説明

物品用害虫忌避剤

【課題】 ゴキブリやダニその他の節足動物などのヒトの健康を阻害したり、不潔感や嫌悪感等の不快感を与えるような害虫に対して確実に忌避作用があり、しかも皮膚に副作用のない新規な物品用害虫忌避剤とすることである。
【解決手段】 ヨモギの水抽出成分とドクダミの水抽出成分を害虫忌避性有効成分として含有し、抽出原料の乾燥植物換算重量比が20:80から80:20の範囲で配合し、抽出原料の乾燥植物重量に換算して0.01〜20重量%含有する物品用害虫忌避剤とする。または、これに朝鮮人参、山椒の葉およびビワの葉から選ばれる一種以上の水抽出成分を0.005〜10重量%含有する物品用害虫忌避剤とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、人体や環境に対して安全性が高い害虫忌避性の植物エキスを含有する物品用害虫忌避剤に関し、主に住宅や工場などの屋内生息虫、屋内への歩行侵入虫および飛来侵入虫などの害虫の忌避剤や忌避処理剤として用いられる物品用害虫忌避剤に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、住宅などにはコナチャタテ、ハリクチダニ、コナダニ、ユウレイグモ、カマドウマ、チリグモ、ゴキブリなどの屋内生息虫、コオロギL、コオロギSW、ツノトビムシ、アリ、オオハサミムシ、タナグモ、ゲジ、ヤケヤスデ、サラグモ、コガネグモ、アシナガグモ、ワシグモ、カニグモ、ハダニ、微小クモ類、ササラダニ類、オカダンゴムシなどの歩行侵入虫、チョウバエ、タマバエ、ユスリカ、コオロギLW、クロバネキノコバエ、ノミバエ、ヒメヨコバイ、コバチ類、グンバイムシ、オサムシ、ホソヘリカメムシ、ムカカ、ウンカ、カガンボ、微小ハチ類、ヨコバイ、ヒメトビケラ、カ、ホソハネヤドリコバチ、アブラムシ、カイガラムシ類W、アザミウマ、トビケラ類、ヒロズコガ、キバガ、ニクバエ、キリギリス、コナジラミ、メイガ、アリW、ハネカクシ、キモグリバエ、ヒシバッタ、サシガメ、ナガカメムシ、シマウンカ、クダアザミウマ、マルハキバガ、ニセマイコガ、クサモグリガ、ツツミノガ、ネマルハキバガ、カザリバガ、ヒゲナガキバガ、トリバガ、小蛾類、シャクガ、ヤガ、ベッコウバチ、ガムシ、キスイムシなどの飛来侵入虫が存在する。これらの小動物は場合によっては人を刺したり屋内を衛生的に悪い影響を与えたりするものもいる。
【0003】これら害虫または不快虫を住宅や工場の屋内に侵入させない方法として、駆除と忌避が行なわれる。
【0004】具体的な駆除方法としては、住宅や工場の内外部に有機塩素化合物類、有機リン酸エステル類、カーバメート類などを配合した組成物を噴霧や塗布をしている。また、忌避としてはピレスロイド系化合物のほか、N,N−ジエチル−m−トルアミド、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、n−ヘキシルトリエチレングリコールモノエーテル、フタル酸ジオクチルなどや植物エキスとしては樟脳、クローバ、ユーカリなどを配合した組成物を噴霧や塗布をする。また、有機塩素化合物類、有機リン酸エステル類、カーバメート類、ピレスロイド系化合物のほか、N,N−ジエチル−m−トルアミド、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、n−ヘキシルトリエチレングリコールモノエーテル、フタル酸ジオクチルなどを配合した組成物も用いられている。これらの薬品以外として、植物エキスである樟脳、クローバ、ユーカリなどを配合した組成物も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような従来の殺虫剤や忌避剤などの薬品は、人体への安全性や環境への安全性に疑問があり、人体に直接触れたり、吸入したりすることはあまり好ましくなく、また上述した従来使用の植物エキスなどは、刺激臭があったり皮膚刺激があり、現在発明発見されている植物エキス含有の害虫忌避剤は充分に満足できるものとは言い難い。
