機能を有している。
【0014】
先ず、通信アンテナ120に関するブロックについて説明をする。通信アンテナ120に関するブロックでは、通信装置6から送信された無線波(電磁波)を受信信号として処理する受信部RX1と、RFIDタグから受取った情報を通信装置6に送信するための無線波を生成する送信部TX1を備えている。また、この通信アンテナに関するブロックでは、送信部TX1及び受信部RX1は切替器157に接続し、この切替器157はローパスフィルタ(LPF)158を介して通信アンテナ120が接続している。また、この通信アンテナ120に関するブロックでは、搬送波周波数の第1のローカルキャリアを生成するphase looked loop(PLL)部154と、PLL部154により生成された第1のローカルキャリア信号の位相を90度シフトすることにより第2のローカルキャリア信号を生成する位相シフト器162を備える。PLL部154は位相シフト器162に接続している。また、切替器157は制御部151とも接続している。切替器157は通常待機時及び通信装置6から受信するときは受信部側に設定し、データを送信する時だけ送信側TX1に設定している。
【0015】
送信部TX1には符号器152と振幅変調器153とバンドパスフィルタ(BPF)155とパワーアンプ(PA)156とが直列に接続されている。パワーアンプ156は切替器157に接続している。符号器152は制御部151から出力される送信データを例えばマンチェスタ符号あるいはFM0符号で符号化して出力する。振幅変調器153は符号器152からのデータ信号とPLL部154からの第1のローカルキャリア信号とをミキシングすることによりデータ信号を第1のローカルキャリア信号である搬送波で振幅変調した高周波信号の無線波を出力する。この無線波はBPF155で帯域制限され、さらにパワーアンプ156で電力増幅されて切替器157に供給される。切替器157はこの無線波をLPF158を介して通信アンテナ120に導く。これにより無線波は通信アンテナ120から通信装置6に向けて放射される。
【0016】
受信部RX1は通信装置6からの無線波の受信により得られた受信信号に対して直交検波を行う機能を有する。受信部RX1は2つのミキサ160,161と、2つのローパスフィルタ(LPF)162,163と合成・復調部164と復調回路165などから構成されている。切替器157とミキサ160と161は並列関係で接続し、ミキサ160とLPF161と合成・復調部164と復調回路165は直列に接続している。また、ミキサ161とLFP163と合成・復調部164も直列に接続している。また、位相シフト器162はミキサ161に接続している。
【0017】
通信装置6から受けた受信信号はアンテナ120からLPF158を介して切替器157に供給され制御部151からの指示によって受信部RX1に導かれる。ミキサ160は切替器157から受けた受信信号と第1のローカルキャリア信号とのミキシングを行い同相信号(I信号)を生成する。LPF162はミキサ160から出力した信号を受信し、ノイズ成分をI信号から除去する。合成・復号部164はLPF162からのI信号を受信する。ミキサ161は切替器157から受けた受信信号と第1のローカルキャリア信号に対して90度シフトした第2のローカル信号とのミキシングを行い直交相信号(Q信号)を生成する。LPF163はミキサ161から出力した信号を受信し、ノイズ成分をQ信号から除去する。合成・復号部164はLPF163からのQ信号を受信する。合成・復調部164はI信号及びQ信号を合成する。復調回路165は2値化機能、クロック生成機能、プリアンブル機能復号機能、エラー検出機能を含む。復調回路165は復調結果を制御部151に出力する。
【0018】
次に読取アンテナ131などに関する回路ブロックについて説明をする。読取アンテナ131に関するブロックでは、RFIDに送信するための無線波を生成する送信部TX2と、RFIDタグから送信された無線波を受信信号として処理する受信部RX2を備えている。
【0019】
