説明

物品搬送装置

【課題】物品搬送装置の省コスト化を実現する。
【解決手段】旋回搬送方向及び鉛直方向に振動して物品を旋回搬送させるための搬送台と、直進搬送方向及び鉛直方向に振動して前記物品を直進搬送させるための搬送台と、当該二つの搬送台のうちの一方の搬送台に振動を付与するカム式振動付与機構と、前記一方の搬送台から他方の搬送台への前記物品の受け渡しを行うために各搬送台に設けられた物品受け渡し部、の間に掛け渡され、前記一方の搬送台から前記他方の搬送台へ前記振動を伝達する振動伝達部材と、を備える物品搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送装置に関する。特に、旋回搬送方向及び鉛直方向に振動して物品を旋回搬送させるための搬送台と、直進搬送方向及び鉛直方向に振動して前記物品を直進搬送させるための搬送台と、を備えた物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を搬送するための物品搬送装置は、既によく知られている(例えば、特許文献1参照)。また、物品搬送装置による物品搬送中に、物品に対して検査、加工等の作業が行われる場合がある。このように物品搬送中に前記作業を行うために、例えば、物品搬送装置内に複数の搬送台を設け、当該複数の搬送台を組み合わせて長距離の搬送経路を形成させることがある。これにより、搬送中の物品に対して作業を行うためのスペースと時間を確保することが可能になる。
【0003】
一方、物品搬送装置において、各搬送台が振動すると、当該各搬送台上の物品が当該各搬送台に対して相対的に滑るようになる。この物品の相対滑り現象を利用して、前記各搬送台上にて物品を搬送することが可能になる。また、搬送台が複数台設けられた場合、物品は各搬送台上を移動した後、各搬送台間において受け渡される。この結果、複数の搬送台によって形成される搬送経路に沿って、前記物品を搬送することが可能になる。
【特許文献1】特開2006−124111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように複数の搬送台にて搬送経路を形成した場合、当該搬送経路に沿って物品を搬送させるためには、各搬送台を適切に振動させなければならない。但し、前記各搬送台を振動させるために、振動を付与するための振動付与機構が当該搬送台毎に備えられる場合、振動付与機構の台数が多くなり、物品搬送装置の製造コストも割高になる。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、物品搬送装置の省コスト化を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
主たる本発明は、旋回搬送方向及び鉛直方向に振動して物品を旋回搬送させるための搬送台と、直進搬送方向及び鉛直方向に振動して前記物品を直進搬送させるための搬送台と、当該二つの搬送台のうちの一方の搬送台に振動を付与するカム式振動付与機構と、前記一方の搬送台から他方の搬送台への前記物品の受け渡しを行うために各搬送台に設けられた物品受け渡し部、の間に掛け渡され、前記一方の搬送台から前記他方の搬送台へ前記振動を伝達する振動伝達部材と、を備えることを特徴とする物品搬送装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
先ず、旋回搬送方向及び鉛直方向に振動して物品を旋回搬送させるための搬送台と、直進搬送方向及び鉛直方向に振動して前記物品を直進搬送させるための搬送台と、当該二つの搬送台のうちの一方の搬送台に振動を付与するカム式振動付与機構と、前記一方の搬送台から他方の搬送台への前記物品の受け渡しを行うために各搬送台に設けられた物品受け渡し部、の間に掛け渡され、前記一方の搬送台から前記他方の搬送台へ前記振動を伝達する振動伝達部材と、を備える物品搬送装置。
【0009】
かかる物品搬送装置では、カム式振動付与機構を搬送台毎に備えず、振動伝達部材によって振動を各搬送台に伝達している。これにより、前記各搬送台を適切に振動させつつ、前記カム式振動付与機構の台数を減らすことが可能となる結果、物品搬送装置が省コスト化されるようになる。なお、本明細書中、鉛直方向とは、各搬送台に設けられた物品を載置するための面(以下、載置面とも言う)と交差する方向を意味する。
また、前記一方の搬送台は、旋回搬送方向及び鉛直方向に振動して物品を旋回搬送させるための第一搬送台であり、前記他方の搬送台は、直進搬送方向及び鉛直方向に振動して前記物品を直進搬送させるための第二搬送台であることとしてもよい。
【0010】
また、前記振動伝達部材は、前記第一搬送台から前記第二搬送台へ前記振動を伝達するための第一振動伝達部材であり、旋回搬送方向及び鉛直方向に振動して前記物品を旋回搬送させるための第三搬送台と、前記第二搬送台から前記第三搬送台への前記物品への受け渡しを行うために該第二搬送台及び該第三搬送台に各々設けられた物品受け渡し部、の間に掛け渡され、該第二搬送台から該第三搬送台へ前記振動を伝達する第二振動伝達部材と、が更に備えられていることとしてもよい。かかる構成であれば、より長い搬送経路が形成されるため、搬送中の物品に対して作業を行い易くなる。また、第三搬送台に振動を伝達する第二振動伝達部材によって、該第三搬送台を有する物品搬送装置をより省コスト化することが可能になる。
【0011】
また、直進搬送方向及び鉛直方向に振動して前記物品を直進搬送させるための第四搬送台と、前記第三搬送台から前記第四搬送台への前記物品への受け渡しを行うために該第三搬送台及び該第四搬送台に各々設けられた物品受け渡し部、の間に掛け渡され、該第三搬送台から該第四搬送台へ前記振動を伝達する第三振動伝達部材と、が更に備えられており、前記第一搬送台、前記第二搬送台、前記第三搬送台、及び、前記第四搬送台により、長円状の搬送経路が形成されていることとしてもよい。かかる構成であれば、さらに長い搬送経路が形成され、当該搬送経路を例えば閉鎖系経路にすることも可能になる。この結果、物品搬送装置の設置スペースの拡張を抑えつつ、十分な搬送距離を確保することが可能になり、搬送中の物品に対して作業を行うことがより容易になる。また、第四搬送台に振動を伝達する第三振動伝達部材によって、長円状の搬送経路を有する物品搬送装置をより省コスト化することが可能となる。
【0012】
また、前記第一振動伝達部材、前記第二振動伝達部材、及び、前記第三振動伝達部材が短冊状のスチールベルトであり、該スチールベルトが、各物品受け渡し部の間に形成された隙間を跨いだ状態で、当該各物品受け渡し部の間に掛け渡されていることとしてもよい。
【0013】
かかる場合、適度な剛性を備えたスチールベルトが各物品受け渡し部間に掛け渡されているため、当該各物品受け渡し部間を適切に連結することが可能である。これにより、各搬送台へ振動が適切に伝達されるようになる。
また、前記第一搬送台、前記第二搬送台、前記第三搬送台及び前記第四搬送台の各々は、前記物品を載置するための載置面と、該載置面の幅方向端部において該載置面と交差するように設けられた側壁と、を有し、前記スチールベルトの長手方向両端部は前記側壁に固定されていることとしてもよい。かかる場合、前記スチールベルトの固定が容易になる。さらに、スチールベルトが、振動伝達時に、旋回搬送方向の振動を直進搬送方向の振動に、あるいは、直進搬送方向の振動を旋回搬送方向の振動にそれぞれ変換することが可能になる。この結果、該スチールベルトによって振動が伝達された各搬送台は、その搬送方向へ適切に振動することが可能になる。
【0014】
また、前記カム式振動付与機構は、前記第一搬送台に、旋回搬送方向及び鉛直方向の振動を付与する第一カム式振動付与機構であり、前記第三搬送台に鉛直方向の振動を付与する第二カム式振動付与機構が更に備えられていることとしてもよい。かかる構成であれば、より減衰し易い鉛直方向の振動が第二カム式振動付与機構によって補填されるため、各搬送台が適切に振動し、物品搬送装置が適切に物品を搬送するようになる。
【0015】
また、前記第一カム式振動付与機構及び前記第二カム式振動付与機構を駆動するための単一の駆動モータが設けられていることとしてもよい。かかる場合、第一カム式振動付与機構と第二カム式振動付与機構とを、互いに同期させた状態で駆動することが容易になる。これにより、各カム式振動付与機構の振動付与タイミングにおけるズレの発生が抑制され、各振動伝達部材が適切に振動を伝達する結果、物品搬送装置がより適切に物品を搬送するようになる。
【0016】
また、前記第一カム式振動付与機構により付与される振動の振動数と、前記第二カム式振動付与機構により付与される振動の振動数とが互いに等しくなっていることとしてもよい。かかる構成であれば、各搬送台の振動が搬送台間でずれ難くなり、物品搬送装置がより一層適切に物品を搬送するようになる。
