物品収納用装置
【課題】物品収納部の収納性を損なうことなく、物品を安定して移動させることができる物品収納用装置を提供する。
【解決手段】本発明の物品収納用装置S1は、中空に形成され、押入れ等の物品収納部に取り付けられた一対の支柱1と、支柱1内に上下方向に移動可能に設けられた一対のスライド杆2と、一対のスライド杆2の一方の端部(下側端部)に取り付けられ、物品を載置する物品載置部3と、一方のスライド杆2の他方の端部(上側端部)に取り付けられた第1のワイヤ4と、他方のスライド杆2の他方の端部(上側端部)に取り付けられた第2のワイヤ5と、第1のワイヤ4及び第2のワイヤ5を同時に巻き取る巻取部6とを有する。
【解決手段】本発明の物品収納用装置S1は、中空に形成され、押入れ等の物品収納部に取り付けられた一対の支柱1と、支柱1内に上下方向に移動可能に設けられた一対のスライド杆2と、一対のスライド杆2の一方の端部(下側端部)に取り付けられ、物品を載置する物品載置部3と、一方のスライド杆2の他方の端部(上側端部)に取り付けられた第1のワイヤ4と、他方のスライド杆2の他方の端部(上側端部)に取り付けられた第2のワイヤ5と、第1のワイヤ4及び第2のワイヤ5を同時に巻き取る巻取部6とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばクローゼット、キッチンの頭上収納部、天袋の収納部、居間(リビング)の天井裏収納部、棚(本棚や食器棚)等の物品収納部に適用される物品収納用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、押入れ、クローゼット、キッチンの頭上収納部、天袋の収納部、居間(リビング)の天井裏収納部、棚(本棚や食器棚)等の物品収納部での物品の出し入れや整理を行う場合、踏み台、脚立、梯子等を用いて行うため、足元が不安定な状態での危険な作業になる。
【0003】
また、押入れの一段目等の低所に収納された物品を出し入れしようとする場合、四つん這いになって、頭を突っ込んで行うため、無理な姿勢での作業になる。
【0004】
特に高齢者にとっては、上記の作業は、大変困難を伴うものであった。
【0005】
従来、物品の収納部を上下動させ、物品の出し入れを容易にするための技術として、例えば特許文献1には、昇降可能な収納部を備えたキッチンキャビネットが提案されている(以下、この技術を従来例1という)。
【0006】
また、特許文献2には、中段をモータにより上下移動させて、布団の出し入れを行うことができる押入れが提案されている(以下、この技術を従来例2という)。
【特許文献1】特開平11−103953号公報
【特許文献2】実用新案登録第3053380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来例1では、収納台は昇降機構のワイヤに接続されており、収納台を取っ手で引き下げた後、昇降機構の巻き上げバネ力により元に復帰(上昇)する構成であるので、収納台の移動が不安定であり、収納されている物品等が転落したり破損したりするおそれがあるという課題があった。
【0008】
また、ワイヤの接続部が中央部の一箇所のみであるので、常に物品の収納はそのスペースに均等でないため、片荷となって不安定であるという課題があった。
【0009】
従来例2では、押入れ内の中間部にウォームギアを垂直方向に立設しているので、布団の収納する際にウォームギアが邪魔になり、収納性が悪くなるという課題があった。
【0010】
また、従来例1と同様に片荷の課題があるとともに、奥の方に頭を突っ込んで作業をしなければならないという課題があった。
【0011】
さらに、床下まで押入れ一段目が下がるので、正常状態に戻した時に床下に無駄な空間が常に必要となるという課題があった。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、物品収納部の収納性を損なうことなく、物品を安定して移動させることができる物品収納用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の物品収納用装置は、
中空に形成され、物品収納部に取り付けられた一対の支柱と、
前記支柱内に上下方向に移動可能に設けられた一対のスライド杆と、
前記一対のスライド杆の一方の端部に取り付けられ、物品を載置する物品載置部と、
前記一方のスライド杆の他方の端部に取り付けられた第1のワイヤと、
前記他方のスライド杆の他方の端部に取り付けられた第2のワイヤと、
前記第1のワイヤを下側から上側に向かって回転させるように巻き付けるとともに、前記第2のワイヤを上側から下側に向かって回転させるように巻き付けて、前記第1のワイヤ及び前記第2のワイヤを同時に巻き取る電動の巻取部と、
を有することを特徴とするものである。
【0014】
前記支柱は角パイプであるのが好ましい。
【0015】
前記物品載置部は、前記一対のスライド杆に設けられた蝶番を支点として回動可能に取り付けられた昇降用ベース板を備えていてもよい。
【0016】
前記昇降用ベース板と前記スライド杆とには伸縮可能な支持アームがそれぞれ枢着されており、前記支柱には、前記支持アームの端部が上下方向にスライドできるようにスリットが形成されていてもよい。
【0017】
中空に形成され、前記物品収納部に取り付けられた1以上の補助柱と、前記補助柱内に上下方向に移動可能に設けられ、一方の端部に前記物品載置部が取り付けられた補助用スライド杆とをさらに有してもよい。
【0018】
前記補助柱は角パイプであるのが好ましい。
【0019】
前記支柱には、前記スライド杆が所定位置に達したことを検知手段によって検知すると、前記スライド杆をロックするロック手段を有してもよい。
【0020】
前記ロック手段は、前記スライド杆に形成された係止孔に出入りするロックピンと、前記ロックピンを前記スライド杆側に付勢する付勢部材と、ソレノイドスイッチとを有し、前記ソレノイドスイッチがOFFの時に前記ロックピンを前記付勢部材により付勢してロック状態にし、前記ソレノイドスイッチがONの時に前記ロックピンを電磁力により引っ張り前記ロックピンによるロック状態を解除するものでもよい。
【0021】
前記スライド杆は複数段に伸縮可能に構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、次のような優れた効果を奏する。
(1)物品の出し入れや整理を安定した楽な姿勢で行うことができるので、高齢者であっても上記の作業を容易に行うことができる。
(2)電動の巻取部によって物品載置部を上下動させるので、移動が安定しており、物品の転落や破損を防止できる。
(3)押入れ等の既存の物品収納部にそのまま適用でき、物品収納部の収納性を損なうこともない。
(4)物品を収納ボックス内に入れるので、地震等による物品の外部への飛び出しを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置を示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置の側面図である。
【図3】巻取部を示す側面図である。
【図4】(A)はスライド杆がロックピンにより支柱に係止されている状態を示す正面断面図、(B)はロックピンによるロック状態を解除している状態を示す正面断面図である。