また、この読取アンテナに関するブロックでは、送信部TX2及び受信部RX2はサーキュレータなどの方向性結合器177に接続し、この方向性結合器177はローパスフィルタ(LPF)178を介して通信アンテナ切替部179が接続している。通信アンテナ切替部179には読取アンテナ131乃至136が接続している。また、この読取アンテナ120に関するブロックでは、搬送波周波数の第1のローカルキャリアを生成するphase looked loop(PLL)部174と、PLL部174により生成された第3のローカルキャリア信号の位相を90度シフトすることにより第4のローカルキャリア信号を生成する位相シフト器182を備える。PLL部174は位相シフト器182に接続している。また、アンテナ切替部179は制御部171とも接続している。
【0020】
送信部TX2には符号器172と振幅変調器173とバンドパスフィルタ(BPF)175とパワーアンプ(PA)176とが直列に接続されている。パワーアンプ176は方向性結合器177に接続している。符号器172は制御部171から出力される送信データを例えばマンチェスタ符号あるいはFM0符号で符号化して出力する。振幅変調器173は符号器172からのデータ信号とPLL部174からの第3のローカルキャリア信号とをミキシングすることによりデータ信号を第3のローカルキャリア信号である搬送波で振幅変調した高周波信号の無線波を出力する。この無線波はBPF175で帯域制限され、さらにパワーアンプ176で電力増幅されて方向性結合器177に供給される。方向性結合器177はこの無線波をLPF178を介して通信アンテナ120に導く。これにより無線波は読取アンテナ131などからRFIDタグに向けて放射される。
【0021】
受信部RX2は通信装置6からの無線波の受信により得られた受信信号に対して直交検波を行う機能を有する。受信部RX2は2つのミキサ180,181と、2つのローパスフィルタ(LPF)182,183と2つの復調回路184,185などから構成されている。方向性結合器177とミキサ180と181は並列関係で接続し、ミキサ180とLPF182と復調回路184は直列に接続し、ミキサ181とLPF183と復調回路185は直列に接続している。また、位相シフト器182はミキサ181に接続している。RFIDタグから受けた受信信号は読取アンテナ131などからLPF178を介して方向性結合器177に供給され受信部RX2に導かれる。ミキサ180は方向性結合器177から受けた受信信号と第3のローカルキャリア信号とのミキシングを行い同相信号(I信号)を生成する。LPF182はミキサ180から出力した信号を受信し、RFIDタグからの応答情報のビットレートに対応するベースバンド周波数より高い周波数成分(ノイズ成分)をI信号から除去する。復調回路184は2値化機能、クロック生成機能、プリアンブル機能復号機能、エラー検出機能を含む。復調回路184はLPF182からのノイズ成分を除去したI信号成分を入力し復調結果を制御部151に出力する。ミキサ181は方向性結合器177から受けた受信信号と第3のローカルキャリア信号に対して90度シフトした第4のローカル信号とのミキシングを行い直交相信号(Q信号)を生成する。LPF183はミキサ181から出力した信号を受信し、RFIDタグからの応答情報のビットレートに対応するベースバンド周波数より高い周波数成分(ノイズ成分)をQ信号から除去する。復調回路185は2値化機能、クロック生成機能、プリアンブル機能復号機能、エラー検出機能を含む。復調回路185はLPF183からのノイズ成分を除去したQ信号成分を入力し復調結果を制御部151に出力する。
【0022】
尚、図示はしないが、電波を出力可能な帯域内で、複数のチャンネルが設けられ、複数の読取装置が同時に電波を使うようになっている。図示しないが、他の装置でそのチャンネルが使われているか否かを検出するチャンネル検出手段も有している。
【0023】
次にRFIDタグがバッテリーを持たないパッシブタグの場合の作用を説明する。第1の読取装置100は、先ず、無変調キャリアをパワーアンプ176で増幅し、方向性結合器177を介して読取アンテナ131などから電磁波を出力して、RFIDを起動させる。次に、RFIDタグにデータを送信する場合には、符号化した信号で振幅変調器173振幅変調を行う。RFIDタグから信号を受信する場合、RFIDタグから受信した電磁波信号は方向性結合器177を介して、受信部RX2で直交復調され、同期クロックを生成し、予め決められたプリアンブルを検出し、データの頭出しを検出し、復号して受信データが得られる。
【0024】
本実施の形態では直交復調の同相成分での復調と直交成分での復調のどちらか一方で誤りを検出しない場合、正しいデータを受信したとする制御になっている。また、電磁波は電波とこの電波と直交する磁界との合成を意味している。