【0017】
また、前記第一カム式振動付与機構が鉛直方向の振動を付与するために備えているカムのカムプロファイルと、前記第二カム式振動付与機構が鉛直方向の振動を付与するために備えているカムのカムプロファイルと、が互いに等しくなっていることとしてもよい。かかる構成であれば、鉛直方向における各搬送台の振動の振幅が均一になり、物品搬送装置が更に適切に物品を搬送するようになる。
【0018】
===物品搬送装置の構成例について===
先ず、本実施形態の物品搬送装置1の概要について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態の物品搬送装置1を示す図であり、該物品搬送装置1の上面(上図)と側面(下図)が模式的に示されている。また、図1の下図には、矢印にて鉛直方向が示されている。
【0019】
本実施形態の物品搬送装置1は、図1に示すような長円状の搬送経路(オーバルトラックとも言う)を備え、該オーバルトラックに沿って物品を搬送させるための装置である。当該オーバルトラックは、複数の搬送台(具体的には、後述の第一搬送台12、第二搬送台14、第三搬送台16、第四搬送台18)によって形成されている。また、物品を搬送させるために、各搬送台は、当該各搬送台における物品の搬送方向及び鉛直方向に振動する。そして、本実施形態の物品搬送装置1には、前記複数の搬送台のうち、特定の搬送台に振動を付与するために、『第一カム式振動付与機構』として第一振動付与ユニット100が、『第二カム式振動付与機構』として第二振動付与ユニット200が、それぞれ備えられている。これらの振動付与ユニットは、各々、ベース部材40上に固定されており、その内部には、前記特定の搬送台を振動させるためのカム機構が備えられている。また、第一振動付与ユニット100及び第二振動付与ユニット200を駆動する駆動モータ300が備えられている。さらに、第一振動付与ユニット100又は第二振動付与ユニット200により振動が付与された搬送台から、該搬送台に隣接した搬送台へ振動を伝達させる『振動伝達部材』の一例として、スチールベルト30が備えられている。
【0020】
このような物品搬送装置1では、物品は、前記オーバルトラックに沿って搬送されるように各搬送台上を移動する。また、当該各搬送台の搬送方向末端部まで移動してきた物品は、搬送台間において下流側の搬送台へ渡され、当該下流側の搬送台上を移動するようになる。さらに、本実施形態では、前記オーバルトラックが閉鎖系経路となっており、物品を循環搬送させることが可能である。以下、物品搬送装置1の各構成要素について具体的に説明する。
【0021】
<<複数の搬送台について>>
本実施形態の物品搬送装置1は、第一搬送台12、第二搬送台14、第三搬送台16、及び、第四搬送台18からなる四台の搬送台を備えており、当該四台の搬送台が前記オーバルトラックを形成するように並べられている。また、前記四台の搬送台のうち、第一搬送台12及び第三搬送台16は、旋回搬送方向及び鉛直方向に振動して、物品を旋回搬送方向に搬送させるボウル状の搬送台である。他方、第二搬送台14及び第四搬送台18は、直進搬送方向及び鉛直方向に振動して、前記物品を直進搬送方向に搬送させる直線レール状の搬送台である。そして、第一搬送台12には物品受入部(不図示)が設けられており、当該物品受入部に投じられた物品は、第一搬送台12、第二搬送台14、第三搬送台16、第四搬送台18の順に各搬送台上を移動するようになる。また、各搬送台は、図1に示すように、物品を載置するための載置面12a、14a、16a、18aと、該載置面12a、14a、16a、18aの幅方向端部において該載置面と交差するように設けられた側壁12b、14b、16b、18bとを備えている。なお、当該側壁12b、14b、16b、18bは、各搬送台の載置面12a、14a、16a、18aに載置された物品の搬送方向を規制するために、当該各搬送台の搬送方向始端から終端に亘って伸びている。さらに、各搬送台は、当該各搬送台と隣り合う搬送台との間で物品の受け渡しを行うために、物品受け渡し部12h、14h、16h、18hが設けられている。なお、各物品受け渡し部間には隙間が形成されており、各物品受け渡し部間において物品は当該隙間を越えて受け渡される。以下、各搬送台のより具体的な構成について、搬送台毎に分けて説明する。
【0022】
<第一搬送台>
第一搬送台12は、載置面12a上の物品を旋回搬送方向(図1中、記号D1にて示す方向)に搬送させるために、該旋回搬送方向(より正確には、旋回搬送方向とその正反対の方向とを含む方向であって、図1中、記号V1にて示す方向)及び鉛直方向に振動する。この第一搬送台12は、後述の第一振動付与ユニット100に備えられた第一搬送台固定板124によって振動可能に固定支持されている(図7参照)。また、第一搬送台12の載置面12aは螺旋面となっており、前述した物品受入部が該載置面12aの最も低い位置にある部分(すなわち、第一搬送台12の底部)に設けられている。したがって、前記物品受入部に物品が投じられた状態で、前記第一搬送台12が旋回搬送方向及び鉛直方向に振動すると該物品は螺旋状の載置面12aを上るように該載置面12a上を移動する。
【0023】
そして、第一搬送台12の旋回搬送方向における終端部まで到達した物品は、該終端部に設けられた物品受け渡し部12hから、第二搬送台14の直進搬送方向先端部に設けられた物品受け渡し部14hへ渡される。さらに、図1の上図に示すように、第一搬送台12の、第四搬送台18の直進搬送方向終端部に設けられた物品受け渡し部18hと隣接する部分にも、物品受け渡し部12hが設けられている。この物品受け渡し部12hの先には、物品を前記物品受入部に戻すための物品戻し部12cが設けられている。したがって、オーバルトラック上を移動してきた物品が第四搬送台18の物品受け渡し部18h(より正確には、直進搬送方向終端側の物品受け渡し部18h)から第一搬送台の物品受け渡し部12hへ渡された後、前記物品戻し部12cにより物品の移動方向が規制される(換言すると、物品は、図1の上図中、破線矢印にて示した方向に移動する)。そして、当該物品は前記物品受入部へ降下し、再び前記オーバルトラック上を移動することになる。
【0024】
<第二搬送台>
第二搬送台14は、載置面14a上の物品を直進搬送方向(図1中、記号D2にて示す方向)に搬送させるために、該直進搬送方向(より正確には、直進搬送方向とその正反対の方向とを含む方向であって、図1中、記号V2にて示す方向)及び鉛直方向に振動する。この第二搬送台14は、図1に示すように、前記第一搬送台12及び第三搬送台16の外周に当接するように配置されている。そして、第二搬送台14の直進搬送方向における各端部(すなわち、物品受け渡し部14h)がスチールベルト30により第一搬送台12及び第三搬送台16と連結されている。このため、第二搬送台14は前記第一搬送台12及び前記第三搬送台16によって振動可能に支持されている。また、前記第二搬送台14の載置面14aは水平方向に沿った平面となっているため、第一搬送台12から第二搬送台14へ渡された物品は、該第二搬送台14の直進搬送方向先端部から終端部へ略水平方向に移動することになる。
【0025】
<第三搬送台>
第三搬送台16は、載置面16a上の物品を旋回搬送方向(図1中、記号D3にて示す方向)に搬送させるために、該旋回搬送方向(より正確には、旋回搬送方向とその正反対の方向とを含む方向であって、図1中、記号V3にて示す方向)及び鉛直方向に振動する。この第三搬送台16は、第二振動付与ユニット200に備えられた第三搬送台固定板224によって振動可能に固定支持されている(図11参照)。また、図1の上図に示すように、第三搬送台16の載置面16aは該第三搬送台16の外周に沿って円弧状に曲がった平面であり(換言すると、第三搬送台16が形成する搬送経路はカーブしており)、かつ、水平方向に沿っている。このため、第二搬送台14から第三搬送台16へ渡された物品は、該第三搬送台16の旋回搬送方向先端部から終端部へ略水平方向に移動することになる。
【0026】
<第四搬送台>
第四搬送台18は、載置面18a上の物品を直進搬送方向(図1中、記号D4にて示す方向)に搬送させるために、該直進搬送方向(より正確には、直進搬送方向とその正反対の方向とを含む方向であって、図1中、記号V4にて示す方向)及び鉛直方向に振動する。この第四搬送台18は、前記第二搬送台14と同様に、前記第一搬送台12及び第三搬送台16の外周に当接するように配置されている。また、第四搬送台18の直進搬送方向の各端部(すなわち、物品受け渡し部18h)がスチールベルト30により第一搬送台12及び第三搬送台16に連結している。このため、第四搬送台18も、前記第一搬送台12及び前記第三搬送台16によって振動可能に支持されている。さらに、当該第四搬送台18の載置面18aは、第二搬送台14の載置面14aと同様、水平方向に沿った平面となっており、第三搬送台16から第四搬送台18へ渡された物品は、該第四搬送台18の直進搬送方向先端部から終端部へ略水平方向に移動することになる。