【図5】支柱、スライド杆、支持アーム及び昇降用ベース板を示す分解斜視図である。
【図6】(A)は支持アームを示す正面図、(B)はその側面図、(C)は係止爪で第2の支持杆を係止している状態を示す斜視図である。
【図7】収納ボックスの一例を示す斜視図である。
【図8】(A)は収納台車を示す側面図、(B)はその正面図、(C)はその背面図である。
【図9】収納台車の車輪の位置関係を説明するための説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置を押入れの上段に適用した場合を示す正面図である。
【図11】(A)−(C)は本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置の動作を説明するための説明図である。
【図12】本発明の第2の実施形態例に係る物品収納用装置の外観を示す斜視図である。
【図13】本発明の第2の実施形態例に係る物品収納用装置を示す側面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態例に係る物品収納用装置を示す斜視図である。
【図15】(A)は複数段に伸縮可能なスライド杆を示す正面断面図、(B)は複数段に伸縮可能な補助用スライド杆を示す正面断面図である。
【図16】物品載置部の下部に取り付けられた脚部を示す正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明の物品収納用装置は、例えば押入れ、クローゼット、キッチンの頭上収納部、天袋の収納部、居間(リビング)の天井裏収納部、棚(本棚や食器棚)等の物品収納部に適用されるものである。
【0025】
図1は本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置を示す平面図、図2は本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置の側面図である。
【0026】
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置S1は、中空に形成され、押入れ等の物品収納部に取り付けられた一対の支柱1と、支柱1内に上下方向に移動可能に設けられた一対のスライド杆2と、一対のスライド杆2の一方の端部(下側端部)に取り付けられ、物品を載置する物品載置部3と、一方のスライド杆2の他方の端部(上側端部)に取り付けられた第1のワイヤ4と、他方のスライド杆2の他方の端部(上側端部)に取り付けられた第2のワイヤ5と、第1のワイヤ4及び第2のワイヤ5を同時に巻き取る電動の巻取部6とを有する。
【0027】
支柱1は、内部のスライド杆2が回転しないように角パイプであるのが好ましい。
【0028】
巻取部6は第1のワイヤ4を一方側(下側)から他方側(上側)に向かって一方向(図で反時計方向)に回転させるように巻き付けるとともに、第2のワイヤ5を他方側(上側)から一方側(下側)に向かって一方向に回転させるように巻き付けるウィンチ7と、ウィンチ7を回転駆動させるモータ8とを有する。
【0029】
ウィンチ7を一方向(図で反時計方向)に回転させることにより、第1のワイヤ4及び第2のワイヤ5を巻き取り、一対のスライド杆2を上昇させ、他方向(図で時計方向)に回転させることにより、第1のワイヤ4及び第2のワイヤ5を巻き出し、一対のスライド杆2を下降させる。
【0030】
図3は巻取部を示す側面図である。図3に示すように、巻取部6のウィンチ7は第1のワイヤ4と第2のワイヤ5とが互いに絡みあわないように、中心部を挟んで第1のワイヤ4巻取用の第1区画7aと第2のワイヤ5巻取用の第2区画7bとに分けられている。
【0031】
モータ8の電源の入力操作はリモコン(図示せず)により遠隔操作されるのが好ましい。
【0032】
図4(A)はスライド杆がロックピンにより支柱1に係止されている状態を示す正面断面図、(B)はロックピンによるロック状態を解除している状態を示す正面断面図である。
【0033】
図4に示すように、支柱1の上部には、スライド杆2が所定位置に達したことを検知するリミットスイッチ、光センサ等の検知部9(検知手段)と、検知部9によって検知すると、スライド杆2を係止するロック部10(ロック手段)とを有する。
【0034】
ロック部10は、支柱1に形成された係止孔1a及びスライド杆2に形成された係止孔2aに出入りするロックピン11と、ロックピン11をスライド杆2側に付勢するスプリング等の付勢部材12と、ソレノイドスイッチ13とを有する。ロックピン11には、ロック状態(図4(A)参照)の時にソレノイドスイッチ13の端面と当接するストッパー11aが形成されている。付勢部材12は、ストッパー11aとロック部10の内壁との間に取り付けられている。
【0035】
ソレノイドスイッチ13がOFFの時には、ロックピン11を付勢部材12により付勢してロック状態にし、ソレノイドスイッチ13がONの時には、ロックピン11を電磁力により引っ張り、ロックピン11によるロック状態を解除する。
【0036】
モータ8の電源とソレノイドスイッチ13の電源は検知部9と連動して動作される。
【0037】
すなわち、ソレノイドスイッチ13のロックピン11は電源ONで電磁力により引っ張られて、スライド杆2とのロックが外れる。同時にモータ8の電源ONでウィンチ7によるスライド杆2の巻き出し(下ろし)が開始される(図4(B)参照)。
【0038】
また、ウィンチ7の巻き上げ終了とともに検知部9を介してウィンチ7の電源がOFFになれば、ソレノイドスイッチ13の電源もOFFとなり、付勢部材12によりロックピン11が押されて、支柱1とスライド杆2がロックされる(図4(A)参照)。同時にモータ8の電源がOFFとなる。
【0039】
図5は支柱、スライド杆、支持アーム及び昇降用ベース板を示す分解斜視図である。
【0040】
図5に示すように、物品載置部3は物品を載置するために鉄等の金属で作られた昇降用ベース板14を備えている。
【0041】
昇降用ベース板14は、スライド杆2の下部に設けられたブラケット15を介して取り付けられた蝶番16(ヒンジ)を支点として水平状態と垂直状態になるように回動可能に取り付けられている。
【0042】
スライド杆2と蝶番16との間には、スライド杆2が上昇したときに蝶番16が支柱1と干渉しないように干渉防止台17が設けられている。
【0043】
支柱1の正面上部にはマグネット18が取り付けられており、昇降用ベース板14が垂直状態のときにマグネット18に磁着され、昇降用ベース板14の下落を防止することができる。
【0044】
支柱1の側面には断面略L字状に形成された取付板19が取り付けられており、螺子等により押入れ等の物品収納部に支柱1が固定される。
【0045】
昇降用ベース板14と各スライド杆2との間には伸縮可能な支持アーム20が枢着されている。
【0046】
支柱1の正面には、支持アーム20の端部が上下方向にスライドできるようにスリット21が形成されている。
【0047】
図6(A)は支持アームを示す正面図、(B)はその側面図、(C)は係止爪で第2の支持杆を係止している状態を示す斜視図である。
【0048】