【0025】
次に図5を用いて本発明の商品データ処理装置の電気的ブロック図を説明する。CPUや所定の機能を有するプログラムなどを記憶しているROMや一時的データを記憶するRAMなどを含む制御部21と、第1の読取装置100に無線通信を行う通信装置6を含む無線読取部22と、アンテナ4に接続する第2の読取装置を含む有線読取部23と重複確認記憶部24とが接続している。また、重量を量る計量器5を含む計量部25とキーボードを含む操作部26と、表示器3を含む表示部27と、レシート用プリンタおよびジャーナル用プリンタを含むプリンタ部28と、外部のホストコンピュータとデータの送受信を行うホストインターフェース29とが制御部21と接続している。
【0026】
次に、図6乃至図8を用いてRFIDタグに記憶されている識別情報を読取る商品データ処理について説明をする。図6はメインフローチャートである。図7は図6中で説明をする重複データチェック処理のサブフローであり、図8は図6中に説明をする呼掛処理のフローチャートである。
【0027】
計量器5の上にカゴ8が載せられ、所定の重量を計量部によって認識された場合に、図6のフローチャートの処理を開始する。なお、計量器5にカゴ8が載せられる前にオペレータによって第1の読取装置100が複数個カゴ8の中に入れられていることが前提である。制御部21が計量器5の上にカゴ8が載せられたと認識すると、フローチャートの処理を開始し、i=1と定義し初期化する(ステップ101、以降S101と省略する)。「i」は対象の第1の読取装置100の順番を意味する。オペレータがキーボードから第1の読取装置100の数を指定するので、制御部21はその数をnとしてRAMの所定領域に記憶する(S102)。すなわちnはカゴ8に入れられている第1の読取装置100の数を示している。S102が第1の読取装置数指定手段である。
【0028】
次に、制御部21はi番目の第1の読取装置に対してカゴ8の中の商品に取付けられているRFIDタグに記憶されている識別情報を読取るように指示を出す(S103)。この指示は通信装置6から無線電波が放射され第1の読取装置100に届く。最初は1番目の第1の読取装置に対して読取指示を出すことになる。S103が第1の読取指示手段である。S103の指示から所定時間後に第1の読取指示手段に対応してi番目の第1の読取装置から読取ったRFIDタグに関する識別情報が送信されてくるので、制御部21は識別情報を通信装置6を介して受信する(S104)。S104が第1の受信手段である。このとき第1の読取装置100は総ての読取アンテナを使用して読取処理を行い、総ての読取アンテナで読取った識別情報を通信アンテナ120から送信する。従って送信する識別情報が複数の場合もある。この時どの読取アンテナで読取ったかの情報は必要ないので付加されていない。またこのとき、通信装置6で受信するデータは指定のi番目の第1の読取装置でない場合も想定される。i番目の第1の読取装置が商品の影に隠れる等の理由から、返信がない場合がある。制御部21は受信した識別情報(IDデータ)は指定したi番目の第1の読取装置からの情報か否かを判断する(S105)。すなわち制御部21は読取開始指示に対して正確に返信されてきているか否かを判断する。正確に返信された、i番目の第1の読取装置からの返信と判断した場合(S105のY)は、制御部21は重複確認記憶部24の所定の記憶領域である所定のアドレスから受信した識別情報の数の分、当該識別情報を記憶させる。そして、次の受信に備えて、所定アドレスの位置を変更する。制御部21は重複確認記憶部24への記憶処理が終わると現在のiがnと等しいか否かを判断する。すなわち今回読取指示をした第1の読取装置が最終のものか否かを判断する。制御装置11が最終のものでないと判断した場合(S107のN)は、iの値を「1」増加する(S108)。そしてS103の処理に戻り、S103からS107の処理を行う。S108でiの値を「1」増加するので、S103の指示は第1の読取装置に対して順番に読取指示することになる。
【0029】
