説明

物品掛け具

【課題】 鴨居、家具の引き出しや扉、タオル掛け等の各種構造物に対して、ハンガー類等の物品の吊下げ支持の安定化を図りながら安定良く確実・容易に装着することができ、しかも、非使用時にはコンパクトに格納する。
【解決手段】 被装着面Wに対する当接部1を備えた基材2に、被装着面W側の被係止部Bに対して係脱自在な係止部3Aを備えた係止体3と、物品Aを掛け止め可能な掛止部4Aを備えた掛け止め体4とが同軸芯X周りで回動自在に枢着され、基材2には、掛け止め体4の基端部4Bが嵌入して当接することにより該掛け止め体4を基材2の表面に対して外方に突出する掛け止め姿勢に保持する嵌合凹部2Bが形成され、前記掛け止め体4の下側面の基端部側には、被装着面W側の被係止杆10に対して上方側から係脱自在な係合部4Cが形成され、掛け止め体4及び係止体3が、前記基材2の背面側に回動させた折り畳み姿勢に変更自在に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物干し用ハンガーや衣服用ハンガー等の物品を室内の鴨居、家具の引出しや扉、タオル掛け、手摺等に掛け止める際に用いられる物品掛け具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の物品掛け具としては、従来から種々の形態のものが提案されており、その一例を挙げると、下記の特許文献1に示す物品掛け具や特許文献2に示す物品掛け具が存在する。
特許文献1に示す物品掛け具は、ハンガー類を吊下げ可能な吊下部材と、該吊下部材を家具の扉等の被係止部の上縁部に引っ掛け保持可能な金属製の保持部材とからなり、前記吊下部材を、扉表面等の被装着面に沿って上下方向に配置される保持体と、該保持体の下端部に対する横軸芯周りでの上下揺動により、前方に水平に突出する吊下げ姿勢と保持体の前面に重合させた収納姿勢とに変更自在な吊下体から構成するとともに、前記保持部材を、前記保持体の背面の上端部に対して係脱自在な係止部片と、前記掛け部材の上面に当接可能な吊下げ保持片と、掛け部材の背面に弾圧当接可能な弧状弾圧面を備えた弾圧保持片から構成してある。
【0003】
特許文献2に示す物品掛け具は、被装着面から前方に離間した状態で設けられる水平な被係止杆に対する係合部及びストッパを有する鞘状の掛け本体と、これに摺動自在に格納されて該掛け本体の上端から外部に引出し可能な摺動体とからなり、前記摺動体は、掛け本体のストッパと係合する長手方向の長孔を有するとともに、前記掛け本体と摺動体との間には、摺動体を外部に引き出したときに長孔の下端がストッパに当接し、且つ掛け本体の開口周縁との当接によって摺動体を掛け本体に対して傾斜した姿勢に保持する傾斜保持手段が設けられている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−149209号公報
【特許文献2】実用新案登録第3014819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前者の物品掛け具は、前記保持部材を家具の扉等の被係止部の上縁部に対して上方から係合させ、且つ前記吊下部材の保持体を扉表面等の被装着面に当接させることにより、前記保持体に対して吊下体が前方に水平に突出した吊下げ姿勢となり、家具の扉のみならず、鴨居や引出し等にも適用することができるものの、タオル掛け等のように、被装着面から前方に離間した状態で設けられる被係止杆に装着する場合には、この被係止杆と保持部材との係合箇所を支点として前記吊下部材の保持体が被装着面に当接するまで傾動するため、これに連れて吊下体も前端が下方に位置する前傾姿勢となり、ハンガー類の吊下げ支持が不安定化する不都合がある。
【0006】
また、物品掛け具を格納する場合には、前記保持部材の係止部片を、前記保持体の背面の上端部から取り外して、前記吊下部材の吊下体を保持体の前面に重合させた収納姿勢に変更する必要があるため、分離された保持部材と吊下部材の保管が面倒になっていた。
【0007】
後者の物品掛け具には、タオル掛け等のように、被装着面から前方に離間した状態で設けられる被係止杆に装着する場合には、この被係止杆と被装着面との間の間隙に掛け本体を差し込み、該掛け本体の係合部を被係止杆に係合させるとともに、掛け本体の下端部を被装着面に当接させることにより、ハンガー類の吊下げ支持の安定化を図りながら、掛け本体を被係止杆に安定良く確実に係合保持させることができるが、掛け本体を差し込むことのできない構造物、例えば、鴨居、家具の引き出しや扉等には適用することができない不都合がある。
