説明

物品保護具及びその製造方法

【課題】製造が容易な物品保護具及びその製造方法を提供する。
【解決手段】カバー部110の上端から下端にかけての複数箇所において溶着を行い、その長手方向に直線状に延びる溶着部401を複数形成する。カバー部110の表側面と裏側面との間に形成された複数の空間のそれぞれに、複数の芯材部120a〜120cのそれぞれを差し込む。カバー部110の左端から右端にかけての複数箇所において溶着を行い、その短手方向に直線状に延びる溶着部701,702を複数形成する。すなわち、カバー部110の左端及び右端を塞ぐための溶着部701及び各芯材部に形成された孔123を介した溶着を行うための溶着部702を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引越の際等に運搬対象となる物品を保護するための物品保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、引越の際等に物品を運搬する場合、運搬対象となる物品(例えば、テレビ、冷蔵庫等の家電製品や箪笥等の家具)を衝撃等から保護するために様々な物品保護具が使用されている。当該物品保護具は、一般に、容易に変形(折り曲げ)可能なシートあるいはマット状に形成されており、例えば、運搬対象となる物品の周囲に巻きつけられて使用される。
【0003】
図10は、このような物品保護具の一例を示す図である。
【0004】
同図に示すように、物品保護具800は、矩形シート状の形状を有するもので、2枚のシート材810の間に、多数のプラスチック段ボール820を挟み込んだものである。なお、同図では、表面側のシート材810の一部(物品保護具800の右端部付近)を切り取った状態を示している。
【0005】
同図に示すように、2枚のシート材810は、その四辺及び各プラスチック段ボール820の間において、格子状に溶着されている。2枚のシート材810の間に挟み込まれた各プラスチック段ボール820は、縦横に延びる直線状の溶着部811〜819によって、シート材810内での動きが規制されることになる。
【0006】
また、物品保護具800は、隣接するプラスチック段ボール820の間に設けられた溶着部812,814〜818において容易に折り曲げることができるように構成されている。そのため、その長手方向に延びる溶着部814〜818において折り畳むことで、その短手方向(同図における上下方向)の長さを変えることができる。更に、物品保護具800を構成するプラスチック段ボール820は、その長手方向の長さが異なるものが含まれているので、折り畳む位置を変えることで、物品保護具800の短手方向の長さを、保護対象となる物品の高さに応じた長さにすることが可能となる。必要に応じて、物品保護具800の短手方向の長さを保護対象となる物品の高さに応じた長さにした後、当該物品保護具800は、保護対象となる物品の周囲に巻き付けられることとなる。この時、物品保護具800は、保護対象となる物品の形状に合わせて、短手方向に延びる溶着部812において適宜折れ曲がることになる。
【0007】
図10に示した物品保護具800は、例えば、次のようにして製造される。まず、必要な大きさを有する2枚のシート材810を用意し、その2枚のシート材810を重ねた状態で、短手方向に延びるすべての溶着部811,812が形成される。すなわち、2枚のシート材810が、長手方向の一方の端部(例えば、図10における左端部)から他方の端部(例えば、同図における右端部)にかけて、等間隔に複数箇所において、上下方向に直線状に溶着される。当該溶着には、例えば、高周波ウェルダーが利用される(以下、同様)。
【0008】
このようにして、短手方向に延びるすべての溶着部811,812が形成されると、次に、短手方向の一方の端部(例えば、図10における上端部)が溶着されて、当該一方の端部が塞がれる。次に、短手方向の他方の端部(例えば、図10における下端部)から、長手方向一列分のプラスチック段ボール820が、隣り合う溶着部811,812によって形成される各空間内に順次挿入され、図10における上端部まで押し込まれる。その結果、図10における最上段の位置に、プラスチック段ボール820が横一列に並ぶようになったら、押し込まれたプラスチック段ボール820の下端部側において、長手方向に延びる溶着部814が形成される。すなわち、2枚のシート材810が、押し込まれたプラスチック段ボール820の下端部側において、左右方向に直線状に溶着される。以上のようにして、最上段の各プラスチック段ボール820は、四方が溶着部811〜814に囲まれた矩形状の空間内に封入される。
【0009】