S107でiとnの値が同じである場合(S107のY)、既にカゴ8の中にある第1の読取装置の総てについて読取指示をしたことになるので、S103からS108の処理を抜ける。S107がYの場合、次に制御部21は有線読取部に含まれる第2の読取装置に対してカゴ8の中の商品に貼付されているRFIDタグに記憶されている識別情報を読取るように指示を出す(S109)。S109が第2の読取指示手段である。S109の指示から所定時間後に第2の指示手段に対応して第2の読取装置のアンテナ4から読取ったRFIDタグに関する識別情報が送信されてくるので、制御部21は識別情報を受信する(S110)。第2の読取装置は2つのアンテナ4を有しており、個々のアンテナ4で読取った識別情報は順番に有線読取部に受信されるが、フローチャート上では一括して識別情報を受信できるように省略している。S110が第2の受信手段である。制御部21は重複確認記憶部24の所定のアドレスから受信した識別情報の数の分、当該識別情報を記憶させる。(S111)S111が第2の記憶手段である。
【0030】
この状態で重複確認記憶部24には、総ての第1の読取装置及び第2の読取装置で読取った総ての識別情報が記憶されている。従って、制御部21は重複データチェック処理を行う(S112)。S112が、第1の重複データチェック手段、第2の重複データチェック処理として機能する。S112の詳細な説明は図7で行う。ここで重複データチェック処理を行う意味を説明する。個々の第1の読取装置や第2の読取装置のアンテナからは一つの識別情報を重複して読取ることはない。しかしながら、個々の読取装置では他の読取装置でどの識別情報を読取ったかは認識できないので、一つの識別情報を異なる無線読取装置などで重複して読取っている場合が考えられる。従って一つの識別情報を重複して読み取っているか否かを調べる必要がある。
【0031】
次に、S105のNの場合について説明をする。指定したi番目の第1の読取装置は商品の陰に隠れてしまい、通信装置6からの読取指示がi番目の第1の読取装置に届かない可能性がある。読取指示が届かないので、i番目の第1の読取装置はRFIDの識別情報は読まず、通信装置6への返信も行わない。この場合がS105のNの場合である。S105のNの場合は呼掛処理を行う(S113)。この呼掛処理の詳細は図8で行う。S113の処理が終わったら、制御部21はエラーメッセージが作成されているか否かを判断する(S114)。S114でエラーメッセージが作成されていない場合(S114のN)は、特定の第1の読取装置から識別情報を受信したことを意味しているので、S106に進む。一方、S114のYの場合はi番目の第1の読取装置から識別情報を受信することが出来なかったことを意味する。従って、重複確認記憶部24に記憶させる識別情報が無いので、S107に進む。
【0032】
本実施の形態では第1の読取装置を複数個カゴ8の中にあるとして説明をしたが、1つであってもよい。また、第1の読取装置と第2の読取装置を組み合わせて説明をしたが、第1の読取装置だけで行っても良い。また、第2の読取装置のアンテナの数を2つ又は2つ以上で実施してもよい。また、第1の読取装置が商品又は商品群とともにカゴの中に置かれ、第2の読取装置が商品又は商品群の外側に設置された例を示したが、商品又は商品群の外側に設置される読取装置は、有線方式で接続される読取装置で無く、無線方式で接続される読取装置であってもよい。
【0033】
次にS112の重複データチェック処理の詳細な説明を図7を用いて説明をする。制御部21は初期化としてa=1とb=1を定義する(S121)。a及びbは重複確認記憶部24のアドレスの位置を示しており、1は先頭アドレスを意味する。次に制御部21は重複確認記憶部24に記憶されている識別情報の数を取得しその数をcと定義する(S122)。制御部21はアドレスaにある識別情報とアドレスbにある識別情報とが同一であるか否かを判断する(S123)。各RFIDタグにはそれぞれ異なる識別データが記憶されているので、同じ商品が複数カゴ8の中に入っていても識別は可能である。従って、同じ識別情報が重複確認記憶部24の異なるアドレスに記憶されていることは、異なる読取装置で同一のRFIDのタグを読んだことになる。従って、一方を削除する必要がある。S123でアドレスaの識別情報とアドレスbの識別情報とは同一であると判断した場合、すなわちS123でNの場合、制御部21はアドレスbの識別情報(IDデータ)を0に書き換える(S124)。そして、制御部21はbの値がc以下であるか否かを判断する(S125)。すなわち重複確認記憶部24のアドレスaに記憶されている識別情報が重複確認記憶部24に記憶されている総ての識別情報と重複がないかの確認が済んだか否かを判断する。S125のYの場合制御部21はアドレスbを一つ増加する(S126)。そしてS123の処理に戻り、S123からS126の処理を繰り返す。