【0008】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、鴨居、家具の引き出しや扉、タオル掛け等の各種構造物に対して、ハンガー類等の物品の吊下げ支持の安定化を図りながら安定良く確実・容易に装着することができ、しかも、非使用時にはコンパクトに格納することのできる物品掛け具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による第1の特徴構成は、被装着面に対する当接部を備えた基材に、被装着面側の被係止部に対して係脱自在な係止部を備えた係止体と、物品を掛け止め可能な掛止部を備えた掛け止め体とが同軸芯周りで回動自在に枢着されているとともに、前記基材には、それの表面側から前記掛け止め体の基端部が嵌入可能で、且つ、その嵌入状態で掛け止め体の基端部に当接することにより該掛け止め体を基材の表面に対して交差状態で外方に突出する掛け止め姿勢に保持する嵌合凹部が形成され、前記掛け止め体の下側面の基端部側には、被装着面側の被係止杆に対して上方側から係脱自在な係合部が形成され、更に、前記掛け止め体及び係止体が、前記基材の背面側に回動させた折り畳み姿勢に変更自在に構成されている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、前記基材に枢着された係止体の係止部を、家具の扉等の被装着面側の被係止部の上縁部に対して上方から係合させ、前記基材の当接部を扉表面等の被装着面に当接させるとともに、前記掛け止め体の基部を前記基材に形成されている嵌合凹部に対して表面側から嵌合させることにより、前記基材に対して掛け止め体が前方に突出した所定の掛け止め姿勢となり、ハンガー等の物品を安定良く吊下げ支持しながら、被装着面側の被係止部に安定良く確実に係合支持させることができるとともに、家具の扉のみならず、鴨居や引出し等にも適用することができる。
【0011】
しかも、使用状態では、前記基材の嵌合凹部に掛け止め体の基部が表面側から嵌合されているから、掛け止め体に作用する左右方向の外力を嵌合面で分散して受止めることができ、三者の枢支連結構造にガタが発生することを抑制することができる。
【0012】
更に、タオル掛け等のように、被装着面から前方に離間した状態で設けられる被係止杆に装着する場合には、この被係止杆と被装着面との間の間隙に基材を差し込み、掛け止め体の下側面の基部側に形成されている係合部を被係止杆に対して上方側から係合させるとともに、基材の当接部を被装着面に当接させることにより、基材自体の傾きが小さくなり、ハンガー類の吊下げ支持の安定化を図りながら、物品掛け具を被係止杆に安定良く確実に係合保持させることができる。
【0013】
従って、鴨居、家具の引き出しや扉、タオル掛け等の各種構造物に対して、ハンガー類等の物品の吊下げ支持の安定化を図りながら安定良く確実・容易に装着することができ、しかも、非使用時には、前記掛け止め体及び係止体が、前記基材の背面側に回動させた折り畳み姿勢に変更することによってコンパクトに格納することができる。
【0014】
本発明による第2の特徴構成は、前記係止体が、前記基材に枢着された連結部と、該連結部に対してそれの回動軸芯と交差する縦軸芯周りで向き変更可能な係止部とから構成されている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、被装着面に設けられている吊下げフックに装着する場合には、前記係止体の係止部を基材に枢着された連結部に対して左右方向に沿う姿勢に変更して吊下げフックに係合することにより、ハンガー等の物品を安定良く吊下げ支持しながら、被装着面側の吊下げフックに安定良く確実に係合支持させることができる。
【0016】
しかも、非使用時において、前記掛け止め体及び係止体を前記基材の背面側に回動させた折り畳み姿勢に変更する際、前記係止体の連結部に対して係止部を縦軸芯周りで向き変更して、該係止部を折り畳みに最も邪魔にならない姿勢に操作することができるから、折り畳み姿勢のコンパクト化と折り畳み操作の容易化を図ることができる。