図6(A)及び(B)に示すように、支持アーム20は、昇降用ベース板14の側端部に立設されたスライド板14aに形成されたスライドスリット14b内をスライドするピン22を介して枢着された中空の第1の支持杆23と、スライド杆2のブラケット24の支軸24aに枢着され、第1の支持杆23内に移動可能に嵌入された中空の第2の支持杆25とを有する。
【0049】
第1の支持杆23の先端側側面には一対の第1の開口部23aが形成され、第2の支持杆25の基端側側面には一対の第2の開口部25aが形成されている。
【0050】
第1の開口部23a及び第2の開口部25aには、第2の支持杆25内に固定された支持軸26に回動可能に取り付けられた一対の係止爪27が出入り可能に配置されている。
【0051】
また、支持軸26には係止爪27を第1の開口部23a及び第2の開口部25aの外側に付勢するキックバックスプリング28が取り付けられている。これによって、第2の支持杆25を第1の支持杆23内で移動できるとともに、第1の開口部23aと第2の開口部25aが重なった位置で係止爪27が外側に突き出ることによって、第2の支持杆25の移動を停止させることができるので、支持アーム20全体の長さを伸縮させることが可能となる。
【0052】
なお、図6(A)及び(B)中、28aはピン22と支持軸26との間に取り付けられ、第1の支持杆23が第2の支持杆25の外側に伸びる方向に付勢するスプリングである。
【0053】
図7は収納ボックスの一例を示す斜視図である。図7に示すように、収納ボックス29は上部を開口した箱型のケース30と、ケース30の正面側下部に設けられた蝶番30a(ヒンジ)を支点として開閉可能に取り付けられた扉部31とを有する。
【0054】
ケース30の正面側の内側面上部には一対の係止ピン30bが突出して設けられ、扉部31に回動可能に取り付けられたロック用金具32の係止凹部32aが係止ピン30bに係止され、扉部31をロックできるようになっている。扉部31の側部には係止凹部32aが回動できるように切欠き部31aが形成されている。
【0055】
また、扉部31にはロック用金具32を操作する時に手(又は指)を差し込むための差込部33が形成されている。
【0056】
さらに、扉部31にはロック用金具32をロックする方向に付勢するためのキックバックスプリング34が取り付けられている。
【0057】
図8(A)は収納台車を示す側面図、(B)はその正面図、(C)はその背面図、図9は収納台車の車輪の位置関係を説明するための説明図である。
【0058】
図8(A)−(C)に示すように、収納ボックス29を載せる収納台車35は、方形状の台部36と、台部36の底部に設けられた複数(図8では6つ)の車輪37とを有する。
【0059】
昇降用ベース板14の表面には、収納台車35の車輪37をガイドするガイドレール38が形成されている(図5参照)。
【0060】
車輪37は、左右方向の中心軸線を挟んで左右に対向する位置に配置されているが、昇降用ベース板14のガイドレール38と物品収納部内の内側レール39(図5参照)との繋ぎ目に左右の車輪37が同時に嵌り込まないように、図9に示すように、左右のローラーの位置をL(例えば2−3cm)程度に前後方向にずらして配置されるのが好ましい。これによって、ガイドレール38と内側レール39上を容易に、繋ぎ目に嵌り込ことなく、移動させることができる。
【0061】
収納台車35の台部36の基端側には下側に向かって突出した突出部36aが形成されており(図8(C)参照)、その突出部36aが、昇降用ベース板14の基端部に上側に向かって突出して形成されたストッパ40(図5参照)に当接することにより、収納台車35が手前に出過ぎないように規制することができる。
【0062】
なお、収納台車35は電動により移動することができるものでもよい。
【0063】
次に、本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置S1の動作について説明する。
【0064】
図10は本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置S1を押入れの上段に適用した場合を示す正面図、図11(A)−(C)は本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置の動作を説明するための説明図である。
【0065】
支柱1にマグネット18(図5参照)によって磁着されている昇降用ベース板14(図11(A)参照)を手前に倒す(図11(B)参照)。その際、第2の支持杆25が第1の支持杆23から出て、かつ、ピン22がスライド板14aのスライドスリット14b内を手前側にスライドし、更に伸びる方向に付勢するスプリング28aの助けを得て、支持アーム20全体の長さが伸びる。
【0066】
次いで、収納ボックス29を載せた収納台車35を手動又は電動で手前に引き出す。その際、収納台車35の突出部36aが、昇降用ベース板14のストッパ40に当接することにより、収納台車35が手前に出過ぎないように規制される。
【0067】
次いで、リモコンを操作して、モータ8の電源をONにすると、ソレノイドスイッチ13のロックピン11が電磁力により引っ張られて、スライド杆2とのロックが外れ、ウィンチ7によるスライド杆2の巻き出し(下ろし)が開始され、支柱1内のスライド杆2が下降する。これによって、昇降用ベース板14上の収納台車35に載せられた収納ボックス29を所望の高さまで下降させることができる(図11(C)参照)。
【0068】
なお、押入れの下段のように、奥が深くて物品の出入れ、収納、整理が困難な場所においては、昇降用ベース板14と同様な形態をした折り畳み式ベース板(昇降しないが、ヒンジで折り畳める板)を取り付けてもよい。この場合、折り畳み式ベース板の材質は金属ではなく、合板又はプラスチック等が好ましい。
【0069】
また、収納ボックス29は籠のような形状のものでもよい。
【0070】
収納ボックス29を載せた収納台車35を手前に引き出すことにより、床面の高さで物品の出し入れや整理を行うことができる。
【0071】
また、折り畳みベース板は、下部の畳やフローリングを保護する役割も有する。
【0072】
本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置S1によれば、物品の出し入れや整理を安定した楽な姿勢で行うことができるので、高齢者であっても上記の作業を容易に行うことができる。
【0073】
また、電動の巻取部6によって物品載置部3である昇降用ベース板14を上下動させるので、移動が安定しており、物品の転落や破損を防止できる。
【0074】
また、押入れ等の既存の物品収納部にそのまま適用でき、物品収納部の収納性を損なうこともない。
【0075】
また、押入れの上段、クローゼットの棚等の高所であって、その下部のスペースが既にそれぞれの目的に使用されていて、物品載置部3をそのまま垂直に降下できない場合であっても、手前に引き出してから降下できるので、スペースを有効活用でき便利である。
【0076】
さらに、物品を収納ボックス内に入れるので、地震等による物品の外部への飛び出しを防止できる。
【0077】
図12は本発明の第2の実施形態例に係る物品収納用装置の外観を示す斜視図、図13は本発明の第2の実施形態例に係る物品収納用装置を示す側面図である。
【0078】