最上段のプラスチック段ボール820の封入が終了すると、同様にして、第二段目の位置で横一列に並ぶプラスチック段ボール820が、下端部から順次押し込まれ、第二段目の位置に、押し込まれたプラスチック段ボール820が横一列に並ぶようになったら、押し込まれたプラスチック段ボール820の下端部側において、長手方向に延びる溶着部815が形成され、第二段目のプラスチック段ボール820の封入がされる。第二段目のプラスチック段ボール820の封入が終了すると、同様にして、第三段目から第六段目まで順次、プラスチック段ボール820の封入(横一列に並ぶプラスチック段ボール820の押し込み及び溶着部816〜819の形成)が行われる。そして、第六段目のプラスチック段ボール820の封入が完了、すなわち、物品保護具800の下端部が溶着されて当該下端部が塞がれると、物品保護具800が完成する。
【0010】
以上述べたように、図10に示した物品保護具800を製造するためには、横一列分のプラスチック段ボールをひとつずつ押し込み、シート材を溶着するという作業を繰り返す必要があり、非常に手間がかかっていた。
【0011】
なお、特開2004−331138号公報には、全体が長方形に形成され、多数のプラスチック段ボールと、当該多数のプラスチック段ボールの両面を被覆するシート材とで構成された引越用梱包具が開示されている。当該引越用梱包具においては、面状に並べられたプラスチック段ボールの間でシート材が格子状に接着されて自由に変形するヒンジが形成されており、その長手方向に延びるヒンジに沿って折り曲げることで、その短手方向の幅を調節することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−331138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、従来のものより製造が容易な物品保護具及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る物品保護具は、複数の芯材部と、当該複数の芯材部を収容するカバー部とを備え、前記複数の芯材部はそれぞれ、複数の保護部と、隣り合う保護部を折り曲げ可能に連結する複数の連結部とによって構成され、前記複数の連結部の少なくとも一部に孔が形成されており、前記カバー部は、その端部、その内部に収容した前記複数の芯材部の間、及び、前記芯材部の前記連結部に形成された前記孔において、溶着されていることを特徴とする。
【0015】
この場合において、前記複数の芯材部はそれぞれ、細長い矩形状の形状を有するようにしてもよい。更に、前記孔は、前記芯材部の長手方向に一定間隔で並ぶように形成されているようにしてもよい。更に、前記一定間隔に並ぶように形成された孔の間には、複数の前記保護部及び複数の前記連結部が存在するようにしてもよい。
【0016】
また、以上の場合において、前記複数の芯材部は、長手方向の長さが同じで、短手方向の長さが異なる複数種類のもので構成されているようにしてもよい。また、前記保護部は、中空構造を有しているようにしてもよい。前記芯材部は、例えば、プラスチック段ボールから形成される。
【0017】
また、以上の場合において、前記カバー部は、矩形シート状の形状を有するようにしてもよい。前記カバー部は、例えば、溶着可能なプラスチックから形成される。
【0018】
本発明に係る物品保護具の製造方法は、上記した物品保護具の製造方法であって、前記カバー部の一方の面と他方の面とを、第1の方向(例えば、短手方向)における一方の端部から他方の端部にかけて、複数箇所において、前記第1の方向とは垂直な第2の方向(例えば、長手方向)に延びる直線状に溶着する第一溶着工程と、前記第一溶着工程により前記カバー部内に形成された前記第2の方向に延びる複数の空間内に、前記複数の芯材部を挿入する芯材部挿入工程と、前記カバー部の一方の面と他方の面とを、前記第2の方向における端部及び前記芯材部の前記連結部に形成された前記孔の箇所において、前記第1の方向に延びる直線状に溶着する第二溶着工程とを備えることを特徴とする。
【0019】
この場合において、前記複数の芯材部を準備する芯材部準備工程と、前記カバー部を準備するカバー部準備工程とを更に備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、物品保護具を従来より容易に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による物品保護具100の外観を説明するための図である。
【図2】カバー部110の内部に収容されている芯材部120の構造を説明するための図である。
【図3】芯材部120の構造を説明するための拡大図である。
【図4】本発明による物品保護具100の製造方法を説明するための図(その1)である。