【0017】
本発明による第3の特徴構成は、前記掛け止め体に、前記係止体の係止部の少なくとも一部が入り込み可能な凹部が形成されている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、前記掛け止め体及び係止体を前記基材の背面側に回動させた折り畳み姿勢に変更する際、記係止体の係止部の少なくとも一部を、前記掛け止め体に形成されている凹部に入り込ませることにより、折り畳み姿勢のコンパクト化を図ることができる。
【0019】
本発明による第4の特徴構成は、前記凹部が、前記係止体の係止部の係止口が掛け止め体の掛止部の掛止口と対向する逆向き姿勢にあるとき、前記係止体の略全体が入り込み可能に構成されている点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、前記掛け止め体及び係止体を前記基材の背面側に回動させた折り畳み姿勢に変更する際、前記係止体の係止部をそれの係止口が掛け止め体の掛止部の掛止口と対向する逆向き姿勢に操作して、前記係止体の略全体を前記掛け止め体に形成されている凹部内に入り込ませることにより、折り畳み姿勢のコンパクト化を図ることができる。
【0021】
本発明による第5の特徴構成は、前記凹部が、前記係止体の係止部の係止口が掛け止め体の掛止部の掛止口と同じ側に向く姿勢にあるとき、前記係止部の係止口が掛け止め体の上側面よりも上方側に突出する状態で係止部の一部が入り込み可能に構成されている点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、タオル掛け等のように、被装着面から前方に離間した状態で設けられる被係止杆に装着する際、不要となる前記係止体の係止部を、それの係止口が掛け止め体の掛止部の掛止口と同じ側に向く姿勢に操作して、該係止部の一部を前記掛け止め体に形成されている凹部内に入り込ませることにより、前記係止部の係止口が掛け止め体の上側面よりも上方側に突出した状態で保持されるから、この係止体の係止部を、物品を掛け止め可能な第2の掛止部として便利に使用することができる。
【0023】
本発明による第6の特徴構成は、前記当接部が、前記基材とは別部材から構成され、該当接部が、前記基材に対してそれの長手方向に位置変更自在に構成されている点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、前記被装着面に対する当接部の当接位置を、物品掛け具の装着箇所の条件に応じて基材の長手方向に位置変更することができるので、前記掛け止め体の掛け止め姿勢が設定姿勢に最も近付く状態で安定良く使用することができる。
【0025】
本発明による第7の特徴構成は、前記当接部が、前記基材の幅よりも大なる長さを有する別部材から構成され、該当接部が、前記基材に対してそれの長手方向に対して直交する当接姿勢と基材の長手方向に沿う格納姿勢に変更可能に枢着されている点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、前記掛け止め体の掛止部に物品を掛け止める場合には、前記当接部を基材に対してそれの長手方向に対して直交する当接姿勢に設定することにより、物品掛け具の左右方向でのふら付きを抑制することができる。
また、前記掛け止め体及び係止体を前記基材の背面側に回動させた折り畳み姿勢に変更するときには、前記当接部を基材に対してそれの長手方向に沿う格納姿勢に変更することにより、格納時における左右幅のコンパクト化を図ることができる。
【0027】
本発明による第8の特徴構成は、前記当接部の当接部位にはこれよりも摩擦係数の大きな弾性体が付設されている点にある。
上記特徴構成によれば、前記掛け止め体の掛止部に掛け止められる物品の荷重を受けて基材の当接部が圧接される被装着面の損傷を抑制することができるとともに、物品掛け具の左右方向でのふら付きを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
〔第1実施形態〕
図1〜図13は、洗濯物干し用ハンガーや衣服用ハンガー等の物品Aを室内の鴨居、家具の引出しや扉、タオル掛け、手摺等に掛け止める際に用いられる物品掛け具を示し、被装着面Wに対する当接部1を備えた合成樹脂製の基材2の上端部に、被装着面W側の被係止部Bに対して係脱自在なフック状の係止部3Aを備えた合成樹脂製の係止体3と、物品Aを掛け止め可能なフック状の掛止部4Aを備えた合成樹脂製の掛け止め体4とが同軸芯X周りで回動可能に枢着されている。