図12及び図13に示すように、本発明の第2の実施形態例に係る物品収納用装置S2では、キッチンの頭上収納部等のように、下部に未使用の十分なスペースがある場所に好適である。
【0079】
物品収納用装置S2は、中空に形成され、キッチンの頭上収納部、天袋等の物品収納部に取り付けられた1以上(この例では4つ)の補助柱41と、補助柱41内に上下方向に移動可能に設けられ、一方の端部に物品載置部3が取り付けられた補助用スライド杆42とをさらに有する。
【0080】
補助柱41は、内部の補助用スライド杆42が回転しないように角パイプであるのが好ましい。
【0081】
支柱1、スライド杆2、第1のワイヤ4、第2のワイヤ5、ウィンチ7、モータ8、検知部9、ロック部10については第1の実施形態例と同様である。
【0082】
ウィンチ7やモータ8等は天井部分に隠れるように配置されるのが好ましい。
【0083】
物品載置部3は、スライド杆2及び補助用スライド杆42に固定された1以上の昇降用ベース板14を備え、昇降用ベース板14上に籠状の収納ボックス29が載せられている。
【0084】
本発明の第2の実施形態例に係る物品収納用装置S2によれば、補助柱41内の補助用スライド杆42に物品載置部3が取り付けられているので、物品載置部3をより安定して上下動させることができる。
【0085】
図14は本発明の第3の実施形態例に係る物品収納用装置を示す斜視図である。
【0086】
図14に示すように、本発明の第3の実施形態例に係る物品収納用装置S3は、天井Kの上部に設置されており、天井裏に未使用の空間があり、下部に未使用の十分なスペースがある場所に好適である。
【0087】
収容時の昇降用ベース板14は天井Kと同一面状になるように配置されており、巻取部6によるワイヤ4及びワイヤ5の巻き取り・巻き出しにより、支柱1内のスライド杆2は天井裏と天井より下方部との間を上下動するとともに、補助柱41内の補助用スライド杆42は天井裏と天井より下方部との間を上下動することができる。これによって、昇降用ベース板14上の収納ボックス29を天井裏と天井より下方部との間で上下動させることができる。
【0088】
図15(A)は複数段に伸縮可能なスライド杆を示す正面断面図、(B)は複数段に伸縮可能な補助用スライド杆を示す正面断面図である。
【0089】
図15(A)に示すように、支柱1内のスライド杆2は、さらに内部に先端スライド杆2bを備えており、補助柱41内の補助用スライド杆42は、さらに内部に先端補助用スライド杆42aを備えており、昇降用ベース板14の上下動のストロークを長くしている。
【0090】
なお、スライド杆2及び補助用スライド杆42を3段以上に伸縮できるように構成して、さらに昇降用ベース板14の上下動のストロークを長くしてもよい。
【0091】
図16は物品載置部3の下部に取り付けられた脚部を示す正面図である。
【0092】
図16に示すように、物品載置部3の昇降用ベース板14の下部に折り畳み可能な脚部43を取り付けてもよい。この折り畳み可能な脚部43によって、床からの高さを所望の高さに調整できるので、物品の出し入れや整理の作業性をより向上させることができる。
【0093】
本発明は、上記実施の形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内において、種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の物品収納用装置は、例えば押入れ、クローゼット、キッチンの頭上収納部、天袋の収納部、居間(リビング)の天井裏収納部、棚(本棚や食器棚)等の物品収納部に用いられる。
【符号の説明】
【0095】
S1,S2,S3:物品収納用装置
1:支柱1
2:スライド杆
3:物品載置部
4:第1のワイヤ
5:第2のワイヤ
6:巻取部
7:ウィンチ
8:モータ
9:検知部
10:ロック部
11:ロックピン
12:付勢部材
13:ソレノイドスイッチ
14:昇降用ベース板
15:ブラケット
16:蝶番
17:干渉防止台
18:マグネット
19:取付板
20:支持アーム
21:スリット
22:支軸
23:第1の支持杆
24:ブラケット
25:第2の支持杆
26:支持軸
27:係止爪
28:キックバックスプリング
29:収納ボックス
30:ケース
31:扉部
32:ロック用金具
33:差込部
34:キックバックスプリング
35:収納台車
36:台部
37:車輪
38:ガイドレール
39:内側レール
40:ストッパ
41:補助柱
42:補助用スライド杆
43:脚部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばクローゼット、キッチンの頭上収納部、天袋の収納部、居間(リビング)の天井裏収納部、棚(本棚や食器棚)等の物品収納部に適用される物品収納用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、押入れ、クローゼット、キッチンの頭上収納部、天袋の収納部、居間(リビング)の天井裏収納部、棚(本棚や食器棚)等の物品収納部での物品の出し入れや整理を行う場合、踏み台、脚立、梯子等を用いて行うため、足元が不安定な状態での危険な作業になる。
【0003】
また、押入れの一段目等の低所に収納された物品を出し入れしようとする場合、四つん這いになって、頭を突っ込んで行うため、無理な姿勢での作業になる。
【0004】
特に高齢者にとっては、上記の作業は、大変困難を伴うものであった。
【0005】
従来、物品の収納部を上下動させ、物品の出し入れを容易にするための技術として、例えば特許文献1には、昇降可能な収納部を備えたキッチンキャビネットが提案されている(以下、この技術を従来例1という)。
【0006】
また、特許文献2には、中段をモータにより上下移動させて、布団の出し入れを行うことができる押入れが提案されている(以下、この技術を従来例2という)。
【特許文献1】特開平11−103953号公報
【特許文献2】実用新案登録第3053380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来例1では、収納台は昇降機構のワイヤに接続されており、収納台を取っ手で引き下げた後、昇降機構の巻き上げバネ力により元に復帰(上昇)する構成であるので、収納台の移動が不安定であり、収納されている物品等が転落したり破損したりするおそれがあるという課題があった。
【0008】
また、ワイヤの接続部が中央部の一箇所のみであるので、常に物品の収納はそのスペースに均等でないため、片荷となって不安定であるという課題があった。
【0009】
従来例2では、押入れ内の中間部にウォームギアを垂直方向に立設しているので、布団の収納する際にウォームギアが邪魔になり、収納性が悪くなるという課題があった。
【0010】
また、従来例1と同様に片荷の課題があるとともに、奥の方に頭を突っ込んで作業をしなければならないという課題があった。
【0011】
さらに、床下まで押入れ一段目が下がるので、正常状態に戻した時に床下に無駄な空間が常に必要となるという課題があった。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、物品収納部の収納性を損なうことなく、物品を安定して移動させることができる物品収納用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の物品収納用装置は、