【0034】
S125のNの場合、アドレスaに記憶されている識別情報が重複確認記憶部24に記憶されている総ての識別情報と重複がないと判断できるのでS127の処理に移る。一方S123のYの場合は2つの識別情報は異なっているのでそのままS125の処理に進む。制御部21はaの値が(c-1)の値以下か否かを判断する(S127)。aの値がそれ以下の場合(S127のY)は、まだ、アドレスaに記憶されている識別情報について重複チェックをする必要があるので、制御部21はaの値を一つ増加させる(S128)。制御部21はbを(a+1)の値に定義し直す(S129)。そして、制御部21はS123の処理に戻る。S129の処理は既に一度確認した組み合わせは排除するために設定している。これにより、チェック(確認)の組み合わせは総て行う半分の数になる。
【0035】
S127のNの場合は重複確認記憶部24の重複は総てチェックしたことになる。このとき重複していた識別情報も一つを除いて0に書き直されているのでので、識別情報の重複はない。制御部21は重複確認記憶部24の識別データのデータを降順にソートして並べなおす(S130)。このとき、重複と判断され0に書き直されているデータは重複確認記憶部24の大きなアドレス番地に集まる。制御部21は識別情報0が記憶されているアドレスの直前までの識別情報を、カゴ8に入っている商品の識別番号として制御部21のRAMに移動させる(S131)。制御部21はS131の処理が終了したならば、このサブフローから抜ける。
【0036】
次にS113の呼掛処理の詳細な説明を図8を用いて説明をする。制御部21はm=i+1とl=1を定義する(S141)。mは読取指示で返答が出来なかったi番目の第1の読取装置に対して、指示を出す第1の読取装置の基数を示す。また、lはmの値がiの値よりの大きいか小さいかを判断するフラグである。制御部21はl=1か否かを判断する(S142)。l=1の場合は基数がmよりもiの方が小さい場合である。S142のYの場合、mがn以下であるか否かを判断する(S143)。mがnより大きい場合(S143のN)は、該当する第1の読取装置はないのでmを1に書き換える。また、基数がiよりも小さくなるのでlを2に書き換える(S144)。制御部21は第1の読取装置mへ第1の読取装置iを読取開始するように指示をする(S145)。このときi番目の第1の読取装置に読取開始指示が出来たならば、その対応として、i番目の第1の読取装置が読取った識別情報を受取り、商品データ処理装置に返信する指示もあわせて出す。S143でYの場合は、直接S145の処理に移る。制御部21は所定時間待機をする(S146)。今回の指示は読取を行わせたい第1の読取装置に直接指示回答を待つのではなく、迂回した指示であるので、S104の処理の待機時間より長い時間が設定されている。制御部21は所定時間待機後、m番目の第1の読取装置からi番目の第1の読取装置が読取った識別情報を受信したか否かを判断する(S147)。受信できたと判断した場合(S147のY)は、このサブフローから抜ける。S147のNの場合は、未だi番目の第1の読取装置が読取った識別情報を取得できないので、m=m+1の処理を行う(S148)。S142の処理に戻りS142からS147の処理を繰り返す。すなわち異なる第1の読取装置を利用してi番目の第1の読取装置の読取りをした識別情報の受信を試みる。S145を第4の読取指示手段、S147を第4の受信手段と定義しても良い。
【0037】
S142のNの場合、すなわちS144の処理を通過した場合、S149の処理に移る。制御部はmがiより小さいか否かを判断する(S149)。S149のYの場合はS145の処理に移る。S149のNの場合はmがiの場合である。i番目の第1の読取装置へ通信装置6からの指示のに対応する受信がないのはS105で確認されているので、もはや、迂回して読取指示をしてもRFIDタグの識別情報は受信できないので、エラーメッセージを作成してこのサブフローから抜ける(S150)。
【0038】
通信装置6からの指示が商品の陰になり届かない場合でも迂回することにより、読取可能になる場合がある。これにより、制御部21はより多くの識別情報を読取ることが出来る。本実施の形態では迂回指示を出す第1の読取装置の基数mは基数iより大きい装置を先に対象にしたが、これに限定されず基数の小さい装置を先に対象にしても良い。