【0027】
<<第一振動付与ユニット100の構成例について>>
次に、第一振動付与ユニット100の構成例を、図2乃至図7を用いて説明する。
図2乃至図7は、各々、第一振動付与ユニット100の内部構造を示す模式断面図である。図2乃至図4は、第一振動付与ユニット100の主要構成要素を示すための断面図であり、図2は入力軸110の軸方向と交差する断面を、図3は図2中のA−A断面を、図4は鉛直方向と交差する断面を、それぞれ示している。図5及び図6は、入力軸110の軸方向と交差する断面を示した図である。そして、図5は第一カム機構150を説明するための図であり、図6は第二カム機構140を説明するための図である。図7は、出力部120を説明するための図である。なお、図2、図3、及び、図5乃至図7には、矢印にて第一振動付与ユニット100の上下方向(すなわち、鉛直方向)が示されている。
【0028】
第一振動付与ユニット100は、前記第一搬送台12の下方に設けられ、該第一搬送台12に旋回搬送方向及び鉛直方向の振動(図1の下図において、各々、矢印にて示す方向の振動)を付与する機構である。この第一振動付与ユニット100は、図2及び図3に示すように、ハウジング130と、入力軸110と、出力部120と、第一カム機構150と、第二カム機構140とを備えており、図1の下図に示すようにベース部材40上に固定されている。すなわち、前記第一振動付与ユニット100は、上記二つのカム機構によって生成される前記振動を、第一搬送台12の下方側から該第一搬送台12に付与する。以下、第一振動付与ユニット100の各構成要素について説明する。
【0029】
<ハウジング>
ハウジング130は、その内部に後述する第一カム機構150と第二カム機構140とを収容するための略直方体状の筐体である。このハウジング130は、第一搬送台12の下方に設けられている。また、図5に示すように、ハウジング130内底部には、円錐台形状の台座部132が設けられている。さらに、この台座部132の中央には、鉛直方向に沿った円柱状の支持軸134が設けられている。当該支持軸134は、後述する筒状のタレット122と嵌合した状態で該タレット122を支持しており、該支持軸134の上端部はハウジング130の天井壁を貫通して、該ハウジング130外に突出している。
【0030】
<入力軸>
入力軸110は、軸受131を介してハウジング130に回転可能に支持された軸であり、後述の第一カム機構150及び第二カム機構140が駆動する軸である。
また、前記入力軸110の軸方向は水平方向に沿っており、図3に示すように、軸方向一端部は前記ハウジング130に固定された駆動モータ300(駆動モータ300については、後述する)に直結している。他方、軸方向他端部は、図1に示すように、ハウジング130外に突出し、軸継手302を介して第二振動付与ユニット200の入力軸210と連結している。
【0031】
<出力部>
出力部120は、第一振動付与ユニット100が前記第一搬送台12に振動を付与するために、前記支持軸134回りに回動し、かつ、該支持軸134の軸方向に往復動するものである。この出力部120は、図7に示すように、筒状のタレット122と、円盤状の第一搬送台固定板124とを有している。
【0032】
タレット122は、前記支持軸134回りに相対回動し、かつ、該支持軸134の軸方向に相対往復動すること(すなわち、鉛直方向に上下動すること)が可能な状態で、該支持軸134に支持されている。このタレット122は、図7に示すように、同心円筒であって互いに外径が異なる小径部122a及び大径部122bによって構成されており、前記タレット122が支持軸134に支持された状態では、小径部122aが大径部122bの上方に位置している。また、該小径部122aの上端部は前記ハウジング130の天井壁を貫通して、ハウジング130外に突出している。なお、小径部122aと大径部122bとの間の境界には、円環状の平面を有する段部122cが形成されている。この段部122cには、図7に示すように、後述する揺動アーム146が固定されている。また、大径部122bの外周面には、後述するリフトアーム154が固定されている。
【0033】
第一搬送台固定板124は、その上表面にて前記第一搬送台12を固定するものである。すなわち、図7に示すように、第一搬送台12は、前記第一搬送台固定板124に当接した状態で前記第一搬送台固定板124にボルト止めされている。また、前記第一搬送台固定板124の中央部には、支持軸134の上端部と嵌合するための嵌合部が設けられており、当該嵌合部は、図7に示すように、前記支持軸134の上端部と嵌合した状態で前記小径部122aの上端部と接合してボルト止めされている。この結果、タレット122及び第一搬送台固定板124(すなわち、出力部120)は、前記第一搬送台12と一体的に、前記支持軸134回りに回動し、かつ、該支持軸134の軸方向に往復動することとなる。ここで、タレット122、第一搬送台固定板124の回動方向は、第一搬送台12における旋回搬送方向(すなわち、前述した方向V1)と一致する方向である。したがって、出力部120が前記支持軸134回りに回動し、該支持軸134の軸方向に往復動することにより、前記第一搬送台12に旋回搬送方向及び鉛直方向の振動が付与されることになる。
【0034】
<第一カム機構>
第一カム機構150は、前記出力部120を前記支持軸134の軸方向に往復動させるためのものである。換言すると、第一カム機構150は、前記第一搬送台12に鉛直方向の振動を付与するためのものである。この第一カム機構150は、図3及び図5に示すように、一対の第一カム152と、一対のリフトアーム154とを有している。
【0035】
一対の第一カム152は、略三角形状の板カムであり、第一振動付与ユニット100が鉛直方向の振動を付与するために備えているカムである。各第一カム152は、前記入力軸110に支持されており、図3に示すように、後述する第二カム142よりも外側に位置している。そして、前記入力軸110が回転すると、各第一カム152は該入力軸110と一体的に回転する。また、各第一カム152の外周面はカム面を形成されており、当該カム面の形状が、第一カム152のカムプロファイルに相当する。一対のリフトアーム154は、前記一対の第一カム152の従節であり、図4及び図5に示すように、前記入力軸110の軸方向と前記支持軸134の軸方向とに交差する方向に沿って伸びた部材である。また、各リフトアーム154の長手方向一端部は、図5に示すように、横向きU字状に成形され、前記各第一カム152と係合している。すなわち、各リフトアーム154の長手方向一端部が、第一カム152に対する第一カムフォロア154aを形成しており、当該第一カムフォロア154aは各第一カム152のカム面と常時接触している。一方、各リフトアーム154の長手方向他端部は、前述したように、タレット122の大径部122bの外周面に固定されている(図7参照)。
【0036】
以上のように構成された第一カム機構150では、入力軸110が回転すると、該入力軸110と一体的に一対の第一カム152が回転する。そして、回転状態の各第一カム152のカム面と常時接触している各第一カムフォロア154aは、前記カム面の各第一カムフォロア154aとの接触位置が変化することにより鉛直方向に往復動する。これに伴って、当該第一カムフォロア154aを備えるリフトアーム154も鉛直方向に往復動するようになる。このように各リフトアーム154が鉛直方向に往復動することにより、該リフトアーム154を固定するタレット122が前記支持軸134の軸方向に往復動する。この結果、前記出力部120が前記第一搬送台12と一体的に鉛直方向に振動することになる。換言すると、第一カム152のカム面の形状(すなわち、カムプロファイル)に応じてリフトアーム154が鉛直方向に往復動することにより、第一カム機構150は出力部120を介して前記第一搬送台12に鉛直方向の振動を付与することになる。なお、一対のリフトアーム154の鉛直方向における移動ストロークが、前記第一カム機構150が付与する鉛直方向の振動の振幅に相当する。
【0037】
<第二カム機構>
第二カム機構140は、前記出力部120を前記支持軸134回りに回動させるためのものである。換言すると、第二カム機構140は、前記第一搬送台12に旋回搬送方向の振動を付与する。この第一カム機構150は、図3及び図6に示すように、第二カム142と、一対の第二カムフォロア144と、揺動アーム146とを有している。