【0006】また、ヨモギまたはドクダミから得られる植物エキスのゴキブリやダニその他の害虫に対する忌避作用、特にヨモギとドクダミを併用した場合の害虫忌避作用およびその際の配合量について、未だ明らかにされていない
【0007】そこで、この発明は上記した問題を解決して、ゴキブリやダニその他の節足動物などのヒトの健康を阻害したり、不潔感や嫌悪感等の不快感を与えるような害虫に対して確実に忌避作用があり、しかも皮膚に副作用のない新規な物品用害虫忌避剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、この発明においては、ヨモギの水抽出成分とドクダミの水抽出成分を、抽出原料の乾燥植物換算重量比が20:80から80:20の範囲で配合し、これを有効成分として含有する物品用害虫忌避剤としたのである。本発明の物品用害虫忌避剤中、ヨモギの水抽出成分とドクダミの水抽出成分は、抽出原料の乾燥植物換算重量比で20:80から80:20の範囲であり、かつ乾燥植物重量に換算して0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%を配合することが好ましい。
【0009】上記したように構成されるこの発明の害虫忌避性皮膚外用剤は、後述の実験結果からも明らかなように、ヨモギの水抽出成分とドクダミの水抽出成分を所定量ずつ併用したことにより、確実にゴキブリやダニ類に対する忌避効果を発揮できるまた、天然の植物成分を特に成分調整することなく、水抽出によって採取および濃縮したものを有効成分として添加しているので、その作用は穏やかで皮膚に付着しても副作用がない。
【0010】また、上記の害虫忌避性皮膚外用剤中に、朝鮮人参、山椒の葉およびビワの葉から選ばれる一種以上の植物の水抽出成分を添加することにより、ヨモギの水抽出成分とドクダミの水抽出成分との併用効果が、さらに相乗的に作用すると考えられ、より確実に害虫忌避効果が発揮される
【0011】害虫忌避性皮膚外用剤におけるヨモギの水抽出成分とドクダミの水抽出成分の含有量は、抽出原料の乾燥植物重量に換算して0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%であるが、そのような数値限定の理由は、0.01重量%未満では害虫忌避効果が非常に弱く、20重量%を越えなくても害虫忌避効果が発揮できるものを提供できるからである
【0012】
【発明の実施の形態】この発明に用いる水抽出液の調製方法の例を挙げて説明する。ヨモギの水抽出成分またはドクダミの水抽出成分は、キク科の多年草であるヨモギ(Artemisiaprinceps Pamp.)もしくはその近縁種の葉などの植物体、またはドクダミ科の多年草であるドクダミ(Houttuynis cordata Thunberg)もしくはその近縁種の葉などの植物体を、その乾燥重量の2〜8重量倍の水(精製水が好適である)に、約5時間から10日程度、好ましくは約60時間〜180時間、浸して抽出することにより得られ、ヨモギまたはドクダミの水抽出液に含まれる溶出成分および分散成分である。
【0013】抽出温度は、10〜90℃程度が好ましく、より好ましくは15〜40℃程度であり、常温で自然抽出できる。抽出は、ヨモギおよびドクダミを乾燥し、乾燥重量で3〜5kgを常温にて精製水10〜20リットルに約120時間浸し、自然抽出することによりヨモギまたはドクダミの水抽出成分を含有する抽出液を得る。なお、上記の乾燥重量は、通常、植物試料に対して行なわれるように、試料に含有されている水分を沸点程度(105〜110℃)にまで加熱して乾燥させる乾燥植物重量をいう。
【0014】そして、抽出原料の乾燥植物換算重量比で20:80から80:20の範囲になるように、すなわちヨモギの水抽出成分とドクダミの水抽出成分が抽出原料の乾燥植物重量に換算して20:80から80:20の範囲になるように、得られた水抽出液を配合し、物品用害虫忌避剤とする。
【0015】抽出液を塗料、溶媒その他の材料に配合する場合は、抽出液を原液のまま配合しても良いし、必要があれば乾燥、濃縮あるいは適当な溶媒で希釈するなどの処理を行なってから添加しても良い。