【図5】本発明による物品保護具100の製造方法を説明するための図(その2)である。
【図6】本発明による物品保護具100の製造方法を説明するための図(その3)である。
【図7】本発明による物品保護具100の製造方法を説明するための図(その4)である。
【図8】本発明による物品保護具100の使用状態を説明するための図(その1)である。
【図9】本発明による物品保護具100の使用状態を説明するための図(その2)である。
【図10】従来の物品保護具の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明による物品保護具の外観を説明するための図である。
【0024】
同図に示すように、本発明による物品保護具100は、矩形シート状の形状を有し、外面を構成するシート状のカバー部110と、当該カバー部110の内部に収容された複数の芯材部(不図示)とによって構成されている。
【0025】
カバー部110は、矩形シート状の形状を有し、その内部に、後述する複数の芯材部を収容するものである。カバー部110は、例えば、2枚の溶着可能なプラスチックシートを重ね合わせて溶着することで構成される。カバー部110の材料としては、例えば、泉株式会社(大阪府大阪市)のターポリン製品であるCOSMOスペーサーを利用することができる。
【0026】
同図に示すように、物品保護具100には、格子状に溶着部111(111a,111b,111c)が形成されており、当該溶着部111において、カバー部110の表側面(図1に現れた面)と、裏側面(同図に現れていない面)とが溶着されている。
【0027】
溶着部111には、物品保護具100の四辺に沿って形成されたもの111aと、カバー部110の内部に収容された隣接する芯材部の隙間において、物品保護具100の長手方向(同図における左右方向)に延びるように形成されたもの111bと、カバー部110の内部に収容された芯材部に形成された孔(後述)の箇所において、物品保護具100の短手方向(同図における上下方向)に延びるように形成されたもの111cとがある。このうち、溶着部111cについては、厳密には、芯材部に形成された孔(後述)の部分についてのみ、表側面のカバー部110と裏側面のカバー部110とが溶着されており、それ以外の部分については、溶着を試みた跡が付いているだけで、実際には溶着されていない。
【0028】
また、物品保護具100は、溶着部111b,111cにおいて折り曲げることができるように構成されており、長手方向に延びる溶着部111bにおいて適宜折り畳むことで、短手方向の長さを様々に変えることができる。また、短手方向に延びる溶着部111cにおいて折り曲げることで、保護対象となる物品に巻き付けることができる。更に、物品保護具100では、後述するように、溶着部111cの部分のみならず、溶着部111cに挟まれた部分においても、折り曲げ可能に構成されているので、様々な外形を有する各物品に適合した形状に折り曲げることが可能となっている。
【0029】
図2は、カバー部110の内部に収容されている芯材部の構造を説明するための図である。同図は、サイズの異なる3種類の芯材部を示している。
【0030】
同図に示すように、芯材部120は、細長い矩形状の形状を有する。そして、本実施形態では、サイズの異なる3種類の芯材部120が使用されている。すなわち、同図(a)に示した短手方向の長さが一番短い小芯材部120aと、同図(b)に示した短手方向の長さが一番長い大芯材部120bと、同図(c)に示した短手方向の長さが中くらいの中芯材部120cとである。なお、長手方向の長さについては、小芯材部120a、大芯材部120b及び中芯材部120cすべてについて同じにされている。このように短手方向の長さが異なる複数種類の芯材部120を使用することにより、比較的少ない数の芯材部120で、物品保護具100の短手方向の長さを細かく変えることができるようになる。
【0031】
図1に示した物品保護具100(のカバー部110内)において、小芯材部120aは、最上段の第一段目、その下の第二段目、第三段目及び第五段目に配置され、大芯材部120bは、第四段目に配置され、中芯材部120cは、最下段の第六段目に配置されるものである。
【0032】
図3は、芯材部120の構造を説明するための拡大図である。同図(a)、(b)及び(c)はそれぞれ、小芯材部120a、大芯材部120b及び中芯材部120cの左端部付近の拡大図を示し、同図(d)は、芯材部120の平面図又は底面図を示し、同図(e)、(f)及び(g)はそれぞれ、小芯材部120a、大芯材部120b及び中芯材部120cのA−A断面図を示す。
【0033】