【0038】
第二カム142は、円筒状のリブカムであり、第一振動付与ユニット100が旋回搬送方向の振動を付与するために備えているカムである。この第二カム142は、入力軸110の軸方向中央部に支持されている。そして、前記入力軸110が回転すると、第二カム142は該入力軸110と一体的に回転する。また、第二カム142の軸方向両端面にはリブ状のカム面が形成されており、当該カム面の形状が、第二カム142のカムプロファイルに相当する。一対の第二カムフォロア144は、鉛直方向に沿った回転軸回りに回転するローラであり、前記第二カム142を挟んだ状態で前記カム面に当接するものである。第二カムフォロア144間の間隔は、各第二カムフォロア144の各々の周面が前記第二カム142のカム面に常時接触するように調整されている。揺動アーム146は、第二カム142の従節となる略長方形状の部材であり、その長手方向一端部は前記一対の第二カムフォロア144を回転可能に支持している。なお、前記長手方向一端部は、鉛直方向において、前記第二カム142から所定の間隔離れた位置で該第二カム142と対向している。揺動アーム146の長手方向他端部は、該長手方向他端部の中央に、タレット122の小径部122aを嵌合させるための嵌合穴を有している。そして、この嵌合穴に小径部122aが嵌合した状態で、揺動アーム146の長手方向他端部が前記タレット122の段部122cにボルト止めされている。
【0039】
以上のように構成された第二カム機構140では、入力軸110が回転すると、該入力軸110と一体に第二カム142が回転する。そして、回転状態の第二カム142のカム面と常時接触している一対の第二カムフォロア144は、回転軸回りに転動するとともに、前記カム面の各第二カムフォロア144との接触位置が変化することにより、入力軸110の軸方向に沿う方向に揺動する。そして、この第二カムフォロア144の揺動が該第二カムフォロア144を支持する揺動アーム146に伝達される結果、当該揺動アーム146が前記タレット122と一体的に支持軸134回りに回動するようになる。すなわち、一対の第二カムフォロア144の前記軸方向に沿う方向における揺動動作は、前記揺動アーム146を介して、タレット122の回動動作に変換される。この結果、前記出力部120が前記第一搬送台12と一体的に旋回搬送方向に振動することとなる。換言すると、第二カム142のカム面の形状(すなわち、カムプロファイル)に応じて一対の第二カムフォロア144が前記軸方向に沿う方向において揺動することにより、第二カム機構140は、前記第一搬送台12に旋回搬送方向の振動を付与することになる。なお、一対の第二カムフォロア144が前記軸方向に沿う方向における移動ストローク(すなわち、揺動アーム146が支持軸134回りに回動する際の回動ストローク)が、前記第二カム機構140が付与する旋回搬送方向の振動の振幅に相当する。
【0040】
<<第一振動付与ユニット100が付与する振動について>>
次に、上記構成の第一振動付与ユニット100が付与する振動について説明する。
第一振動付与ユニット100では、各第一カムフォロア154aは第一カム152のカム面と常時接触しており、各第二カムフォロア144も第二カム142のカム面と常時接触している。このため、第一カム機構150による前記出力部120の鉛直方向における往復動動作と、第二カム機構140による前記出力部120の支持軸134回りの回動動作とは、互いに阻害し合うことがない。この結果、前記出力部120は、鉛直方向における往復動動作と支持軸134回りの回動動作とを同時に行うことが可能である。すなわち、前記第一搬送台12は、第一カム機構150及び第二カム機構140の協働により、旋回搬送方向及び鉛直方向(より正確には、両方向の合成方向)に振動することとなる。また、本実施形態では、前記入力軸110が一回転する間に前記第一カム機構150が付与する鉛直方向の振動の振動数と、前記第二カム機構140が付与する旋回搬送方向の振動の振動数とが互いに等しくなるように、第一カム152のカムプロファイルと第二カム142のカムプロファイルとが調整されている。このため、第一振動付与ユニット100を駆動する前に、予め、第一カム152における第一カムフォロア154aとの接触位置、及び、第二カム142における第二カムフォロア144との接触位置が調整されていれば、第一振動付与ユニット100の運転中、前記第一カム機構150と第二カム機構140とを完全に同期させて状態で駆動することが可能になる。この結果、前記第一搬送台12に前記合成方向への振動が適切に付与されるため、該第一搬送台12上の物品は該第一搬送台に対して相対的に滑るようになる。
【0041】
<<第二振動付与ユニット200の構成例及び動作例について>>
次に、第二振動付与ユニット200の構成例及び動作例を、図8乃至図11を用いて説明する。図8乃至図11は、各々、第二振動付与ユニット200の内部構造を示す模式断面図である。図8乃至図10は、第二振動付与ユニット200の主要構成要素を示すための断面図であり、図8は入力軸210の軸方向と交差する断面を、図9は図8中のB−B断面を、図10は鉛直方向と交差する断面を、それぞれ示している。図11は、出力部220を説明するための図である。なお、図8、図9、及び、図11には、矢印にて第二振動付与ユニット200の上下方向(すなわち、鉛直方向)が示されている。
【0042】
第二振動付与ユニット200は、前記第三搬送台16の下方に設けられ、該第三搬送台16に鉛直方向の振動(図1の下図において、矢印にて示す方向の振動)を付与する機構である。この第一振動付与ユニット100は、図8及び図9に示すように、ハウジング230と、入力軸210と、出力部220と、第一カム機構240とを備えており、ベース部材40上に固定されている。すなわち、前記第二振動付与ユニット200は、前記第一カム機構240によって生成された鉛直方向の振動を、第三搬送台16の下方側から該第三搬送台16に付与する。
【0043】
そして、前記第二振動付与ユニット200は、図8乃至図11に示すように、旋回搬送方向の振動を付与するカム機構(すなわち、第一振動付与ユニット100の第二カム機構140)を備えていない点を除き、以下、第一振動付与ユニット100と略同一の構造を有している。したがって、上述した第二振動付与ユニット200の各構成要素は、第一振動付与ユニット100に備えられているものと、略同様である。例えば、第二振動付与ユニット200の第一カム機構240は、鉛直方向の振動を付与するための第一カム242と、その長手方向一端部に該第一カム242と係合する第一カムフォロア244aが形成された一対のリフトアーム244とを備えている。そして、前記第一カム242の外周面に形成されたカム面の形状(すなわち、第一カム242のカムプロファイル)も、第一振動付与ユニット100が備える第一カム152のカムプロファイルと等しくなっている。このため、第二振動付与ユニット200が付与する鉛直方向の振動の振幅(すなわち、一対のリフトアーム244の鉛直方向における移動ストローク)と、第一振動付与ユニット100が付与する鉛直方向の振動の振幅とが互いに等しくなっている。
【0044】
また、図9に示すように、第二振動付与ユニット200が有する入力軸210の軸方向一端部はハウジング230外に突出しており、前述したように、軸継手302を介して第一振動付与ユニット100の入力軸110と連結している。このため、駆動モータ300が起動すると、両入力軸110、210は同時に、かつ、同一の回転速度で回転する。
【0045】
次に、以上のような構成を有する第二振動付与ユニット200が付与する振動について説明する。第一カム機構240が出力部220(タレット222及び第三搬送台固定板224)を鉛直方向に往復動させることにより、第二振動付与ユニット200は前記第三搬送台16に鉛直方向の振動を付与する。また、前述したように、第二振動付与ユニット200に備えられた第一カム242のカムプロファイルと、第一振動付与ユニット100に備えられた第一カム242のカムプロファイルとが互いに等しくなっている。さらに、第一振動付与ユニット100の入力軸110と、第二振動付与ユニット200の入力軸210とが同時に、かつ、同一の回転速度で回転する。これにより、第一振動付与ユニット100が付与する振動の振動数と、第二振動付与ユニット200が付与する振動の振動数とが互いに等しくなる。したがって、第二振動付与ユニット200を駆動する前に、予め、第一カム機構240による鉛直方向の振動の付与タイミングが調整されていれば、第一振動付与ユニット100が振動を付与するタイミングと、第二振動付与ユニット200が振動を付与するタイミングとが完全に同期するようになる。すなわち、前記第一搬送台12と前記第三搬送台16とは同期した状態で鉛直方向に振動することとなる。さらに、第二振動付与ユニット200が付与する鉛直方向の振動の振幅と、第一振動付与ユニット100が付与する鉛直方向の振動の振幅とが互いに等しくなっている。このため、第一搬送台12と第三搬送台16とが振動開始前に鉛直方向において同じ位置にあれば、両搬送台の振動中、当該両搬送台は、鉛直方向において互いに同じ位置にあることになる。