中空に形成され、物品収納部に取り付けられた一対の支柱と、
前記支柱内に上下方向に移動可能に設けられた一対のスライド杆と、
前記一対のスライド杆の一方の端部に取り付けられ、物品を載置する物品載置部と、
前記一方のスライド杆の他方の端部に取り付けられた第1のワイヤと、
前記他方のスライド杆の他方の端部に取り付けられた第2のワイヤと、
前記第1のワイヤを下側から上側に向かって回転させるように巻き付けるとともに、前記第2のワイヤを上側から下側に向かって回転させるように巻き付けて、前記第1のワイヤ及び前記第2のワイヤを同時に巻き取る電動の巻取部と、
を有することを特徴とするものである。
【0014】
前記支柱は角パイプであるのが好ましい。
【0015】
前記物品載置部は、前記一対のスライド杆に設けられた蝶番を支点として回動可能に取り付けられた昇降用ベース板を備えていてもよい。
【0016】
前記昇降用ベース板と前記スライド杆とには伸縮可能な支持アームがそれぞれ枢着されており、前記支柱には、前記支持アームの端部が上下方向にスライドできるようにスリットが形成されていてもよい。
【0017】
中空に形成され、前記物品収納部に取り付けられた1以上の補助柱と、前記補助柱内に上下方向に移動可能に設けられ、一方の端部に前記物品載置部が取り付けられた補助用スライド杆とをさらに有してもよい。
【0018】
前記補助柱は角パイプであるのが好ましい。
【0019】
前記支柱には、前記スライド杆が所定位置に達したことを検知手段によって検知すると、前記スライド杆をロックするロック手段を有してもよい。
【0020】
前記ロック手段は、前記スライド杆に形成された係止孔に出入りするロックピンと、前記ロックピンを前記スライド杆側に付勢する付勢部材と、ソレノイドスイッチとを有し、前記ソレノイドスイッチがOFFの時に前記ロックピンを前記付勢部材により付勢してロック状態にし、前記ソレノイドスイッチがONの時に前記ロックピンを電磁力により引っ張り前記ロックピンによるロック状態を解除するものでもよい。
【0021】
前記スライド杆は複数段に伸縮可能に構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、次のような優れた効果を奏する。
(1)物品の出し入れや整理を安定した楽な姿勢で行うことができるので、高齢者であっても上記の作業を容易に行うことができる。
(2)電動の巻取部によって物品載置部を上下動させるので、移動が安定しており、物品の転落や破損を防止できる。
(3)押入れ等の既存の物品収納部にそのまま適用でき、物品収納部の収納性を損なうこともない。
(4)物品を収納ボックス内に入れるので、地震等による物品の外部への飛び出しを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置を示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置の側面図である。
【図3】巻取部を示す側面図である。
【図4】(A)はスライド杆がロックピンにより支柱に係止されている状態を示す正面断面図、(B)はロックピンによるロック状態を解除している状態を示す正面断面図である。
【図5】支柱、スライド杆、支持アーム及び昇降用ベース板を示す分解斜視図である。
【図6】(A)は支持アームを示す正面図、(B)はその側面図、(C)は係止爪で第2の支持杆を係止している状態を示す斜視図である。
【図7】収納ボックスの一例を示す斜視図である。
【図8】(A)は収納台車を示す側面図、(B)はその正面図、(C)はその背面図である。
【図9】収納台車の車輪の位置関係を説明するための説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置を押入れの上段に適用した場合を示す正面図である。
【図11】(A)−(C)は本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置の動作を説明するための説明図である。
【図12】本発明の第2の実施形態例に係る物品収納用装置の外観を示す斜視図である。
【図13】本発明の第2の実施形態例に係る物品収納用装置を示す側面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態例に係る物品収納用装置を示す斜視図である。
【図15】(A)は複数段に伸縮可能なスライド杆を示す正面断面図、(B)は複数段に伸縮可能な補助用スライド杆を示す正面断面図である。
【図16】物品載置部の下部に取り付けられた脚部を示す正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明の物品収納用装置は、例えば押入れ、クローゼット、キッチンの頭上収納部、天袋の収納部、居間(リビング)の天井裏収納部、棚(本棚や食器棚)等の物品収納部に適用されるものである。
【0025】
図1は本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置を示す平面図、図2は本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置の側面図である。
【0026】
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置S1は、中空に形成され、押入れ等の物品収納部に取り付けられた一対の支柱1と、支柱1内に上下方向に移動可能に設けられた一対のスライド杆2と、一対のスライド杆2の一方の端部(下側端部)に取り付けられ、物品を載置する物品載置部3と、一方のスライド杆2の他方の端部(上側端部)に取り付けられた第1のワイヤ4と、他方のスライド杆2の他方の端部(上側端部)に取り付けられた第2のワイヤ5と、第1のワイヤ4及び第2のワイヤ5を同時に巻き取る電動の巻取部6とを有する。
【0027】
支柱1は、内部のスライド杆2が回転しないように角パイプであるのが好ましい。
【0028】
巻取部6は第1のワイヤ4を一方側(下側)から他方側(上側)に向かって一方向(図で反時計方向)に回転させるように巻き付けるとともに、第2のワイヤ5を他方側(上側)から一方側(下側)に向かって一方向に回転させるように巻き付けるウィンチ7と、ウィンチ7を回転駆動させるモータ8とを有する。
【0029】
ウィンチ7を一方向(図で反時計方向)に回転させることにより、第1のワイヤ4及び第2のワイヤ5を巻き取り、一対のスライド杆2を上昇させ、他方向(図で時計方向)に回転させることにより、第1のワイヤ4及び第2のワイヤ5を巻き出し、一対のスライド杆2を下降させる。
【0030】
図3は巻取部を示す側面図である。図3に示すように、巻取部6のウィンチ7は第1のワイヤ4と第2のワイヤ5とが互いに絡みあわないように、中心部を挟んで第1のワイヤ4巻取用の第1区画7aと第2のワイヤ5巻取用の第2区画7bとに分けられている。
【0031】
モータ8の電源の入力操作はリモコン(図示せず)により遠隔操作されるのが好ましい。
【0032】
図4(A)はスライド杆がロックピンにより支柱1に係止されている状態を示す正面断面図、(B)はロックピンによるロック状態を解除している状態を示す正面断面図である。
【0033】