同図に示すように、芯材部120(120a,120b,120c)は、複数の中空構造部121と、複数の連結部122とを備える。芯材部120は、例えば、ポリプロピレン樹脂製のプラスチック段ボールから形成される。
【0034】
複数の中空構造部121はそれぞれ、概ね矩形平板状の形状を有し、その短手方向(同図における左右方向)に並ぶように配置されて、隣り合う中空構造部121と連結部122によって連結されている。中空構造部121は、保護対象となる物品の保護を主に担う部分(保護部)である。同図(e)〜(g)に示すように、各中空構造部121は、2枚のライナー1211とその間に挟まれた多数の隔壁1212とから構成され、その内部に、短手方向に延びる複数の直方体状の中空部1213が形成されており、一定の剛性を有すると共に、衝撃を吸収できる構造になっている。
【0035】
複数の連結部122は、中空構造部121の間に配置されて、中空構造部121を連結するものである。同図(d)に示すように、各連結部122は肉薄に形成されており、芯材部120は、当該連結部122において容易に折り曲げることができるようになっている。
【0036】
以上のような構造を有する芯材部120の材料としては、例えば、住化プラステック株式会社(東京都中央区)のプラスチック段ボール製品であるサンプライ(登録商標)ネツケーを利用することができる。また、通常の板状のプラスチック段ボールに対して、連結部122となる部分を熱熔融させた上でプレス(加圧)することで、芯材部120を形成するようにしてもよい。
【0037】
更に、図3に示すように、芯材部120には、複数の孔123が形成されている。当該複数の孔123は、芯材部120を収容したカバー部110を溶着するための孔である。すなわち、芯材部120を挟んで配置される表側面のカバー部110と裏側面のカバー部110とは、当該孔123を介して接触して、溶着されることになる。
【0038】
同図に示すように、各孔123は、矩形状の形状を有しており、連結部122の部分に形成されている。なお、本実施形態では、当該孔123を介した溶着を容易にするため、連結部122の部分から両側の中空構造部121の部分に少しはみ出すように孔123を形成している。また、同図に示すように、本実施形態では、孔123を形成する各連結部122において、小芯材部120a及び中芯材部120cについては、ひとつの孔123を形成し、大芯材部120bについては、2つの孔123を形成するようにしている。
【0039】
また、複数の孔123は、芯材部120の長手方向に一定間隔で並ぶように形成されている。本実施形態では、芯材部120の長手方向に並ぶ複数の連結部122に関して、4つ置きに、孔123が形成されている。すなわち、本実施形態では、隣り合う孔123の間に、4つの中空構造部121及び3つの連結部122が配置されるように、複数の孔123が形成されている。
【0040】
なお、芯材部120に形成する孔123の形状、個数、位置等については、本実施形態のものに限られず、実装条件に応じて適当なものを選択することができる。
【0041】
次に、以上のような構成を有する物品保護具100の製造方法について説明する。
【0042】
図4〜図7は、本発明による物品保護具の製造方法を説明するための図である。
【0043】
まず、必要なサイズ及び個数の芯材部120を準備する(芯材部準備工程)。本実施形態では、4つの小芯材部120aと、1つの大芯材部120bと、1つの中芯材部120cとを用意する。
【0044】
また、カバー部110を構成するのに必要な大きさを有するプラスチックシートを準備する(カバー部準備工程)。本実施形態では、カバー部110の表側面を構成する細長い矩形状のプラスチックシートと、カバー部110の裏側面を構成する細長い矩形状のプラスチックシートとを用意する。
【0045】
次に、用意された2枚のプラスチックシートを重ねて、図4に示すように、その上端から下端にかけての複数箇所において高周波ウェルダーによる溶着を行い、その長手方向に直線状に延びる溶着部401を複数形成する(第一溶着工程)。すなわち、カバー部110の上端及び下端を塞ぎ、各芯材部120が収容される空間を区画するための溶着部401を形成する。隣り合う溶着部401の間隔は、その間に収容される芯材部120の短手方向の長さに応じて決められる。
【0046】
図4に示すように、長手方向に延びる複数の溶着部401が形成されると、カバー部110の表側面と裏側面との間に、芯材部120を収容するための空間が複数形成される。
【0047】