【0046】
<<駆動モータについて>>
駆動モータ300は、第一振動付与ユニット100及び第二振動付与ユニット200の各入力軸110、210を回転させるためのモータである。すなわち、本実施形態の駆動モータ300は、第一振動付与ユニット100及び第二振動付与ユニット200の共通の駆動源であり、物品搬送装置1内に1台のみ設けられている。当該駆動モータ300は、前述したように、第一振動付与ユニット100のハウジング130に固定されており、該駆動モータ300の駆動軸(不図示)が前記第一振動付与ユニット100の入力軸110の軸方向一端部と直結している。そして、駆動モータ300の駆動軸が回転すると、その駆動力は、第一振動付与ユニット100及び第二振動付与ユニット200の各入力軸110、210へ同時に伝達される。
【0047】
<<スチールベルトについて>>
スチールベルト30は、各搬送台に備えられた物品受け渡し部12h、14h、16h、18hに掛け渡された短冊状の鋼材板である。このスチールベルト30は短手方向及び厚み方向(すなわち、短手方向及び長手方向に交差する方向)の荷重に対する強度が高く、かつ、長手方向において伸縮し難くなっている。一方、前記スチールベルト30の長手方向は曲がり易くなっている。このような性質を有するスチールベルト30が、図1に示すように、各物品受け渡し部間に形成された隙間に跨った状態で当該各物品受け渡し部間に掛け渡されている(つまり、本実施形態では四箇所にスチールベルト30が取り付けられている)。また、各スチールベルト30の長手方向両端部は各搬送台の側壁12b、14b、16b、18bにボルト止めされている。このため、前記各スチールベルト30は、該スチールベルト30の長手方向における形状が該側壁12b、14b、16b、18bに沿って湾曲した状態で、各搬送台を連結している(図1の上図参照)。以上のように、各物品受け渡し部間に掛け渡されたスチールベルト30が各搬送台を連結することにより、互いに隣接する二つの搬送台のうち、より上流側の搬送台の振動が、該スチールベルト30によって、より下流側の搬送台に伝達されるようになる。ここで、各スチールベルト30は、前記隙間を跨り、かつ、その長手方向における形状が湾曲した状態で掛け渡されているため、各搬送台の振動(特に、旋回搬送方向又は直進搬送方向の振動)を乱さずに伝達することが可能である。以下、各スチールベルト30が振動を伝達するメカニズムについて、第一搬送台12の物品受け渡し部12hと第二搬送台14の物品受け渡し部14hとの間に掛け渡されたスチールベルト30を例に挙げて説明する。
【0048】
前記スチールベルト30は、第一振動付与ユニット100が前記第一搬送台12に付与した旋回搬送方向及び鉛直方向の振動を、該第一搬送台12から第二搬送台14に伝達する。当該スチールベルト30は、前記振動を伝達するために、第一搬送台12の振動(より正確には、旋回搬送方向の振動)に合わせて、該スチールベルト30の湾曲部分が該スチールベルト30の長手方向にずれるような動きをする。当該スチールベルト30の動きをより詳細に説明すると、前記第一搬送台12の側壁12bに固定されたスチールベルト30の長手方向一端部は、該第一搬送台12の振動によって、該第一搬送台12と一体的に旋回搬送方向に移動する。この際、物品受け渡し部間に隙間が形成されているため、前記第一搬送台12は、第二搬送台14と干渉せずに旋回搬送方向に振動することが可能である。そして、前記長手方向一端部が移動する分、スチールベルト30全体が移動することになるため、該スチールベルト30の長手方向他端部が固定された第二搬送台14も一体的に動くようになる。この際、該スチールベルト30の長手方向における湾曲部分が当該長手方向にずれていき(換言すると、スチールベルト30の湾曲度合いが変化し)、スチールベルト30の長手方向一端部が旋回搬送方向に移動する一方で、長手方向他端部が直進搬送方向に移動するようになる。このようなスチールベルト30の動きにより、第一搬送台12の旋回搬送方向の振動が、第二搬送台14の直進搬送方向の振動に変換される。つまり、前記スチールベルト30は、第一搬送台12の旋回搬送方向の振動を、直進搬送方向の振動に変換して、該振動を第二搬送台14に伝達する。これと同時に、スチールベルト30は、前記第一搬送台12の鉛直方向の振動についても前記第二搬送台14に伝達する。この結果、前記振動が伝達された前記第二搬送台14は、直進搬送方向及び鉛直方向に振動するようになる。
【0049】
以上のようなメカニズムにより、各物品受け渡し部間に掛け渡された各スチールベルト30は、第一振動付与ユニット100から付与される振動を伝達することになる。但し、鉛直方向の振動は減衰し易いため、前述した第二振動付与ユニット200によって補填される。したがって、前記各スチールベルト30は、第一振動付与ユニット100から付与される振動のみならず、前記第二振動付与ユニット200から付与される振動についても伝達することとなる。これにより、各搬送台は、その搬送方向(旋回搬送方向または直進搬送方向)及び鉛直方向に振動することが可能になる。さらに、前述したように、第一振動付与ユニット100及び第二振動付与ユニット200の各振動付与タイミングが完全に同期しているため、各搬送台も完全に同期して振動するようになる。この結果、本実施形態の物品搬送装置1は、オーバルトラックに沿って、物品を一定の速度で安定的に搬送することが可能になる。
【0050】
===本実施の形態に係る物品搬送装置の有効性について===
上述した通り、本実施形態の物品搬送装置1は、旋回搬送方向及び鉛直方向に振動して物品を旋回搬送させるための第一搬送台12と、直進搬送方向及び鉛直方向に振動して前記物品を直進搬送させるための第二搬送台14と、前記第一搬送台12に振動を付与する第一振動付与ユニット100と、前記第一搬送台12から前記第二搬送台14への前記物品の受け渡しを行うために各搬送台に設けられた物品受け渡し部12h、14hの間に掛け渡され、該第一搬送台12から該第二搬送台14へ前記振動を伝達するスチールベルト30と、を備える。このような構成の物品搬送装置1では、当該物品搬送装置1を省コスト化することが可能となる。以下に、本実施の形態に係る物品搬送装置1の有効性について説明する。
【0051】
背景技術の項で説明した通り、物品搬送装置による物品搬送中に、物品に対して検査、加工、印刷等の各種作業を行う場合がある。搬送中の物品に対して前記各種作業を行うためには、当該作業を行うために十分なスペース及び時間を確保する必要がある。当該スペース及び時間を確保するための方策としては、物品搬送装置に複数の搬送台を設け、当該複数の搬送台を組み合わせて長距離の搬送経路を形成させることが考えられる。また、前記作業をより容易に行う目的で物品を直線的に整列させるために、前記複数の搬送台中に直線レール状の搬送台を含める場合もある。また、医薬品等の物品については、所謂バリデーション対応のために繰り返し検査を行う必要があることから、前記複数の搬送台によって循環型搬送経路を形成させる場合もある。
【0052】
ところで、複数の搬送台が設けられた前記物品搬送装置では各搬送台の振動を利用して物品を搬送させるため、当該各搬送台をその搬送方向及び鉛直方向に振動させる必要がある。そして、前記各搬送台を振動させるため、物品搬送装置内に、当該各搬送台の外部から振動を付与する振動付与機構を設けることとなる。但し、搬送台毎に前記振動付与機構を設けてしまうと、該振動付与機構の台数分、物品搬送装置の製造コストが割高になってしまう。
【0053】
これに対し、本実施形態の物品搬送装置1には『振動伝達部材』としてのスチールベルト30が備えられており、該スチールベルト30により、第一振動付与ユニット100が付与する振動(すなわ、旋回搬送方向及び鉛直方向の振動)を各搬送台に伝達させることが可能である。このため、前記振動付与ユニットを各搬送台に対して各々設ける必要がなく、該振動付与ユニットの設置スペースを小さくし、該振動付与ユニットの台数も少なくすることが可能になる。特に、本実施の形態のように、複数の搬送台を設けてオーバルトラックを形成させた場合、各搬送台の物品受け渡し部間にスチールベルト30を掛け渡すことにより、各搬送台を適切に振動させつつ、振動付与ユニットの台数を必要最小限の台数(本実施の形態では、2台)とすることが可能になる。この結果、物品搬送装置1の製造コストが抑えられ、当該物品搬送装置1を省コスト化することが可能になる。