【0016】上記の抽出液を希釈するための適当な溶媒とは、たとえば水およびまたは低級アルコールおよびまたは低級ポリオールなどの1種または2種以上が挙げられる。ここでいう低級アルコールとは、炭素数1〜6程度のアルコールをいい、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどであり、また、低級ポリオールとしては、炭素数1〜6程度のポリオールであり、エリスリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−へキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、グリセリン、ジグリセリン等があり、さらにエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどの溶媒も挙げられ特に限定するものではない。
【0017】また、上記の物品用害虫忌避剤に、朝鮮人参、山椒の葉およびビワの葉から選ばれる一種以上の植物の水抽出成分を配合するとさらに良好な効果が得られる。
【0018】朝鮮人参の水抽出成分は、ウコギ科の多年草である朝鮮ニンジン(Panax Schin-seng、オタネニンジンとも別称される。)もしくはその近縁種の植物体、特に葉の部分の炭化物の水抽出成分を採用することが好ましく、例えば朝鮮人参の葉1kgを自然乾燥し、鉄釜で炒ったものを52〜55℃の精製水10リットルに約120時間浸して自然抽出した水抽出液に含まれる成分(水以外の成分)を採用できる。
【0019】山椒の葉の水抽出成分は、ミカン科の落葉低木であるサンショウ(Zanthoxylum piperitum)もしくはその近縁種の葉などで、たとえばサンショウの葉1kgを自然乾燥し、鉄釜で炒ったものを常温の精製水10リットルに約96時間浸して自然抽出した水抽出液に含まれる水分以外の成分である。
【0020】また、ビワの葉の水抽出成分は、バラ科のビワ(Eriobotrya japonica)もしくはその近縁種の葉などで、たとえばビワの葉1kgを自然乾燥し、鉄釜で炒ったものを常温の精製水10リットルに約240時間浸して自然抽出した水抽出液に含まれる水以外の成分である。
【0021】このようにして得られたこれら朝鮮人参や山椒の葉およびビワの葉の水抽出液は、ヨモギの水抽出成分およびドクダミの水抽出成分と共に害虫忌避剤に配合するが、これら朝鮮人参や山椒の葉およびビワの葉の水抽出液を害虫忌避剤に配合する場合においても抽出液を原液のまま配合しても良いし、必要があれば乾燥、濃縮あるいは適当な溶媒で希釈するなどの処理を行なってから配合しても良い。
【0022】この発明の害虫忌避剤において、上記以外の他の成分は特に限定されないが、必要に応じて有機酸、その塩類、低級アルコール、低級グリコール類および定着剤類から選ばれる一種以上の成分を添加してもよい。
【0023】有機酸やその塩類は、本発明の植物エキス配合組成物に添加することで抗菌性を高めることができ、組成物の腐敗を防ぐことができる。
【0024】ここでいう有機酸やその塩類は、炭素数10以下の有機酸のことであり、たとえばクエン酸、コハク酸、酒石酸、ソルビン酸、乳酸、酢酸、フマル酸、安息香酸、プロピオン酸、リンゴ酸、グルコン酸などが挙げられるが、特に限定されない。その塩類とは、たとえば金属塩ではナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉄などの塩が挙げられ、またアミン塩ではモノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アルギニンなどの他にも多くの種類が挙げられる、またアンモニア等も挙げられる。
【0025】しかしながら、アミン塩やアンモニアはそれ自身に刺激臭があったり、経時的に変質して変色及び変臭する場合もあり、更に人体への安全性や環境への安全性を考慮し、できれば配合せず、または金属塩よりもかなり少量の配合が望ましい。