【0029】
前記基材2の略上半部2Aは、図1〜図4に示すように、前記掛け止め体4の略半長円形状の基端部4Bの幅よりも少し幅広に形成され、この幅広上半部2Aには、それの表面側から前記掛け止め体4の基端部4Bが嵌入可能な正面視略Uの字状の嵌合凹部2Bが形成されているとともに、前記嵌合凹部2Bの底部には、これに嵌入した掛け止め体4の基端部4Bの底面4aが当接することにより該掛け止め体4を基材2の表面に対してほぼ直交状態で外方である前方側に突出する掛け止め姿勢に保持する薄板状のストッパ部2Cが形成されている。
【0030】
前記掛け止め体4の基端部4Bの底面4aが前記基材2の嵌合凹部2B内に嵌入してストッパ部2Cに当接した状態では、前記嵌合凹部2BのUの字状内側面2aと基端部4Bの半長円状外側面4bとが近接して、掛け止め体4に作用する左右方向の外力を嵌合面で分散して受止めることができ、基材2と係止体3及び掛け止め体4との枢支連結構造にガタが発生することを抑制することができる。
【0031】
前記当接部1は、図9〜図13に示すように、前記基材2の最大幅よりも大なる長さを有する長円形状の合成樹脂製の別部材から構成され、詳しくは、前記基材2に対する取付け孔1aを形成する取付け筒部1bを備えた長方形状の取付け板部1cの左右両側に半長円形状の当て付け片1dを一体形成してある当接本体1Aと、軟質で摩擦係数の大きな合成樹脂製(例えば、エラストマー樹脂)の弾性体の一例で、前記当接本体1Aの両当て付け片1dに脱着自在に外嵌装着される弾性カバー1Bとから構成されている。
【0032】
前記両弾性カバー1Bの存在により、前記掛け止め体4の掛止部4Aに掛け止められるハンガー類の荷重を受けて基材2の当接部1が圧接される被装着面Wの損傷を抑制することができるとともに、物品掛け具の左右方向でのふら付きも抑制することができる。
【0033】
前記当接本体1Aの当て付け片1dの当り面1eは、それの幅方向中央位置が最も被装着面W側に突出する弧状面に形成されているとともに、前記弾性カバー1Bの当り面1gも、それの幅方向中央位置が最も被装着面W側に突出する弧状面に形成されている。
【0034】
前記当接部1の当接本体1Aは、図9〜図13に示すように、前記基材2の幅狭な下半部2Dに形成された長孔2Eに沿って摺動自在に挿入された連結ピン5の無理嵌めによる枢支連結により、前記幅狭下半部2Dに対して回動並びに摺動自在に抜止め状態で取付けられ、前記幅狭下半部2Dの表面側には、前記連結ピン5の頭部5aの摺動を案内するガイド溝2Fが形成されているとともに、前記基材2の幅狭下半部2Dと当接部1の当接本体1Aとの間には、該当接部1を幅狭下半部2Dに対してそれの長手方向の複数位置で選択的に係止保持可能な位置変更係止手段Cが設けられている。
【0035】
前記位置変更係止手段Cを構成するに、図10〜図12に示すように、前記幅狭下半部2Dの裏面側に、前記当接部1の当接本体1Aに形成された筒軸部1hを摺動自在に移動案内する第2ガイド溝2Gと、該第2ガイド溝2Gの左右両側を区画する区画壁体2Hを薄肉状に残す状態で前記第2ガイド溝2Gの左右両側脇に沿って形成される左右一対の細溝2Jが形成されているとともに、前記幅狭下半部2Dの第2ガイド溝2Gの内底面と前記当接本体1Aの筒軸部1hの先端面との間には、前記両区画壁体2Hの長手方向複数箇所(当該実施形態では4箇所)に屈曲形成された係止凹部2bに対して選択的に弾性係合可能な係止凸部6aを備えた合成樹脂製の弾性係止体6が設けられている。
【0036】
そして、前記当接部1の当接本体1Aと一体的に摺動する弾性係止体6の両係止凸部6aは、前記両区画壁体2Hの係止凹部2bを弾性復元力に抗して乗り越え移動自在で、かつ、任意の一つの係止凹部2bに係合させることにより、該当接部1を幅狭下半部2Dに対してそれの長手方向の所望位置で選択的に係止保持することができる。
【0037】
前記当接本体1Aの筒軸部1hは、図10、図11に示すように、該当接本体1Aの長手方向に対して直交する方向に長い略長円形に形成され、それの短径方向での幅は、前記幅狭下半部2Dの第2ガイド溝2Gの幅よりも僅かに小に設定されていて、該筒軸部1hの長径方向に沿う左右の側面1jが、第2ガイド溝2Gの内側面に対する摺動ガイド面に構成されている。