【0054】
===その他の実施の形態===
以上、上記実施の形態に基づき、本発明に係る物品搬送装置等を説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0055】
例えば、上記実施の形態では、複数の搬送台により循環型のオーバルトラックが形成された場合(以下、本件例とも言う)について説明したが、図12に示すような非循環型の搬送経路が形成される場合(以下、第一変形例)も考えられる。図12は、第一変形例の物品搬送装置2を示す図である。第一変形例の物品搬送装置2は本件例の物品搬送装置1と略同様の構成であるが、図12に示すように、第四搬送台18の直進搬送方向終端側に物品取り出し部18dが設けられており、該物品取り出し部18dまで搬送された物品は、該物品取り出し部18dから排出された後、後段の工程に移るようになる。
【0056】
また、上記実施の形態では、第三搬送台16の載置面16aが該第三搬送台16の外周に沿って円弧状に曲がった平面である場合について説明したが、図13に示すように、前記第三搬送台16の載置面16aが第一搬送台12の載置面12aのように螺旋面である場合(以下、第二変形例)も考えられる。図13は、第二変形例の物品搬送装置3を示す図である。前記第三搬送台16の載置面16aが螺旋面である場合、オーバルトラック一周あたりの搬送距離は、本件例や第一変形例と比較して、より長くなる。具体的に説明すると、第三搬送台16の物品受け渡し部16hに渡された物品は、該物品受け渡し部16hの先に設けられた物品戻し部16cにより、螺旋状の載置面16aのうち、最も低い位置にある部分(すなわち、第三搬送台16の底部)まで降下する。その後、降下した物品は、前記螺旋状の載置面16aを上るように該載置面12a上を移動する。さらに、本変形例に係る第三搬送台16の載置面16a上には、物品の姿勢を強制的に反転させるための物品反転部16eが設けられている。この物品反転部16eは、メカニカルな方法により物品の姿勢を反転させる部材(所謂アタッチメント)である。そして、物品が該物品反転部16eを通過する際、当該物品の表裏が反転するため、該物品反転部16e通過後においては、物品の裏側(物品反転部16eの通過前には、載置面16aと向き合っていた側)を検査することも可能になる。すなわち、本変形例においては、物品の表側及び裏側から該物品を検査することが可能になる。なお、前記載置面16a上に設けられる部材は前記物品反転部16eに限らず、例えば、目的の姿勢になっている物品のみを通過させ、その他の姿勢の物品については前記第三搬送台16の底部に降下させて該物品を排除するための姿勢判別部材が設けられていてもよい。
【0057】
また、上記実施の形態では、複数の搬送台によってオーバルトラックが形成されている場合について説明した。前記複数の搬送台により形成される搬送経路がオーバルトラックである場合、物品搬送装置1の設置スペースを小さく抑えつつ、搬送中の物品に対して作業を行うために十分な搬送距離を確保することが可能である。また、直線レール状の搬送台(すなわち、第二搬送台14及び第四搬送台18)が設けられているため、物品を直線的に整列させた状態で、該物品に対して作業を行うことが容易になる。但し、前記搬送経路の形状はオーバルトラックに限定されるものではない。例えば、図14に示すような略三角形状の搬送経路が形成されている場合(第三変形例)や、図15に示すような略四角形状の搬送経路が形成されている場合(第四変形例)も考えられる。図14及び図15は、各々、第三変形例の物品搬送装置4、第四変形例の物品搬送装置5を示す図である。
【0058】
第三変形例の物品搬送装置4は、本件例の物品搬送装置1における搬送台に加えて、旋回搬送方向及び鉛直方向に振動して物品を旋回搬送させる第五搬送台20と、直進搬送方向及び鉛直方向に振動して物品を直進搬送させる第六搬送台22とを備えている。そして、第三変形例において、物品は、第一搬送台12の物品受入部に投じられた後、該第一搬送台12から第六搬送台22まで順に各搬送台上を移動し、最終的に前記第六搬送台22の搬送方向終端側に設けられた物品取り出し部22dから排出される。
【0059】
第四変形例の物品搬送装置5は、上記第三変形例の物品搬送装置4における搬送台に加えて、旋回搬送方向及び鉛直方向に振動して物品を旋回搬送させる第七搬送台24と、直進搬送方向及び鉛直方向に振動して前記物品を直進搬送させる第八搬送台26とを有している。そして、本変形例において、物品は、第一搬送台12の物品受入部に投じられた後、該第一搬送台12から第八搬送台26まで順に各搬送台上を移動し、最終的に前記第八搬送台26の搬送方向終端側に設けられた物品取り出し部26dから排出される。
【0060】
また、第三変形例においては前記第五搬送台20に鉛直方向の振動を付与するための第三振動付与ユニット400が備えられ、第四変形例においては、さらに、第七搬送台24に鉛直方向の振動を付与するための第四振動付与ユニット500が設けられている。前記第三振動付与ユニット400及び前記第四振動付与ユニット500は、前述した第二振動付与ユニット200と略同様の構造を有している。そして、前記第三振動付与ユニット400及び前記第四振動付与ユニット500が各々有する入力軸410、510には、軸継手302やベルト伝動機構304を介して駆動モータ300からの駆動力が伝達される。したがって、第三変形例及び第四変形例においても、各入力軸は単一の駆動モータ300によって駆動される。なお、第四変形例では、図15に示すように、第五搬送台20の載置面が螺旋面であり、該第五搬送台20の旋回搬送方向始端側の物品受け渡し部の先には物品戻し部20cが設けられているが、これに限定されるものではなく、前記第五搬送台20の載置面が円弧状に曲がった平面であってもよい。
【0061】
さらに、これら変形例以外の形状の搬送経路が形成されていてもよい。例えば、本件例より搬送台の台数が少なく、第一搬送台12と第二搬送台14のみによって搬送経路が形成されてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、第一振動付与ユニット100と第二振動付与ユニット200とが別個独立した場合について説明した。すなわち、前記第一振動付与ユニット100及び前記第二振動付与ユニット200は、各々ハウジング130、230を有していることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、第一振動付与ユニットと第二振動付与ユニットとがハウジングを共有している場合も考えられる。換言すると、図16や図17に示すように、第一振動付与ユニット100に属する出力部120、第一カム機構150及び第二カム機構140と、第二振動付与ユニット200に属する出力部220及び第一カム機構240とが同一のハウジングに収容されていてもよい。図16は、第一の複合振動付与ユニット600の模式断面図である。図17は、第二の複合振動付与ユニット700の模式断面図である。両図は、いずれも鉛直方向と交差する断面における各複合振動付与ユニットの主要構成要素を示している。以下、各複合振動付与ユニットの構成の概略について説明する。なお、各複合振動付与ユニット中、既述の第一振動付与ユニット100及び第二振動付与ユニット200の構成と同様の構成については説明を省略する。
【0063】
第一の複合振動付与ユニット600には、図16に示すように、第一振動付与ユニット100に属する第一カム機構150及び第二カム機構140と、第二振動付与ユニット200に属する第一カム機構240とを駆動する共通軸610が設けられている。該共通軸610は軸受621を介してハウジング620に固定されており、その軸方向一端部は駆動モータ300と直結している。また、第一振動付与ユニット100に属するタレット122を支持する支持軸622aと、第二振動付与ユニット200に属するタレット222を支持する支持軸622bとが、前記共通軸610を挟んで互いに反対の位置に設けられている。このため、図16に示すように、ハウジング620内において、第一振動付与ユニット100に属する第一カム機構150と、第二振動付与ユニット200に属する第一カム機構240とが前記共通軸610を挟んで互いに対向するように配置されている。なお、前記共通軸610の軸方向において、第二振動付与ユニット200に属するリフトアーム244が、前記第一振動付与ユニット100に属するリフトアーム244より外側に位置している。このようなリフトアーム間の位置関係を実現するために、図16に示すように、第二振動付与ユニット200に属するタレット222の大径部222bには、該大径部222bの外周から前記共通軸610の軸方向両端側へ張り出した張出部222dが設けられており、該張出部222dの長手方向(すなわち、前記軸方向に沿う方向)の各端部に第二振動付与ユニット200に属するリフトアーム244が固定されている。