図4に示すように、支柱1の上部には、スライド杆2が所定位置に達したことを検知するリミットスイッチ、光センサ等の検知部9(検知手段)と、検知部9によって検知すると、スライド杆2を係止するロック部10(ロック手段)とを有する。
【0034】
ロック部10は、支柱1に形成された係止孔1a及びスライド杆2に形成された係止孔2aに出入りするロックピン11と、ロックピン11をスライド杆2側に付勢するスプリング等の付勢部材12と、ソレノイドスイッチ13とを有する。ロックピン11には、ロック状態(図4(A)参照)の時にソレノイドスイッチ13の端面と当接するストッパー11aが形成されている。付勢部材12は、ストッパー11aとロック部10の内壁との間に取り付けられている。
【0035】
ソレノイドスイッチ13がOFFの時には、ロックピン11を付勢部材12により付勢してロック状態にし、ソレノイドスイッチ13がONの時には、ロックピン11を電磁力により引っ張り、ロックピン11によるロック状態を解除する。
【0036】
モータ8の電源とソレノイドスイッチ13の電源は検知部9と連動して動作される。
【0037】
すなわち、ソレノイドスイッチ13のロックピン11は電源ONで電磁力により引っ張られて、スライド杆2とのロックが外れる。同時にモータ8の電源ONでウィンチ7によるスライド杆2の巻き出し(下ろし)が開始される(図4(B)参照)。
【0038】
また、ウィンチ7の巻き上げ終了とともに検知部9を介してウィンチ7の電源がOFFになれば、ソレノイドスイッチ13の電源もOFFとなり、付勢部材12によりロックピン11が押されて、支柱1とスライド杆2がロックされる(図4(A)参照)。同時にモータ8の電源がOFFとなる。
【0039】
図5は支柱、スライド杆、支持アーム及び昇降用ベース板を示す分解斜視図である。
【0040】
図5に示すように、物品載置部3は物品を載置するために鉄等の金属で作られた昇降用ベース板14を備えている。
【0041】
昇降用ベース板14は、スライド杆2の下部に設けられたブラケット15を介して取り付けられた蝶番16(ヒンジ)を支点として水平状態と垂直状態になるように回動可能に取り付けられている。
【0042】
スライド杆2と蝶番16との間には、スライド杆2が上昇したときに蝶番16が支柱1と干渉しないように干渉防止台17が設けられている。
【0043】
支柱1の正面上部にはマグネット18が取り付けられており、昇降用ベース板14が垂直状態のときにマグネット18に磁着され、昇降用ベース板14の下落を防止することができる。
【0044】
支柱1の側面には断面略L字状に形成された取付板19が取り付けられており、螺子等により押入れ等の物品収納部に支柱1が固定される。
【0045】
昇降用ベース板14と各スライド杆2との間には伸縮可能な支持アーム20が枢着されている。
【0046】
支柱1の正面には、支持アーム20の端部が上下方向にスライドできるようにスリット21が形成されている。
【0047】
図6(A)は支持アームを示す正面図、(B)はその側面図、(C)は係止爪で第2の支持杆を係止している状態を示す斜視図である。
【0048】
図6(A)及び(B)に示すように、支持アーム20は、昇降用ベース板14の側端部に立設されたスライド板14aに形成されたスライドスリット14b内をスライドするピン22を介して枢着された中空の第1の支持杆23と、スライド杆2のブラケット24の支軸24aに枢着され、第1の支持杆23内に移動可能に嵌入された中空の第2の支持杆25とを有する。
【0049】
第1の支持杆23の先端側側面には一対の第1の開口部23aが形成され、第2の支持杆25の基端側側面には一対の第2の開口部25aが形成されている。
【0050】
第1の開口部23a及び第2の開口部25aには、第2の支持杆25内に固定された支持軸26に回動可能に取り付けられた一対の係止爪27が出入り可能に配置されている。
【0051】
また、支持軸26には係止爪27を第1の開口部23a及び第2の開口部25aの外側に付勢するキックバックスプリング28が取り付けられている。これによって、第2の支持杆25を第1の支持杆23内で移動できるとともに、第1の開口部23aと第2の開口部25aが重なった位置で係止爪27が外側に突き出ることによって、第2の支持杆25の移動を停止させることができるので、支持アーム20全体の長さを伸縮させることが可能となる。
【0052】
なお、図6(A)及び(B)中、28aはピン22と支持軸26との間に取り付けられ、第1の支持杆23が第2の支持杆25の外側に伸びる方向に付勢するスプリングである。
【0053】
図7は収納ボックスの一例を示す斜視図である。図7に示すように、収納ボックス29は上部を開口した箱型のケース30と、ケース30の正面側下部に設けられた蝶番30a(ヒンジ)を支点として開閉可能に取り付けられた扉部31とを有する。
【0054】
ケース30の正面側の内側面上部には一対の係止ピン30bが突出して設けられ、扉部31に回動可能に取り付けられたロック用金具32の係止凹部32aが係止ピン30bに係止され、扉部31をロックできるようになっている。扉部31の側部には係止凹部32aが回動できるように切欠き部31aが形成されている。
【0055】
また、扉部31にはロック用金具32を操作する時に手(又は指)を差し込むための差込部33が形成されている。
【0056】
さらに、扉部31にはロック用金具32をロックする方向に付勢するためのキックバックスプリング34が取り付けられている。
【0057】
図8(A)は収納台車を示す側面図、(B)はその正面図、(C)はその背面図、図9は収納台車の車輪の位置関係を説明するための説明図である。
【0058】
図8(A)−(C)に示すように、収納ボックス29を載せる収納台車35は、方形状の台部36と、台部36の底部に設けられた複数(図8では6つ)の車輪37とを有する。
【0059】
昇降用ベース板14の表面には、収納台車35の車輪37をガイドするガイドレール38が形成されている(図5参照)。
【0060】
車輪37は、左右方向の中心軸線を挟んで左右に対向する位置に配置されているが、昇降用ベース板14のガイドレール38と物品収納部内の内側レール39(図5参照)との繋ぎ目に左右の車輪37が同時に嵌り込まないように、図9に示すように、左右のローラーの位置をL(例えば2−3cm)程度に前後方向にずらして配置されるのが好ましい。これによって、ガイドレール38と内側レール39上を容易に、繋ぎ目に嵌り込ことなく、移動させることができる。
【0061】
収納台車35の台部36の基端側には下側に向かって突出した突出部36aが形成されており(図8(C)参照)、その突出部36aが、昇降用ベース板14の基端部に上側に向かって突出して形成されたストッパ40(図5参照)に当接することにより、収納台車35が手前に出過ぎないように規制することができる。
【0062】
なお、収納台車35は電動により移動することができるものでもよい。
【0063】
次に、本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置S1の動作について説明する。
【0064】
図10は本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置S1を押入れの上段に適用した場合を示す正面図、図11(A)−(C)は本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置の動作を説明するための説明図である。