【0039】
次に図9を用いてRFIDタグへ供給する電力を増加させるため処理をした場合の制御部21の処理を説明をする。
【0040】
制御部21は第1の読取装置から無変調キャリアが送信されているか否かを判断する(S161)。すなわちS103の読取指示をしたか否かを判断する。RFIDがバッテリーを持たないパッシブタグならば、読取時に電力を供給するために無変調キャリアが送信されている。S161のYの場合、第2の読取装置に識別情報を読取開始の指示を出す(S162)。一方S161でNの場合、制御部21は第2の読取装置から無変調キャリアが送信されているか否かを判断する(S163)。すなわちS109の読取指示をしたか否かを判断する。S163のYの場合、第1の読取装置に識別情報を読取開始の指示を出す(S164)。一方S163でNの場合は、RFIDタグへ供給する電力を増加させるため処理をしていないので処理を終了する。S162とS164が第3の読取指示手段である。尚、RFIDがバッテリーを内蔵しているタイプのものであってもこのフローを実施しても良い。
【0041】
このような処理によって、複数の商品をカゴの中に入れた場合、カゴ内部でRFIDタグが他の商品の陰になるような配置でも該当RFIDタグを読取ることが出来る。
【0042】
本実施の形態におけるカゴは、商品(物品)を収納するものとして説明をした。このカゴの形状は、物品を入れられる器であればどの様な形状であっても良い。また、本実施の形態においては、POSシステムについて説明をし物品を商品として説明をした。しかし、本発明はPOSシステムだけに対応するものではなく、工場内で物品を製品として対応させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の商品データ処理装置を含む全体図。
【図2】カゴ8の内部の様子を拡大して示した図。
【図3】(a)第1の読取装置の斜視図。 (b)第1の読取装置の斜視図。
【図4】第1の読取装置の内部の回路図
【図5】本発明の商品データ処理装置の電気的ブロック図。
【図6】本発明を説明をするメインフローチャート。
【図7】本発明を説明をするサブフローチャート。
【図8】本発明を説明をするサブフローチャート。
【図9】本発明を説明をするフローチャート。
【符号の説明】
【0044】
1・・・ 商品データ処理装置
4・・・ 第2の読取装置のアンテナ
6・・・ 通信装置
11・・・ 商品
11a・・・ RFIDタグ
21・・・ 制御部
14・・・ 重複確認記憶部
100・・・ 第1の読取装置
110・・・ 基体
120・・・ 第1の読取装置の通信アンテナ
131・・・ 第1の読取装置の読取アンテナ
S101・・・第1の読取装置数指定手段
S103・・・第1の読取指示手段
S104・・・第1の受信手段
S106・・・第1の記憶手段
S109・・・第2の読取指示手段
S110・・・第2の受信手段
S111・・・第1の記憶手段
S112・・・第1の重複データチェック手段、第2の重複データチェック手段
S113・・・呼掛手段
S162・・・第3の読取指示手段
S164・・・第3の読取指示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線方式で識別情報を読み取る第1の読取装置に、商品に取り付けられているRFIDタグ内部に記憶されている識別情報の読取指示をする第1の読取指示手段と、
この第1の読取指示手段に応じて前記第1の読取装置で読み取られた前記識別情報を受信する第1の受信手段と、
この第1の受信手段によって受信した前記識別情報を所定の記憶領域に記憶する第1の記憶手段と、
を備えたことを特徴とする物品データ処理装置。
【請求項2】
前記第1の読取装置は複数有り、
前記第1の受信手段は複数の第1の読取装置で読み取られた前記識別情報をそれぞれ受信し、
前記第1の記憶手段は前記第1の受信手段によって受信した複数の識別情報を所定の記憶領域に記憶し、
前記題1の記憶手段によって記憶された識別情報に関して、同一の識別情報の有無を判別し、同一の識別情報があると判断した場合には、当該第1の識別情報の一つを残し、その他の残りの同一の識別情報を消去する第1の重複データチェック手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の物品データ処理装置。