【0038】
前記幅狭下半部2Dの第2ガイド溝2Gの下端部は、図11、図12に示すように、前記筒軸部1hの長径方向長さよりも僅かに大なる内径で円弧状の回動ガイド溝2Kに形成され、この回動ガイド溝2Kの直径方向で相対向する二箇所には、第2ガイド溝2Gから移入した前記筒軸部1hの周面のうち、直径方向で相対向する二箇所に形成した段落ち状の当り部1kが回動方向から当接することにより、該筒軸部1hの回動角度範囲を90度に規制する回動規制面2dを形成してある。
【0039】
そして、前記当接部1の当接本体1Aは、基材2の幅狭下半部2Dに対して90度の角度範囲内において回動自在で、その角度範囲内での回動により、該当接部1が、前記基材2に対してそれの長手方向に対して直交する当接姿勢と基材2の長手方向に沿う格納姿勢とに変更可能に構成されている。
【0040】
前記係止体3は、図5〜図9に示すように、前記掛け止め体4の基端部4Bに内嵌可能な一対の連結片3aを備えた連結部3Bと、この連結部3Bの前記回動軸芯Xと直交する方向に突出する連結筒部3bに対する無理嵌めにより、該連結部3Bに対して前記回動軸芯Xと直交する第2回動軸芯(縦軸芯)Y周りで向き変更自在に枢支連結されるフック状の係止部3Aとから構成されている。
【0041】
前記フック状係止部3Aの係止面側には、軟質で摩擦係数の大きな合成樹脂製(例えば、エラストマー樹脂)の弾性体3Cが一体形成されている。
【0042】
前記係止体3の連結片3aとこれに外嵌された掛け止め体4の基端部4Bにおける側板部分並びにこれに外嵌された基材2の基端部における側板部分とは、回動軸芯X方向の外方から無理嵌めされる一対の連結ピン7により、前記係止体3と掛け止め体4並びに基材2とが夫々回動軸芯X周りで相対回動自在に構成されているとともに、前記掛け止め体4は、基材2の背面側に重合する位置にまで回動させた折り畳み姿勢に変更操作自在に構成されている。
【0043】
前記掛け止め体4の下側面の基端部4B側には、図1〜図5に示すように、被装着面W側の被係止部Bの一例である被係止杆10に対して上方側から係脱自在な半円弧状の係合部4Cが形成されているとともに、前記掛け止め体4には、前記係止体3のフック状係止部3Aの少なくとも一部が入り込み可能な凹部4Dが形成されている。
【0044】
前記凹部4Dは、図6、図8、図9に示すように、前記係止体3のフック状係止部3Aの係止口3dが掛け止め体4のフック状掛止部4Aの掛止口4dと対向する逆向き姿勢にあるとき、前記係止体3の全体又は略全体が入り込み可能、換言すれば、フック状係止部3Aの背面部のみが掛け止め体4の上側面4eよりも少し上方側に突出する格納姿勢で係止体3の略全体が入り込み可能に構成されているとともに、図2、図7に示すように、前記係止体3のフック状係止部3Aの係止口3dが掛け止め体4のフック状掛止部4Aの掛止口4dと同じ側に向く姿勢にあるとき、前記フック状係止部3Aの係止口3d全域が掛け止め体4の上側面4eと略同じ位置又は掛け止め体4の上側面4eよりも少し上方側において開口する上向き傾斜の第2係止姿勢で該フック状係止部3Aの一部である背面部が入り込み可能に構成されている。
【0045】
そして、図1、図2に示すように、物品掛け具を被係止部Bの一例である引出し11の前面板11Aに装着する第1使用形態の場合には、前記掛け止め体4の基端部4Bを前記基材2の嵌合凹部2B内に嵌入して該基端部4Bの底面4aをストッパ部2Cに当接させ、掛け止め体4を基材2の表面に対して略直交状態で前方側に突出する掛け止め姿勢に切り替えるとともに、前記当接部1の当接本体1Aを、前記基材2の第2ガイド溝2Gの最下端に形成されている回動ガイド溝2kにおいて水平となる当接姿勢に設定し、前記係止体3のフック状係止部3Aを引出し11の前面板11Aの上縁に係合するとともに、前記基材2の当接部1を、被装着面Wの一例である引出し11の前面板11Aの前面に当接させる。
【0046】
このとき、前記引出し11の前面板11Aの高さが短い場合には、前記当接部1の当接本体1Aを、図13に示すように、前記基材2の第2ガイド溝2Gに沿って上方の係止保持位置に変更する。
【0047】