次に、図5に示すように、カバー部110の表側面と裏側面との間に形成された複数の空間のそれぞれに、カバー部110の長手方向における一方の端部(同図の例では左端部)から、複数の芯材部120のそれぞれを差し込んでいく(芯材部挿入工程)。そして最終的には、図6に示すように、カバー部110内の所定位置に芯材部120(120a,120b,120c)が配置されることになる。この時、各芯材部120に形成された孔123の位置は、カバー部110の短手方向(同図における上下方向)で揃うことになる。また、同図に示した状態では、カバー部110内に収容された各芯材部120の短手方向(同図における上下方向)の動きが、長手方向(同図における左右方向)に延びる溶着部401によって規制されていることになる。
【0048】
図6に示すように、カバー部110内に芯材部120が収容されると、次に、図7に示すように、その左端から右端にかけての複数箇所において高周波ウェルダーによる溶着を行い、その短手方向に直線状に延びる溶着部701,702を複数形成する(第二溶着工程)。すなわち、カバー部110の左端及び右端(不図示)を塞ぐための溶着部701、及び、各芯材部120に形成された孔123を介した溶着を行うための溶着部702が形成される。なお、前述したように、溶着部702については、実際にカバー部110の溶着がされているのは、芯材部120に孔123が形成されている部分(及び、長手方向に延びる溶着部401と交差する部分)だけであって、他の部分については、溶着を試みた跡が付いているだけで、実際に溶着はされていない。
【0049】
図7に示すように、短手方向に延びる複数の溶着部701,702が形成されると、カバー部110は、その内部に芯材部120を収容した状態で完全に塞がれることとなる。また、同図に示した状態では、カバー部110内に収容された各芯材部120の長手方向(同図における左右方向)の動きは、短手方向(同図における上下方向)に延びる溶着部702(より正確には、孔123に対応する位置の溶着部)によって規制されていることになる。
【0050】
以上のようにして、本発明による物品保護具100が製造される。
【0051】
次に、以上のようにして製造された物品保護具100の使用方法について説明する。
【0052】
図8及び図9は、物品保護具100の使用状態を説明するための図である。図8(a)は、背の高い直方体状の物品に対して物品保護具100を使用した場合を示しており、同図(b)は、背の低い直方体状の物品に対して物品保護具100を使用した場合を示している。一方、図9(a)は、円柱状の物品に対して物品保護具100を使用した場合を示しており、同図(b)は、その際のカバー部110内の芯材部120の状態を示す平面図である。
【0053】
図8(a)に示すように、背の高い直方体状の物品81の保護を行う場合、物品保護具100は、そのままの状態で物品81の周囲に巻き付けられる。一方、同図(b)に示すように、背の低い直方体状の物品82の保護を行う場合は、物品保護具100は、保護対象となる物品82の背の高さに合わせて、その長手方向に延びる溶着部において適宜折り畳まれた上で、物品82の周囲に巻き付けられる。同図(b)の場合、物品保護具100は、図1における上2段分を外側に折り畳んだ上で、物品82の周囲に巻き付けられている。このように保護対象となる物品の背の高さに合わせて、物品保護具100の短手方向の長さを変えることで、物品保護具100が保護対象となる物品から大きくはみ出すことを防ぐことができ、物品保護具100を巻き付けた状態での運搬等を容易にすることができる。
【0054】
また、図9(a)に示すように、その側面に曲面を有する物品91に物品保護具100を巻き付けた場合等は、物品保護具100の短手方向に延びる溶着部において折れ曲がるだけではなく、同図(b)に示すように、カバー部110内の各芯材部120を構成する各連結部においても折れ曲がるので、物品91の形状に適合させた状態で、その周囲に巻き付けることができる。
【0055】
なお、実際上は、図8及び図9に示したように保護対象となる物品に物品保護具100を巻き付けた後に、更に、その周囲にベルトなどを巻き付けて締め付けることで、保護対象となる物品に対して物品保護具100が固定される。このように物品保護具100を保護対象となる物品の周囲に巻き付けた状態で固定することにより、保護対象となる物品を保護することができるだけでなく、保護対象となる物品が可動部(例えば、箪笥の抽斗や、冷蔵庫の扉等)を有する場合、その可動部の動きを規制することも可能となる。この物品保護具100の締め付用ベルト等については、物品保護具100の構成要素として、物品保護具100と一体に構成するようにしてもよい。
【0056】