【0064】
一方、図17に示すように、第二の複合振動付与ユニット700においても、上記の共通軸710が軸受721を介してハウジング720に支持されている。そして、第一振動付与ユニット100に属するタレット122を支持する支持軸722aと、第二振動付与ユニット200に属するタレット222を支持する支持軸722bとが、前記共通軸610から見て同じ側に設けられており、かつ、該共通軸610の軸方向に並んでいる。このため、図17に示すように、第一振動付与ユニット100に属する第一カム機構150及び第二カム機構140と、第二振動付与ユニット200に属する第一カム機構240とが前記軸方向に並んで配置されている。
【0065】
また、上記実施の形態では、第一振動付与ユニット100が第一搬送台12に付与した振動をスチールベルト30により第二搬送台14に伝達させることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、前記第一振動付与ユニット100が第二搬送台14に振動を付与し、該振動を前記第二搬送台14から前記第一搬送台12に伝達させることとしてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、各搬送台の物品受け渡し部間すべてに、スチールベルト30が掛け渡されていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、各搬送台の物品受け渡し部間のうち、第一搬送台12及び第二搬送台14の物品受け渡し部12h、14h間のみにスチールベルト30が掛け渡されていてもよい。但し、上記実施の形態の場合には、振動付与ユニット(特に、第一振動付与ユニット100)の台数を必要最小限度にすることが可能となり、物品搬送装置1がより省コスト化されるようになる。さらに、各搬送台の物品受け渡し部間すべてにスチールベルト30が掛け渡されている場合、各搬送台の振動を同期させることがより容易になる。以上の点において上記実施の形態の方が望ましい。
【0067】
また、上記実施の形態では、第三搬送台16に鉛直方向の振動を付与する第二振動付与ユニット200が備えられていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、第三搬送台16に鉛直方向の振動を付与する振動付与ユニットが設けられていなくてもよい。但し、鉛直方向の振動は減衰し易く、第一振動付与ユニット100が付与する鉛直方向の振動のみで、各搬送台を鉛直方向に振動させることは困難である。このため、鉛直方向の振動を補填する第二振動付与ユニット200が備えられることにより、各搬送台を適切に鉛直方向に振動させることが可能になり、より適切な物品搬送が行われるようになる。また、第三搬送台16に鉛直方向及び旋回搬送方向の振動を付与するための振動付与ユニットが設けられる場合も考えられるが、旋回搬送方向の振動は、鉛直方向の振動に比べて減衰し難く、スチールベルト30によって適切に伝達させることが可能である。このため、別途、旋回搬送方向の振動を付与する機構を設けることにより、物品搬送装置のコストが増加してしまう。つまり、上記実施形態の物品搬送装置1は性能面及びコスト面においてバランスが取れたものであり、かかる点において上記実施の形態の方が望ましい。
【0068】
また、上記実施の形態では、第一振動付与ユニット100及び第二振動付与ユニット200を駆動するための単一の駆動モータ300が設けられていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、前記第一振動付与ユニット100及び前記第二振動付与ユニット200の各々に駆動モータが設けられおり、各駆動モータがサーボ制御されることとしてもよい。但し、上記実施の形態であれば、第一振動付与ユニット100の駆動と第二振動付与ユニット200の駆動とを同期させることがより容易になる。これにより、各振動付与ユニットの振動付与タイミングにおけるズレの発生を抑制し、各振動伝達部材が適切に振動を伝達することが可能となる。この結果、各搬送台の振動も同期させることが可能になるため、物品搬送装置が物品をより適切に搬送することが可能になる。さらに、上記実施の形態であれば、各搬送台における物品の移動速度(すなわち、物品搬送速度)を調整する際、駆動モータ300の回転軸の回転速度を調整すればよく、当該物品搬送速度の調整が容易になる。以上の点において、上記実施の形態の方が望ましい。
【0069】
また、上記実施の形態では、第一振動付与ユニット100により付与される振動の振動数と、第二振動付与ユニット200により付与される振動の振動数とが互いに等しくなっていることとした。しかし、これに限定されるものではなく、両振動数が互いに異なっていてもよい。但し、上記実施の形態であれば、各搬送台の振動が搬送台間でずれることによって生じる物品搬送への悪影響の発生を抑制することが可能になる。この結果、物品搬送装置がより一層適切に物品を搬送するようになる点において、上記実施の形態の方が望ましい。
【0070】
また、上記実施の形態では、第一振動付与ユニット100が有する第一カム152のカムプロファイルと、第二振動付与ユニット200が有する第一カム242のカムプロファイルとが互いに等しくなっていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、両カムプロファイルが互いに異なっていてもよい。但し、上記実施の形態であれば、鉛直方向における各搬送台の振動の振幅が均一になり、当該振幅が搬送台間で相違した場合に生じる物品搬送への悪影響の発生を抑制することが可能になる。これにより、物品受け渡し間における物品の受け渡しが適切に行われるようになり、物品搬送装置がさらに適切に物品を搬送することが可能になる。かかる点において、上記実施の形態の方が望ましい。
【0071】
また、上記実施の形態では、短冊状のスチールベルト30が各物品受け渡し部の間に形成された隙間を跨いだ状態で当該各物品受け渡し部間に掛け渡されていることとしたが、これに限定されるものではない。スチールベルト30以外の振動伝達部材(例えば、コイルばね等)が各物品受け渡し部間に掛け渡されていてもよい。但し、スチールベルト30は、前述したように、短手方向及び厚み方向の荷重に対する強度が高く、かつ、長手方向において伸縮し難い性質を有している。したがって、スチールベルト30は、振動伝達時に、長手方向の伸縮や短手方向の折れ、自重による撓み等を生じることなく、各搬送台へ振動を適切に伝達することが可能である。また、スチールベルト30は各搬送台と共振することがないため、各搬送台の振動を乱すこともない。さらに、前記スチールベルト30が物品受け渡し部間に形成された隙間に跨って当該物品受け渡し部に掛け渡されているため、各搬送台が他の搬送台と干渉することなく振動しながら、当該各搬送台の振動を伝達することが可能になる。かかる点において、上記実施の形態の方が望ましい。
【0072】
また、上記実施の形態では、前記スチールベルト30の長手方向両端部が各搬送台の側壁12b、14b、16b、18bに固定されていることとしたが、これに限定されるものではない。スチールベルト30の長手方向両端部が、各搬送台において、前記側壁12b、14b、16b、18b以外の部分(例えば、各搬送台の底面)に固定されていることとしてもよい。但し、上記実施の形態であれば、前記スチールベルト30の固定が容易になる。さらに、上記実施の形態の場合、スチールベルト30は、各搬送台の振動(より正確には、各搬送台の搬送方向における振動)に合わせて、その長手方向における湾曲部分が当該長手方向にずれるように動く。このようなスチールベルト30の動きにより、旋回搬送方向の振動は直進搬送方向の振動に、直進搬送方向の振動は旋回搬送方向の振動にそれぞれ変換されて、伝達されるようになる。すなわち、スチールベルト30は、隣接した二台の搬送台のうち、上流側の搬送台から下流側の搬送台に振動を伝達する際に、前記下流側の搬送台をその搬送方向へ適切に振動させるように、前記上流側の搬送台の振動を変換して、当該振動を該下流側の搬送台へ伝達することが可能である。この結果、各搬送台は適切に振動し、物品搬送装置は更に適切に物品を搬送することが可能になる。かかる点において、上記実施の形態の方が望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本実施形態の物品搬送装置1を示す図である。