【0026】なお、害虫忌避剤に、低級アルコールおよびまたは低級ポリオールなどの1種または2種以上を配合させた方が析出物の生成が少なくなる場合がある。
【0027】ここでいう低級アルコールとは、炭素数1〜6のアルコールであり、たとえば炭素数1〜3のアルコールの例を挙げると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノ−ルが挙げられ,低級ポリオールとしては、炭素数1〜6程度のポリオールであり、たとえば、エリスリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−へキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、グリセリン、ジグリセリン等があり、さらにエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどの溶媒も挙げられる。
【0028】定着剤は、セルロース、ニトロセルロース、アルキルセルロース、アルギン酸、スターチ、PVA(ポリビニルアルコール)などの他にも多くの種類が挙げられるが、特に限定されるものではない。このような定着剤を用いることによって害虫忌避作用その他の作用効果をより長く持続させ得る場合がある。
【0029】この発明の害虫忌避剤を調製する際の目安として、害虫忌避有効成分を害虫忌避剤に対して添加する配合例を以下に示す。
【0030】まず、ヨモギの水抽出液(40〜60重量%)、ドクダミの水抽出液(20〜35重量%)、朝鮮人参葉の炭化部の水抽出液(3〜5重量%)、山椒の葉の炭化物の水抽出液(3〜5重量%)、ビワの葉の水抽出液(6〜10重量%)、をカッコ内の割合で全体が100重量%になるように配合する。次に、この混合した水抽出液50重量%にエタノール50重量%を配合させ100重量%とする。この場合、混合した水抽出液を10℃前後に冷却してから行なうのが好ましい。
【0031】たとえば、以上のようにして調製された害虫忌避有効成分の混合溶液を各種組成物に配合することにより物品用害虫忌避剤となる。
【0032】一般に、住宅や工場などの屋内生息虫、屋内への歩行侵入虫および飛来侵入虫などの害虫を忌避させ、人を刺したり屋内を衛生的に悪い影響を与える害虫を確実に忌避させることで屋内での暮らし、レジャー、仕事などを快適にするだけでなく、人や動物の皮膚疾患、喘息、伝染病など害虫に起因する疾病の予防や害虫の死骸や糞尿などに起因する工場内の製品や機械類の品質管理を向上することが期待できる。
【0033】この発明は害虫忌避噴霧剤、害虫忌避塗布剤、害虫忌避散布剤、害虫忌避処理剤などとして提供できる。たとえば、住居、工場、事務室、研究室などの床、畳、じゅうたん、窓、窓ガラス、雨戸、壁、カーテン、エアコンを始め、トイレ室、浴室、車、また靴や鞄の革製品などの害虫忌避性噴霧剤、害虫忌避性塗布剤、害虫忌避性散布剤、害虫忌避性処理剤などのほか、屋内の害虫忌避性光沢剤、害虫忌避性ふき取り剤、害虫忌避性洗浄剤とすることができる。たとえば、害虫忌避効果のある床光沢剤、床洗浄剤、床ふき取り剤、畳洗浄剤、畳ふき取り剤、畳表面処理剤、じゅうたん消臭用散布剤、窓ガラス洗浄剤、窓ガラスふき取り剤、壁洗浄剤、壁ふき取り剤、エアコン洗浄剤、エアコンフィルター洗浄剤、トイレ室洗浄剤、トイレ室ふき取り剤、浴室洗浄剤、浴室ふき取り剤などとすることができる。以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
【実施例および比較例】〔実施例1;害虫忌避性噴霧剤〕まず、害虫忌避有効成分の混合溶液の調製を行なった。表1に示す組成に従ってヨモギの水抽出液、ドクダミの水抽出液、朝鮮人参の葉の炭化物の水抽出液、山椒の葉の炭化物の水抽出液、ビワの葉の水抽出液を均一に混ぜ、約10℃に冷却後、エタノールを配合して害虫忌避有効成分の混合溶液を調製した。
【0035】ここで調製した混合溶液は、ヨモギの水抽出成分とドクダミの水抽出成分が、抽出原料の乾燥植物換算重量比で65:35であり、ヨモギとドクダミは抽出原料の乾燥植物重量に換算して5重量%である。