また、図5に示すように、物品掛け具を被係止杆10の一例である壁面フックに装着する第2使用形態の場合には、第1使用形態にある物品掛け具の係止体3を、第2回動軸芯Y周りで90度だけ向き変更操作する。
【0048】
また、図6、図7に示すように、物品掛け具を被係止杆10の一例であるタオル掛けに装着する場合には、このタオル掛け10の水平な係止杆10Aと該タオル掛け10を取付ける被装着面Wの一例である壁面との間に、物品掛け具の基材2を挿入し、該基材2の最下端の回動ガイド溝2kにおいて水平となる当接姿勢に設定されている当接部1の当接本体1Aを前記壁面Wに当接するとともに、前記掛け止め体4の下側面の基端部4B側に形成されている半円弧状の係合部4Cをタオル掛け10の係止杆10Aに係合する。
【0049】
このとき、図6に示す第3使用形態の場合には、前記係止体3のフック状係止部3Aを、それの係止口3dが掛け止め体4のフック状掛止部4Aの掛止口4dと対向する逆向き姿勢に設定し、前記係止体3の全体又は略全体を、掛け止め体4の凹部4D内に入り込ませる。
また、図7に示す第4使用形態の場合には、前記係止体3のフック状係止部3Aを、それの係止口3dが掛け止め体4のフック状掛止部4Aの掛止口4dと同じ側に向く姿勢に設定し、前記フック状係止部3Aの係止口3d全域が掛け止め体4の上側面4eと略同じ位置又は掛け止め体4の上側面4eよりも少し上方側において開口する上向き傾斜状態で該フック状係止部3Aの背面部を、掛け止め体4の凹部4D内に入り込ませ、該係止体3のフック状係止部3Aを第2のフック状掛止部として兼用使用する。
【0050】
さらに、図8、図9に示す折り畳み形態の場合には、前記係止体3のフック状係止部3Aを、それの係止口3dが掛け止め体4のフック状掛止部4Aの掛止口4dと対向する逆向き姿勢に設定して、前記係止体3の全体又は略全体を、掛け止め体4の凹部4D内に入り込ませたのち、前記掛け止め体4は、基材2の背面側に重合する位置にまで回動させた折り畳み姿勢に変更操作するとともに、前記当接部1の当接本体1Aを格納姿勢に変更操作する
【0051】
〔第2実施形態〕
図14は、前記第1実施形態で説明した物品掛け具の改良を示し、前記当接本体1Aの当て付け片1dの弧状当り面1eには、外嵌装着された弾性カバー1Bの抜出し抵抗となる一つ又は複数の突起1fが形成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0052】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、前記係止体3の係止部3A及び掛け止め体4の掛止部4Aを夫々フック状に形成したが、前記係止部3Adとしては、被装着面W側の被係止部Bに対して係脱自在に係止できるものであれば、如何なる構造のものを用いてもよく、また、前記掛止部4Aも、物品Aを掛け止め可能なものであれば、如何なる構造のものを用いてもよい。
【0053】
(2)上述の第1実施形態では、前記基材2に、前記掛け止め体4の基端部4B全体が嵌入可能な嵌合凹部2Bを形成したが、この嵌合凹部2Bとしては、前記掛け止め体4の基端部4Bの一部が嵌入する構造のものであってもよい。
【0054】
(3)上述の第1実施形態では、前記基材2の第2ガイド溝2Gの下端部に形成された円弧状の回動ガイド溝2Kにおいて、前記当接部1の当接本体1Aを、基材2の長手方向に対して直交する当接姿勢と基材2の長手方向に沿う格納姿勢とに変更操作自在に構成したが、前記第2ガイド溝2Gの全領域において、前記当接部1の当接本体1Aを当接姿勢と格納姿勢とに変更操作自在に構成してもよい。
また、上述の第1実施形態では、前記当接部1の当接本体1Aの回動角度範囲を90度に規制したが、該当接本体1Aを360度以上に回動自在に構成してもよい。
【0055】
(4) 上述の第1実施形態では、前記基材2に対する掛け止め体4の掛け止め姿勢が一つに設定されているが、この掛け止め体4を、前記基材2に対して複数の掛け止め姿勢で選択的に係止保持する掛け止め姿勢変更係止手段を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本願発明の第1実施形態を示し、係止体が係止姿勢にある第1使用形態での物品掛け具の全体斜視図
【図2】第1使用形態での物品掛け具全体の縦断面図