【図2】第一振動付与ユニット100の主要構成要素を示すための断面図であり、入力軸110の軸方向と交差する断面を示している。
【図3】第一振動付与ユニット100の主要構成要素を示すための断面図であり、図2中のA−A断面を示している。
【図4】第一振動付与ユニット100の主要構成要素を示すための断面図であり、鉛直方向と交差する断面を示している。
【図5】入力軸110の軸方向と交差する断面を示した図であり、第一カム機構150を説明するための図である。
【図6】入力軸110の軸方向と交差する断面を示した図であり、第二カム機構140を説明するための図である。
【図7】出力部120を説明するための図である。
【図8】第二振動付与ユニット200の主要構成要素を示すための断面図であり、入力軸210の軸方向と交差する断面を示している。
【図9】第二振動付与ユニット200の主要構成要素を示すための断面図であり、図8中のB−B断面を示している。
【図10】第二振動付与ユニット200の主要構成要素を示すための断面図であり、鉛直方向と交差する断面を示している。
【図11】出力部220を説明するための図である。
【図12】第一変形例の物品搬送装置2を示す図である。
【図13】第二変形例の物品搬送装置3を示す図である。
【図14】第三変形例の物品搬送装置4を示す図である。
【図15】第四変形例の物品搬送装置5を示す図である。
【図16】第一の複合振動付与ユニット600の模式断面図である。
【図17】第二の複合振動付与ユニット700の模式断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 物品搬送装置、2 第一変形例の物品搬送装置、
3 第二変形例の物品搬送装置、
4 第三変形例の物品搬送装置、
5 第四変形例の物品搬送装置、
12 第一搬送台、14 第二搬送台、
16 第三搬送台、18 第四搬送台、
20 第五搬送台、22 第六搬送台、
24 第七搬送台、26 第八搬送台、
12a、14a、16a、18a 載置面、
12b、14b、16b、18b 側壁、
12c、16c、20c 物品戻し部、
18d、22d、26d 物品取り出し部、
16e 物品反転部、
12h、14h、16h、18h 物品受け渡し部、
30 スチールベルト、40 ベース部材、
100 第一振動付与ユニット、110 入力軸、
120 出力部、122 タレット、
122a 小径部、122b 大径部、122c 段部、
124 第一搬送台固定板、130 ハウジング、
131 軸受、132 台座部、134 支持軸、
140 第二カム機構、142 第二カム、
144 第二カムフォロア、146 揺動アーム、
150 第一カム機構、152 第一カム、
154 リフトアーム、154a 第一カムフォロア、
200 第二振動付与ユニット、210 入力軸、
220 出力部、222 タレット、
222a 小径部、222b 大径部、222c 段部、
222d 張出部、224 第三搬送台固定板、
230 ハウジング、231 軸受、
234 支持軸、240 第一カム機構、
242 第一カム、244 リフトアーム、
244a 第一カムフォロア、300 駆動モータ、
302 軸継手、304 ベルト伝動機構、
400 第三振動付与ユニット、410 入力軸、
500 第四振動付与ユニット、510 入力軸、
600 第一の複合振動付与ユニット、
610 共通軸、620 ハウジング、621 軸受、
622a、622b 支持軸、
700 第二の複合振動付与ユニット、
710 共通軸、720 ハウジング、721 軸受、
722a、722b 支持軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回搬送方向及び鉛直方向に振動して物品を旋回搬送させるための搬送台と、
直進搬送方向及び鉛直方向に振動して前記物品を直進搬送させるための搬送台と、
当該二つの搬送台のうちの一方の搬送台に振動を付与するカム式振動付与機構と、
前記一方の搬送台から他方の搬送台への前記物品の受け渡しを行うために各搬送台に設けられた物品受け渡し部、の間に掛け渡され、前記一方の搬送台から前記他方の搬送台へ前記振動を伝達する振動伝達部材と、
を備えることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物品搬送装置において、
前記一方の搬送台は、旋回搬送方向及び鉛直方向に振動して物品を旋回搬送させるための第一搬送台であり、
前記他方の搬送台は、直進搬送方向及び鉛直方向に振動して前記物品を直進搬送させるための第二搬送台であることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の物品搬送装置において、
前記振動伝達部材は、前記第一搬送台から前記第二搬送台へ前記振動を伝達するための第一振動伝達部材であり、
旋回搬送方向及び鉛直方向に振動して前記物品を旋回搬送させるための第三搬送台と、
前記第二搬送台から前記第三搬送台への前記物品への受け渡しを行うために該第二搬送台及び該第三搬送台に各々設けられた物品受け渡し部、の間に掛け渡され、該第二搬送台から該第三搬送台へ前記振動を伝達する第二振動伝達部材と、が更に備えられていることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の物品搬送装置において、
直進搬送方向及び鉛直方向に振動して前記物品を直進搬送させるための第四搬送台と、
前記第三搬送台から前記第四搬送台への前記物品への受け渡しを行うために該第三搬送台及び該第四搬送台に各々設けられた物品受け渡し部、の間に掛け渡され、該第三搬送台から該第四搬送台へ前記振動を伝達する第三振動伝達部材と、が更に備えられており、
前記第一搬送台、前記第二搬送台、前記第三搬送台、及び、前記第四搬送台により、長円状の搬送経路が形成されていることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の物品搬送装置において、
前記第一振動伝達部材、前記第二振動伝達部材、及び、前記第三振動伝達部材は短冊状のスチールベルトであり、
該スチールベルトは、各物品受け渡し部の間に形成された隙間を跨いだ状態で、当該各物品受け渡し部の間に掛け渡されていることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項6】
請求項5に記載の物品搬送装置において、
前記第一搬送台、前記第二搬送台、前記第三搬送台及び前記第四搬送台の各々は、
前記物品を載置するための載置面と、
該載置面の幅方向端部において該載置面と交差するように設けられた側壁と、を有し、
前記スチールベルトの長手方向両端部は前記側壁に固定されていることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項7】
請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の物品搬送装置において、
前記カム式振動付与機構は、前記第一搬送台に旋回搬送方向及び鉛直方向の振動を付与する第一カム式振動付与機構であり、
前記第三搬送台に鉛直方向の振動を付与する第二カム式振動付与機構が更に備えられていることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項8】
請求項7に記載の物品搬送装置において、
前記第一カム式振動付与機構及び前記第二カム式振動付与機構を駆動するための単一の駆動モータが設けられていることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8のいずれかに記載の物品搬送装置において、
前記第一カム式振動付与機構により付与される振動の振動数と、前記第二カム式振動付与機構により付与される振動の振動数とが互いに等しくなっていることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項10】
請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の物品搬送装置において、
前記第一カム式振動付与機構が鉛直方向の振動を付与するために備えているカムのカムプロファイルと、
前記第二カム式振動付与機構が鉛直方向の振動を付与するために備えているカムのカムプロファイルと、が互いに等しくなっていることを特徴とする物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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