【0036】
【表1】


【0037】
【表2】


【0038】表1の害虫忌避有効成分の混合溶液を用い、表2に示す組成の害虫忌避性噴霧剤を調製した。調製方法は各原料の一括混合で調製できる。ここで調製した害虫忌避性噴霧剤は、ヨモギの水抽出成分とドクダミの水抽出成分が、抽出原料の乾燥植物換算重量比で65:35であり、ヨモギとドクダミは抽出原料の乾燥植物重量に換算して2重量%である。
【0039】〔比較例1;噴霧剤のコントロール〕実施例1に用いたエタノールをコントロールとした。
【0040】<ゴキブリ忌避試験>実施例1の害虫忌避性噴霧剤およびコントロールをそれぞれろ紙に対してほぼ均一に噴霧して湿らせ、その乾燥後のろ紙についてゴキブリ忌避試験を行なった。試験方法は、縦50cm×横40cm×高さ10cmの箱型の試験容器の中央を25cm×10cmの分離板で仕切り、この仕切りで区画された左右の試験区に水分で湿らせたゴキブリ飼育用餌をそれぞれのろ紙の上に置いた。なお、容器上部全体は、供試虫の逃亡防止のため透明板で覆った。20頭のクロネゴキブリを放ち、60分後、表3のような結果が得られ、その結果から、実施例1を噴霧したろ紙をゴキブリが忌避していると考えられた。
【0041】
【表3】


【0042】<ダニの忌避試験>実施例1の害虫忌避性噴霧剤およびコントロールをそれぞれろ紙に噴霧してほぼ均一に湿らせ、その乾燥後、それぞれのろ紙についてダニの忌避試験を行なった。供試害虫としては、コナヒョウヒダニを使用し、直径9cmのシャーレに実施例1および比較例1の3cm正方形のろ紙の中央にエサを置き、それぞれのろ紙の中央から供試虫30頭を放った。3日後、試験区の内、ろ紙区のみのダニ数をダニの生死に関係無く測定し、その結果を表4に示した。ダニは実施例1のろ紙を確実に忌避していた。
【0043】
【表4】


【0044】
〔実施例2;床用害虫忌避性噴霧剤〕(以下に示す成分量は、重量%である。

表1の成分(混合溶液) 20.0 エタノール 50.0 ポリオキシエチレン(50E.O.)ヒマシ油 0.3 精製水 残量実施例2は、床用害虫忌避噴霧剤の処方例であるが、害虫を忌避したい部分に噴霧すればよいものであるから、畳、壁、窓、窓ガラス、雨戸、じゅうたん、カーテン、エアコン、浴室、車内、カバン、靴などにも幅広く使用できる。
【0045】
〔実施例3;じゅうたん用害虫忌避性散布剤〕(以下に示す成分量は、重量%である。)
表1の成分(混合溶液) 10.0 安息香酸 0.5 炭酸カルシウム 40.0 炭酸マグネシウム 40.0 タルク 残量実施例3は、じゅうたん用害虫忌避性散布剤の処方例であるが、害虫を忌避したい部分に散布し、必要があれば、散布後に掃除機で粉体を吸引しても良いものであり、畳、浴室、車内などにも幅広く使用できる害虫忌避噴霧剤である。
【0046】
〔実施例4;畳用害虫忌避性塗布剤〕(以下に示す成分量は、重量%である。

表1の成分(混合溶液) 20.0 安息香酸 0.5 ポリオキシエチレン(20E.O.)セチルエーテル 1.0 エチレングリコールモノエチルエーテル 5.0 水 残量実施例4は、畳用害虫忌避性塗布剤の処方例であるが、その適量を布等に着けて塗布して使用され、洗浄効果も併せ持つものであり、床、壁、窓、窓ガラス、雨戸、浴室、車、畳、浴室、車内などにも幅広く使用できる。
【0047】
〔実施例5;害虫忌避性床光沢剤〕(以下に示す成分量は、重量%である。)
表1の成分(混合溶液) 20.0 ポリオキシエチレン変性シリコーン 3.0 ポリオキシエチレンポリプロピレン変性シリコーン 3.0 ポリオキシエチレン(20E.O.)セチルエーテル 3.0 シリコーンワックス 3.0 揮発性シリコーン 20.0 エチレングリコールモノエチルエーテル 10.0 プロピレングリコール 10.0 水 残量実施例5は、シリコーン系の高級床用ワックスであるが、皮製品やプラスチック製品の艶出しなどにも幅広く使用できるものであり、害虫忌避効果の他に艶だし効果を併せ持っている。
【0048】
〔実施例6;害虫忌避性畳拭き取り剤〕(以下に示す成分量は重量%である。