【0065】
支柱1にマグネット18(図5参照)によって磁着されている昇降用ベース板14(図11(A)参照)を手前に倒す(図11(B)参照)。その際、第2の支持杆25が第1の支持杆23から出て、かつ、ピン22がスライド板14aのスライドスリット14b内を手前側にスライドし、更に伸びる方向に付勢するスプリング28aの助けを得て、支持アーム20全体の長さが伸びる。
【0066】
次いで、収納ボックス29を載せた収納台車35を手動又は電動で手前に引き出す。その際、収納台車35の突出部36aが、昇降用ベース板14のストッパ40に当接することにより、収納台車35が手前に出過ぎないように規制される。
【0067】
次いで、リモコンを操作して、モータ8の電源をONにすると、ソレノイドスイッチ13のロックピン11が電磁力により引っ張られて、スライド杆2とのロックが外れ、ウィンチ7によるスライド杆2の巻き出し(下ろし)が開始され、支柱1内のスライド杆2が下降する。これによって、昇降用ベース板14上の収納台車35に載せられた収納ボックス29を所望の高さまで下降させることができる(図11(C)参照)。
【0068】
なお、押入れの下段のように、奥が深くて物品の出入れ、収納、整理が困難な場所においては、昇降用ベース板14と同様な形態をした折り畳み式ベース板(昇降しないが、ヒンジで折り畳める板)を取り付けてもよい。この場合、折り畳み式ベース板の材質は金属ではなく、合板又はプラスチック等が好ましい。
【0069】
また、収納ボックス29は籠のような形状のものでもよい。
【0070】
収納ボックス29を載せた収納台車35を手前に引き出すことにより、床面の高さで物品の出し入れや整理を行うことができる。
【0071】
また、折り畳みベース板は、下部の畳やフローリングを保護する役割も有する。
【0072】
本発明の第1の実施形態例に係る物品収納用装置S1によれば、物品の出し入れや整理を安定した楽な姿勢で行うことができるので、高齢者であっても上記の作業を容易に行うことができる。
【0073】
また、電動の巻取部6によって物品載置部3である昇降用ベース板14を上下動させるので、移動が安定しており、物品の転落や破損を防止できる。
【0074】
また、押入れ等の既存の物品収納部にそのまま適用でき、物品収納部の収納性を損なうこともない。
【0075】
また、押入れの上段、クローゼットの棚等の高所であって、その下部のスペースが既にそれぞれの目的に使用されていて、物品載置部3をそのまま垂直に降下できない場合であっても、手前に引き出してから降下できるので、スペースを有効活用でき便利である。
【0076】
さらに、物品を収納ボックス内に入れるので、地震等による物品の外部への飛び出しを防止できる。
【0077】
図12は本発明の第2の実施形態例に係る物品収納用装置の外観を示す斜視図、図13は本発明の第2の実施形態例に係る物品収納用装置を示す側面図である。
【0078】
図12及び図13に示すように、本発明の第2の実施形態例に係る物品収納用装置S2では、キッチンの頭上収納部等のように、下部に未使用の十分なスペースがある場所に好適である。
【0079】
物品収納用装置S2は、中空に形成され、キッチンの頭上収納部、天袋等の物品収納部に取り付けられた1以上(この例では4つ)の補助柱41と、補助柱41内に上下方向に移動可能に設けられ、一方の端部に物品載置部3が取り付けられた補助用スライド杆42とをさらに有する。
【0080】
補助柱41は、内部の補助用スライド杆42が回転しないように角パイプであるのが好ましい。
【0081】
支柱1、スライド杆2、第1のワイヤ4、第2のワイヤ5、ウィンチ7、モータ8、検知部9、ロック部10については第1の実施形態例と同様である。
【0082】
ウィンチ7やモータ8等は天井部分に隠れるように配置されるのが好ましい。
【0083】
物品載置部3は、スライド杆2及び補助用スライド杆42に固定された1以上の昇降用ベース板14を備え、昇降用ベース板14上に籠状の収納ボックス29が載せられている。
【0084】
本発明の第2の実施形態例に係る物品収納用装置S2によれば、補助柱41内の補助用スライド杆42に物品載置部3が取り付けられているので、物品載置部3をより安定して上下動させることができる。
【0085】
図14は本発明の第3の実施形態例に係る物品収納用装置を示す斜視図である。
【0086】
図14に示すように、本発明の第3の実施形態例に係る物品収納用装置S3は、天井Kの上部に設置されており、天井裏に未使用の空間があり、下部に未使用の十分なスペースがある場所に好適である。
【0087】
収容時の昇降用ベース板14は天井Kと同一面状になるように配置されており、巻取部6によるワイヤ4及びワイヤ5の巻き取り・巻き出しにより、支柱1内のスライド杆2は天井裏と天井より下方部との間を上下動するとともに、補助柱41内の補助用スライド杆42は天井裏と天井より下方部との間を上下動することができる。これによって、昇降用ベース板14上の収納ボックス29を天井裏と天井より下方部との間で上下動させることができる。
【0088】
図15(A)は複数段に伸縮可能なスライド杆を示す正面断面図、(B)は複数段に伸縮可能な補助用スライド杆を示す正面断面図である。
【0089】
図15(A)に示すように、支柱1内のスライド杆2は、さらに内部に先端スライド杆2bを備えており、補助柱41内の補助用スライド杆42は、さらに内部に先端補助用スライド杆42aを備えており、昇降用ベース板14の上下動のストロークを長くしている。
【0090】
なお、スライド杆2及び補助用スライド杆42を3段以上に伸縮できるように構成して、さらに昇降用ベース板14の上下動のストロークを長くしてもよい。
【0091】
図16は物品載置部3の下部に取り付けられた脚部を示す正面図である。
【0092】
図16に示すように、物品載置部3の昇降用ベース板14の下部に折り畳み可能な脚部43を取り付けてもよい。この折り畳み可能な脚部43によって、床からの高さを所望の高さに調整できるので、物品の出し入れや整理の作業性をより向上させることができる。
【0093】
本発明は、上記実施の形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内において、種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の物品収納用装置は、例えば押入れ、クローゼット、キッチンの頭上収納部、天袋の収納部、居間(リビング)の天井裏収納部、棚(本棚や食器棚)等の物品収納部に用いられる。
【符号の説明】
【0095】
S1,S2,S3:物品収納用装置
1:支柱1
2:スライド杆
3:物品載置部
4:第1のワイヤ
5:第2のワイヤ
6:巻取部
7:ウィンチ
8:モータ
9:検知部
10:ロック部
11:ロックピン
12:付勢部材
13:ソレノイドスイッチ
14:昇降用ベース板
15:ブラケット
16:蝶番
17:干渉防止台
18:マグネット
19:取付板
20:支持アーム
21:スリット
22:支軸
23:第1の支持杆
24:ブラケット
25:第2の支持杆
26:支持軸
27:係止爪
28:キックバックスプリング
29:収納ボックス
30:ケース