【図3】基材と掛け止め体とを展伸させたときの要部の断面平面図
【図4】(a)、(b)は基台の揺動操作を示す物品掛け具全体の側面図
【図5】係止体を90度回転させた第2使用形態での物品掛け具全体の斜視図
【図6】係止体が格納姿勢にある第3使用形態を示す斜視図
【図7】係止体が第2係止姿勢にある第4使用形態を示す斜視図
【図8】折り畳み姿勢にある物品掛け具全体の斜視図
【図9】折り畳み姿勢にある物品掛け具全体の縦断面図
【図10】(a)、(b)は当接部の裏面側方向視の斜視図
【図11】基材とれから分離された当接部との係合関係を示す一部切欠き背面図
【図12】(a)、(b)は当接部の当接姿勢と格納姿勢を示す基材の要部の断面背面図
【図13】基材の拡大正面図
【図14】本願発明の第2実施形態を示す当接部の拡大斜視図
【符号の説明】
【0057】
A 物品
B 被係止部
W 被装着面
X 回動軸芯
Y 縦軸芯(第2回動軸芯)
1 当接部
1B 弾性体(弾性カバー)
2 基材
2B 嵌合凹部
3 係止体
3A 係止部
3d 係止口
4 掛け止め体
4A 掛止部
4B 基端部
4C 係合部
4D 凹部
4d 掛止口
10 被掛止杆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被装着面に対する当接部を備えた基材に、被装着面側の被係止部に対して係脱自在な係止部を備えた係止体と、物品を掛け止め可能な掛止部を備えた掛け止め体とが同軸芯周りで回動自在に枢着されているとともに、前記基材には、それの表面側から前記掛け止め体の基端部が嵌入可能で、且つ、その嵌入状態で掛け止め体の基端部に当接することにより該掛け止め体を基材の表面に対して交差状態で外方に突出する掛け止め姿勢に保持する嵌合凹部が形成され、前記掛け止め体の下側面の基端部側には、被装着面側の被係止杆に対して上方側から係脱自在な係合部が形成され、更に、前記掛け止め体及び係止体が、前記基材の背面側に回動させた折り畳み姿勢に変更自在に構成されている物品掛け具。
【請求項2】
前記係止体が、前記基材に枢着された連結部と、該連結部に対してそれの回動軸芯と交差する縦軸芯周りで向き変更可能な係止部とから構成されている請求項1記載の物品掛け具。
【請求項3】
前記掛け止め体には、前記係止体の係止部の少なくとも一部が入り込み可能な凹部が形成されている請求項2記載の物品掛け具。
【請求項4】
前記凹部は、前記係止体の係止部の係止口が掛け止め体の掛止部の掛止口と対向する逆向き姿勢にあるとき、前記係止体の略全体が入り込み可能に構成されている請求項3記載の物品掛け具。
【請求項5】
前記凹部は、前記係止体の係止部の係止口が掛け止め体の掛止部の掛止口と同じ側に向く姿勢にあるとき、前記係止部の係止口が掛け止め体の上側面よりも上方側に突出する状態で係止部の一部が入り込み可能に構成されている請求項3又は4記載の物品掛け具。
【請求項6】
前記当接部は、前記基材とは別部材から構成され、該当接部が、前記基材に対してそれの長手方向に位置変更自在に構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の物品掛け具。
【請求項7】
前記当接部は、前記基材の幅よりも大なる長さを有する別部材から構成され、該当接部が、前記基材に対してそれの長手方向に対して直交する当接姿勢と基材の長手方向に沿う格納姿勢に変更可能に枢着されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の物品掛け具。
【請求項8】
前記当接部の当接部位にはこれよりも摩擦係数の大きな弾性体が付設されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の物品掛け具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−136617(P2009−136617A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318619(P2007−318619)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000100850)アイセン工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】