【請求項3】
前記第1の読取指示手段は、複数の第1の読取装置に対して順番に読取指示をすることを特徴とすることを特徴とする請求項2記載の物品データ処理装置。
【請求項4】
前記第1の読取装置の数を指定する第1の読取装置数指定手段を備えたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の物品データ処理装置。
【請求項5】
物品データ処理装置は、更に呼掛手段を備え、この呼掛手段は、前記第1の読取指示手段で読取指示した第1の読取装置から返信がない場合に、読取指示手段で読取指示した第1の読取装置とは異なる第1の読取装置に、前記第1の読取指示手段で読取指示した第1の読取装置に対して“前記識別情報を読取れ”という呼掛けをすることを、指示し、
呼掛けを指示された第1の読取装置は、前記呼掛手段の指示に基づいて、前記第1の読取指示手段で読取指示した第1の読取装置に対して“前記識別情報を読取れ”という呼掛けをすることを特徴とする請求項2から請求項4のうち1に記載の物品データ処理装置。
【請求項6】
前記第1の読取装置は3個又はそれ以上あり、前記呼掛部は、読取指示手段で読取指示した第1の読取装置とは異なる第1の読取装置による呼掛に対して、読取指示手段で読取指示した第1の読取装置からの返信がない場合は、更に別の第1の読取装置に、前記第1の読取指示手段で読取指示した第1の読取装置に対して“前記識別情報を読取れ”という呼掛けをすることを、指示し、呼掛けを指示された第1の読取装置は、前記呼掛手段の指示に基づいて、前記第1の読取指示手段で読取指示した第1の読取装置に対して“前記識別情報を読取れ”という呼掛けをすることを特徴とする請求項5記載の物品データ処理装置。
【請求項7】
読取指示手段で読取指示した第1の読取装置が、読取指示手段で読取指示した第1の読取装置とは異なる第1の読取装置からの呼掛けに応じた場合には、第1の受信手段は、読取指示手段で読取指示した第1の読取装置から送信された読取情報を、当該呼掛けを指示された第1の読取装置を中継して受信することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の物品データ処理装置。
【請求項8】
無線方式で識別情報を読み取る第1の読取装置に、商品に取り付けられているRFIDタグ内部に記憶されている識別情報の読取指示をする第1の読取指示手段と、
この第1の読取指示手段に応じて前記第1の読取装置で読み取られた前記識別情報を受信する第1の受信手段と、
この第1の受信手段によって受信した前記識別情報を所定の記憶領域に記憶する第1の記憶手段と、
無線方式で識別情報を読取る第2の読取装置に、商品に貼付されているRFIDタグ内部に記憶されている識別情報の読取指示をする第2の読取指示手段と、
この第2の読取指示手段に対応して前記第2の読取装置から前記識別情報を受信する第2の受信手段と、
この第2の受信手段によって受信した前記識別情報を所定の記憶領域に記憶する第2の記憶手段と、
前記第1の記憶手段及び前記第2の記憶手段によって記憶された識別情報に関して、同一の識別情報の有無を判別し、同一の識別情報があると判断した場合には、当該同一の識別情報の一つを残し、その他の残りの同一の識別情報を消去する第2の重複データチェック手段とを備えたことを特徴とする物品データ処理装置。
【請求項9】
前記第1の読取装置とは無線方式で接続され、前記第2の読取装置とは有線方式で接続されていることを特徴とする請求項8記載の物品データ処理装置。
【請求項10】
前記第1の読取装置または前記第2の読取装置のいずれか一方の読取装置が無変調キャリアを連続送信している時、他方の読取装置に前記識別情報を読取る指示を出す第3の読取指示手段を備えたことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の物品データ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−146400(P2009−146400A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295263(P2008−295263)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】