31:扉部
32:ロック用金具
33:差込部
34:キックバックスプリング
35:収納台車
36:台部
37:車輪
38:ガイドレール
39:内側レール
40:ストッパ
41:補助柱
42:補助用スライド杆
43:脚部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空に形成され、物品収納部に取り付けられた一対の支柱と、
前記支柱内に上下方向に移動可能に設けられた一対のスライド杆と、
前記一対のスライド杆の一方の端部に取り付けられ、物品を載置する物品載置部と、
前記一方のスライド杆の他方の端部に取り付けられた第1のワイヤと、
前記他方のスライド杆の他方の端部に取り付けられた第2のワイヤと、
前記第1のワイヤを下側から上側に向かって回転させるように巻き付けるとともに、前記第2のワイヤを上側から下側に向かって回転させるように巻き付けて、前記第1のワイヤ及び前記第2のワイヤを同時に巻き取る電動の巻取部と、
を有することを特徴とする物品収納用装置。
【請求項2】
前記支柱は角パイプであることを特徴とする請求項1に記載の物品収納用装置。
【請求項3】
前記物品載置部は、前記一対のスライド杆に設けられた蝶番を支点として回動可能に取り付けられた昇降用ベース板を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の物品収納用装置。
【請求項4】
前記昇降用ベース板と前記スライド杆とには伸縮可能な支持アームがそれぞれ枢着されており、
前記支柱には、前記支持アームの端部が上下方向にスライドできるようにスリットが形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の物品収納用装置。
【請求項5】
中空に形成され、前記物品収納部に取り付けられた1以上の補助柱と、前記補助柱内に上下方向に移動可能に設けられ、一方の端部に前記物品載置部が取り付けられた補助用スライド杆とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の物品収納用装置。
【請求項6】
前記補助柱は角パイプであることを特徴とする請求項5に記載の物品収納用装置。
【請求項7】
前記支柱には、前記スライド杆が所定位置に達したことを検知手段によって検知すると、前記スライド杆をロックするロック手段を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つの項に記載の物品収納用装置。
【請求項8】
前記ロック手段は、前記スライド杆に形成された係止孔に出入りするロックピンと、前記ロックピンを前記スライド杆側に付勢する付勢部材と、ソレノイドスイッチとを有し、前記ソレノイドスイッチがOFFの時に前記ロックピンを前記付勢部材により付勢してロック状態にし、前記ソレノイドスイッチがONの時に前記ロックピンを電磁力により引っ張り前記ロックピンによるロック状態を解除する、ことを特徴とする請求項7に記載の物品収納用装置。
【請求項9】
前記スライド杆は複数段に伸縮可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つの項に記載の物品収納用装置。
【請求項1】
中空に形成され、物品収納部に取り付けられた一対の支柱と、
前記支柱内に上下方向に移動可能に設けられた一対のスライド杆と、
前記一対のスライド杆の一方の端部に取り付けられ、物品を載置する物品載置部と、
前記一方のスライド杆の他方の端部に取り付けられた第1のワイヤと、
前記他方のスライド杆の他方の端部に取り付けられた第2のワイヤと、
前記第1のワイヤを下側から上側に向かって回転させるように巻き付けるとともに、前記第2のワイヤを上側から下側に向かって回転させるように巻き付けて、前記第1のワイヤ及び前記第2のワイヤを同時に巻き取る電動の巻取部と、
を有することを特徴とする物品収納用装置。
【請求項2】
前記支柱は角パイプであることを特徴とする請求項1に記載の物品収納用装置。
【請求項3】
前記物品載置部は、前記一対のスライド杆に設けられた蝶番を支点として回動可能に取り付けられた昇降用ベース板を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の物品収納用装置。
【請求項4】
前記昇降用ベース板と前記スライド杆とには伸縮可能な支持アームがそれぞれ枢着されており、
前記支柱には、前記支持アームの端部が上下方向にスライドできるようにスリットが形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の物品収納用装置。
【請求項5】
中空に形成され、前記物品収納部に取り付けられた1以上の補助柱と、前記補助柱内に上下方向に移動可能に設けられ、一方の端部に前記物品載置部が取り付けられた補助用スライド杆とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の物品収納用装置。
【請求項6】
前記補助柱は角パイプであることを特徴とする請求項5に記載の物品収納用装置。
【請求項7】
前記支柱には、前記スライド杆が所定位置に達したことを検知手段によって検知すると、前記スライド杆をロックするロック手段を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つの項に記載の物品収納用装置。
【請求項8】
前記ロック手段は、前記スライド杆に形成された係止孔に出入りするロックピンと、前記ロックピンを前記スライド杆側に付勢する付勢部材と、ソレノイドスイッチとを有し、前記ソレノイドスイッチがOFFの時に前記ロックピンを前記付勢部材により付勢してロック状態にし、前記ソレノイドスイッチがONの時に前記ロックピンを電磁力により引っ張り前記ロックピンによるロック状態を解除する、ことを特徴とする請求項7に記載の物品収納用装置。
【請求項9】
前記スライド杆は複数段に伸縮可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つの項に記載の物品収納用装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−261(P2012−261A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137778(P2010−137778)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【特許番号】特許第4739458号(P4739458)
【特許公報発行日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(393002623)
【出願人】(510168874)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【特許番号】特許第4739458号(P4739458)
【特許公報発行日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(393002623)
【出願人】(510168874)
【Fターム(参考)】
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