以上詳細に説明したように、本発明による物品保護具100は、まず、その長手方向に延びる複数の溶着部401を形成した後、カバー部110の表側面と裏側面との間に形成された複数の空間のそれぞれに、複数の芯材部120のそれぞれを差し込み、最後にその短手方向に延びる複数の溶着部701,702を形成するだけで製造できるので、従来のものに比べて極めて容易に製造することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、当然のことながら、本発明の実施形態は上記のものに限られない。例えば、上述した実施形態では、2枚の矩形状のシートからカバー部を構成していたが、例えば、一枚の矩形状のシートを2つに折り畳んでカバー部を構成することも考えられる。
【0058】
また、上述した実施形態では、溶着部の形成に高周波ウェルダーを利用したが、超音波溶着その他の溶着方法を利用することもできる。
【符号の説明】
【0059】
100 物品保護具
110 カバー部
111,111a,111b,111c 溶着部
120 芯材部
120a 小芯材部
120b 大芯材部
120c 中芯材部
121 中空構造部(保護部)
1211 ライナー
1212 隔壁
1213 中空部
122 連結部
123 孔
401 溶着部
701,702 溶着部
81,82,91 保護対象物品
800 物品保護具
810 シート材
811〜819 溶着部
820 プラスチック段ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の芯材部と、当該複数の芯材部を収容するカバー部とを備え、
前記複数の芯材部はそれぞれ、複数の保護部と、隣り合う保護部を折り曲げ可能に連結する複数の連結部とによって構成され、前記複数の連結部の少なくとも一部に孔が形成されており、
前記カバー部は、その端部、その内部に収容した前記複数の芯材部の間、及び、前記芯材部の前記連結部に形成された前記孔において、溶着されている
ことを特徴とする物品保護具。
【請求項2】
前記複数の芯材部はそれぞれ、細長い矩形状の形状を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の物品保護具。
【請求項3】
前記孔は、前記芯材部の長手方向に一定間隔で並ぶように形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の物品保護具。
【請求項4】
前記一定間隔に並ぶように形成された孔の間には、複数の前記保護部及び複数の前記連結部が存在する
ことを特徴とする請求項3に記載の物品保護具。
【請求項5】
前記複数の芯材部は、長手方向の長さが同じで、短手方向の長さが異なる複数種類のもので構成されている
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の物品保護具。
【請求項6】
前記保護部は、中空構造を有している
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の物品保護具。
【請求項7】
前記芯材部は、プラスチック段ボールから形成される
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の物品保護具。
【請求項8】
前記カバー部は、矩形シート状の形状を有する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の物品保護具。
【請求項9】
前記カバー部は、溶着可能なプラスチックから形成される
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の物品保護具。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の物品保護具の製造方法であって、
前記カバー部の一方の面と他方の面とを、第1の方向における一方の端部から他方の端部にかけて、複数箇所において、前記第1の方向とは垂直な第2の方向に延びる直線状に溶着する第一溶着工程と、
前記第一溶着工程により前記カバー部内に形成された前記第2の方向に延びる複数の空間内に、前記複数の芯材部を挿入する芯材部挿入工程と、
前記カバー部の一方の面と他方の面とを、前記第2の方向における端部及び前記芯材部の前記連結部に形成された前記孔の箇所において、前記第1の方向に延びる直線状に溶着する第二溶着工程と
を備えることを特徴とする物品保護具の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−31973(P2011−31973A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182132(P2009−182132)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(509221722)株式会社マルイチ (1)
【Fターム(参考)】