表1の成分(混合溶液) 20.0 安息香酸 0.5 ポリオキシエチレン(20E.O.)セチルエーテル 2.0 エチレングリコールモノエチルエーテル 20.0 水 残量実施例6は、畳用よごれ拭き取り剤の処方例であるが、床、壁、窓、窓ガラス、雨戸、浴室、車、畳、浴室、車内などにも幅広く使用でき、害虫忌避効果の他に洗浄効果を併せ持つものである。
【0049】
〔実施例7;害虫忌避性カーペット洗浄剤〕(以下に示す成分量は、重量%である。)
表1の成分(混合溶液) 20.0 安息香酸 0.5 ポリオキシエチレン(20E.O.)セチルエーテル 2.0 ラウリル硫酸ナトリウム 5.0 クエン酸 0.2 EDTA−4Na 1.0 水 残量実施例7は、カーペット洗浄剤の処方例であるが、床、壁、窓、窓ガラス、雨戸、エアコン、浴室、車、畳、浴室などにも幅広く使用でき、カーペットなどの繊維品類に対する洗浄効果の他に害虫忌避効果を併せ持っている。
【0050】
〔実施例8;害虫忌避性処理剤〕(以下に示す成分量は、重量%である。)
ヨモギの水抽出液 29.5 ドクダミの水抽出液 16.5 朝鮮人参葉炭化物の水抽出液 2.2 山椒葉炭化物の水抽出液 2.2 ビワの葉の水抽出液 4.7 クエン酸ナトリウム 0.6 DLリンゴ酸ナトリウム 1.4 フマル酸ナトリウム 0.8 乳酸ナトリウム 1.2 コーンスターチ 0.3 PVA 0.2 エタノール 40.4実施例8は、害虫忌避性処理剤の処方例であり、たとえば紙や布や畳などを害虫忌避処理剤に浸漬し、常温乾燥または熱乾燥すると害虫忌避効果を持つ紙や布や畳などとなる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、この発明は、ヨモギの水抽出成分およびドクダミの水抽出成分を有効成分とし、所定量含有する物品用害虫忌避剤としたので、このものはヒトの健康を阻害したり、不潔感や嫌悪感などの不快感を与えるようなゴキブリやダニその他の節足動物等の害虫に対する忌避作用を塗布した物品に与えるものであり、しかも皮膚に接触しても副作用のない物品用害虫忌避剤であるという利点がある
【0052】また、朝鮮人参、山椒の葉およびビワの葉から選ばれる一種以上の植物の水抽出成分を所定量添加したものは、より確実に害虫忌避効果が発揮されるものになる
【0053】したがって、この発明の物品用害虫忌避剤は、住宅や工場住宅や工場などの屋内生息虫、屋内への歩行侵入虫および飛来侵入虫などを忌避し、人を刺したり屋内を衛生的に悪い影響を与える害虫を確実に忌避させることにより、屋内での暮らし、レジャー、仕事などを快適にするだけでなく、人や動物の皮膚疾患、喘息、伝染病など害虫に起因する疾病の予防、および害虫の死骸や糞尿などに起因する工場内の製品や機械類の品質管理を向上することができるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヨモギの水抽出成分とドクダミの水抽出成分を、抽出原料の乾燥植物換算重量比が20:80から80:20の範囲で配合し、これを有効成分として含有する物品用害虫忌避剤。
【請求項2】 ヨモギの水抽出成分およびドクダミの水抽出成分からなる有効成分が、抽出原料の乾燥植物重量に換算して皮膚外用剤全量の0.01〜20重量%である請求項1に記載の物品用害虫忌避剤。
【請求項3】 請求項1または2に記載の害虫忌避性皮膚外用剤に対し、朝鮮人参、山椒の葉およびビワの葉から選ばれる一種以上の植物の水抽出成分を添加した物品用害虫忌避剤。

【公開番号】特開2002−275014(P2002−275014A)
【公開日】平成14年9月25日(2002.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−74061(P2001−74061)
【出願日】平成13年3月15日(2001.3.15)
【出願人】(592215011)東洋ビューティ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】